1 00:00:02,202 --> 00:00:20,954 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,954 --> 00:00:58,959 ♬~ 3 00:01:02,930 --> 00:01:08,635 (やえ)あれ? おマツちゃん! 暑いなぇ。 寄ってかねえかぇ? 4 00:01:11,438 --> 00:01:14,942 (りん)なにも あだふうに 逃げねくたって…。 5 00:01:14,942 --> 00:01:19,112 おマツさんまで あんなに なっつまって…。 ひどいなぇ。 6 00:01:19,112 --> 00:01:23,617 しかたねえよ。 だれだって 我が身が 一番かわいいんだから。 7 00:01:23,617 --> 00:01:26,119 そのうち 分かってくれっぺよ。 8 00:01:26,119 --> 00:01:28,622 母ちゃん わたす ここ 代わっから。 9 00:01:28,622 --> 00:01:31,291 いいよ。 母ちゃん ここに座ってっから。 10 00:01:31,291 --> 00:01:34,328 でも ここさ居っと また今みてぐ 嫌な思い しねっかなんねから。 11 00:01:34,328 --> 00:01:37,097 お前 そだことに 気ぃ遣わねで いいから➡ 12 00:01:37,097 --> 00:01:39,032 自分のこと やってな。 13 00:01:39,032 --> 00:01:42,903 そろそろ 仙台に戻る支度 しねっかなんねんだべ? 14 00:01:42,903 --> 00:01:48,141 いやいや こだな夏休みになるとは 思わねがったなぃ。 15 00:01:48,141 --> 00:01:51,812 ほんでも 母ちゃん お前が そばにいてくれて➡ 16 00:01:51,812 --> 00:01:55,983 なんぼ助かったか。 ありがとなぇ。 17 00:01:55,983 --> 00:01:58,885 母ちゃん…。 18 00:01:58,885 --> 00:02:02,789 やっぱり わたすが ここに居た方が いい? 19 00:02:02,789 --> 00:02:05,092 え…? 20 00:02:05,092 --> 00:02:07,427 何 言ってんだ。 21 00:02:07,427 --> 00:02:10,263 お前 女学校の仕事が あんでねえの。 22 00:02:10,263 --> 00:02:14,768 でも…。ここのことは 心配しなくていいから。 23 00:02:14,768 --> 00:02:19,940 母ちゃん。 ほんとのこと 言ってほしいんだ わたす。 24 00:02:19,940 --> 00:02:23,276 わたすが どうすれば 母ちゃんたちが うれしいのか➡ 25 00:02:23,276 --> 00:02:25,312 わたすに どうしてもらいてえのか➡ 26 00:02:25,312 --> 00:02:28,148 なぇ… ほんとの気持ち 言ってくらんしょ 母ちゃん。 27 00:02:28,148 --> 00:02:33,286 お前に やってもらいたい ことかぇ? 28 00:02:33,286 --> 00:02:39,593 ほんだなぁ… 母ちゃんから 別に注文はねえげんと…。 29 00:02:41,161 --> 00:02:45,465 おみつみてえに…➡ 30 00:02:45,465 --> 00:02:51,138 親より先に死ぬのだけは やめてもらいてえ。 31 00:02:51,138 --> 00:02:56,643 それだけ守ってくれたら もう 何も 母ちゃんから 注文は…。 32 00:02:56,643 --> 00:02:59,546 あったわ。 あ 1つ あったわ。 33 00:02:59,546 --> 00:03:03,083 何? 何の注文? 34 00:03:03,083 --> 00:03:09,389 うれしい顔して 嫁っこに 行ってもらいたいってこと。 35 00:03:11,258 --> 00:03:13,593 母ちゃん…。 36 00:03:13,593 --> 00:03:17,264 仕事もいい。 勉強もいい。 37 00:03:17,264 --> 00:03:23,070 だげんど 女が 一生 独りで 仕事や勉強だけ やるっつうのは➡ 38 00:03:23,070 --> 00:03:25,939 やっぱり寂しいべ。 39 00:03:25,939 --> 00:03:29,443 なにも 泣き泣き嫁に行くことは ねえげんと➡ 40 00:03:29,443 --> 00:03:36,950 いい相手がいたら うれしい顔して 嫁っこに行ってもらいてえ。 41 00:03:36,950 --> 00:03:41,455 それだけだぁ 母ちゃんからの注文は。 42 00:03:41,455 --> 00:03:44,157 無理な注文かぃ? 43 00:03:48,328 --> 00:03:52,966 ううん。 無理じゃない。 44 00:03:52,966 --> 00:03:57,804 わたす 母ちゃんの その注文 かなえてあげられると思う。 45 00:03:57,804 --> 00:04:01,575 おりん…。 46 00:04:01,575 --> 00:04:07,914 わたす きっと お嫁に行く時は うれしい顔で行く。 47 00:04:07,914 --> 00:04:11,251 今すぐじゃないけど。 何? いつ? 48 00:04:11,251 --> 00:04:14,921 いつか分からないげんと… いつか きっと。 49 00:04:14,921 --> 00:04:19,793 はあ… そうかい。 そうかい やっぱり…! 50 00:04:19,793 --> 00:04:23,930 やっぱり? いやいやいや 女っつうものは➡ 51 00:04:23,930 --> 00:04:27,801 やっぱり そう思うんでねえか っつうこと! 52 00:04:27,801 --> 00:04:30,804 これなら もう 何にも心配すっことねえわ。 53 00:04:30,804 --> 00:04:33,607 いがったなぇ おりん。 母ちゃん わたす まだ➡ 54 00:04:33,607 --> 00:04:35,942 だれのとこさ行くとも 何とも 言ってねえんだよ? 55 00:04:35,942 --> 00:04:39,446 いいんだよ。 そだこと… そだこと言わねくたって➡ 56 00:04:39,446 --> 00:04:42,949 お前たちの気持ちさえ そうなら それでいいんだ。 57 00:04:42,949 --> 00:04:44,985 お前たちって…。 58 00:04:44,985 --> 00:04:49,456 お前は 幸せになってくらんしょ。 59 00:04:49,456 --> 00:04:54,127 おみつの分まで 幸せになんねっか わがんねぞぃ。 60 00:04:54,127 --> 00:04:57,464 母ちゃん…。 61 00:04:57,464 --> 00:05:00,133 母ちゃんは わたすに➡ 62 00:05:00,133 --> 00:05:04,004 何も心配しねえで 仙台さ 帰っていいって 言ったげんと➡ 63 00:05:04,004 --> 00:05:08,241 ほんとに それで いいんだべか? 64 00:05:08,241 --> 00:05:12,746 兄ちゃんも わたすも 家のために 何にもしねえで➡ 65 00:05:12,746 --> 00:05:19,920 自分で 好きなことばっかりしてて ほんとに それでいいんだべか。 66 00:05:19,920 --> 00:05:24,791 近所の人まで おみつは 肺病で死んだって そう思って➡ 67 00:05:24,791 --> 00:05:27,594 だれも 寄っつかねく なっちまってる。 68 00:05:27,594 --> 00:05:32,933 そんな家 ほっぽっといて ほんとに仙台さ帰って➡ 69 00:05:32,933 --> 00:05:35,235 ほんとに わたす それで いいんだべか!? 70 00:05:36,803 --> 00:05:39,706 (弘次郎) 余計な心配をする暇があったら➡ 71 00:05:39,706 --> 00:05:44,511 自分の将来のことでも きちんと考えておけ。 72 00:05:53,119 --> 00:05:55,622 父ちゃん…。 73 00:05:57,991 --> 00:06:05,198 娘に そだことまで心配させては… 親も しまいだなぇ。 74 00:06:07,400 --> 00:06:48,942 ♬~ 75 00:06:48,942 --> 00:06:52,812 (徳右衛門)弘次郎は どこへ行くと 言って 出かけたんだ? 76 00:06:52,812 --> 00:06:57,951 何にも言わねえで 黙って…。 黙って出かける所は➡ 77 00:06:57,951 --> 00:07:02,389 決まっておりやす。 みつの所か…。 78 00:07:02,389 --> 00:07:06,259 (こと)いつまでも そのようなことでは…。 79 00:07:06,259 --> 00:07:09,262 わたす 迎えに行ってきやす。 80 00:07:12,065 --> 00:07:15,402 父ちゃん…。 81 00:07:15,402 --> 00:07:36,423 ♬~ 82 00:07:36,423 --> 00:07:40,927 飯のあとで みなに話がある。 83 00:07:44,597 --> 00:07:48,101 <夕食のあと 弘次郎は➡ 84 00:07:48,101 --> 00:07:50,603 思いがけないことを 話しだしたのです> 85 00:07:50,603 --> 00:07:53,106 東京へ? わたすたちが 東京へ…? 86 00:07:53,106 --> 00:07:56,142 そうです。 親父さまも おふくろさまも みな一緒に➡ 87 00:07:56,142 --> 00:07:59,612 東京へ行きます。 そんな おとっつぁん いきなり…。 88 00:07:59,612 --> 00:08:02,582 (徳右衛門)理由は? この相馬を引き払い➡ 89 00:08:02,582 --> 00:08:06,419 家じゅうで 東京に行くという その理由は 何か? 90 00:08:06,419 --> 00:08:09,723 (弘次郎)橘家と 私自身の 再生のためです。 91 00:08:12,058 --> 00:08:16,563 おみつを あのように 死なせたのは 私の責任です。 92 00:08:16,563 --> 00:08:20,433 士族としての体面や面目に こだわって 生きてきた➡ 93 00:08:20,433 --> 00:08:22,435 私の やり方が➡ 94 00:08:22,435 --> 00:08:26,072 みつを 吉川に嫁入らせ 殺してしまいました。 95 00:08:26,072 --> 00:08:30,577 父ちゃん それは違うわ! 黙って 聞きなさい。 96 00:08:30,577 --> 00:08:35,448 今まで 正しいと信じて 疑わなかった 私のやり方に➡ 97 00:08:35,448 --> 00:08:40,253 おみつの死が 刃を 突きつけてきました。 98 00:08:40,253 --> 00:08:44,124 何もかも 分からなくなりました。 99 00:08:44,124 --> 00:08:47,427 子供に死なれた親は みな そのように迷うものだ。 100 00:08:47,427 --> 00:08:50,764 お前が そのように思いつめるのも 無理ないことだが➡ 101 00:08:50,764 --> 00:08:54,934 やがて 月日が その悲しみを忘れさせて➡ 102 00:08:54,934 --> 00:08:57,270 また 元のとおりに…。 103 00:08:57,270 --> 00:08:59,205 元のとおりになって➡ 104 00:08:59,205 --> 00:09:01,708 また元のとおりに 生きていくことが➡ 105 00:09:01,708 --> 00:09:06,212 果たして 正しいのかどうか…。 106 00:09:06,212 --> 00:09:11,384 己の中にのみ 閉じこもり 己の生き方を 押しつけ➡ 107 00:09:11,384 --> 00:09:14,220 近所づきあいも ろくにしなかった。 108 00:09:14,220 --> 00:09:17,057 その結果が…➡ 109 00:09:17,057 --> 00:09:20,894 おみつに あのような結婚をさせ➡ 110 00:09:20,894 --> 00:09:24,731 あのように 忌まわしい噂を 着せかけられ➡ 111 00:09:24,731 --> 00:09:28,067 そして…➡ 112 00:09:28,067 --> 00:09:33,940 あのように… 死なせてしまいました。➡ 113 00:09:33,940 --> 00:09:37,777 そういう自分に 再び 戻って良いのかどうか。➡ 114 00:09:37,777 --> 00:09:43,483 この数日 考え抜き そして 決めました。 115 00:09:45,251 --> 00:09:48,288 (弘次郎)今まで 引きずってきた 過去を断ち切り➡ 116 00:09:48,288 --> 00:09:52,025 心機一転 新しく生き直すためには➡ 117 00:09:52,025 --> 00:09:54,427 この土地に このまま いては 駄目です。 118 00:09:54,427 --> 00:09:58,932 二本松からも相馬からも 遠く離れた 新しい場所で➡ 119 00:09:58,932 --> 00:10:05,605 何もかも 初めから やり直し 自分自身を たたき直さなければ。 120 00:10:05,605 --> 00:10:10,276 それのできる所は 東京しか ありません。 121 00:10:10,276 --> 00:10:13,780 しかし 東京は お前の最も嫌っている➡ 122 00:10:13,780 --> 00:10:16,282 明治新政府の お膝元だぞ? 123 00:10:16,282 --> 00:10:19,185 だからこそ 己をたたき直すのに➡ 124 00:10:19,185 --> 00:10:21,955 一番 ふさわしい場所だと 思ったんです。 125 00:10:21,955 --> 00:10:25,625 それに 彌七の手紙にも あるように➡ 126 00:10:25,625 --> 00:10:30,296 その気になれば 東京に 仕事は なんぼでも あるという。 127 00:10:30,296 --> 00:10:34,134 みなが この地を離れることに 反対であれば➡ 128 00:10:34,134 --> 00:10:37,470 私一人が 出稼ぎに行ってもよい。 129 00:10:37,470 --> 00:10:41,140 何 かたって。 おとっつぁん一人に 出稼ぎさして➡ 130 00:10:41,140 --> 00:10:44,043 私ら ここで ノウノウとしてられると思うのかぇ? 131 00:10:44,043 --> 00:10:47,313 だったら お前も一緒に行くのだ。 じいさま 何か言ってくだっしょ。 132 00:10:47,313 --> 00:10:50,350 おとっつぁんに 何か言ってやってくだっしょ! 133 00:10:50,350 --> 00:10:53,820 あの時と同じだな こと。 134 00:10:53,820 --> 00:10:57,323 二本松を捨てて 別の場所で生きたいと言った➡ 135 00:10:57,323 --> 00:11:00,593 あの時の弘次郎と同じだ。 はい。 136 00:11:00,593 --> 00:11:03,429 やえ これは 止めても止まらぬぞ。 137 00:11:03,429 --> 00:11:06,766 そんな…。(弘次郎)親父さまや おっかさまには➡ 138 00:11:06,766 --> 00:11:08,801 まことに申し訳ないことですが…。 139 00:11:08,801 --> 00:11:10,937 (徳右衛門) こっちに気遣いは要らん。 140 00:11:10,937 --> 00:11:14,274 二本松を離れた後は どこへ行こうと同じこと。 141 00:11:14,274 --> 00:11:18,444 流れに身を任せて生きるのも 一興。 142 00:11:18,444 --> 00:11:23,116 ただ ことの体が…。 143 00:11:23,116 --> 00:11:26,619 私の方こそ 気遣いは要りません。 144 00:11:26,619 --> 00:11:31,491 弘次郎 お前が そうと決めたら 止めても無駄でしょう。 145 00:11:31,491 --> 00:11:34,360 私は どこへでも参りますよ。 146 00:11:34,360 --> 00:11:40,166 ただ… やえさんは この土地に 生まれ育った お人。➡ 147 00:11:40,166 --> 00:11:43,803 なぇ やえさん 何か言いたいことが➡ 148 00:11:43,803 --> 00:11:47,674 ござりましょう? 何だか 頭が ボウッとして…。 149 00:11:47,674 --> 00:11:50,476 何を どう考えていいのか…。 150 00:11:50,476 --> 00:11:55,648 父ちゃん わたすは? わたすは どうすればいいの? 151 00:11:55,648 --> 00:11:57,984 (弘次郎)もちろん お前も 一緒に行くのだ。➡ 152 00:11:57,984 --> 00:12:02,422 お前にこそ 東京は 一番ふさわしい場所だ。➡ 153 00:12:02,422 --> 00:12:07,293 それに お前が 今 一番 行きたい場所のはずだ。➡ 154 00:12:07,293 --> 00:12:10,163 そうでないのか? 155 00:12:10,163 --> 00:12:13,066 父ちゃん…。 156 00:12:13,066 --> 00:12:20,607 私の決意は変わらない。 みなで 東京へ行くのだ。 157 00:12:20,607 --> 00:12:22,809 いいな? やえ。 158 00:12:25,478 --> 00:12:43,296 ♬~ 159 00:12:43,296 --> 00:12:45,632 おばちゃん…。 160 00:12:45,632 --> 00:12:49,802 <りんの人間形成の 最初の基礎を作ってくれ➡ 161 00:12:49,802 --> 00:12:53,473 そして 忘れがたい 青春の思い出を作ってくれた➡ 162 00:12:53,473 --> 00:12:56,142 女学校との別れでした> 163 00:12:56,142 --> 00:13:00,913 おとっつぁん。 先に送る荷物 持っていきやすか? 164 00:13:00,913 --> 00:13:03,583 これが 先に送る分だなぇ。 165 00:13:03,583 --> 00:13:05,585 え? 166 00:13:09,389 --> 00:13:13,192 お前の両親の墓参りは 済んだのか? 167 00:13:19,132 --> 00:13:22,435 泣いてきたのか? 168 00:13:22,435 --> 00:13:25,438 おとっつぁん…。 169 00:13:28,608 --> 00:13:32,912 お前にも 苦労さすな。 170 00:13:38,951 --> 00:13:40,987 やえ…。 171 00:13:40,987 --> 00:14:13,586 ♬~ 172 00:14:13,586 --> 00:14:16,489 ちょっと待って! 173 00:14:16,489 --> 00:14:41,614 ♬~ 174 00:14:41,614 --> 00:14:47,286 <未知の世界 東京へ向かって 橘家の新しい旅立ちでした。➡ 175 00:14:47,286 --> 00:14:49,956 行く手に待つのは 何か?➡ 176 00:14:49,956 --> 00:14:54,260 でも りんの胸は 希望で いっぱいでした>