1 00:00:41,171 --> 00:00:43,673 (久枝)<私の中国での生活は→ 2 00:00:43,673 --> 00:00:47,073 日本人であることを 突きつけられるものだった> 3 00:00:53,083 --> 00:00:57,721 <若き日の父も また 日本人として 中国で生きる決意をし→ 4 00:00:57,721 --> 00:01:02,021 育ての親 淑琴おばあちゃんを 都会に呼び寄せる> 5 00:01:09,599 --> 00:01:15,499 <ここに 私の知らない 父と おばあちゃんの時間があった> 6 00:01:20,243 --> 00:01:56,112 ♪♪~ 7 00:01:56,112 --> 00:02:01,012 <長春での留学生活が始まって 3か月が過ぎた> 8 00:02:23,473 --> 00:02:25,773 (劉成)どういうこと? 9 00:02:43,593 --> 00:02:47,030 たぶんね。 10 00:02:47,030 --> 00:02:50,133 なに? やっぱり不安なんじゃん? 11 00:02:50,133 --> 00:02:55,533 <このごろ 私と劉成さんとの 距離は 少し近くなった> 12 00:03:01,845 --> 00:03:05,048 <そこは 帰国を控えた残留孤児や→ 13 00:03:05,048 --> 00:03:08,948 その家族のために 日本語を教える学校だった> 14 00:03:11,354 --> 00:03:16,354 自己紹介をしてみましょう。 15 00:03:19,429 --> 00:03:23,032 <クラスには 2人の残留孤児本人がいて→ 16 00:03:23,032 --> 00:03:26,102 日本で暮らすための準備を していた> 17 00:03:26,102 --> 00:03:31,241 張さん 張さんの職業は何ですか? 18 00:03:31,241 --> 00:03:33,443 <李鴻谷さんと→ 19 00:03:33,443 --> 00:03:35,912 張凱健さん> 20 00:03:35,912 --> 00:03:39,716 ♪♪~ 21 00:03:39,716 --> 00:03:43,186 <張さんは 労働力として 引き取られた家で→ 22 00:03:43,186 --> 00:03:45,688 子供のころから働き続けた> 23 00:03:45,688 --> 00:03:48,358 「工場で…」。 24 00:03:48,358 --> 00:03:53,229 (張鴻谷)「私は 工場で…」。 「働いています」。 25 00:03:53,229 --> 00:03:56,699 <そのために 十分な教育を受けられず→ 26 00:03:56,699 --> 00:04:00,099 日本語の学習に苦労していた> 27 00:04:02,772 --> 00:04:05,975 そしたら 次は… じゃ 李さん お願いします。 28 00:04:05,975 --> 00:04:10,980 <一方 李さんの日本語の進歩は すばらしかった> 29 00:04:10,980 --> 00:04:15,185 私の職業は 医者です。 30 00:04:15,185 --> 00:04:22,525 長春の病院で 眼科の医者をしています。 31 00:04:22,525 --> 00:04:25,528 家族は 私と娘が…。 32 00:04:25,528 --> 00:04:30,867 <李さんは 孤児の中では 恵まれた環境に育った人だった> 33 00:04:30,867 --> 00:04:34,671 年ごろですが 結婚したくないと言って→ 34 00:04:34,671 --> 00:04:37,207 私たち夫婦 ちょっと困ってます。 35 00:04:37,207 --> 00:04:40,807 (笑い声) 36 00:04:51,187 --> 00:04:55,225 今日の授業は もう おしまいですか? 37 00:04:55,225 --> 00:04:57,225 はい。 李さん。 38 00:05:06,669 --> 00:05:09,072 でも 先生 とても うまいです。 39 00:05:09,072 --> 00:05:13,772 先生の授業 とても分かりやすいです。 40 00:05:15,912 --> 00:05:19,616 李さん すごく日本語が 上達されましたね。 41 00:05:19,616 --> 00:05:21,684 ありがとうございます。 42 00:05:21,684 --> 00:05:24,387 私は もうすぐ 日本に帰ります。 43 00:05:24,387 --> 00:05:27,257 だから 頑張って 覚えます。 44 00:05:27,257 --> 00:05:29,257 はい。 45 00:05:33,162 --> 00:05:35,298 李さん。 えっ? 46 00:05:35,298 --> 00:05:40,398 実は 私の父も 残留孤児として 中国で育ったんです。 47 00:05:42,538 --> 00:05:45,138 じゃ 今も 中国にいますか? 48 00:05:54,884 --> 00:05:57,987 父は 200通もの手紙を書いて→ 49 00:05:57,987 --> 00:06:02,058 自分の力で 日本の両親を見つけたんです。 50 00:06:02,058 --> 00:06:05,558 たった1人で 手紙を書いて? 51 00:06:08,431 --> 00:06:11,631 李さん 1つ 質問してもいいですか? 52 00:06:14,570 --> 00:06:16,973 李さんは こちらに→ 53 00:06:16,973 --> 00:06:20,877 お医者さんっていう安定した 職業や生活があるのに→ 54 00:06:20,877 --> 00:06:27,777 それを投げ捨ててでも やっぱり 日本に帰りたいですか? 55 00:06:52,575 --> 00:06:58,875 私は 本当に 日本に帰りたいです。 56 00:07:01,617 --> 00:07:05,488 本当に 帰りたいです。 57 00:07:05,488 --> 00:07:08,491 ♪♪~ 58 00:07:08,491 --> 00:07:13,496 <残留孤児の気持ちを 私は 初めて聞いた> 59 00:07:13,496 --> 00:07:18,901 ♪♪~ 60 00:07:18,901 --> 00:07:23,873 <父が おばあちゃんを 牡丹江に 呼び寄せ 2年が過ぎた。→ 61 00:07:23,873 --> 00:07:29,779 日本へ 手紙を送り続けていたが 返事は来なかった。→ 62 00:07:29,779 --> 00:07:33,449 狭いながらも 自分の力で借りた家で→ 63 00:07:33,449 --> 00:07:37,253 母と子 2人きりの生活を送る。→ 64 00:07:37,253 --> 00:07:42,692 そんな おばあちゃんとの生活に 父は 幸せを感じていた> 65 00:07:42,692 --> 00:07:47,692 ♪♪~ 66 00:08:14,524 --> 00:08:19,695 <それは 待ち望んでいた 日本からの手紙だった> 67 00:08:19,695 --> 00:08:23,395 ♪♪~ 68 00:08:45,087 --> 00:08:48,324 <中国語の手紙の中には 「日本で→ 69 00:08:48,324 --> 00:08:54,530 親捜しのための身元調べを 始めようとしていること。→ 70 00:08:54,530 --> 00:08:58,534 生まれた場所。 終戦の時 家族は何人いて→ 71 00:08:58,534 --> 00:09:02,839 どのように別れたのか。 家族の 名前や 手がかりになる情報を→ 72 00:09:02,839 --> 00:09:06,709 できるだけ多く集めてほしい。→ 73 00:09:06,709 --> 00:09:09,145 そうすれば 日本の肉親を→ 74 00:09:09,145 --> 00:09:12,945 捜し出せるかもしれない」と 書かれていた> 75 00:11:20,042 --> 00:11:26,442 ♪♪~ 76 00:11:28,484 --> 00:11:33,984 ♪♪~ 77 00:11:48,704 --> 00:11:54,204 ♪♪~ 78 00:12:07,523 --> 00:12:24,123 ♪♪~ 79 00:14:38,908 --> 00:14:41,644 少しだけ。 (一同)少しだけ。 80 00:14:41,644 --> 00:14:43,644 少しだけ。 81 00:15:14,510 --> 00:15:16,412 (池谷美和子)あの…。 はい? 82 00:15:16,412 --> 00:15:21,116 失礼ですが 城戸久枝さんで いらっしゃいますか? 83 00:15:21,116 --> 00:15:23,686 はい そうですが…。 84 00:15:23,686 --> 00:15:28,691 私 池谷美和子と申します。 85 00:15:28,691 --> 00:15:33,562 実は 私 あなたのお父さんと→ 86 00:15:33,562 --> 00:15:40,903 30年以上前に 牡丹江で お会いしたことがあるんです。 87 00:15:40,903 --> 00:15:44,940 <池谷さんは 中国残留婦人だった。→ 88 00:15:44,940 --> 00:15:49,578 満州花嫁として大陸に渡るが 夫は戦死。→ 89 00:15:49,578 --> 00:15:56,118 その後 中国人男性と再婚し 以来 50年 中国に住んでいた> 90 00:15:56,118 --> 00:15:59,088 突然ですか? ええ。 91 00:15:59,088 --> 00:16:04,760 ある日 突然 その青年は 私の家に やってきました。 92 00:16:04,760 --> 00:16:07,363 そして 言ったんです。 93 00:16:07,363 --> 00:16:12,835 「あなたは 日本人ですね? 私も 日本人です。→ 94 00:16:12,835 --> 00:16:17,506 一緒に 日本へ帰りましょう」って。 95 00:16:17,506 --> 00:16:20,776 何の面識もないのに いきなりですか? 96 00:16:20,776 --> 00:16:23,612 ええ。 97 00:16:23,612 --> 00:16:26,982 さぞ 驚かれたでしょう? 98 00:16:26,982 --> 00:16:33,522 後で聞いた話ですが 当時 お父さんは→ 99 00:16:33,522 --> 00:16:42,498 牡丹江にいる日本人を 必死に なって 捜していらしたそうです。 100 00:16:42,498 --> 00:16:48,771 本当はね あなたのお父さんに 最初に会った時→ 101 00:16:48,771 --> 00:16:52,908 私 怖かったんです。 102 00:16:52,908 --> 00:16:56,478 初めてだったんです。 103 00:16:56,478 --> 00:17:01,317 「日本人ですね」なんて 言われたのは。 104 00:17:01,317 --> 00:17:06,689 あなたのお父さんは 私に おっしゃいました。 105 00:17:06,689 --> 00:17:09,758 「自分の祖国を愛し→ 106 00:17:09,758 --> 00:17:13,862 愛国心を持って 生きていきましょう」って。 107 00:17:13,862 --> 00:17:17,099 愛国心…。 108 00:17:17,099 --> 00:17:23,105 ええ。 確かに「愛国心」って おっしゃいました。 109 00:17:23,105 --> 00:17:31,714 でも そんなお父さんに 私は 何も答えることができなかった。 110 00:17:31,714 --> 00:17:35,184 私は こちらで 中国人として→ 111 00:17:35,184 --> 00:17:39,588 生きていこうと 考えていましたから。 112 00:17:39,588 --> 00:17:42,591 当時はね 久枝さん→ 113 00:17:42,591 --> 00:17:46,862 日本人であることを 名乗ることすら→ 114 00:17:46,862 --> 00:17:49,662 勇気のいることだったんです。 115 00:17:51,734 --> 00:17:54,837 あなたのお父さんのお言葉は→ 116 00:17:54,837 --> 00:18:00,109 ずっと 私の心に 引っ掛かっておりました。 117 00:18:00,109 --> 00:18:05,914 祖国を意識したのも それからです。 118 00:18:05,914 --> 00:18:10,152 ♪♪~ 119 00:18:10,152 --> 00:18:14,523 あれから50年もたった 今になって→ 120 00:18:14,523 --> 00:18:18,927 祖国に帰ることを 考えているんですから。 121 00:18:18,927 --> 00:18:23,365 日本に帰られるんですか? 122 00:18:23,365 --> 00:18:25,601 こちらのご家族は? 123 00:18:25,601 --> 00:18:29,304 夫は 2年前に亡くなりました。 124 00:18:29,304 --> 00:18:39,681 子供たちも それぞれ 独立して 今 私 1人なんです。 125 00:18:39,681 --> 00:18:43,986 <「祖国」と 何度も 池谷さんは言った。→ 126 00:18:43,986 --> 00:18:47,386 私には 聞き慣れない言葉だった> 127 00:18:49,491 --> 00:18:52,494 帰ることができたら いいですね。 128 00:18:52,494 --> 00:18:54,494 えっ? 129 00:18:57,066 --> 00:19:01,966 日本へ 帰ることができたら…。 130 00:19:05,140 --> 00:19:07,176 ありがとう。 131 00:19:07,176 --> 00:19:23,976 ♪♪~ 132 00:26:46,535 --> 00:26:49,538 <父は 必死だった。→ 133 00:26:49,538 --> 00:26:52,140 当局の検閲を逃れるため→ 134 00:26:52,140 --> 00:26:57,345 何通も何通も 同じ内容の手紙を 違う場所から投函した。→ 135 00:26:57,345 --> 00:27:03,445 その中の1通でもいい。 無事 日本に届くことを願って> 136 00:27:05,487 --> 00:27:08,390 <ようやく 日本赤十字社から 父のもとに→ 137 00:27:08,390 --> 00:27:13,895 1通の手紙が届いたのは 翌年の 10月になってからのことだった。→ 138 00:27:13,895 --> 00:27:19,134 身元調べへの回答を投函してから 10か月がたっていた。→ 139 00:27:19,134 --> 00:27:21,634 そして その手紙には…> 140 00:27:29,611 --> 00:27:34,511 ♪♪~ 141 00:30:33,061 --> 00:30:48,543 ♪♪~ 142 00:30:48,543 --> 00:30:53,481 <父は その夜 日本赤十字社へ 抗議の手紙を書いた。→ 143 00:30:53,481 --> 00:30:57,385 「終戦当時 勃利にいた日本人の中で→ 144 00:30:57,385 --> 00:31:04,092 名前に 城と蔵のつく満州国軍の 少佐は 一体 何人いたのか。→ 145 00:31:04,092 --> 00:31:09,030 ほぼ1人に 限定されるのではないか」。→ 146 00:31:09,030 --> 00:31:13,234 すさまじい父の執念だった> 147 00:31:13,234 --> 00:31:17,639 ♪♪~ 148 00:31:17,639 --> 00:31:22,239 (劉成)中国語で 近況を話してください。 149 00:31:33,755 --> 00:31:35,857 本当に? 本当。 150 00:31:35,857 --> 00:31:37,857 私も 驚いた。 151 00:32:31,079 --> 00:32:33,979 いや… 私は 別に…。 152 00:32:42,090 --> 00:32:46,390 いや… だから そういう意味じゃなくて…。 153 00:33:03,444 --> 00:33:06,744 劉さん ごめん。 もう少しゆっくり しゃべって。 聞き取れないよ。 154 00:33:11,719 --> 00:33:13,719 分かってるよ。 155 00:33:24,899 --> 00:33:27,599 苦労知らずって そんな言い方…。 156 00:33:33,007 --> 00:33:35,710 父のことも 中国のことも 分かろうとして→ 157 00:33:35,710 --> 00:33:38,410 今 こうやって留学してるのに…。 158 00:33:51,759 --> 00:33:53,759 ねえ 劉さん。 159 00:33:58,533 --> 00:34:00,935 それは 恐らく 劉さんの→ 160 00:34:00,935 --> 00:34:06,107 苦しい体験から 来ているのだろうと思います。 161 00:34:06,107 --> 00:34:08,509 苦しい体験? 162 00:34:08,509 --> 00:34:16,384 はい。 彼のお父さんは 中国の不幸な時代の中で→ 163 00:34:16,384 --> 00:34:20,088 自殺されたと聞いています。 164 00:34:20,088 --> 00:34:26,761 残された家族として 彼は とても苦労したと思います。 165 00:34:26,761 --> 00:34:37,839 非難されて 最低の 貧乏な生活を したのではないでしょうか。 166 00:34:37,839 --> 00:34:42,243 城戸先生 だから 彼は勉強する。 167 00:34:42,243 --> 00:34:46,243 だから 彼は 日本に留学したいです。 168 00:34:57,658 --> 00:35:01,462 私も 同じです。 169 00:35:01,462 --> 00:35:05,299 しかし こうも言えます。 170 00:35:05,299 --> 00:35:13,541 もしも 劉さんが 日本に行って 勉強して とても成功しても→ 171 00:35:13,541 --> 00:35:19,947 やはり 祖国が 忘れられないんではないかな? 172 00:35:19,947 --> 00:35:25,186 国とは たぶん そういうものです。 173 00:35:25,186 --> 00:35:29,824 それは 彼が この国を出ていかないと→ 174 00:35:29,824 --> 00:35:32,724 分からないことだけど。 175 00:35:36,197 --> 00:35:41,397 祖国とは 一体 何でしょう? 先生。 176 00:35:43,671 --> 00:35:47,241 私も 日本で 暮らしたことがないから→ 177 00:35:47,241 --> 00:35:50,441 日本が恋しいのかもしれません。 178 00:35:58,653 --> 00:36:07,462 ♪♪~ 179 00:36:07,462 --> 00:36:11,062 <父が退院して 数日がたったころ…。→ 180 00:36:13,101 --> 00:36:16,337 愛媛県八幡浜では…> 181 00:36:16,337 --> 00:36:21,737 ♪♪~ 182 00:36:26,848 --> 00:36:31,686 (城戸弥三郎)「私は 20年前の日本の戦争孤児です。→ 183 00:36:31,686 --> 00:36:36,691 両親と 離れ離れになり もう20年がたちます。→ 184 00:36:36,691 --> 00:36:41,696 父の名前の中には 城と蔵。→ 185 00:36:41,696 --> 00:36:45,296 父は その時 勃利にある満軍第1師団の…」。 186 00:37:12,760 --> 00:37:15,260 「孫玉福」。 187 00:37:17,899 --> 00:37:21,235 玉福…。 188 00:37:21,235 --> 00:37:24,372 由紀子! 189 00:37:24,372 --> 00:37:28,009 どないしたのです? 大きな声 出して。 190 00:37:28,009 --> 00:37:36,184 幹が… 幹が… 中国で生きとるかもしれん。 191 00:37:36,184 --> 00:37:38,184 えっ…。 192 00:37:41,222 --> 00:37:44,825 間違いない。 幹は生きとる! 193 00:37:44,825 --> 00:37:52,967 だって 幹は 勃利の満人住宅で 亡くなったと…。 194 00:37:52,967 --> 00:37:56,267 幹の手紙じゃ。 195 00:37:58,539 --> 00:38:02,739 この字を 幹が書いたんや。 196 00:38:06,647 --> 00:38:13,947 幹は 生きとったら いくつになった? 197 00:38:16,290 --> 00:38:21,290 24歳と11か月です。 198 00:38:23,731 --> 00:38:28,636 (由紀子の泣き声) 199 00:38:28,636 --> 00:38:31,472 ♪♪~ 200 00:38:31,472 --> 00:38:39,380 <祖父 弥三郎からの手紙は 12月9日 父のもとに届けられた> 201 00:38:39,380 --> 00:38:45,480 ♪♪~ 202 00:38:51,626 --> 00:38:59,033 ♪♪~ 203 00:38:59,033 --> 00:39:04,772 (弥三郎)「終戦から24年は 瞬く間に過ぎ去りました。→ 204 00:39:04,772 --> 00:39:07,708 けれど 私たちは 幹君のことを→ 205 00:39:07,708 --> 00:39:12,246 決して 忘れたことは ありませんでした。→ 206 00:39:12,246 --> 00:39:16,851 今まで 苦労して あなたのことを捜しました。→ 207 00:39:16,851 --> 00:39:21,188 今度 貴中国政府の 理解ある取り計らいと→ 208 00:39:21,188 --> 00:39:25,993 日本赤十字社 厚生省援護局のご努力で→ 209 00:39:25,993 --> 00:39:32,867 あなたが出された手紙を拝見し 天にも昇る喜びです」。 210 00:39:32,867 --> 00:39:35,067 ♪♪~ 211 00:39:48,182 --> 00:39:54,021 <城と蔵という文字は 曽祖父 城戸島蔵のものだった。→ 212 00:39:54,021 --> 00:40:00,821 父は この時 城戸 幹という 自分の名前を 初めて知った> 213 00:42:47,294 --> 00:43:00,694 ♪♪~ 214 00:43:02,877 --> 00:43:11,977 ♪♪~ 215 00:43:13,988 --> 00:43:47,588 ♪♪~ 216 00:43:47,588 --> 00:43:49,623 (泣き声) 217 00:43:49,623 --> 00:43:55,529 ♪♪~ 218 00:43:55,529 --> 00:44:00,634 「日本の両親が見つかったことに 母さんは 気づいたようだ。→ 219 00:44:00,634 --> 00:44:06,974 母さんは ここ数日 黙り込んで 何も話さないことが多くなった。→ 220 00:44:06,974 --> 00:44:10,844 このままでは 母さんは いろいろ考えすぎて→ 221 00:44:10,844 --> 00:44:14,615 病気になってしまいそうで 心配だ。→ 222 00:44:14,615 --> 00:44:17,915 両親が見つかったことは 心からうれしい。→ 223 00:44:41,208 --> 00:44:49,016 ♪♪~ 224 00:44:49,016 --> 00:44:52,553 <祖父 弥三郎との連絡が 取れてから→ 225 00:44:52,553 --> 00:44:58,726 手紙のやり取りは 月に 1~2回のペースで続いた。→ 226 00:44:58,726 --> 00:45:06,166 それと平行して 父の帰国手続きも 着々と進められた。→ 227 00:45:06,166 --> 00:45:09,103 手続きは すべて順調だった。→ 228 00:45:09,103 --> 00:45:12,706 これで 祖国 日本へ帰ることができる。→ 229 00:45:12,706 --> 00:45:17,411 父も 日本の祖父母も そう信じていた。→ 230 00:45:17,411 --> 00:45:20,214 ところが→ 231 00:45:20,214 --> 00:45:25,753 そのころ 既に始まっていた 文化大革命の現実が→ 232 00:45:25,753 --> 00:45:29,453 家族の前に 大きく立ちはだかった> 233 00:45:47,174 --> 00:45:52,346 <このころから 父の周りに 監視の目が光り始めた> 234 00:45:52,346 --> 00:46:10,497 ♪♪~ 235 00:46:10,497 --> 00:46:14,968 <えたいの知れない影に 父は おびえていた> 236 00:46:14,968 --> 00:46:22,076 ♪♪~ 237 00:46:22,076 --> 00:46:25,679 <監視は 父の職場にまで…> 238 00:46:25,679 --> 00:46:29,079 ♪♪~ 239 00:47:01,348 --> 00:47:15,348 ♪♪~ 240 00:48:17,524 --> 00:48:35,524 ♪♪~ 241 00:48:40,881 --> 00:48:42,881 (ドアが開く音) 242 00:49:40,607 --> 00:49:42,707 ♪♪~ 243 00:50:19,046 --> 00:50:23,717 <父が待ち焦がれた 祖国 日本への帰還。→ 244 00:50:23,717 --> 00:50:28,255 その夢は もろくも崩れ去った> 245 00:50:28,255 --> 00:50:33,155 ♪♪~ 246 00:50:40,701 --> 00:50:44,101 <春節の長期休暇がやってきた> 247 00:50:48,942 --> 00:50:53,442 <牡丹江の春華姉さんの家に 誘われていた> 248 00:51:19,639 --> 00:51:22,539 <仮病を使ってしまった> 249 00:51:34,554 --> 00:51:36,923 <仕事の忙しいお姉さんに→ 250 00:51:36,923 --> 00:51:39,823 私のために 無理をさせたくない> 251 00:52:10,924 --> 00:52:16,463 <それに 1人になりたい 気持ちもあった。→ 252 00:52:16,463 --> 00:52:22,002 劉成さんとは あの言い争いから 顔を合わせていない> 253 00:52:22,002 --> 00:52:27,974 ♪♪~ 254 00:52:27,974 --> 00:52:31,745 <彼の言うとおり 私には 父の本当の苦しみは→ 255 00:52:31,745 --> 00:52:33,880 分からないのかもしれない。→ 256 00:52:33,880 --> 00:52:37,117 そして それは 理解できるなどと→ 257 00:52:37,117 --> 00:52:42,656 娘の私が 簡単に 口にしては いけないものだと知った> 258 00:52:42,656 --> 00:52:48,562 ♪♪~ 259 00:52:48,562 --> 00:52:51,565 (咳こみ) 260 00:52:51,565 --> 00:52:57,365 <夜になって ウソが本当になってしまった> 261 00:52:59,940 --> 00:53:07,180 ≪[TEL] 262 00:53:07,180 --> 00:53:12,580 [TEL] 263 00:53:18,525 --> 00:53:21,128 あれ? お父さん? 264 00:53:21,128 --> 00:53:24,464 (幹)ああ 久枝か? 265 00:53:24,464 --> 00:53:29,469 どうしたんや? 情けない声 出して。 風邪でもひいたんか? 266 00:53:29,469 --> 00:53:32,939 うたた寝しとったんよ。 267 00:53:32,939 --> 00:53:36,076 どうしたん? こんな時間に。 [TEL]いや…。 268 00:53:36,076 --> 00:53:39,880 母さんに代わるけん。 269 00:53:39,880 --> 00:53:41,948 (陵子)久枝 あんた 風邪ひいたん?→ 270 00:53:41,948 --> 00:53:44,818 大丈夫? そっちは寒いのと違うの?→ 271 00:53:44,818 --> 00:53:48,455 お父さんは そっちは 北海道より もっと 寒いって言うし→ 272 00:53:48,455 --> 00:53:52,025 何か 必要なものあったら 送ろうか? 273 00:53:52,025 --> 00:53:55,962 大丈夫。 うたた寝しとっただけだって。 274 00:53:55,962 --> 00:53:59,633 [TEL](陵子)そう。 それならいいけど 気ぃつけなさいよ。 275 00:53:59,633 --> 00:54:03,503 あんた 寒くなると すぐ 風邪ひくから。→ 276 00:54:03,503 --> 00:54:06,640 久枝。 何? 277 00:54:06,640 --> 00:54:10,143 お誕生日 おめでとう。 278 00:54:10,143 --> 00:54:15,549 ああ… ああっ! そうだ! 私 誕生日やない?! 279 00:54:15,549 --> 00:54:19,219 [TEL](陵子)年ごろの女の子が 何 言うとるん?! 280 00:54:19,219 --> 00:54:22,522 あんた 誕生日 祝うてくれる友達もおらんの? 281 00:54:22,522 --> 00:54:24,991 情けないわね。 282 00:54:24,991 --> 00:54:28,528 休みで みんな 出かけとるだけよ。 283 00:54:28,528 --> 00:54:31,331 久枝 無理しないで→ 284 00:54:31,331 --> 00:54:35,468 帰ってきたかったら いつでも戻ってきてええんよ。 285 00:54:35,468 --> 00:54:38,004 お母さん…。 286 00:54:38,004 --> 00:54:44,644 [TEL](陵子)あんた 意地張って 頑張りすぎるとこがあるから。→ 287 00:54:44,644 --> 00:54:48,181 国費留学というたって いざとなったら→ 288 00:54:48,181 --> 00:54:51,518 国に謝っちゃえば ええんやから。 289 00:54:51,518 --> 00:54:54,554 何 言ってるのよ。 290 00:54:54,554 --> 00:54:57,224 まだまだ帰らんよ 私は。 291 00:54:57,224 --> 00:55:01,924 お父さんが 代わるって 言いよるから 代わるわ。 292 00:55:05,832 --> 00:55:07,832 ああ 久枝。 293 00:55:09,970 --> 00:55:12,138 おめでとう。 294 00:55:12,138 --> 00:55:14,541 ♪♪~ 295 00:55:14,541 --> 00:55:16,376 ありがとう。 296 00:55:16,376 --> 00:55:20,914 [TEL]ねえ お父さん。 何や? 297 00:55:20,914 --> 00:55:26,686 お父さんは 強い人やね。 298 00:55:26,686 --> 00:55:30,023 [TEL]何を 分かったようなことを 言うとるんや?! 299 00:55:30,023 --> 00:55:35,962 うん こっちに来て 1人になって→ 300 00:55:35,962 --> 00:55:45,405 少しだけ… ほんの少しだけやけど お父さんの気持ちが…。 301 00:55:45,405 --> 00:55:48,241 [TEL]何や? 302 00:55:48,241 --> 00:55:53,246 ううん。 何でもないわ。 303 00:55:53,246 --> 00:55:57,917 もう 切るぞ。 布団へ入って 早う寝なさい。 304 00:55:57,917 --> 00:56:00,420 [TEL]子供みたいなこと 言わんで。 305 00:56:00,420 --> 00:56:03,723 子供やないか。 まだまだ お前は 子供や。 306 00:56:03,723 --> 00:56:07,193 ♪♪~ 307 00:56:07,193 --> 00:56:09,229 おやすみなさい。 308 00:56:09,229 --> 00:56:12,999 ああ おやすみ。 309 00:56:12,999 --> 00:56:19,939 ♪♪~ 310 00:56:19,939 --> 00:56:22,042 何だって? 久枝。 311 00:56:22,042 --> 00:56:25,412 別に。 大したことは 何も言うとらん。 312 00:56:25,412 --> 00:56:27,447 そう。 313 00:56:27,447 --> 00:56:33,420 ♪♪~ 314 00:56:33,420 --> 00:56:38,224 <その日 私は 22歳になった。→ 315 00:56:38,224 --> 00:56:40,794 たくさんの困難に ぶつかりながらも→ 316 00:56:40,794 --> 00:56:43,630 中国のおばあちゃんや 親友たちに支えられて→ 317 00:56:43,630 --> 00:56:47,430 生きていたころの父と 同じ年に> 318 00:56:49,936 --> 00:56:53,440 <けれど 父が帰国するまでには→ 319 00:56:53,440 --> 00:56:56,643 更に 多くの障害が 待ち受けていたことを→ 320 00:56:56,643 --> 00:57:00,246 私は まだ知らない> 321 00:57:00,246 --> 00:58:22,246 ♪♪~