1 00:00:02,170 --> 00:00:02,640 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,560 --> 00:00:59,060 ・~ 3 00:01:07,570 --> 00:01:12,080 (徳右衛門)彌七 このみやげの酒は なかなか うまい酒だな。 4 00:01:12,080 --> 00:01:15,580 (彌七)そうですか。 それも 第二師団 御用達の酒です。 5 00:01:15,580 --> 00:01:19,750 (源造)しかし それを飲めるのは 将校以上の高級軍人だけですよ。 6 00:01:19,750 --> 00:01:25,090 そうか…。 すると 軍夫では これは 飲めんのか。 7 00:01:25,090 --> 00:01:27,120 軍夫? (やえ)いや その話は・ 8 00:01:27,120 --> 00:01:29,930 もう済んだことでござりやすから。 おとっつぁま…。 9 00:01:29,930 --> 00:01:33,260 彌七さん 源造さん うまいもの ござりやせんけど・ 10 00:01:33,260 --> 00:01:35,770 どうぞ あがってくだっしょ。 11 00:01:35,770 --> 00:01:38,100 軍夫が どうしたんですか? おとっつぁん。 12 00:01:38,100 --> 00:01:41,140 (こと) いえ おとっつぁまが 冗談に・ 13 00:01:41,140 --> 00:01:43,610 軍夫に応募するなんぞと 言い出して…。 14 00:01:43,610 --> 00:01:46,640 冗談ではないぞ。 今でも まだ その望みは捨ててねえ! 15 00:01:46,640 --> 00:01:48,780 あなた! 16 00:01:48,780 --> 00:01:53,280 そうですか。 おとっつぁまが 軍夫になりたいと…。 17 00:01:53,280 --> 00:01:55,790 いや 親子というものは・ 18 00:01:55,790 --> 00:01:58,690 妙なところが似るもんだなぁ。 …なあ? 19 00:01:58,690 --> 00:02:01,890 (徳右衛門)え? 何が似てるんだって? 20 00:02:01,890 --> 00:02:06,760 父上。 実は 私も 軍夫に応募したんです。 21 00:02:06,760 --> 00:02:09,230 何だって!? 彌七! 22 00:02:09,230 --> 00:02:11,270 (弘次郎)彌七! それは本当か? 23 00:02:11,270 --> 00:02:17,940 本当です。 もう 採用が決定して 来月10日に 入隊です。・ 24 00:02:17,940 --> 00:02:22,250 その報告に 今日 こうして 2人で来たんです。 25 00:02:22,250 --> 00:02:24,180 (りん)ウッタ~…。 26 00:02:24,180 --> 00:02:27,920 相談を受けた時は 私も驚いて 止めました。 27 00:02:27,920 --> 00:02:30,950 しかし 彌七さんの決心が 固くて…。 28 00:02:30,950 --> 00:02:34,260 (こと) 彌七 何を言っているのです。 29 00:02:34,260 --> 00:02:38,590 (弘次郎)店はどうするんだ 彌七! あにさん これからの商人は・ 30 00:02:38,590 --> 00:02:41,930 もう 日本の国内だけ 相手にしていては 駄目です。・ 31 00:02:41,930 --> 00:02:46,100 俺は これから 日本の食べ物を 外国に売り広げようと・ 32 00:02:46,100 --> 00:02:48,940 思ってるんだ。 それには まず・ 33 00:02:48,940 --> 00:02:53,440 外国の 普通の人間の暮らしを 見なければならんでしょう? 34 00:02:53,440 --> 00:02:56,280 (嘉助) ああ それで 軍夫になって・ 35 00:02:56,280 --> 00:02:58,310 向こうの国の様子を 見てこようってわけだ。 36 00:02:58,310 --> 00:03:02,550 もちろん 軍夫の仕事も ちゃんと やりながらの話だ。 37 00:03:02,550 --> 00:03:07,220 国へのご奉公と 自分の商売と 一石二鳥。 38 00:03:07,220 --> 00:03:11,090 分かった… 分かったぞ! 39 00:03:11,090 --> 00:03:13,730 (みつ) 何が分かったの? 兄ちゃん。 40 00:03:13,730 --> 00:03:16,400 俺は どうして こう 一つのことに満足せずに・ 41 00:03:16,400 --> 00:03:19,740 外側へ外側へと 目も心も向くかと 不思議だと思ったんだ。 42 00:03:19,740 --> 00:03:23,240 分かったよ。 橘家の血筋なんだ! 43 00:03:23,240 --> 00:03:25,910 じいさまや 彌七おんつぁんと 同じ血筋なんだよ。 44 00:03:25,910 --> 00:03:31,580 ハハハハ そうなんだ。 俺は橘家の男なんだ! バンザ~イ! 45 00:03:31,580 --> 00:03:34,080 おい おりん。 お前も そうだぞ。 46 00:03:34,080 --> 00:03:36,120 え… わたす? そうだよ。 47 00:03:36,120 --> 00:03:38,960 お前の心は いつも 外に向かって はね跳んでんだろ? 48 00:03:38,960 --> 00:03:41,820 外国を知りたがったり 女学校へ行きたがったり・ 49 00:03:41,820 --> 00:03:45,260 それは お前 橘家の血筋なんだよ! 50 00:03:45,260 --> 00:03:48,060 そうだべか…。 51 00:03:49,770 --> 00:03:54,940 男は いいなぇ。 何でも 自分の好きなことができて。 52 00:03:54,940 --> 00:03:57,440 なんぼ 橘家の人間でも・ 53 00:03:57,440 --> 00:04:01,040 女は そうは いかねえもんなぇ 姉ちゃん。 54 00:04:01,040 --> 00:04:05,720 わたす やってみる。 え? 何を? 55 00:04:05,720 --> 00:04:09,220 先生に なるっつう話 父ちゃんに しかられたげんと・ 56 00:04:09,220 --> 00:04:11,890 一度 言われたくらいで すっこんでいては駄目だぁ。 57 00:04:11,890 --> 00:04:16,060 しようと思ったら やらねっか。 わたすも橘家の人間なんだから! 58 00:04:16,060 --> 00:04:19,060 わたすだって おんつぁんに負けてらんに! 59 00:04:20,930 --> 00:04:23,400 よ~し。 60 00:04:23,400 --> 00:04:33,110 ・~ 61 00:04:33,110 --> 00:04:35,610 お願いがあります。 62 00:04:45,250 --> 00:04:50,130 これで あの仏像を 買い戻させてください。 63 00:04:50,130 --> 00:04:54,930 あの時 仏にすがる心を 起こさぬように・ 64 00:04:54,930 --> 00:04:57,970 それよりは 自分に頼りたいと言って・ 65 00:04:57,970 --> 00:05:00,540 あんたは あの仏さまを 売っていったんだが。 66 00:05:00,540 --> 00:05:03,370 はい 確かに そう言いました。 67 00:05:03,370 --> 00:05:07,210 そして 過分の代金で 買っていただきました。 68 00:05:07,210 --> 00:05:12,050 でも やっと 私にも分かってきた ような気がするんです。 69 00:05:12,050 --> 00:05:16,920 自分というものは 何か もっと 人間の力を超えた・ 70 00:05:16,920 --> 00:05:20,220 大きなものに支えられている ような気がするんです。 71 00:05:22,230 --> 00:05:27,030 もう一度 あの仏像を買い戻させてください。 72 00:05:56,090 --> 00:05:58,290 これで…。 73 00:06:04,530 --> 00:06:09,040 あの時は 確か6円で買い取った。 74 00:06:09,040 --> 00:06:12,380 これでは 多すぎる。 少しばかり 金もうけをしたと思って・ 75 00:06:12,380 --> 00:06:15,410 賢しらなことをと お怒りにならないでください。 76 00:06:15,410 --> 00:06:17,710 仏さまの宿料です。 77 00:06:20,120 --> 00:06:23,990 あ~ 湯を浴びて さっぱりした。 あねさん お先です。 78 00:06:23,990 --> 00:06:26,290 お 源造。 早く ふろ入れ。 79 00:06:27,920 --> 00:06:31,230 お 何だ? その仏さま。 80 00:06:31,230 --> 00:06:33,730 お前が あの寺から もらってきた…。 81 00:06:35,400 --> 00:06:39,900 彌七さん。 これを戦地に 持っていってください。 え? 82 00:06:39,900 --> 00:06:43,770 きっと 彌七さんを 守ってくださると思うんです。 83 00:06:43,770 --> 00:06:46,280 身近に持っていてください。 84 00:06:48,910 --> 00:06:52,420 行かないでくれという 私の願いは 聞いてもらえませんでしたが・ 85 00:06:52,420 --> 00:06:56,090 これくらいは聞いてください。 お願いします。 86 00:06:56,090 --> 00:06:59,120 源造…。 87 00:06:59,120 --> 00:07:02,890 必ず 帰ってきてください。 88 00:07:02,890 --> 00:07:08,660 無事で… 必ず帰ってきてください。 89 00:07:08,660 --> 00:07:23,710 ・~ 90 00:07:23,710 --> 00:07:27,880 そんじゃ 皆さん お元気で。 91 00:07:27,880 --> 00:07:30,890 お前も 元気で。 はい。 92 00:07:52,110 --> 00:07:54,740 (鶴次)おりんさん。 93 00:07:54,740 --> 00:07:58,580 私も おりんさんに 報告することが あるんですよ。 94 00:07:58,580 --> 00:08:00,520 何ですか? 95 00:08:00,520 --> 00:08:06,020 私も 軍隊と一緒に 戦地に行くことになりました。 96 00:08:06,020 --> 00:08:08,360 鶴次先生が 戦争へ!? 97 00:08:08,360 --> 00:08:11,390 でも 戦争をしに行くわけでは ありません。 98 00:08:11,390 --> 00:08:15,030 本部からの命令で 従軍宣教師として・ 99 00:08:15,030 --> 00:08:19,540 戦場となった現地の住民や 兵隊さんたちを慰問し・ 100 00:08:19,540 --> 00:08:21,570 布教をしに行くのです。 101 00:08:21,570 --> 00:08:25,880 鶴次先生が 戦地へ…。 102 00:08:25,880 --> 00:08:31,380 現地へ行って 敵味方の別なく 主の御教えを説き・ 103 00:08:31,380 --> 00:08:34,050 互いに 敵を愛する心で・ 104 00:08:34,050 --> 00:08:38,550 1日も早く 戦が終わるように 祈ってくるつもりです。 105 00:08:47,560 --> 00:08:49,570 鶴次先生! 106 00:08:51,230 --> 00:08:53,900 今日の日曜学校は あるんですか? 107 00:08:53,900 --> 00:09:01,510 あります。 私が戦地にたつ日まで 何事も変わりません。 108 00:09:01,510 --> 00:09:05,850 わたすに… 後で 子供たちに 話をさせてください。 109 00:09:05,850 --> 00:09:09,520 おりんさんが? わたす 先生になろうと思うんです。 110 00:09:09,520 --> 00:09:13,860 だから 今から みんなに話をする 稽古をしておきたいんです。 111 00:09:13,860 --> 00:09:17,730 わたす みんなに 女学校の話 します。 112 00:09:17,730 --> 00:09:20,030 いいでしょ? 先生。 113 00:09:23,030 --> 00:09:25,940 そうだよ。 お金がなくたって・ 114 00:09:25,940 --> 00:09:29,370 自分が勉強したいと思えば 女学校入って 勉強できる。 115 00:09:29,370 --> 00:09:31,310 わたすだって そうだったんだから。 116 00:09:31,310 --> 00:09:33,240 ほんとけ? おらも行きてえ。 117 00:09:33,240 --> 00:09:37,110 おらも入れてくれっぺか? 西洋人の言葉 教えてくれんのか? 118 00:09:37,110 --> 00:09:40,880 そうだ。 だれでも入れる。 何でも教えてもらえる。 119 00:09:40,880 --> 00:09:44,550 ただし 一生懸命 勉強しねっか 駄目だぞぇ。 120 00:09:44,550 --> 00:09:48,390 これからは 女だって いろんなこと勉強して…。 121 00:09:48,390 --> 00:09:50,890 そだ余計なこと 童さ 聞かせねえでくだっしょ! 122 00:09:50,890 --> 00:09:52,930 お前さんと おら家の子とは 違うんだ。 123 00:09:52,930 --> 00:09:55,400 そういう うめえ話は ここらの子供ら みんなが・ 124 00:09:55,400 --> 00:09:58,070 奉公にも糸繰りにも行かねえで 済むようになった時に・ 125 00:09:58,070 --> 00:10:01,740 聞かせてくだっしょ! おみよ! おみよ! 126 00:10:01,740 --> 00:10:05,570 ちょっと待って…。 帰るべ! 帰るべ! 127 00:10:05,570 --> 00:10:09,280 お願いだから 聞いてくだっしょ! 子供に そだ話しねえで! 128 00:10:12,750 --> 00:10:17,590 (鶴次)もう一度 聞いてください! おりんさんの話 もう一度…。 129 00:10:17,590 --> 00:10:21,390 ねえ… お願いだから 聞いてくだっしょ! 130 00:10:34,600 --> 00:10:37,940 自分の話してえことも ちゃんと話せねくて・ 131 00:10:37,940 --> 00:10:42,280 親を怒らせちまって…。 132 00:10:42,280 --> 00:10:45,310 駄目だ わたす…。 133 00:10:45,310 --> 00:10:49,620 じゃあ 先生になることは もう あきらめたか。 134 00:10:49,620 --> 00:10:52,520 ううん! ほんだから・ 135 00:10:52,520 --> 00:10:55,290 もっと ちゃんと 先生になれるように勉強しねっか。 136 00:10:55,290 --> 00:10:58,960 わたす もっともっと勉強して 立派な先生になる! 137 00:10:58,960 --> 00:11:02,400 だから 父ちゃん わたすが女学校さ残って・ 138 00:11:02,400 --> 00:11:04,430 先生の手伝いすること・ 139 00:11:04,430 --> 00:11:09,070 許してください。 頼みます。 140 00:11:09,070 --> 00:11:11,270 父ちゃん…。 141 00:11:14,880 --> 00:11:18,380 嘉助も おみつも ここさ座れ。 142 00:11:31,090 --> 00:11:37,870 嘉助。 お前が 「橘家の人間として うれしい」と言った・ 143 00:11:37,870 --> 00:11:42,870 あの言葉は 本当か? 本当だよ おとっつぁん。 144 00:11:44,610 --> 00:11:49,110 「橘家の男として 俺もやる」と 言った。 145 00:11:49,110 --> 00:11:51,050 あれは 本心か? 146 00:11:51,050 --> 00:11:53,780 そんなことは 嘘で言えねえよ。 147 00:11:53,780 --> 00:11:56,790 おとっつぁん 俺を信じてくれよ。 148 00:11:58,450 --> 00:12:01,360 信じよう。 149 00:12:01,360 --> 00:12:05,560 やりたいように やってみるがいい。 150 00:12:05,560 --> 00:12:08,900 おとっつぁん…。 151 00:12:08,900 --> 00:12:11,930 おりん。 152 00:12:11,930 --> 00:12:16,240 はい。 お前も同じだ。 153 00:12:16,240 --> 00:12:20,740 それほど 先生になりたければ 勉強がしたければ・ 154 00:12:20,740 --> 00:12:25,050 悔いを残さぬように やってみろ。 (やえ)おとっつぁん…。 155 00:12:27,420 --> 00:12:30,320 いいのかい? 父ちゃん…。 156 00:12:30,320 --> 00:12:33,020 (弘次郎) 悪いと言ったら やめるのか? 157 00:12:37,590 --> 00:12:40,600 (弘次郎)では それしかないではないか。 158 00:12:44,270 --> 00:12:48,940 ありがとう。 父ちゃん。 159 00:12:48,940 --> 00:12:52,270 おみつ。 160 00:12:52,270 --> 00:12:55,310 山田村の吉川は 縁組みの相手としては・ 161 00:12:55,310 --> 00:12:59,320 悪い家ではない。 お前は 嫁に行け。 162 00:13:01,720 --> 00:13:03,720 はい。 163 00:13:06,220 --> 00:13:08,720 言うことは それだけだ。 164 00:13:08,720 --> 00:13:13,060 それでよし。 それが 家長の裁断というものだ。 165 00:13:13,060 --> 00:13:15,730 我が子を信じ 断を下す。 166 00:13:15,730 --> 00:13:19,400 親として うれしいことではないか。 167 00:13:19,400 --> 00:13:22,240 喜べ 弘次郎。 168 00:13:22,240 --> 00:13:44,960 ・~ 169 00:13:55,140 --> 00:13:57,140 いやいや・ 170 00:13:57,140 --> 00:14:01,540 これなら よく目立って お客も来るわ。 171 00:14:01,540 --> 00:14:03,880 子供たちに負けねえように・ 172 00:14:03,880 --> 00:14:08,050 おとっつぁんも 再出発だなぇ。 173 00:14:08,050 --> 00:14:10,090 おとっつぁん・ 174 00:14:10,090 --> 00:14:14,920 子供たちの中さ おとっつぁんも わたすも・ 175 00:14:14,920 --> 00:14:18,690 みんな伝わってっから・ 176 00:14:18,690 --> 00:14:23,200 バラバラになってても 何にも心配ねえよなぇ…。 177 00:14:26,440 --> 00:14:28,440 なぇ。 178 00:14:35,140 --> 00:14:39,110 [ 心の声 ] もっともっと いろんなこと 知りてえ。・ 179 00:14:39,110 --> 00:14:41,750 わたすは わたす。・ 180 00:14:41,750 --> 00:14:46,060 よ~し とりあえず…。 181 00:14:47,920 --> 00:14:54,230 <慌ただしかった りんの夏休みが もう終わろうとしています>