1 00:00:02,202 --> 00:00:05,138 空襲が激しくなる中➡ 2 00:00:05,138 --> 00:00:08,942 花子は 家中の原稿用紙をかき集め➡ 3 00:00:08,942 --> 00:00:14,948 「ANNE of GREEN GABLES」の翻訳に 取りかかりました。 4 00:00:16,617 --> 00:00:23,490 そして 学徒出陣で陸軍に入り 訓練を受けていた純平が➡ 5 00:00:23,490 --> 00:00:27,261 1年ぶりに 蓮子のもとに帰ってきました。 6 00:00:27,261 --> 00:00:29,196 (蓮子)お帰りなさい! 7 00:00:29,196 --> 00:00:32,499 (純平) 特別休暇がもらえましたので。 8 00:00:34,167 --> 00:00:36,637 ♬「これから はじまる」 9 00:00:36,637 --> 00:00:39,539 ♬「あなたの 物語」 10 00:00:39,539 --> 00:00:44,311 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 11 00:00:44,311 --> 00:00:48,982 ♬「虹色の雨 降り注げば」 12 00:00:48,982 --> 00:00:54,321 ♬「空は 高鳴る」 13 00:00:54,321 --> 00:00:59,660 ♬「眩しい笑顔の奥に」 14 00:00:59,660 --> 00:01:04,932 ♬「悲しい音がする」 15 00:01:04,932 --> 00:01:10,270 ♬「寄りそって 今があって」 16 00:01:10,270 --> 00:01:17,945 ♬「こんなにも 愛おしい」 17 00:01:17,945 --> 00:01:22,616 ♬「手を繋げば 温かいこと」 18 00:01:22,616 --> 00:01:28,488 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 19 00:01:28,488 --> 00:01:32,960 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 20 00:01:32,960 --> 00:01:37,965 ♬「道は 続くよ」 21 00:01:47,307 --> 00:01:52,012 おばあ様 ただいま帰りました。 22 00:01:53,981 --> 00:01:57,651 この辺りは 空襲で燃えなかったんですね。 23 00:01:57,651 --> 00:02:02,255 東京で空襲が始まってから 心配していました。 24 00:02:02,255 --> 00:02:04,925 今 どこにいるの? 25 00:02:04,925 --> 00:02:11,264 すいません…。 軍機だから お母様にも言えません。 26 00:02:11,264 --> 00:02:16,603 そう…。 いつまでいられるの? 27 00:02:16,603 --> 00:02:19,272 明日の午後 たちます。 28 00:02:19,272 --> 00:02:22,175 じゃあ 今夜は 泊まれるのね? 29 00:02:22,175 --> 00:02:24,945 よろしいですか? 30 00:02:24,945 --> 00:02:30,951 当たり前じゃないの。 ここは あなたのおうちですよ。 31 00:02:33,286 --> 00:02:37,958 父上は あれから 連絡はありませんか? 32 00:02:37,958 --> 00:02:40,861 ええ…。 33 00:02:40,861 --> 00:02:43,864 そうですか…。 34 00:02:48,301 --> 00:02:53,173 ねえ お夕食は 何がいいかしら? 35 00:02:53,173 --> 00:02:55,976 手に入るものは 限られているけれど…。 36 00:02:55,976 --> 00:03:00,580 お母様の作るものであれば 何でも。 37 00:03:00,580 --> 00:03:06,920 まあ。 そんなお世辞まで 言えるようになったのね。 38 00:03:06,920 --> 00:03:18,265 ♬~ 39 00:03:18,265 --> 00:03:20,967 (かよ)蓮子さん! 40 00:03:22,936 --> 00:03:26,606 ごきげんよう。 ご無沙汰しております。 41 00:03:26,606 --> 00:03:29,943 こちらこそ。 あっ どうぞ。 42 00:03:29,943 --> 00:03:33,647 本当にお久しぶりです。 43 00:03:38,952 --> 00:03:42,289 今日は お願いがあって参りました。 44 00:03:42,289 --> 00:03:44,624 はい。 45 00:03:44,624 --> 00:03:50,330 入営している純平が つい先ほど 休暇で帰ってまいりましたの。 46 00:03:52,499 --> 00:03:55,268 お恥ずかしい話ですが➡ 47 00:03:55,268 --> 00:04:01,274 今晩 食べさせてやるものが 何もなくて困っているんです。 48 00:04:02,909 --> 00:04:08,915 分かりました。 そういう事なら。 ちょっと待ってて下さいね。 49 00:04:17,257 --> 00:04:19,593 (花子)純平君? 50 00:04:19,593 --> 00:04:22,896 大変 ご無沙汰しております。 51 00:04:24,931 --> 00:04:30,604 お母様 お変わりない? おかげさまで。 52 00:04:30,604 --> 00:04:37,944 実は… お母様と しばらくお会いしていないの。 53 00:04:37,944 --> 00:04:41,815 やはり そうでしたか。 えっ? 54 00:04:41,815 --> 00:04:48,588 母は 以前 花子おば様の事を よく 僕たちに話していました。 55 00:04:48,588 --> 00:04:52,292 本当に楽しそうに。 56 00:04:52,292 --> 00:04:58,632 でも… ある時から パタリと何も言わなくなりました。 57 00:04:58,632 --> 00:05:04,437 ごめんなさい…。 私たち 衝突してしまったの。 58 00:05:04,437 --> 00:05:07,240 お互い譲れない事があって…。 59 00:05:07,240 --> 00:05:12,112 みんな 離れていきます。 60 00:05:12,112 --> 00:05:17,884 うちは 父も母も変わってますから。 61 00:05:17,884 --> 00:05:19,820 そんな…。 62 00:05:19,820 --> 00:05:23,256 母の事が心配です。 63 00:05:23,256 --> 00:05:25,592 花子おば様。 64 00:05:25,592 --> 00:05:30,597 何かあった時は 母を助けてやって下さい! 65 00:05:33,934 --> 00:05:37,270 お願いします! 66 00:05:37,270 --> 00:05:40,974 純平君…。 67 00:05:44,945 --> 00:05:51,251 どうしても それだけを 花子おば様にお願いしたくて。 68 00:05:54,621 --> 00:05:57,958 お邪魔しました! 69 00:05:57,958 --> 00:06:01,962 ま… 待って! 純平君。 70 00:06:08,902 --> 00:06:14,207 これ 今夜 皆さんで召し上がって。 71 00:06:16,576 --> 00:06:20,280 お母様もお好きなブドウ酒よ。 72 00:06:21,915 --> 00:06:25,585 いいんですか? こんなに貴重なもの…。 73 00:06:25,585 --> 00:06:27,921 味は 保証できないの。 74 00:06:27,921 --> 00:06:31,625 甲府の実家の父が造った ブドウ酒だから。 75 00:06:34,594 --> 00:06:38,298 遠慮なく頂きます。 76 00:06:39,933 --> 00:06:44,237 純平君。 はい。 77 00:06:46,273 --> 00:06:51,611 うちの歩も生きていたら あなたと同じように➡ 78 00:06:51,611 --> 00:06:55,315 今頃 兵隊さんになって 出征していたはず。 79 00:06:56,950 --> 00:07:01,788 あなたを送り出す 蓮子さんの気持ちを思うと➡ 80 00:07:01,788 --> 00:07:04,090 たまらないの。 81 00:07:07,560 --> 00:07:14,267 お母様のために 必ず帰ってきなさい。 82 00:07:16,569 --> 00:07:24,277 母の事 どうか どうか よろしくお願いします! 83 00:07:27,914 --> 00:07:30,617 純平君…。 84 00:07:32,585 --> 00:07:35,488 (純平)どうしたんですか? こんな ごちそう! 85 00:07:35,488 --> 00:07:40,460 まるで おとぎの国から魔法使いが やって来たみたいでしょう? 86 00:07:40,460 --> 00:07:46,599 (富士子)ただいま帰りました。 お帰りなさい。 87 00:07:46,599 --> 00:07:48,935 お帰り 富士子。 88 00:07:48,935 --> 00:07:52,605 お兄様! どうしたの? 89 00:07:52,605 --> 00:07:55,508 何でもない。 ただの休暇だ。 90 00:07:55,508 --> 00:07:58,945 まあ すごいごちそう! 91 00:07:58,945 --> 00:08:01,548 さあ ごはんにしましょう。 92 00:08:01,548 --> 00:08:06,886 お鍋なんて何年ぶりかしら。 もっと よく見たいわ。 93 00:08:06,886 --> 00:08:09,589 (純平)ああ 富士子。 94 00:08:16,896 --> 00:08:18,832 これは? 95 00:08:18,832 --> 00:08:22,235 ああ… 大学の友人から もらってきたんだ。 96 00:08:22,235 --> 00:08:26,106 今どき 珍しいだろ? ブドウ酒なんて。➡ 97 00:08:26,106 --> 00:08:29,809 さあ 頂こう! 98 00:08:33,847 --> 00:08:38,251 お母様は もう飲まないんですか? 99 00:08:38,251 --> 00:08:42,922 何だか 今日は 胸がいっぱいで…。 純平 召し上がれ。 100 00:08:42,922 --> 00:08:45,925 はい。 101 00:08:51,598 --> 00:08:56,603 ああ… うまい。 102 00:08:59,472 --> 00:09:05,178 そのブドウ酒は 甲府のではないかしら? 103 00:09:09,549 --> 00:09:12,252 そうなのね。 104 00:09:13,887 --> 00:09:19,759 実は 今日 花子おば様に会ってきました。 105 00:09:19,759 --> 00:09:23,897 そう…。 106 00:09:23,897 --> 00:09:28,568 はなちゃん 元気だった? 107 00:09:28,568 --> 00:09:36,276 はい。 お母様の事を お願いしてきました。 108 00:09:39,579 --> 00:09:43,249 花子おば様に言われました。 109 00:09:43,249 --> 00:09:49,556 「お母様のためにも 無事に帰ってきなさい」と。 110 00:09:51,591 --> 00:09:54,260 でも 僕は➡ 111 00:09:54,260 --> 00:09:59,599 お母様や富士子のために 戦って死ぬなら➡ 112 00:09:59,599 --> 00:10:02,602 悔いはありません。 113 00:10:05,939 --> 00:10:09,275 純平。 114 00:10:09,275 --> 00:10:14,280 親より先に死ぬくらい 親不孝な事は ないのよ。 115 00:10:15,949 --> 00:10:21,254 お母様 そんな事 言わないで下さい。 116 00:10:23,823 --> 00:10:30,497 どうか 明日は笑顔で 送り出して下さい。 117 00:10:30,497 --> 00:10:41,641 ♬~ 118 00:10:41,641 --> 00:10:46,946 お母様 行ってまいります。 119 00:10:51,651 --> 00:10:54,988 お元気で。 120 00:10:54,988 --> 00:11:08,935 ♬~ 121 00:11:08,935 --> 00:11:11,938 純平! 122 00:11:21,514 --> 00:11:27,820 武運長久を祈っています。 123 00:11:34,961 --> 00:11:38,298 はい! 124 00:11:38,298 --> 00:11:53,313 ♬~ 125 00:11:53,313 --> 00:12:03,590 ♬~ 126 00:12:03,590 --> 00:12:10,263  心の声  「曲がり角を曲がった先に 何があるのかは分からないの。➡ 127 00:12:10,263 --> 00:12:13,600 でも それは きっと…」。 128 00:12:13,600 --> 00:12:15,535 (空襲警報) 129 00:12:15,535 --> 00:12:21,474  心の声  「きっと 一番よいものに 違いないと思うの」。 130 00:12:21,474 --> 00:12:23,610 (空襲警報) 131 00:12:23,610 --> 00:12:27,313 美里! 美里! 132 00:12:29,949 --> 00:12:32,619 (有馬)「東部軍管区司令部発表。➡ 133 00:12:32,619 --> 00:12:36,289 22時15分現在 敵機の第1目標は➡ 134 00:12:36,289 --> 00:12:40,627 相模湾より逐次 帝都南西部地区に 侵入するもようであります。➡ 135 00:12:40,627 --> 00:12:42,562 繰り返します」。 136 00:12:42,562 --> 00:12:46,299 (美里)お父様は!? 夜勤で遅くなるの。 137 00:12:46,299 --> 00:13:06,252 (空襲警報と飛行機のエンジン音) 138 00:13:06,252 --> 00:13:08,921 ありがとう。 139 00:13:08,921 --> 00:13:12,225 (爆撃音) 140 00:13:14,594 --> 00:13:18,931 お母様。 美里… 大丈夫? 141 00:13:18,931 --> 00:13:21,601 逃げましょう。 142 00:13:21,601 --> 00:13:50,630 ♬~ 143 00:13:50,630 --> 00:13:53,299 美里! 逃げましょう! 144 00:13:53,299 --> 00:13:55,968 (爆撃音) 145 00:13:55,968 --> 00:13:59,272 (悲鳴) 146 00:14:05,578 --> 00:14:07,914 大丈夫よ。 147 00:14:07,914 --> 00:14:12,785 (飛行機のエンジン音) 148 00:14:12,785 --> 00:14:17,256 焼夷弾が雨のように降る町を 逃げながら➡ 149 00:14:17,256 --> 00:14:20,593 花子は 祈りました。 150 00:14:20,593 --> 00:14:25,932 生きた証しとして この本だけは 訳したい。 151 00:14:25,932 --> 00:14:30,603 花子の祈りは 届くのでしょうか。 152 00:14:30,603 --> 00:14:35,308 ごきげんよう。 さようなら。