1 00:00:34,220 --> 00:00:39,125 (久枝)<1970年 父は 日本へ帰ったが…> 2 00:00:39,125 --> 00:00:41,360 (弥三郎)お前は 日本人や。→ 3 00:00:41,360 --> 00:00:44,463 なのに どがいして 日本語がしゃべれん?! 4 00:00:44,463 --> 00:00:50,870 (由紀子)幹は 夢をかなえとうて 日本に戻ってきたんですから。 5 00:00:50,870 --> 00:00:52,905 <劉成さんと私> 6 00:00:52,905 --> 00:00:57,243 (劉成)一緒に 東京に行きたい。 劉成…。 7 00:00:57,243 --> 00:01:00,012 <父と母> 8 00:01:00,012 --> 00:01:02,982 もう1年 こっちに 残ろうと思うとるんよ。 9 00:01:02,982 --> 00:01:05,951 (幹)1年の約束やないか? 今は まだ→ 10 00:01:05,951 --> 00:01:09,021 日本へは帰りたくないんよ。 11 00:01:09,021 --> 00:01:41,787 ♪♪~ 12 00:01:41,787 --> 00:01:46,025 <劉成さんと 同じ部屋のデュマが 長春を離れて→ 13 00:01:46,025 --> 00:01:51,330 2年目の 私の留学生活も 残り少なくなった。→ 14 00:01:51,330 --> 00:01:55,401 ある日 ユーゴスラビアの首都 ベオグラードで→ 15 00:01:55,401 --> 00:01:59,438 NATO軍が 中国大使館を 誤爆するという事件が起きた。→ 16 00:01:59,438 --> 00:02:03,876 大使館員 3人が死亡。 たくさんの死傷者が出て→ 17 00:02:03,876 --> 00:02:08,547 中国国内では 激しい議論が 巻き起こっていた。→ 18 00:02:08,547 --> 00:02:11,447 吉林大学の教室では…> 19 00:02:56,061 --> 00:02:59,461 <「日本人が憎い」。 確かに そう言った> 20 00:04:23,649 --> 00:04:26,151 <苦し紛れに 反論はしたものの→ 21 00:04:26,151 --> 00:04:29,688 それで 何かが 解決したわけではなかった。→ 22 00:04:29,688 --> 00:04:34,059 なぜ NATOの事件が 日本につながるのか。→ 23 00:04:34,059 --> 00:04:37,963 留学中 何度となく 同じような状況に置かれ→ 24 00:04:37,963 --> 00:04:41,233 そのたびに 私は落ち込んだ。→ 25 00:04:41,233 --> 00:04:44,636 私個人が 責められているわけではない。→ 26 00:04:44,636 --> 00:04:49,208 しかし そこには 私1人では 解決できるはずもない→ 27 00:04:49,208 --> 00:04:52,945 大きな壁が 立ちはだかっていた> 28 00:04:52,945 --> 00:04:55,545 ♪♪~ 29 00:05:08,227 --> 00:05:10,996 お父さん 何? 30 00:05:10,996 --> 00:05:14,033 [TEL]えっ? ああ いや…。 31 00:05:14,033 --> 00:05:17,569 用もないのに かけてくるのが お父さんだもんね。 32 00:05:17,569 --> 00:05:23,509 失礼な。 娘が 元気かどうか 確かめるのは 大事な用じゃ。 33 00:05:23,509 --> 00:05:27,046 元気よ。 相変わらずってところ。 34 00:05:27,046 --> 00:05:30,582 ほうか。 なら いい。 35 00:05:30,582 --> 00:05:34,520 大学から 復学手続きの書類が 届いとるぞ。 36 00:05:34,520 --> 00:05:38,524 今年は 戻ってくるんやろ? [TEL]うん。 37 00:05:38,524 --> 00:05:42,161 もう1年 延ばすなんて 言わんでくれよ。 38 00:05:42,161 --> 00:05:45,864 安心して。 ちゃんと帰ります。 39 00:05:45,864 --> 00:05:49,601 [TEL]そうか。 40 00:05:49,601 --> 00:05:54,573 ねえ お母さんは 元気? 宏之も ちゃんと やっとる? 41 00:05:54,573 --> 00:05:59,745 [TEL]ほら お前だって 家族の事 気にしとるやないか! 42 00:05:59,745 --> 00:06:04,583 親兄弟が元気か 確かめるのは 大事な用事やけんね。 43 00:06:04,583 --> 00:06:07,519 [TEL]何を言うとる? フフフ…。 44 00:06:07,519 --> 00:06:11,924 <日本の家族が元気そうなのが うれしかった> 45 00:06:11,924 --> 00:06:14,526 ♪♪~ 46 00:06:14,526 --> 00:06:19,498 <15年前 父が 日本と中国の 合弁会社に出向して→ 47 00:06:19,498 --> 00:06:22,598 天津へ 単身赴任したことがある> 48 00:06:25,370 --> 00:06:27,706 なあ 飛行機には 何時間 乗るん? 49 00:06:27,706 --> 00:06:30,909 (陵子)そうねえ。 何時間やったかな…。 50 00:06:30,909 --> 00:06:32,978 (城戸芳枝)お母さん これも入れていい? 51 00:06:32,978 --> 00:06:36,381 <冬休み 私たちは その父に呼ばれて→ 52 00:06:36,381 --> 00:06:38,550 中国へ行くことになった> 53 00:06:38,550 --> 00:06:41,487 (城戸宏之)宿題は? ええわ 持っていかんでも。 54 00:06:41,487 --> 00:06:46,925 どうせ できんのやけん。 やった! やった やった やった! 55 00:06:46,925 --> 00:06:51,130 でも 中国 寒いのに 宏之 大丈夫なん? 56 00:06:51,130 --> 00:06:53,332 (宏之)何でよ?! 姉ちゃんばっかり行く。 57 00:06:53,332 --> 00:06:55,834 大丈夫よ。 連れてってあげるけん。 58 00:06:55,834 --> 00:06:58,070 (宏之)わ~い! 見ろ 見ろ! 59 00:06:58,070 --> 00:07:02,541 <父には ある計画があった。→ 60 00:07:02,541 --> 00:07:09,381 牡丹江に住む父の養母 淑琴おばあちゃんに会いにいく> 61 00:07:09,381 --> 00:07:20,993 ♪♪~ 62 00:07:20,993 --> 00:07:23,495 先に行くけん。 63 00:07:23,495 --> 00:07:38,495 ♪♪~ 64 00:07:55,661 --> 00:07:57,761 (玄関のベル) 65 00:09:16,308 --> 00:09:19,008 さあ 行こう。 66 00:09:26,618 --> 00:09:29,755 お母さん…。 67 00:09:29,755 --> 00:09:34,755 さあ 入ろう。 お父さんが暮らしとった家よ。 68 00:09:37,162 --> 00:09:41,033 ♪♪~ 69 00:09:41,033 --> 00:09:43,533 (子供たち)お邪魔します。 70 00:09:49,107 --> 00:09:51,510 温かい! 71 00:09:51,510 --> 00:09:53,945 ≪(陵子)宏之。 72 00:09:53,945 --> 00:10:01,720 ♪♪~ 73 00:10:01,720 --> 00:10:05,590 お父さん こんなに たくさん送っとったんや。 74 00:10:05,590 --> 00:10:08,627 そうやね。 75 00:10:08,627 --> 00:10:14,533 全部 とっといてくれたんやね…。 76 00:10:14,533 --> 00:10:19,838 <そこには 紛れもない あの戦争が なければ ありえなかった→ 77 00:10:19,838 --> 00:10:23,238 母と子の歴史があった> 78 00:10:26,878 --> 00:10:33,678 <夜 市内の火鍋屋に 親戚たちが 集まり 父を大歓迎してくれた> 79 00:10:43,895 --> 00:10:46,998 <鄒おじさん 呉おじさん。→ 80 00:10:46,998 --> 00:10:53,098 かけがえのない 中国の親友との 14年ぶりの再会だった> 81 00:11:33,478 --> 00:12:01,478 ≪♪♪~(「植樹歌」) 82 00:14:24,049 --> 00:14:31,149 ♪♪~ 83 00:14:40,565 --> 00:14:58,365 ♪♪~ 84 00:16:04,182 --> 00:16:25,537 ♪♪~ 85 00:16:25,537 --> 00:16:27,537 (汽笛) 86 00:16:32,243 --> 00:16:34,512 <別れの日> 87 00:16:34,512 --> 00:17:20,959 ♪♪~ 88 00:17:20,959 --> 00:17:24,829 [TEL] 89 00:17:24,829 --> 00:17:27,832 <とうとう その日がやってきた> 90 00:17:27,832 --> 00:17:31,536 [TEL] はいはい はいはい はい。 91 00:17:31,536 --> 00:17:33,936 ああ もしもし。 92 00:19:05,230 --> 00:19:09,567 <淑琴おばあちゃん 74歳。→ 93 00:19:09,567 --> 00:19:15,874 私が 中国留学を決心した やさきの出来事だった> 94 00:19:15,874 --> 00:19:19,677 お父さん どんなん? 95 00:19:19,677 --> 00:19:23,648 相当ショックを受けとるみたい。 96 00:19:23,648 --> 00:19:28,786 今 牡丹江へ行く支度をしよる。 97 00:19:28,786 --> 00:19:35,886 <その時 父は 自分の部屋で 1人で泣いていた> 98 00:19:51,276 --> 00:19:58,016 ♪♪~ 99 00:19:58,016 --> 00:20:02,687 <父は 淑琴おばあちゃんのお骨を 分骨してもらうための→ 100 00:20:02,687 --> 00:20:08,726 小さな骨壺を手に 中国へ たっていった。→ 101 00:20:08,726 --> 00:20:17,302 1970年に帰国した時と同じ トランクとショルダーバッグを持って。→ 102 00:20:17,302 --> 00:20:22,607 これが 最後の 中国への旅になるかもしれない> 103 00:20:22,607 --> 00:20:28,212 ♪♪~ 104 00:20:28,212 --> 00:20:33,885 <翌年 2月 日本のおばあちゃんが 亡くなった> 105 00:20:33,885 --> 00:20:38,623 ♪♪~ 106 00:20:38,623 --> 00:20:42,694 <父は 4か月の間に→ 107 00:20:42,694 --> 00:20:46,898 自分を守ってくれた 2人の母を亡くした> 108 00:20:46,898 --> 00:21:11,889 ♪♪~ 109 00:21:11,889 --> 00:21:16,127 母さん…。 母さん! 110 00:21:16,127 --> 00:21:19,130 あ~っ! 111 00:21:19,130 --> 00:21:30,508 ♪♪~ 112 00:21:30,508 --> 00:21:35,380 <叫びに近い父の泣き声を 耳に残して…→ 113 00:21:35,380 --> 00:21:38,649 私は 中国へ旅立った> 114 00:21:38,649 --> 00:21:45,656 ♪♪~ 115 00:21:45,656 --> 00:21:49,394 <私の留学生活が 終わろうとしていた。→ 116 00:21:49,394 --> 00:21:53,994 2年の間に 荷物が 驚くほど増えていた> 117 00:21:56,801 --> 00:21:59,370 <衣類のほとんどを 友人たちに譲り→ 118 00:21:59,370 --> 00:22:03,508 本などは 船便で 日本へ送った。→ 119 00:22:03,508 --> 00:22:09,947 それでも 必要な荷物は トランクに 詰めきれないほどあった。→ 120 00:22:09,947 --> 00:22:12,717 なんとか 荷物をまとめると→ 121 00:22:12,717 --> 00:22:20,217 部屋の中は 2年前と同じように また 空っぽになった> 122 00:22:22,560 --> 00:22:27,265 (汽笛) 123 00:22:27,265 --> 00:22:32,103 <日本へ帰る前に 行かなければ ならないところがあった。→ 124 00:22:32,103 --> 00:22:36,674 中国を離れる前に 必ず 牡丹江へ寄る。→ 125 00:22:36,674 --> 00:22:39,874 春華姉さんと交わした約束だった> 126 00:25:08,292 --> 00:25:15,592 だって 去年 春節の時に会った時 あんな元気にしてたのに…。 127 00:25:48,232 --> 00:25:52,532 <呉おじさんは 肝臓がんだった> 128 00:25:55,773 --> 00:26:01,746 <私たちには言わなかったが 長い間 肝臓を患っていて→ 129 00:26:01,746 --> 00:26:06,146 去年の夏 急に悪化したらしい> 130 00:26:30,107 --> 00:26:35,046 <呉おじさんの死を すぐにでも 父に伝えたかった。→ 131 00:26:35,046 --> 00:26:40,046 けれど 電話では うまく 伝えられないような気がした> 132 00:28:26,991 --> 00:28:29,560 <一緒に買い物をするうちに→ 133 00:28:29,560 --> 00:28:32,460 呉おばさんに 笑顔が戻ってきた> 134 00:28:34,565 --> 00:28:39,670 <この空間に私がいることが とても自然に思えた。→ 135 00:28:39,670 --> 00:28:44,508 この町は 私にとっても 特別な場所なのかもしれない。→ 136 00:28:44,508 --> 00:28:48,045 ここには もう 父の手助けがなくても→ 137 00:28:48,045 --> 00:28:52,483 私を 私として 受け入れてくれる人たちがいる> 138 00:28:52,483 --> 00:28:56,821 ♪♪~ 139 00:28:56,821 --> 00:28:59,557 <別れの時が来た> 140 00:28:59,557 --> 00:29:01,857 ♪♪~ 141 00:29:28,552 --> 00:29:32,656 ♪♪~ 142 00:29:32,656 --> 00:29:38,696 <数日後 私は 長春空港へ向かう バスの中にいた。→ 143 00:29:38,696 --> 00:29:45,035 留学中 私は 2種類の まったく 違う中国人の感情に出会い→ 144 00:29:45,035 --> 00:29:48,906 そのギャップに戸惑って 立ちすくんだ。→ 145 00:29:48,906 --> 00:29:51,575 血のつながらない親戚なのに→ 146 00:29:51,575 --> 00:29:55,779 優しく 私の気持ちを解きほぐして くれる春華姉さんや→ 147 00:29:55,779 --> 00:30:00,284 おばさんたちの 深い家族愛。→ 148 00:30:00,284 --> 00:30:08,125 そして 父の友人たちの 父に寄せる深い愛と共感。→ 149 00:30:08,125 --> 00:30:15,499 その一方で 容赦なく 日本への 憎悪をぶつけてきたクラスメートたち。→ 150 00:30:15,499 --> 00:30:18,536 けれど 中国の人たちの中に→ 151 00:30:18,536 --> 00:30:23,173 2種類の人がいるわけでは ないようにも思えた。→ 152 00:30:23,173 --> 00:30:29,580 彼らにとって 日本とは 日本人とは 何なのか…。→ 153 00:30:29,580 --> 00:30:35,986 そして 私にとって 中国とは…> 154 00:30:35,986 --> 00:30:43,761 ♪♪~ 155 00:30:43,761 --> 00:30:46,361 <私が 伊予市へ帰る日> 156 00:30:48,432 --> 00:30:50,432 <父は…> 157 00:31:12,189 --> 00:31:29,440 ♪♪~ 158 00:31:29,440 --> 00:31:32,876 お父さん。 159 00:31:32,876 --> 00:31:37,748 お父さん もう 外に出て 待っとらんでも 帰ってくるわよ。 160 00:31:37,748 --> 00:31:42,720 家を忘れるわけあるまいし。 いい加減 中へ。 161 00:31:42,720 --> 00:31:46,523 あら? 久枝? 162 00:31:46,523 --> 00:31:48,993 やだ もう!→ 163 00:31:48,993 --> 00:31:51,395 何? その格好。 164 00:31:51,395 --> 00:31:53,430 ねえ そんなに おかしい? 165 00:31:53,430 --> 00:31:55,933 そんなおかしいことも ないけどね。 166 00:31:55,933 --> 00:32:00,604 あっ 重い! そうなの。 167 00:32:00,604 --> 00:32:04,241 久枝 よう帰ってきた。 168 00:32:04,241 --> 00:32:06,543 ただいま。 169 00:32:06,543 --> 00:32:10,180 おかえり。 うん。 ああ ちょっと…。 170 00:32:10,180 --> 00:32:15,052 ♪♪~ 171 00:32:15,052 --> 00:32:19,023 <夜 21歳になった弟と→ 172 00:32:19,023 --> 00:32:22,826 仕事の関係で 家を空けることの 多い姉も一緒に→ 173 00:32:22,826 --> 00:32:25,963 家族そろっての夕食になった> 174 00:32:25,963 --> 00:32:28,599 お姉ちゃんが 帰ってきたけんね。 175 00:32:28,599 --> 00:32:31,835 (宏之)時々 留学してくれると ええな。 176 00:32:31,835 --> 00:32:35,673 あっ 芳枝姉ちゃん。 「あっ」はないやろ?! 「あっ」は。 177 00:32:35,673 --> 00:32:38,542 芳枝姉ちゃんも 久しぶりやけん。 178 00:32:38,542 --> 00:32:41,278 どう? 両手に 花の気分は? 179 00:32:41,278 --> 00:32:43,614 しかも 美人の。 180 00:32:43,614 --> 00:32:46,583 最高です。 幼少期の つらい思い出を思い出します。 181 00:32:46,583 --> 00:32:49,119 よう言うわ! あんなに かわいがってやったのに。 182 00:32:49,119 --> 00:32:51,255 まったく! ねえ。 183 00:32:51,255 --> 00:32:54,591 お母さん 怖いんですけど この2人は。 184 00:32:54,591 --> 00:32:57,027 もう ゴチャゴチャ言うとらんで はよ 座り! 185 00:32:57,027 --> 00:32:59,063 あんたを 待っとったんやから。 186 00:32:59,063 --> 00:33:01,098 はい。 はよ 座り。 187 00:33:01,098 --> 00:33:03,300 さあ みんなで 乾杯しよう。 ねっ。 188 00:33:03,300 --> 00:33:05,402 うん。 そやな。 189 00:33:05,402 --> 00:33:11,442 じゃ 久枝の帰国と健康を祝って 乾杯! 190 00:33:11,442 --> 00:33:13,510 (一同)乾杯! 191 00:33:13,510 --> 00:33:17,081 <みんなが それぞれ 少しずつ はしゃぎ→ 192 00:33:17,081 --> 00:33:21,518 私の帰国を喜んでくれているのが 分かった。→ 193 00:33:21,518 --> 00:33:27,624 ここは 日本で ここは 私のふるさとなのだ。→ 194 00:33:27,624 --> 00:33:32,696 母の炊いてくれたご飯が とても おいしかった> 195 00:33:32,696 --> 00:33:42,106 ♪♪~ 196 00:33:42,106 --> 00:33:45,576 ≪お父さん 入っていい? 197 00:33:45,576 --> 00:33:48,545 ああ 久枝か。 198 00:33:48,545 --> 00:33:53,445 ≪おばあちゃんに 新しいお花 上げさせて。 199 00:34:02,526 --> 00:34:05,863 お前 どがいしたん? その服。 200 00:34:05,863 --> 00:34:09,366 どう? 似合うとる? 201 00:34:09,366 --> 00:34:13,366 まあ 様になっとる気が せんでもないが…。 202 00:34:15,639 --> 00:34:18,575 呉おばさんと鄒おばさんがね→ 203 00:34:18,575 --> 00:34:21,578 牡丹江の洋服屋さんで 作ってくれたんよ。 204 00:34:21,578 --> 00:34:24,114 お別れの記念にって。 205 00:34:24,114 --> 00:34:28,385 そうか…。 それは ありがたいことやな。 206 00:34:28,385 --> 00:34:30,788 うん…。 207 00:34:30,788 --> 00:34:33,288 みんな 元気やったか? 208 00:34:37,127 --> 00:34:40,664 お父さん。 うん? 209 00:34:40,664 --> 00:34:44,802 そのことなんやけどね…。 210 00:34:44,802 --> 00:34:46,802 何や? 211 00:34:49,406 --> 00:34:54,244 お父さんに 話があるんよ。 212 00:34:54,244 --> 00:34:56,244 うん? 213 00:34:59,650 --> 00:35:06,056 呉おじさんが 1年前に…→ 214 00:35:06,056 --> 00:35:08,556 亡くなったんよ。 215 00:35:10,761 --> 00:35:13,261 肝臓がんやって。 216 00:35:17,100 --> 00:35:23,900 この間 牡丹江に行った時に 初めて 聞いて…。 217 00:35:29,546 --> 00:35:34,117 何で 知らせてくれんかった…? 218 00:35:34,117 --> 00:35:36,117 何でや…? 219 00:35:39,389 --> 00:35:43,594 鄒おじさんは お父さんに伝えたら→ 220 00:35:43,594 --> 00:35:47,497 遠い国で どんなに悲しむだろうって→ 221 00:35:47,497 --> 00:35:52,397 そう思ったら 連絡できんかったって…。 222 00:35:54,771 --> 00:36:01,371 私も すぐに 電話しようと思ったんやけど…。 223 00:36:03,580 --> 00:36:07,784 でも こんなに大事なこと→ 224 00:36:07,784 --> 00:36:12,055 電話で伝えたら いけんような気がして…。 225 00:36:12,055 --> 00:36:24,568 ♪♪~ 226 00:36:24,568 --> 00:36:28,872 写真を もろうてきました。 227 00:36:28,872 --> 00:36:35,946 ♪♪~ 228 00:36:35,946 --> 00:36:42,653 呉おばさんが お父さんに渡してほしいって。 229 00:36:42,653 --> 00:36:48,253 「くれぐれも よろしくお伝えください」って。 230 00:36:50,527 --> 00:36:53,830 呉おばは 大丈夫なんか? 231 00:36:53,830 --> 00:36:57,334 1人になってしもうて。 232 00:36:57,334 --> 00:37:02,139 うん。 息子さんたちが 近くにおって→ 233 00:37:02,139 --> 00:37:07,344 時々 顔を出してくれるみたい。 234 00:37:07,344 --> 00:37:15,252 あと 鄒おじさんたちも 時々 様子を見にきてるみたいだから…。 235 00:37:15,252 --> 00:37:18,522 ♪♪~ 236 00:37:18,522 --> 00:37:23,794 そうか…。 呉立政が…。 237 00:37:23,794 --> 00:37:28,765 ♪♪~ 238 00:37:28,765 --> 00:37:34,771 立政にも もう… 会われんのやな…。 239 00:37:34,771 --> 00:37:42,679 ♪♪~ 240 00:37:42,679 --> 00:37:44,779 (玄関のチャイム) 241 00:37:47,484 --> 00:37:49,884 は~い! 242 00:37:58,528 --> 00:38:01,064 久枝! 久枝 起きなさい! 243 00:38:01,064 --> 00:38:04,267 ええと… あの ほら! 誰やったっけ? 244 00:38:04,267 --> 00:38:08,372 え… 中国人の あんたの友達が 今 玄関に…。 245 00:38:08,372 --> 00:38:11,408 東京の 保証人の彼。 こんな背の高い! 246 00:38:11,408 --> 00:38:14,911 えっ? えっ? えっ? 247 00:38:14,911 --> 00:38:19,683 ハハハ… そうですか。 248 00:38:19,683 --> 00:38:21,683 劉成。 249 00:38:26,223 --> 00:38:30,827 お前が 帰国したと聞いて 会いにこられたそうや。 250 00:38:30,827 --> 00:38:36,233 それに お父さんとも 一度 お会いしたかったので。 251 00:38:36,233 --> 00:38:41,972 留学の際は 保証人になって いただきましたし。 252 00:38:41,972 --> 00:38:44,708 東京で 元気に 勉強しておられるそうよ。 253 00:38:44,708 --> 00:38:47,177 そう。 それにしても 東京から→ 254 00:38:47,177 --> 00:38:53,250 飛んでくるやなんて 愛の力って すごいがやね。 255 00:38:53,250 --> 00:38:55,318 お母さん! 256 00:38:55,318 --> 00:38:58,018 (陵子)どうぞ。 257 00:39:00,891 --> 00:39:03,360 でも 驚いたな。 258 00:39:03,360 --> 00:39:06,063 まさか 伊予で 劉さんに会えると 思わなかったから。 259 00:39:06,063 --> 00:39:08,763 驚かせたかった。 260 00:39:14,938 --> 00:39:17,138 えっ うちの家族が? うん。 261 00:39:26,116 --> 00:39:28,116 えっ? どう違ったの? 262 00:39:33,590 --> 00:39:39,062 昔はね もっと怖かったの。 私が 子供のころは。 263 00:39:39,062 --> 00:39:45,869 うん。 昔は 仕事も忙しくて 今より もっとピリピリしてた。 264 00:39:45,869 --> 00:39:51,675 ピリピリ? ああ え~と… 神経がとがってた。 265 00:39:51,675 --> 00:39:53,675 神経質。 266 00:39:57,180 --> 00:39:59,850 うん…。 あのころは→ 267 00:39:59,850 --> 00:40:03,150 子供だったから 全然 気がつかなかったんだけど…。 268 00:40:05,188 --> 00:40:13,363 今 考えてみると あのころ 父は まだ 日本に慣れていなくて→ 269 00:40:13,363 --> 00:40:19,663 言葉も習慣も違って 苦労していたんだと思う。 270 00:40:21,838 --> 00:40:25,138 今は とっても 穏やかになった。 271 00:40:27,944 --> 00:40:29,946 うん…。 272 00:40:29,946 --> 00:40:34,951 ♪♪~ 273 00:40:34,951 --> 00:40:39,656 でも もしかしたら 父だけじゃなく…→ 274 00:40:39,656 --> 00:40:41,856 私も変わったのかもしれない。 275 00:40:45,729 --> 00:40:52,329 離れてみて やっと 父のことが だんだん分かってきた気がするの。 276 00:40:56,206 --> 00:41:01,678 一緒にいた時は めったに 話なんかしなかったのに…→ 277 00:41:01,678 --> 00:41:10,478 この2年間 電話したり 手紙 書いたり よく話をした。 278 00:41:12,489 --> 00:41:16,726 あと 中国で 父の親戚や お友達に会って→ 279 00:41:16,726 --> 00:41:24,034 その人たちを通じて 父のことを知ることができた。 280 00:41:24,034 --> 00:41:28,238 父が どうなふうにして 中国で育って→ 281 00:41:28,238 --> 00:41:32,938 どんなふうにして この国に戻ってきたかってこと。 282 00:41:35,712 --> 00:41:38,715 でも 不思議。 283 00:41:38,715 --> 00:41:41,718 何が? 284 00:41:41,718 --> 00:41:45,889 父が 戦争で 中国に取り残されなかったら→ 285 00:41:45,889 --> 00:41:50,689 私は 留学も しなかったかもしれないし…。 286 00:41:52,896 --> 00:41:55,932 そしたら 劉さんとも→ 287 00:41:55,932 --> 00:41:58,832 出会わなかったかも しれないんだもの。 288 00:42:17,153 --> 00:42:22,753 とりあえず 大学に戻って 卒業する。 289 00:42:30,567 --> 00:42:34,267 ♪♪~ 290 00:42:37,040 --> 00:42:40,540 ♪♪~ 291 00:42:46,516 --> 00:42:51,316 ♪♪~ 292 00:42:55,325 --> 00:43:00,525 ♪♪~ 293 00:43:02,599 --> 00:43:06,499 ♪♪~ 294 00:43:11,708 --> 00:43:16,808 ♪♪~ 295 00:43:23,753 --> 00:43:25,855 心配なん? 296 00:43:25,855 --> 00:43:27,924 うん? 297 00:43:27,924 --> 00:43:34,197 2人が 一体 どこまで いっとるんか 心配なんでしょう? 298 00:43:34,197 --> 00:43:40,497 何を言うとるん?! 久枝は もう いい大人じゃ! 299 00:43:43,940 --> 00:43:49,346 お父さん 私 思うんやけどね…→ 300 00:43:49,346 --> 00:43:54,117 お父さんは 本当に 幸せ者よ。 301 00:43:54,117 --> 00:43:56,419 うん? 302 00:43:56,419 --> 00:44:01,424 こんなふうに 父親のことを 知ろうとしてくれる娘なんか→ 303 00:44:01,424 --> 00:44:04,594 めったに おるもんやないけん。 304 00:44:04,594 --> 00:44:08,264 うん。 305 00:44:08,264 --> 00:44:14,971 私ね 本当言うと 久枝が 中国に行くなんて言うても→ 306 00:44:14,971 --> 00:44:19,476 すぐに逃げ出してくるんやないか と思うとった。 307 00:44:19,476 --> 00:44:25,181 もしも そうなっても それはそれでいいと思うとった。 308 00:44:25,181 --> 00:44:32,455 一度は 納得のいくまで 自分の やりたいことを やればええ。 309 00:44:32,455 --> 00:44:37,160 それが 若さやもん。 310 00:44:37,160 --> 00:44:47,704 でも 1年じゃ足らんって あの子 そう言うたもんね。 311 00:44:47,704 --> 00:44:50,740 そやな…。 312 00:44:50,740 --> 00:44:56,112 さすが 私の娘やね。 313 00:44:56,112 --> 00:44:59,682 お前だけの娘やないやろ? 314 00:44:59,682 --> 00:45:01,985 お前とわしの 2人の娘じゃ。 315 00:45:01,985 --> 00:45:05,185 あら? そうやったっけ? 316 00:45:09,192 --> 00:45:15,298 ♪♪~ 317 00:45:15,298 --> 00:45:21,004 <1年後 私は 東京の 小さな貿易会社に就職した> 318 00:45:21,004 --> 00:45:23,773 ♪♪~ 319 00:45:23,773 --> 00:45:29,045 <日本へ帰ってから ずっと 心にかかっていることがあった> 320 00:45:29,045 --> 00:45:39,622 ♪♪~ 321 00:45:39,622 --> 00:45:42,959 あっ! もしもし お父さん? うん 久枝。 322 00:45:42,959 --> 00:45:47,397 うん。 今 チケット受け取ってきたけん。 323 00:45:47,397 --> 00:45:50,297 そっちは 準備できた? 324 00:46:00,710 --> 00:46:03,480 <鄒おじさんの言葉だった。→ 325 00:46:03,480 --> 00:46:08,080 いつか 父を連れて 中国に行かなければならない> 326 00:46:10,787 --> 00:46:16,426 <2004年冬 それが とうとう 実現する時がきた。→ 327 00:46:16,426 --> 00:46:21,965 父と 中国へ行くのは 8歳の時以来 20年ぶり。→ 328 00:46:21,965 --> 00:46:24,000 私は 28歳。→ 329 00:46:24,000 --> 00:46:28,471 父が 日本へ 帰国した時と 同じ年になった> 330 00:46:28,471 --> 00:46:38,515 ♪♪~ 331 00:46:38,515 --> 00:46:41,784 やっと 来られたよ。 332 00:46:41,784 --> 00:46:44,384 元気にしよったかい? 333 00:46:46,623 --> 00:46:50,894 <その墓は 父が お金を出して 造った。→ 334 00:46:50,894 --> 00:46:55,994 牡丹江市から 車で 1時間ほどの共同墓地にある> 335 00:47:09,178 --> 00:47:16,819 ♪♪~ 336 00:47:16,819 --> 00:47:20,189 おばあちゃんに挨拶しよう。 うん。 337 00:47:20,189 --> 00:47:33,489 ♪♪~ 338 00:47:58,928 --> 00:48:08,972 ♪♪~ 339 00:48:08,972 --> 00:48:12,108 ここは 昔のまんまの道や。 340 00:48:12,108 --> 00:48:14,577 本当に一緒や。 341 00:48:14,577 --> 00:48:17,647 <翌日 どうしても 行きたいところがあるからと→ 342 00:48:17,647 --> 00:48:19,682 父に誘われた> 343 00:48:19,682 --> 00:48:22,852 いつも この道を歩きよった。 344 00:48:22,852 --> 00:48:26,623 それしか 手段がないけんな。 345 00:48:26,623 --> 00:48:33,630 <春華姉さんが 車を用意して 一緒に その場所に向かった> 346 00:48:33,630 --> 00:48:38,230 お父さん 本当に この道で よかったん? 347 00:48:40,303 --> 00:48:43,539 ああ…。 348 00:48:43,539 --> 00:48:49,239 もう少し 行ったら 門があって 看板があるけん。 349 00:49:11,334 --> 00:49:13,334 どうしたの? 350 00:49:15,538 --> 00:49:17,538 いや…。 351 00:49:20,710 --> 00:49:22,710 止めてくれ! 352 00:49:30,053 --> 00:49:33,189 お父さん…。 353 00:49:33,189 --> 00:49:35,989 ここからは 歩いていこう。 354 00:50:06,923 --> 00:50:10,593 <父が どうしても 行きたかった場所。→ 355 00:50:10,593 --> 00:50:15,865 それは 父が育った 淑琴おばあちゃんの村→ 356 00:50:15,865 --> 00:50:19,135 頭道河子村だった> 357 00:50:19,135 --> 00:50:21,135 お父さん。 358 00:50:34,050 --> 00:50:36,619 随分 きれいになったな…。 359 00:50:36,619 --> 00:50:38,721 えっ? 360 00:50:38,721 --> 00:50:45,695 昔は この村にな 350人しか住んどらんかった。 361 00:50:45,695 --> 00:50:47,795 350人? ああ。 362 00:50:52,401 --> 00:50:55,001 ♪♪~ 363 00:51:02,111 --> 00:51:05,111 小学校へ行ってみよう。 えっ? 364 00:51:11,821 --> 00:51:13,921 ♪♪~ 365 00:51:28,471 --> 00:51:31,671 お父さん! ちょっと 待って! 366 00:51:38,614 --> 00:51:40,683 ここが 小学校? 367 00:51:40,683 --> 00:51:43,319 ああ…。 368 00:51:43,319 --> 00:51:47,089 この門には 見覚えがある。 369 00:51:47,089 --> 00:51:49,792 どっかへ 移転して しもうたのかもしれんな。 370 00:51:49,792 --> 00:51:52,792 ♪♪~ 371 00:52:05,474 --> 00:52:09,879 ねえ お父さん 今の あの子…。 えっ? 372 00:52:09,879 --> 00:52:12,114 「僕の家は すぐそこ」って。 373 00:52:12,114 --> 00:52:15,918 子供? これぐらいの背丈の 丸顔の…。 374 00:52:15,918 --> 00:52:18,020 そんな子供 おったか? 375 00:52:18,020 --> 00:52:22,320 だって 今 大きな声で…。 376 00:52:26,195 --> 00:52:30,695 ねえ お父さんの家は どこにあったん? 377 00:52:34,604 --> 00:52:45,704 ♪♪~ 378 00:52:49,619 --> 00:53:18,080 ♪♪~ 379 00:53:18,080 --> 00:53:23,786 すごい…。 凍った河 初めて見た。 380 00:53:23,786 --> 00:53:26,656 今ごろの季節からは→ 381 00:53:26,656 --> 00:53:32,495 年が明けるまで いつも こんなふうじゃった。 382 00:53:32,495 --> 00:53:41,037 凍った河の上を歩いて よう 向こう岸の川東まで行ったもんや。 383 00:53:41,037 --> 00:53:43,773 川東? 384 00:53:43,773 --> 00:53:49,345 川東から わしは 寧さんに連れられて→ 385 00:53:49,345 --> 00:53:57,019 船で この河を渡って この村へ来たがよ。 386 00:53:57,019 --> 00:54:03,219 途中で 河に 突き落とされそうになった。 387 00:54:07,163 --> 00:54:12,863 そのわしを おばあちゃんが 救うてくれた。 388 00:54:15,304 --> 00:54:18,104 救うてくれたんや…。 389 00:54:20,643 --> 00:54:28,250 ♪♪~ 390 00:54:28,250 --> 00:54:30,519 お父さん…。 391 00:54:30,519 --> 00:54:40,319 ♪♪~(「植樹歌」) 392 00:54:56,245 --> 00:55:03,345 ♪♪~ 393 00:55:17,566 --> 00:55:21,237 お父さん。 394 00:55:21,237 --> 00:55:23,237 困ったな…。 395 00:55:25,541 --> 00:55:28,341 涙が止まらん。 396 00:55:30,513 --> 00:55:33,613 どうしてなんやろな…。 397 00:55:38,521 --> 00:55:41,221 お父さん。 398 00:55:57,473 --> 00:56:03,212 ♪♪~ 399 00:56:03,212 --> 00:56:06,749 誇りに思います。 400 00:56:06,749 --> 00:57:53,849 ♪♪~ 401 01:00:33,916 --> 01:00:39,588 <信長亡き後 天下取りの野望を あらわにした羽柴秀吉と→ 402 01:00:39,588 --> 01:00:47,588 織田家への忠義を貫く柴田勝家が ついに 決戦の舞台へ> 403 01:00:49,231 --> 01:00:54,236 <数で圧倒する秀吉に対し 勝家は 一歩も引かず→ 404 01:00:54,236 --> 01:00:59,575 戦は 両軍にらみ合う こう着状態に。→