1 00:00:02,170 --> 00:00:20,920 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,920 --> 00:00:58,730 ・~ 3 00:01:04,230 --> 00:01:08,070 <中河鶴次は 初めて生まれた男の子・ 4 00:01:08,070 --> 00:01:10,570 鶴松の初節句を祝うために・ 5 00:01:10,570 --> 00:01:15,880 一家全員で この志津川に来て 大津波に あったのでした> 6 00:01:23,090 --> 00:01:31,660 (鶴次)久しぶりに 親や兄弟が みな集まって・ 7 00:01:31,660 --> 00:01:36,930 みな 節句の酒に酔って・ 8 00:01:36,930 --> 00:01:42,110 歌ったり 踊ったり…。 9 00:01:42,110 --> 00:01:48,780 その真っ盛りに 弱い地震があったんです。 10 00:01:48,780 --> 00:01:56,450 それが… それが まさか 津波になるとは・ 11 00:01:56,450 --> 00:01:59,460 その時は 夢にも思わず…。 12 00:02:01,290 --> 00:02:05,300 (りん)みんな まだ お酒 飲んでたんですか? 13 00:02:07,900 --> 00:02:13,570 私は すぐ そのあと 親類の年寄りを・ 14 00:02:13,570 --> 00:02:18,440 向こうの山の上にある家まで 送っていくために・ 15 00:02:18,440 --> 00:02:20,910 家を出たんです。 16 00:02:20,910 --> 00:02:23,910 (源造)それで 鶴次先生1人だけ…。 17 00:02:28,250 --> 00:02:32,120 年寄りを送っていく途中で・ 18 00:02:32,120 --> 00:02:38,960 海の方から ドーンという 雷のような音が・ 19 00:02:38,960 --> 00:02:42,270 2回 聞こえました。 20 00:02:42,270 --> 00:02:49,140 私 振り返って 海の方を見ました。 21 00:02:49,140 --> 00:02:58,610 その時 水平線の上に 青白い火が走るのを 見たんです。 22 00:02:58,610 --> 00:03:04,050 それが 津波によるものだ ということが 分かったのは・ 23 00:03:04,050 --> 00:03:07,720 少し たってからでした。 24 00:03:07,720 --> 00:03:13,230 沖の方から まるで山のように・ 25 00:03:13,230 --> 00:03:18,740 何十丈も そそり立つ波が 突き進んできました。 26 00:03:18,740 --> 00:03:25,510 それは ものすごい響きを たてながら・ 27 00:03:25,510 --> 00:03:31,310 私の実家や村を・ 28 00:03:31,310 --> 00:03:35,280 あっという間に打ちこわし ひとのみにして・ 29 00:03:35,280 --> 00:03:40,420 それから また 突き進んできて・ 30 00:03:40,420 --> 00:03:49,100 また 根こそぎ 残った家を さらっていき・ 31 00:03:49,100 --> 00:03:54,300 また おしよせて…。 32 00:03:54,300 --> 00:04:06,220 あの波の中に 親や 子や 妻が 居ることが分かっていながら・ 33 00:04:06,220 --> 00:04:14,720 山の上に居た私は それを どうする すべもなく…。 34 00:04:17,390 --> 00:04:21,260 <翌日 彌七と きわが到着し・ 35 00:04:21,260 --> 00:04:25,130 梅干しや漬物 つくだ煮などを 無料で被災者に配り・ 36 00:04:25,130 --> 00:04:28,570 人々を喜ばせました> 37 00:04:28,570 --> 00:04:32,910 (きわ)よかったわ。 みな こんなに喜んでくれて。 38 00:04:32,910 --> 00:04:36,250 だって ここ 何もかも 補給が足りないんですもの。 39 00:04:36,250 --> 00:04:38,180 食べ物も 薬も 着る物も・ 40 00:04:38,180 --> 00:04:42,050 みんな 補給が着かなくて このあと どうなるのかって・ 41 00:04:42,050 --> 00:04:44,120 心細い思いしてたの。 42 00:04:44,120 --> 00:04:48,260 梅干しや つくだ煮は ほんとに長もちがして いいわ。 43 00:04:48,260 --> 00:04:52,760 でも こんなに店の物を全部 根こそぎ持ってきてしまって・ 44 00:04:52,760 --> 00:04:55,260 このあと 店は どうなるのかしら。 45 00:04:55,260 --> 00:04:59,100 根こそぎ? そうよ。 倉庫の中にあった物はもちろん・ 46 00:04:59,100 --> 00:05:01,070 買い付けの約束を しておいた物まで・ 47 00:05:01,070 --> 00:05:03,540 全部こっちに送らすように したんだもの。 48 00:05:03,540 --> 00:05:05,880 それは 源造さんの命令で? 49 00:05:05,880 --> 00:05:08,910 まあ 彌七さんも 一緒に考えたんだろうけど。 50 00:05:08,910 --> 00:05:12,220 ここで もうけさせてもらった分 ここへ返すんだって。 51 00:05:12,220 --> 00:05:17,490 後のことも考えずに 源造さんも 随分 度胸がいいわねぇ。 52 00:05:17,490 --> 00:05:21,360 あわてない あわてない! まだ このあと どんどん来るんだから。 53 00:05:21,360 --> 00:05:23,290 心配しないで! ね? 54 00:05:23,290 --> 00:05:25,730 この梅干し食べて 元気つけて! 55 00:05:25,730 --> 00:05:28,030 はい まだまだ あるよ。 56 00:05:54,760 --> 00:05:57,660 鶴松…。 57 00:05:57,660 --> 00:06:01,360 鶴松! 鶴松~! 58 00:06:01,360 --> 00:06:05,870 鶴松! 鶴松! 59 00:06:05,870 --> 00:06:10,870 鶴松… 鶴松…。 60 00:06:13,540 --> 00:06:15,850 鶴松…。 61 00:06:18,880 --> 00:06:23,720 鶴松! 鶴松! 62 00:06:23,720 --> 00:06:30,030 鶴松~! 鶴松~! 63 00:06:53,720 --> 00:06:55,920 (マッチ箱が落ちる音) 64 00:07:12,540 --> 00:07:18,210 あ… 俺 眠ってたのか。 65 00:07:18,210 --> 00:07:21,110 少し横になったら? 大丈夫だよ。 66 00:07:21,110 --> 00:07:23,380 でも 寝てないんでしょ ほとんど。 寝てるよ。 67 00:07:23,380 --> 00:07:27,220 うそ。 少し寝て。 いいよ。 68 00:07:27,220 --> 00:07:31,090 よくない! それで 源造さんが 倒れっちまったら どうするの。 69 00:07:31,090 --> 00:07:35,090 倒れるもんか これぐらいで。 だって…。 70 00:07:38,930 --> 00:07:43,500 倒れたって 死んだって 別に 泣く人 居ないよ。 71 00:07:43,500 --> 00:07:45,700 私 泣く。 72 00:07:49,910 --> 00:07:52,940 泣くもの 私。 73 00:07:52,940 --> 00:07:56,250 あちっ! あちっ! 74 00:07:56,250 --> 00:07:59,280 おどかすなよ。 75 00:07:59,280 --> 00:08:05,790 みんな… 今 気が 少し変になってるからな。 76 00:08:18,200 --> 00:08:21,040 待ちなさい! 77 00:08:21,040 --> 00:08:23,940 どうして 何度も こんなことするの! 78 00:08:23,940 --> 00:08:25,910 もう 姉ちゃん 知らねえから! 79 00:08:25,910 --> 00:08:28,380 具合悪いのに あんなとこに 一晩中 居たら・ 80 00:08:28,380 --> 00:08:30,310 あんた 死んじまうんだから! 81 00:08:30,310 --> 00:08:33,720 行きたいとこに行かしてやれば いいじゃないか。 82 00:08:33,720 --> 00:08:36,220 そんなに 何度も抜け出そうとするのは・ 83 00:08:36,220 --> 00:08:38,250 よっぽど行きたいんだよ 海のそばに。 84 00:08:38,250 --> 00:08:40,720 したって この子 今 具合悪いのよ。 85 00:08:40,720 --> 00:08:43,390 ごはんも ろくに食べないし…。 86 00:08:43,390 --> 00:08:46,900 こんな体で 一晩中 海の風に当たっていたら・ 87 00:08:46,900 --> 00:08:49,570 この子 死んじまうもの! それでも いいから・ 88 00:08:49,570 --> 00:08:53,400 海のそばに行きたいんだよ この子は。 89 00:08:53,400 --> 00:08:56,440 そうだよな? 90 00:08:56,440 --> 00:09:01,510 おとっつぁんや おっかさんが あの海に居るんだもんな。 91 00:09:01,510 --> 00:09:04,850 よし! おんちゃんが連れてってやる。 92 00:09:04,850 --> 00:09:09,720 おとっつぁんや おっかさんの そばに 連れていってやるぞ。 93 00:09:09,720 --> 00:09:12,020 源造さん! 94 00:09:36,210 --> 00:09:40,380 まだ あるな…。 連れ帰らなくて 大丈夫? 95 00:09:40,380 --> 00:09:42,420 大丈夫さ。 96 00:09:42,420 --> 00:09:46,560 ほら 安心した顔 してるじゃないか。 97 00:09:46,560 --> 00:09:50,060 熱で ウトウトしてるのよ。 98 00:09:50,060 --> 00:09:53,930 きっと 波の音を 子守歌のように 毎日 聞いて・ 99 00:09:53,930 --> 00:09:56,130 眠ってたんだ。 100 00:09:59,770 --> 00:10:04,910 そうなの? そうだって。 101 00:10:04,910 --> 00:10:08,110 強引ね 何でも。 102 00:10:13,080 --> 00:10:16,920 君の子守歌は 何だ? 103 00:10:16,920 --> 00:10:22,730 私? 何だろう…。 源造さんは? 104 00:10:22,730 --> 00:10:27,560 何かな…。 あれかな? 105 00:10:27,560 --> 00:10:29,500 どういうの? いいよ。 106 00:10:29,500 --> 00:10:32,470 聞かせて。 歌は駄目だ。 107 00:10:32,470 --> 00:10:35,770 さあ 俺が抱こう。 いい。 108 00:10:35,770 --> 00:10:39,610 そうしてちゃ 疲れる。 交代で寝よう。 109 00:10:39,610 --> 00:10:41,910 そちらが お先に。 110 00:10:44,450 --> 00:10:47,750 俺は さっき寝たから もういい。 111 00:11:05,400 --> 00:11:51,850 ・~(源造の子守歌) 112 00:11:51,850 --> 00:12:07,430 ・~(子守歌) 113 00:12:07,430 --> 00:12:17,970 ・~ 114 00:12:17,970 --> 00:12:21,410 寒くない? 115 00:12:21,410 --> 00:12:24,110 もう 夜明けだから。 116 00:12:37,260 --> 00:12:40,960 眠ってるの? うん…。 117 00:12:50,810 --> 00:12:56,110 私も たくさん眠ったわ。 よかった。 118 00:12:58,280 --> 00:13:01,050 もう疲れていません。 119 00:13:01,050 --> 00:13:04,850 だから 今 私の頭 全然 変じゃないわ。 120 00:13:09,730 --> 00:13:15,930 私 源造さんのこと 好きです。 121 00:13:29,110 --> 00:13:31,810 好きです。 122 00:13:35,950 --> 00:13:42,760 死んだら… 泣きます。 123 00:13:49,930 --> 00:13:53,800 おりんちゃん…。 124 00:13:53,800 --> 00:13:57,110 おれ おりんちゃんでねぇ。 125 00:13:57,110 --> 00:14:02,410 おれは おキヨだ。 おキヨちゃんだ。 126 00:14:05,210 --> 00:14:09,890 言ったわ! この子 言ったわ! 127 00:14:09,890 --> 00:14:14,090 おキヨちゃんだって… おキヨちゃんだって! 128 00:14:16,060 --> 00:14:19,930 この子 自分の名前を言ったのよ。 129 00:14:19,930 --> 00:14:22,230 源造さん! 130 00:14:22,230 --> 00:14:25,130 そうか おキヨちゃんか。 131 00:14:25,130 --> 00:14:27,440 いい名前だな。 132 00:14:30,740 --> 00:14:34,610 もう大丈夫だな。 元気になるな。 133 00:14:34,610 --> 00:14:38,480 そうか! よかった よかった! 134 00:14:38,480 --> 00:14:46,220 ・~ 135 00:14:46,220 --> 00:14:50,090 おキヨちゃん よかった! 136 00:14:50,090 --> 00:14:55,300 ・~