1 00:00:02,936 --> 00:00:06,273 たくさんの友人たちの 力を借りて➡ 2 00:00:06,273 --> 00:00:09,176 花子たちは 青凜社を作り➡ 3 00:00:09,176 --> 00:00:14,615 「王子と乞食」の単行本を 完成させました。 4 00:00:14,615 --> 00:00:16,950 それから2年後➡ 5 00:00:16,950 --> 00:00:21,822 かよは 必死で働き 自分の店を持ちました。 6 00:00:21,822 --> 00:00:27,594 そして 歩は 4歳になりました。 7 00:00:27,594 --> 00:00:32,499 (セミの声) 8 00:00:32,499 --> 00:00:37,804 さて 8月のある日の事。 9 00:00:41,174 --> 00:00:43,176 (花子)歩ちゃん! 10 00:00:43,176 --> 00:00:45,312 おじぃやんとおばぁやんが 来てくれたよ。 11 00:00:45,312 --> 00:00:48,649 (吉平)歩~。 グッド イブニ~ング! 12 00:00:48,649 --> 00:00:52,319 (歩)おじぃやん おばぁやん グッド イブニング! 13 00:00:52,319 --> 00:00:56,189 (ふじ)てっ 歩! もう 海水着 着てるだけ? 14 00:00:56,189 --> 00:00:59,993 歩ったら 明日が待ち切れなんで 朝から大騒ぎさ! 15 00:00:59,993 --> 00:01:02,262 ああ~ こんだけ てるてる坊主 つるしゃあ➡ 16 00:01:02,262 --> 00:01:05,599 明日は きっと 晴れるら。 17 00:01:05,599 --> 00:01:09,269 歩! 海行って スイカ割りしような! うん! 18 00:01:09,269 --> 00:01:11,572 (平祐) おお~! 立派なスイカですな! 19 00:01:11,572 --> 00:01:13,507 (英治) 重くて大変だったでしょう? 20 00:01:13,507 --> 00:01:15,442 いっとう甘えやつ 選んできたです。 21 00:01:15,442 --> 00:01:19,913 (笑い声) よかったね 歩ちゃん。 22 00:01:19,913 --> 00:01:22,816 歩 呼んでくれてありがとね。 23 00:01:22,816 --> 00:01:26,253 おばぁやん 海水浴なんて 生まれて初めてじゃん。 24 00:01:26,253 --> 00:01:29,156 お母ちゃま これ着るんだよ! (ふじ)はあ~! 25 00:01:29,156 --> 00:01:31,124 歩ちゃん 恥ずかしいでしょ! 26 00:01:31,124 --> 00:01:33,594 はあ~! おかあも…。 27 00:01:33,594 --> 00:01:35,929 ♬「これから はじまる」 28 00:01:35,929 --> 00:01:38,832 ♬「あなたの 物語」 29 00:01:38,832 --> 00:01:43,603 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 30 00:01:43,603 --> 00:01:48,275 ♬「虹色の雨 降り注げば」 31 00:01:48,275 --> 00:01:53,947 ♬「空は 高鳴る」 32 00:01:53,947 --> 00:01:59,286 ♬「眩しい笑顔の奥に」 33 00:01:59,286 --> 00:02:04,124 ♬「悲しい音がする」 34 00:02:04,124 --> 00:02:09,563 ♬「寄りそって 今があって」 35 00:02:09,563 --> 00:02:17,437 ♬「こんなにも 愛おしい」 36 00:02:17,437 --> 00:02:21,908 ♬「手を繋げば 温かいこと」 37 00:02:21,908 --> 00:02:27,781 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 38 00:02:27,781 --> 00:02:32,552 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 39 00:02:32,552 --> 00:02:37,924 ♬「道は 続くよ」 40 00:02:37,924 --> 00:02:48,568 ♬「風が運ぶ 希望の種」 41 00:02:48,568 --> 00:02:59,279 ♬「光が 夢のつぼみになる」 42 00:03:01,548 --> 00:03:04,217 (雨の音と雷鳴) 43 00:03:04,217 --> 00:03:08,555 てっ。 ザーザー降りですか。 44 00:03:08,555 --> 00:03:11,892 歩ちゃん…。 45 00:03:11,892 --> 00:03:14,795 海水浴は また今度ね。 46 00:03:14,795 --> 00:03:19,232 やだ。 みんなで海に行くんだもん。 47 00:03:19,232 --> 00:03:24,571 雷も鳴ってるし 海は荒れてるだろう…。 48 00:03:24,571 --> 00:03:26,506 今日は 諦めよう 歩。 49 00:03:26,506 --> 00:03:31,511 やだ。 みんなで海水浴するんだもん! 50 00:03:33,246 --> 00:03:39,119 (泣き声) 51 00:03:39,119 --> 00:03:42,589 やりましょう。 海水浴。 52 00:03:42,589 --> 00:03:46,893 えっ? お母ちゃま 本当? 53 00:03:48,929 --> 00:03:52,599 皆さん どうぞ。 (ふじ)どうぞ。 54 00:03:52,599 --> 00:03:55,268 ああ こりゃ どうも どうも。 55 00:03:55,268 --> 00:03:57,204 どうぞ。 どうも。 56 00:03:57,204 --> 00:04:00,874 歩ちゃん。 ここは 海よ。 57 00:04:00,874 --> 00:04:07,547 想像の翼を大きく広げて ここが海だって想像してみるの。 58 00:04:07,547 --> 00:04:11,418 ここが海? そう。 59 00:04:11,418 --> 00:04:15,122 さあ 目を閉じて。 60 00:04:16,890 --> 00:04:24,231 想像してみて。 歩ちゃんは 今 みんなと一緒に浜辺にいます。 61 00:04:24,231 --> 00:04:32,105 今日は とっても いいお天気で 太陽は キラキラしています。 62 00:04:32,105 --> 00:04:37,410 みんなも一緒に 想像の翼を広げて。 63 00:04:39,779 --> 00:04:46,920 ザブ~ン ザブ~ンと寄せては返す波。 64 00:04:46,920 --> 00:04:51,791 あっ 大きな波が来たわ! 65 00:04:51,791 --> 00:04:56,596 でも ここは おうちだもん…。 66 00:04:56,596 --> 00:04:58,932 ほうじゃねえ 歩…。 67 00:04:58,932 --> 00:05:02,536 おおっ! 海だ! 68 00:05:02,536 --> 00:05:07,207 さあ おじぃやんと泳ごう! 69 00:05:07,207 --> 00:05:09,543 おじぃやんが泳ぐよ! 70 00:05:09,543 --> 00:05:15,215 すい~ すい~ すい~。 71 00:05:15,215 --> 00:05:18,885 よし! じゃあ お父ちゃまも泳ごうかな! 72 00:05:18,885 --> 00:05:22,556 ザッブ~ン! 73 00:05:22,556 --> 00:05:27,427 (2人)すい~ すい~。 74 00:05:27,427 --> 00:05:30,430 ほら 歩も 泳がないと溺れるぞ! おいで! 75 00:05:30,430 --> 00:05:35,135 あっ! でっけえ魚がいるじゃん! あっ!うわ~! 76 00:05:35,135 --> 00:05:39,573 (2人)すい~。 でも ここは海じゃないもん…。 77 00:05:39,573 --> 00:05:41,508 歩ちゃん。 78 00:05:41,508 --> 00:05:44,911 僕 海に行きたい。 海に行きたいの! 79 00:05:44,911 --> 00:05:47,247 歩! 80 00:05:47,247 --> 00:05:52,953 まあ 畳を海だと思えという方が 無理があるな。 ハハハハ。 81 00:05:57,891 --> 00:06:03,196 歩ちゃん おばぁやんがスイカ切ってくれたよ。 82 00:06:05,532 --> 00:06:11,238 これ食べて 機嫌直そうよ。 歩ちゃん。 83 00:06:12,873 --> 00:06:16,209 僕 海でスイカ食べる! 84 00:06:16,209 --> 00:06:18,545 歩…。 85 00:06:18,545 --> 00:06:22,215 いつまでも わがまま言ってる子は 知りませんからね! 86 00:06:22,215 --> 00:06:26,519 花子が息子に手を焼いている頃…。 87 00:06:29,089 --> 00:06:32,392 一方 蓮子は…。 88 00:06:40,901 --> 00:06:45,772 おや? こちらは 順調なようですね。 89 00:06:45,772 --> 00:06:50,243 (純平)お母様 ただいま。 (蓮子)お帰りなさい。 90 00:06:50,243 --> 00:06:53,947 棚に おやつが入ってますよ。 うん。 91 00:07:00,854 --> 00:07:05,725 (浪子)純平。 手は洗ったのかい? まだです。 92 00:07:05,725 --> 00:07:09,529 お外から帰ったら きちんと きれいに手を洗いなさいって➡ 93 00:07:09,529 --> 00:07:12,198 言ってるでしょう。 94 00:07:12,198 --> 00:07:16,069 蓮子さんも 仕事にかまけてないで ちゃんと注意しなさい。 95 00:07:16,069 --> 00:07:19,539 申し訳ございません。 気を付けます お義母様。 96 00:07:19,539 --> 00:07:23,209 ほら 早く洗いなさい。 きれいに洗うんだよ。 97 00:07:23,209 --> 00:07:25,512 はい。 98 00:07:27,080 --> 00:07:31,084 それにしても 富士子は いい子だね。➡ 99 00:07:31,084 --> 00:07:33,553 生まれた時から たくさん お乳は飲むし➡ 100 00:07:33,553 --> 00:07:37,257 よ~く育つよ。 ええ。 101 00:07:40,226 --> 00:07:43,129 (浪子)はい。 102 00:07:43,129 --> 00:07:50,236 ねえ おばあ様。 僕が生まれた時は どんなだった? 103 00:07:50,236 --> 00:07:55,575 えっ…。 ねえねえ 教えてよ~。 104 00:07:55,575 --> 00:07:59,446 おばあ様は 純平が生まれた時の事 知らないのよ。 105 00:07:59,446 --> 00:08:04,184 ちょっと 蓮子さん。 どうして? 106 00:08:04,184 --> 00:08:07,520 それは…。 107 00:08:07,520 --> 00:08:12,859 龍一と引き離され 実家に連れ戻された蓮子は➡ 108 00:08:12,859 --> 00:08:16,529 一人で純平を産みました。 109 00:08:16,529 --> 00:08:22,202 それを 幼い息子に どう説明したらよいのか➡ 110 00:08:22,202 --> 00:08:26,906 蓮子は 言葉が見つかりませんでした。 111 00:08:31,544 --> 00:08:38,551 歩ちゃん。 みんなと一緒に お弁当食べましょう。 112 00:08:42,889 --> 00:08:47,894 雨なんか嫌いだ! ずっと降らなきゃいいんだ! 113 00:08:56,236 --> 00:09:04,244 「今日のように ある暑い夏の朝の事です」。 114 00:09:05,845 --> 00:09:11,518 「小さな ひとひらの雲が 海から浮き上がって➡ 115 00:09:11,518 --> 00:09:18,858 青い空の方へ 元気よく 楽しそうに飛んでいきました。➡ 116 00:09:18,858 --> 00:09:22,729 ずっと下の方には 下界の人間が➡ 117 00:09:22,729 --> 00:09:29,869 汗を流しながら 真っ黒になって 働いておりました。➡ 118 00:09:29,869 --> 00:09:33,740 雲は 思いました。 『どうかして➡ 119 00:09:33,740 --> 00:09:37,544 あの人たちを助ける工夫は ないのだろうか』」。 120 00:09:37,544 --> 00:09:43,216 「こちらは 空の下の世界です。➡ 121 00:09:43,216 --> 00:09:47,087 あんまり太陽の光線が強いので➡ 122 00:09:47,087 --> 00:09:51,891 人々は 時々 空を見上げては 雲に向かって➡ 123 00:09:51,891 --> 00:09:58,565 『ああ… あの雲が 私たちを 助けてくれたらな』というような➡ 124 00:09:58,565 --> 00:10:00,500 様子を致しておりました」。 125 00:10:00,500 --> 00:10:03,903 さあ 雲は 何て言ったと思う? 126 00:10:03,903 --> 00:10:06,239 「助けてあげるよ」って。 127 00:10:06,239 --> 00:10:08,908 そうね。 128 00:10:08,908 --> 00:10:14,581 でも 雲は 人間の世界に近づくと 消えてしまうの。 129 00:10:14,581 --> 00:10:17,250 消えちゃうの? 130 00:10:17,250 --> 00:10:21,921 それでも 雲は 勇ましく こう言ったの。 131 00:10:21,921 --> 00:10:23,857 「『下界の人たちよ。➡ 132 00:10:23,857 --> 00:10:28,595 私は 自分の体に どんな事が起きても構わない。➡ 133 00:10:28,595 --> 00:10:32,265 あなたたちを助けよう。➡ 134 00:10:32,265 --> 00:10:38,938 私は 自分の命を あなたたちにあげます』。➡ 135 00:10:38,938 --> 00:10:44,611 下へ下へと 人間の世界に下っていった雲は➡ 136 00:10:44,611 --> 00:10:51,284 とうとう 涼しい うれしい 夕立の滴となって➡ 137 00:10:51,284 --> 00:10:55,955 自分の体をなくしました」。 138 00:10:55,955 --> 00:11:00,226 ほら。 139 00:11:00,226 --> 00:11:03,129 まあ…。 140 00:11:03,129 --> 00:11:06,900 雲は 死んじゃったんだね。 141 00:11:06,900 --> 00:11:08,835 ええ…。 142 00:11:08,835 --> 00:11:15,575 でもね 雲が降らせた雨で 苦しい苦しい暑さから➡ 143 00:11:15,575 --> 00:11:20,446 たくさんの人や動物や木や草花が 救われたのよ。 144 00:11:20,446 --> 00:11:26,219 じゃあ 雨の事 嫌ったら かわいそうだね。 145 00:11:26,219 --> 00:11:28,922 うん そうね。 146 00:11:28,922 --> 00:11:33,593 今日は 雨で海に行けなくて 残念だったけど➡ 147 00:11:33,593 --> 00:11:36,930 今度の日曜日 行こうね。 うん。 148 00:11:36,930 --> 00:11:40,266 僕 分かったよ。 149 00:11:40,266 --> 00:11:43,169 ん? 何だ? 歩。 150 00:11:43,169 --> 00:11:46,940 雲はね 雨を降らせて消えちゃったあと➡ 151 00:11:46,940 --> 00:11:49,275 虹になるんだよ! 152 00:11:49,275 --> 00:11:51,611 てっ…。 153 00:11:51,611 --> 00:11:53,546 ほうね! 154 00:11:53,546 --> 00:11:57,483 お別れに お空の虹になったんだ。 155 00:11:57,483 --> 00:11:59,953 ほう~…。 156 00:11:59,953 --> 00:12:02,855 アハハ あんたの言いてえこんは 分かるさ。 157 00:12:02,855 --> 00:12:06,226 歩は 神童に間違いありませんよ! 158 00:12:06,226 --> 00:12:09,896 いや~ 全くじゃん。 159 00:12:09,896 --> 00:12:13,900 (笑い声) 160 00:12:18,237 --> 00:12:20,573 て~っ! 161 00:12:20,573 --> 00:12:24,444 立派なお店じゃん かよ! 162 00:12:24,444 --> 00:12:31,918 ああ 自分の店を持つなんて 俺の娘にしちゃ出来すぎじゃん。 163 00:12:31,918 --> 00:12:35,788 かよ うんとこさ頑張っただな。 164 00:12:35,788 --> 00:12:39,792 (かよ)おとうも おかあも ゆっくりしてってくれちゃ。 165 00:12:50,269 --> 00:12:53,172 かよ。 166 00:12:53,172 --> 00:12:57,610 もう 郁弥君の事は 大丈夫か? 167 00:12:57,610 --> 00:13:04,884 こぴっと頑張ってれば きっと郁弥さんが見ててくれる。 168 00:13:04,884 --> 00:13:08,588 ほう思ってるさ。 169 00:13:21,434 --> 00:13:23,903 (梶原)花子君は 締め切りを守ってくれるから➡ 170 00:13:23,903 --> 00:13:26,239 本当に助かるよ。 171 00:13:26,239 --> 00:13:29,142 編集の皆さんの苦労は よ~く分かりますから。 172 00:13:29,142 --> 00:13:31,577 そうか。 173 00:13:31,577 --> 00:13:35,882 それで… 折り入って相談なんだが。 174 00:13:37,450 --> 00:13:41,454 この本の翻訳も お願いできないだろうか。 175 00:13:58,805 --> 00:14:02,208 歩の好きそうな本です。 176 00:14:02,208 --> 00:14:05,111 大急ぎで 翻訳してもらえないだろうか。 177 00:14:05,111 --> 00:14:09,882 はい。 是非やらせて下さい。 178 00:14:09,882 --> 00:14:13,219 本当に急いでんだ。 10日で仕上げてくれないか? 179 00:14:13,219 --> 00:14:16,556 10日ですか…。 180 00:14:16,556 --> 00:14:19,225 何か用でもあるの? 181 00:14:19,225 --> 00:14:21,894 大丈夫です。 頑張ります。 182 00:14:21,894 --> 00:14:24,230 引き受けてくれるか! ええ。 183 00:14:24,230 --> 00:14:26,566 助かるよ。 184 00:14:26,566 --> 00:14:29,469 それじゃ よろしく。 185 00:14:29,469 --> 00:14:31,437 (歩)お母ちゃま! 186 00:14:31,437 --> 00:14:36,242 お母ちゃま 日曜日 これ 海で着るんだよ! 187 00:14:36,242 --> 00:14:38,578 歩ちゃん。 188 00:14:38,578 --> 00:14:40,513 10日で本当に大丈夫? 189 00:14:40,513 --> 00:14:43,916 大丈夫です。 190 00:14:43,916 --> 00:14:50,590 さて 花子は この海水着を 着る事ができるのでしょうか? 191 00:14:50,590 --> 00:14:54,894 ごきげんよう。 さようなら。