1 00:00:02,202 --> 00:00:05,105 (蓮子)はなちゃん… 吉太郎さんに 話したのね。 2 00:00:05,105 --> 00:00:07,140 (花子)えっ…。 龍一さんの事➡ 3 00:00:07,140 --> 00:00:12,145 何か話したんでしょう。 はなちゃんの事 信じてたのに! 4 00:00:14,781 --> 00:00:18,285 (浪子)お帰り下さい。 5 00:00:20,587 --> 00:00:23,290 ♬「これから はじまる」 6 00:00:23,290 --> 00:00:26,193 ♬「あなたの 物語」 7 00:00:26,193 --> 00:00:30,964 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 8 00:00:30,964 --> 00:00:35,269 ♬「虹色の雨 降り注げば」 9 00:00:35,269 --> 00:00:40,941 ♬「空は 高鳴る」 10 00:00:40,941 --> 00:00:45,812 ♬「眩しい笑顔の奥に」 11 00:00:45,812 --> 00:00:51,285 ♬「悲しい音がする」 12 00:00:51,285 --> 00:00:56,623 ♬「寄りそって 今があって」 13 00:00:56,623 --> 00:01:04,431 ♬「こんなにも 愛おしい」 14 00:01:04,431 --> 00:01:09,202 ♬「手を繋げば 温かいこと」 15 00:01:09,202 --> 00:01:15,108 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 16 00:01:15,108 --> 00:01:19,846 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 17 00:01:19,846 --> 00:01:24,551 ♬「道は 続くよ」 18 00:01:33,460 --> 00:01:36,597 どうなるのかしら…。 19 00:01:36,597 --> 00:01:41,935 (英治)僕は お義兄さんの忠告に 従った方がいいと思う。 20 00:01:41,935 --> 00:01:47,641 これ以上深入りしたら 君まで巻き込まれるよ。 21 00:02:01,288 --> 00:02:07,094 (有馬) さて続きまして 村岡花子先生の 「コドモの新聞」であります。 22 00:02:09,563 --> 00:02:14,234 日本軍が 瞬く間に広東を占領した事は➡ 23 00:02:14,234 --> 00:02:16,570 先日 お伝えしましたが➡ 24 00:02:16,570 --> 00:02:21,908 今度は 揚子江という大きな川の ずっと奥にある➡ 25 00:02:21,908 --> 00:02:25,779 漢口という古い大きな町を➡ 26 00:02:25,779 --> 00:02:32,252 激しい戦いの末に 敵を打ち破り 占領しました。 27 00:02:32,252 --> 00:02:38,258 「兵隊さんたちは 大変勇ましい お働きだったそうです」。 28 00:02:43,864 --> 00:02:49,803 ただいま。 (富士子)お母様 お帰りなさい。 29 00:02:49,803 --> 00:02:52,506 どした? 30 00:02:54,508 --> 00:02:58,779 やっぱり 龍一には 会わせてもらえなかったのかい? 31 00:02:58,779 --> 00:03:00,714 ええ…。 32 00:03:00,714 --> 00:03:04,217 (浪子)家族にも 会わせてもらえないなんてね。 33 00:03:04,217 --> 00:03:09,890 申し訳ありません。 (純平)お母様が謝る事なんてない。 34 00:03:09,890 --> 00:03:13,760 悪いのは お父様だ。 35 00:03:13,760 --> 00:03:16,229 純平…。 36 00:03:16,229 --> 00:03:22,102 皆さんは 戦地の兵隊さんが 安心して戦え➡ 37 00:03:22,102 --> 00:03:25,906 誉れの凱旋ができますように➡ 38 00:03:25,906 --> 00:03:32,579 おうちのお手伝いをし しっかり お勉強致しましょう。 39 00:03:32,579 --> 00:03:39,286 それでは 皆さん ごきげんよう。 さようなら。 40 00:03:46,126 --> 00:03:52,132 お疲れさまでした。 お疲れさまでした。 41 00:03:54,768 --> 00:04:00,874 あの… 黒沢さん。 (黒沢)はい。 42 00:04:00,874 --> 00:04:03,710 ご相談したい事があります。 43 00:04:03,710 --> 00:04:09,516 私… このまま語り手を 続けていくべきなのかどうか➡ 44 00:04:09,516 --> 00:04:15,222 分からなくなりました。 村岡先生…。 45 00:04:15,222 --> 00:04:19,726 私は 子どもたちが わくわくする ような話がしたくて➡ 46 00:04:19,726 --> 00:04:22,762 この番組をお引き受けしました。 47 00:04:22,762 --> 00:04:27,234 これ以上 戦争のニュースばかり 読み続けるのなら➡ 48 00:04:27,234 --> 00:04:29,169 私ではなく➡ 49 00:04:29,169 --> 00:04:33,907 有馬さんお一人で読まれた方が よろしいんじゃないでしょうか? 50 00:04:33,907 --> 00:04:36,243 子どもたちは➡ 51 00:04:36,243 --> 00:04:40,113 村岡先生の「ごきげんよう」を 待っているんです。 52 00:04:40,113 --> 00:04:44,918 「ごきげんよう」という 先生の挨拶を聞くために➡ 53 00:04:44,918 --> 00:04:48,788 ラジオの前に集まってくるんです。 54 00:04:48,788 --> 00:04:55,929 こういう時だからこそ 僕は 村岡先生の「ごきげんよう」が➡ 55 00:04:55,929 --> 00:05:01,201 子どもたちの心を 明るく照らすのだと思います。 56 00:05:01,201 --> 00:05:03,904 黒沢さん…。 57 00:05:05,539 --> 00:05:11,411 どうか続けて下さい。 お願いします。 58 00:05:11,411 --> 00:05:41,441 ♬~ 59 00:05:41,441 --> 00:05:44,244 (英治)花子さん。 60 00:05:44,244 --> 00:05:48,548 蓮子さんから 電話だ。 蓮様から? 61 00:05:52,586 --> 00:05:56,256 蓮様。 62 00:05:56,256 --> 00:06:00,961 ごきげんよう。 お電話 ありがとう。 63 00:06:04,865 --> 00:06:09,202 はなちゃん… この間は ごめんなさい。 64 00:06:09,202 --> 00:06:11,538 龍一さんが連れていかれて➡ 65 00:06:11,538 --> 00:06:14,875 あの日は すっかり取り乱していて。 66 00:06:14,875 --> 00:06:18,545 はなちゃんが 密告なんかする訳ないのに…。 67 00:06:18,545 --> 00:06:22,215 本当に ごめんなさい。 68 00:06:22,215 --> 00:06:24,551 いいのよ。 69 00:06:24,551 --> 00:06:30,890 私こそ 何にも力になれなくて ごめんなさい…。 70 00:06:30,890 --> 00:06:34,594 あれから 龍一さんは? 71 00:06:36,763 --> 00:06:40,233 差し入れを持って 会いに行ったけれど➡ 72 00:06:40,233 --> 00:06:45,238 会わせてもらえないの。 そう…。 73 00:06:48,108 --> 00:06:53,580 お願い はなちゃん。 吉太郎さんに頼んで➡ 74 00:06:53,580 --> 00:06:57,918 龍一さんが どんな状況か 聞いてほしいの。 75 00:06:57,918 --> 00:07:03,189 できれば これも渡してほしいの。 76 00:07:03,189 --> 00:07:06,860 疑われるような物は 入ってないわ。 77 00:07:06,860 --> 00:07:11,731 着替えと 彼の好きなランボーの詩集よ。 78 00:07:11,731 --> 00:07:16,870 それから 私と富士子からの手紙。 79 00:07:16,870 --> 00:07:19,773 手紙は 全て読まれてしまうわ。 80 00:07:19,773 --> 00:07:26,780 蓮様の事だから きっと熱烈な恋文なんでしょう? 81 00:07:31,418 --> 00:07:35,555 分かったわ。 兄やんに頼んでみる。 82 00:07:35,555 --> 00:07:38,858 ありがとう。 83 00:07:42,228 --> 00:07:47,100 こんなに思ってくれる 奥様がいるのに…。 84 00:07:47,100 --> 00:07:50,103 (小声で)どうして 龍一さん➡ 85 00:07:50,103 --> 00:07:54,407 そんな危険な活動に 加わってしまったのかしら? 86 00:07:57,243 --> 00:08:05,518 でも 龍一さんは 間違った事はしていないわ。 87 00:08:05,518 --> 00:08:11,191 あの人は 誰よりも 子どもたちの 将来の事を考えているわ。 88 00:08:11,191 --> 00:08:15,528 だから 今の国策に我慢できないのよ。 89 00:08:15,528 --> 00:08:19,866 はなちゃんも この間 ラジオで言ってたわよね。 90 00:08:19,866 --> 00:08:24,738 「戦地の兵隊さんが 誉れの凱旋ができるよう➡ 91 00:08:24,738 --> 00:08:28,875 おうちのお手伝いをして➡ 92 00:08:28,875 --> 00:08:33,213 しっかり お勉強致しましょう」って。 93 00:08:33,213 --> 00:08:38,084 まるで 「みんな 頑張って 強い兵隊になれ」と➡ 94 00:08:38,084 --> 00:08:42,555 言っているように聞こえたわ。 あのニュース原稿は…。 95 00:08:42,555 --> 00:08:47,560 はなちゃんも… 誰かに 読まされているんでしょう? 96 00:08:49,896 --> 00:08:55,235 そうやって 戦争をしたくて たまらない人たちが➡ 97 00:08:55,235 --> 00:08:58,571 国民を扇動しているのよ。 蓮様 声が…。 98 00:08:58,571 --> 00:09:04,377 私は 戦地へやるために 純平を 産んで育ててきたんじゃないわ。 99 00:09:04,377 --> 00:09:08,081 ごちそうさん。 (かよ)ありがとうございました。 100 00:09:17,524 --> 00:09:22,195 はい。 おいしいコーヒーを入れましたよ。 101 00:09:22,195 --> 00:09:25,865 お姉やんには サイダー。 ありがとう。 102 00:09:25,865 --> 00:09:32,205 お客さん 帰っちゃったわね。 ごめんなさい かよさん…。 103 00:09:32,205 --> 00:09:36,543 いいえ どうぞ ごゆっくり。 誰もいなくなったから➡ 104 00:09:36,543 --> 00:09:40,246 大きな声で話しても 大丈夫ですよ。 105 00:09:49,122 --> 00:09:51,825 蓮様。 106 00:09:56,229 --> 00:09:59,566 さっきのような考えを 口にするのは➡ 107 00:09:59,566 --> 00:10:03,903 今は 慎んだ方がいいと思うわ。 108 00:10:03,903 --> 00:10:07,907 蓮様まで捕まったら どうするの? 109 00:10:10,777 --> 00:10:17,250 はなちゃんは 本当は どう思っているの? 110 00:10:17,250 --> 00:10:19,586 えっ…。 111 00:10:19,586 --> 00:10:21,921 ラジオのマイクの前で➡ 112 00:10:21,921 --> 00:10:26,593 日本軍が どこを攻撃したとか 占領したとか➡ 113 00:10:26,593 --> 00:10:30,263 そんなニュースばかり読んで…。 114 00:10:30,263 --> 00:10:34,934 ああいうニュースを 毎日毎日聞かされたら➡ 115 00:10:34,934 --> 00:10:38,271 純粋な子どもたちは たちまち感化されてしまうわ。 116 00:10:38,271 --> 00:10:42,942 お国のために命をささげるのが 立派だと思ってしまう。 117 00:10:42,942 --> 00:10:46,813 私だって 戦争のニュースばかり 伝えたくないわ。 118 00:10:46,813 --> 00:10:50,817 でも… こういう時だからこそ➡ 119 00:10:50,817 --> 00:10:55,522 子どもたちの心を 少しでも明るくしたいの。 120 00:10:55,522 --> 00:10:58,491 私の「ごきげんよう」の挨拶を 待ってくれる➡ 121 00:10:58,491 --> 00:11:02,896 子どもたちがいる限り 私は 語り手を続けるわ。 122 00:11:02,896 --> 00:11:06,566 そんなのは 偽善よ。 123 00:11:06,566 --> 00:11:09,469 優しい言葉で語りかけて➡ 124 00:11:09,469 --> 00:11:13,439 子どもたちを 恐ろしいところへ 導いているかもしれないのよ。 125 00:11:13,439 --> 00:11:15,909 そんな…。 126 00:11:15,909 --> 00:11:18,811 私一人が抵抗したところで➡ 127 00:11:18,811 --> 00:11:23,116 世の中の流れを止める事なんか できないわ。 128 00:11:26,252 --> 00:11:30,123 大きな波が迫ってきているの。 129 00:11:30,123 --> 00:11:34,594 その波に のまれるか 乗り越えられるかは➡ 130 00:11:34,594 --> 00:11:36,930 誰も分からない。 131 00:11:36,930 --> 00:11:42,602 私たちの想像をはるかに超えた 大きい波なんですもの。 132 00:11:42,602 --> 00:11:45,939 私も すごく恐ろしい…。 133 00:11:45,939 --> 00:11:50,610 でも… その波に逆らったら➡ 134 00:11:50,610 --> 00:11:54,480 今の暮らしも 何もかも失ってしまう。 135 00:11:54,480 --> 00:11:58,785 大切な家族さえ守れなくなるのよ。 136 00:12:02,555 --> 00:12:07,226 やっぱり もう うちの家族とは 関わらない方がいいわ。 137 00:12:07,226 --> 00:12:12,565 こんな事頼んだ私が間違ってた。 忘れてちょうだい。 138 00:12:12,565 --> 00:12:15,902 お勘定。 (かよ)蓮子さん。 139 00:12:15,902 --> 00:12:19,572 待って。 140 00:12:19,572 --> 00:12:23,910 私は 蓮様が心配なの。 141 00:12:23,910 --> 00:12:27,614 まっすぐで 危なっかしくて…。 142 00:12:29,249 --> 00:12:34,554 はなちゃん… 心配ご無用よ。 143 00:12:40,260 --> 00:12:43,930 私を誰だと思っているの? 144 00:12:43,930 --> 00:12:53,239 華族の身分も 何もかも捨てて 駆け落ちした宮本蓮子よ。 145 00:12:54,941 --> 00:12:59,612 私は 時代の波に平伏したりしない。 146 00:12:59,612 --> 00:13:01,881 世の中が どこへ向かおうと➡ 147 00:13:01,881 --> 00:13:05,885 言いたい事を言う。 書きたい事を書くわ。 148 00:13:13,893 --> 00:13:20,600 あなたのように ひきょうな生き方はしたくないの。 149 00:13:26,239 --> 00:13:28,941 そう…。 150 00:13:30,910 --> 00:13:33,913 分かったわ。 151 00:13:40,920 --> 00:13:47,927 私たち… 生きる道が違ってしまったわね。 152 00:13:50,596 --> 00:13:54,901 これまでの友情には感謝します。 153 00:13:59,605 --> 00:14:02,308 ええ。 154 00:14:07,880 --> 00:14:10,583 さようなら。 155 00:14:12,218 --> 00:14:15,221 お元気で。 156 00:14:17,090 --> 00:14:39,445 ♬~ 157 00:14:39,445 --> 00:14:46,753 2人の道は もう交わる事はないのでしょうか。 158 00:14:48,921 --> 00:14:53,626 ごきげんよう。 さようなら。