1 00:00:01,070 --> 00:00:19,820 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:19,820 --> 00:00:58,560 ・~ 3 00:00:58,560 --> 00:01:00,960 (松浪)ちょっと 頼みたいことがあるんだが。 4 00:01:00,960 --> 00:01:03,630 こっちの仕事が済んだら 後で来てくれるかい? 5 00:01:03,630 --> 00:01:07,840 礼拝堂にいる。 (りん)はい。 行きます! 6 00:01:12,310 --> 00:01:15,810 さあ どんどん やっぺ! 7 00:01:26,660 --> 00:01:30,990 学校の用事で 明日 東京へ行くことになったんだ。 8 00:01:30,990 --> 00:01:34,860 東京へ!? あっ あの… また帰ってらっしゃるんですか? 9 00:01:34,860 --> 00:01:38,870 もちろん 帰ってくるよ。 えがった…。 10 00:01:38,870 --> 00:01:42,610 それで… これを あの3人に・ 11 00:01:42,610 --> 00:01:45,170 渡してもらいたいんだが いいかな? はい。 12 00:01:45,170 --> 00:01:47,680 わたす 今日 おくにさんのとこ 行くつもりでしたから。 13 00:01:47,680 --> 00:01:51,180 そうか。 それじゃ ちょうどよかった。 14 00:01:51,180 --> 00:01:56,050 これからも あの3人との連絡は 君に頼むことになると思うが。 15 00:01:56,050 --> 00:01:58,690 はいっ! わたすに させてください! 16 00:01:58,690 --> 00:02:00,660 先生や あの方たちの お役に立つことなら・ 17 00:02:00,660 --> 00:02:05,300 わたす 何でもします! ありがとう。 頼むよ。 18 00:02:05,300 --> 00:02:08,630 あの… この封筒の中・ 19 00:02:08,630 --> 00:02:11,470 わたすも おくにさんたちと一緒に 見せてもらって いいですか? 20 00:02:11,470 --> 00:02:17,270 かまわないよ。 それにはね もし あの3人が希望すれば・ 21 00:02:17,270 --> 00:02:20,640 東京のミッション系の女学校に 入学できるように・ 22 00:02:20,640 --> 00:02:23,150 私が話をしてもいいということを 書いたんだ。 23 00:02:23,150 --> 00:02:25,080 東京の女学校!? 24 00:02:25,080 --> 00:02:29,650 もちろん あの3人が 希望すればの話だし・ 25 00:02:29,650 --> 00:02:34,320 希望しても 東京の女学校で うんと言わないかもしれない。 26 00:02:34,320 --> 00:02:40,200 しかしね 私は このまま あの3人が 中途半端で・ 27 00:02:40,200 --> 00:02:44,970 学問をやめてしまうことが 実に残念でね。 28 00:02:44,970 --> 00:02:49,510 彼女たちのように 物事を きちんと考えられる女性が・ 29 00:02:49,510 --> 00:02:53,840 これからの日本には 是非 必要なんだよ。 30 00:02:53,840 --> 00:02:58,180 決して 押しつけるわけではないが・ 31 00:02:58,180 --> 00:03:03,950 彼女たちには もっと勉強し もっと自分を高めてほしいんだ。 32 00:03:03,950 --> 00:03:10,130 そして 女の可能性を 社会に示してほしいんだ。 33 00:03:10,130 --> 00:03:15,000 女性の地位が 社会的に 認められない国は・ 34 00:03:15,000 --> 00:03:19,140 本当の文明国とは 言えないからね。 35 00:03:19,140 --> 00:03:23,810 あの3人を このまま ほうり出してしまうことは・ 36 00:03:23,810 --> 00:03:27,480 教師としての 責任放棄だとも思うし…。 37 00:03:27,480 --> 00:03:29,810 あの3人の 今後のことについては・ 38 00:03:29,810 --> 00:03:33,320 私で できうる限りのことを したいと思ってるんだ。 39 00:03:33,320 --> 00:03:35,250 してあげてください。 40 00:03:35,250 --> 00:03:37,990 先生が 相談相手に なってくだされば・ 41 00:03:37,990 --> 00:03:40,490 あの方たちも どんなに うれしいか…。 42 00:03:40,490 --> 00:03:45,660 いや 彼女たちが 「そんな必要は ない」と言えば それまでだし・ 43 00:03:45,660 --> 00:03:49,470 また ご両親のご意向も あるだろうから…。 44 00:03:51,170 --> 00:03:53,670 あの方たちも 学校を追い出されたことで・ 45 00:03:53,670 --> 00:03:55,610 悲しんで苦しんでます。 46 00:03:55,610 --> 00:03:58,170 だれかの助けが欲しいんです! 47 00:03:58,170 --> 00:04:00,940 とにかく 私は 明日 東京へ行く。 48 00:04:00,940 --> 00:04:04,280 これを読んで 相談したいことがあれば・ 49 00:04:04,280 --> 00:04:07,780 今日中に私に連絡をくれるように そう伝えてくれたまえ。 50 00:04:07,780 --> 00:04:09,720 私は 自宅にいる。 51 00:04:09,720 --> 00:04:13,520 はい 今から すぐ行ってきます。 頼んだよ。 52 00:04:15,530 --> 00:04:18,490 先生! どうなさったんですか? 53 00:04:18,490 --> 00:04:24,230 いや…。 大丈夫だ 何でもない。 54 00:04:24,230 --> 00:04:28,100 ここのところ あまり眠ってないから。 55 00:04:28,100 --> 00:04:31,010 さあ 早く行きたまえ。 56 00:04:31,010 --> 00:04:38,150 はい。 あの…。 何? 57 00:04:38,150 --> 00:04:41,820 こんな大事なこと わたすに話してくださって…。 58 00:04:41,820 --> 00:04:44,520 わたすで ええんですか? 59 00:04:50,160 --> 00:04:52,160 行ってきます! 60 00:05:05,440 --> 00:05:09,310 (しづ)もし… もし 本当に 東京の女学校で 勉強ができたら・ 61 00:05:09,310 --> 00:05:12,780 私を東北女学校から 追放してくださった ミス ウィルソンに・ 62 00:05:12,780 --> 00:05:15,690 心から お礼を申し上げなくちゃ いけないわ。 63 00:05:15,690 --> 00:05:17,650 夢だったの。・ 64 00:05:17,650 --> 00:05:20,460 東京の女学校で勉強する っていうのが 私の夢だったのよ。 65 00:05:20,460 --> 00:05:22,790 (くに)そうね。 二宮さん いっつも おっしゃってたわね。 66 00:05:22,790 --> 00:05:25,130 東京の明和女学校。 一度で ええから・ 67 00:05:25,130 --> 00:05:27,060 あの明和女学校で 勉強してみたいって。 68 00:05:27,060 --> 00:05:29,800 明和女学校で教えてらっしゃる 先生方・ 69 00:05:29,800 --> 00:05:32,700 特に 文学や芸術関係の先生方は・ 70 00:05:32,700 --> 00:05:34,970 それは すばらしい方 ばかりなんですもの。 71 00:05:34,970 --> 00:05:37,470 そうそう 詩人の滝村東風も 確か・ 72 00:05:37,470 --> 00:05:39,410 明和女学校で 教えてござらしたわね? 73 00:05:39,410 --> 00:05:42,810 あら 滝村先生が いらっしゃる っていうだけじゃないわ。 74 00:05:42,810 --> 00:05:45,720 (くに)さようでござりすか。 もう! いやな おくにさん! 75 00:05:45,720 --> 00:05:47,680 あ 痛い~! 痛い痛い…。 76 00:05:47,680 --> 00:05:51,490 (笑い声) 77 00:05:51,490 --> 00:05:56,160 ああ でも いがったぁ… みんな 喜んでくれて。 78 00:05:56,160 --> 00:05:59,130 (なつ) 私たち 笑ったの 何日ぶり? 79 00:05:59,130 --> 00:06:03,600 ほんとね。 ここしばらく 笑うっていうの 忘れてたわね。 80 00:06:03,600 --> 00:06:06,500 笑うって すばらしいわ! ねえ 笑いましょうよ! 81 00:06:06,500 --> 00:06:09,470 もっと笑いましょうよ! そんな 笑えって言われて・ 82 00:06:09,470 --> 00:06:12,110 笑えるもんではないわ。 んだば だれか音頭とって。 83 00:06:12,110 --> 00:06:14,440 よし! そんだば わたすが。 84 00:06:14,440 --> 00:06:17,150 アッハハハ… はいっ! 85 00:06:18,780 --> 00:06:21,780 (笑い声) 86 00:06:23,950 --> 00:06:26,460 あ… あの…。 87 00:06:26,460 --> 00:06:29,490 (泣き声) 88 00:06:29,490 --> 00:06:32,260 ごめんなさいね 泣いたりして。 89 00:06:32,260 --> 00:06:38,070 まだ 東京の女学校に入れるか どうかも 決まってないのにね。 90 00:06:38,070 --> 00:06:40,640 でも うれしかったのよ。 91 00:06:40,640 --> 00:06:44,140 松浪先生が 私たちのことを そんなに真剣に・ 92 00:06:44,140 --> 00:06:46,180 心配してくださってるって いうことが 分かって・ 93 00:06:46,180 --> 00:06:48,880 私たち 本当に うれしかったの。 94 00:06:51,010 --> 00:06:55,850 (なつ)強がっていても ほんとは 寂しかったのよ。 95 00:06:55,850 --> 00:07:03,090 味方は こちらのお宅や あなたたちだけで 後は孤立無援。 96 00:07:03,090 --> 00:07:07,260 本当に どうしていいか 分からなかったの…。 97 00:07:07,260 --> 00:07:12,130 そしたら 松浪先生が こんなに 私たちのことを…。 98 00:07:12,130 --> 00:07:15,000 松浪先生は 夜も眠れねえくらい・ 99 00:07:15,000 --> 00:07:17,270 皆さんのこと 心配してるみたいです。 100 00:07:17,270 --> 00:07:19,940 大丈夫だ。 松浪先生に任しておけば・ 101 00:07:19,940 --> 00:07:22,280 きっと 皆さんのこと いいようにしてくれっから! 102 00:07:22,280 --> 00:07:25,180 そうよ。 松浪先生さ すべて お任せしましょうよ。 103 00:07:25,180 --> 00:07:27,150 先生なら大丈夫! 104 00:07:27,150 --> 00:07:29,620 さ これから みんなで 先生のとこさ お伺いして・ 105 00:07:29,620 --> 00:07:31,620 お願いしましょ! 106 00:07:37,790 --> 00:07:40,300 ただいまっ! 107 00:07:40,300 --> 00:07:44,630 ただいまっ! 聞こえねえのかい? 108 00:07:44,630 --> 00:07:46,570 (イネ)どっちさ言ってんだ? 109 00:07:46,570 --> 00:07:51,810 私にか? こちらのお方にか? え? 110 00:07:51,810 --> 00:07:54,140 (やえ)何だべ まあ…。 111 00:07:54,140 --> 00:07:57,180 「ただいま ただいま」って 童子みてえに どなって。 112 00:07:57,180 --> 00:07:59,980 それでも女学生だべか? ん? 113 00:08:01,750 --> 00:08:04,790 母ちゃん! 114 00:08:04,790 --> 00:08:10,260 あ… なして 来たの? 115 00:08:10,260 --> 00:08:14,600 別に 用でねんだげんと・ 116 00:08:14,600 --> 00:08:20,400 鶴次さんが 仙台さ来るっつうから たんだ ついてきてみたんだ。 117 00:08:20,400 --> 00:08:25,780 相馬のみんな 元気? 元気だぁ。 そう…。 118 00:08:25,780 --> 00:08:28,780 お前も 元気か? 元気。 119 00:08:30,650 --> 00:08:35,790 あ いけね! 私 薪小屋さ 用事があったんだ。 120 00:08:35,790 --> 00:08:40,620 悪いけんど つうっとばり ここ頼むからな おりんさん。 121 00:08:40,620 --> 00:08:45,290 気をつけて 行ってらっしゃいませ。 122 00:08:45,290 --> 00:08:47,230 おりん…! 123 00:08:47,230 --> 00:08:49,730 いやいや…。 124 00:08:51,470 --> 00:08:53,500 元気だ。 アハハ。 125 00:08:53,500 --> 00:08:57,340 あ それが まあ 落っこどしちまったんだ…。 126 00:08:57,340 --> 00:09:01,140 あら? あら? あ~ 母ちゃん! 127 00:09:01,140 --> 00:09:04,750 押されて ハァ…。 母ちゃん! いや 何? 128 00:09:04,750 --> 00:09:07,420 早くから分かっていたら もっと いろんなもの・ 129 00:09:07,420 --> 00:09:10,920 作ってきたんだげんと 急だもんだから まあ・ 130 00:09:10,920 --> 00:09:13,420 これぐらいのものしか出来ねくて。 131 00:09:13,420 --> 00:09:16,760 いやぁ あんころ餅! 132 00:09:16,760 --> 00:09:20,930 急だもんだから まあ 夜中に まあ 餅ついたり・ 133 00:09:20,930 --> 00:09:22,970 小豆煮たり 大騒ぎでなぃ。 134 00:09:22,970 --> 00:09:25,430 この餅 おとっつぁんが ついたんだぞぇ。 135 00:09:25,430 --> 00:09:28,340 じいさまが こねて。 この草餅ね・ 136 00:09:28,340 --> 00:09:30,610 おみつと ばあさまが ほら・ 137 00:09:30,610 --> 00:09:33,440 あの 宇多川の土手で 春に摘んどいたのを・ 138 00:09:33,440 --> 00:09:35,780 干したのを使ったんだから。 139 00:09:35,780 --> 00:09:40,120 みんなの手がかかってるんだから ミバ悪いけど うまいぞぇ。 140 00:09:40,120 --> 00:09:43,790 いや こんな田舎のもので お口に合わねえかしれねえけど・ 141 00:09:43,790 --> 00:09:46,460 どうぞ食べてくだっしょなぇ。 (節子)ありがとうございます。 142 00:09:46,460 --> 00:09:49,960 いただきます。 おいしそう! 143 00:09:49,960 --> 00:09:52,630 うちの あんころ餅 うめえんだぞぇ。 144 00:09:52,630 --> 00:09:55,530 ほれ お前も ほれ! 145 00:09:55,530 --> 00:09:57,830 いただきま~す! 146 00:10:04,140 --> 00:10:06,080 うめぇぇぇ~! 147 00:10:06,080 --> 00:10:09,480 なんだべ ヤギっ子みてえな声 出して。 148 00:10:09,480 --> 00:10:11,980 こったな山猿で なんぼか・ 149 00:10:11,980 --> 00:10:14,480 お前さまの ごやっかいに なっておりやすべ? 150 00:10:14,480 --> 00:10:17,150 すまねえことで ござりやす。 いいえ。 151 00:10:17,150 --> 00:10:20,060 こちらの方こそ おりんさんには お世話になっております。 152 00:10:20,060 --> 00:10:25,030 いえいえ あ~… これは 体だけは 丈夫に産んでおきやしたから・ 153 00:10:25,030 --> 00:10:27,800 まあ 気ぃ遣わねえで どんどん 使ってやってくだっしょなぇ。 154 00:10:27,800 --> 00:10:31,330 ほれ もっと食べな。 そったに食べられねえわ。 155 00:10:31,330 --> 00:10:34,840 何 語って。 若え娘っこが これくらい食べられねえで・ 156 00:10:34,840 --> 00:10:37,670 なじょする…。 何? 腹の具合でも 悪いのかぇ? 157 00:10:37,670 --> 00:10:40,710 そ… そだことねえよ。 母ちゃんなぇ・ 158 00:10:40,710 --> 00:10:44,850 10日ばあし前に 何だ 変な夢 見ちまってなぇ。 159 00:10:44,850 --> 00:10:49,720 お前が青い顔して しょんぼり うちさ 帰ってきてんだ。 160 00:10:49,720 --> 00:10:52,590 これ みんな だれにも 言ってねえんだげんと・ 161 00:10:52,590 --> 00:10:55,490 それからハァ 何だかお前のことが 気になって 気になって…。・ 162 00:10:55,490 --> 00:10:59,030 もっと ほら 食べてくだっしょ。 ありがとうございます。 163 00:10:59,030 --> 00:11:01,000 鶴次さんが 仙台さ行くって言うから・ 164 00:11:01,000 --> 00:11:03,870 お前の様子 見てきてくれって 頼んだの。 165 00:11:03,870 --> 00:11:09,140 そしたら おとっつぁんが 黙って 私に汽車賃くれたんだ。 166 00:11:09,140 --> 00:11:12,040 父ちゃんが? あの おとっつぁんが ほら・ 167 00:11:12,040 --> 00:11:14,940 大事にしてた 古物の脇差があったべ? 168 00:11:14,940 --> 00:11:17,310 あれを 売ってきて。 169 00:11:17,310 --> 00:11:20,150 あの脇差 売っつまったの 父ちゃん…。 170 00:11:20,150 --> 00:11:23,990 (やえ)おとっつぁんも 心配してんだべ お前のこと。・ 171 00:11:23,990 --> 00:11:26,320 夏休みも 帰ってこねかったし。 172 00:11:26,320 --> 00:11:30,830 何だ お前 やせたなぇ。 あ… そだことねえよ。 173 00:11:30,830 --> 00:11:33,860 いや やせてる。 ほれ ちょっと立ってみな。 174 00:11:33,860 --> 00:11:37,330 やっぱし この辺が すっかり減っちまってる。 175 00:11:37,330 --> 00:11:39,270 腕も細くなっちまってなぇ…。 176 00:11:39,270 --> 00:11:42,840 何 この着物の着方。 いやいや はだけちまって。 177 00:11:42,840 --> 00:11:46,710 また どっかで はねてきたんだ この はね駒! 痛っ! 178 00:11:46,710 --> 00:11:49,710 ほれ ちゃんと結んでやっから ほら。 179 00:11:49,710 --> 00:11:52,550 (節子)私…。 何か 言っておられる。 180 00:11:52,550 --> 00:11:55,550 お茶 いれてきます。 節子さん わたすが行くから! 181 00:11:55,550 --> 00:11:58,350 いいのよ。 お母さまと お話ししてらっしゃい。 182 00:12:01,220 --> 00:12:04,790 いい人と一緒で えがったなぇ。 183 00:12:04,790 --> 00:12:10,600 「お母さま」だと。 いやいや 大変だわ…。 184 00:12:10,600 --> 00:12:15,800 ほんなら わたすも… お母さまも あんころ餅 いただくかなぇ。 185 00:12:17,370 --> 00:12:23,150 節子さんなぇ… おっかさま いねえんだと。 186 00:12:23,150 --> 00:12:26,650 小さいころ 亡くなったんだと。 187 00:12:36,660 --> 00:12:40,160 (鶴次)ほんとに あの子が生まれる 時は お世話になりました。 188 00:12:40,160 --> 00:12:42,830 (彌七)いや 全く あの時は 慌てたね。 189 00:12:42,830 --> 00:12:45,330 産婆おぶって 走ったってのは 生まれて初めてだけどね・ 190 00:12:45,330 --> 00:12:47,270 軽いばあさんで 良かったよ。 191 00:12:47,270 --> 00:12:50,170 俺のおっかさまみてえのだったら 俺は つぶれたね。 192 00:12:50,170 --> 00:12:53,210 アハハハハ! ありがとうございました。 193 00:12:53,210 --> 00:12:56,350 おかげさまで おマリは 大層 元気で・ 194 00:12:56,350 --> 00:12:58,380 もう あの… つかまり立ちをして。 195 00:12:58,380 --> 00:13:01,120 こんなに? いや このくらい。 196 00:13:01,120 --> 00:13:05,450 私に似てましてね かわいいんですよ。 197 00:13:05,450 --> 00:13:07,490 (源造)おマリちゃんっていう お名前ですか? 198 00:13:07,490 --> 00:13:12,630 はい。 マリア様から ちょうだいして おマリと付けました。 199 00:13:12,630 --> 00:13:16,470 キリスト様から頂いて 「おキリ」っていうのも・ 200 00:13:16,470 --> 00:13:19,970 いいなと思ったんですが ちょっと もったいなくて。 201 00:13:19,970 --> 00:13:23,470 「おヤソ」っていうのも 悪くないけどね。 202 00:13:23,470 --> 00:13:25,810 おマリちゃんの産湯は 私と おりんちゃんと・ 203 00:13:25,810 --> 00:13:28,310 2人で くんだんですよ。 そうですか。 204 00:13:28,310 --> 00:13:32,180 きっと おりんちゃんに似て いい娘に なってくれるでしょう。 205 00:13:32,180 --> 00:13:35,990 あ… 私も くんだんです。 男は いいんです。 206 00:13:39,660 --> 00:13:41,690 (やえ)ほんとに 勝手なお願いを いたしまして…。 207 00:13:41,690 --> 00:13:44,160 (田島) いいから お掛けになって…。 208 00:13:44,160 --> 00:13:46,100 今日は 土曜日ですから・ 209 00:13:46,100 --> 00:13:49,330 身元の はっきりした所への 外泊は 許されております。 210 00:13:49,330 --> 00:13:51,830 そのかわり 明日は 安息日ですから・ 211 00:13:51,830 --> 00:13:54,670 こっちさ戻って 静かに お過ごしください。 212 00:13:54,670 --> 00:13:56,610 はいっ はいっ。 213 00:13:56,610 --> 00:13:59,510 明日は 必ず 戻ってまいりますので。 214 00:13:59,510 --> 00:14:04,780 おっかさまは 何か? しばらく こっちさ ご滞在でやっか? 215 00:14:04,780 --> 00:14:07,820 はい。 主人の弟のとこで ちょっとばあし…。 216 00:14:07,820 --> 00:14:11,290 そうですか。 ほんじゃば お嬢さまと2人で・ 217 00:14:11,290 --> 00:14:14,960 積もるお話など…。 お嬢さまと? いや~。 218 00:14:14,960 --> 00:14:18,290 いえ 私ではなくて おりんさんのことです。 219 00:14:18,290 --> 00:14:20,630 え? …ああ そう。 220 00:14:20,630 --> 00:14:25,470 お母さまの お嬢さまだべ わたす! 221 00:14:25,470 --> 00:14:28,140 そんでは 今夜は母と一緒に・ 222 00:14:28,140 --> 00:14:30,970 叔父の家に 泊まらせてもらいやすので。 223 00:14:30,970 --> 00:14:34,010 気ぃつけてな。 ありがとうござりやした。 224 00:14:34,010 --> 00:14:37,850 節子さん ごめんなぇ 1人にして。 大丈夫よ 一晩ぐらい。 225 00:14:37,850 --> 00:14:42,990 節子さん 私の部屋で一緒に寝ても いいですよ。 寝ますか? 226 00:14:42,990 --> 00:14:45,650 結構でございます! 227 00:14:45,650 --> 00:14:50,660 (笑い声) 228 00:14:52,830 --> 00:14:54,830 (咳払い)