1 00:00:02,202 --> 00:00:20,587 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,587 --> 00:00:59,092 ♬~ 3 00:01:07,601 --> 00:01:12,105 (徳右衛門)彌七 このみやげの酒は なかなか うまい酒だな。 4 00:01:12,105 --> 00:01:15,609 (彌七)そうですか。 それも 第二師団 御用達の酒です。 5 00:01:15,609 --> 00:01:19,780 (源造)しかし それを飲めるのは 将校以上の高級軍人だけですよ。 6 00:01:19,780 --> 00:01:25,118 そうか…。 すると 軍夫では これは 飲めんのか。 7 00:01:25,118 --> 00:01:27,154 軍夫? (やえ)いや その話は➡ 8 00:01:27,154 --> 00:01:29,957 もう済んだことでござりやすから。 おとっつぁま…。 9 00:01:29,957 --> 00:01:33,293 彌七さん 源造さん うまいもの ござりやせんけど➡ 10 00:01:33,293 --> 00:01:35,796 どうぞ あがってくだっしょ。 11 00:01:35,796 --> 00:01:38,131 軍夫が どうしたんですか? おとっつぁん。 12 00:01:38,131 --> 00:01:41,168 (こと) いえ おとっつぁまが 冗談に➡ 13 00:01:41,168 --> 00:01:43,637 軍夫に応募するなんぞと 言い出して…。 14 00:01:43,637 --> 00:01:46,673 冗談ではないぞ。 今でも まだ その望みは捨ててねえ! 15 00:01:46,673 --> 00:01:48,809 あなた! 16 00:01:48,809 --> 00:01:53,313 そうですか。 おとっつぁまが 軍夫になりたいと…。 17 00:01:53,313 --> 00:01:55,816 いや 親子というものは➡ 18 00:01:55,816 --> 00:01:58,719 妙なところが似るもんだなぁ。 …なあ? 19 00:01:58,719 --> 00:02:01,922 (徳右衛門)え? 何が似てるんだって? 20 00:02:01,922 --> 00:02:06,793 父上。 実は 私も 軍夫に応募したんです。 21 00:02:06,793 --> 00:02:09,262 何だって!? 彌七! 22 00:02:09,262 --> 00:02:11,298 (弘次郎)彌七! それは本当か? 23 00:02:11,298 --> 00:02:17,971 本当です。 もう 採用が決定して 来月10日に 入隊です。➡ 24 00:02:17,971 --> 00:02:22,275 その報告に 今日 こうして 2人で来たんです。 25 00:02:22,275 --> 00:02:24,211 (りん)ウッタ~…。 26 00:02:24,211 --> 00:02:27,948 相談を受けた時は 私も驚いて 止めました。 27 00:02:27,948 --> 00:02:30,984 しかし 彌七さんの決心が 固くて…。 28 00:02:30,984 --> 00:02:34,287 (こと) 彌七 何を言っているのです。 29 00:02:34,287 --> 00:02:38,625 (弘次郎)店はどうするんだ 彌七! あにさん これからの商人は➡ 30 00:02:38,625 --> 00:02:41,962 もう 日本の国内だけ 相手にしていては 駄目です。➡ 31 00:02:41,962 --> 00:02:46,133 俺は これから 日本の食べ物を 外国に売り広げようと➡ 32 00:02:46,133 --> 00:02:48,969 思ってるんだ。 それには まず➡ 33 00:02:48,969 --> 00:02:53,473 外国の 普通の人間の暮らしを 見なければならんでしょう? 34 00:02:53,473 --> 00:02:56,309 (嘉助) ああ それで 軍夫になって➡ 35 00:02:56,309 --> 00:02:58,345 向こうの国の様子を 見てこようってわけだ。 36 00:02:58,345 --> 00:03:02,582 もちろん 軍夫の仕事も ちゃんと やりながらの話だ。 37 00:03:02,582 --> 00:03:07,254 国へのご奉公と 自分の商売と 一石二鳥。 38 00:03:07,254 --> 00:03:11,124 分かった… 分かったぞ! 39 00:03:11,124 --> 00:03:13,760 (みつ) 何が分かったの? 兄ちゃん。 40 00:03:13,760 --> 00:03:16,430 俺は どうして こう 一つのことに満足せずに➡ 41 00:03:16,430 --> 00:03:19,766 外側へ外側へと 目も心も向くかと 不思議だと思ったんだ。 42 00:03:19,766 --> 00:03:23,270 分かったよ。 橘家の血筋なんだ! 43 00:03:23,270 --> 00:03:25,939 じいさまや 彌七おんつぁんと 同じ血筋なんだよ。 44 00:03:25,939 --> 00:03:31,611 ハハハハ そうなんだ。 俺は橘家の男なんだ! バンザ~イ! 45 00:03:31,611 --> 00:03:34,114 おい おりん。 お前も そうだぞ。 46 00:03:34,114 --> 00:03:36,149 え… わたす? そうだよ。 47 00:03:36,149 --> 00:03:38,985 お前の心は いつも 外に向かって はね跳んでんだろ? 48 00:03:38,985 --> 00:03:41,855 外国を知りたがったり 女学校へ行きたがったり➡ 49 00:03:41,855 --> 00:03:45,292 それは お前 橘家の血筋なんだよ! 50 00:03:45,292 --> 00:03:48,095 そうだべか…。 51 00:03:49,796 --> 00:03:54,968 男は いいなぇ。 何でも 自分の好きなことができて。 52 00:03:54,968 --> 00:03:57,471 なんぼ 橘家の人間でも➡ 53 00:03:57,471 --> 00:04:01,074 女は そうは いかねえもんなぇ 姉ちゃん。 54 00:04:01,074 --> 00:04:05,745 わたす やってみる。 え? 何を? 55 00:04:05,745 --> 00:04:09,249 先生に なるっつう話 父ちゃんに しかられたげんと➡ 56 00:04:09,249 --> 00:04:11,918 一度 言われたくらいで すっこんでいては駄目だぁ。 57 00:04:11,918 --> 00:04:16,089 しようと思ったら やらねっか。 わたすも橘家の人間なんだから! 58 00:04:16,089 --> 00:04:19,092 わたすだって おんつぁんに負けてらんに! 59 00:04:20,961 --> 00:04:23,430 よ~し。 60 00:04:23,430 --> 00:04:33,140 ♬~ 61 00:04:33,140 --> 00:04:35,642 お願いがあります。 62 00:04:45,285 --> 00:04:50,157 これで あの仏像を 買い戻させてください。 63 00:04:50,157 --> 00:04:54,961 あの時 仏にすがる心を 起こさぬように➡ 64 00:04:54,961 --> 00:04:57,998 それよりは 自分に頼りたいと言って➡ 65 00:04:57,998 --> 00:05:00,567 あんたは あの仏さまを 売っていったんだが。 66 00:05:00,567 --> 00:05:03,403 はい 確かに そう言いました。 67 00:05:03,403 --> 00:05:07,240 そして 過分の代金で 買っていただきました。 68 00:05:07,240 --> 00:05:12,078 でも やっと 私にも分かってきた ような気がするんです。 69 00:05:12,078 --> 00:05:16,950 自分というものは 何か もっと 人間の力を超えた➡ 70 00:05:16,950 --> 00:05:20,253 大きなものに支えられている ような気がするんです。 71 00:05:22,255 --> 00:05:27,060 もう一度 あの仏像を買い戻させてください。 72 00:05:56,122 --> 00:05:58,325 これで…。 73 00:06:04,564 --> 00:06:09,069 あの時は 確か6円で買い取った。 74 00:06:09,069 --> 00:06:12,405 これでは 多すぎる。 少しばかり 金もうけをしたと思って➡ 75 00:06:12,405 --> 00:06:15,442 賢しらなことをと お怒りにならないでください。 76 00:06:15,442 --> 00:06:17,744 仏さまの宿料です。 77 00:06:20,146 --> 00:06:24,017 あ~ 湯を浴びて さっぱりした。 あねさん お先です。 78 00:06:24,017 --> 00:06:26,319 お 源造。 早く ふろ入れ。 79 00:06:27,954 --> 00:06:31,258 お 何だ? その仏さま。 80 00:06:31,258 --> 00:06:33,760 お前が あの寺から もらってきた…。 81 00:06:35,428 --> 00:06:39,933 彌七さん。 これを戦地に 持っていってください。 え? 82 00:06:39,933 --> 00:06:43,803 きっと 彌七さんを 守ってくださると思うんです。 83 00:06:43,803 --> 00:06:46,306 身近に持っていてください。 84 00:06:48,942 --> 00:06:52,445 行かないでくれという 私の願いは 聞いてもらえませんでしたが➡ 85 00:06:52,445 --> 00:06:56,116 これくらいは聞いてください。 お願いします。 86 00:06:56,116 --> 00:06:59,152 源造…。 87 00:06:59,152 --> 00:07:02,923 必ず 帰ってきてください。 88 00:07:02,923 --> 00:07:08,695 無事で… 必ず帰ってきてください。 89 00:07:08,695 --> 00:07:23,743 ♬~ 90 00:07:23,743 --> 00:07:27,914 そんじゃ 皆さん お元気で。 91 00:07:27,914 --> 00:07:30,917 お前も 元気で。 はい。 92 00:07:52,138 --> 00:07:54,774 (鶴次)おりんさん。 93 00:07:54,774 --> 00:07:58,611 私も おりんさんに 報告することが あるんですよ。 94 00:07:58,611 --> 00:08:00,547 何ですか? 95 00:08:00,547 --> 00:08:06,052 私も 軍隊と一緒に 戦地に行くことになりました。 96 00:08:06,052 --> 00:08:08,388 鶴次先生が 戦争へ!? 97 00:08:08,388 --> 00:08:11,424 でも 戦争をしに行くわけでは ありません。 98 00:08:11,424 --> 00:08:15,061 本部からの命令で 従軍宣教師として➡ 99 00:08:15,061 --> 00:08:19,566 戦場となった現地の住民や 兵隊さんたちを慰問し➡ 100 00:08:19,566 --> 00:08:21,601 布教をしに行くのです。 101 00:08:21,601 --> 00:08:25,905 鶴次先生が 戦地へ…。 102 00:08:25,905 --> 00:08:31,411 現地へ行って 敵味方の別なく 主の御教えを説き➡ 103 00:08:31,411 --> 00:08:34,080 互いに 敵を愛する心で➡ 104 00:08:34,080 --> 00:08:38,585 1日も早く 戦が終わるように 祈ってくるつもりです。 105 00:08:47,594 --> 00:08:49,596 鶴次先生! 106 00:08:51,264 --> 00:08:53,933 今日の日曜学校は あるんですか? 107 00:08:53,933 --> 00:09:01,541 あります。 私が戦地にたつ日まで 何事も変わりません。 108 00:09:01,541 --> 00:09:05,879 わたすに… 後で 子供たちに 話をさせてください。 109 00:09:05,879 --> 00:09:09,549 おりんさんが? わたす 先生になろうと思うんです。 110 00:09:09,549 --> 00:09:13,887 だから 今から みんなに話をする 稽古をしておきたいんです。 111 00:09:13,887 --> 00:09:17,757 わたす みんなに 女学校の話 します。 112 00:09:17,757 --> 00:09:20,059 いいでしょ? 先生。 113 00:09:23,063 --> 00:09:25,965 そうだよ。 お金がなくたって➡ 114 00:09:25,965 --> 00:09:29,402 自分が勉強したいと思えば 女学校入って 勉強できる。 115 00:09:29,402 --> 00:09:31,337 わたすだって そうだったんだから。 116 00:09:31,337 --> 00:09:33,273 ほんとけ? おらも行きてえ。 117 00:09:33,273 --> 00:09:37,143 おらも入れてくれっぺか? 西洋人の言葉 教えてくれんのか? 118 00:09:37,143 --> 00:09:40,914 そうだ。 だれでも入れる。 何でも教えてもらえる。 119 00:09:40,914 --> 00:09:44,584 ただし 一生懸命 勉強しねっか 駄目だぞぇ。 120 00:09:44,584 --> 00:09:48,421 これからは 女だって いろんなこと勉強して…。 121 00:09:48,421 --> 00:09:50,924 そだ余計なこと 童さ 聞かせねえでくだっしょ! 122 00:09:50,924 --> 00:09:52,959 お前さんと おら家の子とは 違うんだ。 123 00:09:52,959 --> 00:09:55,428 そういう うめえ話は ここらの子供ら みんなが➡ 124 00:09:55,428 --> 00:09:58,097 奉公にも糸繰りにも行かねえで 済むようになった時に➡ 125 00:09:58,097 --> 00:10:01,768 聞かせてくだっしょ! おみよ! おみよ! 126 00:10:01,768 --> 00:10:05,605 ちょっと待って…。 帰るべ! 帰るべ! 127 00:10:05,605 --> 00:10:09,309 お願いだから 聞いてくだっしょ! 子供に そだ話しねえで! 128 00:10:12,779 --> 00:10:17,617 (鶴次)もう一度 聞いてください! おりんさんの話 もう一度…。 129 00:10:17,617 --> 00:10:21,421 ねえ… お願いだから 聞いてくだっしょ! 130 00:10:34,634 --> 00:10:37,971 自分の話してえことも ちゃんと話せねくて➡ 131 00:10:37,971 --> 00:10:42,308 親を怒らせちまって…。 132 00:10:42,308 --> 00:10:45,345 駄目だ わたす…。 133 00:10:45,345 --> 00:10:49,649 じゃあ 先生になることは もう あきらめたか。 134 00:10:49,649 --> 00:10:52,552 ううん! ほんだから➡ 135 00:10:52,552 --> 00:10:55,321 もっと ちゃんと 先生になれるように勉強しねっか。 136 00:10:55,321 --> 00:10:58,992 わたす もっともっと勉強して 立派な先生になる! 137 00:10:58,992 --> 00:11:02,428 だから 父ちゃん わたすが女学校さ残って➡ 138 00:11:02,428 --> 00:11:04,464 先生の手伝いすること➡ 139 00:11:04,464 --> 00:11:09,102 許してください。 頼みます。 140 00:11:09,102 --> 00:11:11,304 父ちゃん…。 141 00:11:14,908 --> 00:11:18,411 嘉助も おみつも ここさ座れ。 142 00:11:31,124 --> 00:11:37,897 嘉助。 お前が 「橘家の人間として うれしい」と言った➡ 143 00:11:37,897 --> 00:11:42,902 あの言葉は 本当か? 本当だよ おとっつぁん。 144 00:11:44,637 --> 00:11:49,142 「橘家の男として 俺もやる」と 言った。 145 00:11:49,142 --> 00:11:51,077 あれは 本心か? 146 00:11:51,077 --> 00:11:53,813 そんなことは 嘘で言えねえよ。 147 00:11:53,813 --> 00:11:56,816 おとっつぁん 俺を信じてくれよ。 148 00:11:58,484 --> 00:12:01,387 信じよう。 149 00:12:01,387 --> 00:12:05,592 やりたいように やってみるがいい。 150 00:12:05,592 --> 00:12:08,928 おとっつぁん…。 151 00:12:08,928 --> 00:12:11,965 おりん。 152 00:12:11,965 --> 00:12:16,269 はい。 お前も同じだ。 153 00:12:16,269 --> 00:12:20,773 それほど 先生になりたければ 勉強がしたければ➡ 154 00:12:20,773 --> 00:12:25,078 悔いを残さぬように やってみろ。 (やえ)おとっつぁん…。 155 00:12:27,447 --> 00:12:30,350 いいのかい? 父ちゃん…。 156 00:12:30,350 --> 00:12:33,052 (弘次郎) 悪いと言ったら やめるのか? 157 00:12:37,624 --> 00:12:40,627 (弘次郎)では それしかないではないか。 158 00:12:44,297 --> 00:12:48,968 ありがとう。 父ちゃん。 159 00:12:48,968 --> 00:12:52,305 おみつ。 160 00:12:52,305 --> 00:12:55,341 山田村の吉川は 縁組みの相手としては➡ 161 00:12:55,341 --> 00:12:59,345 悪い家ではない。 お前は 嫁に行け。 162 00:13:01,748 --> 00:13:03,750 はい。 163 00:13:06,252 --> 00:13:08,755 言うことは それだけだ。 164 00:13:08,755 --> 00:13:13,092 それでよし。 それが 家長の裁断というものだ。 165 00:13:13,092 --> 00:13:15,762 我が子を信じ 断を下す。 166 00:13:15,762 --> 00:13:19,432 親として うれしいことではないか。 167 00:13:19,432 --> 00:13:22,268 喜べ 弘次郎。 168 00:13:22,268 --> 00:13:44,957 ♬~ 169 00:13:55,168 --> 00:13:57,170 いやいや➡ 170 00:13:57,170 --> 00:14:01,574 これなら よく目立って お客も来るわ。 171 00:14:01,574 --> 00:14:03,910 子供たちに負けねえように➡ 172 00:14:03,910 --> 00:14:08,081 おとっつぁんも 再出発だなぇ。 173 00:14:08,081 --> 00:14:10,116 おとっつぁん➡ 174 00:14:10,116 --> 00:14:14,954 子供たちの中さ おとっつぁんも わたすも➡ 175 00:14:14,954 --> 00:14:18,725 みんな伝わってっから➡ 176 00:14:18,725 --> 00:14:23,229 バラバラになってても 何にも心配ねえよなぇ…。 177 00:14:26,466 --> 00:14:28,468 なぇ。 178 00:14:35,174 --> 00:14:39,145  心の声  もっともっと いろんなこと 知りてえ。➡ 179 00:14:39,145 --> 00:14:41,781 わたすは わたす。➡ 180 00:14:41,781 --> 00:14:46,085 よ~し とりあえず…。 181 00:14:47,954 --> 00:14:54,260 <慌ただしかった りんの夏休みが もう終わろうとしています>