1 00:00:00,900 --> 00:00:19,160 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:19,160 --> 00:00:57,660 ・~ 3 00:01:09,510 --> 00:01:12,980 (弘次郎)あっ…。 4 00:01:12,980 --> 00:01:14,980 (松浪)どうしたんですか? 5 00:01:18,310 --> 00:01:21,990 あっ これは ひどい…。 ちょっと拝見。 6 00:01:21,990 --> 00:01:24,820 鍬の刃が かすっただけだ。 ほっといてください。 7 00:01:24,820 --> 00:01:28,320 ほっとくわけには いきません。 馬の多い地方は 危ないんです。 8 00:01:28,320 --> 00:01:30,830 とにかく 見せてください。 結構だ。 9 00:01:30,830 --> 00:01:33,130 私は あんたの世話にはならん! 10 00:01:40,000 --> 00:01:43,340 さあ これで ももを縛って 血を止めてください。 11 00:01:43,340 --> 00:01:45,380 傷は こっちの方で…。 12 00:01:45,380 --> 00:01:48,210 やめてくれ! 13 00:01:48,210 --> 00:01:52,020 私は ヤソは嫌いだ。 14 00:01:52,020 --> 00:01:58,520 ましてや それが 娘に 妙な知恵を吹き込んで・ 15 00:01:58,520 --> 00:02:00,960 自分の学校に 誘い込もうとするような・ 16 00:02:00,960 --> 00:02:04,460 卑劣な奴ときては 顔を見るのも ごめんこうむる。 17 00:02:04,460 --> 00:02:07,460 手出しは無用! 向こうへ行ってくれ! 18 00:02:09,300 --> 00:02:12,800 武士の心得で 血止めは ご存じでしょう。 19 00:02:17,470 --> 00:02:23,150 ・~ 20 00:02:23,150 --> 00:02:25,650 私も 元は武士。 21 00:02:25,650 --> 00:02:29,150 己に恥じるような 薄汚い生き方だけは・ 22 00:02:29,150 --> 00:02:32,190 断じて してこなかった つもりです。 23 00:02:32,190 --> 00:02:49,540 ・~ 24 00:02:49,540 --> 00:02:52,380 [ 回想 ] (たま)おりんちゃんは 贅沢だ! 越後屋と女学校と・ 25 00:02:52,380 --> 00:02:55,180 どっちの贅沢を取ろうかと思って 悩んでいるだけだ! 26 00:02:58,680 --> 00:03:05,460 [ 心の声 ] (りん)そうだべか? 贅沢で悩んでるだけだべか?・ 27 00:03:05,460 --> 00:03:09,960 …違う! それだけではねえぞぃ おたまちゃん! 28 00:03:13,330 --> 00:03:16,630 父ちゃん! なじょしたの!? 29 00:03:16,630 --> 00:03:18,570 なして こだな けがしたの? 父ちゃん! 30 00:03:18,570 --> 00:03:22,140 痛いのかぇ? わたすの肩さ つかまって。 31 00:03:22,140 --> 00:03:24,170 父ちゃん そだな無理しねえで。 32 00:03:24,170 --> 00:03:27,480 ほれ わたすに よっかかっても 大丈夫だから。 33 00:03:27,480 --> 00:03:31,150 ここさ つかまって。 いいがら。 34 00:03:31,150 --> 00:03:34,180 父ちゃん! 35 00:03:34,180 --> 00:03:38,490 先生…。 私は これから ちょっと・ 36 00:03:38,490 --> 00:03:41,320 行かなくてはならない所が あるから… いいかい? 37 00:03:41,320 --> 00:03:44,830 家に帰ったら お父さんを寝かせて 医者を呼びなさい。 38 00:03:44,830 --> 00:03:47,660 いいかげんな手当てで 済まさないように。 いいね? 39 00:03:47,660 --> 00:03:52,170 さあ お父さんのあとに ついていきなさい。 はい。 40 00:03:58,940 --> 00:04:02,650 (医者)お大事に。 (やえ)ありがとうござりやした。 41 00:04:05,820 --> 00:04:08,280 母ちゃん。 何? 42 00:04:08,280 --> 00:04:11,120 あだに ちょこっと薬塗っただけで ええんだべか? 43 00:04:11,120 --> 00:04:13,060 「いいかげんな手当てで 済まさねえように」って・ 44 00:04:13,060 --> 00:04:14,990 松浪先生 おっしゃったんだよ。 45 00:04:14,990 --> 00:04:17,990 したって あの医者しか いねんだから…。 46 00:04:20,300 --> 00:04:25,970 (こと)これで 傷が とがめねば よいけども…。 47 00:04:25,970 --> 00:04:28,640 痛みやすか? 弘次郎。 48 00:04:28,640 --> 00:04:30,970 (徳右衛門) つまらねえことを聞くな。 49 00:04:30,970 --> 00:04:35,140 足に 鍬を打ち込めば 痛むのは 当たり前でねえか。 50 00:04:35,140 --> 00:04:38,480 どうして こんなことに…。 51 00:04:38,480 --> 00:04:42,320 弘次郎らしくもない。 何を考えていたのですか? 52 00:04:42,320 --> 00:04:44,350 何を考えていようと こうなってしまったんだから・ 53 00:04:44,350 --> 00:04:46,820 しょうがない。 すんだことを ガタガタ言うな! 54 00:04:46,820 --> 00:04:49,660 何も ガタガタなぞ 言うておりやせん。 55 00:04:49,660 --> 00:04:52,500 また あなたに伺っているのでも ござりやせん。 56 00:04:52,500 --> 00:04:55,000 (徳右衛門)何!? お静かに。 57 00:05:00,300 --> 00:05:02,940 (みつ)父ちゃん 大丈夫だべか? 58 00:05:02,940 --> 00:05:06,610 大丈夫だべ。 大丈夫でなくて どうすんだ。 59 00:05:06,610 --> 00:05:09,280 父ちゃん きっと 姉ちゃんのこと思っていて・ 60 00:05:09,280 --> 00:05:11,610 あだな けが しつまったんだなぇ。 61 00:05:11,610 --> 00:05:13,650 あんた なして そだこと言うの? 62 00:05:13,650 --> 00:05:17,120 姉ちゃんが 考えねえべ 考えねえべって 思ってっこと。 63 00:05:17,120 --> 00:05:19,960 ごめんなぇ。 64 00:05:19,960 --> 00:05:22,790 ほんでも きっと そうだなぇ。 65 00:05:22,790 --> 00:05:25,460 わたすが 父ちゃんに心配かけてっから・ 66 00:05:25,460 --> 00:05:28,130 父ちゃん ボ~ッとして 我が足さ 鍬 打ち込んだり・ 67 00:05:28,130 --> 00:05:30,630 しつまったんだ。 68 00:05:30,630 --> 00:05:32,970 わたすのせいだ。 69 00:05:32,970 --> 00:05:36,970 悪いこと言っつまったな おら…。 ごめんなぇ。 70 00:05:39,310 --> 00:05:41,980 あれ? 71 00:05:41,980 --> 00:05:44,780 これ 松浪先生の手ぬぐいだ。 72 00:05:46,480 --> 00:05:49,390 松浪先生 どこ行っつまったんだべ もう…。 73 00:05:49,390 --> 00:05:52,190 けがした父ちゃん ほっぽって! 74 00:05:56,490 --> 00:05:59,930 <医者の手当てが 不十分だったのか・ 75 00:05:59,930 --> 00:06:04,230 その夜 弘次郎は 急に高熱を出したのです> 76 00:06:15,950 --> 00:06:18,280 (やえ)ひとっ走り行ってくっから おとっつぁん 頼んだぞぇ。 77 00:06:18,280 --> 00:06:20,220 わたす 行ってくる。 78 00:06:20,220 --> 00:06:22,790 夜道でも大丈夫かぇ? 大丈夫。 79 00:06:22,790 --> 00:06:25,620 けど あのお医者で大丈夫だべか? 80 00:06:25,620 --> 00:06:27,560 他に いねんだから しょうがねえべ。 81 00:06:27,560 --> 00:06:29,860 行ってくる。 82 00:06:32,960 --> 00:06:39,270 [ 心の声 ] 神様 父ちゃん助けて! 神様…。 83 00:06:44,970 --> 00:06:48,480 おりんさんじゃないか。 松浪先生! 84 00:06:48,480 --> 00:06:50,810 どうしたんだ 今頃。 お父さんに 何か? 85 00:06:50,810 --> 00:06:55,320 熱 出したんです 高い熱。 だから これから 医者さま呼びに。 86 00:06:55,320 --> 00:06:58,650 やっぱり…。 そんなことに なるんじゃないかと思って・ 87 00:06:58,650 --> 00:07:01,620 福島まで行って 傷に効く薬を買ってきた。 88 00:07:01,620 --> 00:07:03,630 福島まで 薬を? 89 00:07:03,630 --> 00:07:06,400 医者は 近く? この先。 90 00:07:06,400 --> 00:07:09,300 一緒に行こう。 さあ 乗りなさい。 はい。 91 00:07:09,300 --> 00:07:42,970 ・~ 92 00:07:42,970 --> 00:07:45,640 あの医者の薬では 多分 駄目だろうから・ 93 00:07:45,640 --> 00:07:47,570 いいかい? おりんさん。 94 00:07:47,570 --> 00:07:50,140 この薬を使っての手当ての仕方を しっかり覚えて・ 95 00:07:50,140 --> 00:07:53,480 お母さんと2人で ちゃんとやるんだよ。 はい。 96 00:07:53,480 --> 00:07:57,310 (鶴次)松浪先生は オランダ医学の 勉強もなさった方だから…。 97 00:07:57,310 --> 00:07:59,250 少しだけね。 98 00:07:59,250 --> 00:08:02,080 いいかい? この布に この薬を・ 99 00:08:02,080 --> 00:08:04,590 こういうふうに たっぷりと塗って…。 100 00:08:07,760 --> 00:08:11,930 私が 手当てして差し上げられれば 一番いいんだが・ 101 00:08:11,930 --> 00:08:14,630 お父さんの お気持ちは…。 102 00:08:32,950 --> 00:08:37,750 この薬の布の上さ…。 これを? 103 00:08:40,820 --> 00:08:43,660 この紙を載っけて…。 104 00:08:43,660 --> 00:08:46,130 これで 巻けばいいんだなぇ。 105 00:08:46,130 --> 00:08:48,430 いやいやいや 松浪先生 よく…。 106 00:09:00,780 --> 00:09:04,080 [ 心の声 ] どうか 父ちゃんを 助けてください。・ 107 00:09:04,080 --> 00:09:08,950 わたすが悪いんなら わたすに罰を当ててください。・ 108 00:09:08,950 --> 00:09:11,950 神様…。 109 00:09:18,630 --> 00:09:23,100 熱で 薬が すぐ乾いちまって…。 110 00:09:23,100 --> 00:09:26,770 それだけ 熱を吸い取って くれているんですから・ 111 00:09:26,770 --> 00:09:29,670 効いているんでしょう。 112 00:09:29,670 --> 00:09:33,540 どこで こんな薬を習ったんです? やえさん。 113 00:09:33,540 --> 00:09:38,350 えっ… ずっと前に…。 114 00:09:57,730 --> 00:10:02,570 どう? 熱は下がった? 115 00:10:02,570 --> 00:10:06,580 まだ。 そう。 116 00:10:08,310 --> 00:10:13,020 私が言ったとおりに していますね? はい。 117 00:10:14,650 --> 00:10:18,490 何か変わったことがあったら 私に知らせるように。 118 00:10:18,490 --> 00:10:22,830 起きてますから。 はい。 119 00:10:22,830 --> 00:10:52,520 ・~ 120 00:10:52,520 --> 00:10:54,860 父ちゃん…。 121 00:10:54,860 --> 00:11:06,300 ・~ 122 00:11:06,300 --> 00:11:08,800 (鶏の鳴き声) 123 00:11:16,480 --> 00:11:18,410 あっ 先生! 124 00:11:18,410 --> 00:11:21,650 どうした!? お父さんに 変わったことが? そうでないの。 125 00:11:21,650 --> 00:11:24,550 下がったんです! 父ちゃんの熱 下がったんです! 126 00:11:24,550 --> 00:11:29,160 痛みも軽くなったって。 よくなったんです 先生! 127 00:11:29,160 --> 00:11:34,330 父ちゃん 助かったんです! よかったぁ。 128 00:11:34,330 --> 00:11:36,270 よかったね。 129 00:11:36,270 --> 00:11:40,500 先生 ありがとうございました。 130 00:11:40,500 --> 00:11:43,410 もう 大丈夫だと思うけど あとを大事になさい。 131 00:11:43,410 --> 00:11:47,280 薬を続けて。 先生 父ちゃんに会ってください。 132 00:11:47,280 --> 00:11:49,850 本当は お父さんに お会いして・ 133 00:11:49,850 --> 00:11:51,780 お話するために やって来たんだけど・ 134 00:11:51,780 --> 00:11:54,520 体の方が もう少し しっかりなさるまで・ 135 00:11:54,520 --> 00:11:57,420 遠慮しておこう。 今日は ひとまず帰ります。 136 00:11:57,420 --> 00:12:00,620 薬のことは 黙っているように。 137 00:12:00,620 --> 00:12:02,930 あっ 先生…。 138 00:12:04,790 --> 00:12:07,600 ありがとうございました。 139 00:12:12,540 --> 00:12:15,440 (こと)本当に よかったこと。 140 00:12:15,440 --> 00:12:20,140 一時は 私の命と引き換えにと 思いやしたが。 141 00:12:20,140 --> 00:12:22,810 もう大げさな。 142 00:12:22,810 --> 00:12:24,850 お前の ヘロヘロ命と 引き換えられては・ 143 00:12:24,850 --> 00:12:27,480 たまったもんじゃない。 あの戊辰の戦に・ 144 00:12:27,480 --> 00:12:30,990 せっかく生き残った命 そう やたらめったら落とせるものか。 145 00:12:30,990 --> 00:12:35,490 そんな やわな命ではないな? え? 弘次郎。 146 00:12:35,490 --> 00:12:39,330 (こと) けど よく効く薬でやしたな。・ 147 00:12:39,330 --> 00:12:42,230 やえさん どこで 買ってきたのですか? 148 00:12:42,230 --> 00:12:47,070 えっ? あっ… え~と あっちの薬屋で…。 149 00:12:47,070 --> 00:12:49,510 (こと)何という薬ですか? 150 00:12:49,510 --> 00:12:51,840 え~と 何つったっけ? 151 00:12:51,840 --> 00:12:58,010 まんつ この頃 物忘れがひどいで。 152 00:12:58,010 --> 00:13:12,960 ・~ 153 00:13:12,960 --> 00:13:16,470 [ 回想 ] さあ 一緒に行こう。 お乗りなさい。 154 00:13:16,470 --> 00:13:37,490 ・~ 155 00:13:39,150 --> 00:13:43,330 おかげさまで 家の中ぐらいは 歩けるようになりやした。 156 00:13:43,330 --> 00:13:47,830 まだ 少し痛むようだげんと…。 (千代)よかったですねぇ。 157 00:13:47,830 --> 00:13:51,670 みなさんのおかげで。 いや 私たちは 何も…。 158 00:13:51,670 --> 00:13:55,840 松浪先生のお力が お役に立って 先生も お喜びでした。 159 00:13:55,840 --> 00:13:59,270 あの… 松浪先生は? 集会場の方に。 160 00:13:59,270 --> 00:14:02,110 今日 お帰りになるんです。 もう? 161 00:14:02,110 --> 00:14:07,920 いやいや いやいや 改めて お礼も申し上げねえうちに…。 162 00:14:07,920 --> 00:14:11,620 のこった のこった…。 163 00:14:11,620 --> 00:14:22,970 (声援) 164 00:14:22,970 --> 00:14:26,300 (子供たち)あ~あ…。 165 00:14:26,300 --> 00:14:30,470 鶴次山の勝ち。 (鶴次)ははぁ~。 166 00:14:30,470 --> 00:14:33,680 それ~! あっ ちょっと待って。 167 00:14:35,980 --> 00:14:37,980 あっ…。 168 00:14:42,850 --> 00:14:45,150 橘さん…。 169 00:14:45,150 --> 00:14:53,860 ・~