1 00:00:02,210 --> 00:00:12,620 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:12,620 --> 00:01:19,780 ・~ 3 00:01:23,320 --> 00:01:26,960 ・(やえ)何してんだ ほれ! さっさと起きてこねっか・ 4 00:01:26,960 --> 00:01:31,130 まんま 片づけちまうから! (りん)また やってるわ 母ちゃん。 5 00:01:31,130 --> 00:01:34,030 (源造)毎朝 大変だな。 起床ラッパでも 吹いたらどうだ? 6 00:01:34,030 --> 00:01:36,470 (弘次郎) ラッパより あの声の方がでかい。 7 00:01:36,470 --> 00:01:38,500 ・(やえ)起きろ~! 8 00:01:38,500 --> 00:01:40,800 (笑い声) 9 00:01:40,800 --> 00:01:43,470 そういえば 後藤さんは きちんとしてるのね。 10 00:01:43,470 --> 00:01:47,310 (徳右衛門)さすがは 福島。 役所勤めだからな。 まじめね。 11 00:01:47,310 --> 00:01:50,650 すぐ 係長ぐらいには なるんじゃないか? 後藤係長! 12 00:01:50,650 --> 00:01:52,580 あら いいんでないかい? 13 00:01:52,580 --> 00:01:56,320 (後藤)いや 私は そんな 係長なんて柄でないですから。 14 00:01:56,320 --> 00:01:58,250 どうすっぺ。 ハハ。 15 00:01:58,250 --> 00:02:00,290 そんな気の小さいことで どうする。 16 00:02:00,290 --> 00:02:03,760 若い者は もっと 大きな志を持たねば いかん。 17 00:02:03,760 --> 00:02:06,730 そうよ。 Boys be ambitious! 18 00:02:09,430 --> 00:02:11,940 (花田)おはようございます。 (浦野)おはようさん。 19 00:02:11,940 --> 00:02:15,610 昨日 遅うまで勉強しとったけん。 こっちも同じ。 殺生やで…。 20 00:02:15,610 --> 00:02:18,510 (やえ)ブチブチ言ってねえで 早く 顔洗ってこ ほれ! 21 00:02:18,510 --> 00:02:21,780 せっかく うまいみそ汁食べさせて やっぺと思ってるのに もう・ 22 00:02:21,780 --> 00:02:24,110 朝寝坊の夜更かしで。 故郷のおっかさんに・ 23 00:02:24,110 --> 00:02:27,150 言いつけてやっから! ほれほれほれ。・ 24 00:02:27,150 --> 00:02:29,920 いい若い者が 朝寝坊では・ 25 00:02:29,920 --> 00:02:33,290 日本の将来は つぶれちまうから ハァ。 26 00:02:33,290 --> 00:02:37,160 後藤さんは 起こさねえでも ちゃんと起きっから 偉い。 27 00:02:37,160 --> 00:02:41,970 あんたは 今に出世して 役所の所長さんぐらいにはなっぺ。 28 00:02:41,970 --> 00:02:44,870 なぇ? 後藤所長さま! 29 00:02:44,870 --> 00:02:48,640 なんだぇ 童子みでえに。 いやいや…。 30 00:02:48,640 --> 00:02:51,310 (せきこみ) 31 00:02:51,310 --> 00:02:56,150 あれでは まだ 係長には なれねえな。 32 00:02:56,150 --> 00:02:58,080 母ちゃんは ああやって みんなのこと・ 33 00:02:58,080 --> 00:03:00,980 叱り飛ばしてるけど でも 本当は とっても かわいがってるのよ。 34 00:03:00,980 --> 00:03:02,950 まるで 自分の息子みたいに。 35 00:03:02,950 --> 00:03:05,250 みんなも おふくろ代わりに 甘えてるんだろう。 36 00:03:05,250 --> 00:03:09,130 でも お母さん 張り切ってるね。 もう大変な 張り切りようよ。 37 00:03:09,130 --> 00:03:12,430 何でも 自分で やっちゃって 私の出る幕なんかないの。 38 00:03:12,430 --> 00:03:14,760 「お前は いいから お前は じっとしてろ」って。 39 00:03:14,760 --> 00:03:16,800 もう この分じゃ 私・ 40 00:03:16,800 --> 00:03:19,440 下宿屋のおばさん 失業しそうだわ。 41 00:03:19,440 --> 00:03:22,110 君の体のことを心配してるんだよ。 42 00:03:22,110 --> 00:03:24,140 おみっちゃんのことが あるからね。 43 00:03:24,140 --> 00:03:27,980 そうね。 おとっつぁんも 母ちゃんも 黙ってるけど・ 44 00:03:27,980 --> 00:03:30,450 でも やっぱり おみつのような ことに ならないようにって・ 45 00:03:30,450 --> 00:03:32,480 それは 心配してるみたいね。 46 00:03:32,480 --> 00:03:35,120 で 大丈夫なのか? 47 00:03:35,120 --> 00:03:38,620 大丈夫よ! もう しっかり大丈夫! 48 00:03:38,620 --> 00:03:42,290 でも 大事にしろよ。 49 00:03:42,290 --> 00:03:45,130 あ そうだ。 今日はね 戌の日だから・ 50 00:03:45,130 --> 00:03:47,630 母ちゃんと一緒に 水天宮さまに 帯 いただきに行くの。 51 00:03:47,630 --> 00:03:51,800 帯? そう お腹に巻く帯。 52 00:03:51,800 --> 00:03:54,470 お産が軽く済むようにってね。 53 00:03:54,470 --> 00:03:58,980 水天宮さまで 5か月目の戌の日に 岩田帯っていうのを・ 54 00:03:58,980 --> 00:04:01,580 いただくと いいんですって。 お産婆さんが教えてくだすったの。 55 00:04:01,580 --> 00:04:04,350 へえ~ あ そう。 56 00:04:10,250 --> 00:04:13,090 (彌七)へえ~ もう 5か月か。 57 00:04:13,090 --> 00:04:15,930 しかし おりんが おっかさんになるなんて・ 58 00:04:15,930 --> 00:04:17,960 どうも 本当のような気がしねえなぁ。 59 00:04:17,960 --> 00:04:20,600 私だって そうですよ。 60 00:04:20,600 --> 00:04:23,430 親父になるなんて実感 全然 ないですからね。 61 00:04:23,430 --> 00:04:26,340 それは 生まれてからだろう 実感が湧くのは。 62 00:04:26,340 --> 00:04:29,110 この子のためにも 頑張らなきゃってな。 63 00:04:29,110 --> 00:04:31,940 湧きますかね? 湧くさ。 64 00:04:31,940 --> 00:04:35,810 妻や子に対する責任感も それからが本物になるんだ。 65 00:04:35,810 --> 00:04:38,710 まあ そうなったら 保険の掛け金のほう・ 66 00:04:38,710 --> 00:04:40,950 もっと上げてくれるんだろうな きっと。 67 00:04:40,950 --> 00:04:42,990 ああ 彌七さん 商売 うまくなりましたね。 68 00:04:42,990 --> 00:04:45,120 はい。 69 00:04:45,120 --> 00:04:47,620 はい これは 新しく出来た説明書。 70 00:04:47,620 --> 00:04:52,300 まあ よろしく ご検討の上 ご納得の暁には 何とぞ・ 71 00:04:52,300 --> 00:04:55,130 ご加入の程を…。 (安藤)承知しました。 72 00:04:55,130 --> 00:04:58,970 そのうち 嫁でももらい 私も 子供も出来て・ 73 00:04:58,970 --> 00:05:02,240 妻子に責任を感じるように なりましたら その時は是非。 74 00:05:02,240 --> 00:05:05,910 逃げ口上が うまくなったね。 いえいえ 逃げるなんて。 75 00:05:05,910 --> 00:05:10,080 我が社は 「敵に後ろを見せず 前進 また前進」が・ 76 00:05:10,080 --> 00:05:12,420 合言葉ですから! 俺は敵かね? 77 00:05:12,420 --> 00:05:15,080 いやいや そういう意味では…。 78 00:05:15,080 --> 00:05:18,120 安藤君は まだ勘弁してやってくださいよ。 79 00:05:18,120 --> 00:05:20,260 そのうち 西洋瓦の売れ行きが伸びて・ 80 00:05:20,260 --> 00:05:22,190 もっと 給料が たくさん 渡せるようになったら・ 81 00:05:22,190 --> 00:05:25,930 私からも 勧めますから。 だから 西洋瓦の宣伝のほう・ 82 00:05:25,930 --> 00:05:27,960 よろしくお願いします! 本当に頼みますよ。 83 00:05:27,960 --> 00:05:30,770 保険の加入を勧めるついでに ちょっと宣伝しといてください。 84 00:05:30,770 --> 00:05:34,270 おいおい どっちが商売してるのか されてるのか 分からないね。 85 00:05:34,270 --> 00:05:37,610 まいったな こりゃ。 我々も本当に 今 必死なんですよ。 86 00:05:37,610 --> 00:05:39,940 国内に 西洋瓦を広めるだけじゃなくて・ 87 00:05:39,940 --> 00:05:42,450 いい瓦の大量生産が 可能になったら・ 88 00:05:42,450 --> 00:05:46,780 逆に 外国に輸出してやろうかと 思って。 ほら。 89 00:05:46,780 --> 00:05:49,450 いろいろ 外国の生産状況や 販売方法などを・ 90 00:05:49,450 --> 00:05:51,490 研究してるんですよ。 辞書と首っ引きで。 91 00:05:51,490 --> 00:05:53,960 ここら辺だと 思うんだげんと…。 92 00:05:57,790 --> 00:05:59,730 あっ…。 93 00:05:59,730 --> 00:06:01,760 ここだわ。 ここだわ。 94 00:06:01,760 --> 00:06:04,400 <彌七と きわは・ 95 00:06:04,400 --> 00:06:06,740 正式の結婚はせぬものの・ 96 00:06:06,740 --> 00:06:10,910 上野の池之端に家を求め きわは 小料理屋を・ 97 00:06:10,910 --> 00:06:13,810 彌七は 保険取扱所を置き・ 98 00:06:13,810 --> 00:06:19,080 それぞれに 別の仕事を持ちながら 共同生活を始めたのでした> 99 00:06:19,080 --> 00:06:21,750 (きわ)いらっしゃい!・ 100 00:06:21,750 --> 00:06:26,420 まあ! これが 水天宮さまの岩田帯っていうの? 101 00:06:26,420 --> 00:06:30,290 そう… 初めて見たわ。 私も初めて。 102 00:06:30,290 --> 00:06:33,600 当たり前だべ。 お前が何度も見てて なじょする。 103 00:06:33,600 --> 00:06:37,470 んでも さすが東京だなぇ。 やや子 産むつったって・ 104 00:06:37,470 --> 00:06:39,770 こだ 御大層な帯が もらえるんだから。 105 00:06:39,770 --> 00:06:42,100 私らは ただ ハァ そこらの さらしを・ 106 00:06:42,100 --> 00:06:46,940 ぐるぐるって巻いて…。 お前 これ 安産 間違いなしだわ。 107 00:06:46,940 --> 00:06:49,980 なぇ? 小野寺さんの奥さま。 108 00:06:49,980 --> 00:06:54,120 そうね 何だか 私も グッと安心したわ。 109 00:06:54,120 --> 00:06:57,020 それが 水天宮さまの 御利益っていうのよ。 110 00:06:57,020 --> 00:07:00,890 きっと 元気で丈夫な かわいい赤ちゃんが・ 111 00:07:00,890 --> 00:07:03,930 安産で生まれてきますよ。 ありがとうござりやす。 112 00:07:03,930 --> 00:07:06,560 何だか 私も そんな気がして…。 113 00:07:06,560 --> 00:07:09,470 ああ どんな子供が 生まれてくるのか 早く見てえわ。 114 00:07:09,470 --> 00:07:11,900 きっと 私 源造さんに 似てるような気がする。 115 00:07:11,900 --> 00:07:16,770 どっちに似ても 目ん玉がむき出た きかねえ童だべ。 116 00:07:16,770 --> 00:07:19,240 でも おりんちゃん いいわね。 117 00:07:19,240 --> 00:07:22,580 大好きな源造さんの子供が産めて うらやましいわ。 118 00:07:22,580 --> 00:07:24,510 だから おきわさんも・ 119 00:07:24,510 --> 00:07:28,080 彌七さんと ちゃんと夫婦になれば 子供だって…。 120 00:07:28,080 --> 00:07:31,120 あっ いいえ。 私たちはね・ 121 00:07:31,120 --> 00:07:34,760 私たちだけで おしまいってことに 決めたんですよ。 122 00:07:34,760 --> 00:07:38,930 もう 年ですからね 子に目をかけてやる時間が・ 123 00:07:38,930 --> 00:07:41,960 どれだけ残ってるのか 分からないし そんなら いっそ・ 124 00:07:41,960 --> 00:07:45,270 その分 お互いに 目をかけましょうって。 125 00:07:45,270 --> 00:07:48,100 それぞれ 一人っきりで おしまいになった方が・ 126 00:07:48,100 --> 00:07:51,940 さっぱりして 後に思いが 残んなくて いいだろうって。 127 00:07:51,940 --> 00:07:58,810 でも それでいいの? おきわさん 寂しくないの? 128 00:07:58,810 --> 00:08:04,520 人間 生まれてくる時も一人 死ぬ時も一人。 129 00:08:04,520 --> 00:08:08,420 その寂しさは みんな 変わりないんだから。 130 00:08:08,420 --> 00:08:12,230 ああ でも こうやって 彌七さんと一緒に・ 131 00:08:12,230 --> 00:08:14,730 一つ屋根の下で暮らせるって それだけでも もう・ 132 00:08:14,730 --> 00:08:20,070 何だか 今でも夢みたいなのよ。 私は もう それだけで十分幸せ。 133 00:08:20,070 --> 00:08:22,410 これも おりんちゃんや みなさんのおかげです。 134 00:08:22,410 --> 00:08:24,910 どうもありがとうございました。 135 00:08:24,910 --> 00:08:29,750 幸せなんてのは 人が してくれるもんでねえ。 136 00:08:29,750 --> 00:08:33,080 自分の心がけが つかむものなんだから。 137 00:08:33,080 --> 00:08:35,750 おきわさん いがったなぇ。 138 00:08:42,430 --> 00:08:45,330 さあ どうぞ。 139 00:08:45,330 --> 00:08:48,600 (彌七)おきわさん! 彌七つぁん。 140 00:08:48,600 --> 00:08:51,430 (彌七)あれ? おりんちゃん あねさん 来てたんですか。 141 00:08:51,430 --> 00:08:53,470 こんにちは。 お邪魔しておりやす。 142 00:08:53,470 --> 00:08:56,270 今日はね おりんちゃんの5か月の帯を・ 143 00:08:56,270 --> 00:08:58,210 水天宮さまで いただいてきたんですって。 144 00:08:58,210 --> 00:09:01,110 そうだってな。 どうして ご存じ? 145 00:09:01,110 --> 00:09:04,980 さっき 出先のついでに ちょっと源造君の店に寄ってね・ 146 00:09:04,980 --> 00:09:07,880 それで 源造君から その話 聞いたんですよ。 147 00:09:07,880 --> 00:09:09,920 それで…。 148 00:09:09,920 --> 00:09:12,050 (きわ) 源造さん 喜んでたでしょう。 149 00:09:12,050 --> 00:09:16,890 ああ 喜んでたけど でも 今は 源造君は 仕事の方で夢中だね。 150 00:09:16,890 --> 00:09:21,400 そだに忙しそうでしたか 店の方。 何だか これから先・ 151 00:09:21,400 --> 00:09:24,070 外国も相手にして 商売するんだとかって・ 152 00:09:24,070 --> 00:09:27,100 何か 横文字で書いた物 いろいろ見せてくれたけど・ 153 00:09:27,100 --> 00:09:30,940 こっちは チンプンカンプンでね。 横文字の書き物? 154 00:09:30,940 --> 00:09:33,240 あれ? おりんちゃん 知らないの? 155 00:09:33,240 --> 00:09:36,910 ええ 西洋瓦の いいのを 日本で たくさん作って・ 156 00:09:36,910 --> 00:09:40,250 それを外国へ輸出したいなんて ことは 前から言ってたけど…。 157 00:09:40,250 --> 00:09:44,090 でも 仕事のことは あんまり 私に言わないの。 158 00:09:44,090 --> 00:09:46,420 それは おりんちゃんの体のことや・ 159 00:09:46,420 --> 00:09:49,760 下宿屋の仕事の忙しいのを 思いやってのことなのよ。 160 00:09:49,760 --> 00:09:53,260 男の仕事のことで 女房に心配かけまいと・ 161 00:09:53,260 --> 00:09:55,200 思ってるからなのよ。 162 00:09:55,200 --> 00:09:58,130 そうだろう。 源造君は そういう奴だから。 163 00:09:58,130 --> 00:10:01,600 それで うまくいってるんだべか? 源造さんの仕事は。 164 00:10:01,600 --> 00:10:04,640 あねさん うまくいくように するために・ 165 00:10:04,640 --> 00:10:08,110 シャカリキになってるんですよ 今 あいつは。 166 00:10:08,110 --> 00:10:10,050 ほんとに 男の人って・ 167 00:10:10,050 --> 00:10:12,980 思い込むと 後先考えないから 困っちゃうのよ。 168 00:10:12,980 --> 00:10:14,950 ねえ? おりんちゃん。 169 00:10:18,450 --> 00:10:22,320 いやいや ばあさま おみつ。 170 00:10:22,320 --> 00:10:24,790 今日は おりんの帯を・ 171 00:10:24,790 --> 00:10:28,130 水天宮さまから いただいて参りやした。 172 00:10:28,130 --> 00:10:32,640 どうか 元気なやや子が 無事に生まれるように・ 173 00:10:32,640 --> 00:10:36,970 おりんを 守ってやってくだっしょ。 174 00:10:36,970 --> 00:10:39,240 お願いいたしやす。 175 00:10:44,310 --> 00:10:46,820 急に大きく見える? 176 00:10:46,820 --> 00:10:49,720 いや ちょっと太ったぐらいにしか 見えないけど・ 177 00:10:49,720 --> 00:10:51,690 それで 帯 巻いてるの? 178 00:10:51,690 --> 00:10:54,490 そう 母ちゃんにね 巻いてもらったの。 179 00:10:54,490 --> 00:10:57,830 そしたらね その時にね…・ 180 00:10:57,830 --> 00:11:01,100 動いたの。 え? 赤ん坊が? 181 00:11:01,100 --> 00:11:04,930 そう。 私のお腹ね ポンって 蹴飛ばしたの。 本当か おい。 182 00:11:04,930 --> 00:11:07,840 本当。 私も びっくりして 「キャッ」とか言っちゃった。 183 00:11:07,840 --> 00:11:10,440 おい それは そのままに しておいて 大丈夫なのか? 184 00:11:10,440 --> 00:11:12,780 何か変になってるんじゃないのか。 そうじゃないの。 185 00:11:12,780 --> 00:11:15,680 それはね 赤ん坊が 「元気ですよ」って・ 186 00:11:15,680 --> 00:11:19,550 「お父さんお母さん 心配しないで」 って 教えてくれてるんですって。 187 00:11:19,550 --> 00:11:21,950 母ちゃんが そう言ってた。 188 00:11:21,950 --> 00:11:24,850 赤ん坊が 俺たちに…。 189 00:11:24,850 --> 00:11:28,120 そうなんですって おとっつぁん。 190 00:11:33,300 --> 00:11:38,800 そうか… お前は元気か。 191 00:11:38,800 --> 00:11:42,470 よ~し いい子だ! 192 00:11:42,470 --> 00:11:47,140 しっかり大きくなって 元気で生まれてこいよ。 193 00:11:47,140 --> 00:11:49,610 俺は待ってるからな。 194 00:11:53,020 --> 00:11:58,320 よ~し 頑張るぞ! 見てろよ! 195 00:11:58,320 --> 00:12:02,190 あんまり 張り切りすぎて 体 こわさないでくださいな。 196 00:12:02,190 --> 00:12:04,760 生意気 言うな。 俺は大丈夫だ。 197 00:12:04,760 --> 00:12:07,600 お食事は? もう済ませてきたから今日はいい。 198 00:12:07,600 --> 00:12:10,270 すぐ湯に行くから。 はい。 199 00:12:10,270 --> 00:12:14,140 あら これ? 彌七おんつぁんが 言ってた 横文字の資料って。 200 00:12:14,140 --> 00:12:17,610 え? 彌七さん そんなことまで 言ったのか。 あなたが大変だって。 201 00:12:17,610 --> 00:12:20,510 まあ 外国相手に 無手勝流で 商売はできないからね。 202 00:12:20,510 --> 00:12:23,410 一応のことは 調べておこうと思って。 203 00:12:23,410 --> 00:12:27,620 君は こっちの商売のことは 心配しなくていいよ。 204 00:12:27,620 --> 00:12:32,450 自分の体のことと この家のことだけ考えていれば…。 205 00:12:32,450 --> 00:12:35,960 それだけじゃ ちょっと時間があまっちゃうの。 206 00:12:35,960 --> 00:12:38,290 けさも言ったけど 下宿のことは・ 207 00:12:38,290 --> 00:12:40,630 母ちゃんが どんどん 一人で やってしまうし・ 208 00:12:40,630 --> 00:12:42,670 それに 赤ん坊だって 生まれてくるまでは・ 209 00:12:42,670 --> 00:12:44,970 そんなに忙しいことも ないでしょ。 210 00:12:44,970 --> 00:12:47,800 あなたのお世話だって 朝晩だけだし・ 211 00:12:47,800 --> 00:12:50,640 このままじゃ もったいないわ。 212 00:12:50,640 --> 00:12:53,310 ねえ この横文字の資料のことで・ 213 00:12:53,310 --> 00:12:55,980 何か 私に お手伝いできること ないかしら? 214 00:12:55,980 --> 00:12:58,810 ううん 是非さしてもらいたいの。 215 00:12:58,810 --> 00:13:02,790 女学校で勉強した英語が役に立つ 絶好のチャンスだわ。 お願いします。 216 00:13:02,790 --> 00:13:05,590 資料の翻訳でも 日本文の英訳でも 何でもいいから・ 217 00:13:05,590 --> 00:13:08,420 私に やらしてください! ね さしてください! 218 00:13:08,420 --> 00:13:11,390 私 やってみたいの。 さしてください! お願い! 219 00:13:25,770 --> 00:13:29,950 やっぱり 商業英語って ちょっと難しいわ。 220 00:13:31,650 --> 00:13:34,120 何やってんの? おりん。 221 00:13:34,120 --> 00:13:36,790 ん? 源造さんのお手伝い。 222 00:13:36,790 --> 00:13:38,820 何 それ? 223 00:13:38,820 --> 00:13:41,120 今日 彌七おんつぁんが 言ってたでしょ? 224 00:13:41,120 --> 00:13:46,930 源造さんが 西洋瓦のために 外国の資料 調べてるって。 あれ。 225 00:13:46,930 --> 00:13:51,770 お前に読んでくれって 源造さんが言ったの? 226 00:13:51,770 --> 00:13:54,670 ううん 私が手伝わせてくれって 頼んだの。 227 00:13:54,670 --> 00:13:56,970 したって 私 英語 得意でしょ。 228 00:13:56,970 --> 00:14:01,810 それに 女房が主人の仕事を 手伝うのは当たり前のことだもの。 229 00:14:01,810 --> 00:14:04,080 源造さんも それじゃ 頼むって。 230 00:14:04,080 --> 00:14:07,420 何だ 私 うれしくって。 231 00:14:07,420 --> 00:14:10,750 明日まで待ちきれなくて 読み始めっちまったの。 232 00:14:10,750 --> 00:14:13,790 でも これ 意外と難しいんだわ。 233 00:14:13,790 --> 00:14:18,490 できるから やればいいって もんでねえんだぞぃ おりん。 234 00:14:18,490 --> 00:14:22,260 女房だから 主人の仕事を手伝うのは・ 235 00:14:22,260 --> 00:14:25,770 当たり前だなんていう そういう言葉を・ 236 00:14:25,770 --> 00:14:31,110 亭主の前で 平気に口にするのは お前の思い上がりだ。 237 00:14:31,110 --> 00:14:33,610 手伝ってもらわねくたって 源造さんは・ 238 00:14:33,610 --> 00:14:35,540 それぐらい できるんだ。 239 00:14:35,540 --> 00:14:40,120 お前のでしゃばりを 許してくれた 源造さんの優しい気持ち・ 240 00:14:40,120 --> 00:14:45,990 よく分かって 手伝うんだぞぃ。 いいなぃ? 241 00:14:45,990 --> 00:14:55,460 ・~