1 00:00:02,202 --> 00:00:20,587 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,587 --> 00:00:58,292 ♬~ 3 00:00:59,993 --> 00:01:17,177 ⚟(小鳥の さえずり) 4 00:01:24,117 --> 00:01:28,989 (源造)のんきに よく鳴くなぁ もう…。 5 00:01:28,989 --> 00:01:30,991 (小鳥の さえずり) 6 00:01:30,991 --> 00:01:33,126 (弘次郎)できたのか!? (やえ)まだまだ。 7 00:01:33,126 --> 00:01:35,062 産婆さんに 一服してもらわねっか。 8 00:01:35,062 --> 00:01:36,997 それで 順調にいってるんですか? いってやすぞぃ。 9 00:01:36,997 --> 00:01:39,466 産婆が のんきに お茶なんか 飲んでいて 大丈夫なのか? 10 00:01:39,466 --> 00:01:42,135 まだまだ 痛みの間があっから。 夜明けからだから➡ 11 00:01:42,135 --> 00:01:44,071 ちょっと 時間がかかりすぎてるん じゃないですか? 12 00:01:44,071 --> 00:01:46,006 初産は ちっと かかりやすから。 13 00:01:46,006 --> 00:01:48,909 それに 障子の桟が見えるようでは まだまだ。 14 00:01:48,909 --> 00:01:50,844 産湯の支度は できておりやすかい? 15 00:01:50,844 --> 00:01:53,146 もう ちゃんと用意できています。 言われたことは➡ 16 00:01:53,146 --> 00:01:55,482 全部やってあります。 なら いつ産まれても 大丈夫。 17 00:01:55,482 --> 00:01:58,485 よし おりんにも 頑張ってもらわねっか。 18 00:02:05,158 --> 00:02:07,761 (弘次郎)どこに行かれる? 19 00:02:07,761 --> 00:02:10,464 ちょっと 外の空気を吸ってきます。 20 00:02:43,296 --> 00:02:47,467  心の声  そうだ…。 おりんと 初めて会ったのは➡ 21 00:02:47,467 --> 00:02:50,971 鶴次先生の子供が 生まれた日だった。➡ 22 00:02:50,971 --> 00:02:55,842 おりんに 水くみをさせられて 一緒に産湯を沸かしたっけ…。 23 00:02:55,842 --> 00:03:07,921 ♬~ 24 00:03:07,921 --> 00:03:13,260  心の声  あの はね駒が 母親に…。➡ 25 00:03:13,260 --> 00:03:17,130 俺の子供の母親に…。➡ 26 00:03:17,130 --> 00:03:21,935 無事に産んでくれ。 頼む…。➡ 27 00:03:21,935 --> 00:03:25,439 頑張ってくれ おりん。 28 00:03:25,439 --> 00:03:56,136 ⚟(産声) 29 00:03:56,136 --> 00:03:58,071 男の子だぞぇ! 30 00:03:58,071 --> 00:04:01,942 まんつ 元気な めんこい男の子が生まれやした。 31 00:04:01,942 --> 00:04:05,812 おりんも 元気。 源造さん おめでとうござりやした。 32 00:04:05,812 --> 00:04:09,416 いがったなぇ。 ありがとうございました! 33 00:04:09,416 --> 00:04:12,752 (徳右衛門)おりん でかしたぞ! よくやった! 34 00:04:12,752 --> 00:04:15,255 (やえ)さ 産湯の支度だ。 35 00:04:15,255 --> 00:04:17,757 源造さん。 36 00:04:17,757 --> 00:04:19,693 ⚟(産声) 37 00:04:19,693 --> 00:04:24,631 あの声を しっかりと 聞いてやりなさい。 38 00:04:24,631 --> 00:04:30,270 あの産声は 二度とは聞かれん。➡ 39 00:04:30,270 --> 00:04:34,141 生まれてきた息子の➡ 40 00:04:34,141 --> 00:04:39,946 父親への 初めての あいさつだ。 41 00:04:39,946 --> 00:04:48,655 ⚟(産声) 42 00:04:48,655 --> 00:04:51,958 お父さん…。 43 00:04:51,958 --> 00:04:55,829 新米の親父ですが➡ 44 00:04:55,829 --> 00:05:00,133 よろしくお願いいたします。 45 00:05:55,822 --> 00:06:03,230 (りん) 元気な… いい子を産んだぞぃ。 46 00:06:03,230 --> 00:06:08,435 そうか…。 よくやった。 47 00:06:10,971 --> 00:06:15,475 さすが はね駒だ。 えらい。 48 00:06:27,921 --> 00:06:55,782 ♬~ 49 00:06:55,782 --> 00:06:59,653 おとっつぁんも おみつのことは➡ 50 00:06:59,653 --> 00:07:03,056 一度も 口に出して 言わねがったなぇ。 51 00:07:03,056 --> 00:07:07,727 私も それだけは 言ってはなんねえと思って…。 52 00:07:07,727 --> 00:07:11,398 ほんでも おみつのこと思い出しては➡ 53 00:07:11,398 --> 00:07:13,733 なんぼ 心配したもんだか…。 54 00:07:13,733 --> 00:07:16,569 ほんでも いがったなぇ おとっつぁん。 55 00:07:16,569 --> 00:07:21,908 きっと おみつが守ってくれたんだ ばあさまと一緒に…。 56 00:07:21,908 --> 00:07:26,079 ばあさま ありがとうござりやした。 57 00:07:26,079 --> 00:07:30,083 おかげさまで 元気な やや子が 生まれやした。 58 00:07:31,885 --> 00:07:36,589 おみつ… ありがとなぃ。 59 00:07:36,589 --> 00:07:39,626 母ちゃんの願いを きいて➡ 60 00:07:39,626 --> 00:07:44,331 よく 姉ちゃんのこと 守ってくれた。 61 00:07:44,331 --> 00:07:49,102 自分は やや子が抱けねがったのに…。 62 00:07:49,102 --> 00:07:54,407 おみつ お前は 優しい子だなぇ…。 63 00:07:55,976 --> 00:07:58,778 父ちゃんも 母ちゃんも➡ 64 00:07:58,778 --> 00:08:03,049 お前のこと 決して 忘れねえからなぇ。 65 00:08:03,049 --> 00:08:06,753 おみつ… ありがとなぃ。 66 00:08:16,396 --> 00:08:20,233 <今日は 赤ん坊の お七夜です> 67 00:08:20,233 --> 00:08:24,070 この「賢一」なんか 頭の良くなりそうな子で➡ 68 00:08:24,070 --> 00:08:28,942 いいじゃないですか。 うむ 小野寺賢一。 悪くはないな。 69 00:08:28,942 --> 00:08:32,779 どうですか? お父さん。 うむ 悪くはないが➡ 70 00:08:32,779 --> 00:08:37,584 もう一つ 何か こう…。 じいさまが そう でしゃばるなよ。 71 00:08:37,584 --> 00:08:41,087 私は 別に でしゃばって 言っているのではありません。 72 00:08:41,087 --> 00:08:43,023 名前というものは➡ 73 00:08:43,023 --> 00:08:46,593 一生 その人間に ついてまわるものですから➡ 74 00:08:46,593 --> 00:08:52,265 何か 思いのこもった 良い名前を つけてやるべきだと思って…。 75 00:08:52,265 --> 00:08:55,935 そうですね。 じゃあ もう少し 考えましょう。 76 00:08:55,935 --> 00:08:58,772 もう そろそろ決めないと お七夜のお祝いが できないわよ。 77 00:08:58,772 --> 00:09:02,375 父親が付けるのが いちばん いいんでねえかぇ? 78 00:09:02,375 --> 00:09:04,878 私… 決めていいですか? 79 00:09:04,878 --> 00:09:08,214 もちろん。 どうぞ。 80 00:09:08,214 --> 00:09:12,052 じゃあ まず3つぐらい取り上げて その中から…。 81 00:09:12,052 --> 00:09:16,856 ⚟(いち)ごめんくださいまし。 名古屋で ございます。 82 00:09:19,225 --> 00:09:21,895 名古屋の お母さま! 83 00:09:21,895 --> 00:09:26,399 (いち)まあまあ めでたいことでございました。 84 00:09:26,399 --> 00:09:30,270 赤ん坊も元気 おりんさんも 肥立ちが良さそうで。 85 00:09:30,270 --> 00:09:33,740 はい おかげさまで。 今日 お着きになったんですか? 86 00:09:33,740 --> 00:09:37,577 ええ。 ゆうべ急に思い立って 名古屋を たちまして。 87 00:09:37,577 --> 00:09:41,247 よく おいでくだされました。 ちょうど 今日は お七夜で。 88 00:09:41,247 --> 00:09:43,750 ええ ええ それで 伺ったんでございます。 89 00:09:43,750 --> 00:09:47,253 では ちゃんと お呼びすれば いがった。 90 00:09:47,253 --> 00:09:50,590 ただ 内輪で祝うつもりで ござりやしたから➡ 91 00:09:50,590 --> 00:09:53,092 もう ごちそうもねくて 申し訳ござりやせん。 92 00:09:53,092 --> 00:09:55,995 いいえ ごちそう呼ばれに 来たんでなぁですで。 93 00:09:55,995 --> 00:09:58,965 赤ん坊の名前が 決まりましたもんでよ。 94 00:09:58,965 --> 00:10:01,601 え? 赤ん坊の名前? 95 00:10:01,601 --> 00:10:05,105 おとっつぁまと わしとでな 名前 決めましたでよ。 96 00:10:05,105 --> 00:10:08,608 そんな! まあ おみゃあはな 三男坊だで➡ 97 00:10:08,608 --> 00:10:11,511 小野寺の孫つっても 本家を継ぐわきゃあないで➡ 98 00:10:11,511 --> 00:10:13,780 それは どうでも いいんだけども でも やっぱり➡ 99 00:10:13,780 --> 00:10:18,618 私らの孫には違いないで 名前は こちらで付けさしてもらいました。 100 00:10:18,618 --> 00:10:21,955 まあ おとっつぁまが喜ばしてな 張り切ってよ。 101 00:10:21,955 --> 00:10:24,624 えっ じゃあ あの 兄さんたちの子供みたいに➡ 102 00:10:24,624 --> 00:10:28,962 源太左衛門とか 源之丞とか 源五郎とか➡ 103 00:10:28,962 --> 00:10:31,631 そんな名前じゃないんですか? まあな そんなとこだわな。 104 00:10:31,631 --> 00:10:34,467 冗談じゃありませんよ! 僕は嫌ですよ。 105 00:10:34,467 --> 00:10:37,504 そんな骨董品みたいな名前は。 106 00:10:37,504 --> 00:10:40,640 僕の息子は これからの新しい時代に➡ 107 00:10:40,640 --> 00:10:43,309 生きていく人間なんですから それに ふさわしい➡ 108 00:10:43,309 --> 00:10:45,645 若々しい名前を付けようと 僕は思ってたんです。 109 00:10:45,645 --> 00:10:48,548 そんな古めかしい名前は 僕は お断りします! 110 00:10:48,548 --> 00:10:51,451 でも せっかく名古屋のお父さんが 付けてくだすったんだから➡ 111 00:10:51,451 --> 00:10:54,320 ありがたく頂戴すれば? んだなぇ。 112 00:10:54,320 --> 00:10:57,657 きっと 立派な名前で ござりやしょう…。 113 00:10:57,657 --> 00:11:02,095 しかし 子供の名前が立派なのは➡ 114 00:11:02,095 --> 00:11:06,432 名前負けして 育たぬというから 「源太左衛門」は やはり➡ 115 00:11:06,432 --> 00:11:09,269 やめにしていただいた方が よろしいかと思いますが。 116 00:11:09,269 --> 00:11:13,606 徳右衛門も 源左衛門も 大して 違いなあですがね。 117 00:11:13,606 --> 00:11:15,642 源太左衛門でも 大丈夫です。 118 00:11:15,642 --> 00:11:18,478 名前負けするようなこと あるものですか。 119 00:11:18,478 --> 00:11:21,948 いや しかし…。 親父さま! 120 00:11:21,948 --> 00:11:25,785 我々が 差し出がましく 言えることでは ありませんから。 121 00:11:25,785 --> 00:11:30,657 やや子は 小野寺のものですから。 控えてください。 122 00:11:30,657 --> 00:11:34,127 じゃ ええかなも? 123 00:11:34,127 --> 00:11:37,430 おとっつぁんが 決めやした名前は…。 124 00:11:40,300 --> 00:11:42,802 これで ございます。 125 00:11:45,171 --> 00:11:47,807 「弘」…? 126 00:11:47,807 --> 00:11:51,678 これ… この字 おとっつぁんの…。 127 00:11:51,678 --> 00:11:53,980 「弘次郎」の字と 同じ…。 128 00:11:53,980 --> 00:11:59,852 (いち)そうですがな。 お父さんの字を頂戴いたしました。 129 00:11:59,852 --> 00:12:03,790 おとっつぁん…。 130 00:12:03,790 --> 00:12:06,559 それはまた どういう…? 131 00:12:06,559 --> 00:12:09,762 いえ うちの おとっつぁまが➡ 132 00:12:09,762 --> 00:12:14,434 こちらの お父さんの お人柄に えろう傾倒しましてぇも➡ 133 00:12:14,434 --> 00:12:16,769 源造の子は こちらのお父さんのように➡ 134 00:12:16,769 --> 00:12:20,106 まがい物でない人間に なってほしいと申しましてなも➡ 135 00:12:20,106 --> 00:12:23,409 まあ 勝手に 字を頂戴いたしました。 136 00:12:28,281 --> 00:12:33,620 お父さん。 お母さん。 おじいさま。 137 00:12:33,620 --> 00:12:38,291 孫の弘は こちらに お預け申します。 138 00:12:38,291 --> 00:12:44,097 源造と おりん ともども よろしゅう お願い申し上げます。 139 00:12:44,097 --> 00:12:48,935 おっかさま…。 「弘」か…。 140 00:12:48,935 --> 00:12:51,638 若々しく結構な名前だ。 141 00:12:51,638 --> 00:12:55,942 お心くばり ありがたく 御礼 申し上げます。 142 00:12:57,977 --> 00:13:02,415 ⚟(赤ん坊の泣き声) あ 泣いてる。 143 00:13:02,415 --> 00:13:06,586 お父さん。 弘が泣いてますよ。 144 00:13:06,586 --> 00:13:44,957 ♬~ 145 00:13:44,957 --> 00:13:50,763 よしよし。 ああ いい子だね。 146 00:13:50,763 --> 00:13:55,134 ほれ 名古屋ばあちゃんだよ。 分かるかね? 147 00:13:55,134 --> 00:13:59,439 おお おお おお いい子だこと。 148 00:14:02,241 --> 00:14:06,746 どうぞ 名前 呼んだってちょうだい。 149 00:14:10,116 --> 00:14:13,419 おじいちゃん。 おじいちゃん。 150 00:14:16,089 --> 00:14:21,260 おお よしよし よしよし…。 151 00:14:21,260 --> 00:14:24,464 ああ そうか そうか…。 152 00:14:26,933 --> 00:14:30,603 弘。 153 00:14:30,603 --> 00:14:32,905 弘か…。 154 00:14:36,275 --> 00:14:40,079 (弘次郎)ああ そうか そうか…。 うん そうか そうか…。 155 00:14:42,448 --> 00:14:44,784 いや いいから。 156 00:14:44,784 --> 00:14:55,094 ♬~