1 00:00:02,210 --> 00:00:02,340 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,690 --> 00:00:59,000 ・~ 3 00:01:00,660 --> 00:01:05,540 <新之助の 結納延期の交渉は どうやら 失敗したらしく・ 4 00:01:05,540 --> 00:01:09,170 勘兵衛が 直談判に 乗り込んできたのです> 5 00:01:09,170 --> 00:01:13,510 (勘兵衛)とにかく 来年まで 延ばさねっかなんねえ・ 6 00:01:13,510 --> 00:01:15,550 理由を聞かせてもらえれば。 7 00:01:15,550 --> 00:01:17,680 (弘次郎)理由も何も そんな話は・ 8 00:01:17,680 --> 00:01:20,720 こっちでも 今 初めて聞くことでやすから。 9 00:01:20,720 --> 00:01:27,190 弘次郎はん。 わしと あんたは 昨日今日の つきあいではねえ。 10 00:01:27,190 --> 00:01:30,230 死んだ息子と仲のいがった あんたを・ 11 00:01:30,230 --> 00:01:33,530 わしゃ ただの他人とは 思っていねえ。 12 00:01:33,530 --> 00:01:36,570 実の息子同然に思っている。 13 00:01:36,570 --> 00:01:39,340 それを 何で ほだに・ 14 00:01:39,340 --> 00:01:42,870 しらっぱくれたり 隠し立てしたりするんだ。 15 00:01:42,870 --> 00:01:45,710 わしゃ 情けない。 16 00:01:45,710 --> 00:01:47,640 勘兵衛さん。 17 00:01:47,640 --> 00:01:52,480 私が いつ しらっぱくれたり 隠し立てをしたり しやしたか。 18 00:01:52,480 --> 00:01:56,350 また 何のために そだこと しなくてはならねえんです。 19 00:01:56,350 --> 00:01:58,290 (徳右衛門)そのとおり! 20 00:01:58,290 --> 00:02:03,190 何故に我々が そんな薄汚い手段を 弄さねばならねえのか・ 21 00:02:03,190 --> 00:02:06,000 全くもって 理不尽な言いがかり。 22 00:02:06,000 --> 00:02:09,670 言いがかり? 言いがかりとは 何だ! 23 00:02:09,670 --> 00:02:11,600 御隠居といえども・ 24 00:02:11,600 --> 00:02:14,170 言っていいことと 悪いことがありやすぞ! 25 00:02:14,170 --> 00:02:16,840 言っていいことと 悪いことを わきまえていねえのは・ 26 00:02:16,840 --> 00:02:19,680 そちらではねえか! ま ま ま 双方とも 落ち着いて。 27 00:02:19,680 --> 00:02:23,180 落ち着いて。 (勘兵衛) 一大事に落ち着いていられっか! 28 00:02:24,850 --> 00:02:27,750 (りん)新之助さんっ! (新之助)シ~ッ! 29 00:02:27,750 --> 00:02:30,020 うまく言ってくれるって 言ったのに! 30 00:02:30,020 --> 00:02:33,060 悪かった 悪かった。 うまく言った つもりだったんだけんど。 31 00:02:33,060 --> 00:02:35,830 俺 嘘つくの下手なんだよね。 マジメだから。 32 00:02:35,830 --> 00:02:37,890 兄ちゃんのお金のこと 言っつまったの!? 33 00:02:37,890 --> 00:02:40,530 いや あの金のことは言ってねえ。 それは安心してていいよ。 34 00:02:40,530 --> 00:02:43,570 何て言ったの? 俺の都合が悪いから・ 35 00:02:43,570 --> 00:02:46,700 結納は来年まで延ばしてくれって。 36 00:02:46,700 --> 00:02:49,740 そしたら なして都合悪いんだ っつうから・ 37 00:02:49,740 --> 00:02:52,210 今年は そんなこと しねえ方がいいって・ 38 00:02:52,210 --> 00:02:54,140 占いで言われたって 言ったんだ。 39 00:02:54,140 --> 00:02:56,380 そしたら どこの占いだ っつうから・ 40 00:02:56,380 --> 00:02:59,420 それは 秘密だって言ったらさ 騒ぎ出して…。 41 00:02:59,420 --> 00:03:02,150 じっつぁまと おっかさんに あれこれ あれこれ つつかれてよ。 42 00:03:02,150 --> 00:03:04,090 わたすが頼んだって 言っつまったの? 43 00:03:04,090 --> 00:03:06,660 いや そうは言わなかったけど 「おりんちゃんも・ 44 00:03:06,660 --> 00:03:10,330 その方がいいって言ってんだから」 って言っつまったんだ。 45 00:03:10,330 --> 00:03:12,630 ウッタ~…。 46 00:03:14,660 --> 00:03:17,330 黙っていては 分かんねえぞ おりん。 47 00:03:17,330 --> 00:03:20,640 なして 親に黙って そだこと 言ったんだ? 48 00:03:23,210 --> 00:03:27,980 こだ大事なことを なして 2人だけで相談しあったのか・ 49 00:03:27,980 --> 00:03:32,350 その訳を聞いてるんだ。 話しなさい。 50 00:03:32,350 --> 00:03:36,220 おりん おとっつぁんは しかってるんではねえんだぞ。 51 00:03:36,220 --> 00:03:39,220 お前のことを心配して 聞いてるんだ。 52 00:03:39,220 --> 00:03:41,360 じいさまも ばあさまも おっかさんも・ 53 00:03:41,360 --> 00:03:43,290 みんな 心配してるんだぞ。・ 54 00:03:43,290 --> 00:03:47,860 だから 黙ってねえで ちゃんと しゃべりなさい。 55 00:03:47,860 --> 00:03:51,700 おりん! なじょして黙ってるんだ? 56 00:03:51,700 --> 00:03:56,040 (こと)おりん。 ばあさまの部屋に来さっしょ。 57 00:03:56,040 --> 00:03:58,540 な? 2人で話しましょう。 58 00:03:58,540 --> 00:04:01,980 おっかさま それは やめてください。 59 00:04:01,980 --> 00:04:05,010 今は 私が話してるんですから そばから余計な口出しは・ 60 00:04:05,010 --> 00:04:07,650 やめてください。 余計ということは あるまい。 61 00:04:07,650 --> 00:04:11,520 親には言えないことも 爺 婆には 言えるということもある。 62 00:04:11,520 --> 00:04:13,990 お前のように そう・ 63 00:04:13,990 --> 00:04:19,160 四角四面に 真正面から攻める ばかりでは 落ちる城も落ちん! 64 00:04:19,160 --> 00:04:21,500 (弘次郎)私は 薩長のように 卑怯な手段を使って・ 65 00:04:21,500 --> 00:04:24,830 城を落とそうとは思いません。 兵法は 1つだけではねえぞ。 66 00:04:24,830 --> 00:04:27,670 親父さまは いつから 薩長の味方になられたのか。 67 00:04:27,670 --> 00:04:30,570 二本松の あの城を 落とされた悔しさを・ 68 00:04:30,570 --> 00:04:32,540 もう 忘れたのですか? 69 00:04:32,540 --> 00:04:35,180 おやめなされ。 70 00:04:35,180 --> 00:04:40,050 城を落とすだの 攻めるだの…。 71 00:04:40,050 --> 00:04:43,520 そんなことを 今は 言っている 場合ではありません!・ 72 00:04:43,520 --> 00:04:46,020 おりんは 城ではありません! 73 00:04:46,020 --> 00:04:50,360 おりん いつまでも そうして いられるもんで ねえんだぞぇ。 74 00:04:50,360 --> 00:04:54,030 おとっつぁんに ちゃんと話してみせ。 75 00:04:54,030 --> 00:04:56,230 (弘次郎)おりん! 76 00:05:01,470 --> 00:05:03,970 ごめんなっしょ。 77 00:05:03,970 --> 00:05:07,810 わたす やっぱり 話せません。 78 00:05:07,810 --> 00:05:10,310 何を… 何すんだ おとっつぁん! 79 00:05:10,310 --> 00:05:13,650 話せるようになるまで 納屋の中で 一人で頭を冷やさせる。 80 00:05:13,650 --> 00:05:15,590 母ちゃん 母ちゃん! 81 00:05:15,590 --> 00:05:18,520 誰も 勝手に出したり 近づいたりするな! 82 00:05:18,520 --> 00:05:21,990 (みつ) 姉ちゃん 早く話してしまいな! やめて 父ちゃん! 83 00:05:21,990 --> 00:05:23,930 (やえ)ちょっと! 84 00:05:23,930 --> 00:05:30,670 ・~ 85 00:05:30,670 --> 00:05:35,670 (戸を閉め 錠をかける音) 86 00:05:43,180 --> 00:05:45,880 おとっつぁん。 ねえ…? 87 00:06:11,970 --> 00:06:17,980 泣き声…。 おりんが泣いているのでは…? 88 00:06:20,980 --> 00:06:23,990 風の音です。 89 00:06:39,370 --> 00:06:41,570 (ネズミの鳴き声) 90 00:07:01,620 --> 00:07:05,460 おとっつぁん。 いつまで あの子 ああしておくつもりだえ? 91 00:07:05,460 --> 00:07:11,330 真っ暗な中で 飯も食わさずに この寒い中…。 92 00:07:11,330 --> 00:07:16,110 あんまし 情無しでねえかぇ!? 93 00:07:16,110 --> 00:07:20,810 そりゃ おりんのしたことは 悪いべけんど・ 94 00:07:20,810 --> 00:07:25,650 あの子も それなりに 考えがあって したことだべ? 95 00:07:25,650 --> 00:07:29,820 もう少し あの子の気持ち 察してやって・ 96 00:07:29,820 --> 00:07:33,620 時間かけて 聞いてやること できねえんだべか? 97 00:07:35,690 --> 00:07:39,000 あのままでは あの子は ますます 黙っちまうよ? 98 00:07:39,000 --> 00:07:40,930 そういう子なんだ あの子は。 99 00:07:40,930 --> 00:07:43,670 父親に似て 強情なとこ あんだから。 100 00:07:43,670 --> 00:07:49,470 自分に似てんだから もう少し 気持ち 分かってやって…。 101 00:07:49,470 --> 00:07:51,770 あんな お仕置き…。 102 00:07:55,180 --> 00:07:58,510 そこさ 置いてある鍵が 見えねえのか? 103 00:07:58,510 --> 00:08:01,020 何 今まで ぼんやりしてんだ。 104 00:08:07,620 --> 00:08:10,660 バカもん。 105 00:08:10,660 --> 00:08:14,300 あ… いやいや… いや おとっつぁん…。 106 00:08:14,300 --> 00:08:16,330 いや そうだったのかえ。 107 00:08:16,330 --> 00:08:22,470 わたす ぼんやりしちゃってて… ほんでも… ごめんなしょ…。 108 00:08:22,470 --> 00:08:27,640 ほれ… 戸 こじあけて 食べさすべと 思ってたんだ。 109 00:08:27,640 --> 00:08:32,320 いやいや… いやいや そうかえ。 110 00:08:32,320 --> 00:08:38,520 おとっつぁんも ちぃっとばかし 薩長だなえ。 111 00:08:43,660 --> 00:08:46,560 (戸の開く音) (やえ)おりん。 112 00:08:46,560 --> 00:08:50,000 母ちゃん! 寒かったべ? 113 00:08:50,000 --> 00:08:52,340 おとっつぁんが もう出てもいいって。 114 00:08:52,340 --> 00:08:55,000 今 話したくなかったら 話さねでもいいって。 115 00:08:55,000 --> 00:08:57,340 やべ。 116 00:08:57,340 --> 00:09:01,110 何? 出てもいいんだよ おりん。 117 00:09:01,110 --> 00:09:03,950 なじょしたんだ? おりん。 118 00:09:03,950 --> 00:09:09,450 母ちゃん… わたす 話す。 119 00:09:09,450 --> 00:09:11,390 母ちゃんだけに 話したいの。 120 00:09:11,390 --> 00:09:14,320 お願い。 父ちゃんにも誰にも 話さねって 約束して! 121 00:09:14,320 --> 00:09:17,830 そしたら…! そしたら 話す。 122 00:09:19,630 --> 00:09:25,500 ・~ 123 00:09:25,500 --> 00:09:28,300 つらかったべなぁ…。 124 00:09:28,300 --> 00:09:33,980 いや 母ちゃん 何にも知らねで すまねがったなえ…。 125 00:09:33,980 --> 00:09:40,320 母ちゃん… わたす どうしたらいいべ? 126 00:09:40,320 --> 00:09:43,020 わたす これから どうしたらいいべ? 127 00:09:44,650 --> 00:09:48,490 兄ちゃん… 返してくれるべか…。 128 00:09:48,490 --> 00:09:53,000 返すべ。 返すと思っていて やっぺな。 おりん。 129 00:09:57,170 --> 00:09:59,370 うん…。 130 00:10:03,040 --> 00:10:05,040 母ちゃん…。 母ちゃんに任せな。 131 00:10:05,040 --> 00:10:08,880 あとは 母ちゃんが なんとか やってみっから。 132 00:10:08,880 --> 00:10:13,880 大丈夫かえ? なあに お前の 母ちゃんだぞえ。 133 00:10:15,550 --> 00:10:21,860 こった小さな頭で 一生懸命 考えて・ 134 00:10:21,860 --> 00:10:26,530 兄ちゃん かばって…。 135 00:10:26,530 --> 00:10:29,830 かわいそうに…。 136 00:10:31,400 --> 00:10:36,210 今に きっと 自分の口から・ 137 00:10:36,210 --> 00:10:39,110 おとっつぁんに言う時が 来ると思うんだ。 138 00:10:39,110 --> 00:10:42,610 その時まで 待ってやってくだっしょ。 139 00:10:44,710 --> 00:10:49,390 あの子を 信用してやって おとっつぁん。 140 00:10:49,390 --> 00:10:55,260 信用は 最初からしている! おとっつぁん…。 141 00:10:55,260 --> 00:11:07,770 ・~ 142 00:11:07,770 --> 00:11:11,170 縄で縛りつけても 言わしてやりやすが・ 143 00:11:11,170 --> 00:11:13,680 あの子 何にも 悪いこと してません。 144 00:11:13,680 --> 00:11:18,510 それは 親の私には よく分かります。 145 00:11:18,510 --> 00:11:22,850 結納を 来年まで 待ってほしいというのも・ 146 00:11:22,850 --> 00:11:25,750 自分の心持ちが 来年には・ 147 00:11:25,750 --> 00:11:29,730 もっと しっかりしたものに なるのではないか…・ 148 00:11:29,730 --> 00:11:32,860 今年いっぱいは まだ小学生のつもりで・ 149 00:11:32,860 --> 00:11:34,800 いたいんではないかって…。 150 00:11:34,800 --> 00:11:39,030 これは 母親のわたすの 勝手な 言い分かもしれねげんど…。 151 00:11:39,030 --> 00:11:41,540 越後屋さん。 152 00:11:41,540 --> 00:11:46,210 身勝手な言い分を 承知の上で お願いいたします。 153 00:11:46,210 --> 00:11:51,080 あの子のことは 間違いなく わたすが見ておりやすから・ 154 00:11:51,080 --> 00:11:55,380 どうか 何も聞かずに 結納の件・ 155 00:11:55,380 --> 00:11:57,890 どうか 来年まで 待ってくださるように・ 156 00:11:57,890 --> 00:12:00,590 よろしく お願いいたします。 157 00:12:05,630 --> 00:12:12,170 分かった。 こっちにも 言い分が ねえわけでは ねえけんども・ 158 00:12:12,170 --> 00:12:16,510 おやえさん あんたの親心に免じて・ 159 00:12:16,510 --> 00:12:20,010 結納は 来年まで待とう。 160 00:12:20,010 --> 00:12:23,510 申し訳ござりやせん。 161 00:12:28,680 --> 00:12:31,520 ありがとう 母ちゃん。 162 00:12:31,520 --> 00:12:37,330 おりん これからは 何でも 自分一人で始末つけようなんて・ 163 00:12:37,330 --> 00:12:39,400 思うんでねえよ。 164 00:12:39,400 --> 00:12:43,030 お前 何でも 自分でできると 思ってるべげんと・ 165 00:12:43,030 --> 00:12:46,900 世の中つうものは そんな お前の考えたことで済むような・ 166 00:12:46,900 --> 00:12:49,610 そんな なまやさしいもので ねえんだよ。 167 00:12:52,210 --> 00:12:56,380 ほんでもなえ お前が一生懸命・ 168 00:12:56,380 --> 00:12:59,210 兄ちゃんや おとっつぁんや みんなのこと・ 169 00:12:59,210 --> 00:13:01,480 考えてやってくれたこと・ 170 00:13:01,480 --> 00:13:04,320 それは 考えの浅いところも あったけんど・ 171 00:13:04,320 --> 00:13:08,490 母ちゃん うれしかったよ。 ありがとなえ。 172 00:13:08,490 --> 00:13:13,360 母ちゃん 兄ちゃんに代わって 礼を言うぞい。 173 00:13:13,360 --> 00:13:15,360 母ちゃん…。 174 00:13:15,360 --> 00:13:19,000 でも 来年は もう待てねえぞい。 175 00:13:19,000 --> 00:13:22,500 こだことが あったんだから もう 決して待てねえぞい。 176 00:13:22,500 --> 00:13:26,010 それは分かってるな? おりん。 分かってる。 177 00:13:26,010 --> 00:13:29,040 …分かってるぞい。 178 00:13:29,040 --> 00:13:31,250 ええんだなぇ? 179 00:13:57,710 --> 00:14:03,980 (松浪)・「民皆喜べ」 180 00:14:03,980 --> 00:14:09,320 ・「君きたれり」 181 00:14:09,320 --> 00:14:16,090 ・「万のもの今」 182 00:14:16,090 --> 00:14:23,330 ・「君をみよな 君をみよな」 183 00:14:23,330 --> 00:14:31,070 ・「君 君をみよな」 184 00:14:31,070 --> 00:14:46,860 ・~ 185 00:14:46,860 --> 00:14:52,160 <15歳の春が もう そこまで来ていました>