1 00:00:08,910 --> 00:01:00,190 (祭り囃子) 2 00:01:00,190 --> 00:01:03,090 (りん)綺麗だことなぃ じいさま。 3 00:01:03,090 --> 00:01:05,100 (徳右衛門) これが二本松の祭りだ。 4 00:01:05,100 --> 00:01:07,930 お前の おとっつぁんの 生まれ故郷の祭りだぞ。・ 5 00:01:07,930 --> 00:01:11,800 眼 大きく開けて よっくど見ておけ。 6 00:01:11,800 --> 00:01:14,240 はい! 7 00:01:14,240 --> 00:01:29,720 ・~ (テーマ音楽) 8 00:01:29,720 --> 00:02:30,850 ・~ 9 00:02:32,620 --> 00:02:38,920 (祭り囃子) 10 00:02:38,920 --> 00:02:44,430 <橘りんは 明治10年 福島県 相馬に生まれました。・ 11 00:02:44,430 --> 00:02:49,300 この 同じ福島の二本松は りんの父方の故郷ですが・ 12 00:02:49,300 --> 00:02:53,610 ここに住んでいる祖父母を 今度 相馬に迎えるために・ 13 00:02:53,610 --> 00:02:57,280 この時 りんは1人で 二本松に来たのでした> 14 00:02:57,280 --> 00:02:59,210 そだにはねるな。 15 00:02:59,210 --> 00:03:01,150 はねると危ないぞ! 16 00:03:01,150 --> 00:03:16,630 (祭り囃子) 17 00:03:16,630 --> 00:03:23,070 ウッター! いっぱい見えっつぉい じいさま 綺麗だよ。 18 00:03:23,070 --> 00:03:27,570 ほれ 来た来た! ひい ふう みい よ…。 19 00:03:27,570 --> 00:03:33,140 うわ~ 並んで来たぞ! ソレ ソレ ソレ ソレ~! 20 00:03:33,140 --> 00:03:36,610 そこで はしゃぐな。 たたき落ちるぞ。 21 00:03:36,610 --> 00:03:39,620 うわ~ 綺麗だこと。 22 00:03:39,620 --> 00:03:43,390 ばあさまも一緒に 来ればよかったなぇ じいさま。 23 00:03:43,390 --> 00:03:47,090 あぁ ばあさまか…。 24 00:03:49,190 --> 00:03:53,930 (徳右衛門)ばあさまの旅立ちの 支度は なかなか はかどらんのう。 25 00:03:53,930 --> 00:03:57,270 ばあさまは 相馬さ 行きたく ないんだべか…。 26 00:03:57,270 --> 00:03:59,700 (徳右衛門)相馬が 嫌というのではないが・ 27 00:03:59,700 --> 00:04:04,880 ここを… この二本松を去るのが つらいのだろう。 28 00:04:04,880 --> 00:04:07,880 (こと)弦一郎…。 29 00:04:12,950 --> 00:04:18,560 [ 心の声 ] 弦一郎…。 お前1人残って 寂しいだろうが・ 30 00:04:18,560 --> 00:04:22,060 いずれは 私たちも必ず戻ってきて・ 31 00:04:22,060 --> 00:04:24,760 お前と一緒になるのだから・ 32 00:04:24,760 --> 00:04:31,070 それまで どうか 私たちを 見守っていておくれ。 33 00:04:31,070 --> 00:04:37,840 (徳右衛門)弦一郎は お前の父 弘次郎の兄だ。 16歳で死んだ。 34 00:04:37,840 --> 00:04:40,780 なして死んだの? 35 00:04:40,780 --> 00:04:45,920 (徳右衛門)弘次郎は お前の父親は そのことを 何も話してないのか? 36 00:04:45,920 --> 00:04:49,250 うん…。 ねえ じいさま・ 37 00:04:49,250 --> 00:04:52,090 わたすの父ちゃんは なして 二本松さ来ねえの? 38 00:04:52,090 --> 00:04:56,590 こんな綺麗な祭りがあるのに。 39 00:04:56,590 --> 00:05:04,900 そうか。 何も話してないのか 弘次郎は…。 40 00:05:10,140 --> 00:05:14,550 (やえ)おりんは 今頃 何してっぺなぇ おとっつぁん。 41 00:05:14,550 --> 00:05:18,250 ちゃんと 無事に 二本松さ 行き着いたべか…。 42 00:05:18,250 --> 00:05:21,150 あんな娘っこを 1人で迎えにやって・ 43 00:05:21,150 --> 00:05:25,560 むごい親だと おとっつぁまや おっかさまは 思わねかったべか。 44 00:05:25,560 --> 00:05:29,730 「なんして 弘次郎は 迎えに来ねんだべか」って。 45 00:05:29,730 --> 00:05:33,560 (弘次郎)うっつぁしいな。 ん? 黙っててくれ。 46 00:05:33,560 --> 00:05:36,070 ああ はいはい。 大丈夫だ・ 47 00:05:36,070 --> 00:05:38,770 もう14にもなってんだから おりんは。 48 00:05:38,770 --> 00:05:40,770 余計なこと言って ごめんなんしょ。 49 00:05:40,770 --> 00:05:44,510 はい おとっつぁん よいしょ。 もう 黙ってっから。 50 00:05:44,510 --> 00:05:48,380 <りんの父・橘 弘次郎は 明治の御一新後・ 51 00:05:48,380 --> 00:05:51,280 故郷の二本松を捨て この相馬に来て・ 52 00:05:51,280 --> 00:05:54,750 土地の娘・やえと結婚しました。・ 53 00:05:54,750 --> 00:05:57,660 相馬で 古物商のようなことを やっておりますが・ 54 00:05:57,660 --> 00:06:02,860 文字どおり 武士の商法で 生活は あまり楽ではありません。・ 55 00:06:02,860 --> 00:06:05,900 やえは 相馬の商家に育ち・ 56 00:06:05,900 --> 00:06:11,200 弘次郎と結婚して 4人の子を 産みましたが 元気な働き者で…> 57 00:06:11,200 --> 00:06:13,710 なえ おとっつぁん。 58 00:06:13,710 --> 00:06:17,380 やっぱり二本松の おとっつぁまや おっかさまには…。 59 00:06:17,380 --> 00:06:19,310 (くしゃみ) 60 00:06:19,310 --> 00:06:25,050 白飯 炊かねば なんねべか? 麦飯では お口に合わねえべなぇ。 61 00:06:25,050 --> 00:06:29,890 二本松でも麦飯だ。 あぁ そうがえ。 62 00:06:29,890 --> 00:06:32,720 ああ えがった。 ああ そうかい。 63 00:06:32,720 --> 00:06:35,630 あれ… なら おかずは やっぱし…。 64 00:06:35,630 --> 00:06:38,400 今までどおりでいいっつってんだ。 ん? 65 00:06:38,400 --> 00:06:41,230 もう黙ってろ。 ああ はいはいはい。 66 00:06:41,230 --> 00:06:43,940 (みつ)母ちゃん! 黙ってろって。 67 00:06:48,970 --> 00:06:51,880 じいさまたちの部屋さ 明かりつけた。 あ そうかえ。 68 00:06:51,880 --> 00:06:53,810 ほんなら 布団 運ぶべ。 69 00:06:53,810 --> 00:06:57,080 あれ フカフカだ この布団。 70 00:06:57,080 --> 00:07:01,050 年寄りに 硬い布団は切ねえから フカフカに仕立てたんだ。 71 00:07:01,050 --> 00:07:04,360 いや~ フッカフカ。 こら 布団に上がんでねえって。 72 00:07:04,360 --> 00:07:06,390 ああ おらも こだ布団に寝てみてえなぁ。 73 00:07:06,390 --> 00:07:10,030 下りろって。 雲に乗っかってるようだ。 74 00:07:10,030 --> 00:07:12,530 何? 雲に? どれ…。 75 00:07:14,870 --> 00:07:20,540 いや~ 本当に フカフカだわ。 いや~ こりゃ 雲の上だわ。 76 00:07:20,540 --> 00:07:23,210 いや~ まんず極楽極楽。 母ちゃん 今度 おら。 77 00:07:23,210 --> 00:07:26,040 ちょっと 待てって。 いや~ まんず…。 78 00:07:26,040 --> 00:07:28,710 何やってんだ! いいかげんにしねえか! 79 00:07:28,710 --> 00:07:32,880 落ちた~! 母ちゃん! ぶつけた。 血が出てないかい? 80 00:07:32,880 --> 00:07:35,220 (みつ)大丈夫だ。 いてえ? (やえ)いて いて! 81 00:07:35,220 --> 00:07:37,160 (みつ)大丈夫か? (やえ)駄目だあ! 82 00:07:37,160 --> 00:07:43,090 (祭り囃子) 83 00:07:43,090 --> 00:07:47,570 <この祭りの中で やがて 自分の人生に・ 84 00:07:47,570 --> 00:07:51,400 深い影響を与える人物に 出会うことも知らず・ 85 00:07:51,400 --> 00:07:57,280 ただ 祭りの華やかな熱気に 我を忘れている りんでした> 86 00:07:57,280 --> 00:08:00,480 (祭り囃子) 87 00:08:02,680 --> 00:08:06,150 <そのころ 陸奥から遠く離れた・ 88 00:08:06,150 --> 00:08:10,590 ここは 滋賀県 近江八幡の 琵琶湖の岸ですが・ 89 00:08:10,590 --> 00:08:17,500 ここにも りんの運命を 左右する人物が おりました> 90 00:08:21,030 --> 00:08:23,370 <あっ この男じゃありません。・ 91 00:08:23,370 --> 00:08:28,370 これは 橘 彌七 りんの叔父なんです> 92 00:08:36,680 --> 00:08:43,450 (鐘の音) 93 00:08:43,450 --> 00:09:05,240 ・~ 94 00:09:05,240 --> 00:09:10,850 (僧)餞別や これ持っていき。 うまいこと逃げや。 95 00:09:10,850 --> 00:09:33,570 ・~ 96 00:09:33,570 --> 00:09:36,570 ・(犬の吠える声) 97 00:09:39,410 --> 00:09:42,280 <この男です。・ 98 00:09:42,280 --> 00:09:46,150 この男が りんと 深い関わりを持つことになる・ 99 00:09:46,150 --> 00:09:50,890 小野寺源造なのですが…。 源造は商人を志して・ 100 00:09:50,890 --> 00:09:55,590 修行中の寺を 脱走するところなのです> 101 00:09:59,560 --> 00:10:01,670 (草笛) 102 00:10:06,340 --> 00:10:13,240 (祭り囃子) 103 00:10:13,240 --> 00:10:17,250 じいさま どこさ行ったの? じいさま! 104 00:10:26,720 --> 00:10:29,730 女が触るな! 汚れるでねえか! 105 00:10:32,460 --> 00:10:35,930 [ 回想 ] 女が触るな! 汚れるでねえか! 106 00:10:35,930 --> 00:10:44,640 (祭り囃子) 107 00:10:44,640 --> 00:10:49,980 (松浪)大丈夫ですか? どこもケガは ないですか? 108 00:10:49,980 --> 00:10:54,990 はい… ありがとうございました。 歩けますか? 109 00:11:01,290 --> 00:11:05,260 くじいたのかな…。・ 110 00:11:05,260 --> 00:11:07,770 少しお待ちなさい。 111 00:11:10,700 --> 00:11:13,900 痛いだろうが 少し我慢なさい。 112 00:11:17,210 --> 00:11:21,080 あんな言葉を気にすることは ないですよ。 113 00:11:21,080 --> 00:11:25,920 女の人は 決して 汚れてなど いませんから。 114 00:11:25,920 --> 00:11:30,890 女だからって 何も卑下することはないんです。 115 00:11:30,890 --> 00:11:37,900 男も女も 人間としては 同じなんですから。 同じ? 116 00:11:41,200 --> 00:11:43,600 同じなんです。 117 00:11:46,870 --> 00:11:50,880 さあ もう大丈夫でしょう。 118 00:11:57,850 --> 00:12:00,750 歩いてごらんなさい。 はい。 119 00:12:00,750 --> 00:12:17,500 ・~ 120 00:12:17,500 --> 00:12:22,810 (徳右衛門)おりん ここさ居たのか どこさ行ってたんだ おりん。 121 00:12:22,810 --> 00:12:25,810 心配したではないか。 122 00:12:35,290 --> 00:12:40,930 これ おりん どこさ行くんだ! おりん おりん! 123 00:12:40,930 --> 00:13:13,390 ・~ 124 00:13:13,390 --> 00:13:15,330 (物の落ちる音) 125 00:13:15,330 --> 00:13:24,900 ・~ 126 00:13:24,900 --> 00:13:30,070 <りんの叔父・彌七も 自分が脱走の手引きをした・ 127 00:13:30,070 --> 00:13:32,980 この若い修行僧 小野寺源造が・ 128 00:13:32,980 --> 00:13:36,410 後日 自分の姪のりんと 関わりになるとは・ 129 00:13:36,410 --> 00:13:42,590 夢にも思わなかったに 違いありません> 130 00:13:42,590 --> 00:14:14,050 (祭り囃子) 131 00:14:14,050 --> 00:14:18,560 <そして りんも また この人 松浪 毅が・ 132 00:14:18,560 --> 00:14:22,060 自分の人生に どんな深い関わりを 持つことになるかを・ 133 00:14:22,060 --> 00:14:26,930 この時は 夢にも知らなかったのです> 134 00:14:26,930 --> 00:14:48,190 ・~ 135 00:14:48,190 --> 00:14:52,490 <りんの青春の幕開きでした>