1 00:00:02,210 --> 00:00:27,800 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:27,800 --> 00:01:19,780 ・~ 3 00:01:22,950 --> 00:01:25,790 (りん)母ちゃん わたすも お雑煮作り 手伝う。 4 00:01:25,790 --> 00:01:28,290 (やえ) お前 まだ寝てても いがったのに。 5 00:01:28,290 --> 00:01:30,230 今年は いい年にすんだから・ 6 00:01:30,230 --> 00:01:32,800 御元日から お寝坊なんか してらんに。 7 00:01:32,800 --> 00:01:36,100 わたす 火 焚くから 母ちゃん お雑煮の野菜 切って。 8 00:01:39,300 --> 00:01:41,640 今年は きっと いい年になっから。 9 00:01:41,640 --> 00:01:43,970 お前のために いい年になるように・ 10 00:01:43,970 --> 00:01:48,140 おとっつぁん わざわざ お参りに行ってくれたんだから。 11 00:01:48,140 --> 00:01:51,480 父ちゃん わたすのために 初詣に 行ってくれたの? 12 00:01:51,480 --> 00:01:53,520 いや 家じゅう みんなのためも あっけど・ 13 00:01:53,520 --> 00:01:55,990 特に お前のこと 頼んでくれたんだよ。 14 00:01:55,990 --> 00:01:59,820 そうかい… じゃあ 父ちゃんのためにも・ 15 00:01:59,820 --> 00:02:03,430 おいしいお雑煮 たくさん作っておかねっか。 16 00:02:03,430 --> 00:02:05,760 何人分だべか? 17 00:02:05,760 --> 00:02:08,800 ひぃ ふぅ みぃ よ… 彌七さん入れて うちが7人。 18 00:02:08,800 --> 00:02:12,940 源造さんとこが 4人。 合わせて 11人…。 19 00:02:12,940 --> 00:02:14,970 お餅 そだに持ってきた? 20 00:02:14,970 --> 00:02:18,610 今年は 喪中で 何でも控えめにしたからなぇ。 21 00:02:18,610 --> 00:02:22,110 でも まあ 3日分ぐらいは あっぺ。 22 00:02:22,110 --> 00:02:28,280 ダイコンやニンジンも 様子見て 使わねと 足りねくなっちまうな。 23 00:02:28,280 --> 00:02:32,160 母ちゃん 今度 ちょっと 味付け 薄めにしねえと…。 24 00:02:32,160 --> 00:02:34,790 ほだな。 また お湯 ダボダボされっからな。 25 00:02:34,790 --> 00:02:38,130 そだに辛くねえのになぇ。 26 00:02:38,130 --> 00:02:40,630 味付け 源造さんにしてもらおうか? 27 00:02:40,630 --> 00:02:44,470 ほうだな。 源造さん 料理うめえから。 28 00:02:44,470 --> 00:02:46,400 なぇ 母ちゃん。 29 00:02:46,400 --> 00:02:49,340 2度目に 源造さんが 相馬のお家に 来たときに・ 30 00:02:49,340 --> 00:02:52,980 ちょうど お正月で… 男炊事 やってくれたっけなぇ。 31 00:02:52,980 --> 00:02:55,650 ほうだ ほうだ。 ダイコンの切り方が うめくて・ 32 00:02:55,650 --> 00:02:58,680 たまげたこと。・ 33 00:02:58,680 --> 00:03:04,090 そうだったなぇ… 相馬は お正月 三が日は 男炊事で・ 34 00:03:04,090 --> 00:03:06,760 女は 楽さしてもらったなぇ。 35 00:03:06,760 --> 00:03:11,960 あの時 源造さんの作ってくれた お雑煮 おいしかった…。 36 00:03:13,530 --> 00:03:17,930 (やえ)源造さんとは あの頃からの つきあいだもんなぇ…。 37 00:03:17,930 --> 00:03:23,110 (いち) まあまあ あなた方も お雑煮の まわしですか? お早いこと。 38 00:03:23,110 --> 00:03:25,780 みんなが 初詣から 帰ってくるまでにと思いやして。 39 00:03:25,780 --> 00:03:28,610 このお鍋 お借りして よろしゅうございますかな? 40 00:03:28,610 --> 00:03:32,480 はい… でも お雑煮は みんなの分 まとめて作りますから。 41 00:03:32,480 --> 00:03:35,120 えっ? 私んたの分も? 42 00:03:35,120 --> 00:03:37,450 お口に合うかどうか 分かりませんけど・ 43 00:03:37,450 --> 00:03:40,290 前に 源造さんが作ってくれた とおりに 作りますから。 44 00:03:40,290 --> 00:03:44,160 ええっ!? 源造が 雑煮を 作ったことがあるのきゃあも? 45 00:03:44,160 --> 00:03:46,800 お正月に 前に わたすの家にいらして。 46 00:03:46,800 --> 00:03:50,670 上手に こしらえてくれて たまげたんでござりやす。 47 00:03:50,670 --> 00:03:53,300 あれま… そいじゃ・ 48 00:03:53,300 --> 00:03:56,970 なにも えらい思いして こんな まあ…。 49 00:03:56,970 --> 00:03:59,310 やっとかめに 源造に・ 50 00:03:59,310 --> 00:04:02,750 小野寺家の小豆雑煮を 腹いっぱい食べさしてやりたい・ 51 00:04:02,750 --> 00:04:07,580 親心の一念で 餅に 砂糖に 小豆を見てちょうだい。 52 00:04:07,580 --> 00:04:11,920 こんなに いっぱい…。 ハハハハハ。 53 00:04:11,920 --> 00:04:14,820 ほんじゃ 小豆は まあ 煮えとんのきゃあも? 54 00:04:14,820 --> 00:04:17,730 え? あれ まんだ…? 55 00:04:17,730 --> 00:04:21,430 お宅のお雑煮は 小豆 入れるんで ござりやすか? 56 00:04:21,430 --> 00:04:25,100 小豆 入れるって 小豆と お餅のお雑煮ですけど。 57 00:04:25,100 --> 00:04:27,040 小豆と餅だけ? へえ。 58 00:04:27,040 --> 00:04:30,770 小豆を煮て お砂糖で甘うして そこへ お餅を入れる。 59 00:04:30,770 --> 00:04:33,810 いやいや…。 あの それは…・ 60 00:04:33,810 --> 00:04:37,550 お汁粉みたいな? いいえ お汁粉じゃありません。 61 00:04:37,550 --> 00:04:39,480 源造は そういうふうに 作らなんだですか? 62 00:04:39,480 --> 00:04:41,780 いやいや 源造さんが作ってくれたのは・ 63 00:04:41,780 --> 00:04:43,820 いつも わたすらが食べてるみてえな・ 64 00:04:43,820 --> 00:04:47,960 ダイコンやら サトイモやら ニンジンやらを 汁の中さ入れて…。 65 00:04:47,960 --> 00:04:52,630 ウッ! いえいえ あの… それじゃ やっぱり あの・ 66 00:04:52,630 --> 00:04:57,470 別々に 私らは私らの分で煮ますで そちらは そちらさんで どうぞ。 67 00:04:57,470 --> 00:05:01,900 やっぱり 源造には やっとかめに 小豆雑煮・ 68 00:05:01,900 --> 00:05:04,410 いっぱい食べさしてやりたいでな。 かわいそうに。 69 00:05:04,410 --> 00:05:06,340 え~ 鍋は これでええと。 70 00:05:06,340 --> 00:05:09,280 それから おくどさんは こりゃ使いにくそうだで。 71 00:05:09,280 --> 00:05:12,580 あっ 七輪 これ これ お借りしますで。 72 00:05:12,580 --> 00:05:15,250 おっかさま それは あの こちらで使いやすから…。 73 00:05:15,250 --> 00:05:18,750 いや まあ おくどさんじゃ 小豆が上手に煮えませんで。 74 00:05:18,750 --> 00:05:22,260 これ おっかさま このガス 簡単でやすから。 75 00:05:22,260 --> 00:05:24,760 いやいや それは どうぞ お宅さんで…。 76 00:05:24,760 --> 00:05:28,100 遠慮しねえで。 わたす これ おっかねくて。 77 00:05:28,100 --> 00:05:31,000 私は これで結構です。 お宅の息子さんが…。 78 00:05:31,000 --> 00:05:33,770 これで 結構でございますで。 おっかさま これ 簡単に・ 79 00:05:33,770 --> 00:05:36,270 ボッと こういうふうにして 小豆が…。 80 00:05:36,270 --> 00:05:39,580 (いち)あの 私は これで結構…。 (やえ)お宅の息子さんが ほれ…。 81 00:05:41,140 --> 00:05:43,610 (弘次郎)ただいま。 82 00:05:43,610 --> 00:05:47,120 お帰りなさいませ。 お疲れに なりませんでした? 83 00:05:47,120 --> 00:05:50,620 (源左衛門)いや はやばやと 神様に お参りできて・ 84 00:05:50,620 --> 00:05:53,120 えりゃあ ええ気分だった。 85 00:05:57,130 --> 00:06:00,130 (すみの笑い声) 86 00:06:02,900 --> 00:06:05,800 お帰りなさい! (源造)ただいま。 87 00:06:05,800 --> 00:06:08,570 お帰りなさい! (すみ 源造)ただいま。 88 00:06:08,570 --> 00:06:11,410 くたびれなんだかね? (すみ)いいえ ちょっとも。・ 89 00:06:11,410 --> 00:06:14,080 源造さんが ゆっくり歩いて くださったから。 90 00:06:14,080 --> 00:06:16,010 あ おばさま このお守りね・ 91 00:06:16,010 --> 00:06:18,250 源造さんに 買ってもらったんですよ。 92 00:06:18,250 --> 00:06:20,920 まあ よかったね! さあさあ はよ お上がり。 93 00:06:20,920 --> 00:06:22,950 お雑煮 出来とるよ。・ 94 00:06:22,950 --> 00:06:25,150 よかったねえ。 95 00:06:31,260 --> 00:06:34,930 (やえ)東京で 初めて作った雑煮 どうでやすべ? 96 00:06:34,930 --> 00:06:39,600 (こと)結構なお味でござりやすよ。 (徳右衛門)うむ なかなか結構。 97 00:06:39,600 --> 00:06:41,940 (嘉助) やっぱり 雑煮は こういうのが いちばん うまいねぇ。・ 98 00:06:41,940 --> 00:06:44,610 正月は やっぱり 雑煮を食わなくちゃよ。 99 00:06:44,610 --> 00:06:47,640 ウフウフ…。 100 00:06:47,640 --> 00:06:51,950 源造 やっとかめに小豆雑煮 どうだ? うみゃあか? 101 00:06:51,950 --> 00:06:53,880 うまいですよ。 (いち)アハハ。・ 102 00:06:53,880 --> 00:06:57,120 やっぱり 正月は この雑煮でなきゃな。 103 00:06:57,120 --> 00:06:59,620 おみゃあは ほんとに この雑煮が好きだった。 104 00:06:59,620 --> 00:07:04,060 なも おとっつぁま? 9つも食べたことあったなぁ。 105 00:07:04,060 --> 00:07:06,400 (すみ)9つも? すみちゃんが作ったら・ 106 00:07:06,400 --> 00:07:09,070 10は 食べますわなも。 そんなこと ないですよ。 107 00:07:09,070 --> 00:07:11,970 おばさまの小豆雑煮は 本当に おいしいわ。 108 00:07:11,970 --> 00:07:15,240 ほうぎゃも? ほんなら この味 よう覚えといてちょうだい。 109 00:07:15,240 --> 00:07:18,540 後で よう教えてあげますで。 はい お願いいたします。 110 00:07:20,110 --> 00:07:23,410 (彌七)あねさん。 あねさんの作った雑煮は・ 111 00:07:23,410 --> 00:07:25,920 天下一品だ。 お代わり! はいはいはい。 112 00:07:25,920 --> 00:07:28,420 おっかさん 俺も お代わり! 113 00:07:28,420 --> 00:07:32,260 何 お前 5杯目だぞぇ。 そだに うめえかぇ? 114 00:07:32,260 --> 00:07:34,190 (弘次郎)やえ。 何か? 115 00:07:34,190 --> 00:07:38,430 お代わりだ。 いやいや おとっつぁん… ハハハ。 116 00:07:38,430 --> 00:07:43,600 (こと)元気に みんな おいしく たくさん食べて…。 117 00:07:43,600 --> 00:07:47,440 ほんとに いいお正月だこと。 118 00:07:47,440 --> 00:07:52,110 おりん。 今年は きっと いいことが ありますよ。 119 00:07:52,110 --> 00:07:54,780 何も 心配すること ありませんよ。・ 120 00:07:54,780 --> 00:07:57,680 大丈夫。 ばあさま…。 121 00:07:57,680 --> 00:08:01,220 こと お前 この家に来たら ぼけが 治ったではないか。 122 00:08:01,220 --> 00:08:04,250 まあ なんと! 私が いつ ぼけました? 123 00:08:04,250 --> 00:08:07,560 なんてことを! じいさまは まあ…。 124 00:08:07,560 --> 00:08:10,230 やえさん。 じいさまが あのようなことを・ 125 00:08:10,230 --> 00:08:13,130 言うておりますよ。 ほんとになぇ。 126 00:08:13,130 --> 00:08:16,100 おっかさまは ちっとも ぼけてなんぞ おりやせんぞ。 127 00:08:16,100 --> 00:08:18,100 なぇ じいさま? 128 00:08:18,100 --> 00:08:20,240 そだに にらむな。 129 00:08:20,240 --> 00:08:23,140 何もしなくても 十分に おっかない顔なんだから。 130 00:08:23,140 --> 00:08:25,740 (一同の笑い声) 131 00:08:25,740 --> 00:08:28,410 にぎやかそうですね。 僕も仲間に入れてもらおうかな。 132 00:08:28,410 --> 00:08:31,750 (やえ)どうぞ どうぞ。 はい。 133 00:08:31,750 --> 00:08:33,780 落ち着いて ちゃっちゃと食べやせ。 134 00:08:33,780 --> 00:08:35,920 今日も 出かけなきゃならんのだで。 135 00:08:35,920 --> 00:08:38,590 すみちゃん 今日も どっか 連れてってあげますでな。 136 00:08:38,590 --> 00:08:41,590 本当? まあ うれしい。 137 00:08:51,170 --> 00:08:55,040 おりん 部屋の片づけは 後で ゆっくり できっから・ 138 00:08:55,040 --> 00:08:58,910 お前も 町の見物さ 行ってきたらどうだぇ? 139 00:08:58,910 --> 00:09:00,840 お元日なんだから。 140 00:09:00,840 --> 00:09:04,210 そうねえ… 東京のお正月は 初めてだし。 141 00:09:04,210 --> 00:09:06,250 源造さんに 連れてってもらったら? 142 00:09:06,250 --> 00:09:10,890 あの…。 今 源造さんのこと 話してたとこ。 143 00:09:10,890 --> 00:09:13,790 おりんもね 東京のお正月 初めてだから…。 144 00:09:13,790 --> 00:09:16,230 (いち)源造や。 145 00:09:16,230 --> 00:09:19,260 まあ こんなとこで何しとるの? 出かけるよ。 146 00:09:19,260 --> 00:09:21,560 ちょっと みんなで 出かけてきますで。 147 00:09:21,560 --> 00:09:23,500 浅草の叔父のところに 挨拶に行くっていうんで・ 148 00:09:23,500 --> 00:09:27,240 連れていってきます。 あのお寺さんに? そうでやすか。 149 00:09:27,240 --> 00:09:29,570 ご住職さんや 奥さまに・ 150 00:09:29,570 --> 00:09:32,240 どうぞ くれぐれも よろしく お伝えくだっしょない。 151 00:09:32,240 --> 00:09:36,410 わたすたちも 落ち着いたら 改めてご挨拶に伺いますからって。 152 00:09:36,410 --> 00:09:38,750 おりんさん あの… 正月の町は また明日にでも…。 153 00:09:38,750 --> 00:09:40,780 何言っとんの。 はよ行かんと・ 154 00:09:40,780 --> 00:09:43,590 浅草 見物する時間が のうなってまうがね。 155 00:09:43,590 --> 00:09:45,520 すみちゃんが せっかく 楽しみにしとるのに。 156 00:09:45,520 --> 00:09:49,760 ほんじゃ 留守番 頼んだぜも。 157 00:09:49,760 --> 00:09:53,600 ほんじゃ 留守番 何じゃらじゃもっと…。 158 00:09:53,600 --> 00:09:56,270 なんだべ あの言い方は…。 159 00:09:56,270 --> 00:10:00,940 まるで 自分の家みてえに…。 威張ってっこと。 160 00:10:00,940 --> 00:10:03,840 したって ここ 源造さんの家だもの。 161 00:10:03,840 --> 00:10:08,110 自分の息子が造った家でしょ? ああ そうだったなぃ…。 162 00:10:08,110 --> 00:10:10,110 わたす 送りに行ってくる。 163 00:10:14,880 --> 00:10:17,790 あ… まあ 羽織のひもが ほどけてる。 164 00:10:17,790 --> 00:10:21,660 すみちゃん 直いたってちょうだい。 はい。 165 00:10:21,660 --> 00:10:26,860 (いち)さぁ 行こみゃあか。 いってらっしゃい…。 166 00:10:33,270 --> 00:10:36,170 (みどり)おりんさん! 167 00:10:36,170 --> 00:10:38,170 みどりさん! 168 00:10:38,170 --> 00:10:42,650 浅草のお寺に行ったら ゆうべ こっちに引っ越したって言うから。 169 00:10:42,650 --> 00:10:46,820 大みそかの引っ越しとは 「恐れ入谷の鬼子母神」。 170 00:10:46,820 --> 00:10:49,650 あ… ご挨拶 ご挨拶。 171 00:10:49,650 --> 00:10:51,990 明けまして おめでとうございます。 172 00:10:51,990 --> 00:10:54,660 今年も よろしく。 173 00:10:54,660 --> 00:11:00,260 オホホホホ! 何を ボ~ッとしてるのよ キツネに つままれたみたいに。 174 00:11:00,260 --> 00:11:04,770 私 キツネが化けたんじゃないのよ。 正真正銘の高木みどりよ。 175 00:11:04,770 --> 00:11:08,440 オホホホ しっかりしてよ おりんさん。 176 00:11:08,440 --> 00:11:10,470 <元日早々 またしても・ 177 00:11:10,470 --> 00:11:14,310 思いがけない姿の みどりの出現でした> 178 00:11:14,310 --> 00:11:18,150 じゃあ この家は 源造さんが建てたわけ? 179 00:11:18,150 --> 00:11:21,620 そう。 建て主が お金を払わず 逃げちゃったから・ 180 00:11:21,620 --> 00:11:23,950 しょうがなく 自分の物にしてしまったの。 181 00:11:23,950 --> 00:11:26,460 そこへ あなたたちが 住んでるというわけ? 182 00:11:26,460 --> 00:11:28,960 そう。 家が荒れないようにね。 183 00:11:28,960 --> 00:11:34,300 というと つまり あなたたちは この家の管理人というわけね。 184 00:11:34,300 --> 00:11:36,630 あ… はっきり言いすぎたかしら。 185 00:11:36,630 --> 00:11:39,970 ううん。 そのとおりよ。 そのとおりだわ。 186 00:11:39,970 --> 00:11:42,000 私たちは 管理人なの。 187 00:11:42,000 --> 00:11:44,810 じゃあ 源造さん 威張ってるでしょ? 188 00:11:44,810 --> 00:11:47,840 威張ってやしないわ。 でも…。 189 00:11:47,840 --> 00:11:50,310 「でも」 何? 190 00:11:50,310 --> 00:11:53,150 ううん なんでもない。 はい。 191 00:11:53,150 --> 00:11:56,820 何よ はっきり おっしゃいよ。 水くさいわね。 192 00:11:56,820 --> 00:12:00,260 源造さんと 何か いざこざでも あったの? 193 00:12:00,260 --> 00:12:03,160 そうじゃないわ…。 194 00:12:03,160 --> 00:12:06,930 ねえ おりんさん 源造さんと 結婚するんでしょ? 195 00:12:06,930 --> 00:12:08,960 そうでしょ? 196 00:12:08,960 --> 00:12:13,100 まだ ちゃんとは 決まってないの。 何が 決まってないのよ? 197 00:12:13,100 --> 00:12:18,270 だって まだ 源造さんからも 両親に何も話をしてないし…。 198 00:12:18,270 --> 00:12:22,110 何よ そんなの関係ないわよ。 2人の気持ちさえ決まっていれば。 199 00:12:22,110 --> 00:12:24,950 あなたたちの気持ちは 決まってるのね? 200 00:12:24,950 --> 00:12:27,850 私は 決まってるけど…。 あっちは フラフラしてるの? 201 00:12:27,850 --> 00:12:29,820 いや フラフラしてるとは 思わねえげんと…。 202 00:12:29,820 --> 00:12:33,460 「けど」何なのよ。 もう じれったいわね。 203 00:12:33,460 --> 00:12:35,960 ちょっと 今 面倒なことが起きてて…。 204 00:12:35,960 --> 00:12:38,790 何か 一体 どうなってるのか 私にも よく分かんねえの! 205 00:12:38,790 --> 00:12:40,730 何 グズグズ 言ってるのよ。 206 00:12:40,730 --> 00:12:43,130 私 言ってあげましょうか? 源造さんに。 ハッキリしなさいって。 207 00:12:43,130 --> 00:12:46,640 いいわよ! よして そんなこと! 208 00:12:46,640 --> 00:12:49,670 …もう この話 やめましょ。 209 00:12:49,670 --> 00:12:53,410 それより みどりさん どうしたの? その格好。 210 00:12:53,410 --> 00:12:57,280 何か この間と 随分 違って まるで貴婦人みたいだけど・ 211 00:12:57,280 --> 00:12:59,650 それも やっぱり 化けこみ用なの? 212 00:12:59,650 --> 00:13:04,920 ううん。 私 今 華族さまの権妻なの。 213 00:13:04,920 --> 00:13:09,090 権妻!? そう 権妻。 つまり お妾さん。 214 00:13:09,090 --> 00:13:13,930 まあ お妾さんと言っても 風変わりな茶飲み友達ってとこね。 215 00:13:13,930 --> 00:13:16,430 華族さまの奥向きを スッパ抜こうと思って・ 216 00:13:16,430 --> 00:13:20,270 つてを頼んで 坂井男爵家の中働きに入ったら・ 217 00:13:20,270 --> 00:13:23,940 なんと 御前のお目に留まって 「うい奴じゃ」となったわけ。 218 00:13:23,940 --> 00:13:26,980 どう? ちょっと面白いでしょ? みどりさん…。 219 00:13:26,980 --> 00:13:30,110 坂井男爵っていうのは もう70の おじいちゃん。 220 00:13:30,110 --> 00:13:32,620 私みたいな若い娘が 珍しいんでしょ。 221 00:13:32,620 --> 00:13:36,450 それで… 新聞記者は やめてしまったの? 222 00:13:36,450 --> 00:13:40,290 ううん。 会社には 妾になったことは 内緒。 223 00:13:40,290 --> 00:13:42,960 ずっと 化けこみで やってることに なってるの。 224 00:13:42,960 --> 00:13:44,890 記事は ちゃんと書いてるわよ。 225 00:13:44,890 --> 00:13:47,800 坂井の御前も そのことだけは 知らないの。 226 00:13:47,800 --> 00:13:50,700 それじゃあ みどりさんは 両方とも だましてるわけ? 227 00:13:50,700 --> 00:13:53,300 人聞きの悪いこと 言わないでよ。 228 00:13:53,300 --> 00:13:55,970 私は 両方に奉仕してるの。 229 00:13:55,970 --> 00:13:59,640 新聞社も喜ばせ 坂井の御前も喜ばせ…。 230 00:13:59,640 --> 00:14:04,610 でも…。 おりんさん 人生は短いのよ。 231 00:14:04,610 --> 00:14:07,920 生きてる間に 自分の才覚で 何をしようと・ 232 00:14:07,920 --> 00:14:12,090 人に迷惑さえ かけなければ つべこべ言われる筋合いはないわ。 233 00:14:12,090 --> 00:14:14,120 男の都合のいいように・ 234 00:14:14,120 --> 00:14:16,960 男の顔色 窺いながら おずおず生きるなんて・ 235 00:14:16,960 --> 00:14:19,660 私は 真っ平。 236 00:14:22,260 --> 00:14:25,770 ほら 松浪先生も よく おっしゃったでしょ? 237 00:14:25,770 --> 00:14:29,440 女だって 人間としては 男と同じなんだって。 238 00:14:29,440 --> 00:14:33,280 あ… でも それは 意味が違うと思うんだげんと…。 239 00:14:33,280 --> 00:14:36,110 おりんさん つまんない結婚なんかして・ 240 00:14:36,110 --> 00:14:38,150 自分を縛りつけるのは およしなさいよ。 241 00:14:38,150 --> 00:14:40,950 結婚だけが 女の幸せじゃないわよ。 242 00:14:40,950 --> 00:14:42,990 もっと 自分を自由になさいよ。 243 00:14:42,990 --> 00:14:45,820 女って とっても素敵なものなのよ。 244 00:14:45,820 --> 00:14:48,820 結婚なんて もったいないわ。 245 00:14:48,820 --> 00:14:55,130 ・~