1 00:00:02,169 --> 00:00:05,172 製糸工場から逃げてきた かよのおかげで➡ 2 00:00:05,172 --> 00:00:07,508 はなは 思いがけず➡ 3 00:00:07,508 --> 00:00:11,511 親子水入らずで 一夜を過ごす事になりました。 4 00:00:11,511 --> 00:00:15,515 (ふじ)毎晩 こんなに遅くまで 勉強してるだけ。 5 00:00:15,515 --> 00:00:17,517 偉えじゃんね。 6 00:00:17,517 --> 00:00:21,855 (はな)あ… 明るくて眠れねえけ? 7 00:00:21,855 --> 00:00:25,526 おとうが言ってたとおりだ。 えっ? 8 00:00:25,526 --> 00:00:32,866 おまんは 家族の希望の光じゃって おとう いつも言ってたじゃんね。 9 00:00:32,866 --> 00:00:36,203 あっ たまに葉書が…。 10 00:00:36,203 --> 00:00:41,541 名前は 書いちゃいんけど 字は おとうの字だ。 11 00:00:41,541 --> 00:00:44,211 生きてただけ! 12 00:00:44,211 --> 00:00:46,880 何て書えてあるでえ。 13 00:00:46,880 --> 00:00:49,883 (かよ)「はな グッド モーニング。➡ 14 00:00:49,883 --> 00:00:54,888 勉強頑張れし。 こぴっと精進するだよ」。 15 00:00:54,888 --> 00:00:58,225 勉強の事ばっかじゃん! 16 00:00:58,225 --> 00:01:03,163 やっぱし お姉やんは おとうに似ただね。 17 00:01:03,163 --> 00:01:05,499 ほういう かよだって➡ 18 00:01:05,499 --> 00:01:09,169 製糸工場逃げ出して 東京まで逃げちもうなんて➡ 19 00:01:09,169 --> 00:01:11,171 そんな無鉄砲なの おとうに そっくりじゃんけ。 20 00:01:11,171 --> 00:01:14,141 ほうか。 21 00:01:15,842 --> 00:01:22,182 はなも かよも おとうの娘だね…。 22 00:01:22,182 --> 00:01:29,189 甲府に連れて帰ろうなんて 無理な話じゃん。 23 00:01:29,189 --> 00:01:33,860 おまんらも おとうみてえに➡ 24 00:01:33,860 --> 00:01:39,533 甲府にいちゃあ見られんもんを いっぺえ見て➡ 25 00:01:39,533 --> 00:01:43,870 いつか おらに話してくりょう。 26 00:01:43,870 --> 00:01:48,542 おかあ…。 おかあ…。 27 00:01:48,542 --> 00:01:52,212 はな。 28 00:01:52,212 --> 00:01:59,553 かよの事 頼むね。 あとは おまんに任せたじゃん。 29 00:01:59,553 --> 00:02:02,723 おかあ… いいだけ? 30 00:02:02,723 --> 00:02:07,494 いいさ。 好きにしろし。 31 00:02:07,494 --> 00:02:13,500 ふんだから はなも帰ってこなんでいい。➡ 32 00:02:13,500 --> 00:02:16,837 東京で頑張れし! 33 00:02:16,837 --> 00:02:19,506 分かった。 34 00:02:19,506 --> 00:02:22,175 ♬「これから はじまる」 35 00:02:22,175 --> 00:02:25,178 ♬「あなたの 物語」 36 00:02:25,178 --> 00:02:29,850 ♬「ずっと長く 道は続くよ」 37 00:02:29,850 --> 00:02:34,187 ♬「虹色の雨 降り注げば」 38 00:02:34,187 --> 00:02:39,860 ♬「空は 高鳴る」 39 00:02:39,860 --> 00:02:45,198 ♬「眩しい笑顔の奥に」 40 00:02:45,198 --> 00:02:50,203 ♬「悲しい音がする」 41 00:02:50,203 --> 00:02:55,542 ♬「寄りそって 今があって」 42 00:02:55,542 --> 00:03:03,483 ♬「こんなにも 愛おしい」 43 00:03:03,483 --> 00:03:08,155 ♬「手を繋げば 温かいこと」 44 00:03:08,155 --> 00:03:14,161 ♬「嫌いになれば 一人になってくこと」 45 00:03:14,161 --> 00:03:18,832 ♬「ひとつひとつが あなたになる」 46 00:03:18,832 --> 00:03:23,804 ♬「道は 続くよ」 47 00:03:46,526 --> 00:03:49,196 (茂木) はなさんが ここに来た頃は➡ 48 00:03:49,196 --> 00:03:52,866 英語で話しかけられるのを 怖がって➡ 49 00:03:52,866 --> 00:03:57,537 西洋人の先生たちから 逃げ回ってたんですよ。 50 00:03:57,537 --> 00:04:03,710 それが ある時から 猛勉強を始めて。 51 00:04:03,710 --> 00:04:09,149 私も 大勢の生徒を見てきましたが➡ 52 00:04:09,149 --> 00:04:16,156 修和女学校で はなさんは 一番の頑張り屋さんです。 53 00:04:16,156 --> 00:04:19,493 ⚟はな先生! 質問が! 54 00:04:19,493 --> 00:04:25,499 タカノさん 何度言ったら分かるの? はなではなく 花子先生でしょう。 55 00:04:25,499 --> 00:04:29,769 (笑い声) (一同)また言ってる! 56 00:04:32,172 --> 00:04:34,174 花子先生。 57 00:04:34,174 --> 00:04:37,844 ふじには 自分の娘とは思えないほど➡ 58 00:04:37,844 --> 00:04:42,849 はなが 立派に輝いて見えました。 59 00:04:42,849 --> 00:05:03,470 ♬~ 60 00:05:03,470 --> 00:05:10,143 I say my prayers. (生徒たち)I say my prayers. 61 00:05:10,143 --> 00:05:14,147 I go downstairs. 62 00:05:14,147 --> 00:05:32,165 ♬~ 63 00:05:32,165 --> 00:05:37,837 ふじは 本当の胸の内を はなには言わず➡ 64 00:05:37,837 --> 00:05:43,510 一人 甲府へ帰っていきました。 65 00:05:43,510 --> 00:05:51,184 (朝市)ほうけ…。 はなは 東京で働くだけ。 66 00:05:55,856 --> 00:06:01,828 (もも)おかあ 本当にいいだけ? 67 00:06:03,463 --> 00:06:06,433 ああ…。 68 00:06:18,812 --> 00:06:24,784 おかあの気持ち お姉やんは 分かっちゃいん。 69 00:06:27,821 --> 00:06:32,492 茂木先生のご厚意で かよは とりあえず➡ 70 00:06:32,492 --> 00:06:37,163 学校のお仕事を 手伝う事になりました。 71 00:06:37,163 --> 00:06:41,167 おはようごいす。 (生徒たち)ごきげんよう。 72 00:06:41,167 --> 00:06:43,503 おはようごいす。 73 00:06:43,503 --> 00:06:46,773 (梶原)向学館の梶原と申しますが。 74 00:06:51,845 --> 00:06:55,515 (富山) ご用件をおっしゃって下さい。 75 00:06:55,515 --> 00:06:58,518 富山先生ですか。 76 00:06:58,518 --> 00:07:01,688 どうぞ ご用件をおっしゃって下さい。 77 00:07:01,688 --> 00:07:08,461 はい。 安東はなさんの事で。 78 00:07:08,461 --> 00:07:11,131 (畠山)はなさん よかったわね。 79 00:07:11,131 --> 00:07:14,801 面接して下さるなんて 脈があるわよ その出版社。 80 00:07:14,801 --> 00:07:16,803 (醍醐)はなさんなら きっと選んで頂けるわ。 81 00:07:16,803 --> 00:07:19,072 ありがとう。 82 00:07:26,813 --> 00:07:29,482 かよ! 83 00:07:29,482 --> 00:07:33,820 また スコット先生に クッキー ごちそうになりに来たの? 84 00:07:33,820 --> 00:07:36,489 サンキューです。 85 00:07:38,158 --> 00:07:40,493 うめえ! 86 00:07:40,493 --> 00:07:43,163 安東さん。 お手紙ですよ。 87 00:07:43,163 --> 00:07:46,833 あっ ありがとうございます。 88 00:07:46,833 --> 00:07:52,505 (ふじ)「はな あと2か月で卒業ですね。➡ 89 00:07:52,505 --> 00:07:57,777 はなの帰りを 楽しみに待っています」。 90 00:08:00,180 --> 00:08:03,783 (もも)「この葉書 おかあは出さなかったけんど➡ 91 00:08:03,783 --> 00:08:07,754 おらが代わりに送ります。 もも」。 92 00:08:10,790 --> 00:08:15,128 おらも お姉やんに言おうか どうしっか➡ 93 00:08:15,128 --> 00:08:18,465 ずっと迷ってただよ。 えっ? 94 00:08:18,465 --> 00:08:23,136 おかあ お姉やんが 帰ってくるもんだと思い込んでた。 95 00:08:23,136 --> 00:08:28,141 ほれでも おらは 東京にいてもらいてえ。 96 00:08:28,141 --> 00:08:32,812 そうよ! はなさんは 東京で夢を追いかけるべきよ。 97 00:08:32,812 --> 00:08:38,485 せっかく ここまで来たんだから 面接頑張って。 98 00:08:44,491 --> 00:08:49,462 ありがとう。 頑張るわ。 99 00:08:55,502 --> 00:09:01,107 君は この会社に入ったら どんな本を作りたいの? 100 00:09:01,107 --> 00:09:06,446 それは…➡ 101 00:09:06,446 --> 00:09:10,116 大人からも子どもからも 愛されて➡ 102 00:09:10,116 --> 00:09:13,787 読んだ人が 思いっきり 想像の翼を広げられるような➡ 103 00:09:13,787 --> 00:09:17,791 そんな すてきな物語の本を 作りたいんです。 104 00:09:17,791 --> 00:09:22,796 親御さんは あなたが働く事に賛成ですか? 105 00:09:22,796 --> 00:09:26,132 …はい。 106 00:09:26,132 --> 00:09:32,806 安東はなさん 卒業したら この編集部で働いて下さい。 107 00:09:35,809 --> 00:09:39,479 おめでとう。 君はついてたね。 108 00:09:39,479 --> 00:09:43,149 これからは 女性の意見を 積極的に取り入れるべきだと➡ 109 00:09:43,149 --> 00:09:48,154 僕が提案して 編集部に 女性社員を入れる事になったんだ。 110 00:09:48,154 --> 00:09:51,157 安東君なら ぴったりだと思うよ。 111 00:09:51,157 --> 00:09:54,160 親御さんも お喜びになるでしょう。 112 00:09:54,160 --> 00:09:59,165 おうちは 山梨の甲府ですか。 ええ。 113 00:09:59,165 --> 00:10:01,835 どんな所なの? 114 00:10:01,835 --> 00:10:05,839 ブドウ畑と田んぼしかない所ですが➡ 115 00:10:05,839 --> 00:10:08,174 うちの庭からは 富士山が見えます。 116 00:10:08,174 --> 00:10:11,511 へえ~ 富士山が。 117 00:10:11,511 --> 00:10:15,181 盆地なので 冬は寒くて 空っ風が冷たくて➡ 118 00:10:15,181 --> 00:10:18,852 母の手は いつも あかぎれだらけです。 119 00:10:18,852 --> 00:10:23,523 母は いつも 私たちの心配ばっかりしてます。 120 00:10:23,523 --> 00:10:28,528 「風邪ひいてねえか。 腹すかしてねえか。➡ 121 00:10:28,528 --> 00:10:31,865 こぴっと やってるか」って。 122 00:10:31,865 --> 00:10:34,534 母は 字の読み書きが できなかったのに➡ 123 00:10:34,534 --> 00:10:38,872 私の知らない間に 一生懸命 字を練習して➡ 124 00:10:38,872 --> 00:10:43,877 私に 初めて 葉書を書いてくれました。 125 00:10:43,877 --> 00:10:50,149 (ふじ)「はなの帰りを 楽しみに待っています」。 126 00:11:00,493 --> 00:11:04,764 安東君 どうかしましたか? 127 00:11:09,502 --> 00:11:12,839 ごめんなさい。 128 00:11:12,839 --> 00:11:15,842 嘘なんです。 129 00:11:15,842 --> 00:11:19,112 嘘? 130 00:11:22,182 --> 00:11:27,854 両親が賛成してくれてるなんて 嘘なんです。 131 00:11:27,854 --> 00:11:31,858 母は ずっと 私の帰りを待ってます。 132 00:11:31,858 --> 00:11:36,529 この10年間 ずっと待っててくれたんです。 133 00:11:36,529 --> 00:11:43,202 なのに おかあの気持ち 全然分かってなくて…。 134 00:11:43,202 --> 00:11:46,206 ううん ほうじゃねえら。 135 00:11:46,206 --> 00:11:50,877 本当は 心のどっかで 分かってたはずなのに➡ 136 00:11:50,877 --> 00:11:55,148 自分の都合のいいように 気付かんふりしてただけずら。 137 00:12:04,057 --> 00:12:07,060 ごめんなさい! 138 00:12:07,060 --> 00:12:12,065 私 やっぱり ここで働けません。 甲府に帰ります。 139 00:12:12,065 --> 00:12:16,069 何だって? 君。 140 00:12:16,069 --> 00:12:20,039 本当に申し訳ありません! 141 00:12:28,848 --> 00:12:32,185 はなは どうするつもりでしょう? 142 00:12:32,185 --> 00:12:38,157 甲府に帰ったところで 仕事の当てもないのに。 143 00:12:42,862 --> 00:12:48,534 (英治)安東はなさん。 144 00:12:48,534 --> 00:12:52,805 あ… 村岡印刷さん。 145 00:12:54,540 --> 00:12:56,876 どうしたんですか? 146 00:12:56,876 --> 00:13:02,048 まるで 木から落ちた ナマケモノみたいな顔してますよ。 147 00:13:02,048 --> 00:13:08,488 落ちたんです。 えっ? 148 00:13:08,488 --> 00:13:13,459 今日 面接をして頂いたんですけど…。 149 00:13:15,828 --> 00:13:22,168 はあ… そうでしたか。 150 00:13:22,168 --> 00:13:26,839 それは お気の毒でしたね。 151 00:13:26,839 --> 00:13:32,845 あっ いつぞやは 英英辞典 ありがとうございました。 152 00:13:32,845 --> 00:13:35,515 あの辞書を持って 甲府に帰ります。 153 00:13:35,515 --> 00:13:40,787 えっ… 甲府に 帰ってしまわれるんですか? 154 00:13:42,522 --> 00:13:45,491 じゃあ。 155 00:13:49,529 --> 00:13:53,199 ナマケモノは…➡ 156 00:13:53,199 --> 00:13:59,205 木にぶら下がりながら 夢をみてるんだと思います。 157 00:13:59,205 --> 00:14:03,142 はっ? 158 00:14:03,142 --> 00:14:09,816 だから あなたも夢を忘れないで下さい。 159 00:14:14,821 --> 00:14:19,826 つくづく とんちんかんな人だと はなは思いました。 160 00:14:19,826 --> 00:14:29,802 でも どういう訳か 少しだけ はなの心は 明るくなりました。 161 00:14:36,509 --> 00:14:42,782 ごきげんよう。 さようなら。 162 00:14:48,521 --> 00:14:52,792 ごきげんよう。 さようなら。