1 00:00:02,202 --> 00:00:07,908 (吉平)ほれじゃあ もものこん 頼むじゃんな。 2 00:00:09,610 --> 00:00:14,281 (ふじ)英治さん。 はな。 3 00:00:14,281 --> 00:00:19,286 もものこん よろしくお願えしやす。 4 00:00:25,292 --> 00:00:28,195 (花子)もも。 5 00:00:28,195 --> 00:00:32,499 うちで一緒に暮らそう。 6 00:00:35,636 --> 00:00:40,307 お嫁に行く時 もも 言ってくれたじゃない。 7 00:00:40,307 --> 00:00:45,979  回想  (もも)お姉やんの新しい物語 楽しみにしてる。 8 00:00:45,979 --> 00:00:48,982 書えたら送ってくりょう。 9 00:00:50,651 --> 00:00:54,521 あの時 ももが ああ言ってくれなかったら➡ 10 00:00:54,521 --> 00:01:02,262 お姉やん… お話を作る夢 諦めてたかもしれない。 11 00:01:02,262 --> 00:01:08,135 私が今 翻訳したり 童話の仕事をしていられるのは➡ 12 00:01:08,135 --> 00:01:12,439 もものおかげだよ。 13 00:01:16,276 --> 00:01:22,582 ももの かじかんだ心が解ける日は 来るのでしょうか。 14 00:01:27,888 --> 00:01:30,290 ♬「これから はじまる」 15 00:01:30,290 --> 00:01:33,193 ♬「あなたの 物語」 16 00:01:33,193 --> 00:01:37,965 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 17 00:01:37,965 --> 00:01:42,302 ♬「虹色の雨 降り注げば」 18 00:01:42,302 --> 00:01:47,975 ♬「空は 高鳴る」 19 00:01:47,975 --> 00:01:52,846 ♬「眩しい笑顔の奥に」 20 00:01:52,846 --> 00:01:58,318 ♬「悲しい音がする」 21 00:01:58,318 --> 00:02:03,590 ♬「寄りそって 今があって」 22 00:02:03,590 --> 00:02:11,264 ♬「こんなにも 愛おしい」 23 00:02:11,264 --> 00:02:16,136 ♬「手を繋げば 温かいこと」 24 00:02:16,136 --> 00:02:22,275 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 25 00:02:22,275 --> 00:02:26,613 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 26 00:02:26,613 --> 00:02:31,918 ♬「道は 続くよ」 27 00:02:44,965 --> 00:02:49,302 皆さん ごきげんよう。 今日も よろしくお願い致します。 28 00:02:49,302 --> 00:02:51,238 (漆原)これは これは。 29 00:02:51,238 --> 00:02:54,641 (黒沢)村岡先生の放送 大変な反響です。 30 00:02:54,641 --> 00:02:56,977 まあ それは うれしいです。 31 00:02:56,977 --> 00:03:01,281 では 後ほど。 ごきげんよう。 32 00:03:05,252 --> 00:03:08,922 「ごきげんよう」か…。 33 00:03:08,922 --> 00:03:11,825 すいません。 34 00:03:11,825 --> 00:03:15,262 では 逓信省の許可を取ってきます。 35 00:03:15,262 --> 00:03:18,598 お願いします。 36 00:03:18,598 --> 00:03:22,269 これ全部 村岡先生宛てのお手紙です。 37 00:03:22,269 --> 00:03:27,140 どうぞ ご覧になって下さい。 ありがとうございます。 38 00:03:27,140 --> 00:03:31,144 では 行ってきます。 はい。 39 00:03:37,284 --> 00:03:44,291 それは 病気の坊やを持つ お母さんからのお手紙でした。 40 00:03:52,632 --> 00:03:58,305 (かよ)もも。 少し休んだら? 41 00:03:58,305 --> 00:04:06,913 私… 一生懸命働くから ここに置いて。 42 00:04:06,913 --> 00:04:11,251 でも お姉やんが寂しがるよ。 43 00:04:11,251 --> 00:04:17,124 ももと一緒に暮らしたいって お姉やん 心から思ってるよ。 44 00:04:17,124 --> 00:04:21,895 お姉やんは きっと そんな事思わないよ。 45 00:04:21,895 --> 00:04:25,198 あんなに忙しそうだし。 46 00:04:27,601 --> 00:04:31,271 お姉やんが あんなに 仕事をするようになったのは➡ 47 00:04:31,271 --> 00:04:35,609 坊やが亡くなってからだよ。 48 00:04:35,609 --> 00:04:41,481 それからは 日本中の子どもたちに 物語を届けるんだって➡ 49 00:04:41,481 --> 00:04:47,220 いつも たくさん仕事を抱えてる。 50 00:04:47,220 --> 00:04:54,528 ラジオのおばさんも そんな気持ちで 引き受けたんだと思う。 51 00:05:07,908 --> 00:05:11,244 「村岡花子先生。➡ 52 00:05:11,244 --> 00:05:18,118 『コドモの新聞』 息子が 大層楽しみにしております。➡ 53 00:05:18,118 --> 00:05:24,591 息子は 入院していて ふさぎ込む日もあるのですが➡ 54 00:05:24,591 --> 00:05:30,463 村岡先生の放送を 本当に心待ちにしております。➡ 55 00:05:30,463 --> 00:05:38,772 息子にとって 先生の放送は 希望なのだと思います」。 56 00:05:50,283 --> 00:05:53,286 あの…。 57 00:05:54,955 --> 00:06:00,227 (英治)ももさん… 来てくれたんですね。 58 00:06:00,227 --> 00:06:07,567 花子は ラジオ局に行ってますけど 帰ってきたら大喜びします。 59 00:06:07,567 --> 00:06:13,440 違うんです。 荷物を取りに…。 60 00:06:13,440 --> 00:06:18,445 えっ… ああ。 61 00:06:36,263 --> 00:06:42,569 はい。 これですね。 すみません…。 62 00:06:44,137 --> 00:06:50,143 実を言うと… 僕は ももさんが羨ましいです。 63 00:06:52,812 --> 00:06:59,286 けんかができる兄姉がいて 羨ましいです。➡ 64 00:06:59,286 --> 00:07:02,889 僕は 弟を亡くしました。 65 00:07:02,889 --> 00:07:08,194 けんかも仲直りも 一人じゃできません。 66 00:07:10,230 --> 00:07:13,566 あっ そうだ。 ももさん ちょっと待ってて。 67 00:07:13,566 --> 00:07:17,871 花子が書いた新しい本 持っていって下さい。 68 00:07:32,919 --> 00:07:37,590 ももさん。 お願いがあるんです。 69 00:07:37,590 --> 00:07:44,264 この写真を ラジオ局まで 届けてもらえませんか?えっ? 70 00:07:44,264 --> 00:07:48,601 僕が行ければいいんですが 急ぎの納品があって…。 71 00:07:48,601 --> 00:07:50,537 はあ…。 72 00:07:50,537 --> 00:07:54,274 花子に渡してほしいんです。 73 00:07:54,274 --> 00:07:59,145 どうか お願いします。 74 00:07:59,145 --> 00:08:01,081 分かりました。 75 00:08:01,081 --> 00:08:04,884 はあ… 助かった…。 76 00:08:04,884 --> 00:08:08,188 あっ じゃあ 今 地図 描きますから。 77 00:08:10,223 --> 00:08:28,241 ♬~ 78 00:08:28,241 --> 00:08:31,911 あの方に聞いて下さい。 79 00:08:31,911 --> 00:08:34,914 あの! 80 00:08:36,583 --> 00:08:40,453 村岡花子は どこにいますか? どうなさったんですか? 81 00:08:40,453 --> 00:08:45,759 忘れ物を届けたいんです。 どうぞ こちらです。 82 00:09:10,216 --> 00:09:14,554 あの… ご相談があるんですが。 83 00:09:14,554 --> 00:09:16,890 今度は 何ですか? 84 00:09:16,890 --> 00:09:20,760 原稿を変更したいんです。 85 00:09:20,760 --> 00:09:24,564 またですか…。 86 00:09:24,564 --> 00:09:26,900 (有馬)放送は もう間もなくです。 87 00:09:26,900 --> 00:09:29,569 逓信省の承認を取る時間は もう ありませんから➡ 88 00:09:29,569 --> 00:09:31,504 そのまま お読みになるしかありません。 89 00:09:31,504 --> 00:09:33,440 そういう事ですので。 90 00:09:33,440 --> 00:09:35,909 変更といっても ひと言だけです。 91 00:09:35,909 --> 00:09:37,844 最後の挨拶を 「さようなら」ではなく➡ 92 00:09:37,844 --> 00:09:41,247 「ごきげんよう。 さようなら」に したいんです。 93 00:09:41,247 --> 00:09:44,150 冒頭にも 「ごきげんよう」と述べて➡ 94 00:09:44,150 --> 00:09:47,120 最後に また 「ごきげんよう」と 述べるのですか? 95 00:09:47,120 --> 00:09:51,124 よほど 「ごきげんよう」という 挨拶をしたいのでしょう。 96 00:09:54,594 --> 00:09:58,932 あなたは 修和女学校のご出身だそうですね。 97 00:09:58,932 --> 00:10:01,601 はい。 98 00:10:01,601 --> 00:10:06,473 うちの家内も修和の出身で 「ごきげんよう」は 朝から晩まで➡ 99 00:10:06,473 --> 00:10:09,943 耳にタコが出来るくらい 聞かされます。 100 00:10:09,943 --> 00:10:12,612 そうでしたか…。 101 00:10:12,612 --> 00:10:19,285 あそこは 家柄のいい お嬢様たちが通う名門です。 102 00:10:19,285 --> 00:10:25,158 しかし… あなたは 給費生だったそうですね。 103 00:10:25,158 --> 00:10:29,863 ええ。 そうです。 104 00:10:32,298 --> 00:10:35,635 (漆原) 貧しい家の出である あなたが 殊更に➡ 105 00:10:35,635 --> 00:10:38,538 「ごきげんよう」という言葉を 使いたい気持ちは分かります。 106 00:10:38,538 --> 00:10:42,308 しかし 「ごきげんよう」が 似合う人間と似合わない人間が➡ 107 00:10:42,308 --> 00:10:45,612 いるんですよ。 108 00:10:48,181 --> 00:10:51,985 そうでしょうか。 109 00:10:51,985 --> 00:10:54,654 「ごきげんよう」は➡ 110 00:10:54,654 --> 00:10:58,525 さまざまな祈りが込められた 言葉だと思います。 111 00:10:58,525 --> 00:11:01,461 (漆原)祈り? 112 00:11:01,461 --> 00:11:07,467 「どうか お健やかに お幸せに お暮らし下さい」という祈りです。 113 00:11:10,136 --> 00:11:14,607 人生は うまくいく時ばかりでは ありません。 114 00:11:14,607 --> 00:11:18,945 病気になる事もあるし➡ 115 00:11:18,945 --> 00:11:23,816 何をやっても うまくいかない時もあります。 116 00:11:23,816 --> 00:11:29,289 健康な子も 病気の子も 大人たちも➡ 117 00:11:29,289 --> 00:11:31,958 どうか 全ての人たちが➡ 118 00:11:31,958 --> 00:11:35,828 明日も元気に 無事に 放送を聞けますようにという➡ 119 00:11:35,828 --> 00:11:40,633 祈りを込めて 番組を終わらせたいんです。 120 00:11:40,633 --> 00:11:44,971 どうか お願いします。 121 00:11:44,971 --> 00:11:54,981 ♬~ 122 00:11:54,981 --> 00:11:59,852 挨拶の部分ですから 変えても 問題にはならないと思います。 123 00:11:59,852 --> 00:12:03,590 いいえ。 一行一句 変えてはなりません。 124 00:12:03,590 --> 00:12:07,260 まあ いいでしょう。 125 00:12:07,260 --> 00:12:10,597 問題になったら 降りてもらえばいい。 126 00:12:10,597 --> 00:12:12,899 時間だ。 始めよう。 127 00:12:16,469 --> 00:12:21,941 あ… 村岡先生。 128 00:12:21,941 --> 00:12:25,612 もも。 129 00:12:25,612 --> 00:12:29,949 お姉やん これ お義兄さんから。 130 00:12:29,949 --> 00:12:34,621 あ… ありがとう! 131 00:12:34,621 --> 00:12:36,956 じゃあ 私は。 132 00:12:36,956 --> 00:12:41,828 もも。 本当にありがとう。 133 00:12:41,828 --> 00:12:55,141 ♬~ 134 00:12:57,644 --> 00:13:03,650 「コドモの新聞」の時間です。 村岡花子先生です。 135 00:13:07,920 --> 00:13:12,792 全国のお小さい方々 ごきげんよう。 136 00:13:12,792 --> 00:13:17,263 これから 皆様方の新聞のお時間です。 137 00:13:17,263 --> 00:13:21,134 最初のお話です。 138 00:13:21,134 --> 00:13:25,138 「大阪で ヒヒが逃げたお話です。➡ 139 00:13:25,138 --> 00:13:30,810 今朝の6時ごろの事です。 大阪市の ある幼稚園で➡ 140 00:13:30,810 --> 00:13:35,948 飼っていた大きなヒヒ… これは お猿の一種ですが➡ 141 00:13:35,948 --> 00:13:39,819 普通のお猿よりも 犬のように口がとがっています。➡ 142 00:13:39,819 --> 00:13:45,958 そのヒヒが どうしたのか 急に鉄の首輪をちぎって➡ 143 00:13:45,958 --> 00:13:49,962 おりの中から飛び出し さあ 大変」。 144 00:13:51,631 --> 00:13:55,501 今日の新聞のお時間は ここまでです。 145 00:13:55,501 --> 00:13:59,205 それでは 皆さん。 146 00:14:04,577 --> 00:14:09,882 ごきげんよう。 さようなら。 147 00:14:13,920 --> 00:14:16,255 ごきげんよう…。 148 00:14:16,255 --> 00:14:25,965 花子の声が 魔法の言葉のように ももの心にしみこんでいきました。 149 00:14:27,600 --> 00:14:32,605 ごきげんよう。 さようなら。