1 00:00:02,210 --> 00:00:20,290 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,290 --> 00:00:59,060 ・~ 3 00:01:00,760 --> 00:01:04,100 ・(りん)母ちゃんが わたすに言いました。 4 00:01:04,100 --> 00:01:07,770 人には 節度っつうものが あるんだって。 5 00:01:07,770 --> 00:01:13,280 母ちゃんが ここに来たら きっと わたすを叱ると思います。 6 00:01:13,280 --> 00:01:16,310 ぶたれるかもしれません。 7 00:01:16,310 --> 00:01:19,080 ほんでも わたす 居ます。 8 00:01:19,080 --> 00:01:23,290 ぶたれても… 居ます! 9 00:01:25,290 --> 00:01:27,960 (松浪)帰りなさい。 10 00:01:27,960 --> 00:01:32,830 先生…。 親に そむいては いけない。 11 00:01:32,830 --> 00:01:37,300 お母さんの おっしゃることを 大事にしなさい。 12 00:01:37,300 --> 00:01:40,640 先生… わたす 今・ 13 00:01:40,640 --> 00:01:45,810 親の言うことよりも 先生の方が大事です! 14 00:01:56,650 --> 00:02:01,620 先生… 目を つぶってください。 15 00:02:03,930 --> 00:02:08,260 そしたら わたすのこと 見えないでしょ? 16 00:02:08,260 --> 00:02:12,140 わたす 黙ってます。 何にも言いません。 17 00:02:12,140 --> 00:02:17,270 見えなくて 声も聞こえなかったら 居ないのと同じでしょ? 18 00:02:17,270 --> 00:02:21,780 わたすは ここに こうして 黙ってます。 19 00:02:21,780 --> 00:02:25,280 わたすは 居ません。 20 00:02:25,280 --> 00:02:27,320 先生 目を つぶってください。 21 00:02:27,320 --> 00:02:30,320 ここには だれも いません! 22 00:02:37,290 --> 00:02:40,800 先生 起きては駄目です! 駄目! 23 00:02:40,800 --> 00:02:44,500 あ… 先生 駄目です! 24 00:02:47,300 --> 00:03:13,260 ・~ 25 00:03:13,260 --> 00:03:18,770 居ない人間が 手を出しちゃ 駄目じゃないか。 26 00:03:18,770 --> 00:03:28,110 ・~ 27 00:03:28,110 --> 00:03:31,610 先生…。 28 00:03:31,610 --> 00:04:08,920 ・~ 29 00:04:08,920 --> 00:04:12,760 (やえ)自分一人で 大きくなったような顔して・ 30 00:04:12,760 --> 00:04:16,260 偉そうに…。 31 00:04:16,260 --> 00:04:36,650 ・~ 32 00:04:36,650 --> 00:04:39,280 ・(鶏の鳴き声) 33 00:04:39,280 --> 00:04:41,480 先生…。 34 00:04:54,300 --> 00:04:57,970 先生…。 35 00:04:57,970 --> 00:04:59,900 おはよう。 36 00:04:59,900 --> 00:05:04,410 起きたりして 大丈夫なんですか? 先生。 37 00:05:04,410 --> 00:05:09,080 いつまでも寝ていては 本当に 病人になってしまうからね。 38 00:05:09,080 --> 00:05:12,580 もう大丈夫だ。 39 00:05:12,580 --> 00:05:15,920 いがった…。 40 00:05:15,920 --> 00:05:18,590 ゆうべは 部屋の中に だれも いなくて・ 41 00:05:18,590 --> 00:05:21,390 静かで よく眠れたよ。 42 00:05:32,600 --> 00:05:40,110 知らないうちに 庭が もう すっかり 秋になってしまった。 43 00:05:40,110 --> 00:05:43,610 このところ ゆっくり 庭を見る暇もなくて…。 44 00:05:45,450 --> 00:05:47,950 お忙しかったから…。 45 00:05:49,790 --> 00:05:54,460 いくら忙しいからって 庭を見ることを忘れるような・ 46 00:05:54,460 --> 00:05:57,790 季節の移り変わりに 気がつかないような・ 47 00:05:57,790 --> 00:06:01,300 そんな人間に なってはいけないね。 48 00:06:03,400 --> 00:06:06,440 自分が そんな人間に なっていたことに・ 49 00:06:06,440 --> 00:06:10,910 気がつかなかった…。 50 00:06:10,910 --> 00:06:13,710 うぬぼれていたんだね。 51 00:06:16,410 --> 00:06:21,280 先生 もう おやすみになった方が いいです。 52 00:06:21,280 --> 00:06:23,590 また 疲れますから。 53 00:06:28,590 --> 00:06:30,790 ゆうべは ありがとう。 54 00:06:32,930 --> 00:06:35,260 けがは? 55 00:06:35,260 --> 00:06:40,940 あ…。 あ もう 固まって。 56 00:06:44,610 --> 00:06:51,480 君が塀を乗り越える勇ましい姿が 見られなかったのは 残念だよ。 57 00:06:51,480 --> 00:06:54,950 お望みなら いつでも 越えてみせます。 58 00:06:54,950 --> 00:06:57,950 まだ 卒業まで 何年もあります。 59 00:07:08,230 --> 00:07:11,570 学校を 辞めるよ。 60 00:07:11,570 --> 00:07:16,540 今年いっぱいで あの学校の教師を 辞めることを 決心した。 61 00:07:18,240 --> 00:07:23,410 もう一度 自分という人間を 確かめてみるためにね。 62 00:07:26,920 --> 00:07:31,090 あんな… あんな くだらない 噂なんか だれも信じてません! 63 00:07:31,090 --> 00:07:33,120 何も気にすることなんか ないんです! 64 00:07:33,120 --> 00:07:35,260 あんなバカげた噂! 65 00:07:35,260 --> 00:07:40,100 しかし そういう噂を 立てられたという・ 66 00:07:40,100 --> 00:07:43,430 そのことに 僕は ショックを受けた。 67 00:07:43,430 --> 00:07:47,100 その噂が広まったという その事実に・ 68 00:07:47,100 --> 00:07:50,440 ぼう然としてしまった。 69 00:07:50,440 --> 00:07:53,940 そんな噂を立てられるような いかがわしさが…・ 70 00:07:53,940 --> 00:07:57,810 そんな噂が広まっていくような そんな軽薄さが・ 71 00:07:57,810 --> 00:08:01,050 僕の中に あったということに・ 72 00:08:01,050 --> 00:08:04,550 うろたえてしまった。 73 00:08:04,550 --> 00:08:08,220 そうか 他人から見れば・ 74 00:08:08,220 --> 00:08:13,560 僕は まだ そんな人間にしか すぎないのかって…。 75 00:08:13,560 --> 00:08:15,600 他人の目なんか…。 76 00:08:15,600 --> 00:08:18,430 そんな… そんな汚い目なんか…。 77 00:08:18,430 --> 00:08:21,240 いや。 78 00:08:21,240 --> 00:08:24,570 本当に 人間として立派であれば・ 79 00:08:24,570 --> 00:08:27,780 汚い目の方で 恥じてくれる。 80 00:08:31,250 --> 00:08:34,150 もう一度 勉強し直し・ 81 00:08:34,150 --> 00:08:38,590 主の御教えを 人に説くに ふさわしい人間になるために・ 82 00:08:38,590 --> 00:08:41,090 僕は 学校を辞める。 83 00:08:44,260 --> 00:08:47,160 イギリスのエジンバラという町の大学で・ 84 00:08:47,160 --> 00:08:51,030 僕の宗教上の恩師が 教鞭をとっておられる。 85 00:08:51,030 --> 00:08:55,870 以前から もう一度 一緒に 教義の勉強をしてみないかって・ 86 00:08:55,870 --> 00:08:58,770 お誘いを受けていたんだ。 87 00:08:58,770 --> 00:09:02,650 先生…。 88 00:09:02,650 --> 00:09:05,850 外国へ行ってしまうんですか!? 89 00:09:09,050 --> 00:09:14,390 だから 残念ながら・ 90 00:09:14,390 --> 00:09:18,260 君が塀を乗り越える 勇ましい姿は・ 91 00:09:18,260 --> 00:09:20,960 もう見せてもらうことが できないね。 92 00:09:23,100 --> 00:09:43,090 ・~ 93 00:09:43,090 --> 00:09:45,390 (やえ)おりん…。 94 00:09:48,760 --> 00:09:53,430 早く中に入りな。 今なら だれにも 気ぃつかれねえから。 95 00:09:53,430 --> 00:09:56,470 気づかれたら 一緒に 言い訳してやっぺと思って・ 96 00:09:56,470 --> 00:09:59,240 待ってたんだ。 97 00:09:59,240 --> 00:10:01,170 母ちゃん…。 98 00:10:01,170 --> 00:10:04,770 今日で 母ちゃん 相馬さ帰っから。 母ちゃん…。 99 00:10:04,770 --> 00:10:11,550 おりん。 母ちゃんは お前を 信用してっから。 100 00:10:11,550 --> 00:10:16,490 信用できるような娘に育てたと 思ってっから。 101 00:10:16,490 --> 00:10:19,490 それだけは 覚えててくんつぇ。 102 00:10:21,220 --> 00:10:24,160 母ちゃんが言っておくことは それだけだ。 103 00:10:24,160 --> 00:10:28,430 後は お前が考えたとおりに やってみな。 104 00:10:32,470 --> 00:10:36,270 先生は元気になられたかぇ? 105 00:10:38,340 --> 00:10:41,340 先生は…。 106 00:10:43,480 --> 00:10:46,480 イギリスへ行ってしまうよ。 107 00:10:53,490 --> 00:10:56,290 イギリスへ行ってしまう…。 108 00:11:00,930 --> 00:11:06,200 先生が… 行ってしまうんだよ! 109 00:11:07,800 --> 00:11:11,940 おりん…。 110 00:11:11,940 --> 00:11:14,840 (泣き声) 111 00:11:14,840 --> 00:11:18,710 母ちゃん…。 112 00:11:18,710 --> 00:11:27,790 ・~ 113 00:11:27,790 --> 00:11:30,590 母ちゃん…。 114 00:11:36,300 --> 00:11:40,800 <松浪先生は 2学期の最後の授業を終え・ 115 00:11:40,800 --> 00:11:46,310 クリスマスを迎えずに 学校を去ることになりました> 116 00:11:46,310 --> 00:12:09,100 ・~(賛美歌) 117 00:12:09,100 --> 00:12:17,440 (みどり) 私 松浪先生の いらっしゃらない 学校なんて やめちゃうわ。 118 00:12:17,440 --> 00:12:27,150 ・~(賛美歌) 119 00:12:27,150 --> 00:12:35,460 (祭り囃子) 120 00:12:35,460 --> 00:13:10,090 ・~ 121 00:13:10,090 --> 00:13:19,270 「愛は しのぶことをなし また 人の益をはかるなり」。 122 00:13:23,110 --> 00:13:31,280 「愛は 妬まず 誇らず たかぶらず・ 123 00:13:31,280 --> 00:13:33,980 非礼を行わず」。 124 00:13:38,050 --> 00:13:42,990 「己の利を求めず・ 125 00:13:42,990 --> 00:13:47,630 軽々しく怒らず・ 126 00:13:47,630 --> 00:13:50,930 人の悪しきを思わず」。 127 00:13:53,500 --> 00:13:56,510 「愛は しのぶことをなし…」。 128 00:14:00,140 --> 00:14:05,750 「また 人の益をはかるなり。・ 129 00:14:05,750 --> 00:14:14,460 愛は 妬まず 誇らず たかぶらず・ 130 00:14:14,460 --> 00:14:20,100 非礼を行わず・ 131 00:14:20,100 --> 00:14:23,770 己の利を求めず…」。 132 00:14:23,770 --> 00:14:31,270 ・~ 133 00:14:31,270 --> 00:14:38,950 <松浪は 一冊の賛美歌集を残して りんから 去っていきました。・ 134 00:14:38,950 --> 00:14:44,620 りんの初恋と 少女期との 別れでした> 135 00:14:44,620 --> 00:14:54,900 ・~