1 00:02:13,038 --> 00:02:17,042 (銀次の鼻歌) 2 00:02:17,042 --> 00:02:19,044 (銀次)ハハハ… 3 00:02:19,044 --> 00:02:23,048 (銀次の鼻歌) 4 00:02:23,048 --> 00:02:28,053 (銀次)おっと… ハハッ 5 00:02:28,053 --> 00:02:33,058 (銀次の鼻歌) 6 00:02:33,058 --> 00:02:37,058 ハハハ お地蔵さん… ああ? 7 00:02:52,077 --> 00:02:57,077 ・(息遣い) ・(女性のうめき声) 8 00:03:00,019 --> 00:03:02,019 (男性)あっ!? 9 00:03:09,028 --> 00:03:13,032 (銀次)姉さん 姉さん! 10 00:03:13,032 --> 00:03:15,034 殺しだ・ 11 00:03:15,034 --> 00:03:17,034 野郎! 12 00:03:20,039 --> 00:03:23,039 (銀次)あれぇ ちきしょう 13 00:03:28,047 --> 00:03:32,047 おかしいなぁ ええい 14 00:03:36,055 --> 00:03:38,057 くそ・ 15 00:03:38,057 --> 00:03:41,060 ちきしょう どこ行っちまいやがったんだ 16 00:03:41,060 --> 00:03:43,062 悪い酒のせいで 勘が狂っちまったかな・ 17 00:03:43,062 --> 00:03:45,062 ちきしょうめ 18 00:03:50,069 --> 00:03:52,071 (佐七)おうおう 銀次じゃねえか 19 00:03:52,071 --> 00:03:55,074 (佐七)今頃どうしたんだい まだ 飲みたりねえのかい 20 00:03:55,074 --> 00:03:57,009 ばか 何のんきなこと 言ってやがんだい 21 00:03:57,009 --> 00:04:00,012 殺しだよ 殺し (佐七)殺し!? ど… どこだい 22 00:04:00,012 --> 00:04:02,014 絵馬堂だい (佐七)えっ!? 23 00:04:02,014 --> 00:04:06,014 (銀次)おい! おいおい ちょ… おい 待てよ 24 00:04:09,021 --> 00:04:12,024 あれ? (佐七)おい 何だよ おい 25 00:04:12,024 --> 00:04:14,026 (銀次)おかしいな 確かに ここに 女が倒れてたんだよ・ 26 00:04:14,026 --> 00:04:16,028 それも ぞっとするような いい女でよ 27 00:04:16,028 --> 00:04:18,030 ヘッ いいかげんにしろよ おい 28 00:04:18,030 --> 00:04:23,035 (銀次)いいかげんにしろって お前 これだって ちゃんと その女…・ 29 00:04:23,035 --> 00:04:29,041 それにしても おかしいな 確かに いたんだけど 30 00:04:29,041 --> 00:04:32,041 (佐七) 化かされてもいねえようだな 31 00:04:42,054 --> 00:05:02,007 ・~ 32 00:05:02,007 --> 00:05:11,016 ・~ 33 00:05:11,016 --> 00:05:31,036 ・~ 34 00:05:31,036 --> 00:05:51,056 ・~ 35 00:05:51,056 --> 00:06:11,010 ・~ 36 00:06:11,010 --> 00:06:31,030 ・~ 37 00:06:31,030 --> 00:06:34,030 ・~ 38 00:06:40,039 --> 00:06:43,042 (男性)ハハ… 姉ちゃん かわいい 顔してんね (小女)何するの… 39 00:06:43,042 --> 00:06:45,044 (男性)ほら ほうき 使えねえじゃねえか (小女)嫌… 40 00:06:45,044 --> 00:06:47,046 (男性)ハハハ 逃げなくたって いいじゃないか (小女)やめて 41 00:06:47,046 --> 00:06:51,046 兄貴 (男性)いけねえ おい 42 00:06:55,054 --> 00:06:57,054 (小女)ふん 43 00:07:02,995 --> 00:07:08,000 (左近の笑い声) 44 00:07:08,000 --> 00:07:11,003 (左近)うむ 笑い事じゃありませんよ 旦那 45 00:07:11,003 --> 00:07:13,005 (左近)その仏は すこぶるつきの いい女だってんだろ 46 00:07:13,005 --> 00:07:16,008 そうなんですよ ほら よく言うでしょ 47 00:07:16,008 --> 00:07:19,011 髪は 烏の濡れ羽色 目は ぱっちりと 色白で… 48 00:07:19,011 --> 00:07:22,014 鼻筋通って 口元尋常か そう 49 00:07:22,014 --> 00:07:24,016 殺された女は美人と 相場が決まってるんだ 50 00:07:24,016 --> 00:07:26,018 まっ 寝言の続きは 今夜聞くよ 51 00:07:26,018 --> 00:07:29,021 でもねえ 確かに死んでたんですよ 52 00:07:29,021 --> 00:07:31,023 ばか野郎 芝居の死人じゃあるめえし・ 53 00:07:31,023 --> 00:07:33,025 一人で のこのこ歩きだすか 54 00:07:33,025 --> 00:07:37,029 生きてたんじゃねえのか それを お前 いつもの早とちりで 55 00:07:37,029 --> 00:07:41,033 じゃあねえ 何だって 男がね 泡食って逃げ出したりするんですか 56 00:07:41,033 --> 00:07:43,035 なこと 俺が知るか 57 00:07:43,035 --> 00:07:46,038 さんまの干物みてえな 面しやがって 58 00:07:46,038 --> 00:07:49,041 その面見て びっくりして 逃げ出したんだよ 59 00:07:49,041 --> 00:07:52,044 チェッ この土地は たくあん うめえな 60 00:07:52,044 --> 00:07:56,048 とにかく 早くしてくださいよ 本当にもう 61 00:07:56,048 --> 00:07:59,985 もう食い過ぎなんだよ 少し… 62 00:07:59,985 --> 00:08:01,987 さんまの干物みたいなって… 自分だって… 63 00:08:01,987 --> 00:08:04,990 茶漬けでいくか 64 00:08:04,990 --> 00:08:08,994 ねえ 旦那 いいかげんにして… 食うか 干物 65 00:08:08,994 --> 00:08:10,996 そんなもの 食うわけないでしょうが ハハハ 66 00:08:10,996 --> 00:08:12,998 ねえ 旦那 もういいかげん 本当にねえ… 67 00:08:12,998 --> 00:08:15,000 うるさい! 飯ぐらい ゆっくり食わせろ 68 00:08:15,000 --> 00:08:18,003 この野郎 すんません 69 00:08:18,003 --> 00:08:20,003 怒られちったよ 70 00:08:23,008 --> 00:08:26,011 怒ればいいと思って… ふん 71 00:08:26,011 --> 00:08:30,011 ああー 早くしてくれよ 本当に… 72 00:08:32,017 --> 00:08:35,017 うまい うまい ハッ 73 00:08:38,023 --> 00:08:42,027 ああー さてと 74 00:08:42,027 --> 00:08:44,029 行くかな 75 00:08:44,029 --> 00:08:47,032 そうこなくっちゃ いけないよ 旦那 ハハハハ 76 00:08:47,032 --> 00:08:49,034 はい お支度 お支度 ウフフフ 77 00:08:49,034 --> 00:08:52,037 雪隠だ くそー 78 00:08:52,037 --> 00:08:54,039 フフ フフフ 79 00:08:54,039 --> 00:08:56,975 ・(亭主)御免くださいませ おう 80 00:08:56,975 --> 00:08:59,978 (亭主)あっ おたちでございますか おう 世話になったな 81 00:08:59,978 --> 00:09:02,981 (亭主)いや ハハッ ありがとうございます 82 00:09:02,981 --> 00:09:04,983 銀次 払っとけ へい… へい 83 00:09:04,983 --> 00:09:07,983 おう もらっとけ (亭主)はい 84 00:09:10,989 --> 00:09:12,989 (銀次)あれ? 85 00:09:15,994 --> 00:09:18,997 (亭主)あっ いや お勘定など めっそうもない 86 00:09:18,997 --> 00:09:23,997 ハハ いやいや そら… そうはいかねえよ うん 87 00:09:26,004 --> 00:09:30,008 (亭主)お泊まりくださるだけで ならず者が寄りつきません 88 00:09:30,008 --> 00:09:35,013 それを思ったら お勘定など (銀次)あっ そうかい ハハハ… 89 00:09:35,013 --> 00:09:37,013 それもそうだよな 90 00:09:42,020 --> 00:09:44,022 (亭主)ありがとうございました おい 91 00:09:44,022 --> 00:09:46,024 へい 92 00:09:46,024 --> 00:09:49,027 はい はい はいはいはい… はい 93 00:09:49,027 --> 00:09:52,027 (銀次)さあ それ… 94 00:09:57,970 --> 00:09:59,972 (亭主)はい (銀次)あっ これは… 95 00:09:59,972 --> 00:10:01,974 はい はい 96 00:10:01,974 --> 00:10:05,978 <俗に 「八州様」と呼ばれる 関東取締出役は・ 97 00:10:05,978 --> 00:10:12,985 文化2年 160年ほど前に 設けられた特別警察機構である> 98 00:10:12,985 --> 00:10:18,991 <それ以前 関東一帯は 天領 旗本領 大名領 寺社領と・ 99 00:10:18,991 --> 00:10:21,994 領地が こま切れのように 入り乱れ・ 100 00:10:21,994 --> 00:10:25,998 犯罪者の横行に 無警察状態であった> 101 00:10:25,998 --> 00:10:30,002 <幕府は 代官か 手代 手付の中から・ 102 00:10:30,002 --> 00:10:34,006 それぞれ 若者を選び 関東取締出役を生んだ> 103 00:10:34,006 --> 00:10:38,010 <彼らは民衆から 「八州様」と呼ばれ・ 104 00:10:38,010 --> 00:10:43,015 あがめられたが 手当は安く 生活は苦しかった> 105 00:10:43,015 --> 00:10:45,017 (銀次)旦那 旦那 はい よしよし… 106 00:10:45,017 --> 00:10:47,017 ここですよ ここ ここ 107 00:10:56,028 --> 00:10:58,964 べっぴんは ちゃんといるぞ えっ? 108 00:10:58,964 --> 00:11:01,964 またまた からかう 109 00:11:03,969 --> 00:11:07,973 これでもか (銀次)あれ お艶さんじゃないか・ 110 00:11:07,973 --> 00:11:09,975 あ痛っ (お艶)何だねぇ 111 00:11:09,975 --> 00:11:11,977 せっかく いい夢見てたのに 112 00:11:11,977 --> 00:11:14,980 やぶから棒に びっくりするじゃないか 113 00:11:14,980 --> 00:11:17,983 (銀次)痛え (お艶)小山田の旦那 114 00:11:17,983 --> 00:11:20,986 お役目か何か知らないけど 女一人で 寝てるんですからね 115 00:11:20,986 --> 00:11:22,988 入る時ぐらいは 声かけるもんですよ 116 00:11:22,988 --> 00:11:24,990 ゆうべ 六つ半 117 00:11:24,990 --> 00:11:26,992 ここで殺された女が 消えちまったって・ 118 00:11:26,992 --> 00:11:28,994 こいつが言うんだが 119 00:11:28,994 --> 00:11:30,996 まさか お前が からかってるんじゃねえだろうな 120 00:11:30,996 --> 00:11:35,000 私? 私はまだ その時分・ 121 00:11:35,000 --> 00:11:38,000 笠間の町で稼いでましたよ 122 00:11:41,006 --> 00:11:43,008 あ痛っ 123 00:11:43,008 --> 00:11:48,013 あっ でも 旦那 こんな物が落ちてましたよ 124 00:11:48,013 --> 00:11:50,015 ほれ 見ろ 旦那 ほれ 見ろ 125 00:11:50,015 --> 00:11:53,018 この辺りの娘の 持ち物じゃありませんよ 126 00:11:53,018 --> 00:11:55,020 細工といい つけ油の匂いといい 127 00:11:55,020 --> 00:11:59,024 ああ これは常盤香の… あら 128 00:11:59,024 --> 00:12:01,026 (せきばらい) 隅に置けませんね 129 00:12:01,026 --> 00:12:04,029 ヘヘッ ウフッ フフフ… 130 00:12:04,029 --> 00:12:06,031 江戸の者らしいな 131 00:12:06,031 --> 00:12:09,034 いけねえ 佐七も一緒にいたんだ 132 00:12:09,034 --> 00:12:12,037 新兵衛の旦那に 先を越されるかもしれねえ 133 00:12:12,037 --> 00:12:14,039 おい えっ? 134 00:12:14,039 --> 00:12:17,042 新兵衛に任せよう 135 00:12:17,042 --> 00:12:21,042 任せようって… 旦那 136 00:12:25,050 --> 00:12:27,052 (佐七)ねえ 旦那・ 137 00:12:27,052 --> 00:12:30,055 浅野の旦那 見るだけでも 絵馬堂 138 00:12:30,055 --> 00:12:32,057 (新兵衛)いいから 左近に任せておけ・ 139 00:12:32,057 --> 00:12:36,061 先に女を見つけたの銀次じゃねえか (佐七)でも みすみす手柄を 140 00:12:36,061 --> 00:12:39,064 (新兵衛)くどいぞ 佐七 相手は左近だ 141 00:12:39,064 --> 00:12:42,067 やつの手柄を横取りするつもりは 毛頭ない 142 00:12:42,067 --> 00:12:45,070 別に そういうわけじゃねえんで あっ そうそう・ 143 00:12:45,070 --> 00:12:48,073 今度 事件一つにつき 特別のお手当が出るっていう・ 144 00:12:48,073 --> 00:12:50,075 うわさがございますよ そのうわさなら・ 145 00:12:50,075 --> 00:12:52,077 毎年 今頃になると必ず出る 146 00:12:52,077 --> 00:12:58,016 しかし 八州廻りのお手当は お役目が出来て以来 20年・ 147 00:12:58,016 --> 00:13:00,018 上がったためしがない 148 00:13:00,018 --> 00:13:02,018 だ… 旦那 149 00:13:05,023 --> 00:13:07,025 佐七 (佐七)へい 150 00:13:07,025 --> 00:13:09,027 俺たちは つけられてるぜ (佐七)えっ!? 151 00:13:09,027 --> 00:13:13,027 八州の旦那の後をつけるなんて そんな大それた野郎は… 152 00:13:15,033 --> 00:13:18,036 ハッ 何だ お涼さん 153 00:13:18,036 --> 00:13:20,038 (お涼)つけてなんかいませんよ 154 00:13:20,038 --> 00:13:22,040 旦那の行く方に 私も行くだけ 155 00:13:22,040 --> 00:13:29,047 分かってる 目当ては左近 (お涼)そんな 私はただ… 156 00:13:29,047 --> 00:13:31,049 左近の女房に頼まれて・ 157 00:13:31,049 --> 00:13:33,051 浮気の見張りをしている というのは 表向き 158 00:13:33,051 --> 00:13:36,054 そうだろ (お涼)まさか そんな 159 00:13:36,054 --> 00:13:39,057 それとも 左近を口説こうってのか 160 00:13:39,057 --> 00:13:41,059 知らない 161 00:13:41,059 --> 00:13:46,059 (笑い声) 162 00:13:48,066 --> 00:13:52,070 (宿役人)これは お役目御苦労さまでございます・ 163 00:13:52,070 --> 00:13:54,072 お出役様に お取り調べいただきたいことが・ 164 00:13:54,072 --> 00:13:57,008 起こりました うむ 申せ 165 00:13:57,008 --> 00:13:59,010 (宿役人)当宿場内に 変死人がございました 166 00:13:59,010 --> 00:14:01,012 変死人? (宿役人)はい 167 00:14:01,012 --> 00:14:03,014 そりゃあ 旅姿の若い女じゃありませんか 168 00:14:03,014 --> 00:14:06,017 (宿役人)はい 年の頃 21~22・ 169 00:14:06,017 --> 00:14:09,020 この辺りでは あまり見かけない 顔でございまして 170 00:14:09,020 --> 00:14:11,022 旦那 171 00:14:11,022 --> 00:14:13,024 ゆうべの女に違いありません ヘヘッ 172 00:14:13,024 --> 00:14:15,026 やっぱり こっちで手がける 巡り合わせになってんですよ ヘヘ 173 00:14:15,026 --> 00:14:17,028 死骸は そのままに してあるだろうな 174 00:14:17,028 --> 00:14:20,031 はい お出役様が 御検分なさるまではと 175 00:14:20,031 --> 00:14:22,033 案内せい (宿役人)へい 176 00:14:22,033 --> 00:14:24,033 (佐七)ありがてえ 177 00:14:27,038 --> 00:14:29,040 (佐七)おう? 178 00:14:29,040 --> 00:14:32,043 旦那 先越されちゃった 179 00:14:32,043 --> 00:14:36,047 それ見ろ 女がらみと聞いて 左近が遅かったためしがねえ 180 00:14:36,047 --> 00:14:38,047 (宿役人)ほら どいたどいた ・(男性)おっ 181 00:14:40,051 --> 00:14:42,053 (銀次)ほらほら ほら 帰った帰った 見せ物じゃない・ 182 00:14:42,053 --> 00:14:45,056 駄目だっつってんのに ほら ほら 帰れ帰れ 183 00:14:45,056 --> 00:14:49,060 駄目だよ ほら 見せ物じゃないっつってんだろ・ 184 00:14:49,060 --> 00:14:51,062 ほら ほらほら 帰った帰った 見せ物じゃない・ 185 00:14:51,062 --> 00:14:55,066 駄目だっつってんのに ほら ほら 帰れ帰れ 186 00:14:55,066 --> 00:14:57,002 うむ 早いな おう 新兵衛 187 00:14:57,002 --> 00:14:59,004 ゆうべ 絵馬堂から消えたってのは この女か 188 00:14:59,004 --> 00:15:01,006 そうらしいな 189 00:15:01,006 --> 00:15:03,008 (銀次)そうらしいなって 間違いありませんよ 190 00:15:03,008 --> 00:15:05,010 あっしは この着物に ちゃんと見覚えがあるんですから 191 00:15:05,010 --> 00:15:07,012 身元は割れたのか 分からん 192 00:15:07,012 --> 00:15:12,017 手込めにされちゃいねえだろうな うん 乱暴された様子はないな 193 00:15:12,017 --> 00:15:16,021 死因は絞殺か 194 00:15:16,021 --> 00:15:20,025 手荷物は奪われちゃいねえし ちょっと見当がつかないな 195 00:15:20,025 --> 00:15:22,027 ただ 分かってるのは 絵馬堂からここへ・ 196 00:15:22,027 --> 00:15:26,031 仏を運んできたやつが 下手人ってことかな 197 00:15:26,031 --> 00:15:29,034 うん? 198 00:15:29,034 --> 00:15:33,038 この襟の破れは 何だろうな 199 00:15:33,038 --> 00:15:35,040 この穴蔵は (宿役人)はい 200 00:15:35,040 --> 00:15:38,043 焼き物を作る土を掘った 跡でございますが 201 00:15:38,043 --> 00:15:40,045 焼き物の土? (宿役人)はい 202 00:15:40,045 --> 00:15:42,047 持ち主は? (宿役人)多左衛門と申す・ 203 00:15:42,047 --> 00:15:45,050 窯元でございますが もう何年も 掘っておりませんような 204 00:15:45,050 --> 00:15:48,053 旦那 当たってみましょうか あの 多左… (銀次)おい ちょっと待てよ 205 00:15:48,053 --> 00:15:50,055 最初に手ぇ付けたのは こっちが先だからな (佐七)ええ? 206 00:15:50,055 --> 00:15:53,058 (銀次)旦那 じゃあ あの あっしね 一っ走り 行ってまいりやすから 207 00:15:53,058 --> 00:15:55,058 (佐七)ちょちょ… おいおい あっ… 208 00:15:58,997 --> 00:16:03,997 おう 佐七 仏の始末をしろ (佐七)へい 209 00:16:06,004 --> 00:16:09,007 あーあ よいしょ… 210 00:16:09,007 --> 00:16:13,011 あれ? うん? 211 00:16:13,011 --> 00:16:15,013 ちょちょ…・ 212 00:16:15,013 --> 00:16:17,015 だ… 旦那 213 00:16:17,015 --> 00:16:21,015 (佐七)旦那 仏が握ってたもんですが 214 00:16:23,021 --> 00:16:25,021 絹糸だ 215 00:16:35,033 --> 00:16:39,037 だが 江戸の者だったら 通行手形を持ってるはずだ 216 00:16:39,037 --> 00:16:41,039 ああ それもねえし・ 217 00:16:41,039 --> 00:16:44,042 この かんざし1本じゃ 身元の割り出しようもねえや 218 00:16:44,042 --> 00:16:48,046 なあ? どうしたい 219 00:16:48,046 --> 00:16:53,051 いや ただ かんざしには 悪い思い出があるだけだ 220 00:16:53,051 --> 00:16:55,053 そうか 221 00:16:55,053 --> 00:16:58,990 無実で獄死した おふくろさんの 遺品が かんざしだったっていう… 222 00:16:58,990 --> 00:17:00,990 よせ その話は 223 00:17:02,994 --> 00:17:05,997 (店主)お役目 御苦労さまでございます 224 00:17:05,997 --> 00:17:07,997 ああ 225 00:17:10,001 --> 00:17:13,004 桜湯かい はい・ 226 00:17:13,004 --> 00:17:15,006 どうぞ 227 00:17:15,006 --> 00:17:18,009 桜っていや 吉原の桜が 懐かしいなぁ 228 00:17:18,009 --> 00:17:22,013 話には聞くが 見事なものらしいな 229 00:17:22,013 --> 00:17:25,016 お主は 高崎の生まれだから 知るめえが・ 230 00:17:25,016 --> 00:17:28,019 そら また 吉原の夜桜がいいんだな 231 00:17:28,019 --> 00:17:32,023 ・ ちゃちゃん ちゃん ちゃん 吉原や~ 232 00:17:32,023 --> 00:17:34,023 …てなもんだよ ハッ 233 00:17:36,027 --> 00:17:39,030 出役に回されて とんと御無沙汰だ 234 00:17:39,030 --> 00:17:42,033 勘定奉行に恨み事のひとつも 言いてえよ 235 00:17:42,033 --> 00:17:44,035 (ほえる声) 236 00:17:44,035 --> 00:17:46,037 あっ… あっ この野郎 237 00:17:46,037 --> 00:17:48,039 俺 犬 苦手なんだ 頼むよ 頼むよ 238 00:17:48,039 --> 00:17:51,039 よしよし どうした 239 00:17:54,045 --> 00:17:56,047 新兵衛 240 00:17:56,047 --> 00:17:57,982 佐七 あの犬を追え (佐七)へい 241 00:17:57,982 --> 00:18:01,986 あの女の襟の破れは 犬がくわえた跡だったんだ 242 00:18:01,986 --> 00:18:03,988 犬か… おやじ (店主)へい 243 00:18:03,988 --> 00:18:05,990 あの犬の飼い主は誰だ 244 00:18:05,990 --> 00:18:07,992 ああ あれでございますか 245 00:18:07,992 --> 00:18:13,998 あれは この宿外れの 市太郎という焼き物職の飼い犬で 246 00:18:13,998 --> 00:18:17,001 よく言うことを聞く 感心な犬でございますよ 247 00:18:17,001 --> 00:18:19,003 下手人は そいつだな 248 00:18:19,003 --> 00:18:21,005 新兵衛 お主に任した ああ 249 00:18:21,005 --> 00:18:24,008 女と犬に嫌われたことのない お主の出番だ 250 00:18:24,008 --> 00:18:26,010 よし ハハハ 251 00:18:26,010 --> 00:18:28,010 もう一匹 犬がいるぜ 252 00:18:31,015 --> 00:18:34,018 フフッ おい 新兵衛 253 00:18:34,018 --> 00:18:36,020 (せきばらい) 254 00:18:36,020 --> 00:18:38,020 雌犬は もっと苦手だよ 255 00:18:42,026 --> 00:19:01,980 ・~ 256 00:19:01,980 --> 00:19:15,994 ・~ 257 00:19:15,994 --> 00:19:17,996 (佐七)おい ちょっと ちょっと・ 258 00:19:17,996 --> 00:19:19,998 今 ここへ入ったのは てめえの犬だな 259 00:19:19,998 --> 00:19:22,000 (市太郎)へい 260 00:19:22,000 --> 00:19:25,003 御用の筋で尋ねてえことがある 代官所まで来てもらいてえ 261 00:19:25,003 --> 00:19:27,005 (市太郎)な… 何の御用で私が 262 00:19:27,005 --> 00:19:30,008 代官所へ来りゃ 分かる 263 00:19:30,008 --> 00:19:32,010 (市太郎)でも このなりでは… 264 00:19:32,010 --> 00:19:35,010 あの すぐに支度をいたしますので 265 00:19:37,015 --> 00:19:39,017 (佐七)あっ 旦那・ 266 00:19:39,017 --> 00:19:41,019 犬の飼い主は ここでした 今 支度を 267 00:19:41,019 --> 00:19:43,021 ばか野郎 そいつが下手人だ 268 00:19:43,021 --> 00:19:46,024 えっ!? 269 00:19:46,024 --> 00:19:55,033 (ほえる声) 270 00:19:55,033 --> 00:19:56,968 旦那! 旦那! 271 00:19:56,968 --> 00:19:58,968 だ… 旦那 272 00:20:06,978 --> 00:20:09,981 (佐七)あんまり神妙なもんで つい 油断しちまって 273 00:20:09,981 --> 00:20:12,981 宿場の出入りを止めるよう 手配しろ 274 00:20:19,991 --> 00:20:21,993 (佐七)旦那 275 00:20:21,993 --> 00:20:40,011 ・~ 276 00:20:40,011 --> 00:20:43,011 (市太郎)ああっ… ああっ 277 00:20:50,021 --> 00:20:55,021 (市太郎の悲鳴) 278 00:21:02,967 --> 00:21:05,970 (飛来音) (男性)うわっ 279 00:21:05,970 --> 00:21:13,970 (笛の音) 280 00:21:33,998 --> 00:21:40,998 (足音) 281 00:21:51,015 --> 00:21:54,018 (お艶)追われてるんだね お前さん 282 00:21:54,018 --> 00:21:59,023 怪しい者じゃないよ 何したんだい 283 00:21:59,023 --> 00:22:03,027 分からねえ いきなり斬りつけられたんで 284 00:22:03,027 --> 00:22:05,027 ああ ああ… 285 00:22:08,032 --> 00:22:12,036 言いたくなけりゃ 無理には聞かないけど・ 286 00:22:12,036 --> 00:22:17,041 何にもしないのに 斬りつけられたりするもんかね 287 00:22:17,041 --> 00:22:21,045 (足音) 288 00:22:21,045 --> 00:22:23,045 (市太郎)佐七だ! 289 00:22:27,051 --> 00:22:30,054 市太郎 神妙にしろい! (お艶)あんただったの!・ 290 00:22:30,054 --> 00:22:32,054 この人 追っかけてたのは (佐七)何する… 何するんだ 291 00:22:34,058 --> 00:22:38,062 おお 誰かと思えば お艶ではないか 292 00:22:38,062 --> 00:22:40,064 浅野の旦那 293 00:22:40,064 --> 00:22:45,069 フッ お取り調べもなしに いきなり斬りつけるなんて・ 294 00:22:45,069 --> 00:22:48,072 近頃の八州様も とんと不精になったもんですね 295 00:22:48,072 --> 00:22:53,077 何!? 斬りつけた それも 見事に斬り損なうなんて・ 296 00:22:53,077 --> 00:22:57,015 馬庭念流の腕も うわさだけのようですね 297 00:22:57,015 --> 00:23:00,018 斬ったのは 俺ではない えっ? 298 00:23:00,018 --> 00:23:03,021 恐らく 左近も そんなまねはすまい 299 00:23:03,021 --> 00:23:11,021 とすると 他に この男の命を狙う者が… 300 00:23:20,038 --> 00:23:23,041 一晩 泊まって おおかた 頭も冷えたろう 301 00:23:23,041 --> 00:23:26,041 包み隠さず 八州様に申し上げんだ 302 00:23:28,046 --> 00:23:30,048 この野郎 口はねえのか! 303 00:23:30,048 --> 00:23:34,052 佐七 へい 304 00:23:34,052 --> 00:23:36,052 ほら 305 00:23:38,056 --> 00:23:44,056 市太郎 このかんざしに見覚えがあろう 306 00:23:47,065 --> 00:23:49,067 皮肉なことに お前の使っている犬が・ 307 00:23:49,067 --> 00:23:52,070 これをくわえて 案内してくれた お前が 口を割らなくても・ 308 00:23:52,070 --> 00:23:57,008 忠義立てしたつもりのお前の犬が 動かぬ証拠を作ってしまった 309 00:23:57,008 --> 00:24:01,012 いいか お前は 女の首を絞め・ 310 00:24:01,012 --> 00:24:04,015 絵馬堂に置いといては すぐに 人目に付く 311 00:24:04,015 --> 00:24:08,019 そこで 後を追ってきた銀次を まいて 引き返し・ 312 00:24:08,019 --> 00:24:13,024 犬を使って 死骸を運ばせ 今は使っておらぬ穴蔵に隠した 313 00:24:13,024 --> 00:24:16,027 そうであろう ち… 違います 314 00:24:16,027 --> 00:24:18,027 黙れ! いいえ! 315 00:24:20,031 --> 00:24:23,034 殺したのは 確かに 私でございます 316 00:24:23,034 --> 00:24:27,038 でも 犬に運ばせたのではございません 317 00:24:27,038 --> 00:24:31,042 犬が… サブが 勝手に運んできたのでございます 318 00:24:31,042 --> 00:24:34,045 犬が勝手に? はい 319 00:24:34,045 --> 00:24:38,049 サブは お静に よく懐いておりました 320 00:24:38,049 --> 00:24:43,054 お静というのか やっと 口に出たな 321 00:24:43,054 --> 00:24:48,054 (佐七)さあ 何もかも言っちまいな 楽になるぜ 322 00:24:52,063 --> 00:24:58,002 (市太郎)あの穴蔵は お静と よく会っていた場所でございます・ 323 00:24:58,002 --> 00:25:05,009 犬は それを知っていて… なるほど 深い仲だったのだな 324 00:25:05,009 --> 00:25:09,013 (市太郎)はい めおとの約束をしておりました 325 00:25:09,013 --> 00:25:12,013 そのお静を なぜ殺した! 326 00:25:18,022 --> 00:25:21,025 (市太郎) 嫉妬のあまり 思わず 首を… 327 00:25:21,025 --> 00:25:23,025 嫉妬? 328 00:25:26,030 --> 00:25:31,035 お静は 笠間の在の繭商人の娘ですが・ 329 00:25:31,035 --> 00:25:37,035 ふとしたことから知り合いになり めおとの約束をしておりました 330 00:25:39,043 --> 00:25:41,045 ところが 1年前・ 331 00:25:41,045 --> 00:25:46,045 江戸のさる身分の高いお旗本に 女中奉公に上がることになり… 332 00:25:48,052 --> 00:25:53,057 《きっとだぞ きっと めおとになるんだ》 333 00:25:53,057 --> 00:25:56,060 《おら 待ってる 1年でも2年でも》 334 00:25:56,060 --> 00:25:59,997 《それまでは 雌と名の付くものは 膝へも乗せねえ》 335 00:25:59,997 --> 00:26:02,997 (お静)《うれしい… 市太郎さん》 336 00:26:05,002 --> 00:26:12,009 (市太郎)それから ちょうど半年目 一昨日の晩でした 337 00:26:12,009 --> 00:26:16,013 お静が 急に暇を取って 帰ってきたのでございます 338 00:26:16,013 --> 00:26:20,017 (お静) 《お願い 私と一緒に逃げて》 339 00:26:20,017 --> 00:26:24,021 《逃げてって お前 出し抜けに 一体どうしたっていうんだい》 340 00:26:24,021 --> 00:26:31,028 (お静)《私 お屋敷を 飛び出してきてしまった》 341 00:26:31,028 --> 00:26:36,028 (市太郎)《お前 そんなことして おとがめはねえのかい》 342 00:26:38,035 --> 00:26:42,039 (お静)《どんな目に遭うか 知れないけど・ 343 00:26:42,039 --> 00:26:46,039 どうしても辛抱できなかったの》 344 00:26:49,046 --> 00:26:53,050 《女中仲間に いじめられでもしたのかい》・ 345 00:26:53,050 --> 00:26:57,989 《お静ちゃんみてえ辛抱のいい子が こんなこと しでかすなんて・ 346 00:26:57,989 --> 00:27:01,993 よくよく つれえことがあったんだな》 347 00:27:01,993 --> 00:27:03,993 《市太郎さん!》 348 00:27:05,997 --> 00:27:07,999 《心配することはねえ》・ 349 00:27:07,999 --> 00:27:13,004 《おら お前となら どこへだって行くぜ》 350 00:27:13,004 --> 00:27:21,012 《うれしい… 私を離さないでちょうだい》 351 00:27:21,012 --> 00:27:24,015 (市太郎) 《死んだって離すもんかい》 352 00:27:24,015 --> 00:27:26,015 《市さん》 353 00:27:34,025 --> 00:27:36,027 《あっ…》 354 00:27:36,027 --> 00:27:38,029 (市太郎) 《どうしたんだ そのあざは》 355 00:27:38,029 --> 00:27:40,031 (お静)《何でもないの》 356 00:27:40,031 --> 00:27:42,033 (市太郎)《何でもないもの どうして隠したりするんだい》 357 00:27:42,033 --> 00:27:45,033 《お願い 何にも聞かないで》 358 00:27:48,039 --> 00:27:50,041 (市太郎)《お前…》 359 00:27:50,041 --> 00:27:54,041 (お静)《お願い やめて… お願い! あっ!》 360 00:28:05,990 --> 00:28:07,992 《お静》 361 00:28:07,992 --> 00:28:12,997 (お静の泣き声) 362 00:28:12,997 --> 00:28:18,002 (市太郎)《どうしたんだ なぜ泣いたりするんだ》 363 00:28:18,002 --> 00:28:22,006 (お静の泣き声) (市太郎)《お静!》・ 364 00:28:22,006 --> 00:28:24,006 《泣いてたんじゃ 分からないじゃないか》 365 00:28:27,011 --> 00:28:30,011 (お静)《殿様が…》 (市太郎)《えっ?》 366 00:28:33,017 --> 00:28:35,019 (市太郎)《殿様が…》 367 00:28:35,019 --> 00:28:39,023 (お静の泣き声) 368 00:28:39,023 --> 00:28:42,026 《堪忍して!》 369 00:28:42,026 --> 00:28:48,026 (お静の泣き声) 370 00:28:53,037 --> 00:28:58,037 お静は 隠しきれず 殿様の ねやのお振る舞いを話しました 371 00:29:01,979 --> 00:29:03,981 (市太郎)その殿様は・ 372 00:29:03,981 --> 00:29:06,984 尋常なお振る舞いでは 思いが遂げられぬとかで・ 373 00:29:06,984 --> 00:29:09,987 毎晩のように お静を縛り上げたうえ・ 374 00:29:09,987 --> 00:29:14,987 裸にして 殴ったり蹴ったり むちで打ったりしたあげくに… 375 00:29:19,997 --> 00:29:26,003 そのつらさから 逃げ出してきた というのでございます 376 00:29:26,003 --> 00:29:29,006 かわいそうにと 抱き締めていた腕が・ 377 00:29:29,006 --> 00:29:36,006 いつか 嫉妬に変わり 思わず 首を絞めてしまったのでございます 378 00:29:40,017 --> 00:29:44,021 気が付いた時 お静は ぐったりとなっていました 379 00:29:44,021 --> 00:29:46,021 《くっ…》 380 00:30:02,973 --> 00:30:06,973 (市太郎)《お静 お静!》 381 00:30:30,000 --> 00:30:33,003 お静の死体が 穴蔵で見つかったと聞いたのは・ 382 00:30:33,003 --> 00:30:38,008 八州様の 御検分のあとでございました 383 00:30:38,008 --> 00:30:40,010 もしかしたら 分からずに済むかと思い・ 384 00:30:40,010 --> 00:30:43,013 あのように 逃げ回ったのでございますが・ 385 00:30:43,013 --> 00:30:48,018 今となっては いっときも早く お静の所へ行きとうございます 386 00:30:48,018 --> 00:30:50,018 その必要はない 387 00:30:53,023 --> 00:30:57,962 お前一人 そう思い込んでるだけで 下手人は 他にいる 388 00:30:57,962 --> 00:31:00,962 それは 誠のことでございますか うん 389 00:31:03,968 --> 00:31:09,974 この絹糸は 羽織のひものようだが お前のか? 390 00:31:09,974 --> 00:31:13,978 いいえ 職人風情が そんな上等な物を… 391 00:31:13,978 --> 00:31:18,983 死んだお静が握っていたのだ 死んでから 握れるわけあるまい 392 00:31:18,983 --> 00:31:21,986 昨夜 お前に いきなり斬りつけ・ 393 00:31:21,986 --> 00:31:27,992 その左手に傷を負わせた男が この持ち主… つまり 下手人だ 394 00:31:27,992 --> 00:31:30,995 お静が 奉公に上がった・ 395 00:31:30,995 --> 00:31:34,999 身分が高いとかいう旗本の 関わり合いだろう 396 00:31:34,999 --> 00:31:38,002 (市太郎) では 殿様の尋常でない行状が・ 397 00:31:38,002 --> 00:31:42,006 世間に知れてはと? なるほど 398 00:31:42,006 --> 00:31:47,011 すると 下手人は 江戸から お静を追ってきた 399 00:31:47,011 --> 00:31:50,014 絵馬堂で追いつくと お前と お静が いさかいを始めた 400 00:31:50,014 --> 00:31:52,016 そのあげく・ 401 00:31:52,016 --> 00:31:56,020 お前は お静の首を絞め 殺したと思って 逃げた 402 00:31:56,020 --> 00:32:01,025 下手人も恐らく お静が 死んだものと思ったのかもしれん 403 00:32:01,025 --> 00:32:03,027 その時ですね 銀次が 市太郎を追いかけたのは 404 00:32:03,027 --> 00:32:06,030 恐らく 下手人も それを見ていたのだろう 405 00:32:06,030 --> 00:32:10,034 ところが 死んだと思ったお静が 息を吹き返した 406 00:32:10,034 --> 00:32:13,037 下手人は とっさに お静の首を絞めた 407 00:32:13,037 --> 00:32:16,040 疑いは 間違いなく お前にかかると思ったからだ 408 00:32:16,040 --> 00:32:19,043 じゃあ なぜ こいつを斬ろうとしたんですか 409 00:32:19,043 --> 00:32:23,047 すぐに お縄に掛かると思っていた お前が 逃げ回っている 410 00:32:23,047 --> 00:32:26,047 いっそ 斬ってしまえば 秘密が 漏れなくて済む 411 00:32:29,053 --> 00:32:32,056 よほどの地位の方らしいが・ 412 00:32:32,056 --> 00:32:37,056 一体 その身分の高い 殿様というのは 何というお人だ 413 00:32:39,063 --> 00:32:41,065 ・ 新兵衛 やめとけ 414 00:32:41,065 --> 00:32:45,065 聞いたって無駄だ 今 何と言った 415 00:32:52,076 --> 00:32:54,078 そんな理不尽 聞く耳 持たん 416 00:32:54,078 --> 00:32:58,078 文句があるなら 江戸から来た用人に言え 417 00:33:06,023 --> 00:33:08,025 (ため息) 418 00:33:08,025 --> 00:33:28,045 ・~ 419 00:33:28,045 --> 00:33:39,056 ・~ 420 00:33:39,056 --> 00:33:41,058 (河合) 何度 同じことを言わせるのだ 421 00:33:41,058 --> 00:33:45,062 下手人 市太郎を 直ちに 江戸送りにいたすよう・ 422 00:33:45,062 --> 00:33:48,065 勘定奉行からのお達しだ 市太郎は 下手人ではありません 423 00:33:48,065 --> 00:33:52,069 下手人であろうとなかろうと 送れと言われたら 送ればいいのだ 424 00:33:52,069 --> 00:33:54,071 そんな無体な 425 00:33:54,071 --> 00:33:58,008 勘定奉行様のお言葉に 無体などということはない 426 00:33:58,008 --> 00:34:00,010 しかし 河合殿・ 427 00:34:00,010 --> 00:34:02,012 現に 無実の者を 下手人に仕立てるようなことが・ 428 00:34:02,012 --> 00:34:04,014 無体でなくて… 黙れ黙れ! 429 00:34:04,014 --> 00:34:10,020 八州取締は 勘定奉行の配下だと いうことを忘れるな 430 00:34:10,020 --> 00:34:14,020 市太郎 江戸送り 承知したな? 431 00:34:18,028 --> 00:34:24,034 河合殿! 浅野 これは 理屈ではないのだ 432 00:34:24,034 --> 00:34:27,037 勘定奉行様の書状によると・ 433 00:34:27,037 --> 00:34:30,040 殺されたお静の主人というのは 5, 000石のお旗本で・ 434 00:34:30,040 --> 00:34:33,043 御公儀の要職に 就かれておるということだ 435 00:34:33,043 --> 00:34:36,046 けんかのできる相手ではない 436 00:34:36,046 --> 00:34:40,050 それに わざわざ 御用人が 出向いてこられてのお達しだ 437 00:34:40,050 --> 00:34:44,054 こういうときには 素直になるのが 大人の分別というもんだ 438 00:34:44,054 --> 00:34:48,058 しかし たとえ 焼き物職といっても 人に変わりありません 439 00:34:48,058 --> 00:34:50,060 まして 無実と分かりながら… 言うな! 440 00:34:50,060 --> 00:34:53,063 わしは お前に相談をしているのではない 441 00:34:53,063 --> 00:34:56,063 上役としての下知だ 442 00:35:02,005 --> 00:35:04,007 (ため息) 443 00:35:04,007 --> 00:35:06,009 いよーい! 444 00:35:06,009 --> 00:35:08,011 (太鼓) 445 00:35:08,011 --> 00:35:11,014 そーら! 446 00:35:11,014 --> 00:35:13,016 (三味線) 447 00:35:13,016 --> 00:35:24,027 (女性)・ 磯で名所は 448 00:35:24,027 --> 00:35:36,039 ・ 大洗様よ 449 00:35:36,039 --> 00:35:40,043 (女性たち)・ ハーサイショネ 450 00:35:40,043 --> 00:35:53,056 ・ 松が見えます ほのぼのと 451 00:35:53,056 --> 00:35:55,058 (女性たち)・ 松がね 452 00:35:55,058 --> 00:35:57,995 やめろ! 453 00:35:57,995 --> 00:36:01,999 何だ何だ やれやれ やれよ おい おい ちょっと待てよ 454 00:36:01,999 --> 00:36:06,003 おい 行くなよ おい ・ 大洗様… 455 00:36:06,003 --> 00:36:13,003 お前も やぼなやつだなぁ おっ おい ちょっと待て! おい! 456 00:36:16,013 --> 00:36:19,016 新兵衛・ 457 00:36:19,016 --> 00:36:22,016 嫌なことは きれいさっぱり忘れるんだ 458 00:36:25,022 --> 00:36:28,025 あー 459 00:36:28,025 --> 00:36:34,025 ・ 磯で名所は 大洗様よっと これ ハハッ ハァ… 460 00:36:37,034 --> 00:36:43,040 俺は はなっから この一件は 気が進まなかったんだ 461 00:36:43,040 --> 00:36:46,043 おい 462 00:36:46,043 --> 00:36:52,049 よそう ハァ… いくら飲んでも 酔えそうもない 463 00:36:52,049 --> 00:36:56,053 いや 上からの圧力に 屈するわけではないが・ 464 00:36:56,053 --> 00:36:59,990 罪もない者を 下手人に 仕立てることが 我慢できんのだ 465 00:36:59,990 --> 00:37:02,993 勘違いしないでくれ こうしてたからって・ 466 00:37:02,993 --> 00:37:06,997 お奉行の言うことを 丸のみにしたわけじゃねえ 467 00:37:06,997 --> 00:37:11,001 手だてを考えてるのよ 468 00:37:11,001 --> 00:37:14,004 左近 ええ? 469 00:37:14,004 --> 00:37:21,011 俺の父が 無実の罪を背負わされて 山崎の家は お取り潰しになった 470 00:37:21,011 --> 00:37:24,014 母は ろう内で病死 471 00:37:24,014 --> 00:37:29,019 父は そのあとを追って 舌をかみ切って死んだ 472 00:37:29,019 --> 00:37:31,021 俺は 5つの時・ 473 00:37:31,021 --> 00:37:34,024 浅野家へ養子に出されたから 生きているようなものの・ 474 00:37:34,024 --> 00:37:36,024 両親のことは 忘れたことはない 475 00:37:38,028 --> 00:37:43,033 無実で 罪に落とされることが どんなに悲惨なものか 476 00:37:43,033 --> 00:37:46,036 それを思うと・ 477 00:37:46,036 --> 00:37:50,040 いかに お奉行のお達しとはいえ うのみにはできんのだ 478 00:37:50,040 --> 00:37:54,044 (笛の音) 479 00:37:54,044 --> 00:37:56,046 あれ お艶だな 480 00:37:56,046 --> 00:38:00,984 よーし あいつでも呼んで 飲み直すか なっ? ハハッ 481 00:38:00,984 --> 00:38:05,989 それにしてもよ 黙って 上役の言いなりになってりゃ・ 482 00:38:05,989 --> 00:38:07,991 結構 手柄になったのになぁ 483 00:38:07,991 --> 00:38:12,996 それをやらねえところが うちの旦那の骨っぽいところよ 484 00:38:12,996 --> 00:38:14,998 ちょっと待てよ この野郎 それじゃ お前・ 485 00:38:14,998 --> 00:38:18,001 まるっきり うちの旦那が 骨抜きみてえに聞こえるぞ 486 00:38:18,001 --> 00:38:21,004 ハハッ そうは言ってねえよ 487 00:38:21,004 --> 00:38:23,006 言ってねえ? じゃあ どう… 488 00:38:23,006 --> 00:38:26,009 やっぱり言ってんじゃねえか この… 痛っ (佐七)言ってねえよ 489 00:38:26,009 --> 00:38:28,011 てめえ ひっぱたいたな この野郎 490 00:38:28,011 --> 00:38:31,014 (お艶)何 もめてんだい ばかなこと およしよ 491 00:38:31,014 --> 00:38:33,016 旦那方 2階かい? (銀次)2階にいる 2階に 492 00:38:33,016 --> 00:38:38,016 さあさあ 一杯どうぞ はい はい 493 00:38:51,034 --> 00:38:54,037 (お艶)こんばんは ・ うん 494 00:38:54,037 --> 00:38:57,975 うん うん… 495 00:38:57,975 --> 00:39:02,975 何か 浮かないお顔ですね お二人とも 496 00:39:05,983 --> 00:39:09,987 お静殺しの一件ですね えっ? 497 00:39:09,987 --> 00:39:12,990 聞けば 相手は 5, 000石のお旗本とか 498 00:39:12,990 --> 00:39:14,992 いかな 八州様でも・ 499 00:39:14,992 --> 00:39:17,992 泣き寝入りするより しょうがないんでしょうね 500 00:39:19,997 --> 00:39:24,001 お前 どこで そのことを さあ… 渡り芸人なんかしてると・ 501 00:39:24,001 --> 00:39:26,003 どっからともなく 耳に入ってくるもんでしてね 502 00:39:26,003 --> 00:39:30,007 こいつ たきつけに来たのか 503 00:39:30,007 --> 00:39:34,007 どうも お前は えたいの 知れねえところがあるな うん 504 00:39:36,013 --> 00:39:41,018 まさか 黙って引き下がる お二人じゃないんでしょうね 505 00:39:41,018 --> 00:39:50,027 ところが 手も足も出ねえんだ 何か いい手だてはねえかな 506 00:39:50,027 --> 00:39:53,030 江戸へ送れって言ってんでしょ 素直に 送ったらいいんですよ 507 00:39:53,030 --> 00:39:56,967 ばか野郎 それができねえから 頭 抱えてんじゃねえか 508 00:39:56,967 --> 00:39:59,970 でも 八方塞がりの時は・ 509 00:39:59,970 --> 00:40:02,973 相手の尻馬に乗ってみるのも 一つの手だって・ 510 00:40:02,973 --> 00:40:05,973 お二人の口癖じゃないんですか 511 00:40:07,978 --> 00:40:09,978 うっ… 512 00:40:13,984 --> 00:40:15,986 死んだお静も かわいそうだが・ 513 00:40:15,986 --> 00:40:19,990 市太郎も 不幸な星の下に生まれたもんだ 514 00:40:19,990 --> 00:40:24,990 あいつは 俺たちが助けたとしても お静の後を追うかもしれねえ 515 00:40:31,001 --> 00:40:33,001 なあ? 516 00:40:43,013 --> 00:41:02,966 ・~ 517 00:41:02,966 --> 00:41:12,976 ・~ 518 00:41:12,976 --> 00:41:16,980 (男性たちの気合い) 519 00:41:16,980 --> 00:41:18,982 (役人)ううっ! おっ (河合)お主たちは 引け 520 00:41:18,982 --> 00:41:20,984 (役人たち)しかし… (河合)いいから 引け 521 00:41:20,984 --> 00:41:23,987 (男性)おのれ! (男性たちの気合い) 522 00:41:23,987 --> 00:41:29,993 待った! 唐丸破りは 獄門だぞ! 523 00:41:29,993 --> 00:41:32,996 静まれ! 静まれ! 524 00:41:32,996 --> 00:41:34,998 (気合い) 525 00:41:34,998 --> 00:41:41,004 よもや てめえたちは 5, 000石の 旗本衆の御家来衆じゃあるめえな 526 00:41:41,004 --> 00:41:45,008 てめえたちの恥を隠すために 勘定奉行まで抱き込んで・ 527 00:41:45,008 --> 00:41:47,010 江戸送りを催促させ・ 528 00:41:47,010 --> 00:41:51,014 途中で 市太郎を口封じに ばっさりって魂胆だろうが… 529 00:41:51,014 --> 00:41:53,016 (男性の気合い) やあ! 530 00:41:53,016 --> 00:41:55,018 そうは 問屋が卸さねえ 531 00:41:55,018 --> 00:41:59,022 (男性たちの気合い) 532 00:41:59,022 --> 00:42:01,024 御免 533 00:42:01,024 --> 00:42:04,027 お静が握っていた絹糸は この羽織のひもと同一 534 00:42:04,027 --> 00:42:07,030 河合殿 絵馬堂でお静を殺したのは お手前だろう? 535 00:42:07,030 --> 00:42:09,032 (河合)何を証拠に 536 00:42:09,032 --> 00:42:11,032 (男性の気合い) 537 00:42:16,039 --> 00:42:19,042 斬れ! 斬れ! (男性の気合い) 538 00:42:19,042 --> 00:42:39,062 ・~ 539 00:42:39,062 --> 00:42:59,015 ・~ 540 00:42:59,015 --> 00:43:10,026 ・~ 541 00:43:10,026 --> 00:43:13,026 お… おい! (市太郎)お静の敵! 542 00:43:18,034 --> 00:43:21,034 うっ! ああっ… 543 00:43:24,040 --> 00:43:28,040 (河合のうめき声) 544 00:43:35,051 --> 00:43:49,051 (市太郎の泣き声) 545 00:43:58,008 --> 00:44:03,013 おい 少しは 胸のつかえが取れたな 546 00:44:03,013 --> 00:44:05,015 左近 うん? 547 00:44:05,015 --> 00:44:07,017 あの家来ども どうする 548 00:44:07,017 --> 00:44:10,020 なーに 俺たちが しょっぴかなくたって・ 549 00:44:10,020 --> 00:44:14,024 いずれ あいつらも殿様から おとがめを受けるだろうよ 550 00:44:14,024 --> 00:44:18,028 おとがめといや 俺たちも 覚悟しなくちゃならんだろうな 551 00:44:18,028 --> 00:44:23,033 ハハハッ! だから お主は くそ真面目だっていうんだよ 552 00:44:23,033 --> 00:44:28,038 天下の直参で5, 000石取りっていや いずれ 公儀の要職に就いてらぁ 553 00:44:28,038 --> 00:44:30,040 それが 妙に 俺たちをとがめ立てしてみろ 554 00:44:30,040 --> 00:44:33,043 その殿様は てめえの恥を 世間にさらせるようなもんだ 555 00:44:33,043 --> 00:44:35,045 いや 殿様だけじゃねえ 556 00:44:35,045 --> 00:44:39,049 そうなりゃ 公儀の威信も 地に落ちるってもんだ 557 00:44:39,049 --> 00:44:42,052 第一 それだけの地位にいりゃ 周りは 敵だらけだ 558 00:44:42,052 --> 00:44:45,055 まさか 5, 000石取りの偉いさんが・ 559 00:44:45,055 --> 00:44:47,057 20両5人扶持と 刺し違えるわけがねえ 560 00:44:47,057 --> 00:44:52,062 こっちも その覚悟だったんだが 当てが外れたか 561 00:44:52,062 --> 00:44:54,064 うーん… 562 00:44:54,064 --> 00:44:57,000 刺し違えるようなのがいりゃ これはこれで大人物だが・ 563 00:44:57,000 --> 00:45:01,004 なーに 上には そんな骨っぽいのはいねえよ 564 00:45:01,004 --> 00:45:05,008 だから 俺たち下っ端も 推して知るべしだ ハッ 565 00:45:05,008 --> 00:45:19,022 ・(市太郎の泣き声) 566 00:45:19,022 --> 00:45:24,022 (市太郎の泣き声) 567 00:45:40,043 --> 00:45:47,050 それを持ってるために 一生 悲しい思いをするかもしれんが・ 568 00:45:47,050 --> 00:45:51,054 それもいいだろう お静への供養だと思ってやるんだな 569 00:45:51,054 --> 00:45:56,059 ありがとうございます ありがとうございます 570 00:45:56,059 --> 00:46:00,997 ありがとうございます ううっ… 571 00:46:00,997 --> 00:46:06,002 いいから 早く行け はい 572 00:46:06,002 --> 00:46:26,022 ・~ 573 00:46:26,022 --> 00:46:30,026 ・~ 574 00:46:30,026 --> 00:46:32,028 旦那 575 00:46:32,028 --> 00:46:36,028 銀次 馬 馬! 早くしろ 576 00:46:46,042 --> 00:46:49,045 左近 ゆうべの地酒 良くなかったな 577 00:46:49,045 --> 00:46:53,049 ああ そのせいか 少し動きが鈍かったな ハハッ 578 00:46:53,049 --> 00:46:56,052 お主 なかなかの太刀筋だったぞ ハハハッ 579 00:46:56,052 --> 00:46:59,989 ああ 俺には 雌犬よりましよ ハハハッ 580 00:46:59,989 --> 00:47:04,994 (一同の笑い声) 581 00:47:04,994 --> 00:47:17,006 ・~ 582 00:47:17,006 --> 00:47:19,008 フッ なかなかやるじゃない 八州も 583 00:47:19,008 --> 00:47:23,012 先が思いやられるわ 584 00:47:23,012 --> 00:47:27,016 <関東取締出役の 御用日記によれば・ 585 00:47:27,016 --> 00:47:32,021 お静殺しの下手人は 江戸送りの際 益子宿の宿外れで・ 586 00:47:32,021 --> 00:47:37,026 唐丸籠破りのかどにより 斬って捨てたと記され・ 587 00:47:37,026 --> 00:47:41,026 その書役は 不明となっている>