1 00:00:02,140 --> 00:00:20,890 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,890 --> 00:00:58,900 ・~ 3 00:01:01,200 --> 00:01:05,370 <ストライキ事件のあと 東京の明和女学校に行っていた・ 4 00:01:05,370 --> 00:01:08,870 浜田くにが 病気で危篤状態になっている・ 5 00:01:08,870 --> 00:01:12,740 二宮しづを連れて 帰ってきたのです> 6 00:01:12,740 --> 00:01:14,740 (りん)二宮さん…。 7 00:01:14,740 --> 00:01:18,450 (義久)眠ってる時は 起こさねえほうがええ。 8 00:01:21,380 --> 00:01:25,220 眠ったまま 目が覚めない ってことは ないんですか? 9 00:01:25,220 --> 00:01:28,930 (くに) そんなこと ありませんよね? 必ず覚めますよね? 10 00:01:30,560 --> 00:01:36,230 (看護婦)はい…。 今は 注射で 眠っておられますから…。 11 00:01:36,230 --> 00:01:39,900 (節子)こんなに おやせになって…。 12 00:01:39,900 --> 00:01:44,910 二宮さん… どうして こんな…。 13 00:01:51,410 --> 00:01:55,920 (のぶ)旭川の ご両親あてに 電信を打っておぎした。 14 00:01:55,920 --> 00:01:57,850 くわしくは 打てねえすから・ 15 00:01:57,850 --> 00:02:02,030 とにかく おしづさんが病気だから すぐ来てほしい ということだけ・ 16 00:02:02,030 --> 00:02:05,530 とりあえず…。 それで よがろう。 17 00:02:05,530 --> 00:02:10,530 ご両親も さぞ たまげられるであろうが…。 18 00:02:15,240 --> 00:02:19,880 隣に 茶っこ用意してござりすから どんぞ。 19 00:02:19,880 --> 00:02:22,380 ご病人が 眠ってる間に。 20 00:02:29,220 --> 00:02:32,120 心中!? (節子)心中ですって!? 21 00:02:32,120 --> 00:02:35,890 おしづさんはね 滝村先生が 自殺なさってから・ 22 00:02:35,890 --> 00:02:39,230 ほとんど 食べ物を とらなく なってしまったのよ。 23 00:02:39,230 --> 00:02:42,900 私たちも 早く それに気がつけば よかったんだけど・ 24 00:02:42,900 --> 00:02:46,570 おしづさん 表面は 何でもないような顔してたから…。 25 00:02:46,570 --> 00:02:49,610 おしづさんはね 自分で 死のうとしているの。 26 00:02:49,610 --> 00:02:55,240 あれは自殺なのよ。 心中なの! (節子)聞こえるわよ。 27 00:02:55,240 --> 00:03:01,350 二宮さんは 滝村先生のことを そんなに思ってらしたの? 28 00:03:01,350 --> 00:03:04,690 「思ってる」とか「好き」とか そういうことじゃないの。 29 00:03:04,690 --> 00:03:11,360 おしづさんは 自分の全てを傾けて 滝村先生を 愛してらしたのよ。 30 00:03:11,360 --> 00:03:14,030 もちろん プラトニックでよ。 31 00:03:14,030 --> 00:03:19,200 (節子)じゃあ お二人の間に 何か約束でもあったの? 32 00:03:19,200 --> 00:03:23,070 約束っていうより 以心伝心。 33 00:03:23,070 --> 00:03:28,380 何も言わずとも 2人の心は 結ばれていたという感じだったわ。 34 00:03:28,380 --> 00:03:33,050 滝村先生の詩の授業の時なんか まるで 教室の中にいるのは・ 35 00:03:33,050 --> 00:03:35,950 先生と おしづさんの 2人きりみたいに・ 36 00:03:35,950 --> 00:03:39,820 先生が問えば おしづさんが答える。 37 00:03:39,820 --> 00:03:43,560 おしづさんが問えば 先生が答える。 38 00:03:43,560 --> 00:03:47,900 でも それが とってもリリカルで ポエティックで・ 39 00:03:47,900 --> 00:03:51,600 私たち みんな うっとり 聞きほれていたのよ。 40 00:03:53,240 --> 00:03:55,270 <その夜 りんたちは・ 41 00:03:55,270 --> 00:03:58,780 交代で しづの看病を することになりました> 42 00:04:11,190 --> 00:04:14,520 二宮さん…。 43 00:04:14,520 --> 00:04:18,860 私… 分かりますか? 44 00:04:18,860 --> 00:04:21,560 (しづ)おりんさん…。 45 00:04:26,200 --> 00:04:28,910 二宮さん…。 46 00:04:33,080 --> 00:04:39,380 お久しぶり。 来てくださったの? 47 00:04:39,380 --> 00:04:42,220 節子さんも 来てますよ。 48 00:04:42,220 --> 00:04:48,390 ありがとう。 皆さんに ご厄介かけて…。 49 00:04:48,390 --> 00:04:52,060 そんなこと 気にしないで。 50 00:04:52,060 --> 00:04:56,230 苦しくないですか? 51 00:04:56,230 --> 00:05:01,440 こんなに みんなを 騒がせる つもりじゃなかったのに…。 52 00:05:03,010 --> 00:05:11,350 今もね 夢の中で 滝村先生に しかられてたの。 53 00:05:11,350 --> 00:05:17,020 「そんなところで 何を モタモタしてるんだ」って。 54 00:05:17,020 --> 00:05:22,230 勝手ねぇ。 ご自分は さっさと いってしまって…。 55 00:05:23,890 --> 00:05:27,700 駄目だぞぃ 二宮さん! し~っ。 56 00:05:29,530 --> 00:05:34,040 自分の命を粗末にしてはなんねえ。 57 00:05:34,040 --> 00:05:39,210 どんなに寂しくても 悲しくても・ 58 00:05:39,210 --> 00:05:43,710 我慢して生きてくだっしょ! 59 00:05:43,710 --> 00:05:48,380 先生のとこに行こうなんて 思っては いけねえ。 60 00:05:48,380 --> 00:05:51,720 先生の分まで生きようと 思わねっか! 61 00:05:51,720 --> 00:05:55,930 なぇ 二宮さん…! 62 00:05:57,530 --> 00:06:01,530 今 とても気分がいいから・ 63 00:06:01,530 --> 00:06:08,170 おりんさん あなたに お願いしておくわ。 64 00:06:08,170 --> 00:06:10,870 何を? 65 00:06:17,510 --> 00:06:23,390 これをね… 私が死んだら・ 66 00:06:23,390 --> 00:06:27,220 これを 必ず 私のここに 入れてくださいね。 67 00:06:27,220 --> 00:06:29,230 そんな 死ぬなんて…! 68 00:06:29,230 --> 00:06:33,700 いいえ これは まじめなお願いよ。 69 00:06:33,700 --> 00:06:38,400 意識のあるうちに 言っとかないと 心配だから…。 70 00:07:02,160 --> 00:07:06,330 先生からの お手紙。 71 00:07:06,330 --> 00:07:11,670 私が死んだら 必ず ここに…。 72 00:07:11,670 --> 00:07:16,170 だれにも渡さないで 必ず ここに…。 73 00:07:16,170 --> 00:07:18,670 お願いしますね。 74 00:07:22,950 --> 00:07:27,780 そこには 先生と私だけの世界があるの。 75 00:07:27,780 --> 00:07:30,090 2人だけの…。 76 00:07:32,520 --> 00:07:37,030 そこだけでしか 私は生きられなかった。 77 00:07:37,030 --> 00:07:42,700 いいえ 生きていたくなかったの。 78 00:07:42,700 --> 00:07:48,040 そこだけに 私の命があったの。 79 00:07:48,040 --> 00:07:56,550 だから それは だれにも渡さないで・ 80 00:07:56,550 --> 00:08:00,250 私と一緒に焼いてくださいね。 81 00:08:07,820 --> 00:08:12,330 もし 万一のことがあっても・ 82 00:08:12,330 --> 00:08:17,200 これを あなたから離すことは 絶対にないって・ 83 00:08:17,200 --> 00:08:21,000 お約束するわ。 84 00:08:21,000 --> 00:08:27,810 だれにも渡さずに あなたの…。 85 00:08:30,180 --> 00:08:32,680 あなたの ここに置くって…。 86 00:08:34,680 --> 00:08:37,720 そう お約束するわ。 87 00:08:37,720 --> 00:08:43,190 ありがとう おりんさん。 ありがとう…。 88 00:08:43,190 --> 00:08:45,390 だから 元気になって! 89 00:08:47,700 --> 00:08:51,370 先生 ここに いらっしゃるんでしょ? 90 00:08:51,370 --> 00:08:54,040 それだったら… だったら・ 91 00:08:54,040 --> 00:08:55,970 そんなに急ぐこと ないでないの。 92 00:08:55,970 --> 00:09:00,810 そんな急いで 遠くへ行って しまうこと ないでないの。 ね? 93 00:09:00,810 --> 00:09:03,310 生きてください…。 94 00:09:03,310 --> 00:09:08,180 生きようと思ってください! 95 00:09:08,180 --> 00:09:14,920 なぇ? おしづさん…! 96 00:09:14,920 --> 00:09:23,230 ・~ 97 00:09:26,840 --> 00:09:30,670 ・源造さん! 源造さん! 98 00:09:30,670 --> 00:09:35,180 ・(戸を激しく叩く音) (源造)なんだ こんな時間に…。 99 00:09:37,850 --> 00:09:40,350 ・だれだ? 何の用だ? 100 00:09:40,350 --> 00:09:44,150 源造さん 私です! りんです! 開けて! 101 00:09:46,160 --> 00:09:49,360 おりんちゃん…。 お願い! お金貸して! 102 00:09:49,360 --> 00:09:51,690 何年かかっても返すから お願い! 103 00:09:51,690 --> 00:09:53,730 私 どうしても 買いたいものが あるんだけど・ 104 00:09:53,730 --> 00:09:57,870 お金 ためてる暇がないんです! お願いだから お金貸して。 105 00:09:57,870 --> 00:10:01,170 お願い… お願い 源造さん! 106 00:10:08,210 --> 00:10:11,550 呉服屋が これだっていうから。 これでいいのか? 107 00:10:11,550 --> 00:10:14,380 ありがとう。 でも これ 随分高いんだべ? 108 00:10:14,380 --> 00:10:16,420 そんなこと 言ってられないじゃないか。 109 00:10:16,420 --> 00:10:19,720 10年がかりで 返してくれんだろ? 返す! 絶対! 110 00:10:19,720 --> 00:10:21,760 じゃあ 俺は 別にかまわないもの。 111 00:10:21,760 --> 00:10:24,590 それよか 間に合うのか? 合わす! 112 00:10:24,590 --> 00:10:27,400 よし じゃ 早くしろよ。 ここ 使っていいから。 113 00:10:27,400 --> 00:10:31,100 ありがとう… ありがとなぇ 源造さん。 114 00:10:58,260 --> 00:11:02,130 握り飯 食べないか? 115 00:11:02,130 --> 00:11:07,870 指が 汚れるから…。 そうか。 116 00:11:07,870 --> 00:11:10,370 じゃ 茶ぐらい飲めよ。 117 00:11:10,370 --> 00:11:13,280 飲まず食わずじゃ おりんちゃんが まいっちゃう。 118 00:11:13,280 --> 00:11:15,280 ほら。 119 00:11:23,390 --> 00:11:25,390 ありがとう。 120 00:11:31,130 --> 00:11:35,730 ・(戸が開く音) 121 00:11:35,730 --> 00:11:38,070 (小僧)ただいま。 おう どうした? 122 00:11:38,070 --> 00:11:40,070 今夜あたりだろうって。 123 00:11:56,250 --> 00:12:00,690 (節子)おりんさん 二宮さん… たった今…。 124 00:12:00,690 --> 00:12:05,490 (くに) 北海道のご両親が着くまでって 励ましていたんだけど…。 125 00:12:52,740 --> 00:13:12,530 ・~ 126 00:13:12,530 --> 00:13:19,400 大あわてで 縫ったもんだから すごい針目なの…。 127 00:13:19,400 --> 00:13:26,610 でも… あなたの花嫁衣装よ。 128 00:13:31,210 --> 00:13:40,560 滝村先生と お二人で… 笑ってくださいね。 129 00:13:40,560 --> 00:13:53,140 (泣き声) 130 00:13:53,140 --> 00:14:14,420 ・~ 131 00:14:14,420 --> 00:14:23,130 ウッタ~ きれいなお嫁さま…。 132 00:14:23,130 --> 00:14:28,070 よかったわね 二宮さん…。 133 00:14:28,070 --> 00:14:32,210 先生と お幸せにね…。 134 00:14:32,210 --> 00:14:44,550 ・~ 135 00:14:44,550 --> 00:14:51,560 <死を選ぶほどの 愛の強さを りんは 初めて知ったのでした>