1 00:00:02,170 --> 00:00:20,560 ・~ (テーマ音楽) 2 00:00:20,560 --> 00:00:58,260 ・~ 3 00:00:59,960 --> 00:01:17,180 ・(小鳥の さえずり) 4 00:01:24,090 --> 00:01:28,960 (源造)のんきに よく鳴くなぁ もう…。 5 00:01:28,960 --> 00:01:30,960 (小鳥の さえずり) 6 00:01:30,960 --> 00:01:33,100 (弘次郎)できたのか!? (やえ)まだまだ。 7 00:01:33,100 --> 00:01:35,030 産婆さんに 一服してもらわねっか。 8 00:01:35,030 --> 00:01:36,970 それで 順調にいってるんですか? いってやすぞぃ。 9 00:01:36,970 --> 00:01:39,440 産婆が のんきに お茶なんか 飲んでいて 大丈夫なのか? 10 00:01:39,440 --> 00:01:42,110 まだまだ 痛みの間があっから。 夜明けからだから・ 11 00:01:42,110 --> 00:01:44,040 ちょっと 時間がかかりすぎてるん じゃないですか? 12 00:01:44,040 --> 00:01:45,980 初産は ちっと かかりやすから。 13 00:01:45,980 --> 00:01:48,880 それに 障子の桟が見えるようでは まだまだ。 14 00:01:48,880 --> 00:01:50,810 産湯の支度は できておりやすかい? 15 00:01:50,810 --> 00:01:53,120 もう ちゃんと用意できています。 言われたことは・ 16 00:01:53,120 --> 00:01:55,450 全部やってあります。 なら いつ産まれても 大丈夫。 17 00:01:55,450 --> 00:01:58,450 よし おりんにも 頑張ってもらわねっか。 18 00:02:05,130 --> 00:02:07,730 (弘次郎)どこに行かれる? 19 00:02:07,730 --> 00:02:10,430 ちょっと 外の空気を吸ってきます。 20 00:02:43,270 --> 00:02:47,440 [ 心の声 ] そうだ…。 おりんと 初めて会ったのは・ 21 00:02:47,440 --> 00:02:50,940 鶴次先生の子供が 生まれた日だった。・ 22 00:02:50,940 --> 00:02:55,810 おりんに 水くみをさせられて 一緒に産湯を沸かしたっけ…。 23 00:02:55,810 --> 00:03:07,890 ・~ 24 00:03:07,890 --> 00:03:13,230 [ 心の声 ] あの はね駒が 母親に…。・ 25 00:03:13,230 --> 00:03:17,100 俺の子供の母親に…。・ 26 00:03:17,100 --> 00:03:21,900 無事に産んでくれ。 頼む…。・ 27 00:03:21,900 --> 00:03:25,410 頑張ってくれ おりん。 28 00:03:25,410 --> 00:03:56,110 ・(産声) 29 00:03:56,110 --> 00:03:58,040 男の子だぞぇ! 30 00:03:58,040 --> 00:04:01,910 まんつ 元気な めんこい男の子が生まれやした。 31 00:04:01,910 --> 00:04:05,780 おりんも 元気。 源造さん おめでとうござりやした。 32 00:04:05,780 --> 00:04:09,390 いがったなぇ。 ありがとうございました! 33 00:04:09,390 --> 00:04:12,720 (徳右衛門)おりん でかしたぞ! よくやった! 34 00:04:12,720 --> 00:04:15,220 (やえ)さ 産湯の支度だ。 35 00:04:15,220 --> 00:04:17,730 源造さん。 36 00:04:17,730 --> 00:04:19,660 ・(産声) 37 00:04:19,660 --> 00:04:24,600 あの声を しっかりと 聞いてやりなさい。 38 00:04:24,600 --> 00:04:30,240 あの産声は 二度とは聞かれん。・ 39 00:04:30,240 --> 00:04:34,110 生まれてきた息子の・ 40 00:04:34,110 --> 00:04:39,920 父親への 初めての あいさつだ。 41 00:04:39,920 --> 00:04:48,620 ・(産声) 42 00:04:48,620 --> 00:04:51,930 お父さん…。 43 00:04:51,930 --> 00:04:55,800 新米の親父ですが・ 44 00:04:55,800 --> 00:05:00,100 よろしくお願いいたします。 45 00:05:55,790 --> 00:06:03,200 (りん) 元気な… いい子を産んだぞぃ。 46 00:06:03,200 --> 00:06:08,400 そうか…。 よくやった。 47 00:06:10,940 --> 00:06:15,440 さすが はね駒だ。 えらい。 48 00:06:27,890 --> 00:06:55,750 ・~ 49 00:06:55,750 --> 00:06:59,620 おとっつぁんも おみつのことは・ 50 00:06:59,620 --> 00:07:03,030 一度も 口に出して 言わねがったなぇ。 51 00:07:03,030 --> 00:07:07,700 私も それだけは 言ってはなんねえと思って…。 52 00:07:07,700 --> 00:07:11,370 ほんでも おみつのこと思い出しては・ 53 00:07:11,370 --> 00:07:13,700 なんぼ 心配したもんだか…。 54 00:07:13,700 --> 00:07:16,540 ほんでも いがったなぇ おとっつぁん。 55 00:07:16,540 --> 00:07:21,880 きっと おみつが守ってくれたんだ ばあさまと一緒に…。 56 00:07:21,880 --> 00:07:26,050 ばあさま ありがとうござりやした。 57 00:07:26,050 --> 00:07:30,050 おかげさまで 元気な やや子が 生まれやした。 58 00:07:31,850 --> 00:07:36,560 おみつ… ありがとなぃ。 59 00:07:36,560 --> 00:07:39,600 母ちゃんの願いを きいて・ 60 00:07:39,600 --> 00:07:44,300 よく 姉ちゃんのこと 守ってくれた。 61 00:07:44,300 --> 00:07:49,070 自分は やや子が抱けねがったのに…。 62 00:07:49,070 --> 00:07:54,380 おみつ お前は 優しい子だなぇ…。 63 00:07:55,950 --> 00:07:58,750 父ちゃんも 母ちゃんも・ 64 00:07:58,750 --> 00:08:03,020 お前のこと 決して 忘れねえからなぇ。 65 00:08:03,020 --> 00:08:06,720 おみつ… ありがとなぃ。 66 00:08:16,370 --> 00:08:20,200 <今日は 赤ん坊の お七夜です> 67 00:08:20,200 --> 00:08:24,040 この「賢一」なんか 頭の良くなりそうな子で・ 68 00:08:24,040 --> 00:08:28,910 いいじゃないですか。 うむ 小野寺賢一。 悪くはないな。 69 00:08:28,910 --> 00:08:32,750 どうですか? お父さん。 うむ 悪くはないが・ 70 00:08:32,750 --> 00:08:37,550 もう一つ 何か こう…。 じいさまが そう でしゃばるなよ。 71 00:08:37,550 --> 00:08:41,060 私は 別に でしゃばって 言っているのではありません。 72 00:08:41,060 --> 00:08:42,990 名前というものは・ 73 00:08:42,990 --> 00:08:46,560 一生 その人間に ついてまわるものですから・ 74 00:08:46,560 --> 00:08:52,230 何か 思いのこもった 良い名前を つけてやるべきだと思って…。 75 00:08:52,230 --> 00:08:55,910 そうですね。 じゃあ もう少し 考えましょう。 76 00:08:55,910 --> 00:08:58,740 もう そろそろ決めないと お七夜のお祝いが できないわよ。 77 00:08:58,740 --> 00:09:02,350 父親が付けるのが いちばん いいんでねえかぇ? 78 00:09:02,350 --> 00:09:04,850 私… 決めていいですか? 79 00:09:04,850 --> 00:09:08,180 もちろん。 どうぞ。 80 00:09:08,180 --> 00:09:12,020 じゃあ まず3つぐらい取り上げて その中から…。 81 00:09:12,020 --> 00:09:16,830 ・(いち)ごめんくださいまし。 名古屋で ございます。 82 00:09:19,200 --> 00:09:21,860 名古屋の お母さま! 83 00:09:21,860 --> 00:09:26,370 (いち)まあまあ めでたいことでございました。 84 00:09:26,370 --> 00:09:30,240 赤ん坊も元気 おりんさんも 肥立ちが良さそうで。 85 00:09:30,240 --> 00:09:33,710 はい おかげさまで。 今日 お着きになったんですか? 86 00:09:33,710 --> 00:09:37,550 ええ。 ゆうべ急に思い立って 名古屋を たちまして。 87 00:09:37,550 --> 00:09:41,220 よく おいでくだされました。 ちょうど 今日は お七夜で。 88 00:09:41,220 --> 00:09:43,720 ええ ええ それで 伺ったんでございます。 89 00:09:43,720 --> 00:09:47,220 では ちゃんと お呼びすれば いがった。 90 00:09:47,220 --> 00:09:50,560 ただ 内輪で祝うつもりで ござりやしたから・ 91 00:09:50,560 --> 00:09:53,060 もう ごちそうもねくて 申し訳ござりやせん。 92 00:09:53,060 --> 00:09:55,970 いいえ ごちそう呼ばれに 来たんでなぁですで。 93 00:09:55,970 --> 00:09:58,930 赤ん坊の名前が 決まりましたもんでよ。 94 00:09:58,930 --> 00:10:01,570 え? 赤ん坊の名前? 95 00:10:01,570 --> 00:10:05,070 おとっつぁまと わしとでな 名前 決めましたでよ。 96 00:10:05,070 --> 00:10:08,580 そんな! まあ おみゃあはな 三男坊だで・ 97 00:10:08,580 --> 00:10:11,480 小野寺の孫つっても 本家を継ぐわきゃあないで・ 98 00:10:11,480 --> 00:10:13,750 それは どうでも いいんだけども でも やっぱり・ 99 00:10:13,750 --> 00:10:18,590 私らの孫には違いないで 名前は こちらで付けさしてもらいました。 100 00:10:18,590 --> 00:10:21,920 まあ おとっつぁまが喜ばしてな 張り切ってよ。 101 00:10:21,920 --> 00:10:24,590 えっ じゃあ あの 兄さんたちの子供みたいに・ 102 00:10:24,590 --> 00:10:28,930 源太左衛門とか 源之丞とか 源五郎とか・ 103 00:10:28,930 --> 00:10:31,600 そんな名前じゃないんですか? まあな そんなとこだわな。 104 00:10:31,600 --> 00:10:34,440 冗談じゃありませんよ! 僕は嫌ですよ。 105 00:10:34,440 --> 00:10:37,470 そんな骨董品みたいな名前は。 106 00:10:37,470 --> 00:10:40,610 僕の息子は これからの新しい時代に・ 107 00:10:40,610 --> 00:10:43,280 生きていく人間なんですから それに ふさわしい・ 108 00:10:43,280 --> 00:10:45,610 若々しい名前を付けようと 僕は思ってたんです。 109 00:10:45,610 --> 00:10:48,520 そんな古めかしい名前は 僕は お断りします! 110 00:10:48,520 --> 00:10:51,420 でも せっかく名古屋のお父さんが 付けてくだすったんだから・ 111 00:10:51,420 --> 00:10:54,290 ありがたく頂戴すれば? んだなぇ。 112 00:10:54,290 --> 00:10:57,630 きっと 立派な名前で ござりやしょう…。 113 00:10:57,630 --> 00:11:02,060 しかし 子供の名前が立派なのは・ 114 00:11:02,060 --> 00:11:06,400 名前負けして 育たぬというから 「源太左衛門」は やはり・ 115 00:11:06,400 --> 00:11:09,240 やめにしていただいた方が よろしいかと思いますが。 116 00:11:09,240 --> 00:11:13,580 徳右衛門も 源左衛門も 大して 違いなあですがね。 117 00:11:13,580 --> 00:11:15,610 源太左衛門でも 大丈夫です。 118 00:11:15,610 --> 00:11:18,450 名前負けするようなこと あるものですか。 119 00:11:18,450 --> 00:11:21,920 いや しかし…。 親父さま! 120 00:11:21,920 --> 00:11:25,750 我々が 差し出がましく 言えることでは ありませんから。 121 00:11:25,750 --> 00:11:30,630 やや子は 小野寺のものですから。 控えてください。 122 00:11:30,630 --> 00:11:34,100 じゃ ええかなも? 123 00:11:34,100 --> 00:11:37,400 おとっつぁんが 決めやした名前は…。 124 00:11:40,270 --> 00:11:42,770 これで ございます。 125 00:11:45,140 --> 00:11:47,780 「弘」…? 126 00:11:47,780 --> 00:11:51,650 これ… この字 おとっつぁんの…。 127 00:11:51,650 --> 00:11:53,950 「弘次郎」の字と 同じ…。 128 00:11:53,950 --> 00:11:59,820 (いち)そうですがな。 お父さんの字を頂戴いたしました。 129 00:11:59,820 --> 00:12:03,760 おとっつぁん…。 130 00:12:03,760 --> 00:12:06,530 それはまた どういう…? 131 00:12:06,530 --> 00:12:09,730 いえ うちの おとっつぁまが・ 132 00:12:09,730 --> 00:12:14,400 こちらの お父さんの お人柄に えろう傾倒しましてぇも・ 133 00:12:14,400 --> 00:12:16,740 源造の子は こちらのお父さんのように・ 134 00:12:16,740 --> 00:12:20,080 まがい物でない人間に なってほしいと申しましてなも・ 135 00:12:20,080 --> 00:12:23,380 まあ 勝手に 字を頂戴いたしました。 136 00:12:28,250 --> 00:12:33,590 お父さん。 お母さん。 おじいさま。 137 00:12:33,590 --> 00:12:38,260 孫の弘は こちらに お預け申します。 138 00:12:38,260 --> 00:12:44,070 源造と おりん ともども よろしゅう お願い申し上げます。 139 00:12:44,070 --> 00:12:48,900 おっかさま…。 「弘」か…。 140 00:12:48,900 --> 00:12:51,610 若々しく結構な名前だ。 141 00:12:51,610 --> 00:12:55,910 お心くばり ありがたく 御礼 申し上げます。 142 00:12:57,950 --> 00:13:02,380 ・(赤ん坊の泣き声) あ 泣いてる。 143 00:13:02,380 --> 00:13:06,560 お父さん。 弘が泣いてますよ。 144 00:13:06,560 --> 00:13:44,930 ・~ 145 00:13:44,930 --> 00:13:50,730 よしよし。 ああ いい子だね。 146 00:13:50,730 --> 00:13:55,100 ほれ 名古屋ばあちゃんだよ。 分かるかね? 147 00:13:55,100 --> 00:13:59,410 おお おお おお いい子だこと。 148 00:14:02,210 --> 00:14:06,720 どうぞ 名前 呼んだってちょうだい。 149 00:14:10,090 --> 00:14:13,390 おじいちゃん。 おじいちゃん。 150 00:14:16,060 --> 00:14:21,230 おお よしよし よしよし…。 151 00:14:21,230 --> 00:14:24,430 ああ そうか そうか…。 152 00:14:26,900 --> 00:14:30,570 弘。 153 00:14:30,570 --> 00:14:32,880 弘か…。 154 00:14:36,250 --> 00:14:40,050 (弘次郎)ああ そうか そうか…。 うん そうか そうか…。 155 00:14:42,420 --> 00:14:44,750 いや いいから。 156 00:14:44,750 --> 00:14:55,060 ・~