1 00:00:10,177 --> 00:01:01,461 (祭り囃子) 2 00:01:01,461 --> 00:01:04,364 (りん)綺麗だことなぃ じいさま。 3 00:01:04,364 --> 00:01:06,366 (徳右衛門) これが二本松の祭りだ。 4 00:01:06,366 --> 00:01:09,202 お前の おとっつぁんの 生まれ故郷の祭りだぞ。➡ 5 00:01:09,202 --> 00:01:13,073 眼 大きく開けて よっくど見ておけ。 6 00:01:13,073 --> 00:01:15,509 はい! 7 00:01:15,509 --> 00:01:30,991 ♬~ (テーマ音楽) 8 00:01:30,991 --> 00:02:32,085 ♬~ 9 00:02:33,887 --> 00:02:40,193 (祭り囃子) 10 00:02:40,193 --> 00:02:45,699 <橘りんは 明治10年 福島県 相馬に生まれました。➡ 11 00:02:45,699 --> 00:02:50,570 この 同じ福島の二本松は りんの父方の故郷ですが➡ 12 00:02:50,570 --> 00:02:54,875 ここに住んでいる祖父母を 今度 相馬に迎えるために➡ 13 00:02:54,875 --> 00:02:58,545 この時 りんは1人で 二本松に来たのでした> 14 00:02:58,545 --> 00:03:00,480 そだにはねるな。 15 00:03:00,480 --> 00:03:02,416 はねると危ないぞ! 16 00:03:02,416 --> 00:03:17,898 (祭り囃子) 17 00:03:17,898 --> 00:03:24,337 ウッター! いっぱい見えっつぉい じいさま 綺麗だよ。 18 00:03:24,337 --> 00:03:28,842 ほれ 来た来た! ひい ふう みい よ…。 19 00:03:28,842 --> 00:03:34,414 うわ~ 並んで来たぞ! ソレ ソレ ソレ ソレ~! 20 00:03:34,414 --> 00:03:37,884 そこで はしゃぐな。 たたき落ちるぞ。 21 00:03:37,884 --> 00:03:40,887 うわ~ 綺麗だこと。 22 00:03:40,887 --> 00:03:44,658 ばあさまも一緒に 来ればよかったなぇ じいさま。 23 00:03:44,658 --> 00:03:48,361 あぁ ばあさまか…。 24 00:03:50,464 --> 00:03:55,202 (徳右衛門)ばあさまの旅立ちの 支度は なかなか はかどらんのう。 25 00:03:55,202 --> 00:03:58,538 ばあさまは 相馬さ 行きたく ないんだべか…。 26 00:03:58,538 --> 00:04:00,974 (徳右衛門)相馬が 嫌というのではないが➡ 27 00:04:00,974 --> 00:04:06,146 ここを… この二本松を去るのが つらいのだろう。 28 00:04:06,146 --> 00:04:09,149 (こと)弦一郎…。 29 00:04:14,221 --> 00:04:19,826  心の声  弦一郎…。 お前1人残って 寂しいだろうが➡ 30 00:04:19,826 --> 00:04:23,330 いずれは 私たちも必ず戻ってきて➡ 31 00:04:23,330 --> 00:04:26,032 お前と一緒になるのだから➡ 32 00:04:26,032 --> 00:04:32,339 それまで どうか 私たちを 見守っていておくれ。 33 00:04:32,339 --> 00:04:39,112 (徳右衛門)弦一郎は お前の父 弘次郎の兄だ。 16歳で死んだ。 34 00:04:39,112 --> 00:04:42,048 なして死んだの? 35 00:04:42,048 --> 00:04:47,187 (徳右衛門)弘次郎は お前の父親は そのことを 何も話してないのか? 36 00:04:47,187 --> 00:04:50,524 うん…。 ねえ じいさま➡ 37 00:04:50,524 --> 00:04:53,360 わたすの父ちゃんは なして 二本松さ来ねえの? 38 00:04:53,360 --> 00:04:57,864 こんな綺麗な祭りがあるのに。 39 00:04:57,864 --> 00:05:06,173 そうか。 何も話してないのか 弘次郎は…。 40 00:05:11,411 --> 00:05:15,815 (やえ)おりんは 今頃 何してっぺなぇ おとっつぁん。 41 00:05:15,815 --> 00:05:19,519 ちゃんと 無事に 二本松さ 行き着いたべか…。 42 00:05:19,519 --> 00:05:22,422 あんな娘っこを 1人で迎えにやって➡ 43 00:05:22,422 --> 00:05:26,827 むごい親だと おとっつぁまや おっかさまは 思わねかったべか。 44 00:05:26,827 --> 00:05:30,997 「なんして 弘次郎は 迎えに来ねんだべか」って。 45 00:05:30,997 --> 00:05:34,834 (弘次郎)うっつぁしいな。 ん?黙っててくれ。 46 00:05:34,834 --> 00:05:37,337 ああ はいはい。 大丈夫だ➡ 47 00:05:37,337 --> 00:05:40,040 もう14にもなってんだから おりんは。 48 00:05:40,040 --> 00:05:42,042 余計なこと言って ごめんなんしょ。 49 00:05:42,042 --> 00:05:45,779 はい おとっつぁん よいしょ。 もう 黙ってっから。 50 00:05:45,779 --> 00:05:49,649 <りんの父・橘 弘次郎は 明治の御一新後➡ 51 00:05:49,649 --> 00:05:52,552 故郷の二本松を捨て この相馬に来て➡ 52 00:05:52,552 --> 00:05:56,022 土地の娘・やえと結婚しました。➡ 53 00:05:56,022 --> 00:05:58,925 相馬で 古物商のようなことを やっておりますが➡ 54 00:05:58,925 --> 00:06:04,130 文字どおり 武士の商法で 生活は あまり楽ではありません。➡ 55 00:06:04,130 --> 00:06:07,167 やえは 相馬の商家に育ち➡ 56 00:06:07,167 --> 00:06:12,472 弘次郎と結婚して 4人の子を 産みましたが 元気な働き者で…> 57 00:06:12,472 --> 00:06:14,975 なえ おとっつぁん。 58 00:06:14,975 --> 00:06:18,645 やっぱり二本松の おとっつぁまや おっかさまには…。 59 00:06:18,645 --> 00:06:20,580 (くしゃみ) 60 00:06:20,580 --> 00:06:26,319 白飯 炊かねば なんねべか? 麦飯では お口に合わねえべなぇ。 61 00:06:26,319 --> 00:06:31,157 二本松でも麦飯だ。 あぁ そうがえ。 62 00:06:31,157 --> 00:06:33,994 ああ えがった。 ああ そうかい。 63 00:06:33,994 --> 00:06:36,897 あれ… なら おかずは やっぱし…。 64 00:06:36,897 --> 00:06:39,666 今までどおりでいいっつってんだ。 ん? 65 00:06:39,666 --> 00:06:42,502 もう黙ってろ。 ああ はいはいはい。 66 00:06:42,502 --> 00:06:45,205 (みつ)母ちゃん! 黙ってろって。 67 00:06:50,243 --> 00:06:53,146 じいさまたちの部屋さ 明かりつけた。あ そうかえ。 68 00:06:53,146 --> 00:06:55,081 ほんなら 布団 運ぶべ。 69 00:06:55,081 --> 00:06:58,351 あれ フカフカだ この布団。 70 00:06:58,351 --> 00:07:02,322 年寄りに 硬い布団は切ねえから フカフカに仕立てたんだ。 71 00:07:02,322 --> 00:07:05,625 いや~ フッカフカ。 こら 布団に上がんでねえって。 72 00:07:05,625 --> 00:07:07,661 ああ おらも こだ布団に寝てみてえなぁ。 73 00:07:07,661 --> 00:07:11,298 下りろって。 雲に乗っかってるようだ。 74 00:07:11,298 --> 00:07:13,800 何? 雲に? どれ…。 75 00:07:16,136 --> 00:07:21,808 いや~ 本当に フカフカだわ。 いや~ こりゃ 雲の上だわ。 76 00:07:21,808 --> 00:07:24,477 いや~ まんず極楽極楽。 母ちゃん 今度 おら。 77 00:07:24,477 --> 00:07:27,314 ちょっと 待てって。 いや~ まんず…。 78 00:07:27,314 --> 00:07:29,983 何やってんだ! いいかげんにしねえか! 79 00:07:29,983 --> 00:07:34,154 落ちた~!母ちゃん! ぶつけた。 血が出てないかい? 80 00:07:34,154 --> 00:07:36,489 (みつ)大丈夫だ。 いてえ? (やえ)いて いて! 81 00:07:36,489 --> 00:07:38,425 (みつ)大丈夫か? (やえ)駄目だあ! 82 00:07:38,425 --> 00:07:44,364 (祭り囃子) 83 00:07:44,364 --> 00:07:48,835 <この祭りの中で やがて 自分の人生に➡ 84 00:07:48,835 --> 00:07:52,672 深い影響を与える人物に 出会うことも知らず➡ 85 00:07:52,672 --> 00:07:58,545 ただ 祭りの華やかな熱気に 我を忘れている りんでした> 86 00:07:58,545 --> 00:08:01,748 (祭り囃子) 87 00:08:03,950 --> 00:08:07,420 <そのころ 陸奥から遠く離れた➡ 88 00:08:07,420 --> 00:08:11,858 ここは 滋賀県 近江八幡の 琵琶湖の岸ですが➡ 89 00:08:11,858 --> 00:08:18,765 ここにも りんの運命を 左右する人物が おりました> 90 00:08:22,302 --> 00:08:24,637 <あっ この男じゃありません。➡ 91 00:08:24,637 --> 00:08:29,642 これは 橘 彌七 りんの叔父なんです> 92 00:08:37,951 --> 00:08:44,724 (鐘の音) 93 00:08:44,724 --> 00:09:06,513 ♬~ 94 00:09:06,513 --> 00:09:12,118 (僧)餞別や これ持っていき。 うまいこと逃げや。 95 00:09:12,118 --> 00:09:34,841 ♬~ 96 00:09:34,841 --> 00:09:37,844 ⚟(犬の吠える声) 97 00:09:40,680 --> 00:09:43,550 <この男です。➡ 98 00:09:43,550 --> 00:09:47,420 この男が りんと 深い関わりを持つことになる➡ 99 00:09:47,420 --> 00:09:52,158 小野寺源造なのですが…。 源造は商人を志して➡ 100 00:09:52,158 --> 00:09:56,863 修行中の寺を 脱走するところなのです> 101 00:10:00,834 --> 00:10:02,936 (草笛) 102 00:10:07,607 --> 00:10:14,514 (祭り囃子) 103 00:10:14,514 --> 00:10:18,518 じいさま どこさ行ったの? じいさま! 104 00:10:27,994 --> 00:10:30,997 女が触るな! 汚れるでねえか! 105 00:10:33,733 --> 00:10:37,203  回想  女が触るな! 汚れるでねえか! 106 00:10:37,203 --> 00:10:45,912 (祭り囃子) 107 00:10:45,912 --> 00:10:51,251 (松浪)大丈夫ですか? どこもケガは ないですか? 108 00:10:51,251 --> 00:10:56,256 はい… ありがとうございました。 歩けますか? 109 00:11:02,562 --> 00:11:06,533 くじいたのかな…。➡ 110 00:11:06,533 --> 00:11:09,035 少しお待ちなさい。 111 00:11:11,971 --> 00:11:15,174 痛いだろうが 少し我慢なさい。 112 00:11:18,478 --> 00:11:22,348 あんな言葉を気にすることは ないですよ。 113 00:11:22,348 --> 00:11:27,187 女の人は 決して 汚れてなど いませんから。 114 00:11:27,187 --> 00:11:32,158 女だからって 何も卑下することはないんです。 115 00:11:32,158 --> 00:11:39,165 男も女も 人間としては 同じなんですから。同じ? 116 00:11:42,468 --> 00:11:44,871 同じなんです。 117 00:11:48,141 --> 00:11:52,145 さあ もう大丈夫でしょう。 118 00:11:59,118 --> 00:12:02,021 歩いてごらんなさい。 はい。 119 00:12:02,021 --> 00:12:18,771 ♬~ 120 00:12:18,771 --> 00:12:24,077 (徳右衛門)おりん ここさ居たのか どこさ行ってたんだ おりん。 121 00:12:24,077 --> 00:12:27,080 心配したではないか。 122 00:12:36,556 --> 00:12:42,195 これ おりん どこさ行くんだ! おりん おりん! 123 00:12:42,195 --> 00:13:14,661 ♬~ 124 00:13:14,661 --> 00:13:16,596 (物の落ちる音) 125 00:13:16,596 --> 00:13:26,172 ♬~ 126 00:13:26,172 --> 00:13:31,344 <りんの叔父・彌七も 自分が脱走の手引きをした➡ 127 00:13:31,344 --> 00:13:34,247 この若い修行僧 小野寺源造が➡ 128 00:13:34,247 --> 00:13:37,684 後日 自分の姪のりんと 関わりになるとは➡ 129 00:13:37,684 --> 00:13:43,856 夢にも思わなかったに 違いありません> 130 00:13:43,856 --> 00:14:15,321 (祭り囃子) 131 00:14:15,321 --> 00:14:19,826 <そして りんも また この人 松浪 毅が➡ 132 00:14:19,826 --> 00:14:23,329 自分の人生に どんな深い関わりを 持つことになるかを➡ 133 00:14:23,329 --> 00:14:28,201 この時は 夢にも知らなかったのです> 134 00:14:28,201 --> 00:14:49,455 ♬~ 135 00:14:49,455 --> 00:14:53,760 <りんの青春の幕開きでした>