1 00:00:02,170 --> 00:00:15,720 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:15,720 --> 00:01:19,720 ・~ 3 00:01:21,580 --> 00:01:29,360 <りんの先生ぶりも だいぶ 板に付いてきた 明治29年6月> 4 00:01:29,360 --> 00:01:32,930 (ウラ)橘先生 ここは どうやってやったら・ 5 00:01:32,930 --> 00:01:36,630 いいんですか? (りん)あ ここはね…。 6 00:01:36,630 --> 00:01:39,640 (田島)まあまあ 申し訳ございません。 7 00:01:39,640 --> 00:01:42,270 私としたことが 時間割り 間違えてしまって。・ 8 00:01:42,270 --> 00:01:44,240 ほんとに お待たせしました。 9 00:01:44,240 --> 00:01:46,840 はい 起立! 10 00:01:49,050 --> 00:01:52,980 あれ? おりん先生 なんで あなた ここに いらっしゃるの? 11 00:01:52,980 --> 00:01:56,790 あの… 今 わたすの時間ですから。 あら…。 12 00:01:56,790 --> 00:01:59,690 もしかしたら 教室を間違えて いらっしゃるんじゃないですか? 13 00:01:59,690 --> 00:02:02,230 ここは 本科4年生の教室ですけど。 14 00:02:02,230 --> 00:02:06,100 あら やんだ。 私 また間違えてしまって…。 15 00:02:06,100 --> 00:02:09,000 ほんとに この頃 私 おかしいんですよね。 16 00:02:09,000 --> 00:02:12,400 どうかしてんの。 ほんとに申し訳ございません。 17 00:02:12,400 --> 00:02:16,740 ごめんあそばせ。 失礼しました。 18 00:02:16,740 --> 00:02:20,580 (笑い声) 19 00:02:20,580 --> 00:02:23,910 もう まるで 若い娘さんみたいなのよ。 20 00:02:23,910 --> 00:02:26,950 (イネ) そったに 嬉しいもんだべかね? 嫁さ行くことが。 21 00:02:26,950 --> 00:02:29,720 あの年に なってもなぁ…。 22 00:02:29,720 --> 00:02:34,420 いやいや あの年だから 余計 嬉しいんだわ。 23 00:02:34,420 --> 00:02:37,260 田島先生 初めてなんでしょ? 結婚は。 24 00:02:37,260 --> 00:02:39,500 あのおたち方 見れば 分かっぺ。 25 00:02:39,500 --> 00:02:44,270 相手は 2度目だっつうけんど。 小学校の校長先生なんだってね。 26 00:02:44,270 --> 00:02:47,770 童が 5人 居んだと。 5人! 27 00:02:47,770 --> 00:02:52,640 わんざわんざ 苦労しさ 行くようなもんだわ 田島先生。 28 00:02:52,640 --> 00:02:55,450 でも ご本人は 喜んでらっしゃるんだから。 29 00:02:55,450 --> 00:02:57,950 おりんさん あんたも いいかげんのとこで・ 30 00:02:57,950 --> 00:03:01,550 嫁さ行かねえと 子持ちヤモメの ツンツクリンでも・ 31 00:03:01,550 --> 00:03:05,390 田島先生みたいに キャーキャー喜んで 行かねば なんねんだから。 32 00:03:05,390 --> 00:03:08,730 いいの! わたすは 結婚よりも 先生のほうを選んだんだから。 33 00:03:08,730 --> 00:03:11,560 田島先生も ず~っと そったなこと言ってたんだ。 34 00:03:11,560 --> 00:03:14,460 それが コロッと ああだもん。 35 00:03:14,460 --> 00:03:19,840 まったくもう 女の心は どこで どう ひっくり返るか…。 36 00:03:19,840 --> 00:03:24,410 あら 何 ひっくり返るの? あら。 37 00:03:24,410 --> 00:03:27,310 あら おりんさん ここに居たのね。 38 00:03:27,310 --> 00:03:32,750 先ほどは 本当に 失礼いたしました。 いいえ。 39 00:03:32,750 --> 00:03:35,590 何 話してたの? いえ あの 別に…。 40 00:03:35,590 --> 00:03:38,250 ツンツクリンの話 してたのっしゃ。 おばちゃん! 41 00:03:38,250 --> 00:03:41,760 まあ~ 楽しそうな お話だこと。 42 00:03:41,760 --> 00:03:45,430 私にも 聞かせて。 いえ あの あの… あのですね。 43 00:03:45,430 --> 00:03:48,460 おりんさんも 田島先生みたいに 嫁さ行きなさいって・ 44 00:03:48,460 --> 00:03:52,200 かたってたのっしゃ。 嫌だ おばさんも おりんさんも・ 45 00:03:52,200 --> 00:03:57,370 私のこと オサカナにして オホホホホ! 恥ずかしいわ~。 46 00:03:57,370 --> 00:04:01,040 でもね ほんとに いろいろと お世話になりました。 47 00:04:01,040 --> 00:04:03,950 ありがとうございました。 この学校での思い出は・ 48 00:04:03,950 --> 00:04:06,720 私の一生の宝物に なりますわ。 49 00:04:06,720 --> 00:04:10,390 田島先生 本当に 今学期で学校を 辞めてしまわれるんですか? 50 00:04:10,390 --> 00:04:13,060 やっぱりね 女は・ 51 00:04:13,060 --> 00:04:16,560 家庭を守るのが 女の務めですからね。 52 00:04:16,560 --> 00:04:18,590 子供の世話も しなきゃならないし・ 53 00:04:18,590 --> 00:04:23,070 それに ご主人さまのね 世話もしなきゃなんないでしょう。 54 00:04:23,070 --> 00:04:25,570 私に聞いても 知らねえっちゃ。 55 00:04:25,570 --> 00:04:28,470 そうね。 おばちゃんも おりんちゃんも・ 56 00:04:28,470 --> 00:04:31,910 この件に関しては まったく駄目ね。 57 00:04:31,910 --> 00:04:33,840 すみません。 58 00:04:33,840 --> 00:04:36,410 でも おりんちゃんが お嫁に行く時は・ 59 00:04:36,410 --> 00:04:39,320 私が 全部 お世話してあげるから 大丈夫よ。 60 00:04:39,320 --> 00:04:42,290 先生 わたすに 何か ご用だったんじゃないですか? 61 00:04:42,290 --> 00:04:45,420 あら やだ そうでしたね。 62 00:04:45,420 --> 00:04:49,090 私 何か 忘れて…。 嫌だわ~。 63 00:04:49,090 --> 00:04:51,930 私 この頃 本当に どうかしてしまってんのよ。 64 00:04:51,930 --> 00:04:56,800 (イネ) どうかしてるどこでねえべ。 どうなっつまってんだ こりゃ。 65 00:04:56,800 --> 00:04:59,270 (節子)ごきげんよう。 66 00:04:59,270 --> 00:05:03,140 節子さん! いらっしゃい。 こんにちは。 67 00:05:03,140 --> 00:05:05,540 今ね お部屋のほうに お伺いしたら どなたも・ 68 00:05:05,540 --> 00:05:08,040 いらっしゃらなかったので 多分 こちらだと思って。 69 00:05:08,040 --> 00:05:10,380 田島先生 どうも ご無沙汰いたしまして。 70 00:05:10,380 --> 00:05:12,420 まあ お久しぶりでございます。 71 00:05:12,420 --> 00:05:15,220 さあ どうぞ どうぞ こっちさ お座りになって。 72 00:05:15,220 --> 00:05:19,060 おばさん お元気? 私の取り柄は 元気なだけ。 73 00:05:19,060 --> 00:05:23,390 まんず まんず ハア すっかり ええ奥さまになって。 74 00:05:23,390 --> 00:05:27,260 旦那さまの篠原中尉殿は お元気? (節子)ええ おかげさまで。・ 75 00:05:27,260 --> 00:05:30,570 あのね 主人は 大尉になりましたのよ。 76 00:05:30,570 --> 00:05:33,470 あ ごめんなさい。 去年 凱旋なさってから・ 77 00:05:33,470 --> 00:05:36,240 もう すぐに 大尉に昇進なさったのね。 78 00:05:36,240 --> 00:05:38,740 お嫁入りしてから もう そろそろ1年になるか? 79 00:05:38,740 --> 00:05:41,410 ええ 来月で ちょうど1年になります。 80 00:05:41,410 --> 00:05:45,280 やや子は まだか? ええ まだなんです。 81 00:05:45,280 --> 00:05:49,590 一日何をしてるの? 退屈しない? (節子)とんでもない。・ 82 00:05:49,590 --> 00:05:52,420 もう 一日はね 本当に うちの中のことって・ 83 00:05:52,420 --> 00:05:55,260 しようと思ったら もう 本当 いっぱいあるのよ。 84 00:05:55,260 --> 00:05:58,290 あの… 子供が いなくても? ええ。 85 00:05:58,290 --> 00:06:00,700 掃除 洗濯 お食事の支度。 86 00:06:00,700 --> 00:06:03,600 もう あっという間に 一日が過ぎてしまって。 87 00:06:03,600 --> 00:06:06,200 それに 主人のお世話も ありますでしょ? 88 00:06:06,200 --> 00:06:08,140 ご主人の世話っていいますと・ 89 00:06:08,140 --> 00:06:10,740 具体的に どのようなことが あるんですか? 90 00:06:10,740 --> 00:06:14,540 いえ… なにも別に変わったことは いたしませんけれども・ 91 00:06:14,540 --> 00:06:19,220 でも 人様並みに 食べること 着ること それに…。 92 00:06:19,220 --> 00:06:22,250 あ ちょ… ちょっと 待ってくださいよ。 93 00:06:22,250 --> 00:06:25,050 なるほどね…。 94 00:06:27,560 --> 00:06:30,060 はい どうぞ。 (節子)あら そんな・ 95 00:06:30,060 --> 00:06:31,990 先生に書いていただくような ことなんて・ 96 00:06:31,990 --> 00:06:34,730 何にも いたしておりませんわ。 先生のほうが・ 97 00:06:34,730 --> 00:06:37,570 それこそ 何でも ご存じで。 いや それはね・ 98 00:06:37,570 --> 00:06:39,900 私は あなたに いろいろと お教えしましたけれども・ 99 00:06:39,900 --> 00:06:41,940 実生活では やっぱり あなたのほうが・ 100 00:06:41,940 --> 00:06:45,410 いろいろと ご存じで。 「いろいろと」なんて…。 101 00:06:45,410 --> 00:06:48,240 朝は ご主人を お起こしに なるんですか? 102 00:06:48,240 --> 00:06:50,580 はい。 三つ指ついて? 103 00:06:50,580 --> 00:06:53,620 三つ指は ついたり つかなかったりですね。 104 00:06:53,620 --> 00:06:56,920 でも 朝は 大抵 主人は 起床ラッパで起きる習慣が・ 105 00:06:56,920 --> 00:07:00,890 ついておりますので…。 えっ! ラッパを吹くんですか! 106 00:07:00,890 --> 00:07:03,730 いえ。 そういう習慣が ついておりますので・ 107 00:07:03,730 --> 00:07:07,030 大抵ね 起床時間になりましたら・ 108 00:07:07,030 --> 00:07:09,370 自然に目が覚めているようで ございますけれども・ 109 00:07:09,370 --> 00:07:13,240 でも 一応 やっぱり 「あなた お時間でございます」って・ 110 00:07:13,240 --> 00:07:16,540 声は かけるように しているんですよ。 なるほど…。 111 00:07:16,540 --> 00:07:21,180 「お時間ですよ」と。 それから? 112 00:07:21,180 --> 00:07:25,880 (節子)それから 主人の洗顔を 手伝いまして…。 113 00:07:25,880 --> 00:07:31,050 洗顔っていいますと どのように? お手伝い…。 114 00:07:31,050 --> 00:07:34,560 (節子)ですから ひげ剃りの道具を 揃えましたり・ 115 00:07:34,560 --> 00:07:37,590 あと 洗顔の時に 袖が濡れないように・ 116 00:07:37,590 --> 00:07:43,970 袂を持ったりする…。 「ひげ剃りの道具を 揃えて・ 117 00:07:43,970 --> 00:07:47,240 袂を持つ」と。 118 00:07:47,240 --> 00:07:50,740 ほんとに おりんさんと お話がしたくて・ 119 00:07:50,740 --> 00:07:52,780 久しぶりに お寄りしたんだけど。 120 00:07:52,780 --> 00:07:56,410 でも 今度 陸軍婦人会の集まりに お誘いするわ。 ありがとう。 121 00:07:56,410 --> 00:07:58,910 今度 また ゆっくり お会いしましょうね。 122 00:07:58,910 --> 00:08:02,120 じゃあ また ごきげんよう。 さようなら。 123 00:08:05,350 --> 00:08:10,190 (鶴次)これが お父さんの 教えていた 東北女学校ですよ。 124 00:08:10,190 --> 00:08:13,100 鶴次先生! おばちゃん! 125 00:08:13,100 --> 00:08:15,700 (鶴次)いや おりんさん! いやいやいや! 126 00:08:15,700 --> 00:08:17,730 ここで もう お会いできるとは。 127 00:08:17,730 --> 00:08:22,040 主よ お優しき お計らいに 感謝いたします。 128 00:08:22,040 --> 00:08:24,710 (千代)しばらく おりんちゃん。 お元気でしたか? 129 00:08:24,710 --> 00:08:27,210 ええ もう このとおり。 130 00:08:27,210 --> 00:08:29,710 あら あやちゃん けいちゃん・ 131 00:08:29,710 --> 00:08:32,380 おマリちゃん よく来たわね。 132 00:08:32,380 --> 00:08:35,280 ご挨拶は? (3人)こんにちは! 133 00:08:35,280 --> 00:08:39,260 こんにちは。 本当に お利口さんたちね。 134 00:08:39,260 --> 00:08:42,890 あら… もう1人? 135 00:08:42,890 --> 00:08:45,930 この子ですよ。 これが 去年の暮れに生まれた・ 136 00:08:45,930 --> 00:08:49,070 初めての男の子 鶴松なんですよ! 137 00:08:49,070 --> 00:08:52,570 あぁ この子が鶴松ちゃん? 138 00:08:52,570 --> 00:08:56,070 可愛いでしょ? 私に そっくり! 139 00:08:58,370 --> 00:09:01,280 (千代)男の子は 初めてやさかい・ 140 00:09:01,280 --> 00:09:04,210 もう 主人が 可愛がって 可愛がって。 141 00:09:04,210 --> 00:09:06,520 目の中 入れても 痛うないって。 142 00:09:06,520 --> 00:09:08,850 あんまり しょっちゅう 目の中に入れるので・ 143 00:09:08,850 --> 00:09:11,520 私の目 こんなに パッチリ 大きくなりました。 144 00:09:11,520 --> 00:09:13,860 アハハ! 145 00:09:13,860 --> 00:09:17,730 でも 「鶴松」って 本当におめでたくて いい名前ね。 146 00:09:17,730 --> 00:09:21,360 本当は 私の「鶴」と これの「千代」をとって・ 147 00:09:21,360 --> 00:09:23,870 「鶴千代」にしようと 思ったんですけどね・ 148 00:09:23,870 --> 00:09:26,540 何だか お殿様の子供みたいになるんで・ 149 00:09:26,540 --> 00:09:31,870 尊敬する松浪先生の「松」を頂いて 「鶴松」と いたしました。 150 00:09:31,870 --> 00:09:36,110 そう… 松浪先生のを頂いたの。 151 00:09:36,110 --> 00:09:38,550 鶴松ちゃん 良かったわね。 152 00:09:38,550 --> 00:09:42,420 (千代)これから 主人のご両親に この子を 見せに行くんですよ。 153 00:09:42,420 --> 00:09:46,220 私の故郷は この仙台の先の 志津川でしてね。 154 00:09:46,220 --> 00:09:48,720 ああ あの海っぱたの? ええ。 155 00:09:48,720 --> 00:09:52,600 親父が 網元 やってまして 一族みな 漁師なんですよ。 156 00:09:52,600 --> 00:09:55,900 三男坊の私だけが こういうことして…。 157 00:09:55,900 --> 00:09:58,930 そう 志津川で漁師さんを…。 158 00:09:58,930 --> 00:10:03,640 今ね あっちのほうは イワシが すごい大漁なんですって。 159 00:10:03,640 --> 00:10:06,640 そんなに? 親父が もう大喜びで。 160 00:10:06,640 --> 00:10:12,080 この6月15日が 旧の端午の節句に あたるもんですからね・ 161 00:10:12,080 --> 00:10:14,750 それで この鶴松の… あ なめちゃ駄目だよ。 162 00:10:14,750 --> 00:10:18,420 この鶴松のね 初節句を こういう景気のいい時に・ 163 00:10:18,420 --> 00:10:20,920 みなで お祝いをしたいと こういうことで・ 164 00:10:20,920 --> 00:10:24,590 私たち これから 志津川まで みんなで行くとこなんですよ。 165 00:10:24,590 --> 00:10:30,270 鶴松の 初お目見えなんですの。 まぁ いいこと。 166 00:10:30,270 --> 00:10:33,770 じゃあ おんつぁんも 志津川に 魚の買い付けに行くの? 167 00:10:33,770 --> 00:10:38,440 そうなんだが… そうかい 鶴次さんたちも子供の初節句で。 168 00:10:38,440 --> 00:10:40,780 そりゃ めでたいこった。 169 00:10:40,780 --> 00:10:44,010 おんつぁん わたす 手伝ってあげっから。 ありがとう。 170 00:10:44,010 --> 00:10:49,290 でも 自分でやらねえと この手の訓練に ならねえから・ 171 00:10:49,290 --> 00:10:51,220 自分で やるから いいよ。 172 00:10:51,220 --> 00:10:54,020 まどろっこしいが ま しょうがねえや。 173 00:10:54,020 --> 00:10:57,790 だから おきわさんに お嫁さんに なってもらえば いいのに。 174 00:10:57,790 --> 00:11:00,030 おんつぁんも 頑固ねえ。 175 00:11:00,030 --> 00:11:02,400 子供が 大人のことに 生意気に 口だすんでねえ! 176 00:11:02,400 --> 00:11:04,330 あら おんつぁん わたす もう二十歳よ。 177 00:11:04,330 --> 00:11:09,170 子供扱いは やめて。 え? もう二十歳か。 178 00:11:09,170 --> 00:11:12,110 何だい 何だい。 人のことより自分こそ。 179 00:11:12,110 --> 00:11:14,980 あったら娘盛りを 嫁にも行かずに。 180 00:11:14,980 --> 00:11:17,880 (源造)今夜の夜行で行って 明日いっぱい 買い付け。 181 00:11:17,880 --> 00:11:20,580 発送に立ち会って 帰ってくるのは そうだな・ 182 00:11:20,580 --> 00:11:23,490 早くて 16日の夜か。 それまでに 今 言いつけたことを・ 183 00:11:23,490 --> 00:11:26,920 ちゃんとやっとけよ! 分かったな? へい。 184 00:11:26,920 --> 00:11:29,590 あっ… いらっしゃい。 185 00:11:29,590 --> 00:11:34,430 こんにちは。 志津川に 魚の買い付けに行くんですって? 186 00:11:34,430 --> 00:11:36,930 うん 今月に入ってから・ 187 00:11:36,930 --> 00:11:39,670 あの辺りで イワシの大群が 発生してるんだ。 188 00:11:39,670 --> 00:11:42,100 とにかく 後から後から 陸揚げされる魚で・ 189 00:11:42,100 --> 00:11:44,040 浜辺の砂が 見えないんだ。 190 00:11:44,040 --> 00:11:47,910 へえ~ すごいわね。 どうして そんなに? 191 00:11:47,910 --> 00:11:50,780 どうしてだか分からないんだけど 大量に買い付けて・ 192 00:11:50,780 --> 00:11:53,280 肥料として加工するには 絶好の機会なんだ。 193 00:11:53,280 --> 00:11:55,220 今 儲けさせて もらわなきゃな。 194 00:11:55,220 --> 00:11:58,420 おい あっちの荷造り 先に やっちまうぞ! へい。 195 00:12:00,190 --> 00:12:04,890 何だい おりんちゃんが せっかく 久しぶりに来たっていうのに・ 196 00:12:04,890 --> 00:12:07,160 愛想のない奴だな。 197 00:12:07,160 --> 00:12:10,100 仕事が忙しいんだもの。 198 00:12:10,100 --> 00:12:13,740 大変ね。 まあな…。 199 00:12:13,740 --> 00:12:18,240 こっちは 半人前しか 仕事できなくなっちまったし…。 200 00:12:18,240 --> 00:12:22,110 そのことは もう言わない約束よ おんつぁん。 201 00:12:22,110 --> 00:12:25,410 それに もう 左手で なんでも できるじゃないの。 202 00:12:25,410 --> 00:12:28,250 でも 両手が揃ってたら・ 203 00:12:28,250 --> 00:12:30,920 源造の手助けを もっと してやれるのになあ。 204 00:12:30,920 --> 00:12:32,860 悔しくってね。 205 00:12:32,860 --> 00:12:36,830 だから おきわさんと…。 よしな その話は。 206 00:12:36,830 --> 00:12:40,100 あいつが ああして 一人で 嫁さんも貰わずに・ 207 00:12:40,100 --> 00:12:44,430 シャカリキになって 働いているのに こっちだけ そんなこと できるか。 208 00:12:44,430 --> 00:12:49,940 あいつが 嫁さん貰って 幸せになってからだよ 俺の番は。 209 00:12:52,840 --> 00:12:54,810 おんつぁん。 210 00:12:54,810 --> 00:12:58,950 志津川で 魚の買い付けが うまくいきますように・ 211 00:12:58,950 --> 00:13:01,380 道中 無事に いきますように・ 212 00:13:01,380 --> 00:13:04,890 わたすが この仏様に お願いしてあげる。 213 00:13:04,890 --> 00:13:09,090 霊験あらたかなんだから この仏様は…。 214 00:13:11,760 --> 00:13:15,530 来月の11日から 夏季休校に入りますが・ 215 00:13:15,530 --> 00:13:18,230 今年も去年と同じように 蔵王において・ 216 00:13:18,230 --> 00:13:20,270 合宿を実施することに なりました。 217 00:13:20,270 --> 00:13:22,570 (ざわめき) 218 00:13:22,570 --> 00:13:26,740 去年は 寄宿生で 故郷もとへ 帰省しない生徒を主に・ 219 00:13:26,740 --> 00:13:31,250 参加者の対象といたしましたが 新しい校長先生の ご意向により・ 220 00:13:31,250 --> 00:13:35,580 今年は 通学生でも 合宿の希望者があれば・ 221 00:13:35,580 --> 00:13:37,790 参加を許可することに なりました。 222 00:13:45,290 --> 00:13:47,760 津波!? (節子)そうなの。 223 00:13:47,760 --> 00:13:49,700 地震の後の津波ですって。 224 00:13:49,700 --> 00:13:53,270 それはそれは 大きな津波が 昨夜 三陸沿岸を襲ったんです。 225 00:13:53,270 --> 00:13:55,600 全滅した町や村が いっぱい あるらしいんです。 226 00:13:55,600 --> 00:13:57,940 どうして それが分かったの? 昨夜 第二師団のほうに・ 227 00:13:57,940 --> 00:14:00,710 連絡が入ったの。 それで 主人が 女学校にも・ 228 00:14:00,710 --> 00:14:02,750 あっちのほうから来ている 生徒さんたちが いるだろうから・ 229 00:14:02,750 --> 00:14:05,210 知らせるようにと。 (マーチン)寄宿生の中には・ 230 00:14:05,210 --> 00:14:08,050 あちらから来ている生徒も 何人か おりますが・ 231 00:14:08,050 --> 00:14:10,550 今すぐ知らせても どうにも なりませんから・ 232 00:14:10,550 --> 00:14:12,890 おりんさん 夕食の済んだあと・ 233 00:14:12,890 --> 00:14:16,360 夕べの祈りの前に それを伝えようと思いますが。 234 00:14:16,360 --> 00:14:20,900 はい 私も それがいいと思います。 で そのあとは? 235 00:14:20,900 --> 00:14:26,070 (アンダーソン) すぐ救援活動を始めましょう。 主人も そう申しておりました。 236 00:14:26,070 --> 00:14:29,100 大変な災害だから 警察や軍隊だけでなく・ 237 00:14:29,100 --> 00:14:32,240 一般の方々にも 立ち上がって いただきたいって。 あっ! 238 00:14:32,240 --> 00:14:35,140 (マーチン) どうしたのですか? おりんさん。 志津川は…・ 239 00:14:35,140 --> 00:14:39,010 志津川は 三陸沿岸ですよね? (マーチン)そうです。 それが? 240 00:14:39,010 --> 00:14:40,950 …中河先生! 241 00:14:40,950 --> 00:14:43,950 鶴次先生だけじゃないんです。 私の叔父も・ 242 00:14:43,950 --> 00:14:47,260 それから 源造さんも 志津川に行ってるんです! 243 00:14:47,260 --> 00:14:49,190 今 行ってるんです! 244 00:14:49,190 --> 00:14:56,000 ・~