1 00:00:00,870 --> 00:00:19,950 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:19,950 --> 00:00:56,960 ・~ 3 00:00:58,790 --> 00:01:06,930 (祭り囃子) 4 00:01:06,930 --> 00:01:10,940 女が触るな! 汚れるでねえか! 5 00:01:12,600 --> 00:01:16,440 [ 回想 ] (松浪)女は 決して 汚れてなぞいません。 6 00:01:16,440 --> 00:01:21,650 男も女も 人間としては まったく同じなんですよ…。 7 00:01:35,830 --> 00:01:38,130 (りん)じいさま! 8 00:01:40,970 --> 00:01:44,800 (徳右衛門)おりんは 会津の白虎隊を知ってるか? 9 00:01:44,800 --> 00:01:46,740 知ってる。 10 00:01:46,740 --> 00:01:51,140 昔は ここに 霞ヶ城という 立派な城があったんだが・ 11 00:01:51,140 --> 00:01:54,050 同じ 戊辰の戦の時に・ 12 00:01:54,050 --> 00:01:57,650 西軍に攻められて 焼け落ちてしまったのだ。 13 00:01:57,650 --> 00:02:01,520 二本松は 西軍に つかねかったのかえ? 14 00:02:01,520 --> 00:02:07,460 二本松藩は徳川方につき 最後まで 薩長と戦ったんだ。 15 00:02:07,460 --> 00:02:11,300 その時 死んだのかえ? 父ちゃんの兄さんは。 16 00:02:11,300 --> 00:02:17,440 そうだ。 二本松少年隊は 会津の白虎隊より みな 年若く・ 17 00:02:17,440 --> 00:02:22,270 最後まで 見事に戦って 見事に 討ち死にをしたんだよ…。 18 00:02:22,270 --> 00:02:27,950 弦一郎も 少年隊士として 立派に戦って 死んだんだ。 19 00:02:27,950 --> 00:02:31,620 えらいもんだなぇ…。 20 00:02:31,620 --> 00:02:36,960 お前の おとっつぁんも 弦一郎と 一緒に出陣したんだが・ 21 00:02:36,960 --> 00:02:40,260 おとっつぁんは 生き残ったんだ。 22 00:02:41,830 --> 00:02:45,460 ウッター! ほんなら わたすの父ちゃん・ 23 00:02:45,460 --> 00:02:47,400 少年隊の生き残りかえ? 24 00:02:47,400 --> 00:02:52,240 そうだ。 弘次郎も 少年隊士だったんだ。 25 00:02:52,240 --> 00:02:56,980 あの時 弘次郎は まだ 14歳…。 26 00:02:56,980 --> 00:03:01,750 14? だば わたすと同じ年だ…。 27 00:03:01,750 --> 00:03:09,950 そうだ。 お前と同じ年で 弘次郎は 西軍の中に切り込んでいったんだ。 28 00:03:12,260 --> 00:03:14,930 わたすと同じ年で…。 29 00:03:14,930 --> 00:03:19,800 年少ながら 弘次郎も 立派な武士であった。 30 00:03:19,800 --> 00:03:23,940 父ちゃんは そのこと なして 黙ってるんだべ? 31 00:03:23,940 --> 00:03:29,740 お前の おとっつぁんは あの時 生き残ったことを恥じているんだ。 32 00:03:29,740 --> 00:03:33,950 一緒に出陣した 兄の弦一郎は 見事に死んだ。 33 00:03:33,950 --> 00:03:39,120 お前の おとっつぁんは 脇腹の けがで 気を失っているところを・ 34 00:03:39,120 --> 00:03:42,150 仲間に 助けらったんだ。 35 00:03:42,150 --> 00:03:45,890 あれから 弘次郎は 人間が変わった。 36 00:03:45,890 --> 00:03:49,130 死にそこなった自分が 許せなかったんだろう。 37 00:03:49,130 --> 00:03:54,930 ああして 親も故郷も捨てて 相馬へ…。 38 00:03:54,930 --> 00:04:01,710 いや。 こういう 返らぬ繰り言は よそう。 な おりん。 39 00:04:01,710 --> 00:04:08,410 わたすと同じ年で…。 父ちゃん…。 40 00:04:12,920 --> 00:04:14,950 ・(文吉) 弘次郎さんはいられたがい? 41 00:04:14,950 --> 00:04:17,760 ・(やえ)中さ いるぞい。 42 00:04:25,260 --> 00:04:28,600 ・(六波羅)お~い! 隣の おっかさん! 43 00:04:28,600 --> 00:04:31,500 (やえ)あぁ 駐在の六波羅さん。 捕まえられた。 44 00:04:31,500 --> 00:04:34,770 ついに 捕まえられたぞ! 何が捕まえられたの? 45 00:04:34,770 --> 00:04:38,610 こん中さ 小便ひょぐった奴! 捕まった!? 46 00:04:38,610 --> 00:04:40,650 今 隣町の駐在さ行ったら・ 47 00:04:40,650 --> 00:04:43,950 隣の町でも 同じことして とっ捕まったんだと。 48 00:04:43,950 --> 00:04:46,780 (幸助)だれだ? そったら 悪いこと する奴ぁ。 49 00:04:46,780 --> 00:04:50,460 悪いことと思わねえで やったらしい。 ほれ この字。 50 00:04:50,460 --> 00:04:54,790 この字が 「垂れる」に似てるべ? この字が 「便」だべ? 51 00:04:54,790 --> 00:04:56,830 「便垂れ箱」と思ったんだと。 52 00:04:56,830 --> 00:05:00,600 ははぁ… そんで 小便垂れ込んだのか。 53 00:05:00,600 --> 00:05:03,500 なるほどね はばかりと思って…。 54 00:05:03,500 --> 00:05:08,440 したけど どうやって…? 下は 閉め切りだぞい? 55 00:05:08,440 --> 00:05:12,210 それは… ここから。 届きやすか? 56 00:05:12,210 --> 00:05:15,080 …え? 57 00:05:15,080 --> 00:05:18,920 <相馬の りんの家では そのころでは珍しい・ 58 00:05:18,920 --> 00:05:22,250 小さな郵便局を 家族でやっておりました。・ 59 00:05:22,250 --> 00:05:25,090 やえの実家の方で していたのを・ 60 00:05:25,090 --> 00:05:28,890 権利を譲り受けて 始めたのですが…> 61 00:05:30,600 --> 00:05:33,500 (文吉)なんぼぐれえで 買ってもらえっぺな? 62 00:05:33,500 --> 00:05:37,100 (弘次郎)どっから持ってきたんだ。 爺っつぁんのだ。 63 00:05:37,100 --> 00:05:40,000 この夏の暑さで 爺っつぁんが 急に弱ってなえ・ 64 00:05:40,000 --> 00:05:44,280 ちっと力のつくもんでも 食べさせてやっかと思って…。 65 00:05:44,280 --> 00:05:48,110 なんぼぐれえで 買ってもらえっかな? 66 00:05:48,110 --> 00:05:53,790 なんぼぐれえで 売りてえんだ。 50銭も もらえれば…。 67 00:05:53,790 --> 00:05:56,990 50銭…? 68 00:06:03,390 --> 00:06:09,200 武士の魂を そったに安く売って いいと思ってんのが? 69 00:06:13,100 --> 00:06:17,810 [ 心の声 ] これが 二本松少年隊の…。 70 00:06:30,490 --> 00:06:34,090 [ 心の声 ] みんな わたすと同じくらいの年で…。・ 71 00:06:34,090 --> 00:06:39,430 父ちゃんも もしかしたら 一緒に ここに並んでいたのかえ?・ 72 00:06:39,430 --> 00:06:42,930 そんな…! 73 00:06:49,140 --> 00:06:52,140 じいさま…? 74 00:06:52,140 --> 00:07:10,900 ・~ 75 00:07:10,900 --> 00:07:15,400 <今 ただ一人 故郷の山に 別れを告げている・ 76 00:07:15,400 --> 00:07:21,070 老いた祖父の横顔には 激動する時代の波に弄ばれ・ 77 00:07:21,070 --> 00:07:25,910 自分の一生と 息子の命を捧げた この父祖の地を・ 78 00:07:25,910 --> 00:07:30,250 心ならずも 今 去らねばならない 無念と悲しみが・ 79 00:07:30,250 --> 00:07:32,180 あふれていました。・ 80 00:07:32,180 --> 00:07:37,990 人間は みな 悲しみや苦しみを 心に ひそめて生きていることを・ 81 00:07:37,990 --> 00:07:43,800 この時 りんは知ったのです> 82 00:07:43,800 --> 00:08:15,060 ・~ 83 00:08:15,060 --> 00:08:19,560 (子供たち) わっしょい わっしょい! 84 00:08:19,560 --> 00:08:23,900 なじょしとんだ? この童ぁ。 そのカバン 何だぁ? 85 00:08:23,900 --> 00:08:28,770 (嘉助)こら いつまでやってんだ。 はい ご苦労 ご苦労…。 86 00:08:28,770 --> 00:08:32,240 兄ちゃん! 嘉助! 87 00:08:32,240 --> 00:08:34,580 まあ~ じいさま ばあさま。 88 00:08:34,580 --> 00:08:38,250 テカテカして 前より 随分 若くなったんじゃないの? 89 00:08:38,250 --> 00:08:41,920 はいよ… おかあちゃんに 取られんなよ! 90 00:08:41,920 --> 00:08:45,790 兄ちゃん! 兄ちゃん! 91 00:08:45,790 --> 00:08:48,430 俺は 祭りの太鼓じゃねえんだよ! 92 00:08:48,430 --> 00:08:52,930 そんなに叩いたって テンツクテンテンとは鳴らねえんだよ! 93 00:08:52,930 --> 00:08:56,270 おっ!? 何だ お前! 94 00:08:56,270 --> 00:09:00,140 どこの娘っこかと思ったら お前 おりんじゃねえか! 95 00:09:00,140 --> 00:09:03,710 <りんの兄は 名前を嘉助といい・ 96 00:09:03,710 --> 00:09:06,610 長男の徳造が 若くして病没してからは・ 97 00:09:06,610 --> 00:09:10,480 橘家にとって 大事な跡取り息子なのですが・ 98 00:09:10,480 --> 00:09:13,420 田舎に埋もれることを嫌い 家を出て・ 99 00:09:13,420 --> 00:09:16,220 横浜に住んでいたのでした> 100 00:09:18,890 --> 00:09:23,560 そんな じいさま。 相馬だ二本松だ 福島だ東京だって・ 101 00:09:23,560 --> 00:09:27,400 もう そんな小っちぇえこと 言ってる時代じゃねえんだよ。 102 00:09:27,400 --> 00:09:30,430 もっと 目を大きく 外へ向けなきゃ。 103 00:09:30,430 --> 00:09:34,910 海の向こうよ… 外国よ… 「アメリカ」よ。 104 00:09:34,910 --> 00:09:37,810 兄ちゃん アメリカさ 行ってきたの? 105 00:09:37,810 --> 00:09:40,410 ま それに近いとこ 行ってきたんだ。 106 00:09:40,410 --> 00:09:43,250 上海という… 「アメリカ」のようなとこよ。 107 00:09:43,250 --> 00:09:46,920 一体 お前は その横浜という所で 何を やってたのだ? 108 00:09:46,920 --> 00:09:51,090 だから 西洋人の家に住み込んで 共に暮らして・ 109 00:09:51,090 --> 00:09:53,020 彼らの生活習慣を学び・ 110 00:09:53,020 --> 00:09:55,590 将来 外国相手の商売を する時のために・ 111 00:09:55,590 --> 00:09:59,260 大いに勉強しておるので ございます。 はい。 112 00:09:59,260 --> 00:10:01,200 そういえばさ・ 113 00:10:01,200 --> 00:10:03,940 こないだ 彌七おんつぁんが ひょっこり顔見せて・ 114 00:10:03,940 --> 00:10:06,270 う~んと励ましてくれたんだ。 彌七が!? 115 00:10:06,270 --> 00:10:08,970 (こと) 彌七は 元気に しとりやしたか? 116 00:10:18,280 --> 00:10:20,220 (源造)すいません いつも。 117 00:10:20,220 --> 00:10:22,950 (彌七)あんたは若いんだ。 遠慮しなくていい。 118 00:10:22,950 --> 00:10:25,860 はい いただきます! 119 00:10:25,860 --> 00:10:30,290 二本松に寄って 仙台に行ったら 後は 私に任せなさい。 120 00:10:30,290 --> 00:10:34,630 あの 彌七さんは 仙台で どんな仕事を してるんですか? 121 00:10:34,630 --> 00:10:39,970 日本物産 函館支店 青森出張所 仙台出張人。 は? 122 00:10:39,970 --> 00:10:46,280 とにかく 任せておきなさい。 はい よろしく おたの申します。 123 00:10:47,850 --> 00:10:49,980 何だ それは…。 124 00:10:49,980 --> 00:10:52,650 寺から くすねてきたのかい? 違います! 違いますよっ! 125 00:10:52,650 --> 00:10:56,320 寺で修行してた仲間が 餞別につって くれたんです。 126 00:10:56,320 --> 00:11:00,760 そうか。 じゃあ 大切に持ってるといい。 127 00:11:00,760 --> 00:11:04,260 その仏さんが あんたを守ってくれるだろう。 128 00:11:04,260 --> 00:11:08,970 …はい。 南無大慈観世音菩薩! 129 00:11:10,940 --> 00:11:13,840 兄ちゃん! これ みんな・ 130 00:11:13,840 --> 00:11:16,110 そのアメリカみてえな所で 買ってきたのかえ? 131 00:11:16,110 --> 00:11:19,010 うん。 向こうの女は・ 132 00:11:19,010 --> 00:11:21,910 こげな物を着てるのかえ…。 133 00:11:21,910 --> 00:11:26,820 まあ… きれいな織物だこと。 これは刺繍取りかえ? 134 00:11:26,820 --> 00:11:30,960 ハハハ… 女は みんな こういうものが好きなんだなぁ。 135 00:11:30,960 --> 00:11:34,630 よし 後で1つずつ みやげにあげよう。 136 00:11:34,630 --> 00:11:37,530 ウッター! ほんとかえ? うれしい~! 137 00:11:37,530 --> 00:11:41,300 わたすは これが ええ。 何だ お前まで…。 138 00:11:41,300 --> 00:11:43,230 これを持ってきたのは・ 139 00:11:43,230 --> 00:11:45,170 祭りに集まる女たちに 売ってみようかと思って。 140 00:11:45,170 --> 00:11:48,070 こったな派手なもの 芸者か遊女でなければ 買うまい。 141 00:11:48,070 --> 00:11:50,980 本町に つい こないだ 遊郭が出来たが…。 142 00:11:50,980 --> 00:11:54,810 え? この町にも遊郭出来たの? いい女 いる? 143 00:11:54,810 --> 00:11:56,850 そだらこと わしが知るか! 144 00:11:56,850 --> 00:12:02,250 何も隠さずとも ようございます。 何を言うか この… ばか者! 145 00:12:02,250 --> 00:12:07,930 おい おりん。 兄ちゃんもな 今夜 提灯祭に行くからな。 146 00:12:07,930 --> 00:12:12,430 ほんと!? ああ。 147 00:12:12,430 --> 00:12:17,300 ああ 早く 夜になんねかなぁ…。 148 00:12:17,300 --> 00:13:04,580 (祭り囃子) 149 00:13:04,580 --> 00:13:07,080 おい りん! お前 どこ見てんだよ? 150 00:13:07,080 --> 00:13:10,920 山車は あっちだぞ! 151 00:13:10,920 --> 00:13:14,430 …あばよ! 152 00:13:14,430 --> 00:13:17,930 <嘉助は どこに入り込んだのか・ 153 00:13:17,930 --> 00:13:22,630 この夜から とうとう 帰ってきませんでした> 154 00:13:25,800 --> 00:13:41,950 ・~ 155 00:13:41,950 --> 00:13:47,830 <自分の胸が なぜ こんなに 息苦しくなるほど ドキドキするのか・ 156 00:13:47,830 --> 00:13:53,960 その訳が この時の りんには まだ 分かりませんでした…> 157 00:13:53,960 --> 00:14:11,450 ・~ 158 00:14:11,450 --> 00:14:15,590 じいさま ばあさま! ほら 見らんしょ! 159 00:14:15,590 --> 00:14:19,920 安達太良山が あんなに きれい…。 160 00:14:19,920 --> 00:14:22,830 ほれっ…! 161 00:14:22,830 --> 00:14:27,260 ・~ 162 00:14:27,260 --> 00:14:29,470 (徳右衛門)行け。 163 00:14:32,940 --> 00:14:36,770 <こうして りんの祖父母は 故郷を離れ・ 164 00:14:36,770 --> 00:14:41,610 相馬で りんたちと一緒に 暮らすことになったのです。・ 165 00:14:41,610 --> 00:14:45,780 そして 美しい山の見える この町は・ 166 00:14:45,780 --> 00:14:51,990 りんの胸にも 忘れがたい思い出を 残してくれたのでした>