1 00:00:02,202 --> 00:00:21,288 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:21,288 --> 00:00:58,292 ♬~ 3 00:01:00,127 --> 00:01:08,268 (祭り囃子) 4 00:01:08,268 --> 00:01:12,272 女が触るな! 汚れるでねえか! 5 00:01:13,941 --> 00:01:17,778  回想 (松浪)女は 決して 汚れてなぞいません。 6 00:01:17,778 --> 00:01:22,983 男も女も 人間としては まったく同じなんですよ…。 7 00:01:37,164 --> 00:01:39,466 (りん)じいさま! 8 00:01:42,302 --> 00:01:46,139 (徳右衛門)おりんは 会津の白虎隊を知ってるか? 9 00:01:46,139 --> 00:01:48,075 知ってる。 10 00:01:48,075 --> 00:01:52,479 昔は ここに 霞ヶ城という 立派な城があったんだが➡ 11 00:01:52,479 --> 00:01:55,382 同じ 戊辰の戦の時に➡ 12 00:01:55,382 --> 00:01:58,986 西軍に攻められて 焼け落ちてしまったのだ。 13 00:01:58,986 --> 00:02:02,856 二本松は 西軍に つかねかったのかえ? 14 00:02:02,856 --> 00:02:08,795 二本松藩は徳川方につき 最後まで 薩長と戦ったんだ。 15 00:02:08,795 --> 00:02:12,632 その時 死んだのかえ? 父ちゃんの兄さんは。 16 00:02:12,632 --> 00:02:18,772 そうだ。 二本松少年隊は 会津の白虎隊より みな 年若く➡ 17 00:02:18,772 --> 00:02:23,610 最後まで 見事に戦って 見事に 討ち死にをしたんだよ…。 18 00:02:23,610 --> 00:02:29,282 弦一郎も 少年隊士として 立派に戦って 死んだんだ。 19 00:02:29,282 --> 00:02:32,953 えらいもんだなぇ…。 20 00:02:32,953 --> 00:02:38,291 お前の おとっつぁんも 弦一郎と 一緒に出陣したんだが➡ 21 00:02:38,291 --> 00:02:41,595 おとっつぁんは 生き残ったんだ。 22 00:02:43,163 --> 00:02:46,800 ウッター! ほんなら わたすの父ちゃん➡ 23 00:02:46,800 --> 00:02:48,735 少年隊の生き残りかえ? 24 00:02:48,735 --> 00:02:53,573 そうだ。 弘次郎も 少年隊士だったんだ。 25 00:02:53,573 --> 00:02:58,311 あの時 弘次郎は まだ 14歳…。 26 00:02:58,311 --> 00:03:03,083 14? だば わたすと同じ年だ…。 27 00:03:03,083 --> 00:03:11,291 そうだ。 お前と同じ年で 弘次郎は 西軍の中に切り込んでいったんだ。 28 00:03:13,593 --> 00:03:16,263 わたすと同じ年で…。 29 00:03:16,263 --> 00:03:21,134 年少ながら 弘次郎も 立派な武士であった。 30 00:03:21,134 --> 00:03:25,272 父ちゃんは そのこと なして 黙ってるんだべ? 31 00:03:25,272 --> 00:03:31,078 お前の おとっつぁんは あの時 生き残ったことを恥じているんだ。 32 00:03:31,078 --> 00:03:35,282 一緒に出陣した 兄の弦一郎は 見事に死んだ。 33 00:03:35,282 --> 00:03:40,454 お前の おとっつぁんは 脇腹の けがで 気を失っているところを➡ 34 00:03:40,454 --> 00:03:43,490 仲間に 助けらったんだ。 35 00:03:43,490 --> 00:03:47,227 あれから 弘次郎は 人間が変わった。 36 00:03:47,227 --> 00:03:50,464 死にそこなった自分が 許せなかったんだろう。 37 00:03:50,464 --> 00:03:56,269 ああして 親も故郷も捨てて 相馬へ…。 38 00:03:56,269 --> 00:04:03,043 いや。 こういう 返らぬ繰り言は よそう。 な おりん。 39 00:04:03,043 --> 00:04:09,750 わたすと同じ年で…。 父ちゃん…。 40 00:04:14,254 --> 00:04:16,289 ⚟(文吉) 弘次郎さんはいられたがい? 41 00:04:16,289 --> 00:04:19,092 ⚟(やえ)中さ いるぞい。 42 00:04:26,600 --> 00:04:29,936 ⚟(六波羅)お~い! 隣の おっかさん! 43 00:04:29,936 --> 00:04:32,839 (やえ)あぁ 駐在の六波羅さん。 捕まえられた。 44 00:04:32,839 --> 00:04:36,109 ついに 捕まえられたぞ! 何が捕まえられたの? 45 00:04:36,109 --> 00:04:39,946 こん中さ 小便ひょぐった奴! 捕まった!? 46 00:04:39,946 --> 00:04:41,982 今 隣町の駐在さ行ったら➡ 47 00:04:41,982 --> 00:04:45,285 隣の町でも 同じことして とっ捕まったんだと。 48 00:04:45,285 --> 00:04:48,121 (幸助)だれだ? そったら 悪いこと する奴ぁ。 49 00:04:48,121 --> 00:04:51,791 悪いことと思わねえで やったらしい。 ほれ この字。 50 00:04:51,791 --> 00:04:56,129 この字が 「垂れる」に似てるべ? この字が 「便」だべ? 51 00:04:56,129 --> 00:04:58,165 「便垂れ箱」と思ったんだと。 52 00:04:58,165 --> 00:05:01,935 ははぁ… そんで 小便垂れ込んだのか。 53 00:05:01,935 --> 00:05:04,838 なるほどね はばかりと思って…。 54 00:05:04,838 --> 00:05:09,776 したけど どうやって…? 下は 閉め切りだぞい? 55 00:05:09,776 --> 00:05:13,547 それは… ここから。 届きやすか? 56 00:05:13,547 --> 00:05:16,416 …え? 57 00:05:16,416 --> 00:05:20,253 <相馬の りんの家では そのころでは珍しい➡ 58 00:05:20,253 --> 00:05:23,590 小さな郵便局を 家族でやっておりました。➡ 59 00:05:23,590 --> 00:05:26,426 やえの実家の方で していたのを➡ 60 00:05:26,426 --> 00:05:30,230 権利を譲り受けて 始めたのですが…> 61 00:05:31,932 --> 00:05:34,834 (文吉)なんぼぐれえで 買ってもらえっぺな? 62 00:05:34,834 --> 00:05:38,438 (弘次郎)どっから持ってきたんだ。 爺っつぁんのだ。 63 00:05:38,438 --> 00:05:41,341 この夏の暑さで 爺っつぁんが 急に弱ってなえ➡ 64 00:05:41,341 --> 00:05:45,612 ちっと力のつくもんでも 食べさせてやっかと思って…。 65 00:05:45,612 --> 00:05:49,449 なんぼぐれえで 買ってもらえっかな? 66 00:05:49,449 --> 00:05:55,121 なんぼぐれえで 売りてえんだ。 50銭も もらえれば…。 67 00:05:55,121 --> 00:05:58,325 50銭…? 68 00:06:04,731 --> 00:06:10,537 武士の魂を そったに安く売って いいと思ってんのが? 69 00:06:14,441 --> 00:06:19,145  心の声  これが 二本松少年隊の…。 70 00:06:31,825 --> 00:06:35,428  心の声  みんな わたすと同じくらいの年で…。➡ 71 00:06:35,428 --> 00:06:40,767 父ちゃんも もしかしたら 一緒に ここに並んでいたのかえ?➡ 72 00:06:40,767 --> 00:06:44,271 そんな…! 73 00:06:50,477 --> 00:06:53,480 じいさま…? 74 00:06:53,480 --> 00:07:12,232 ♬~ 75 00:07:12,232 --> 00:07:16,736 <今 ただ一人 故郷の山に 別れを告げている➡ 76 00:07:16,736 --> 00:07:22,409 老いた祖父の横顔には 激動する時代の波に弄ばれ➡ 77 00:07:22,409 --> 00:07:27,247 自分の一生と 息子の命を捧げた この父祖の地を➡ 78 00:07:27,247 --> 00:07:31,584 心ならずも 今 去らねばならない 無念と悲しみが➡ 79 00:07:31,584 --> 00:07:33,520 あふれていました。➡ 80 00:07:33,520 --> 00:07:39,326 人間は みな 悲しみや苦しみを 心に ひそめて生きていることを➡ 81 00:07:39,326 --> 00:07:45,131 この時 りんは知ったのです> 82 00:07:45,131 --> 00:08:16,396 ♬~ 83 00:08:16,396 --> 00:08:20,900 (子供たち) わっしょい わっしょい! 84 00:08:20,900 --> 00:08:25,238 なじょしとんだ? この童ぁ。 そのカバン 何だぁ? 85 00:08:25,238 --> 00:08:30,110 (嘉助)こら いつまでやってんだ。 はい ご苦労 ご苦労…。 86 00:08:30,110 --> 00:08:33,580 兄ちゃん! 嘉助! 87 00:08:33,580 --> 00:08:35,915 まあ~ じいさま ばあさま。 88 00:08:35,915 --> 00:08:39,586 テカテカして 前より 随分 若くなったんじゃないの? 89 00:08:39,586 --> 00:08:43,256 はいよ… おかあちゃんに 取られんなよ! 90 00:08:43,256 --> 00:08:47,127 兄ちゃん! 兄ちゃん! 91 00:08:47,127 --> 00:08:49,763 俺は 祭りの太鼓じゃねえんだよ! 92 00:08:49,763 --> 00:08:54,267 そんなに叩いたって テンツクテンテンとは鳴らねえんだよ! 93 00:08:54,267 --> 00:08:57,604 おっ!? 何だ お前! 94 00:08:57,604 --> 00:09:01,474 どこの娘っこかと思ったら お前 おりんじゃねえか! 95 00:09:01,474 --> 00:09:05,044 <りんの兄は 名前を嘉助といい➡ 96 00:09:05,044 --> 00:09:07,947 長男の徳造が 若くして病没してからは➡ 97 00:09:07,947 --> 00:09:11,818 橘家にとって 大事な跡取り息子なのですが➡ 98 00:09:11,818 --> 00:09:14,754 田舎に埋もれることを嫌い 家を出て➡ 99 00:09:14,754 --> 00:09:17,557 横浜に住んでいたのでした> 100 00:09:20,226 --> 00:09:24,898 そんな じいさま。 相馬だ二本松だ 福島だ東京だって➡ 101 00:09:24,898 --> 00:09:28,735 もう そんな小っちぇえこと 言ってる時代じゃねえんだよ。 102 00:09:28,735 --> 00:09:31,771 もっと 目を大きく 外へ向けなきゃ。 103 00:09:31,771 --> 00:09:36,242 海の向こうよ… 外国よ… 「アメリカ」よ。 104 00:09:36,242 --> 00:09:39,145 兄ちゃん アメリカさ 行ってきたの? 105 00:09:39,145 --> 00:09:41,748 ま それに近いとこ 行ってきたんだ。 106 00:09:41,748 --> 00:09:44,584 上海という… 「アメリカ」のようなとこよ。 107 00:09:44,584 --> 00:09:48,254 一体 お前は その横浜という所で 何を やってたのだ? 108 00:09:48,254 --> 00:09:52,425 だから 西洋人の家に住み込んで 共に暮らして➡ 109 00:09:52,425 --> 00:09:54,360 彼らの生活習慣を学び➡ 110 00:09:54,360 --> 00:09:56,930 将来 外国相手の商売を する時のために➡ 111 00:09:56,930 --> 00:10:00,600 大いに勉強しておるので ございます。 はい。 112 00:10:00,600 --> 00:10:02,535 そういえばさ➡ 113 00:10:02,535 --> 00:10:05,271 こないだ 彌七おんつぁんが ひょっこり顔見せて➡ 114 00:10:05,271 --> 00:10:07,607 う~んと励ましてくれたんだ。 彌七が!? 115 00:10:07,607 --> 00:10:10,310 (こと) 彌七は 元気に しとりやしたか? 116 00:10:19,619 --> 00:10:21,554 (源造)すいません いつも。 117 00:10:21,554 --> 00:10:24,290 (彌七)あんたは若いんだ。 遠慮しなくていい。 118 00:10:24,290 --> 00:10:27,193 はい いただきます! 119 00:10:27,193 --> 00:10:31,631 二本松に寄って 仙台に行ったら 後は 私に任せなさい。 120 00:10:31,631 --> 00:10:35,969 あの 彌七さんは 仙台で どんな仕事を してるんですか? 121 00:10:35,969 --> 00:10:41,307 日本物産 函館支店 青森出張所 仙台出張人。は? 122 00:10:41,307 --> 00:10:47,614 とにかく 任せておきなさい。 はい よろしく おたの申します。 123 00:10:49,182 --> 00:10:51,317 何だ それは…。 124 00:10:51,317 --> 00:10:53,987 寺から くすねてきたのかい? 違います! 違いますよっ! 125 00:10:53,987 --> 00:10:57,657 寺で修行してた仲間が 餞別につって くれたんです。 126 00:10:57,657 --> 00:11:02,095 そうか。 じゃあ 大切に持ってるといい。 127 00:11:02,095 --> 00:11:05,598 その仏さんが あんたを守ってくれるだろう。 128 00:11:05,598 --> 00:11:10,303 …はい。 南無大慈観世音菩薩! 129 00:11:12,272 --> 00:11:15,174 兄ちゃん! これ みんな➡ 130 00:11:15,174 --> 00:11:17,443 そのアメリカみてえな所で 買ってきたのかえ? 131 00:11:17,443 --> 00:11:20,346 うん。 向こうの女は➡ 132 00:11:20,346 --> 00:11:23,249 こげな物を着てるのかえ…。 133 00:11:23,249 --> 00:11:28,154 まあ… きれいな織物だこと。 これは刺繍取りかえ? 134 00:11:28,154 --> 00:11:32,292 ハハハ… 女は みんな こういうものが好きなんだなぁ。 135 00:11:32,292 --> 00:11:35,962 よし 後で1つずつ みやげにあげよう。 136 00:11:35,962 --> 00:11:38,865 ウッター! ほんとかえ? うれしい~! 137 00:11:38,865 --> 00:11:42,635 わたすは これが ええ。 何だ お前まで…。 138 00:11:42,635 --> 00:11:44,571 これを持ってきたのは➡ 139 00:11:44,571 --> 00:11:46,506 祭りに集まる女たちに 売ってみようかと思って。 140 00:11:46,506 --> 00:11:49,409 こったな派手なもの 芸者か遊女でなければ 買うまい。 141 00:11:49,409 --> 00:11:52,312 本町に つい こないだ 遊郭が出来たが…。 142 00:11:52,312 --> 00:11:56,149 え? この町にも遊郭出来たの? いい女 いる? 143 00:11:56,149 --> 00:11:58,184 そだらこと わしが知るか! 144 00:11:58,184 --> 00:12:03,590 何も隠さずとも ようございます。 何を言うか この… ばか者! 145 00:12:03,590 --> 00:12:09,262 おい おりん。 兄ちゃんもな 今夜 提灯祭に行くからな。 146 00:12:09,262 --> 00:12:13,766 ほんと!? ああ。 147 00:12:13,766 --> 00:12:18,638 ああ 早く 夜になんねかなぁ…。 148 00:12:18,638 --> 00:13:05,918 (祭り囃子) 149 00:13:05,918 --> 00:13:08,421 おい りん! お前 どこ見てんだよ? 150 00:13:08,421 --> 00:13:12,258 山車は あっちだぞ! 151 00:13:12,258 --> 00:13:15,762 …あばよ! 152 00:13:15,762 --> 00:13:19,265 <嘉助は どこに入り込んだのか➡ 153 00:13:19,265 --> 00:13:23,970 この夜から とうとう 帰ってきませんでした> 154 00:13:27,140 --> 00:13:43,289 ♬~ 155 00:13:43,289 --> 00:13:49,162 <自分の胸が なぜ こんなに 息苦しくなるほど ドキドキするのか➡ 156 00:13:49,162 --> 00:13:55,301 その訳が この時の りんには まだ 分かりませんでした…> 157 00:13:55,301 --> 00:14:12,785 ♬~ 158 00:14:12,785 --> 00:14:16,923 じいさま ばあさま! ほら 見らんしょ! 159 00:14:16,923 --> 00:14:21,260 安達太良山が あんなに きれい…。 160 00:14:21,260 --> 00:14:24,163 ほれっ…! 161 00:14:24,163 --> 00:14:28,601 ♬~ 162 00:14:28,601 --> 00:14:30,803 (徳右衛門)行け。 163 00:14:34,273 --> 00:14:38,111 <こうして りんの祖父母は 故郷を離れ➡ 164 00:14:38,111 --> 00:14:42,949 相馬で りんたちと一緒に 暮らすことになったのです。➡ 165 00:14:42,949 --> 00:14:47,120 そして 美しい山の見える この町は➡ 166 00:14:47,120 --> 00:14:53,326 りんの胸にも 忘れがたい思い出を 残してくれたのでした>