1 00:00:02,210 --> 00:00:20,660 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,660 --> 00:01:00,000 ・~ 3 00:01:00,000 --> 00:01:04,270 <みつに死なれた悲しみは 日が たつにつれて・ 4 00:01:04,270 --> 00:01:06,300 かえって 深く重く・ 5 00:01:06,300 --> 00:01:11,010 家族一人一人の心に 染みついていくようでした> 6 00:01:39,800 --> 00:01:43,140 (りん)昨夜 蛍が部屋の中さ入ってきて・ 7 00:01:43,140 --> 00:01:46,810 一晩中 飛び回って いや きれいだったわ~。 8 00:01:46,810 --> 00:01:49,850 蛍って 本当に 甘い水が好きなんだべか? 9 00:01:49,850 --> 00:01:52,680 今度 砂糖水 作って 置いてみっか? 10 00:01:52,680 --> 00:01:55,820 そしたら 寝ながら 一晩中 蛍見物できて・ 11 00:01:55,820 --> 00:01:58,720 いいかもしれねえなぇ? 12 00:01:58,720 --> 00:02:01,420 アハハハ…。 13 00:02:03,090 --> 00:02:07,960 (嘉助)ガキの頃 川っぷちに蛍取り行ってよ・ 14 00:02:07,960 --> 00:02:13,600 おみつ 忘れて置いてきて 大騒ぎしたこと あったっけなぁ。 15 00:02:13,600 --> 00:02:16,110 あの頃から あいつは いるか いないか 分かんない子・ 16 00:02:16,110 --> 00:02:19,980 だったけどよ 本当に いなくなっちまいやがって…。・ 17 00:02:19,980 --> 00:02:22,780 俺は 迷子になったら・ 18 00:02:22,780 --> 00:02:25,280 どこでも 捜し行っちゃうんだけどよ…。 19 00:02:25,280 --> 00:02:28,120 やめて そだ話。 20 00:02:28,120 --> 00:02:31,620 (嘉助)あ… ごめんよ。・ 21 00:02:31,620 --> 00:02:35,330 おみつの話は しない約束だったな。 22 00:02:40,300 --> 00:02:44,500 父ちゃん もう しまいかぇ? そんなら お湯を…。 23 00:02:55,650 --> 00:02:59,320 父ちゃん きっと また おみつの墓に行ってるんだべな。 24 00:02:59,320 --> 00:03:02,590 一日一回は 必ず行ってっから。 25 00:03:02,590 --> 00:03:07,460 何にも言わずに お墓の前で ただ じっと座ってんだ。 26 00:03:07,460 --> 00:03:11,760 きっと 心の中で おみつと 何か しゃべってるんだべな。 27 00:03:11,760 --> 00:03:13,700 親父のことだ。 28 00:03:13,700 --> 00:03:17,100 自分が おみつを殺したぐらいに 思ってるんじゃねえかな。 29 00:03:17,100 --> 00:03:19,940 そんな… 父ちゃんは 何にも…。 30 00:03:19,940 --> 00:03:24,770 でも 吉川に嫁に行けと 最後に決めたのは 親父だろう? 31 00:03:24,770 --> 00:03:28,950 きっと そのことで 自分を責めてるんだよ。 32 00:03:28,950 --> 00:03:31,250 そういう親父なんだよ。 33 00:03:33,780 --> 00:03:40,290 そういう父ちゃんを 兄ちゃんは どうするつもりなの? 34 00:03:40,290 --> 00:03:43,330 あんなんなってしまってる 父ちゃんを置いて・ 35 00:03:43,330 --> 00:03:47,060 兄ちゃん やっぱり 横浜に帰ってしまうの? 36 00:03:47,060 --> 00:03:49,470 あんなに ボーッとしてしまってる 母ちゃんを置いて・ 37 00:03:49,470 --> 00:03:52,370 やっぱり 一人で 横浜さ行っちまうの? 38 00:03:52,370 --> 00:03:55,340 兄ちゃん! 39 00:03:55,340 --> 00:03:59,480 じゃあ 俺が横浜に帰らねえで ここに ず~っと いるとしたら・ 40 00:03:59,480 --> 00:04:02,080 この家のために どんな いいことがあるんだ? 41 00:04:02,080 --> 00:04:04,780 だって みんな安心するもの…。 42 00:04:06,750 --> 00:04:09,250 何が安心だ! 43 00:04:09,250 --> 00:04:11,590 俺が ただ ここに いれば それで いいのか? 44 00:04:11,590 --> 00:04:14,620 あの郵便受けに 一日中 座って 来もしない客を待っていれば・ 45 00:04:14,620 --> 00:04:17,090 それで安心なのかよ? え? 46 00:04:17,090 --> 00:04:19,760 おとっつぁんと一緒に こんな売れもしない古道具を・ 47 00:04:19,760 --> 00:04:24,100 いじくり回してりゃ それが親孝行か? 48 00:04:24,100 --> 00:04:27,940 お前が 女ながら そうして 家のことや みんなのことを・ 49 00:04:27,940 --> 00:04:31,270 心配してくれるのは 兄ちゃん うれしいと思うよ。 50 00:04:31,270 --> 00:04:38,050 ま お前からしてみれば 兄ちゃん 頼りねえと思うけどよ…。 51 00:04:38,050 --> 00:04:40,780 そんなこと思ってないわ。 おりん。 52 00:04:40,780 --> 00:04:43,120 兄ちゃんだってな いろいろ考えてるんだよ。 53 00:04:43,120 --> 00:04:45,460 兄ちゃんはな この家から逃げるために・ 54 00:04:45,460 --> 00:04:48,360 横浜 行ったんじゃねえんだよ! 俺はな…。 55 00:04:48,360 --> 00:04:51,790 何て言うか… うまく言えねえけどよ・ 56 00:04:51,790 --> 00:04:56,300 この橘家を 華々しく 盛り上げようと思ってよ…! 57 00:04:58,130 --> 00:05:01,900 俺の目的は 着々と進みつつあるんだよ。 58 00:05:01,900 --> 00:05:05,410 だから いまちっと いまちっと待ってくれよ。 59 00:05:05,410 --> 00:05:08,240 必ず 商売を成功させて・ 60 00:05:08,240 --> 00:05:10,280 おとっつぁん おっかさん じいちゃん ばあちゃん・ 61 00:05:10,280 --> 00:05:13,120 お前も みんな ひっくるめて 呼んでやるから! な? 62 00:05:13,120 --> 00:05:15,590 だから 黙って待っててくれよ! 63 00:05:15,590 --> 00:05:19,590 な? おりん 頼むよ! 64 00:05:23,090 --> 00:05:27,900 わたす どうしたらいいんだべなぁ…。 65 00:05:38,110 --> 00:05:41,610 じゃあ またな。 66 00:05:41,610 --> 00:05:44,450 <相変わらずの大言壮語を残して・ 67 00:05:44,450 --> 00:05:48,250 嘉助は また 横浜へ帰っていきました> 68 00:05:52,320 --> 00:05:54,520 父ちゃん…。 69 00:06:01,860 --> 00:06:04,730 父ちゃん 何すんの!? 70 00:06:04,730 --> 00:06:06,740 父ちゃん! 71 00:06:10,610 --> 00:06:12,610 父ちゃん…。 72 00:06:15,910 --> 00:06:18,110 父ちゃん…。 73 00:06:29,090 --> 00:06:32,300 母ちゃん… 母ちゃん…。 74 00:06:33,930 --> 00:06:37,270 母ちゃん… 母ちゃん! どこさいるの? 75 00:06:37,270 --> 00:06:40,170 母ちゃん! 76 00:06:40,170 --> 00:06:43,970 母ちゃん どこさ行ったの!? 母ちゃん…。 77 00:06:49,610 --> 00:06:51,810 母ちゃん…。 78 00:06:59,320 --> 00:07:02,560 (やえ)そで丈 もうちっと 長くしといた方が・ 79 00:07:02,560 --> 00:07:05,560 えがったかなぇ おみつ…。 80 00:07:12,240 --> 00:07:15,270 あんな父ちゃん母ちゃん 見るの わたす 初めてだ。 81 00:07:15,270 --> 00:07:18,740 自分で自分が 分かんねくなってるような・ 82 00:07:18,740 --> 00:07:22,910 あんな父ちゃん母ちゃん わたす とっても見てらんに。 83 00:07:22,910 --> 00:07:30,650 (こと)自分が嫁にやった娘に あのような死に方をされては・ 84 00:07:30,650 --> 00:07:35,090 親には 悔いばかしが残りやす。 85 00:07:35,090 --> 00:07:41,260 おみつも かわいそうだけど 親も かわいそう…。 86 00:07:41,260 --> 00:07:43,930 あんな父ちゃん母ちゃん あのままにして・ 87 00:07:43,930 --> 00:07:45,970 わたす 仙台へは帰れない。 88 00:07:45,970 --> 00:07:50,170 なぇ じいさま ばあさま わたす どうしたらいいんだべか? 89 00:07:51,810 --> 00:07:57,610 あんな父ちゃん母ちゃん 一体 どうすればいいんだべか…。 90 00:08:00,220 --> 00:08:05,550 (徳右衛門)わしは 前にも一度 ああいう弘次郎を見ている。 91 00:08:05,550 --> 00:08:07,490 いつ? 92 00:08:07,490 --> 00:08:11,430 二本松少年隊士として 敵陣に斬り込み・ 93 00:08:11,430 --> 00:08:16,430 そして 本意なく 生き残ってしまった時の弘次郎だ。 94 00:08:18,130 --> 00:08:25,570 あの時の弘次郎は 死んだ者への 申し訳なさと 己に対する恥と・ 95 00:08:25,570 --> 00:08:29,410 無念の思いで 自分を責めて責めて 責めぬいて・ 96 00:08:29,410 --> 00:08:32,450 ほとんど廃人のごとく・ 97 00:08:32,450 --> 00:08:37,290 ただ うつうつと うつろに 日々を過ごしていた。 98 00:08:37,290 --> 00:08:41,760 ちょうど 今の あの弘次郎のように。 99 00:08:41,760 --> 00:08:45,260 そうであったな? はい。 100 00:08:45,260 --> 00:08:49,100 いつ わが手で わが命を絶つかと・ 101 00:08:49,100 --> 00:08:53,270 私は もう 覚悟をしておりやした。・ 102 00:08:53,270 --> 00:08:57,770 二本松を離れ 他の土地で生き直してみると・ 103 00:08:57,770 --> 00:09:01,640 言いだした時には 本当に もう ホッといたしやした…。 104 00:09:01,640 --> 00:09:06,220 あの時も あれだけ苦しみながら 弘次郎は・ 105 00:09:06,220 --> 00:09:09,120 もう一度 生き直す道を 自分で見つけ・ 106 00:09:09,120 --> 00:09:13,560 自分で その道を歩いていった。 107 00:09:13,560 --> 00:09:16,460 お前の父親は そういう男だ。 108 00:09:16,460 --> 00:09:20,730 苦しみや悲しみに ただただ負けてしまうような・ 109 00:09:20,730 --> 00:09:23,630 そんな柔な人間ではない。 110 00:09:23,630 --> 00:09:25,900 そうでござりやす。 111 00:09:25,900 --> 00:09:30,240 (徳右衛門)おりん そだに心配することはない。・ 112 00:09:30,240 --> 00:09:32,910 お前の おとっつぁんは 大丈夫だ。・ 113 00:09:32,910 --> 00:09:37,750 今は 自分を責め 自分を疑って 苦しんでいるだろうが・ 114 00:09:37,750 --> 00:09:42,080 今に きっと あの二本松の時のように・ 115 00:09:42,080 --> 00:09:48,260 生き直す道を 自分で見つけて 立ち直るに違いない。 116 00:09:48,260 --> 00:09:54,760 おやえさんには 月日が 悲しみを薄めてくれましょう。 117 00:09:54,760 --> 00:09:57,670 おりん 大丈夫ですよ。 118 00:09:57,670 --> 00:10:00,440 お前の おとっつぁんと おっかさんじゃありませんか。 119 00:10:00,440 --> 00:10:03,110 そんな意気地なしでは ありませんよ。 120 00:10:03,110 --> 00:10:05,040 わしたちも ついている。 121 00:10:05,040 --> 00:10:09,550 心配せずと お前は お前の道を行けばよい。 122 00:10:19,960 --> 00:10:21,960 (源造)ごめんください。 123 00:10:26,730 --> 00:10:29,130 源造さん…。 124 00:10:29,130 --> 00:10:32,170 彌七さんへのお手紙で おみつさんのご不幸を知り・ 125 00:10:32,170 --> 00:10:36,470 どうしても じっとしていられなくて…。 126 00:10:36,470 --> 00:10:41,140 本当に残念なことでした。 お悔やみ申し上げます。 127 00:10:41,140 --> 00:10:45,480 彌七は みつの叔父に あたるゆえ 知らせはしたが・ 128 00:10:45,480 --> 00:10:48,980 わざわざ来ずともよいと 書き添えておいたんだが…。 129 00:10:48,980 --> 00:10:52,020 はい それは拝見しました。 130 00:10:52,020 --> 00:10:56,160 彌七さんは 今 帰っても おみつさんが・ 131 00:10:56,160 --> 00:11:01,930 生き返ってくるわけではないから 東京で ご冥福を祈ると…。 132 00:11:01,930 --> 00:11:05,770 彌七さんから 手紙を預かってまいりました。 133 00:11:05,770 --> 00:11:07,800 どうぞ。 134 00:11:07,800 --> 00:11:11,570 見たでしょ? 父と母。 135 00:11:11,570 --> 00:11:14,280 わたす もう どうしていいか 分からなくて…。 136 00:11:14,280 --> 00:11:17,180 だから 本当に うれしかった。 137 00:11:17,180 --> 00:11:20,780 どうして 俺に知らせてこなかったんだ? 138 00:11:20,780 --> 00:11:23,490 だって まだ身内でもないのに…。 139 00:11:25,450 --> 00:11:29,330 そんなものか…。 え? 140 00:11:29,330 --> 00:11:33,630 君にとって俺は そんなものか。 141 00:11:35,460 --> 00:11:42,340 幸せな時は かまわないんだ。 つらい時 不幸せな時に・ 142 00:11:42,340 --> 00:11:45,980 手を貸してやれるのは 俺だと思ってた。 143 00:11:45,980 --> 00:11:51,180 苦しい時に支えてやれるのは 俺だけだと思ってた。 144 00:11:52,850 --> 00:11:58,490 そうか… なんだ そうか。 君は そんなものか。 145 00:11:58,490 --> 00:12:02,090 違うわ! そんな 思い違いをしないで。 146 00:12:02,090 --> 00:12:05,960 東京で これから新しい仕事に かかるんだっていう時に・ 147 00:12:05,960 --> 00:12:09,970 こんな暗いことを知らせては いけないと思って…。 148 00:12:09,970 --> 00:12:13,800 これから新しい仕事にかかるのに その さい先が悪くなっては・ 149 00:12:13,800 --> 00:12:17,270 いけないと思って それで我慢して…。 150 00:12:17,270 --> 00:12:20,080 こんなことで甘えるのは 嫌だから。 151 00:12:21,940 --> 00:12:27,450 なぜ 嫌なんだ? なぜ そんなに強がるんだ? 152 00:12:27,450 --> 00:12:31,290 だって 源造さんは・ 153 00:12:31,290 --> 00:12:35,790 今 自分のことだけで つらいことや 苦しいことが・ 154 00:12:35,790 --> 00:12:39,130 いっぱいあるはずなのに この上 わたすのことまでなんて…。 155 00:12:39,130 --> 00:12:41,060 ばかにするなよ。 156 00:12:41,060 --> 00:12:45,470 そんな 自分のことで手いっぱいな・ 157 00:12:45,470 --> 00:12:47,800 そんな頼りない男だと 思ってるのか? 158 00:12:47,800 --> 00:12:50,840 本当に 君は そう思ってるのか? そうは思ってないけど…。 159 00:12:50,840 --> 00:12:53,480 じゃあ 頼ればいいじゃないか。 160 00:12:53,480 --> 00:12:56,510 「助けて」って 言えばいいじゃないか。 161 00:12:56,510 --> 00:13:00,220 変な いたわりは やめてくれ! なんだ 生意気に! 162 00:13:06,060 --> 00:13:12,360 本当に… 頼りにならないか? 俺は。 163 00:13:19,640 --> 00:13:23,140 泣いてもいい? ん? 164 00:13:25,410 --> 00:13:30,110 もう これっきり泣かないから・ 165 00:13:30,110 --> 00:13:33,120 思いっ切り 泣いていい? 166 00:13:36,990 --> 00:13:39,620 いいよ。 167 00:13:39,620 --> 00:13:42,830 一人で こらえていることはない。 168 00:13:47,300 --> 00:13:53,300 泣けよ。 泣いちまえ。 聞いててやる。 169 00:13:57,470 --> 00:14:02,980 やっぱり 星は こっちの方が きれいだな。 170 00:14:18,260 --> 00:14:42,450 (泣き声) 171 00:14:42,450 --> 00:14:50,190 ・(泣き声) 172 00:14:50,190 --> 00:14:56,200 ・~