1 00:00:02,202 --> 00:00:20,654 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,654 --> 00:00:59,993 ♬~ 3 00:00:59,993 --> 00:01:04,264 <みつに死なれた悲しみは 日が たつにつれて➡ 4 00:01:04,264 --> 00:01:06,300 かえって 深く重く➡ 5 00:01:06,300 --> 00:01:11,004 家族一人一人の心に 染みついていくようでした> 6 00:01:39,800 --> 00:01:43,136 (りん)昨夜 蛍が部屋の中さ入ってきて➡ 7 00:01:43,136 --> 00:01:46,807 一晩中 飛び回って いや きれいだったわ~。 8 00:01:46,807 --> 00:01:49,843 蛍って 本当に 甘い水が好きなんだべか? 9 00:01:49,843 --> 00:01:52,679 今度 砂糖水 作って 置いてみっか? 10 00:01:52,679 --> 00:01:55,816 そしたら 寝ながら 一晩中 蛍見物できて➡ 11 00:01:55,816 --> 00:01:58,719 いいかもしれねえなぇ? 12 00:01:58,719 --> 00:02:01,421 アハハハ…。 13 00:02:03,090 --> 00:02:07,961 (嘉助)ガキの頃 川っぷちに蛍取り行ってよ➡ 14 00:02:07,961 --> 00:02:13,600 おみつ 忘れて置いてきて 大騒ぎしたこと あったっけなぁ。 15 00:02:13,600 --> 00:02:16,103 あの頃から あいつは いるか いないか 分かんない子➡ 16 00:02:16,103 --> 00:02:19,973 だったけどよ 本当に いなくなっちまいやがって…。➡ 17 00:02:19,973 --> 00:02:22,776 俺は 迷子になったら➡ 18 00:02:22,776 --> 00:02:25,278 どこでも 捜し行っちゃうんだけどよ…。 19 00:02:25,278 --> 00:02:28,115 やめて そだ話。 20 00:02:28,115 --> 00:02:31,618 (嘉助)あ… ごめんよ。➡ 21 00:02:31,618 --> 00:02:35,322 おみつの話は しない約束だったな。 22 00:02:40,293 --> 00:02:44,498 父ちゃん もう しまいかぇ? そんなら お湯を…。 23 00:02:55,642 --> 00:02:59,312 父ちゃん きっと また おみつの墓に行ってるんだべな。 24 00:02:59,312 --> 00:03:02,582 一日一回は 必ず行ってっから。 25 00:03:02,582 --> 00:03:07,454 何にも言わずに お墓の前で ただ じっと座ってんだ。 26 00:03:07,454 --> 00:03:11,758 きっと 心の中で おみつと 何か しゃべってるんだべな。 27 00:03:11,758 --> 00:03:13,694 親父のことだ。 28 00:03:13,694 --> 00:03:17,097 自分が おみつを殺したぐらいに 思ってるんじゃねえかな。 29 00:03:17,097 --> 00:03:19,933 そんな… 父ちゃんは 何にも…。 30 00:03:19,933 --> 00:03:24,771 でも 吉川に嫁に行けと 最後に決めたのは 親父だろう? 31 00:03:24,771 --> 00:03:28,942 きっと そのことで 自分を責めてるんだよ。 32 00:03:28,942 --> 00:03:31,244 そういう親父なんだよ。 33 00:03:33,780 --> 00:03:40,287 そういう父ちゃんを 兄ちゃんは どうするつもりなの? 34 00:03:40,287 --> 00:03:43,323 あんなんなってしまってる 父ちゃんを置いて➡ 35 00:03:43,323 --> 00:03:47,060 兄ちゃん やっぱり 横浜に帰ってしまうの? 36 00:03:47,060 --> 00:03:49,463 あんなに ボーッとしてしまってる 母ちゃんを置いて➡ 37 00:03:49,463 --> 00:03:52,365 やっぱり 一人で 横浜さ行っちまうの? 38 00:03:52,365 --> 00:03:55,335 兄ちゃん! 39 00:03:55,335 --> 00:03:59,473 じゃあ 俺が横浜に帰らねえで ここに ず~っと いるとしたら➡ 40 00:03:59,473 --> 00:04:02,075 この家のために どんな いいことがあるんだ? 41 00:04:02,075 --> 00:04:04,778 だって みんな安心するもの…。 42 00:04:06,746 --> 00:04:09,249 何が安心だ! 43 00:04:09,249 --> 00:04:11,585 俺が ただ ここに いれば それで いいのか? 44 00:04:11,585 --> 00:04:14,621 あの郵便受けに 一日中 座って 来もしない客を待っていれば➡ 45 00:04:14,621 --> 00:04:17,090 それで安心なのかよ? え? 46 00:04:17,090 --> 00:04:19,760 おとっつぁんと一緒に こんな売れもしない古道具を➡ 47 00:04:19,760 --> 00:04:24,097 いじくり回してりゃ それが親孝行か? 48 00:04:24,097 --> 00:04:27,934 お前が 女ながら そうして 家のことや みんなのことを➡ 49 00:04:27,934 --> 00:04:31,271 心配してくれるのは 兄ちゃん うれしいと思うよ。 50 00:04:31,271 --> 00:04:38,044 ま お前からしてみれば 兄ちゃん 頼りねえと思うけどよ…。 51 00:04:38,044 --> 00:04:40,781 そんなこと思ってないわ。 おりん。 52 00:04:40,781 --> 00:04:43,116 兄ちゃんだってな いろいろ考えてるんだよ。 53 00:04:43,116 --> 00:04:45,452 兄ちゃんはな この家から逃げるために➡ 54 00:04:45,452 --> 00:04:48,355 横浜 行ったんじゃねえんだよ! 俺はな…。 55 00:04:48,355 --> 00:04:51,791 何て言うか… うまく言えねえけどよ➡ 56 00:04:51,791 --> 00:04:56,296 この橘家を 華々しく 盛り上げようと思ってよ…! 57 00:04:58,131 --> 00:05:01,902 俺の目的は 着々と進みつつあるんだよ。 58 00:05:01,902 --> 00:05:05,405 だから いまちっと いまちっと待ってくれよ。 59 00:05:05,405 --> 00:05:08,241 必ず 商売を成功させて➡ 60 00:05:08,241 --> 00:05:10,277 おとっつぁん おっかさん じいちゃん ばあちゃん➡ 61 00:05:10,277 --> 00:05:13,113 お前も みんな ひっくるめて 呼んでやるから! な? 62 00:05:13,113 --> 00:05:15,582 だから 黙って待っててくれよ! 63 00:05:15,582 --> 00:05:19,586 な? おりん 頼むよ! 64 00:05:23,089 --> 00:05:27,894 わたす どうしたらいいんだべなぁ…。 65 00:05:38,104 --> 00:05:41,608 じゃあ またな。 66 00:05:41,608 --> 00:05:44,444 <相変わらずの大言壮語を残して➡ 67 00:05:44,444 --> 00:05:48,248 嘉助は また 横浜へ帰っていきました> 68 00:05:52,319 --> 00:05:54,521 父ちゃん…。 69 00:06:01,861 --> 00:06:04,731 父ちゃん 何すんの!? 70 00:06:04,731 --> 00:06:06,733 父ちゃん! 71 00:06:10,604 --> 00:06:12,606 父ちゃん…。 72 00:06:15,909 --> 00:06:18,111 父ちゃん…。 73 00:06:29,089 --> 00:06:32,292 母ちゃん… 母ちゃん…。 74 00:06:33,927 --> 00:06:37,264 母ちゃん… 母ちゃん! どこさいるの? 75 00:06:37,264 --> 00:06:40,166 母ちゃん! 76 00:06:40,166 --> 00:06:43,970 母ちゃん どこさ行ったの!? 母ちゃん…。 77 00:06:49,609 --> 00:06:51,811 母ちゃん…。 78 00:06:59,319 --> 00:07:02,555 (やえ)そで丈 もうちっと 長くしといた方が➡ 79 00:07:02,555 --> 00:07:05,558 えがったかなぇ おみつ…。 80 00:07:12,232 --> 00:07:15,268 あんな父ちゃん母ちゃん 見るの わたす 初めてだ。 81 00:07:15,268 --> 00:07:18,738 自分で自分が 分かんねくなってるような➡ 82 00:07:18,738 --> 00:07:22,909 あんな父ちゃん母ちゃん わたす とっても見てらんに。 83 00:07:22,909 --> 00:07:30,650 (こと)自分が嫁にやった娘に あのような死に方をされては➡ 84 00:07:30,650 --> 00:07:35,088 親には 悔いばかしが残りやす。 85 00:07:35,088 --> 00:07:41,261 おみつも かわいそうだけど 親も かわいそう…。 86 00:07:41,261 --> 00:07:43,930 あんな父ちゃん母ちゃん あのままにして➡ 87 00:07:43,930 --> 00:07:45,966 わたす 仙台へは帰れない。 88 00:07:45,966 --> 00:07:50,170 なぇ じいさま ばあさま わたす どうしたらいいんだべか? 89 00:07:51,805 --> 00:07:57,610 あんな父ちゃん母ちゃん 一体 どうすればいいんだべか…。 90 00:08:00,213 --> 00:08:05,552 (徳右衛門)わしは 前にも一度 ああいう弘次郎を見ている。 91 00:08:05,552 --> 00:08:07,487 いつ? 92 00:08:07,487 --> 00:08:11,424 二本松少年隊士として 敵陣に斬り込み➡ 93 00:08:11,424 --> 00:08:16,429 そして 本意なく 生き残ってしまった時の弘次郎だ。 94 00:08:18,131 --> 00:08:25,572 あの時の弘次郎は 死んだ者への 申し訳なさと 己に対する恥と➡ 95 00:08:25,572 --> 00:08:29,409 無念の思いで 自分を責めて責めて 責めぬいて➡ 96 00:08:29,409 --> 00:08:32,445 ほとんど廃人のごとく➡ 97 00:08:32,445 --> 00:08:37,283 ただ うつうつと うつろに 日々を過ごしていた。 98 00:08:37,283 --> 00:08:41,755 ちょうど 今の あの弘次郎のように。 99 00:08:41,755 --> 00:08:45,258 そうであったな? はい。 100 00:08:45,258 --> 00:08:49,095 いつ わが手で わが命を絶つかと➡ 101 00:08:49,095 --> 00:08:53,266 私は もう 覚悟をしておりやした。➡ 102 00:08:53,266 --> 00:08:57,771 二本松を離れ 他の土地で生き直してみると➡ 103 00:08:57,771 --> 00:09:01,641 言いだした時には 本当に もう ホッといたしやした…。 104 00:09:01,641 --> 00:09:06,212 あの時も あれだけ苦しみながら 弘次郎は➡ 105 00:09:06,212 --> 00:09:09,115 もう一度 生き直す道を 自分で見つけ➡ 106 00:09:09,115 --> 00:09:13,553 自分で その道を歩いていった。 107 00:09:13,553 --> 00:09:16,456 お前の父親は そういう男だ。 108 00:09:16,456 --> 00:09:20,727 苦しみや悲しみに ただただ負けてしまうような➡ 109 00:09:20,727 --> 00:09:23,630 そんな柔な人間ではない。 110 00:09:23,630 --> 00:09:25,899 そうでござりやす。 111 00:09:25,899 --> 00:09:30,236 (徳右衛門)おりん そだに心配することはない。➡ 112 00:09:30,236 --> 00:09:32,906 お前の おとっつぁんは 大丈夫だ。➡ 113 00:09:32,906 --> 00:09:37,744 今は 自分を責め 自分を疑って 苦しんでいるだろうが➡ 114 00:09:37,744 --> 00:09:42,082 今に きっと あの二本松の時のように➡ 115 00:09:42,082 --> 00:09:48,254 生き直す道を 自分で見つけて 立ち直るに違いない。 116 00:09:48,254 --> 00:09:54,761 おやえさんには 月日が 悲しみを薄めてくれましょう。 117 00:09:54,761 --> 00:09:57,664 おりん 大丈夫ですよ。 118 00:09:57,664 --> 00:10:00,433 お前の おとっつぁんと おっかさんじゃありませんか。 119 00:10:00,433 --> 00:10:03,102 そんな意気地なしでは ありませんよ。 120 00:10:03,102 --> 00:10:05,038 わしたちも ついている。 121 00:10:05,038 --> 00:10:09,542 心配せずと お前は お前の道を行けばよい。 122 00:10:19,953 --> 00:10:21,955 (源造)ごめんください。 123 00:10:26,726 --> 00:10:29,129 源造さん…。 124 00:10:29,129 --> 00:10:32,165 彌七さんへのお手紙で おみつさんのご不幸を知り➡ 125 00:10:32,165 --> 00:10:36,469 どうしても じっとしていられなくて…。 126 00:10:36,469 --> 00:10:41,140 本当に残念なことでした。 お悔やみ申し上げます。 127 00:10:41,140 --> 00:10:45,478 彌七は みつの叔父に あたるゆえ 知らせはしたが➡ 128 00:10:45,478 --> 00:10:48,982 わざわざ来ずともよいと 書き添えておいたんだが…。 129 00:10:48,982 --> 00:10:52,018 はい それは拝見しました。 130 00:10:52,018 --> 00:10:56,155 彌七さんは 今 帰っても おみつさんが➡ 131 00:10:56,155 --> 00:11:01,928 生き返ってくるわけではないから 東京で ご冥福を祈ると…。 132 00:11:01,928 --> 00:11:05,765 彌七さんから 手紙を預かってまいりました。 133 00:11:05,765 --> 00:11:07,800 どうぞ。 134 00:11:07,800 --> 00:11:11,571 見たでしょ? 父と母。 135 00:11:11,571 --> 00:11:14,274 わたす もう どうしていいか 分からなくて…。 136 00:11:14,274 --> 00:11:17,177 だから 本当に うれしかった。 137 00:11:17,177 --> 00:11:20,780 どうして 俺に知らせてこなかったんだ? 138 00:11:20,780 --> 00:11:23,483 だって まだ身内でもないのに…。 139 00:11:25,451 --> 00:11:29,322 そんなものか…。 え? 140 00:11:29,322 --> 00:11:33,626 君にとって俺は そんなものか。 141 00:11:35,461 --> 00:11:42,335 幸せな時は かまわないんだ。 つらい時 不幸せな時に➡ 142 00:11:42,335 --> 00:11:45,972 手を貸してやれるのは 俺だと思ってた。 143 00:11:45,972 --> 00:11:51,177 苦しい時に支えてやれるのは 俺だけだと思ってた。 144 00:11:52,845 --> 00:11:58,484 そうか… なんだ そうか。 君は そんなものか。 145 00:11:58,484 --> 00:12:02,088 違うわ! そんな 思い違いをしないで。 146 00:12:02,088 --> 00:12:05,959 東京で これから新しい仕事に かかるんだっていう時に➡ 147 00:12:05,959 --> 00:12:09,963 こんな暗いことを知らせては いけないと思って…。 148 00:12:09,963 --> 00:12:13,800 これから新しい仕事にかかるのに その さい先が悪くなっては➡ 149 00:12:13,800 --> 00:12:17,270 いけないと思って それで我慢して…。 150 00:12:17,270 --> 00:12:20,073 こんなことで甘えるのは 嫌だから。 151 00:12:21,941 --> 00:12:27,447 なぜ 嫌なんだ? なぜ そんなに強がるんだ? 152 00:12:27,447 --> 00:12:31,284 だって 源造さんは➡ 153 00:12:31,284 --> 00:12:35,788 今 自分のことだけで つらいことや 苦しいことが➡ 154 00:12:35,788 --> 00:12:39,125 いっぱいあるはずなのに この上 わたすのことまでなんて…。 155 00:12:39,125 --> 00:12:41,060 ばかにするなよ。 156 00:12:41,060 --> 00:12:45,465 そんな 自分のことで手いっぱいな➡ 157 00:12:45,465 --> 00:12:47,800 そんな頼りない男だと 思ってるのか? 158 00:12:47,800 --> 00:12:50,837 本当に 君は そう思ってるのか? そうは思ってないけど…。 159 00:12:50,837 --> 00:12:53,473 じゃあ 頼ればいいじゃないか。 160 00:12:53,473 --> 00:12:56,509 「助けて」って 言えばいいじゃないか。 161 00:12:56,509 --> 00:13:00,213 変な いたわりは やめてくれ! なんだ 生意気に! 162 00:13:06,052 --> 00:13:12,358 本当に… 頼りにならないか? 俺は。 163 00:13:19,632 --> 00:13:23,136 泣いてもいい? ん? 164 00:13:25,405 --> 00:13:30,109 もう これっきり泣かないから➡ 165 00:13:30,109 --> 00:13:33,112 思いっ切り 泣いていい? 166 00:13:36,983 --> 00:13:39,619 いいよ。 167 00:13:39,619 --> 00:13:42,822 一人で こらえていることはない。 168 00:13:47,293 --> 00:13:53,299 泣けよ。 泣いちまえ。 聞いててやる。 169 00:13:57,470 --> 00:14:02,975 やっぱり 星は こっちの方が きれいだな。 170 00:14:18,257 --> 00:14:42,448 (泣き声) 171 00:14:42,448 --> 00:14:50,189 ⚟(泣き声) 172 00:14:50,189 --> 00:14:56,195 ♬~