1 00:00:33,682 --> 00:00:37,252 (秋風)それを見てみろ。➡ 2 00:00:37,252 --> 00:00:39,452 ここだ。 3 00:00:41,089 --> 00:00:43,024 (鈴愛)えっ…。 4 00:00:43,024 --> 00:00:44,960 (裕子)え…。 5 00:00:44,960 --> 00:00:49,264 (秋風)パクられたんだ。 お前の「神様のメモ」が。 6 00:00:49,264 --> 00:00:54,136 いえ 先生。 私 ボクテに 描きたいと言われました。 7 00:00:54,136 --> 00:00:57,939 私は いいよって言いました。 8 00:00:57,939 --> 00:01:03,278 でも 何これ この雑誌。 9 00:01:03,278 --> 00:01:08,478 (菱本)先生 やはり どこにもいません ボクテ君。 10 00:01:17,826 --> 00:01:22,464 <いました。 こんなとこに> 11 00:01:22,464 --> 00:01:33,408 ♬~ 12 00:01:33,408 --> 00:01:37,913 ♬「おはよう 世の中」 13 00:01:37,913 --> 00:01:40,582 ♬「夢を連れて 繰り返した」 14 00:01:40,582 --> 00:01:44,085 ♬「湯気には生活のメロディ」 15 00:01:44,085 --> 00:01:48,757 ♬「鶏の 歌声も」 16 00:01:48,757 --> 00:01:51,593 ♬「線路 風の話し声も」 17 00:01:51,593 --> 00:01:55,096 ♬「すべてはモノラルのメロディ」 18 00:01:55,096 --> 00:01:57,766 ♬「涙零れる音は」 19 00:01:57,766 --> 00:02:01,636 ♬「咲いた花がはじく雨音」 20 00:02:01,636 --> 00:02:05,273 ♬「悲しみに青空を」 21 00:02:05,273 --> 00:02:10,946 ♬「つづく日々の道の先を」 22 00:02:10,946 --> 00:02:14,449 ♬「塞ぐ影に」 23 00:02:14,449 --> 00:02:16,384 ♬「アイデアを」 24 00:02:16,384 --> 00:02:21,957 ♬「雨の音で歌を歌おう」 25 00:02:21,957 --> 00:02:28,830 ♬「すべて超えて届け」 26 00:02:28,830 --> 00:02:37,330 ♬~ 27 00:02:40,242 --> 00:02:45,042 (菱本)先生 どうしますか? ボクテ君。 28 00:02:48,116 --> 00:02:53,588 ☎ 29 00:02:53,588 --> 00:02:57,926 はい もしもし オフィスティンカーベルです。 30 00:02:57,926 --> 00:03:01,626 あっ 北野編集長 どうも。 31 00:03:05,100 --> 00:03:07,100 (ドアが開く音) 32 00:03:12,274 --> 00:03:15,310 小宮 楡野。 33 00:03:15,310 --> 00:03:17,946 (2人)はい。 34 00:03:17,946 --> 00:03:21,449 今 北野編集長から 電話があって➡ 35 00:03:21,449 --> 00:03:25,787 今年の「月刊ガーベラ」の 新人賞の受賞者が決まった。➡ 36 00:03:25,787 --> 00:03:28,487 来月 掲載される。 37 00:03:30,125 --> 00:03:33,925 ボクテの「女光源氏によろしく」だ。 38 00:03:38,566 --> 00:03:41,403 まあ 順当な結果だ。 39 00:03:41,403 --> 00:03:43,338 小宮がデビューは早かったが➡ 40 00:03:43,338 --> 00:03:48,838 ボクテは 3人の中では 今の時点では 一番に力があった。 41 00:03:54,749 --> 00:03:59,049 あれ 何? 自分が一番とでも? 42 00:04:03,758 --> 00:04:07,095 ボクテは絵もストーリーも➡ 43 00:04:07,095 --> 00:04:11,895 コマ割りのセンスも 今の時点では一番だった。 44 00:04:13,768 --> 00:04:20,108 先生 ボクテ帰ってきたら どうなるんですか? 45 00:04:20,108 --> 00:04:24,779 クビだ。 当たり前だ。 私を裏切ったんだ。 46 00:04:24,779 --> 00:04:28,283 「月刊アモーレ」などという チンケなところからデビューして➡ 47 00:04:28,283 --> 00:04:30,952 金の卵も温泉卵になるわ! 48 00:04:30,952 --> 00:04:35,790 えっ でも 先生。 「ガーベラ」のデビューが これで決まったんだから。 49 00:04:35,790 --> 00:04:39,290 取り下げる。 えっ!? 50 00:04:41,596 --> 00:04:45,233 いや もう取り下げた。 辞退させて頂く。 51 00:04:45,233 --> 00:04:49,070 そんな! そんな デビューさせてあげて下さい! 52 00:04:49,070 --> 00:04:51,740 お前は アホか? 自分の作品を➡ 53 00:04:51,740 --> 00:04:55,243 あんなエロまがいの作品にされて なぜ怒らない? 54 00:04:55,243 --> 00:04:58,079 11ページ目の3コマ目のセリフも すばらしかったし➡ 55 00:04:58,079 --> 00:05:00,015 ちょっと私には 思いつかないような展開も➡ 56 00:05:00,015 --> 00:05:02,250 織り交ぜてあって。 (秋風)アホ 当たり前だ。➡ 57 00:05:02,250 --> 00:05:04,185 だから 言っとるだろ! 58 00:05:04,185 --> 00:05:06,421 あいつには 才能があったんだってば!➡ 59 00:05:06,421 --> 00:05:10,592 だから 私は ここに 秋風塾に呼んだんだ! 60 00:05:10,592 --> 00:05:14,462 先生! ボクテ 反省してると思います! 61 00:05:14,462 --> 00:05:17,265 最近 よく田舎から 電話来てました。 62 00:05:17,265 --> 00:05:19,300 きっと 親御さんに 帰ってこいとか➡ 63 00:05:19,300 --> 00:05:21,603 せかされてたんだと思います。 64 00:05:21,603 --> 00:05:25,803 それで 魔が差して どうか許してやって下さい! 65 00:05:27,409 --> 00:05:30,945 駄目だ! 一度やるやつは 二度やる。➡ 66 00:05:30,945 --> 00:05:33,381 一度 うどんを食った西は また食う。➡ 67 00:05:33,381 --> 00:05:35,884 弱虫は ず~っと弱虫だ。➡ 68 00:05:35,884 --> 00:05:38,219 あいつには才能があったんだ。➡ 69 00:05:38,219 --> 00:05:40,555 なのに 私を裏切った。➡ 70 00:05:40,555 --> 00:05:42,490 あいつは バカだ! 71 00:05:42,490 --> 00:05:44,426 信じる事ができなかった。➡ 72 00:05:44,426 --> 00:05:47,429 私の事もだが 自分自身の才能を! 73 00:05:47,429 --> 00:05:51,199 「月刊アモーレ」なんかから デビューして どうするつもりだ! 74 00:05:51,199 --> 00:05:54,903 あれ? これ さっきも言ったな。 75 00:05:54,903 --> 00:05:57,739 頭に来ると 同じ事を何度も言ってしまう。 76 00:05:57,739 --> 00:06:03,244 あっ そうだ。 これは言わなくては 楡野 お前もクビだから。 77 00:06:03,244 --> 00:06:05,180 えっ 何で!? 78 00:06:05,180 --> 00:06:07,916 「えっ 何で!?」じゃない! 79 00:06:07,916 --> 00:06:10,752 「神様のメモ」を やすやすと渡しやがって。 80 00:06:10,752 --> 00:06:13,421 何だ お前は 神様か? 天才か?➡ 81 00:06:13,421 --> 00:06:16,925 そんなものは いくらだって浮かぶか?➡ 82 00:06:16,925 --> 00:06:19,961 プロ同士でネタの貸し借りは 御法度だ!➡ 83 00:06:19,961 --> 00:06:24,799 いいか 喉から手が出るくらい そのアイデアに飢える時が来る。➡ 84 00:06:24,799 --> 00:06:26,935 プロになるっていうのは そういう事なんだ!➡ 85 00:06:26,935 --> 00:06:30,438 締め切りまでに 必ず描かなくてはならない! 86 00:06:30,438 --> 00:06:34,209 何も浮かばなかったら the end! 87 00:06:34,209 --> 00:06:37,712 お前の漫画家人生は終わる。 88 00:06:37,712 --> 00:06:41,583 先生 私も クビですか!? ああ クビだ。 クビクビ! クビ! 89 00:06:41,583 --> 00:06:44,052 (藤堂) 先生 それは! それだけは! 90 00:06:44,052 --> 00:06:45,987 あっ イッタ! 91 00:06:45,987 --> 00:06:47,987 アイタタタタ…。 92 00:06:58,233 --> 00:07:01,903 あっ イッタ! イタタタタ…。 コブ出来てる。 93 00:07:01,903 --> 00:07:04,603 氷 もっと持ってこようか? (裕子)うん。 94 00:07:22,223 --> 00:07:24,223 痛い? 95 00:07:28,596 --> 00:07:33,796 そっちじゃなくて…。 うん…。 96 00:07:55,223 --> 00:07:57,725 お待たせ! 97 00:07:57,725 --> 00:08:02,025 あっ つめた つめた~。 98 00:08:07,902 --> 00:08:14,776 ねえ 先生にもう一回 3人で謝りに行かない? 99 00:08:14,776 --> 00:08:17,912 裕子ちゃん…。 何か これ➡ 100 00:08:17,912 --> 00:08:21,416 鈴愛がアイデア貸したってのも そうだけどさ➡ 101 00:08:21,416 --> 00:08:24,319 私たちの連帯責任って気がする。 102 00:08:24,319 --> 00:08:30,425 違うよ。 僕が西なだけだよ。 103 00:08:30,425 --> 00:08:34,195 西? うん。 「あしたのジョー」の西。 104 00:08:34,195 --> 00:08:38,032 夜中に うどん食べに抜け出した。 105 00:08:38,032 --> 00:08:39,968 あっ そうだ 鈴愛ちゃん➡ 106 00:08:39,968 --> 00:08:42,904 僕の事 殴ってよ。 ジョーみたいに。 107 00:08:42,904 --> 00:08:45,373 ちょっと ごめん 何 言ってるかは 分かんないんだけどさ。 108 00:08:45,373 --> 00:08:47,709 嘘! 「あしたのジョー」読んでないの? 109 00:08:47,709 --> 00:08:49,644 秋風先生 天才だからさ。 110 00:08:49,644 --> 00:08:52,547 天才ならではの 気まぐれっていうか。 111 00:08:52,547 --> 00:08:56,384 秋の空みたいに 気分変わるところあるからさ。 112 00:08:56,384 --> 00:09:01,384 ねっ 時間を置いて 3人で謝ってみようよ。 113 00:09:04,559 --> 00:09:09,359 本当に申し訳ありませんでした! 114 00:09:15,069 --> 00:09:19,369 私は 許しません。 115 00:09:25,246 --> 00:09:28,283 言いたい事は 山ほどありますが➡ 116 00:09:28,283 --> 00:09:33,955 ボクテだったら 私の言いたい事 全部 分かっていると思います。 117 00:09:33,955 --> 00:09:37,692 それぐらい あなたは 賢い人だった。 118 00:09:37,692 --> 00:09:40,028 勝ちを急ぎましたね? 119 00:09:40,028 --> 00:09:42,930 先生 なんとか ボクテを許してやって。 120 00:09:42,930 --> 00:09:46,801 鈴愛ちゃん もういいの。 121 00:09:46,801 --> 00:09:53,101 先生 僕は 許してもらえるとは 思ってないです。 122 00:09:56,210 --> 00:10:00,882 ここを出ていきます。 123 00:10:00,882 --> 00:10:05,053 こんなによくして頂いたのに…➡ 124 00:10:05,053 --> 00:10:07,353 ごめんなさい! 125 00:10:16,564 --> 00:10:22,070 先生の事を 本当に尊敬していたし➡ 126 00:10:22,070 --> 00:10:25,406 先生の描く世界が 好きだったのに…。 127 00:10:25,406 --> 00:10:30,244 もう 遅いです。 128 00:10:30,244 --> 00:10:33,147 はい…。 129 00:10:33,147 --> 00:10:36,417 ただ 一つだけお願いがあります。 130 00:10:36,417 --> 00:10:39,921 鈴愛ちゃんは 楡野さんは➡ 131 00:10:39,921 --> 00:10:43,221 今までどおり ここにいさせてあげて下さい! 132 00:10:51,532 --> 00:10:54,232 え~? 133 00:10:56,270 --> 00:10:58,606 「神様のメモ」のアイデアを かすめ取るように➡ 134 00:10:58,606 --> 00:11:03,277 うまく 僕は 鈴愛ちゃんから もらいました。 135 00:11:03,277 --> 00:11:06,577 鈴愛ちゃんの人のよさに つけ込んだんです。 136 00:11:10,451 --> 00:11:13,354 (秋風)楡野もプロ意識が低すぎる。 137 00:11:13,354 --> 00:11:17,959 この世界 アイデアの貸し借りはないぞ。 138 00:11:17,959 --> 00:11:20,294 「神様のメモ」を ボクテに渡す事によって➡ 139 00:11:20,294 --> 00:11:24,799 より面白くなっていれば 私も黙った。 140 00:11:24,799 --> 00:11:28,799 何だ あれは!? あんなエロ漫画にしやがって! 141 00:11:34,609 --> 00:11:39,080 作品は 生き物だ。 142 00:11:39,080 --> 00:11:42,917 いかようにも育つ。 143 00:11:42,917 --> 00:11:48,256 お前は 楡野のアイデアを パクったばかりか➡ 144 00:11:48,256 --> 00:11:54,756 「神様のメモ」の 息の根を止めたんだ。 145 00:11:57,265 --> 00:11:59,565 ごめんなさい…。 146 00:12:02,770 --> 00:12:06,107 でも 先生 お願いします! 147 00:12:06,107 --> 00:12:08,142 楡野さんは ここに残してあげて下さい! 148 00:12:08,142 --> 00:12:10,278 あ~ やめて やめて。 やめて。 149 00:12:10,278 --> 00:12:13,948 土下座とか 私のワールドにないから それだけは やめて。 150 00:12:13,948 --> 00:12:23,958 ♬~ 151 00:12:23,958 --> 00:12:29,464 分かったよ。 その頭のコブに免じて➡ 152 00:12:29,464 --> 00:12:33,164 楡野の事は許してやろう。 153 00:12:35,069 --> 00:12:37,572 ありがとうございます! 154 00:12:37,572 --> 00:12:50,872 ♬~ 155 00:13:05,600 --> 00:13:10,271 じゃあ また荷物取りに戻るから。 156 00:13:10,271 --> 00:13:13,941 今日 泊まるとこ あるの? 157 00:13:13,941 --> 00:13:17,278 二丁目でできた友達いるからさ。 158 00:13:17,278 --> 00:13:19,313 いつの間に。 159 00:13:19,313 --> 00:13:24,051 ボクテ君 これ 持ってきなさい。 160 00:13:24,051 --> 00:13:26,287 二丁目でできたお友達に。 161 00:13:26,287 --> 00:13:30,787 ピエロルフーのバターサンド。 おやつに買っといた。 162 00:13:33,060 --> 00:13:35,260 ひしもっちゃん。 163 00:13:37,899 --> 00:14:13,100 ♬~ 164 00:14:13,100 --> 00:14:19,300 <1992年の夏のなりかけ ボクテが出ていった> 165 00:14:22,443 --> 00:14:24,443 <そして…> 166 00:14:26,113 --> 00:14:30,284 <その日 私は 岐阜の夢を見ていた。➡ 167 00:14:30,284 --> 00:14:32,887 律と遊んでた> 168 00:14:32,887 --> 00:14:34,822 楡野さん! (ノック) 169 00:14:34,822 --> 00:14:37,558 鈴愛さん! (ノック) 170 00:14:37,558 --> 00:14:39,894 鈴愛さん! (ノック) 171 00:14:39,894 --> 00:14:41,894 はい! 172 00:14:44,732 --> 00:14:47,234 はいはい はいはい。 173 00:14:47,234 --> 00:14:51,072 ひしもっちゃん。 今 北野編集長から電話があって➡ 174 00:14:51,072 --> 00:14:54,742 ボクテ君が辞退したあと 厳正な審査の結果➡ 175 00:14:54,742 --> 00:14:58,079 あなたの「一瞬に咲け」が 繰り上がったそうよ! 176 00:14:58,079 --> 00:15:02,750 ガーベラ大賞新人賞 受賞! デビューよ! 177 00:15:02,750 --> 00:15:04,750 えっ…。 178 00:15:06,621 --> 00:15:09,090 先生…。 先生ですよ。 179 00:15:09,090 --> 00:15:11,025 お~! 180 00:15:11,025 --> 00:15:13,594 架空のラブストーリーを 作るために➡ 181 00:15:13,594 --> 00:15:16,263 いくつの自分の恋を 犠牲にしたんだ? 182 00:15:16,263 --> 00:15:19,767 つまらないものなら描くな。 この世にない方が ましだ。 183 00:15:19,767 --> 00:15:21,702 私も スランプか!? 184 00:15:21,702 --> 00:15:24,271 鈴愛の人生は鈴愛のもの。 185 00:15:24,271 --> 00:15:26,271 律! 186 00:15:34,649 --> 00:15:37,351 JR両毛線に乗って➡ 187 00:15:37,351 --> 00:15:41,251 栃木県の名所を 巡りました。 188 00:15:49,697 --> 00:15:53,567 舟が出る時ね 大きな掛け声を かけてから 出発致します。 189 00:15:53,567 --> 00:15:58,739 舟が出るぞ~! (新谷)お~!