1 00:00:03,170 --> 00:00:06,940 昭和19年11月24日➡ 2 00:00:06,940 --> 00:00:11,278 武蔵野の軍需工場と その付近が 攻撃され➡ 3 00:00:11,278 --> 00:00:17,584 品川 荏原 杉並にも 爆弾が落とされました。 4 00:00:22,289 --> 00:00:25,292 (もも)お姉やん。 5 00:00:32,299 --> 00:00:35,636 ついに 東京が戦場となり➡ 6 00:00:35,636 --> 00:00:42,976 命を奪われる危険を 人々は 身をもって知ったのです。 7 00:00:42,976 --> 00:00:45,646 ♬「これから はじまる」 8 00:00:45,646 --> 00:00:48,548 ♬「あなたの 物語」 9 00:00:48,548 --> 00:00:52,986 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 10 00:00:52,986 --> 00:00:57,658 ♬「虹色の雨 降り注げば」 11 00:00:57,658 --> 00:01:03,263 ♬「空は 高鳴る」 12 00:01:03,263 --> 00:01:08,602 ♬「眩しい笑顔の奥に」 13 00:01:08,602 --> 00:01:13,473 ♬「悲しい音がする」 14 00:01:13,473 --> 00:01:19,246 ♬「寄りそって 今があって」 15 00:01:19,246 --> 00:01:26,620 ♬「こんなにも 愛おしい」 16 00:01:26,620 --> 00:01:31,491 ♬「手を繋げば 温かいこと」 17 00:01:31,491 --> 00:01:37,631 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 18 00:01:37,631 --> 00:01:41,969 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 19 00:01:41,969 --> 00:01:46,974 ♬「道は 続くよ」 20 00:01:55,983 --> 00:02:01,688 被害はないか!? けが人はいないか!? 21 00:02:04,791 --> 00:02:07,094 (英治)花子さん! (旭)お~い! 22 00:02:09,262 --> 00:02:13,133 よかった 2人とも無事で! (花子)お帰りなさい。 23 00:02:13,133 --> 00:02:18,271 花子さん 寝てなきゃ駄目だろ。 だって 心配だったから。 24 00:02:18,271 --> 00:02:21,174 ご覧のとおり 僕らは無事です。 25 00:02:21,174 --> 00:02:23,610 かよさんのお店も見てきたけど 大丈夫だったよ。 26 00:02:23,610 --> 00:02:25,612 そう…。 27 00:02:34,955 --> 00:02:37,958 (ふすまが開く音) 28 00:02:41,628 --> 00:02:43,930 はい。 29 00:02:47,300 --> 00:02:49,302 どうしたの? 30 00:02:52,172 --> 00:02:56,643 ねえ 英治さん。 31 00:02:56,643 --> 00:03:03,350 もし 明日 死んでしまうとしたら 英治さんは 何をする? 32 00:03:05,252 --> 00:03:08,588 どうしたんだよ 急に。 33 00:03:08,588 --> 00:03:12,926 今日 防空壕の中で➡ 34 00:03:12,926 --> 00:03:17,230 爆弾が落ちる音を聞いていて 思ったの。 35 00:03:18,799 --> 00:03:22,269 明日も生きているとは 限らない。 36 00:03:22,269 --> 00:03:28,608 今日が最後の日に なるかもしれないって。 37 00:03:28,608 --> 00:03:31,511 そうだな。 38 00:03:31,511 --> 00:03:36,283 今日が人生最後の日だとしたら➡ 39 00:03:36,283 --> 00:03:41,154 僕は 花子さんが翻訳した本を 読みたいな。 40 00:03:41,154 --> 00:03:44,624 明日 死んでしまうかもしれないのに? 41 00:03:44,624 --> 00:03:46,560 うん。 42 00:03:46,560 --> 00:03:51,865 ほかには 何にもしないで 一日中読んでいたい。 43 00:03:54,634 --> 00:03:57,537 英治さん…。 44 00:03:57,537 --> 00:04:00,440 君は? 45 00:04:00,440 --> 00:04:04,911 私は…。 46 00:04:04,911 --> 00:04:19,926 ♬~ 47 00:04:23,597 --> 00:04:42,616 ♬~ 48 00:04:42,616 --> 00:04:46,486 平和になる時を 待っているのではなく➡ 49 00:04:46,486 --> 00:04:51,491 今 これが私のすべき事なのだ。 50 00:04:53,260 --> 00:04:55,962 その思いに突き動かされ➡ 51 00:04:55,962 --> 00:05:02,269 花子は 久しぶりの翻訳に 胸を高鳴らせていました。 52 00:05:09,509 --> 00:05:16,817 「女の子は みすぼらしい古ぼけた 手提げカバンを片手に持って…」。 53 00:05:18,585 --> 00:05:22,255 「緑の…」。 54 00:05:22,255 --> 00:05:25,158 「『もう 迎えに 来て下さらないのじゃないかと➡ 55 00:05:25,158 --> 00:05:28,128 心配になってきたもんで…』」。 56 00:05:28,128 --> 00:05:34,434 ☎ 57 00:05:36,269 --> 00:05:38,605 もしもし。 ☎(ふじ)はなけ。 58 00:05:38,605 --> 00:05:40,941 あっ おかあ。 どうしたの? 59 00:05:40,941 --> 00:05:44,277 美里ちゃんがいなくなっただよ。 60 00:05:44,277 --> 00:05:46,980 てっ… 美里が!? 61 00:05:58,825 --> 00:06:01,228 (英治)花子さん! 英治さん…。 62 00:06:01,228 --> 00:06:03,563 美里がいなくなったって…。 63 00:06:03,563 --> 00:06:06,233 ええ。 一人で 甲府の家を出たみたいで…。 64 00:06:06,233 --> 00:06:09,903 花子さん 落ち着いて。 65 00:06:09,903 --> 00:06:12,239 美里ちゃん! 66 00:06:12,239 --> 00:06:14,574 (美里)お父様! お母様! 67 00:06:14,574 --> 00:06:17,244 美里! よかった。 (英治)美里。 68 00:06:17,244 --> 00:06:19,246 ただいま帰りました! 69 00:06:21,915 --> 00:06:25,585 お母様が どれほど心配したと 思ってるの! 70 00:06:25,585 --> 00:06:28,255 もも…。 71 00:06:28,255 --> 00:06:31,558 ごめんなさい…。 72 00:06:37,597 --> 00:06:42,469 どうして 黙って 勝手に帰ってきたりしたんだ? 73 00:06:42,469 --> 00:06:47,607 お母様がご病気だって聞いて ずっと心配だったの。 74 00:06:47,607 --> 00:06:51,478 それに 東京に爆弾が落とされたって➡ 75 00:06:51,478 --> 00:06:53,480 みんなが話してるの聞いて➡ 76 00:06:53,480 --> 00:06:58,952 私 じっとしていられないほど 心配になって…。 77 00:06:58,952 --> 00:07:01,554 ごめんなさい。 78 00:07:01,554 --> 00:07:03,890 美里…。 79 00:07:03,890 --> 00:07:08,561 東京は 次 また いつ空襲があるか 分からないんだぞ。 80 00:07:08,561 --> 00:07:10,497 それでもいいわ! 81 00:07:10,497 --> 00:07:14,234 私 どうしても お母様のそばにいたいの! 82 00:07:14,234 --> 00:07:16,569 (英治)美里…。 83 00:07:16,569 --> 00:07:20,440 私 お父様やお母様と 離れたくない! 84 00:07:20,440 --> 00:07:23,143 お願いします! 85 00:07:27,580 --> 00:07:31,251 美里。 86 00:07:31,251 --> 00:07:36,122 お母様からも 大切なお話があります。 87 00:07:36,122 --> 00:07:38,825 大切な話? 88 00:07:40,593 --> 00:07:44,931 さっき もも叔母様が 美里をたたいたのは➡ 89 00:07:44,931 --> 00:07:50,236 美里の事 心から心配していたからよ。 90 00:07:53,273 --> 00:07:56,576 あのね 美里…。 91 00:08:00,880 --> 00:08:06,553 もも叔母様は 美里の本当のお母様なの。 92 00:08:06,553 --> 00:08:08,888 えっ? 93 00:08:08,888 --> 00:08:16,896 美里の本当のお母様とお父様は もも叔母様と旭叔父様なの。 94 00:08:22,235 --> 00:08:25,538 本当の事だよ。 95 00:08:29,109 --> 00:08:33,246 突然 こんな話して ごめんなさい。 96 00:08:33,246 --> 00:08:36,583 本当は 美里が もっと大人になってから➡ 97 00:08:36,583 --> 00:08:39,252 話そうと思っていたわ。 98 00:08:39,252 --> 00:08:44,257 でも それでは いけないと 思い直したの。 99 00:08:45,925 --> 00:08:50,597 戦争は 今より もっとひどくなるかもしれない。 100 00:08:50,597 --> 00:08:55,935 空襲で いつ 命を落とすかも分からない。 101 00:08:55,935 --> 00:09:04,244 だから 今のうちに 美里に きちんと話をしようと思ったの。 102 00:09:12,218 --> 00:09:15,889 美里。 103 00:09:15,889 --> 00:09:19,192 よく聞いて。 104 00:09:23,229 --> 00:09:28,568 お父様もお母様も➡ 105 00:09:28,568 --> 00:09:33,273 美里を 本当の子どもだと思っているわ。 106 00:09:35,442 --> 00:09:39,145 美里を心から愛してる。 107 00:09:40,914 --> 00:09:43,583 (英治)美里。 108 00:09:43,583 --> 00:09:48,922 これからも 僕らは家族だ。 109 00:09:48,922 --> 00:10:00,266 ♬~ 110 00:10:00,266 --> 00:10:03,169 美里。 111 00:10:03,169 --> 00:10:25,492 ♬~ 112 00:10:25,492 --> 00:10:30,964 (戸が開く音) ⚟ごめんください。 113 00:10:30,964 --> 00:10:33,666 はい。 114 00:10:40,974 --> 00:10:46,312 かよ姉やん どうしたの? かよ…。 115 00:10:46,312 --> 00:10:48,982 (雪乃)村岡花子さんですね。 116 00:10:48,982 --> 00:10:51,317 はい。 117 00:10:51,317 --> 00:10:53,653 (かよ)お姉やんに 聞きたい事があって来たの。 118 00:10:53,653 --> 00:10:56,556 村岡さんは 英語の仕事をしていて➡ 119 00:10:56,556 --> 00:10:59,526 敵国にも たくさん お友達がいると伺いまして。 120 00:10:59,526 --> 00:11:04,597 お姉やん… 隠れて変な事してないよね? 121 00:11:04,597 --> 00:11:06,533 え… ええ。 122 00:11:06,533 --> 00:11:11,471 外国の友人たちは みんな帰国して もう連絡も取っていませんから。 123 00:11:11,471 --> 00:11:14,941 それなら 皆さんに納得してもらうために➡ 124 00:11:14,941 --> 00:11:16,876 見てもらってもいいよね。 125 00:11:16,876 --> 00:11:18,811 拝見させて頂きます。 126 00:11:18,811 --> 00:11:21,281 あ… ちょっと…。 127 00:11:21,281 --> 00:11:50,643 ♬~ 128 00:11:50,643 --> 00:11:53,947 ここがお仕事部屋ですね。 129 00:11:55,982 --> 00:11:58,318 村岡さん…。 130 00:11:58,318 --> 00:12:03,022 敵性語の本を まだ こんなに たくさん お持ちだったんですね。 131 00:12:04,591 --> 00:12:10,263 お姉やんが英語の本を処分すれば みんな納得してくれると思う。 132 00:12:10,263 --> 00:12:12,198 そんな…。 133 00:12:12,198 --> 00:12:15,602 ⚟(吉太郎)はな! 上がるぞ! 134 00:12:15,602 --> 00:12:18,504 あっ 兄やん 大変なの! かよ姉やんが 今➡ 135 00:12:18,504 --> 00:12:21,474 婦人会の人たち連れてきて…。 それ聞いて来たんだ。 136 00:12:21,474 --> 00:12:24,277 敵性語の本を持ってるなんて 国賊です。 137 00:12:24,277 --> 00:12:26,212 全くです。 138 00:12:26,212 --> 00:12:29,148 空から爆弾を落として 子どもだろうが 年寄りだろうが➡ 139 00:12:29,148 --> 00:12:32,952 誰かれ構わず殺すような 鬼畜米英の本ですよ。 140 00:12:32,952 --> 00:12:35,855 そんなものを まだ大切に持ってるなんて…。 141 00:12:35,855 --> 00:12:37,824 この非国民。 142 00:12:37,824 --> 00:12:40,627 だから こんな本は 早く捨てろと言っただろう! 143 00:12:40,627 --> 00:12:43,296 兄やん…。 144 00:12:43,296 --> 00:12:46,199 今すぐ 敵性語の本を焼かせましょう。➡ 145 00:12:46,199 --> 00:12:49,636 ここにある本は 自分が全部焼いて処分します。 146 00:12:49,636 --> 00:12:52,338 いいな? はな。 147 00:12:55,308 --> 00:12:58,978 兄やん… 待って。 お願い… 兄やん やめて! 148 00:12:58,978 --> 00:13:00,913 離せ。 兄やん やめて! 149 00:13:00,913 --> 00:13:02,849 離せ! やめて! 150 00:13:02,849 --> 00:13:06,252 駄目! (吉太郎)はな! 151 00:13:06,252 --> 00:13:09,555 兄やん 待って! 152 00:13:15,261 --> 00:13:17,597 兄やん? 153 00:13:17,597 --> 00:13:20,933 また ああいう連中が来る。 154 00:13:20,933 --> 00:13:23,836 密告者も多い。 155 00:13:23,836 --> 00:13:30,610 こういうものを持っていたら スパイだと疑われるという事だ。 156 00:13:30,610 --> 00:13:33,313 そんなに本が大事か? 157 00:13:36,282 --> 00:13:42,989 今の私には 命よりも大切なもの。 158 00:13:46,926 --> 00:13:49,829 理解できん。 159 00:13:49,829 --> 00:13:52,832 俺は もう守ってやれん。 160 00:14:02,909 --> 00:14:05,211 お姉やん…。 161 00:14:12,919 --> 00:14:16,789 この原書と辞書だけは 手元に残し➡ 162 00:14:16,789 --> 00:14:21,794 花子は 祈るような気持ちで 翻訳を続けました。 163 00:14:23,563 --> 00:14:29,268 学徒出陣で陸軍に入り 訓練を受けていた純平が➡ 164 00:14:29,268 --> 00:14:31,604 1年ぶりに帰ってきました。 165 00:14:31,604 --> 00:14:35,608 (純平)ただいま帰りました! 166 00:14:39,479 --> 00:14:42,949 (蓮子)まあ… 純平! 167 00:14:42,949 --> 00:14:45,852 お帰りなさい! 168 00:14:45,852 --> 00:14:49,288 特別休暇がもらえましたので。 169 00:14:49,288 --> 00:14:54,594 ごきげんよう。 さようなら。