1 00:00:02,202 --> 00:00:20,287 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,287 --> 00:00:59,092 ♬~ 3 00:01:00,761 --> 00:01:04,097 ⚟(りん)母ちゃんが わたすに言いました。 4 00:01:04,097 --> 00:01:07,768 人には 節度っつうものが あるんだって。 5 00:01:07,768 --> 00:01:13,273 母ちゃんが ここに来たら きっと わたすを叱ると思います。 6 00:01:13,273 --> 00:01:16,310 ぶたれるかもしれません。 7 00:01:16,310 --> 00:01:19,079 ほんでも わたす 居ます。 8 00:01:19,079 --> 00:01:23,283 ぶたれても… 居ます! 9 00:01:25,285 --> 00:01:27,955 (松浪)帰りなさい。 10 00:01:27,955 --> 00:01:32,826 先生…。 親に そむいては いけない。 11 00:01:32,826 --> 00:01:37,297 お母さんの おっしゃることを 大事にしなさい。 12 00:01:37,297 --> 00:01:40,634 先生… わたす 今➡ 13 00:01:40,634 --> 00:01:45,839 親の言うことよりも 先生の方が大事です! 14 00:01:56,650 --> 00:02:01,655 先生… 目を つぶってください。 15 00:02:03,924 --> 00:02:08,261 そしたら わたすのこと 見えないでしょ? 16 00:02:08,261 --> 00:02:12,132 わたす 黙ってます。 何にも言いません。 17 00:02:12,132 --> 00:02:17,270 見えなくて 声も聞こえなかったら 居ないのと同じでしょ? 18 00:02:17,270 --> 00:02:21,775 わたすは ここに こうして 黙ってます。 19 00:02:21,775 --> 00:02:25,278 わたすは 居ません。 20 00:02:25,278 --> 00:02:27,314 先生 目を つぶってください。 21 00:02:27,314 --> 00:02:30,317 ここには だれも いません! 22 00:02:37,290 --> 00:02:40,794 先生 起きては駄目です! 駄目! 23 00:02:40,794 --> 00:02:44,498 あ… 先生 駄目です! 24 00:02:47,300 --> 00:03:13,260 ♬~ 25 00:03:13,260 --> 00:03:18,765 居ない人間が 手を出しちゃ 駄目じゃないか。 26 00:03:18,765 --> 00:03:28,108 ♬~ 27 00:03:28,108 --> 00:03:31,611 先生…。 28 00:03:31,611 --> 00:04:08,915 ♬~ 29 00:04:08,915 --> 00:04:12,752 (やえ)自分一人で 大きくなったような顔して➡ 30 00:04:12,752 --> 00:04:16,256 偉そうに…。 31 00:04:16,256 --> 00:04:36,643 ♬~ 32 00:04:36,643 --> 00:04:39,279 ⚟(鶏の鳴き声) 33 00:04:39,279 --> 00:04:41,481 先生…。 34 00:04:54,294 --> 00:04:57,964 先生…。 35 00:04:57,964 --> 00:04:59,900 おはよう。 36 00:04:59,900 --> 00:05:04,404 起きたりして 大丈夫なんですか? 先生。 37 00:05:04,404 --> 00:05:09,075 いつまでも寝ていては 本当に 病人になってしまうからね。 38 00:05:09,075 --> 00:05:12,579 もう大丈夫だ。 39 00:05:12,579 --> 00:05:15,916 いがった…。 40 00:05:15,916 --> 00:05:18,585 ゆうべは 部屋の中に だれも いなくて➡ 41 00:05:18,585 --> 00:05:21,388 静かで よく眠れたよ。 42 00:05:32,599 --> 00:05:40,106 知らないうちに 庭が もう すっかり 秋になってしまった。 43 00:05:40,106 --> 00:05:43,610 このところ ゆっくり 庭を見る暇もなくて…。 44 00:05:45,445 --> 00:05:47,948 お忙しかったから…。 45 00:05:49,783 --> 00:05:54,454 いくら忙しいからって 庭を見ることを忘れるような➡ 46 00:05:54,454 --> 00:05:57,791 季節の移り変わりに 気がつかないような➡ 47 00:05:57,791 --> 00:06:01,294 そんな人間に なってはいけないね。 48 00:06:03,396 --> 00:06:06,433 自分が そんな人間に なっていたことに➡ 49 00:06:06,433 --> 00:06:10,904 気がつかなかった…。 50 00:06:10,904 --> 00:06:13,707 うぬぼれていたんだね。 51 00:06:16,409 --> 00:06:21,281 先生 もう おやすみになった方が いいです。 52 00:06:21,281 --> 00:06:23,583 また 疲れますから。 53 00:06:28,588 --> 00:06:30,790 ゆうべは ありがとう。 54 00:06:32,926 --> 00:06:35,262 けがは? 55 00:06:35,262 --> 00:06:40,967 あ…。 あ もう 固まって。 56 00:06:44,604 --> 00:06:51,478 君が塀を乗り越える勇ましい姿が 見られなかったのは 残念だよ。 57 00:06:51,478 --> 00:06:54,948 お望みなら いつでも 越えてみせます。 58 00:06:54,948 --> 00:06:57,951 まだ 卒業まで 何年もあります。 59 00:07:08,228 --> 00:07:11,564 学校を 辞めるよ。 60 00:07:11,564 --> 00:07:16,569 今年いっぱいで あの学校の教師を 辞めることを 決心した。 61 00:07:18,238 --> 00:07:23,443 もう一度 自分という人間を 確かめてみるためにね。 62 00:07:26,913 --> 00:07:31,084 あんな… あんな くだらない 噂なんか だれも信じてません! 63 00:07:31,084 --> 00:07:33,119 何も気にすることなんか ないんです! 64 00:07:33,119 --> 00:07:35,255 あんなバカげた噂! 65 00:07:35,255 --> 00:07:40,093 しかし そういう噂を 立てられたという➡ 66 00:07:40,093 --> 00:07:43,430 そのことに 僕は ショックを受けた。 67 00:07:43,430 --> 00:07:47,100 その噂が広まったという その事実に➡ 68 00:07:47,100 --> 00:07:50,437 ぼう然としてしまった。 69 00:07:50,437 --> 00:07:53,940 そんな噂を立てられるような いかがわしさが…➡ 70 00:07:53,940 --> 00:07:57,811 そんな噂が広まっていくような そんな軽薄さが➡ 71 00:07:57,811 --> 00:08:01,047 僕の中に あったということに➡ 72 00:08:01,047 --> 00:08:04,551 うろたえてしまった。 73 00:08:04,551 --> 00:08:08,221 そうか 他人から見れば➡ 74 00:08:08,221 --> 00:08:13,560 僕は まだ そんな人間にしか すぎないのかって…。 75 00:08:13,560 --> 00:08:15,595 他人の目なんか…。 76 00:08:15,595 --> 00:08:18,431 そんな… そんな汚い目なんか…。 77 00:08:18,431 --> 00:08:21,234 いや。 78 00:08:21,234 --> 00:08:24,571 本当に 人間として立派であれば➡ 79 00:08:24,571 --> 00:08:27,774 汚い目の方で 恥じてくれる。 80 00:08:31,244 --> 00:08:34,147 もう一度 勉強し直し➡ 81 00:08:34,147 --> 00:08:38,585 主の御教えを 人に説くに ふさわしい人間になるために➡ 82 00:08:38,585 --> 00:08:41,087 僕は 学校を辞める。 83 00:08:44,257 --> 00:08:47,160 イギリスのエジンバラという町の大学で➡ 84 00:08:47,160 --> 00:08:51,030 僕の宗教上の恩師が 教鞭をとっておられる。 85 00:08:51,030 --> 00:08:55,869 以前から もう一度 一緒に 教義の勉強をしてみないかって➡ 86 00:08:55,869 --> 00:08:58,772 お誘いを受けていたんだ。 87 00:08:58,772 --> 00:09:02,642 先生…。 88 00:09:02,642 --> 00:09:05,845 外国へ行ってしまうんですか!? 89 00:09:09,048 --> 00:09:14,387 だから 残念ながら➡ 90 00:09:14,387 --> 00:09:18,258 君が塀を乗り越える 勇ましい姿は➡ 91 00:09:18,258 --> 00:09:20,960 もう見せてもらうことが できないね。 92 00:09:23,096 --> 00:09:43,082 ♬~ 93 00:09:43,082 --> 00:09:45,385 (やえ)おりん…。 94 00:09:48,755 --> 00:09:53,426 早く中に入りな。 今なら だれにも 気ぃつかれねえから。 95 00:09:53,426 --> 00:09:56,463 気づかれたら 一緒に 言い訳してやっぺと思って➡ 96 00:09:56,463 --> 00:09:59,232 待ってたんだ。 97 00:09:59,232 --> 00:10:01,167 母ちゃん…。 98 00:10:01,167 --> 00:10:04,771 今日で 母ちゃん 相馬さ帰っから。 母ちゃん…。 99 00:10:04,771 --> 00:10:11,544 おりん。 母ちゃんは お前を 信用してっから。 100 00:10:11,544 --> 00:10:16,483 信用できるような娘に育てたと 思ってっから。 101 00:10:16,483 --> 00:10:19,486 それだけは 覚えててくんつぇ。 102 00:10:21,221 --> 00:10:24,157 母ちゃんが言っておくことは それだけだ。 103 00:10:24,157 --> 00:10:28,461 後は お前が考えたとおりに やってみな。 104 00:10:32,465 --> 00:10:36,269 先生は元気になられたかぇ? 105 00:10:38,338 --> 00:10:41,341 先生は…。 106 00:10:43,476 --> 00:10:46,479 イギリスへ行ってしまうよ。 107 00:10:53,486 --> 00:10:56,289 イギリスへ行ってしまう…。 108 00:11:00,927 --> 00:11:06,232 先生が… 行ってしまうんだよ! 109 00:11:07,800 --> 00:11:11,938 おりん…。 110 00:11:11,938 --> 00:11:14,841 (泣き声) 111 00:11:14,841 --> 00:11:18,711 母ちゃん…。 112 00:11:18,711 --> 00:11:27,787 ♬~ 113 00:11:27,787 --> 00:11:30,590 母ちゃん…。 114 00:11:36,296 --> 00:11:40,800 <松浪先生は 2学期の最後の授業を終え➡ 115 00:11:40,800 --> 00:11:46,306 クリスマスを迎えずに 学校を去ることになりました> 116 00:11:46,306 --> 00:12:09,095 ♬~(賛美歌) 117 00:12:09,095 --> 00:12:17,437 (みどり) 私 松浪先生の いらっしゃらない 学校なんて やめちゃうわ。 118 00:12:17,437 --> 00:12:27,146 ♬~(賛美歌) 119 00:12:27,146 --> 00:12:35,455 (祭り囃子) 120 00:12:35,455 --> 00:13:10,089 ♬~ 121 00:13:10,089 --> 00:13:19,298 「愛は しのぶことをなし また 人の益をはかるなり」。 122 00:13:23,102 --> 00:13:31,277 「愛は 妬まず 誇らず たかぶらず➡ 123 00:13:31,277 --> 00:13:33,980 非礼を行わず」。 124 00:13:38,051 --> 00:13:42,989 「己の利を求めず➡ 125 00:13:42,989 --> 00:13:47,627 軽々しく怒らず➡ 126 00:13:47,627 --> 00:13:50,930 人の悪しきを思わず」。 127 00:13:53,499 --> 00:13:56,502 「愛は しのぶことをなし…」。 128 00:14:00,139 --> 00:14:05,745 「また 人の益をはかるなり。➡ 129 00:14:05,745 --> 00:14:14,454 愛は 妬まず 誇らず たかぶらず➡ 130 00:14:14,454 --> 00:14:20,093 非礼を行わず➡ 131 00:14:20,093 --> 00:14:23,763 己の利を求めず…」。 132 00:14:23,763 --> 00:14:31,270 ♬~ 133 00:14:31,270 --> 00:14:38,945 <松浪は 一冊の賛美歌集を残して りんから 去っていきました。➡ 134 00:14:38,945 --> 00:14:44,617 りんの初恋と 少女期との 別れでした> 135 00:14:44,617 --> 00:14:54,927 ♬~