1 00:00:02,170 --> 00:00:21,930 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:21,930 --> 00:00:59,230 ・~ 3 00:01:07,240 --> 00:01:09,570 (りん)これは? (田島)これはね・ 4 00:01:09,570 --> 00:01:11,510 私が ここで ずっとつけていた・ 5 00:01:11,510 --> 00:01:15,450 賄いの金銭出納簿と献立表なの。 これを わたすに? 6 00:01:15,450 --> 00:01:18,580 うん。 あなたにね 預っていただきたいと思って。 7 00:01:18,580 --> 00:01:22,250 でも これは 田島先生の後に 舎監になられる先生に…。 8 00:01:22,250 --> 00:01:24,190 私はね おりんちゃん どうしても あなたに・ 9 00:01:24,190 --> 00:01:26,120 受け取ってもらいたいのよね。 10 00:01:26,120 --> 00:01:28,590 これはね 私が この学校に入ってからの・ 11 00:01:28,590 --> 00:01:32,460 歴史であり 私の宝物なのよね。 だから どうしてもね・ 12 00:01:32,460 --> 00:01:35,470 気心のしれない人には お渡ししたくないの。 13 00:01:35,470 --> 00:01:37,600 だから あなたに これ 預ってもらえれば・ 14 00:01:37,600 --> 00:01:40,940 私は 安心して この学校を 去ることができるんですよ。 15 00:01:40,940 --> 00:01:43,270 ね? お願いします。 16 00:01:43,270 --> 00:01:48,280 そうですか…。 それじゃ お預かりします。 17 00:01:53,620 --> 00:01:55,950 先生…。 うん? 18 00:01:55,950 --> 00:02:00,560 いよいよ お別れですね。 おりんちゃん…。 19 00:02:00,560 --> 00:02:03,460 先生には 本当に お世話になりました。 20 00:02:03,460 --> 00:02:06,430 田舎から出てきて 何にも知らねがった わたすに・ 21 00:02:06,430 --> 00:02:10,570 きちんとした規則正しい生活を 教えてくださって…。 22 00:02:10,570 --> 00:02:14,440 先生 本当に ありがとうございました。 23 00:02:14,440 --> 00:02:18,240 おりんちゃん…。 先生・ 24 00:02:18,240 --> 00:02:23,580 お幸せに。 ありがとう。 25 00:02:23,580 --> 00:02:27,920 ねえ… あんな大津波の 大災害があったあとに・ 26 00:02:27,920 --> 00:02:31,250 不幸な人が たくさん いるっていう時に・ 27 00:02:31,250 --> 00:02:35,120 私ばっかり 幸せになって いいかしらねぇ…。 28 00:02:35,120 --> 00:02:37,130 おりんちゃんたちにばっかり・ 29 00:02:37,130 --> 00:02:39,130 救援隊で ご迷惑をかけてしまって・ 30 00:02:39,130 --> 00:02:42,270 私 ほんとに 心苦しく 申し訳ないと思ってるのよ。 31 00:02:42,270 --> 00:02:44,600 いいえ ちっとも! え? 32 00:02:44,600 --> 00:02:48,470 いえ… 救援隊に入れてもらえて・ 33 00:02:48,470 --> 00:02:51,470 わたす 本当に良かったと 思ってます。 本当です。 34 00:02:51,470 --> 00:02:54,280 救援隊で あそこに行けて 本当に 幸せでした。 35 00:02:54,280 --> 00:02:56,950 まあ なんという立派なお言葉! 36 00:02:56,950 --> 00:03:00,550 まるで イエス様のように 愛と奉仕の心に満ちあふれて…。 37 00:03:00,550 --> 00:03:03,450 そんな立派なことでないんです。 ほんの個人的なことで…。 38 00:03:03,450 --> 00:03:06,420 まあ ご謙遜ね。 奥ゆかしいわ…。 39 00:03:06,420 --> 00:03:09,560 おりんちゃん あなたも 幸せになってちょうだいよ。 40 00:03:09,560 --> 00:03:12,460 はい! わたす 先生に負けないように・ 41 00:03:12,460 --> 00:03:14,430 負けないくらいに 幸せになります! 42 00:03:14,430 --> 00:03:17,900 負けないぐらい? それは いけませんよ。 え? 43 00:03:17,900 --> 00:03:20,240 だって あなたは 私の生徒でしょ? 44 00:03:20,240 --> 00:03:24,570 ちょっとは負けてください。 「三尺下がって 師の影 踏まず」。 45 00:03:24,570 --> 00:03:27,240 あら! あら 先生 ずるっこいこど! 46 00:03:27,240 --> 00:03:29,580 (笑い声) 47 00:03:29,580 --> 00:03:31,580 ずるっこいかな? 48 00:03:33,250 --> 00:03:38,120 <一学期の終業式を終えて 夏休みに入った日・ 49 00:03:38,120 --> 00:03:42,590 田島先生は 結婚のため 長年勤めた女学校と・ 50 00:03:42,590 --> 00:03:46,460 長すぎた春に 別れを告げることになりました> 51 00:03:46,460 --> 00:03:49,270 本当に もう ここで 結構でございますから。 52 00:03:49,270 --> 00:03:53,600 本当に ありがとうございました。 (節子)先生 どうぞ お幸せに。 53 00:03:53,600 --> 00:03:55,940 節子さんには いろいろと教えていただいて・ 54 00:03:55,940 --> 00:03:57,870 ありがとうございました。 (節子)いいえ。 55 00:03:57,870 --> 00:04:00,780 先生なら さぞかし いい奥さんに なれますわ。 56 00:04:00,780 --> 00:04:02,750 (笑い声) 57 00:04:02,750 --> 00:04:05,550 先生 とっても おきれいですよ。 58 00:04:05,550 --> 00:04:08,220 (マーチン)とってもbeautifulですよ ミセス 田島。 59 00:04:08,220 --> 00:04:12,090 やだ まだ 「ミス」ですよ。 「ミセス」は 明後日から。 60 00:04:12,090 --> 00:04:16,090 ちょっと あの… この帯の具合 曲がってません? 61 00:04:16,090 --> 00:04:20,560 みなさん ごきげんよう。 ごきげんよう。 62 00:04:20,560 --> 00:04:23,470 グッドバイ! お幸せに! 63 00:04:23,470 --> 00:04:25,440 旦那さんに よろしく! 64 00:04:25,440 --> 00:04:32,140 ・~ 65 00:04:39,250 --> 00:04:42,590 こんにちは! (きわ)あら いらっしゃい。 66 00:04:42,590 --> 00:04:45,490 今日は 学校 お休み? ええ もう夏休み。 67 00:04:45,490 --> 00:04:49,460 ああ そうか。 いいわねぇ 学校は お休みがあって。 68 00:04:49,460 --> 00:04:51,590 あたしたちが そんなことしてたら・ 69 00:04:51,590 --> 00:04:54,260 たちまち おまんまの食い上げだわ。 70 00:04:54,260 --> 00:04:57,930 今日は 相馬に帰る前に ちょっと ごあいさつと思って。 71 00:04:57,930 --> 00:05:02,210 ああ 相馬に帰るの? いいわね。 72 00:05:02,210 --> 00:05:05,540 お宅のみなさんたちに よろしくね。 73 00:05:05,540 --> 00:05:08,440 あっ おきわさんは 今日は こっちの お手伝い? 74 00:05:08,440 --> 00:05:11,410 そうなの。 志津川から帰ってきてから・ 75 00:05:11,410 --> 00:05:13,420 あの人たち 忙しくて ろくに 掃除もしないから。 76 00:05:13,420 --> 00:05:16,190 でも 小僧さんたちは? 知らなかった? 77 00:05:16,190 --> 00:05:18,550 あの子たちにはね とっくに暇をやったわ。 78 00:05:18,550 --> 00:05:21,460 えっ? 居たって 仕事がないんですもの。 79 00:05:21,460 --> 00:05:24,230 でも 源造さんたちは 忙しくしてるんでしょ? 80 00:05:24,230 --> 00:05:28,560 仕事じゃなくって お金集めでね。・ 81 00:05:28,560 --> 00:05:32,900 そりゃあね 困ってる人を 助けるのは 立派なことよ。 82 00:05:32,900 --> 00:05:35,810 「義を見てせざるは 勇なきなり」ってね。 83 00:05:35,810 --> 00:05:38,770 あの人たちは 勇気のある いい男ですよ。 84 00:05:38,770 --> 00:05:42,410 でもねぇ なにも 財産を スッカラカンにするほど・ 85 00:05:42,410 --> 00:05:44,450 やらなくったってねぇ…。 86 00:05:44,450 --> 00:05:48,920 ほんとに スッカラカンにしてしまったのね。 87 00:05:48,920 --> 00:05:51,590 フッ… 源造さんらしいわ。 88 00:05:51,590 --> 00:05:53,920 笑い事じゃありませんよ。 89 00:05:53,920 --> 00:05:56,590 ほんとに これから どうするつもりなのかしら。 90 00:05:56,590 --> 00:06:00,200 大丈夫よ。 源造さんは こんなことに負けて・ 91 00:06:00,200 --> 00:06:03,100 引っ込んでしまうような人では ないわ。 92 00:06:03,100 --> 00:06:05,070 自分たちの分まで・ 93 00:06:05,070 --> 00:06:07,870 全部 他人にあげてしまうような 人なんですもの。 94 00:06:07,870 --> 00:06:10,540 並みの人じゃ できないわ。 95 00:06:10,540 --> 00:06:15,880 そういう人なんだから 大丈夫よ 源造さんに任しといて。 96 00:06:15,880 --> 00:06:18,550 「源造さん 源造さん」てね…。 97 00:06:18,550 --> 00:06:20,880 この店は 源造さん一人のものじゃないわよ。 98 00:06:20,880 --> 00:06:23,550 もともと この店は 彌七つぁんの 作ったものですからね。 99 00:06:23,550 --> 00:06:27,220 彌七つぁんを 忘れないでちょうだい! 100 00:06:27,220 --> 00:06:29,160 (笑い声) 101 00:06:29,160 --> 00:06:34,100 何よ 先生に しかられたみたいな顔して。 102 00:06:34,100 --> 00:06:36,230 あんまり 「源造さん 源造さん」て 言うからね・ 103 00:06:36,230 --> 00:06:38,170 ちょいと おどしてみたの。 104 00:06:38,170 --> 00:06:42,100 …おきわさん! もう! 105 00:06:42,100 --> 00:06:46,240 おりんちゃん 源造さんと 何か約束でもしたの? 106 00:06:46,240 --> 00:06:50,910 ううん そんな 約束なんか…。 そんなんじゃないの 私たち。 107 00:06:50,910 --> 00:06:52,850 「そんなんじゃない」って どんなんなの? 108 00:06:52,850 --> 00:06:55,790 どんなんでもないのっ! やんだぁ もう おきわさん! 109 00:06:55,790 --> 00:06:58,250 いいわねぇ 若い人は。 110 00:06:58,250 --> 00:07:00,260 ・(源造)こっちです。 どうぞ。 111 00:07:04,860 --> 00:07:08,530 来てたの…。 ええ…。 112 00:07:08,530 --> 00:07:10,470 (せきばらい) あ…。 113 00:07:10,470 --> 00:07:12,870 今 そこで 珍しいお客さんに会って…。 114 00:07:12,870 --> 00:07:16,540 (彌七)源造! 桐山さんが 倉庫を 先に見たいと おっしゃるから…。 115 00:07:16,540 --> 00:07:18,470 あっ どうぞ。 しかし・ 116 00:07:18,470 --> 00:07:22,480 お目に かけるようなものは 何もありませんけど。 どうぞ。 117 00:07:31,090 --> 00:07:33,390 さ お茶 お茶。 118 00:07:35,890 --> 00:07:40,560 (桐山)いや 結構なものを 見せていただいた。 119 00:07:40,560 --> 00:07:46,240 ありがとうございました。 まあ どうぞ お茶でも。 120 00:07:46,240 --> 00:07:48,570 あの… この方は? 121 00:07:48,570 --> 00:07:53,240 (彌七)私の めいです。 東京の桐山さんとおっしゃる方だ。 122 00:07:53,240 --> 00:07:57,580 橘りんでございます。 桐山です。 123 00:07:57,580 --> 00:08:00,180 あの… 確か あなたも・ 124 00:08:00,180 --> 00:08:04,520 あの志津川の小学校に おられましたな? えっ? 125 00:08:04,520 --> 00:08:08,860 あっ そうです。 おりんさんは 女学校の救援隊で。 126 00:08:08,860 --> 00:08:12,730 私を覚えていませんか? 127 00:08:12,730 --> 00:08:18,200 もっとも あの時 私は ひどい格好をしていたから…。 128 00:08:18,200 --> 00:08:21,540 ああ! あの 手をケガしておられた…? 129 00:08:21,540 --> 00:08:27,410 そう。 あそこでは 本当に お世話になりました。 130 00:08:27,410 --> 00:08:29,880 いや あの時は 私も・ 131 00:08:29,880 --> 00:08:33,550 材木の買い付けに 庄内に行った帰りに・ 132 00:08:33,550 --> 00:08:36,450 志津川の 弟のところへ寄って・ 133 00:08:36,450 --> 00:08:39,890 節句の酒で いい気分になっているところを・ 134 00:08:39,890 --> 00:08:41,820 やられてしまいまして。・ 135 00:08:41,820 --> 00:08:46,230 どうやって助かったのか いまだに 不思議なんですよ。 136 00:08:46,230 --> 00:08:49,130 弟の家族は 全滅でした。 137 00:08:49,130 --> 00:08:52,570 まあ… お気の毒に…。 138 00:08:52,570 --> 00:08:56,910 我々も 無傷で助かったのが 申し訳ないようで…。 139 00:08:56,910 --> 00:08:59,810 それで ちょっと 救援の方を 手伝わせてもらったんです。 140 00:08:59,810 --> 00:09:03,510 いや あの時の 小野寺さんのお働きは・ 141 00:09:03,510 --> 00:09:05,850 まことに ご立派なもので・ 142 00:09:05,850 --> 00:09:08,180 私は 大変に 感銘を受けましたよ。・ 143 00:09:08,180 --> 00:09:11,090 その上 ご自分の店の品物を・ 144 00:09:11,090 --> 00:09:15,060 洗いざらい 我々のために 供出してくださって…。 145 00:09:15,060 --> 00:09:23,200 今 あの空っぽの倉庫を拝見して 私は 涙が出ましたよ。 146 00:09:23,200 --> 00:09:25,530 本当に ありがとうございました。 147 00:09:25,530 --> 00:09:28,200 いや あそこの海から あがるもので・ 148 00:09:28,200 --> 00:09:30,140 さんざん 儲けさせてもらいましたから・ 149 00:09:30,140 --> 00:09:32,070 そこに お返しをしただけのことで。 150 00:09:32,070 --> 00:09:35,880 (桐山)いや なかなか まねのできることではありません。 151 00:09:35,880 --> 00:09:39,550 とにかく 一度 お礼だけでも 申し上げたいと思って・ 152 00:09:39,550 --> 00:09:43,420 仙台に来たついでに お寄りした次第です。 153 00:09:43,420 --> 00:09:46,420 恐縮です。 154 00:09:46,420 --> 00:09:50,560 (彌七)桐山さんは 東京で どういう お仕事を? 155 00:09:50,560 --> 00:09:54,230 建築関係の会社を やっていますが・ 156 00:09:54,230 --> 00:09:56,570 おかげさまで 仕事の方は・ 157 00:09:56,570 --> 00:10:00,870 断らねばならぬほど 次々に舞い込んできまして…。 158 00:10:02,440 --> 00:10:06,910 東京で そんなに 借家が 足りなくなってるというのは・ 159 00:10:06,910 --> 00:10:09,810 そんだけ 人間が いっぱい 集まるということだろうな。 160 00:10:09,810 --> 00:10:12,580 やっぱり 天子様の おひざもとだもの。 161 00:10:12,580 --> 00:10:17,250 戦争のあとの好景気で どっと 東京へ 出ていったんだろうな。 162 00:10:17,250 --> 00:10:20,920 でも 桐山さんも ちょうどいい ご商売をなさったものね。 163 00:10:20,920 --> 00:10:23,590 建てても建てても 家が足りないなんて・ 164 00:10:23,590 --> 00:10:25,530 景気がいいじゃないの。 165 00:10:25,530 --> 00:10:28,460 わたすも 東京って よく知らないけど・ 166 00:10:28,460 --> 00:10:31,270 何だか 人間も 空気も・ 167 00:10:31,270 --> 00:10:33,940 こう ワ~ッと沸き立って 動いてるような感じ。 168 00:10:33,940 --> 00:10:37,610 みんな 生き生きしてるみたい。 わたすも行ってみたいなぁ。 169 00:10:37,610 --> 00:10:42,280 行きたい? うん 行ってみたい。 170 00:10:42,280 --> 00:10:45,180 前から 東京って どんなとこだろうなって・ 171 00:10:45,180 --> 00:10:49,150 こう想像したりして…。 ほら 明和女学校に行った・ 172 00:10:49,150 --> 00:10:52,290 わたすのお友達の 浜田おくにさんが・ 173 00:10:52,290 --> 00:10:54,960 東京には おりんさんみたいな はね駒が・ 174 00:10:54,960 --> 00:10:58,290 うじゃうじゃ いっぱいいるよって 何か そんなこと言ってた。 175 00:10:58,290 --> 00:11:01,900 東京じゃね はね駒じゃなくて 「じゃじゃ馬」って言うのよ。 176 00:11:01,900 --> 00:11:05,570 (彌七)あ ここにも じゃじゃ馬が 1匹いるな。 177 00:11:05,570 --> 00:11:08,240 じゃじゃ馬は嫌い? 彌七つぁん。 178 00:11:08,240 --> 00:11:11,910 いや… 俺は 馬は どんな馬でも好きだから。 179 00:11:11,910 --> 00:11:16,610 アハハハ… ごまかして。 180 00:11:18,250 --> 00:11:21,580 何だか おとなしいわね 源造さん。 何 考えてるの? 181 00:11:21,580 --> 00:11:24,290 あっ いや 別に 何も…。 182 00:11:38,600 --> 00:11:43,940 おりんちゃん…。 …はい。 183 00:11:43,940 --> 00:11:47,610 東京に行きたいって言ったの…・ 184 00:11:47,610 --> 00:11:49,910 あれ ほんとか? 185 00:11:55,480 --> 00:11:58,250 東京へ…!? 186 00:11:58,250 --> 00:12:01,890 源造さん 東京へ行ってしまうの!? 187 00:12:01,890 --> 00:12:08,560 うん 行こうと思う。 …行きたい! 188 00:12:08,560 --> 00:12:11,900 どうして? 189 00:12:11,900 --> 00:12:16,240 ご覧のとおり 我々は まる裸になった。 190 00:12:16,240 --> 00:12:20,110 もちろん また 一から やり直せば・ 191 00:12:20,110 --> 00:12:24,910 ここで 元のように 同じ商売をやってくことはできる。 192 00:12:24,910 --> 00:12:29,790 しかし どうせ 一から やり直すのであれば・ 193 00:12:29,790 --> 00:12:33,260 また同じことの繰り返しじゃ つまらない。 194 00:12:33,260 --> 00:12:37,590 別の天地で 別の商売を 別の自分を賭けて・ 195 00:12:37,590 --> 00:12:40,260 思いっきり やってみたいんだ。 196 00:12:40,260 --> 00:12:43,600 この文明開化の世の中で・ 197 00:12:43,600 --> 00:12:46,940 ただ 自分の築いたものを 守っていくだけの・ 198 00:12:46,940 --> 00:12:50,270 そんな小さな商人に 収まってしまうより・ 199 00:12:50,270 --> 00:12:54,610 もっと 外に向けて 自分を ぶつけていくような…・ 200 00:12:54,610 --> 00:12:58,480 そんな商人に 俺は なりたいんだ。 201 00:12:58,480 --> 00:13:02,220 それには 東京が 一番だ。 202 00:13:02,220 --> 00:13:05,920 俺は 東京へ行くよ おりんちゃん。 203 00:13:07,890 --> 00:13:10,890 源造さん…。 204 00:13:12,560 --> 00:13:19,440 そして 一生懸命 働いて 新しい商売を 軌道に乗せて・ 205 00:13:19,440 --> 00:13:22,910 自分の思いどおりに 仕事ができるようになった時…。 206 00:13:22,910 --> 00:13:25,610 その時 おりんちゃんを…。 207 00:13:28,240 --> 00:13:34,580 その時… おりんちゃんを・ 208 00:13:34,580 --> 00:13:38,290 俺の嫁さんに もらいに来てもいいかな。 209 00:13:40,920 --> 00:13:47,930 それまで… 俺のことを 待っていてもらえるかな? 210 00:13:50,600 --> 00:13:54,900 嫌なら嫌と言ってくれ。 そしたら あきらめる。 211 00:13:58,270 --> 00:14:01,880 そんなものなの? え? 212 00:14:01,880 --> 00:14:06,550 嫌と言ったら あきらめるくらいのものなの? 213 00:14:06,550 --> 00:14:11,250 じゃあ… じゃあ 嫌だ。 おりんちゃん! 214 00:14:13,220 --> 00:14:18,530 うそ。 …待ってます。 215 00:14:21,560 --> 00:14:27,570 腰が曲がるくらいまでには 迎えに来てくださいね。 216 00:14:30,240 --> 00:14:36,250 東京で 頑張って。 私のことは 心配ご無用です。 217 00:14:39,580 --> 00:14:42,250 おりんちゃん…! 218 00:14:42,250 --> 00:14:55,260 ・~