1 00:00:02,202 --> 00:00:04,938 (花子)もしもし 黒沢さん? 2 00:00:04,938 --> 00:00:06,874 村岡です。 3 00:00:06,874 --> 00:00:10,611 ああ… あの~…➡ 4 00:00:10,611 --> 00:00:16,283 ラジオ出演のお話 是非 受けさせて下さい。 5 00:00:16,283 --> 00:00:18,218 はい。 6 00:00:18,218 --> 00:00:20,621 ♬「これから はじまる」 7 00:00:20,621 --> 00:00:23,523 ♬「あなたの 物語」 8 00:00:23,523 --> 00:00:28,295 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 9 00:00:28,295 --> 00:00:32,966 ♬「虹色の雨 降り注げば」 10 00:00:32,966 --> 00:00:38,305 ♬「空は 高鳴る」 11 00:00:38,305 --> 00:00:43,644 ♬「眩しい笑顔の奥に」 12 00:00:43,644 --> 00:00:48,515 ♬「悲しい音がする」 13 00:00:48,515 --> 00:00:53,987 ♬「寄りそって 今があって」 14 00:00:53,987 --> 00:01:01,795 ♬「こんなにも 愛おしい」 15 00:01:01,795 --> 00:01:06,567 ♬「手を繋げば 温かいこと」 16 00:01:06,567 --> 00:01:12,472 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 17 00:01:12,472 --> 00:01:17,210 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 18 00:01:17,210 --> 00:01:21,915 ♬「道は 続くよ」 19 00:01:33,627 --> 00:01:36,630 (ふじ)お帰り。 20 00:01:38,298 --> 00:01:41,602 ずっと待ってるだよ。 21 00:01:47,307 --> 00:01:49,609 (吉太郎)醍醐さん? 22 00:01:54,181 --> 00:02:01,822 (吉平)おお あんたは はなの女学校からの友達の…。 23 00:02:01,822 --> 00:02:07,928 (醍醐)お義父様 吉太郎さん 突然 押しかけまして…。 24 00:02:07,928 --> 00:02:11,798 醍醐さん どうして ここに? 25 00:02:11,798 --> 00:02:17,270 直接 吉太郎さんに お伝えしに来たんです。 26 00:02:17,270 --> 00:02:22,943 私が… どれほど怒っているか。 27 00:02:22,943 --> 00:02:24,878 えっ? 28 00:02:24,878 --> 00:02:27,280 ずっと捜してたんですよ! 29 00:02:27,280 --> 00:02:32,152 心配で心配で 夜も眠れなくて…。 30 00:02:32,152 --> 00:02:38,625 そんなに心配かけていたとは… すみませんでした。 31 00:02:38,625 --> 00:02:42,963 もう これ以上 吉太郎さんを 待っていられません! 32 00:02:42,963 --> 00:02:45,298 これ以上 待ってたら➡ 33 00:02:45,298 --> 00:02:48,602 よぼよぼのおばあちゃんに なってしまいます。 34 00:02:50,637 --> 00:02:57,310 私も 吉太郎さんと一緒に ブドウ酒を造ります! 35 00:02:57,310 --> 00:03:02,149 てっ? (2人)て~っ。 36 00:03:02,149 --> 00:03:07,587 お義父様 お義母様。 37 00:03:07,587 --> 00:03:11,458 私 お料理もお掃除も ちっとも得意ではありませんが➡ 38 00:03:11,458 --> 00:03:14,261 これから 必死に努力致します。 39 00:03:14,261 --> 00:03:20,600 ですから… 私を ここに置いて下さい。 40 00:03:20,600 --> 00:03:22,936 あの… 醍醐さん。 41 00:03:22,936 --> 00:03:28,642 私 帰れと言われても 帰りませんから。 42 00:03:31,611 --> 00:03:36,283 あなたは… いつも肝心な事を➡ 43 00:03:36,283 --> 00:03:40,153 自分から どんどん先に 言ってしまう! 44 00:03:40,153 --> 00:03:43,857 ごめんなさい 私…。 45 00:03:48,295 --> 00:03:54,634 おとう。 おかあ。 46 00:03:54,634 --> 00:04:01,341 おら この人と一緒んなりてえ。 47 00:04:07,581 --> 00:04:14,888 こんなボロ家に 本当に来てくれるんですか? 48 00:04:16,923 --> 00:04:20,794 はい…。 49 00:04:20,794 --> 00:04:24,264 はい! 50 00:04:24,264 --> 00:04:31,605 (リン)てっ! 吉太郎が やっとこさ結婚するだと!? 51 00:04:31,605 --> 00:04:33,940 てっ リンさん。 52 00:04:33,940 --> 00:04:39,246 あっ おら ちょっくら 用事を思い出したさ。 53 00:04:43,283 --> 00:04:47,621 あ… あ~ 行っちまった。 あ~。 54 00:04:47,621 --> 00:04:55,295 こりゃあ あっという間に 村中に知れ渡るらな。 55 00:04:55,295 --> 00:05:00,600 (笑い声) 56 00:05:07,574 --> 00:05:14,915 年が明け 花子が5年ぶりに ラジオに 出演する日がやって来ました。 57 00:05:14,915 --> 00:05:18,251 ご無沙汰しております。 ご無沙汰しております。 58 00:05:18,251 --> 00:05:22,122 (黒沢)村岡先生と また こうして ご一緒できた事➡ 59 00:05:22,122 --> 00:05:24,124 本当にうれしいです。 60 00:05:24,124 --> 00:05:28,895 こちらこそ 黒沢さんが いて下さって心強いです。 61 00:05:28,895 --> 00:05:32,265 今は GHQの 厳しい統制下に置かれていて➡ 62 00:05:32,265 --> 00:05:35,268 以前とは違う ご不便を おかけするかもしれませんが…。 63 00:05:36,937 --> 00:05:39,239 ママさん? 64 00:05:52,953 --> 00:05:54,955 チビ…。 65 00:06:04,564 --> 00:06:08,868 あっ この万年筆は 父の形見で…。 66 00:06:15,909 --> 00:06:17,911 Mister. 67 00:06:26,553 --> 00:06:28,855 村岡先生。 68 00:06:46,273 --> 00:06:49,276 Be quiet! 69 00:07:37,924 --> 00:07:41,594 (黒沢)あの… 何と? 70 00:07:41,594 --> 00:07:45,899 「部下の非礼をお詫びします」と おっしゃっています。 71 00:08:01,881 --> 00:08:13,226 ♬~ 72 00:08:13,226 --> 00:08:20,567 そろそろ はなのラジオが始まるら。 73 00:08:20,567 --> 00:08:24,904 おとう 無理しちゃ駄目じゃん。 74 00:08:24,904 --> 00:08:30,910 今日は 気分がいいだ。 75 00:08:33,580 --> 00:08:38,251 はなさん 今日は 何のお話をするのかしら? 76 00:08:38,251 --> 00:08:43,123 (アナウンサー)「皆さん 本日は 『ごきげんよう』でおなじみの➡ 77 00:08:43,123 --> 00:08:47,127 村岡花子さんをお招きしました」。 78 00:08:49,262 --> 00:08:56,603 全国の皆さん ごきげんよう。 村岡花子です。 79 00:08:56,603 --> 00:08:59,939 村岡さん どうぞ よろしくお願い致します。 80 00:08:59,939 --> 00:09:02,208 よろしくお願い致します。 81 00:09:02,208 --> 00:09:07,080 「村岡さんは 英語の 翻訳家としても ご活躍ですが➡ 82 00:09:07,080 --> 00:09:10,550 どのようにして 英語を学ばれたんですか?」。 83 00:09:10,550 --> 00:09:15,889 「修和女学校で カナダのすばらしい 宣教師の先生方から…」。 84 00:09:15,889 --> 00:09:20,226 「ごきげんよう」のおばさんの声 懐かしいな。 85 00:09:20,226 --> 00:09:27,233 俺 尋常小学校の頃 毎日 楽しみにラジオ聞いてたよ。 86 00:09:28,902 --> 00:09:32,772 (かよ)よかったら これ どうぞ。 おまけです。 87 00:09:32,772 --> 00:09:35,575 (宇田川)また ラジオに出るなんて➡ 88 00:09:35,575 --> 00:09:42,248 「みみずの女王」も懲りないわね。 89 00:09:42,248 --> 00:09:45,919 「そこの本を ほとんど全部 読んでしまったので➡ 90 00:09:45,919 --> 00:09:51,591 『あなたのために 図書室を増築しなければ』と➡ 91 00:09:51,591 --> 00:09:55,462 冗談で言われた事もありました」。 92 00:09:55,462 --> 00:09:59,466 翻訳という仕事に 興味を持ったのも➡ 93 00:09:59,466 --> 00:10:05,605 修和女学校で学んでいた時でした。 94 00:10:05,605 --> 00:10:09,609  回想  (蓮子)脚本 最後まで読みました。 95 00:10:11,277 --> 00:10:15,949 率直に感動致しました。 96 00:10:15,949 --> 00:10:20,820 あなた やっぱり 翻訳力だけは 大したものだわ。 97 00:10:20,820 --> 00:10:30,830 腹心の友が 翻訳の道へと 進む勇気をくれたのです。 98 00:10:35,969 --> 00:10:39,305 はなちゃん…。 99 00:10:39,305 --> 00:10:41,975 (アナウンサー)では 最初に 英語を教えて下さったのも➡ 100 00:10:41,975 --> 00:10:45,845 修和女学校の先生方ですか? 101 00:10:45,845 --> 00:10:49,649 いいえ。 102 00:10:49,649 --> 00:10:56,322 私に 最初に 英語を教えてくれたのは 父です。 103 00:10:56,322 --> 00:11:03,129 てっ… 俺のこんけ。 104 00:11:03,129 --> 00:11:08,268 「幼い頃から 本が大好きだった私を見て➡ 105 00:11:08,268 --> 00:11:14,941 父は 修和女学校に入れようと 思いついたのです」。 106 00:11:14,941 --> 00:11:18,811 うちは 貧しい農家でしたが➡ 107 00:11:18,811 --> 00:11:23,283 私が給費生として 編入できるように➡ 108 00:11:23,283 --> 00:11:25,952 父は 奔走してくれました。 109 00:11:25,952 --> 00:11:28,621  回想  東京の女学校へ行ったら➡ 110 00:11:28,621 --> 00:11:31,291 大好きな本が なんぼうでも読めるだぞ。 111 00:11:31,291 --> 00:11:33,226 本当? 112 00:11:33,226 --> 00:11:35,628 毎日 思っきし 本が読めるんじゃ。 113 00:11:35,628 --> 00:11:38,531 ほういう学校に行きてえか? うん! 114 00:11:38,531 --> 00:11:42,302 よ~し! おとうに任しとけ! 115 00:11:42,302 --> 00:11:47,640 10歳の時 初めて 故郷の甲府を出て➡ 116 00:11:47,640 --> 00:11:55,982 東京へ向かう汽車の中で 父が英語を教えてくれました。 117 00:11:55,982 --> 00:11:58,885  回想 グッド モーニング。 グッド アフタヌーン。 グッド イブニングじゃ。 118 00:11:58,885 --> 00:12:04,591 何でえ ほれ。 何かの… 呪文け? 119 00:12:04,591 --> 00:12:07,493 朝は グッド モーニング。 120 00:12:07,493 --> 00:12:10,263 グッド モーニング…。 121 00:12:10,263 --> 00:12:12,599 昼は グッド アフタヌーン。 122 00:12:12,599 --> 00:12:16,269 グッド アフタヌーン…。 そうじゃ。 123 00:12:16,269 --> 00:12:19,172 いつも 突拍子もない事をして➡ 124 00:12:19,172 --> 00:12:24,143 母や私たち兄妹を ハラハラさせる父ですが➡ 125 00:12:24,143 --> 00:12:27,880 あの おとうがいなかったら➡ 126 00:12:27,880 --> 00:12:32,819 私は 英語に出会う事も➡ 127 00:12:32,819 --> 00:12:39,292 翻訳の道へと進む事も ありませんでした。 128 00:12:39,292 --> 00:12:44,631 はな…。 129 00:12:44,631 --> 00:12:47,967 外国の言葉を知るという事は➡ 130 00:12:47,967 --> 00:12:54,307 それだけ 多くの心の窓を持つという事です。 131 00:12:54,307 --> 00:13:02,582 戦時中は その窓も 閉ざさなければいけませんでした。 132 00:13:02,582 --> 00:13:11,924 さあ 心の窓を大きく開けて 一歩を踏み出しましょう。 133 00:13:11,924 --> 00:13:16,596 それぞれに 戦争のむごさや➡ 134 00:13:16,596 --> 00:13:21,467 家族を失う悲しみを 経験しましたが➡ 135 00:13:21,467 --> 00:13:28,207 勇気を出して歩いていけば➡ 136 00:13:28,207 --> 00:13:36,282 その先には きっと 一番よいものが待っていると➡ 137 00:13:36,282 --> 00:13:39,952 私は 信じています。 138 00:13:39,952 --> 00:13:58,304 ♬~ 139 00:13:58,304 --> 00:14:02,008 あんた。 140 00:14:08,915 --> 00:14:12,218 あ…。 141 00:14:14,787 --> 00:14:22,495 花子の声を聞きながら 吉平は 息を引き取りました。 142 00:14:28,267 --> 00:14:33,573 ごきげんよう。 さようなら。