1 00:00:02,170 --> 00:00:20,420 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,420 --> 00:00:59,130 ・~ 3 00:01:06,400 --> 00:01:10,410 (柱時計の音) 4 00:01:18,580 --> 00:01:21,080 (りん)やっと お目覚め? 5 00:01:22,920 --> 00:01:26,620 旦那様 おはようございます。 6 00:01:29,590 --> 00:01:32,100 (源造)なんだ? どうしたんだ? 7 00:01:32,100 --> 00:01:35,930 先に お着替えなさいます? それとも お顔を先に洗う? 8 00:01:35,930 --> 00:01:38,270 何だよ? 本当に どうしたんだよ? 9 00:01:38,270 --> 00:01:40,200 どうしたのってこと ないでしょう。 10 00:01:40,200 --> 00:01:43,440 ちゃんと奥様やってるのよ。 あなた お起きあそばして。 11 00:01:43,440 --> 00:01:45,380 やめろよ 気持ち悪いなぁ。 12 00:01:45,380 --> 00:01:48,310 目 覚めました? 覚めたよ もう。 13 00:01:48,310 --> 00:01:51,610 ああ… よく寝た。 何時? 14 00:01:54,150 --> 00:01:57,950 えっ もう9時? よく寝たなぁ…。 15 00:01:57,950 --> 00:02:01,720 そうよ。 私なんか もう ほら 髪 結い直してしまったもの。 16 00:02:01,720 --> 00:02:04,630 飯は? まだ。 17 00:02:04,630 --> 00:02:09,070 えっ!? じゃあ お父さんたち まだ 俺のこと 待ってるの? 18 00:02:09,070 --> 00:02:11,000 いいえ あちらは もう お先に いただきました。 19 00:02:11,000 --> 00:02:15,570 待ってたのは 私だけ。 そう… そう…。 20 00:02:15,570 --> 00:02:19,740 それにしても 寝過ごしたな。 21 00:02:19,740 --> 00:02:23,610 だって 日曜日ですもの。 このぐらい お寝坊したって。 22 00:02:23,610 --> 00:02:28,420 ああ そうか… 今日 結婚して 初めての日曜日か。 23 00:02:28,420 --> 00:02:33,260 そうよ。 今日一日ぐらい ゆっくりしましょうよ。 24 00:02:33,260 --> 00:02:36,590 そうだな。 結婚してから・ 25 00:02:36,590 --> 00:02:41,430 毎日 何だか ガタガタ ガタガタしてたもんな。 26 00:02:41,430 --> 00:02:44,930 今日ぐらいは のんびり 亭主と奥さん やるか。 27 00:02:49,310 --> 00:02:57,610 ・~ 28 00:02:57,610 --> 00:03:00,820 何だか おままごとみたいね。 29 00:03:02,450 --> 00:03:09,060 そっか… 初めてか こうやって 2人だけで食事するっていうのは。 30 00:03:09,060 --> 00:03:12,730 ずっと前にあるわ。 いつ? 31 00:03:12,730 --> 00:03:16,930 私が 東北女学校に 入ったばっかりの夏休み。 32 00:03:16,930 --> 00:03:20,940 ああ 相馬へ帰らずに 俺たちの店に泊まって・ 33 00:03:20,940 --> 00:03:23,770 松浪先生のところに 英語の勉強に行ってた時か。 34 00:03:23,770 --> 00:03:28,240 そう。 おんつぁんが 急に東京に出張になって・ 35 00:03:28,240 --> 00:03:31,150 何日か 2人だけで 一緒に過ごしたじゃない。 36 00:03:31,150 --> 00:03:36,750 そうだ…。 あの時は 2人だけで 飯食ったんだ。 37 00:03:36,750 --> 00:03:42,560 そう。 私は 食べながら 英語の暗唱ばっかりしてた。 38 00:03:42,560 --> 00:03:51,270 ・~ 39 00:03:51,270 --> 00:03:53,940 [ 回想 ] あ あ ごめんなぇ。 わたす します。 40 00:03:53,940 --> 00:03:56,970 いい いいよ。 わたす すっから! いいって! 41 00:03:56,970 --> 00:03:58,980 わたす すっから! いいって! 42 00:04:09,720 --> 00:04:13,590 あの時は ほんとに 今 こうして 夫婦になって・ 43 00:04:13,590 --> 00:04:18,730 差し向かいで ごはん食べるなんて 考えても みねがったわ。 44 00:04:18,730 --> 00:04:22,230 ・(やえ)ちょっと いいべか。 どうぞ。 45 00:04:22,230 --> 00:04:25,570 悪いげんと ごはん食べたら ちょっと 客間のほうに・ 46 00:04:25,570 --> 00:04:28,240 来てくだっしょ。 珍しいお客さん 見えてっから。 47 00:04:28,240 --> 00:04:31,070 誰? 何 こっちさ 来てしまったの。 48 00:04:31,070 --> 00:04:33,580 どうぞ どうぞ。 (源造 りん)おきわさん! 49 00:04:33,580 --> 00:04:35,610 (きわ)お久しゅう。 50 00:04:35,610 --> 00:04:38,310 いきなり ごめんなさい 押しかけてきちまって。 51 00:04:41,450 --> 00:04:44,150 どうしたの? おきわさん。 52 00:04:46,090 --> 00:04:50,760 東京で 新しい店が うまくいくように なるまでは・ 53 00:04:50,760 --> 00:04:52,800 私のことどころじゃ ないんだろうって・ 54 00:04:52,800 --> 00:04:55,600 それは 覚悟していたんですよ。 55 00:04:55,600 --> 00:05:01,200 でも だから それまでは 私も 一生懸命 仙台で働いて・ 56 00:05:01,200 --> 00:05:03,710 もういいよって 声がかかったら・ 57 00:05:03,710 --> 00:05:06,040 もう その日のうちにも 店をたたんで・ 58 00:05:06,040 --> 00:05:08,540 こっちに飛んでこようと思って・ 59 00:05:08,540 --> 00:05:11,880 毎日毎日 せっせと働いて・ 60 00:05:11,880 --> 00:05:16,550 その声のかかるのを 今日か明日か って待ってたんですよ。 61 00:05:16,550 --> 00:05:20,390 彌七さんは 手紙も書かなかったんですか? 62 00:05:20,390 --> 00:05:24,730 東京の店が出来た時に 一度 くれました。 63 00:05:24,730 --> 00:05:27,630 一度だけ? 64 00:05:27,630 --> 00:05:30,900 でも それは 初めっから言われてたの。 65 00:05:30,900 --> 00:05:35,240 あの人 右手で筆を持つことが できないし・ 66 00:05:35,240 --> 00:05:39,580 ゆっくり 手紙を書く暇も ないだろうからって…。 67 00:05:39,580 --> 00:05:43,910 手紙が来ないのは 仕事に 夢中になってる証拠だって・ 68 00:05:43,910 --> 00:05:46,720 私は そう思うように していたんですよ。 69 00:05:48,750 --> 00:05:54,390 そして とうとう… 来たんですよ。 70 00:05:54,390 --> 00:05:59,100 待ちに待っていた手紙が。 71 00:05:59,100 --> 00:06:01,400 読んでくださいな。 72 00:06:05,700 --> 00:06:08,040 その手紙を読んでいるうちに・ 73 00:06:08,040 --> 00:06:12,210 私は もう 何が何だか わけが分かんなくなっちまって・ 74 00:06:12,210 --> 00:06:17,550 気がついたら 東京に来る汽車に 乗ってたんですよ。 75 00:06:17,550 --> 00:06:21,380 (彌七)「仕事のほうも ようやく 軌道に乗り・ 76 00:06:21,380 --> 00:06:24,050 もはや 小生の手を借りずとも・ 77 00:06:24,050 --> 00:06:28,720 源造君一人で 十分にやっていける 見込みも 立ち候につき・ 78 00:06:28,720 --> 00:06:33,230 この際 小生は 源造君と袂を分かち・ 79 00:06:33,230 --> 00:06:36,270 独り立ちすることに 決意致し候。・ 80 00:06:36,270 --> 00:06:38,670 年老いて 今一度・ 81 00:06:38,670 --> 00:06:42,910 男一匹 残んの人生に 賭けてみるのも よからんと・ 82 00:06:42,910 --> 00:06:45,740 心に決め申し候。・ 83 00:06:45,740 --> 00:06:51,250 いかなる障害 苦労も 小生自身は 覚悟の上なれど・ 84 00:06:51,250 --> 00:06:55,120 そのことに 其許様まで 巻き込むことは・ 85 00:06:55,120 --> 00:06:58,020 小生の本意に非ざることにして・ 86 00:06:58,020 --> 00:07:01,890 また それを強いる権利も なきことなれば・ 87 00:07:01,890 --> 00:07:06,360 この際 其許様と 袂を分かつこと・ 88 00:07:06,360 --> 00:07:11,700 まことに 断腸の思いながら 固く決意致し候。・ 89 00:07:11,700 --> 00:07:16,540 以上のこと 熟慮を重ねた結果の決意なれば・ 90 00:07:16,540 --> 00:07:22,880 変更の意志は さらさらなく なにとぞ 御得心下されたく候。・ 91 00:07:22,880 --> 00:07:27,220 小生のことは お忘れ下されたく候。・ 92 00:07:27,220 --> 00:07:30,890 亡き者と思い下されたく候。・ 93 00:07:30,890 --> 00:07:37,230 小生も 其許様を忘れ去ること 心に誓い申し候。・ 94 00:07:37,230 --> 00:07:41,900 これまでの御交誼 ありがたく ありがたく・ 95 00:07:41,900 --> 00:07:46,100 幾重にも 厚く御礼申し上げ候」。 96 00:07:49,240 --> 00:07:54,810 こんな… こんな わけの 分かんない話って あります? 97 00:07:54,810 --> 00:07:59,280 源造さん これは 一体 どういうことなの? 98 00:07:59,280 --> 00:08:04,690 あの人と 源造さんと 喧嘩でもしたんですか? いや…。 99 00:08:04,690 --> 00:08:07,590 彌七さんが こんなことを 考えていたなんて・ 100 00:08:07,590 --> 00:08:09,860 僕も初めて知った…。 101 00:08:09,860 --> 00:08:14,200 おんつぁん なして こだこと…。 102 00:08:14,200 --> 00:08:20,070 ねえ… もしかして 彌七つぁん・ 103 00:08:20,070 --> 00:08:22,540 誰か ほかに好きな人でも…? 104 00:08:22,540 --> 00:08:25,210 いや そんなことは! 105 00:08:25,210 --> 00:08:27,140 ちょっと 店 行って 彌七さん連れてくる! 106 00:08:27,140 --> 00:08:31,350 店には行きました。 戸を叩いたけど誰も居なかったわ。 107 00:08:32,950 --> 00:08:36,390 あの人 やっぱり…・ 108 00:08:36,390 --> 00:08:39,690 誰か ほかの人が できたんじゃないかしら。 109 00:08:53,570 --> 00:08:55,600 おんつぁん! おりんちゃん どうしたい? 110 00:08:55,600 --> 00:08:58,070 もう 体の具合 すっかり よくなったかい? 111 00:08:58,070 --> 00:09:00,040 おんつぁん 心配になって また来ちまったよ。 112 00:09:00,040 --> 00:09:02,240 ハハハハ…。 113 00:09:06,180 --> 00:09:08,180 おきわさん…。 114 00:09:11,050 --> 00:09:25,200 ・~ 115 00:09:25,200 --> 00:09:27,540 私の邪魔をしないために・ 116 00:09:27,540 --> 00:09:30,210 独り立ちしたいという 彌七さんの気持ちは・ 117 00:09:30,210 --> 00:09:34,040 ありがたいと思います。 でも 決して そんなことは…。 118 00:09:34,040 --> 00:09:37,880 源造君 このことは 東京に来る時から・ 119 00:09:37,880 --> 00:09:41,220 私が 心ひそかに 決めていたことだから・ 120 00:09:41,220 --> 00:09:44,050 わがままを通すようで 申し訳ないが・ 121 00:09:44,050 --> 00:09:46,090 私の思うとおりに させてくれたまえ。 122 00:09:46,090 --> 00:09:48,220 それじゃ おきわさんのことも・ 123 00:09:48,220 --> 00:09:50,890 仙台をたつ時から こういうふうに しようと 決めていたんですか? 124 00:09:50,890 --> 00:09:53,560 (弘次郎) そのことは また 別にして。 125 00:09:53,560 --> 00:09:56,600 どうして? おきわさんのことは どうして 別に? 126 00:09:56,600 --> 00:10:00,070 (弘次郎)そういうことは 橘家で決めること。・ 127 00:10:00,070 --> 00:10:02,410 小野寺には 関係ない。 どうして!? 128 00:10:02,410 --> 00:10:04,340 お前は黙っていなさい。 129 00:10:04,340 --> 00:10:09,180 (徳右衛門)弘次郎の言うとおり 彌七の結婚は 橘家の問題。 130 00:10:09,180 --> 00:10:12,920 小野寺に 嫁入ったお前が 差し出口することはない。 131 00:10:12,920 --> 00:10:15,420 しかし こうして 一緒に暮らしてるんですから・ 132 00:10:15,420 --> 00:10:17,450 橘も小野寺も ないですよ! 133 00:10:17,450 --> 00:10:22,290 (弘次郎)しかし こんなことで あんた方に ご迷惑かけるのは・ 134 00:10:22,290 --> 00:10:25,130 申し訳ない。 こんなことまでって…。 135 00:10:25,130 --> 00:10:28,960 結婚は 一大事じゃありませんか。 (きわ)ちょっと待ってください。 136 00:10:28,960 --> 00:10:32,840 私は 彌七さんと 結婚しなくても いいんですよ。 137 00:10:32,840 --> 00:10:36,710 おきわさん! (やえ)結婚しねえで どうするの? 138 00:10:36,710 --> 00:10:43,950 どうって… ただ そばに居られればと…。 139 00:10:43,950 --> 00:10:48,820 (こと)そんな… 結婚もせずに それは 不道徳なことだ。 140 00:10:48,820 --> 00:10:53,290 そんなことは 私も許さん。 そんな乱れたことは。 141 00:10:53,290 --> 00:10:56,960 あんたは そういう人なのか? あにさん。 142 00:10:56,960 --> 00:10:59,800 この人を責めるのは やめてください。 143 00:10:59,800 --> 00:11:02,230 悪いのは 私なんですから。 144 00:11:02,230 --> 00:11:09,100 結婚の約束もせずに この人の 好意に甘えていた私が悪いんです。 145 00:11:09,100 --> 00:11:14,240 この人は… いい人ですよ。 146 00:11:14,240 --> 00:11:18,910 私は この人が好きです! 147 00:11:18,910 --> 00:11:21,420 彌七つぁん…。 148 00:11:21,420 --> 00:11:27,760 だから… だから あんたには 幸せになってもらいたいんだよ。 149 00:11:27,760 --> 00:11:32,600 私と一緒になって 苦労するより あんたには・ 150 00:11:32,600 --> 00:11:35,260 もっともっと幸せになれる 人生が待ってるはずだ。 151 00:11:35,260 --> 00:11:40,140 違う! それは違うわ おんつぁん。 152 00:11:40,140 --> 00:11:43,940 おきわさんは おんつぁんと 一緒に居られるのが・ 153 00:11:43,940 --> 00:11:45,980 一番の幸せなのよ。 154 00:11:45,980 --> 00:11:48,610 それ以外の幸せなんて おきわさんには ないのよ。 155 00:11:48,610 --> 00:11:52,950 おりん! そだことは お前が言うことでない。・ 156 00:11:52,950 --> 00:11:56,620 お前に まだ何も…。 それは まだ 何も分かんないけど・ 157 00:11:56,620 --> 00:12:00,490 でも… でも 私・ 158 00:12:00,490 --> 00:12:04,890 好きな人と一緒に暮らすことが・ 159 00:12:04,890 --> 00:12:09,730 どんなに… どんなに うれしくて・ 160 00:12:09,730 --> 00:12:16,240 どんなに幸せなことか… それだけは 私 もう分かるわ。 161 00:12:18,910 --> 00:12:22,780 心の中で 別々に思っているよりも・ 162 00:12:22,780 --> 00:12:28,080 一緒に食べたり 一緒に見たり・ 163 00:12:28,080 --> 00:12:32,890 一緒に驚いたり 一緒に笑ったり…。 164 00:12:38,090 --> 00:12:41,960 それだけで いいのよね。 165 00:12:41,960 --> 00:12:44,970 一緒に居てくれる人が…・ 166 00:12:44,970 --> 00:12:49,710 それを一緒にしてくれる人が そばに居てくれれば・ 167 00:12:49,710 --> 00:12:54,010 それが 本当の幸せなのよね。 168 00:12:57,110 --> 00:13:04,190 一緒に生きていきたいと思う人と 一緒に暮らしていける…。 169 00:13:04,190 --> 00:13:07,690 それが 本当の結婚だと 私 思うわ。 170 00:13:09,560 --> 00:13:16,330 それが 本当の幸せだって・ 171 00:13:16,330 --> 00:13:19,570 私 思うわ…。 172 00:13:19,570 --> 00:13:31,750 ・~ 173 00:13:31,750 --> 00:13:35,620 ちょっと 生意気 言っちゃったかな…。 174 00:13:35,620 --> 00:13:38,120 ごめんなさい。 175 00:13:40,460 --> 00:13:46,100 でも 本当に そう思ったから…。 176 00:13:46,100 --> 00:13:49,600 もっと言ってもらいたかったな。 177 00:13:49,600 --> 00:13:51,800 えっ…? 178 00:13:55,270 --> 00:14:00,240 桜 もう終わりだな。 179 00:14:00,240 --> 00:14:04,380 本当…。 180 00:14:04,380 --> 00:14:06,420 何だか この6日間・ 181 00:14:06,420 --> 00:14:10,550 あっという間だったような 気がする。 182 00:14:10,550 --> 00:14:13,460 大変ね 結婚って。 183 00:14:13,460 --> 00:14:16,890 大丈夫ですか? 184 00:14:16,890 --> 00:14:20,760 分かりません。 185 00:14:20,760 --> 00:14:22,770 でも…。 186 00:14:28,240 --> 00:14:31,070 結婚して よかった。 187 00:14:31,070 --> 00:14:55,100 ・~