1 00:01:23,106 --> 00:01:27,110 <関東の八つの国 いわゆる 関八州は➡ 2 00:01:27,110 --> 00:01:31,114 公儀 旗本 大名の領地が 複雑に入り組み➡ 3 00:01:31,114 --> 00:01:35,118 犯罪取締りの難しい地域であった> 4 00:01:35,118 --> 00:01:40,123 <公儀は 関八州の巡察と 犯罪摘発取締りのため➡ 5 00:01:40,123 --> 00:01:47,130 勘定奉行配下に裁量権を持った 関東取締出役を置いた> 6 00:01:47,130 --> 00:01:49,130 <俗に言う 八州廻りである> 7 00:01:56,139 --> 00:02:09,152 ♬~ 8 00:02:09,152 --> 00:02:11,152 (八重)《父上》 9 00:02:15,158 --> 00:02:20,163 <八州廻りの廻村の期間は およそ40~50日> 10 00:02:20,163 --> 00:02:26,163 <一旦 江戸に戻り 一休みして 出かけるという行動を繰り返す> 11 00:02:34,111 --> 00:02:36,111 (五兵衛)よっ… 12 00:02:43,120 --> 00:02:45,120 (十兵衛の ため息) 13 00:02:51,128 --> 00:02:56,133 (十兵衛)懐かしの我が家に戻っても 迎える人なしか… 14 00:02:56,133 --> 00:02:59,136 いやぁ ちょいと わびしいな 15 00:02:59,136 --> 00:03:02,139 (五兵衛)いえ 八重様が みえてますよ 16 00:03:02,139 --> 00:03:05,142 えっ!? 17 00:03:05,142 --> 00:03:10,147 八重 どうした こっち おいで 18 00:03:10,147 --> 00:03:12,149 (五兵衛)恥ずかしいんですよ 19 00:03:12,149 --> 00:03:16,153 (五兵衛)何せもう ひとつき以上も お会いしてないんですから 20 00:03:16,153 --> 00:03:23,153 八重 鴻巣から土産があるぞ ほれ あっ 金太郎だ なっ? 21 00:03:26,096 --> 00:03:28,096 しー… 22 00:03:35,105 --> 00:03:37,107 わっ! あっ… いない! どこ行った! 23 00:03:37,107 --> 00:03:40,110 あっ 見つけた! さあ 鬼ごっこだ 捕まえるぞ! 24 00:03:40,110 --> 00:03:42,112 ≪(八重の悲鳴) 八重! ほら! 25 00:03:42,112 --> 00:03:46,116 逃げるなよ 鬼が捕まえに行くぞ おっ! おっ おっ… 26 00:03:46,116 --> 00:03:49,119 よいしょ! おっと! 逃げたな (五兵衛)ハハッ 27 00:03:49,119 --> 00:03:51,121 (登喜)こら! ≪ 待て待て待て 28 00:03:51,121 --> 00:03:53,123 (登喜)とうとう 捕まえたぞ 29 00:03:53,123 --> 00:03:56,126 駄目だ 駄目だ 鬼は私だ (登喜)十兵衛殿 30 00:03:56,126 --> 00:03:59,129 何をしてらっしゃるんですか? 年がいもなく 31 00:03:59,129 --> 00:04:02,132 これは 姉上 ただいま帰りました 32 00:04:02,132 --> 00:04:05,132 おかえりなされませ 33 00:04:07,137 --> 00:04:12,142 (五兵衛)待て待て… よいしょ あら あー… 次は 捕まえますよ 待て! 34 00:04:12,142 --> 00:04:15,145 元気に育ってますな 35 00:04:15,145 --> 00:04:20,150 捕まえますよ よいしょ! あれ? 待て! 36 00:04:20,150 --> 00:04:23,086 (登喜)何を他人ごとみたいに…➡ 37 00:04:23,086 --> 00:04:28,091 今朝方 目を離した隙に 姿をくらましてしまったのです 38 00:04:28,091 --> 00:04:30,093 全く もう 心配ばかりかけて➡ 39 00:04:30,093 --> 00:04:32,095 そういうところは あなたと そっくり 40 00:04:32,095 --> 00:04:37,100 いや 私は心配など… かけてますとも 41 00:04:37,100 --> 00:04:41,104 いまだに独り身なのが 何より 心配の種 42 00:04:41,104 --> 00:04:43,106 そう思って お見合いの席を設ければ➡ 43 00:04:43,106 --> 00:04:45,108 すっぽかして けろりとしてる 44 00:04:45,108 --> 00:04:51,114 いや… 嫁ぐらい 自分で探しますよ 45 00:04:51,114 --> 00:04:55,118 まあ おっしゃいますわね! 46 00:04:55,118 --> 00:05:01,118 そんな かい性がおありになるの? まっ お手並み拝見 47 00:05:04,127 --> 00:05:06,127 (ため息) 48 00:05:11,134 --> 00:05:13,136 (川端の ため息) 49 00:05:13,136 --> 00:05:17,140 (川端)実はのう 急を要することが起こった 50 00:05:17,140 --> 00:05:23,080 北辰一刀流の 千葉周作を知っておるな はい 51 00:05:23,080 --> 00:05:28,080 まだ 会ったことは ありませぬが なかなかの達人らしいのう 52 00:05:30,087 --> 00:05:35,092 <千葉周作は 上州界わいに出没し 近在の武芸者➡ 53 00:05:35,092 --> 00:05:40,097 特に野田天流の高弟たちを 次から次へと打ち負かし➡ 54 00:05:40,097 --> 00:05:43,100 名をはせていた> 55 00:05:43,100 --> 00:05:46,103 (男性)やーっ! ぐっ… (男性たち)おっ くそー! やれい 56 00:05:46,103 --> 00:05:48,103 (男性の うめき声) (男性たち)くそーっ! やれい! 57 00:05:50,107 --> 00:05:53,107 (男性たち)やーっ! ええい! あっ… 58 00:05:56,113 --> 00:05:58,115 (男性)やーっ! ああっ! 59 00:05:58,115 --> 00:06:01,118 (男性たちの うめき声) 60 00:06:01,118 --> 00:06:03,120 (男性)おのれ! やーっ! ああっ! (周作)やーっ! 61 00:06:03,120 --> 00:06:10,127 千葉周作と上州 野田天流の確執は 聞いておりますが (川端)うむ 62 00:06:10,127 --> 00:06:16,133 それが にわかに 不穏な様相を呈してきたのだ 63 00:06:16,133 --> 00:06:21,138 周作はじめ門下一同 その数 既に100名にも及ぶというが➡ 64 00:06:21,138 --> 00:06:27,077 それぞれの姓名を列挙した額を 伊香保神社に奉納するとかで➡ 65 00:06:27,077 --> 00:06:32,082 これに 地元 上州 野田天流の者たちが 猛反発➡ 66 00:06:32,082 --> 00:06:37,087 両者は 今 険悪な状態にあるとか…➡ 67 00:06:37,087 --> 00:06:40,090 まあ 実際のところ➡ 68 00:06:40,090 --> 00:06:46,096 周作の門人 100人余り 対する野田天流は➡ 69 00:06:46,096 --> 00:06:49,099 何人かは知らぬが 100や200ということはなかろう➡ 70 00:06:49,099 --> 00:06:53,103 これらの者どもが 入り乱れて争うと… 71 00:06:53,103 --> 00:06:58,108 まあ 前代未聞 御開府以来の騒動となる 72 00:06:58,108 --> 00:07:03,113 まさか 私に また 上州に たてと申されるのでは? 73 00:07:03,113 --> 00:07:05,113 うん? 74 00:07:07,117 --> 00:07:11,117 まっ 場所を変えて じっくり話し合おう ハッ 75 00:07:13,123 --> 00:07:18,123 (川端)どうだ 存分にやってくれ 頂戴いたします 76 00:07:20,130 --> 00:07:22,065 おう 十兵衛 はっ 77 00:07:22,065 --> 00:07:24,067 お主 天真一刀流➡ 78 00:07:24,067 --> 00:07:28,071 寺田五郎右衛門先生の 門下であったな はい 79 00:07:28,071 --> 00:07:34,077 ああ わしも若いころ… さーっ! さーっ! 80 00:07:34,077 --> 00:07:37,080 寺田先生に 教えを請うたことがある 81 00:07:37,080 --> 00:07:43,086 …ということは わしは お主の兄弟子に当たる 82 00:07:43,086 --> 00:07:45,088 はい うん 83 00:07:45,088 --> 00:07:48,091 あれ? 川端様は➡ 84 00:07:48,091 --> 00:07:52,095 僅か ひとつきで 道場を 逃げ出したと聞いておりますが 85 00:07:52,095 --> 00:07:56,095 それを言うな! それを… 86 00:07:58,101 --> 00:08:03,106 実は その寺田先生から 手紙が届いた 87 00:08:03,106 --> 00:08:06,109 先生のお体の具合は? うむ 88 00:08:06,109 --> 00:08:09,112 相変わらず 寝たり起きたりらしい そうですか… 89 00:08:09,112 --> 00:08:15,118 今度の一件では 殊の外 胸を痛めておられる 90 00:08:15,118 --> 00:08:18,121 それで 先生のおっしゃるに➡ 91 00:08:18,121 --> 00:08:22,058 周作に これ以上 他人の庭を 荒らすことのないよう➡ 92 00:08:22,058 --> 00:08:30,066 まして 上州のへそともいえる 伊香保の神社に掲額などという➡ 93 00:08:30,066 --> 00:08:33,069 いたずらに 騒動を 引き起こすような 愚かなまねは➡ 94 00:08:33,069 --> 00:08:37,073 即刻 中止するよう 申し聞かせよと… 95 00:08:37,073 --> 00:08:42,078 しかし 周作が 聞き入れますかどうか… 96 00:08:42,078 --> 00:08:45,081 まあまあ それ… あっ… 恐れ入ります 97 00:08:45,081 --> 00:08:50,086 役人風を吹かせて 脅すのだ 98 00:08:50,086 --> 00:08:52,088 徒党を組んでの争い事は➡ 99 00:08:52,088 --> 00:08:55,091 公儀としても 厳しく断を下さざるをえず➡ 100 00:08:55,091 --> 00:09:00,096 首謀者ともなれば 獄門は 免れぬとか… 101 00:09:00,096 --> 00:09:05,101 私に その役目を? お主は 関東取締出役 102 00:09:05,101 --> 00:09:12,108 関八州を天下御免で動き回れる …であろう? 103 00:09:12,108 --> 00:09:14,108 はあ… 104 00:09:19,115 --> 00:09:21,115 (ため息) 105 00:09:26,056 --> 00:09:46,076 ♬~ 106 00:09:46,076 --> 00:09:52,082 ♬~ 107 00:09:52,082 --> 00:09:55,082 できるだけ早く帰ってくるからな 108 00:10:00,090 --> 00:10:02,090 すまんな 109 00:10:04,094 --> 00:10:07,097 (浪人)ええい! くーっ! (浪人)くっ… 110 00:10:07,097 --> 00:10:12,097 (浪人たちの気合い) 111 00:10:16,106 --> 00:10:19,109 (粂蔵)ちょっと…➡ 112 00:10:19,109 --> 00:10:23,046 おい ほらほら… おい 何やってんだ (浪人)貴様 何者だ! 113 00:10:23,046 --> 00:10:25,048 (粂蔵)ああ? (浪人)邪魔すると容赦しねえぞ! 114 00:10:25,048 --> 00:10:28,051 (粂蔵)いや まあまあまあ… (浪人)やーっ! 115 00:10:28,051 --> 00:10:30,053 (粂蔵)おら! (浪人たち)あっ! おっ… 116 00:10:30,053 --> 00:10:32,055 (粂蔵)お前ら そう熱くなんじゃ ねえよ ばか野郎 お前➡ 117 00:10:32,055 --> 00:10:35,058 いいから 俺の話を ちょっと聞け (浪人たち)あっ いや… はい 118 00:10:35,058 --> 00:10:38,061 (粂蔵)ほら 早く来い (浪人たち)はい 119 00:10:38,061 --> 00:10:40,063 (浪人)えっ!? はっ… 120 00:10:40,063 --> 00:10:44,063 (浪人たち)いや… あっ は… うわーっ! 121 00:10:47,070 --> 00:10:49,072 (五兵衛)何の騒ぎです? (粂蔵)うん? 122 00:10:49,072 --> 00:10:53,076 (粂蔵)周作一門と 野田天流の いざこざだよ 123 00:10:53,076 --> 00:10:56,079 こんな所でも 火花を散らしているのか… 124 00:10:56,079 --> 00:10:59,082 (五兵衛)それにしても さすが 粂蔵さんですね➡ 125 00:10:59,082 --> 00:11:02,085 どうやって追っ払ったんです? (粂蔵)うん? いや…➡ 126 00:11:02,085 --> 00:11:07,090 そちらに 八州廻り 桑山十兵衛様がいらっしゃる➡ 127 00:11:07,090 --> 00:11:11,094 …と言ったら こうだよ まあ さすが 八州様の御威光は➡ 128 00:11:11,094 --> 00:11:17,100 隅々まで及んでますね 旦那 フフッ 何も出んぞ 129 00:11:17,100 --> 00:11:34,117 ♬~ 130 00:11:34,117 --> 00:11:37,120 (義助)ああっ!➡ 131 00:11:37,120 --> 00:11:42,125 お待ち申しておりやした あっしは道案内の義助でございます 132 00:11:42,125 --> 00:11:47,130 千葉周作の居所は つかんだか? (義助)へい それが まだ… 133 00:11:47,130 --> 00:11:49,132 まだ? 100人も徒党を組んでんだぞ➡ 134 00:11:49,132 --> 00:11:52,135 見つかんねえわけねえだろう (義助)いえ それはそうなんだが➡ 135 00:11:52,135 --> 00:11:56,139 向こうも 何か策があるらしく 1か所にとどまらず➡ 136 00:11:56,139 --> 00:11:59,142 上州内 あちこち 流れ歩いてるようなんで… 137 00:11:59,142 --> 00:12:01,144 (五兵衛) きっと 人集めしてるんですよ 138 00:12:01,144 --> 00:12:03,146 (義助)身内の者 4~5人 差し向けて➡ 139 00:12:03,146 --> 00:12:06,149 探らせておりますんで おっつけ分かると思います 140 00:12:06,149 --> 00:12:09,152 ≪(男性)八州様! ああ! ヘッ 141 00:12:09,152 --> 00:12:13,156 また 世話になるぞ はい あの… お客様がみえてます 142 00:12:13,156 --> 00:12:15,156 客? はい 143 00:12:31,107 --> 00:12:34,107 初枝殿! 144 00:12:39,115 --> 00:12:41,115 (初枝)お久しぶりです 145 00:12:43,119 --> 00:12:47,123 こちらこそ 御無沙汰しております 146 00:12:47,123 --> 00:12:49,125 (粂蔵)これか? 147 00:12:49,125 --> 00:12:54,130 どうして ここが? 兄から 伺いました 148 00:12:54,130 --> 00:12:58,134 川村殿に? 兄は 藩の目付という役目柄➡ 149 00:12:58,134 --> 00:13:02,134 外から領内に入る者には 目を光らせておりますから 150 00:13:06,142 --> 00:13:09,142 (初枝)少し 歩きませんか? 151 00:13:11,147 --> 00:13:31,100 ♬~ 152 00:13:31,100 --> 00:13:43,112 ♬~ 153 00:13:43,112 --> 00:13:46,115 (初枝)昔を思い出しません? 154 00:13:46,115 --> 00:13:52,121 あなたが 江戸に みえたときのことですか? 155 00:13:52,121 --> 00:13:55,124 そう 156 00:13:55,124 --> 00:14:01,124 楽しかった 御一緒した花火見物や… 157 00:14:05,134 --> 00:14:07,136 (初枝)縁日 158 00:14:07,136 --> 00:14:27,090 ♬~ 159 00:14:27,090 --> 00:14:36,099 ♬~ 160 00:14:36,099 --> 00:14:38,099 (水音) 161 00:14:47,110 --> 00:14:53,116 人様に誤解されると いけません 引き返しましょう 162 00:14:53,116 --> 00:14:56,119 (初枝)誤解? 163 00:14:56,119 --> 00:15:01,119 あなたは れっきとした お武家の妻女 164 00:15:03,126 --> 00:15:09,126 (初枝)いえ ハァ… もう 離縁しました 165 00:15:13,136 --> 00:15:18,141 (初枝)千葉周作という 剣術使いを御存じですか? 166 00:15:18,141 --> 00:15:21,141 どうしたんですか いきなり… 167 00:15:24,080 --> 00:15:30,086 夫の森本勘兵衛は 剣術一筋で生きてまいりました 168 00:15:30,086 --> 00:15:34,090 川村殿から伺っています あの人の頭の中は➡ 169 00:15:34,090 --> 00:15:39,095 剣術のことで いっぱいで 家のことなど顧みず➡ 170 00:15:39,095 --> 00:15:43,099 それでいて 何やかんやと 剣術のために お金を使い➡ 171 00:15:43,099 --> 00:15:47,103 私が いくら内職をしても 追いつきません 172 00:15:47,103 --> 00:15:50,106 ハァ… そんな ありさまなのに➡ 173 00:15:50,106 --> 00:15:56,112 夫は 千葉周作殿の元に はせ参じると… 174 00:15:56,112 --> 00:16:00,116 ハァ… あまりと言えば あまりなので➡ 175 00:16:00,116 --> 00:16:04,120 あなたは 一体 何を お考えなのですと問い詰めますと 176 00:16:04,120 --> 00:16:06,122 (森本)《周作殿は 剣の世界に 得難い お人だ》 177 00:16:06,122 --> 00:16:10,126 《風雲急を告げてる今こそ 力をお貸しせねば ならんのだ》 178 00:16:10,126 --> 00:16:12,128 《あなたには ほとほと 愛想が尽きました》 179 00:16:12,128 --> 00:16:16,132 《これ以上 ついては いけませぬ お出かけになるのなら➡ 180 00:16:16,132 --> 00:16:19,132 私を 離縁してからにして くださいまし》 181 00:16:22,071 --> 00:16:27,076 《よかろう 幸い 子もない そなたが望むなら➡ 182 00:16:27,076 --> 00:16:30,079 離縁でも 何でもしてやろう》 (初枝)《それでは 離縁状を》 183 00:16:30,079 --> 00:16:33,082 《今は 急いでおる 帰ってからだ》 184 00:16:33,082 --> 00:16:35,084 《ごまかそうったって そうは まいりませぬ》 185 00:16:35,084 --> 00:16:39,088 《ならば 口頭で申し渡す 離縁して遣わす》 186 00:16:39,088 --> 00:16:41,088 《これで よかろう》 187 00:16:48,097 --> 00:16:56,105 (初枝)そんな訳で 実は お願いしたきことがございます 188 00:16:56,105 --> 00:17:02,111 私にできることなら ああ… 江戸には➡ 189 00:17:02,111 --> 00:17:06,115 女でもできる仕事が いろいろある と聞き及んでおります 190 00:17:06,115 --> 00:17:10,119 何か 御紹介いただくわけには まいりませんか? 191 00:17:10,119 --> 00:17:16,125 いや… 仕事と言われましても 急には… 192 00:17:16,125 --> 00:17:20,125 ああ… そうですか… 193 00:17:22,064 --> 00:17:29,071 妻をとうに亡くし 私は 今 男やもめ 194 00:17:29,071 --> 00:17:31,073 存じております 195 00:17:31,073 --> 00:17:40,082 あっ でしたら しばらく 我が家に 腰を落ち着けられて➡ 196 00:17:40,082 --> 00:17:45,087 働き口を探すということに されては いかがですか? 197 00:17:45,087 --> 00:17:49,091 しばらくでなければ いけませんか? 198 00:17:49,091 --> 00:17:53,095 どういうことでしょうか? 桑山様のおうちに➡ 199 00:17:53,095 --> 00:17:56,098 ずっと 腰を落ち着けては いけませんか? 200 00:17:56,098 --> 00:17:59,098 我が家に ずっと? 201 00:18:04,106 --> 00:18:08,110 私には 7歳の娘がいます 202 00:18:08,110 --> 00:18:11,113 大好きですわ 子供は 203 00:18:11,113 --> 00:18:24,060 ♬~ 204 00:18:24,060 --> 00:18:31,067 (初枝) 《♬ おじゃみ おひと おふた》➡ 205 00:18:31,067 --> 00:18:37,067 《♬ おみい およお おいと》 206 00:18:46,082 --> 00:18:48,082 お迎えくださりますか? 207 00:18:52,088 --> 00:18:55,091 私 嫁いでからも きっと いつの日か➡ 208 00:18:55,091 --> 00:19:00,096 桑山様が 迎えに来てくださると 夢みておりました 209 00:19:00,096 --> 00:19:07,103 こうしましょう 明日 辰の五つ半に➡ 210 00:19:07,103 --> 00:19:13,109 ここで お会いするということに …と おっしゃいますと? 211 00:19:13,109 --> 00:19:20,116 その足で あなたを 江戸にお連れします 212 00:19:20,116 --> 00:19:22,116 桑山様 213 00:19:24,053 --> 00:19:26,055 急用が出来た 214 00:19:26,055 --> 00:19:30,059 明日 江戸に 戻らなくては ならなくなった 215 00:19:30,059 --> 00:19:33,062 (五兵衛)はい では すぐにも帰り支度を 216 00:19:33,062 --> 00:19:36,065 いや お前たちは 引き続き ここにいて➡ 217 00:19:36,065 --> 00:19:40,069 義助と共に 周作一門の動向を探ってくれ 218 00:19:40,069 --> 00:19:45,074 はっ でも… いや 2~3日で戻ってくる 219 00:19:45,074 --> 00:19:50,079 そのころには 周作の居所も割れているだろう 220 00:19:50,079 --> 00:19:52,081 ≪(粂蔵)旦那!➡ 221 00:19:52,081 --> 00:19:55,084 ちょ… あっ はぁ… 義助さんが… 222 00:19:55,084 --> 00:19:58,087 どうかしたか? (粂蔵)いや 前島に向かいました 223 00:19:58,087 --> 00:20:00,089 前島に? はい 224 00:20:00,089 --> 00:20:02,091 ゆうべ 賊が 前島の商家に押し入り… 225 00:20:02,091 --> 00:20:06,095 (清次)《来るな 来るな 来るな》 (おみつの泣き声) 226 00:20:06,095 --> 00:20:08,097 (龜田屋)《ああっ!》 (清次)《来るな!》 227 00:20:08,097 --> 00:20:10,099 (粂蔵)騒ぎ立てられて 逃げられなくなり➡ 228 00:20:10,099 --> 00:20:14,103 5つ6つの一人娘を盾に 蔵に 立て籠もったそうです➡ 229 00:20:14,103 --> 00:20:18,107 それで なだめすかして 解き放つように掛け合ったら➡ 230 00:20:18,107 --> 00:20:21,110 十手持ちの義助を呼べ 義助が身代わりになるんなら➡ 231 00:20:21,110 --> 00:20:24,110 娘を無傷で放してやると 232 00:20:26,048 --> 00:20:31,053 八州廻りとしては 知らん顔は できんな… 233 00:20:31,053 --> 00:20:34,056 (五兵衛) 江戸に戻る件は どうなります? 234 00:20:34,056 --> 00:20:42,064 今日中に 片をつければ 明日の五つ半には 間に合うだろう 235 00:20:42,064 --> 00:20:47,069 まさか はたごに来ていた人? 236 00:20:47,069 --> 00:20:50,072 旦那様に限って そんな訳ないですよ 237 00:20:50,072 --> 00:20:53,075 分かんねえぞ お前… 何をひそひそやってる 238 00:20:53,075 --> 00:20:57,079 行き帰りを急ぐ 馬を借りてきてくれ 239 00:20:57,079 --> 00:20:59,081 (粂蔵)お前 行けよ ほら (五兵衛)はい 240 00:20:59,081 --> 00:21:19,101 ♬~ 241 00:21:19,101 --> 00:21:26,108 ♬~ 242 00:21:26,108 --> 00:21:28,110 (馬の いななき) 243 00:21:28,110 --> 00:21:48,130 ♬~ 244 00:21:48,130 --> 00:21:50,132 ♬~ 245 00:21:50,132 --> 00:21:53,135 (義助)ああ これは 早いお着きで どんな様子だ? 246 00:21:53,135 --> 00:21:58,140 (義助)へい 清次に… えー… 賊のことですが➡ 247 00:21:58,140 --> 00:22:03,145 清次に さっきも かよわい娘を盾に取るなど➡ 248 00:22:03,145 --> 00:22:07,149 汚え手 使ってねえで 観念して 出てこいって言ったんですがね➡ 249 00:22:07,149 --> 00:22:11,153 お前と 引き換えじゃなきゃ 渡さねえって…➡ 250 00:22:11,153 --> 00:22:16,158 しかも 体 ぐるぐる巻きにされて 中へ入ってこいなんて もう… 251 00:22:16,158 --> 00:22:20,162 お前とは 因縁があるのか (義助)へい 252 00:22:20,162 --> 00:22:23,099 (義助)2度ばかり ばくちで もめ事があって➡ 253 00:22:23,099 --> 00:22:27,099 はずみで やつのここんとこ たたっ斬ったことがあるんです 254 00:22:29,105 --> 00:22:35,105 うーん… ならば やつの言うとおりにするか 255 00:22:37,113 --> 00:22:40,116 いや… めっそうもねえ 256 00:22:40,116 --> 00:22:43,119 や… やつは 頭に血が上ってますからね➡ 257 00:22:43,119 --> 00:22:47,123 いや めった斬りに されちまいまさぁ ええ 258 00:22:47,123 --> 00:22:51,127 (龜田屋)ああっ! 八州様でございますか? 259 00:22:51,127 --> 00:22:54,130 (龜田屋)どうか 娘を助けてやってください 260 00:22:54,130 --> 00:22:59,130 人質になって どれぐらいになる? 丸一昼夜です 261 00:23:02,138 --> 00:23:04,138 (清次)うん? 262 00:23:07,143 --> 00:23:13,149 (清次)おい! 娘が どうなっても いいのかい! 263 00:23:13,149 --> 00:23:16,152 (清次)義助 どうするんだい (おみつの泣き声) 264 00:23:16,152 --> 00:23:19,155 義助! 265 00:23:19,155 --> 00:23:23,092 参ったな もう… 266 00:23:23,092 --> 00:23:25,094 (ため息) 267 00:23:25,094 --> 00:23:29,098 (義助) こうなったら 我慢比べですね 268 00:23:29,098 --> 00:23:33,102 それでは 娘がもたん もう限界だ 269 00:23:33,102 --> 00:23:36,105 (龜田屋)では お… おみつは おみつは… 270 00:23:36,105 --> 00:23:43,105 必ず 助け出す 私にも 同じ年頃の娘がいるんだ 271 00:23:51,120 --> 00:23:54,123 (戸の開く音) (足音) 272 00:23:54,123 --> 00:23:56,125 (五兵衛)遅くなりまして (義助)おう 273 00:23:56,125 --> 00:24:04,133 頭数が そろった そろそろ 思案をつけないとな 274 00:24:04,133 --> 00:24:09,138 (義助)まあ あっしが 命 投げ出しゃいいんでしょうが➡ 275 00:24:09,138 --> 00:24:13,142 いや あっしも 命は惜しい それは そうだ 276 00:24:13,142 --> 00:24:16,145 だがな 義助 (義助)へい 277 00:24:16,145 --> 00:24:20,145 やはり ここは 人質になってくれ 278 00:24:22,084 --> 00:24:24,084 ええっ!? 279 00:24:29,091 --> 00:24:34,096 (粂蔵)よし お前… 行くぞ お前 (義助)嫌だな… 280 00:24:34,096 --> 00:24:36,098 (粂蔵)なに この期に及んで…➡ 281 00:24:36,098 --> 00:24:38,100 信用しなさいよ (義助)お… 押すなよ 押すなよ 282 00:24:38,100 --> 00:24:40,102 (粂蔵)大丈夫だっつってんだろう この野郎 (義助)いやいや… 283 00:24:40,102 --> 00:24:44,106 (義助の うろたえる声) (粂蔵)信用しろよ 旦那を 284 00:24:44,106 --> 00:24:48,110 (義助)せ… 清次! 285 00:24:48,110 --> 00:24:50,110 望みどおり 来てやったぞ 286 00:24:54,116 --> 00:24:56,118 (清次の笑い声) 287 00:24:56,118 --> 00:25:01,123 義助 こっちへ来い! (義助)い… 行くよ 行くよ 288 00:25:01,123 --> 00:25:04,126 裏口は? (粂蔵)開けてある 289 00:25:04,126 --> 00:25:08,130 よーし 義助 てめえ一人で来い (おみつの おびえる声) 290 00:25:08,130 --> 00:25:10,132 早くしろ! (義助)ああ ああ… 291 00:25:10,132 --> 00:25:12,134 (清次)てめえ! おのれ! (粂蔵)さっ 行こう➡ 292 00:25:12,134 --> 00:25:14,136 よしよし はいはい… (おみつの泣き声) 293 00:25:14,136 --> 00:25:17,139 (龜田屋・女性)おみつ! おみつ! (おみつ)おっかちゃん! 294 00:25:17,139 --> 00:25:19,141 (龜田屋)よかった (男性)旦那様… 295 00:25:19,141 --> 00:25:25,080 (一同の泣き声) (龜田屋・女性)おみつ おみつ 296 00:25:25,080 --> 00:25:27,082 (義助の おびえる声) (清次)えい!➡ 297 00:25:27,082 --> 00:25:31,086 おい 誰も来るなよ! 298 00:25:31,086 --> 00:25:38,093 (清次の わめき声) (義助の おびえる声) 299 00:25:38,093 --> 00:25:42,097 観念しろ おら! 来るなよ! (義助の おびえる声) 300 00:25:42,097 --> 00:25:44,099 (義助)ああっ! (清次)うわっ! ああっ… 301 00:25:44,099 --> 00:25:48,099 (清次の うめき声) 302 00:25:51,106 --> 00:25:54,109 峰打ちで よかったが➡ 303 00:25:54,109 --> 00:25:56,111 お前の命が懸かっている (義助)あっ… 304 00:25:56,111 --> 00:25:59,114 万全を期した (義助)ハァ… 305 00:25:59,114 --> 00:26:04,119 ふん! (義助)ハァ… ハァ~ ハハッ 306 00:26:04,119 --> 00:26:08,123 ハァ… ハァ 助かった… 307 00:26:08,123 --> 00:26:10,123 (雷鳴) (義助)うっ! 308 00:26:39,088 --> 00:26:41,090 (龜田屋)いや~ うそのように晴れましたな うむ 309 00:26:41,090 --> 00:26:44,093 (龜田屋)今 あの… 朝げの用意を いや 飯はいい… 310 00:26:44,093 --> 00:26:46,095 今 何時だ? (龜田屋)明け六つですが 311 00:26:46,095 --> 00:26:48,097 (戸の開く音) あっ 急がねばならんな 312 00:26:48,097 --> 00:26:51,100 (船頭)あっ はぁ… いや~ ちょっと無理ですね (龜田屋)あっ 313 00:26:51,100 --> 00:26:53,102 ええっ!? (船頭)いやぁ 水かさが➡ 314 00:26:53,102 --> 00:26:58,107 どんどん増えてます それに 船着き場も 川底に沈んでしまって 315 00:26:58,107 --> 00:27:00,109 舟が出せんのか? ええ この分じゃ➡ 316 00:27:00,109 --> 00:27:02,111 2~3日は 川留めということになります 317 00:27:02,111 --> 00:27:04,113 何とか ならんのか (船頭たち)あっ いやぁ… 318 00:27:04,113 --> 00:27:08,117 申し訳ありませんが 何とも… はあ うーん… 319 00:27:08,117 --> 00:27:28,070 ♬~ 320 00:27:28,070 --> 00:27:41,083 ♬~ 321 00:27:41,083 --> 00:27:43,083 ≪(義助)桑山の旦那 322 00:27:46,088 --> 00:27:48,090 (義助)上州を探ってた仲間と➡ 323 00:27:48,090 --> 00:27:50,092 うまい具合 落ち合うことができました➡ 324 00:27:50,092 --> 00:27:54,096 千葉周作の一行は 今 高崎近くの引間にいるそうで 325 00:27:54,096 --> 00:27:59,101 よし 知っているかぎり 聞かせてもらおう 326 00:27:59,101 --> 00:28:02,101 順に話してくれ 327 00:28:05,107 --> 00:28:25,060 ♬~ 328 00:28:25,060 --> 00:28:27,062 <千葉周作一行は➡ 329 00:28:27,062 --> 00:28:31,066 上州の支援者の元を 転々と移動していたが➡ 330 00:28:31,066 --> 00:28:36,066 ここにきて 引間の 佐鳥浦八郎の道場に落ち着いた> 331 00:28:38,073 --> 00:28:43,078 <一方 歴史と伝統を誇る 上州 野田天流一門は➡ 332 00:28:43,078 --> 00:28:48,083 総帥 野田源兵衛以下 おびただしい数の門弟たちが➡ 333 00:28:48,083 --> 00:28:50,085 伊香保神社に集結し➡ 334 00:28:50,085 --> 00:28:55,085 周作らの掲額を 腕ずくで阻止する構えである> 335 00:29:01,096 --> 00:29:03,098 行くぞ (粂蔵)えっ? あっ…➡ 336 00:29:03,098 --> 00:29:05,100 ど… どちらへ 引間だ 337 00:29:05,100 --> 00:29:07,102 (粂蔵)あっ… (五兵衛)すぐに支度を 338 00:29:07,102 --> 00:29:10,105 五兵衛は残ってくれ 川があけたら➡ 339 00:29:10,105 --> 00:29:13,108 向こう岸に預けてある馬を 行田へ返しに行ってくれ 340 00:29:13,108 --> 00:29:16,111 (五兵衛)はっ 分かりました 341 00:29:16,111 --> 00:29:19,114 (粂蔵)九一だ これ (五兵衛)あっ… 342 00:29:19,114 --> 00:29:23,051 (龜田屋・女性) 本当に ありがとうございました 343 00:29:23,051 --> 00:29:25,053 頼むぞ (五兵衛)はい 344 00:29:25,053 --> 00:29:27,053 (粂蔵)頼んだぞ 345 00:29:34,062 --> 00:29:38,062 (粂蔵)あっ これ あげるよ ほら うん じゃ (女性)アハッ 346 00:29:43,071 --> 00:29:47,075 (粂蔵)しかし なぜ 引間みたいな 田舎に引きこもったんですかね 347 00:29:47,075 --> 00:29:52,080 佐鳥浦八郎という 剣術指南がおる (粂蔵)じゃ そいつも➡ 348 00:29:52,080 --> 00:29:55,083 野田天流から 北辰一刀流に 寝返った野郎ですか? 349 00:29:55,083 --> 00:29:57,085 いや それは分からんが➡ 350 00:29:57,085 --> 00:30:02,090 佐鳥は 江戸で 中西派一刀流を究め➡ 351 00:30:02,090 --> 00:30:05,093 周作の兄弟子ということになる 352 00:30:05,093 --> 00:30:08,093 (佐鳥) それで お主は どうすると? 353 00:30:10,098 --> 00:30:13,101 (佐鳥)周作! (周作)うーん… 354 00:30:13,101 --> 00:30:18,106 (周作)考えてみれば 額の奉納など そもそもが私事 355 00:30:18,106 --> 00:30:22,044 そのようなことで 多くの人命を 失うはめになるは 甚だ遺憾➡ 356 00:30:22,044 --> 00:30:26,048 掲額は またの機会に譲って… 357 00:30:26,048 --> 00:30:31,048 いや 額を抱えて 伊香保に押し寄せる! 358 00:30:33,055 --> 00:30:39,061 (佐鳥)よいか 生死を顧みるときではない➡ 359 00:30:39,061 --> 00:30:43,065 うーん… それがしは これより打って出る➡ 360 00:30:43,065 --> 00:30:49,071 志ある者は 後に続け (門弟たち)おう! 361 00:30:49,071 --> 00:30:51,071 (周作)聞いてくだされ! 362 00:30:53,075 --> 00:30:55,077 (周作) おっしゃることは ごもっとも 363 00:30:55,077 --> 00:30:57,079 武士の本分と言っても いいでしょう 364 00:30:57,079 --> 00:31:00,082 しかし ここは こらえ難きをこらえる 365 00:31:00,082 --> 00:31:04,086 かといって 黙って 引き下がるというのではない 366 00:31:04,086 --> 00:31:08,090 後日 それがし一人で 野田源兵衛を訪ねる 367 00:31:08,090 --> 00:31:13,095 彼も 剣に生きる者 立ち合いをと申せば 拒めませぬ 368 00:31:13,095 --> 00:31:17,099 ええい まだるい! ひきょう 未練な腰抜け…➡ 369 00:31:17,099 --> 00:31:20,102 我らは これから そう罵られ続けるのを➡ 370 00:31:20,102 --> 00:31:23,105 覚悟しなければならん (森本)いかにも さよう!➡ 371 00:31:23,105 --> 00:31:25,107 ここは どんな犠牲を払ってでも➡ 372 00:31:25,107 --> 00:31:28,110 初志を貫徹しなければ なりません (門弟)うん そのとおり! 373 00:31:28,110 --> 00:31:31,113 行動あるのみ! (門弟)伊香保へ参りましょう! 374 00:31:31,113 --> 00:31:33,115 (ほら貝の音) 375 00:31:33,115 --> 00:31:35,117 (銃声) ≪(門弟)先生! 376 00:31:35,117 --> 00:31:39,121 <そのころ 伊香保の野田天流側も➡ 377 00:31:39,121 --> 00:31:43,125 近在の猟師から 鉄砲をかき集め 待ち構えていた> 378 00:31:43,125 --> 00:31:46,128 (門弟)まだ見えませぬ はぁ はぁ… 379 00:31:46,128 --> 00:31:49,131 (門弟)先生! (森本)周作殿! 380 00:31:49,131 --> 00:31:53,131 (門弟たち)先生! 先生! (佐鳥)周作! 381 00:31:56,138 --> 00:31:58,138 分かり申した 382 00:32:00,142 --> 00:32:04,146 ひきょう未練の腰抜けと思われるは 後世の名折れ 383 00:32:04,146 --> 00:32:09,146 この上は 共に伊香保へ… いざ! 384 00:32:18,160 --> 00:32:20,160 (義助)旦那 こちらでございます 385 00:32:23,098 --> 00:32:26,101 2人は ここに残ってくれ 386 00:32:26,101 --> 00:32:31,106 いっときして 戻らぬときは 代官所に知らせてくれ 387 00:32:31,106 --> 00:32:34,106 いや 旦那… よいな 388 00:32:36,111 --> 00:32:38,113 (門弟)うん? さっ➡ 389 00:32:38,113 --> 00:32:42,117 御免 (門弟たちの話し声) 390 00:32:42,117 --> 00:32:44,117 (門弟)おっ 391 00:32:46,121 --> 00:32:48,123 (門弟たち)待てい! かさを取れ! 何やつだ! 392 00:32:48,123 --> 00:32:50,125 名を名乗れ! 393 00:32:50,125 --> 00:32:54,129 関東取締出役 桑山十兵衛だ 394 00:32:54,129 --> 00:32:59,134 (周作)千葉周作と申す お見知り置きを 395 00:32:59,134 --> 00:33:02,137 佐鳥浦八郎 396 00:33:02,137 --> 00:33:06,141 (周作)して 御公儀から 何か お達しでも? 397 00:33:06,141 --> 00:33:09,144 公儀の役人という 立場もござるが➡ 398 00:33:09,144 --> 00:33:14,149 一人の人間として 周作殿に 物申しに参った 399 00:33:14,149 --> 00:33:19,154 実は これから 出かけねばならぬ 手短に お願いしたい 400 00:33:19,154 --> 00:33:24,092 貴殿らの 伊香保神社における掲額の件➡ 401 00:33:24,092 --> 00:33:27,095 地元 上州 野田天流の者たちは➡ 402 00:33:27,095 --> 00:33:30,098 猛反発をし… (佐鳥)手短にと申しておる 403 00:33:30,098 --> 00:33:35,103 話には 手順というものがござる まっ ともあれ➡ 404 00:33:35,103 --> 00:33:40,108 これ以上 他人の庭を 荒らすようなことがないように… 405 00:33:40,108 --> 00:33:42,110 これは聞き捨てならん 406 00:33:42,110 --> 00:33:46,114 伊香保神社への掲額は 我らの名誉と浮沈が懸かっている! 407 00:33:46,114 --> 00:33:53,121 だからといって 野田天流の面目を 丸潰しにするのは いかがかと… 408 00:33:53,121 --> 00:33:56,124 それは 愚行ではござらぬか? 409 00:33:56,124 --> 00:34:00,128 言わせておけば… 容赦ならん! 410 00:34:00,128 --> 00:34:05,133 容赦ならねば 何となさる? 411 00:34:05,133 --> 00:34:10,138 門出の祝いに 真っ先に 血祭りに挙げてくれよう➡ 412 00:34:10,138 --> 00:34:12,140 いざ 立ち合われい! 413 00:34:12,140 --> 00:34:16,144 大切な命 粗末にするわけには まいらん 414 00:34:16,144 --> 00:34:18,146 私は まだ 周作殿に話がある 415 00:34:18,146 --> 00:34:23,084 どうやら 貴殿は 伊香保へ 急いでおられるようだから➡ 416 00:34:23,084 --> 00:34:28,089 お主だけで 先に参られよ 我らは同志でござる 417 00:34:28,089 --> 00:34:31,092 みんなで 心を一つにして まかり上る 418 00:34:31,092 --> 00:34:37,098 誠 その気概あらば 己一人で行動あるのみ 419 00:34:37,098 --> 00:34:42,103 さすれば 志ある者は 後に続こう 420 00:34:42,103 --> 00:34:49,110 それとも 一人が怖いか? ええい 黙れ!➡ 421 00:34:49,110 --> 00:34:52,113 周作殿 こんな口舌のやから 放っておいて➡ 422 00:34:52,113 --> 00:34:55,113 我らは伊香保へ いざ! 423 00:34:59,120 --> 00:35:05,120 桑山殿 仰せのとおりにございます 424 00:35:07,128 --> 00:35:11,128 そ… そんな 何を今更! 425 00:35:14,135 --> 00:35:16,137 (森本)額奉納を取りやめると!? 426 00:35:16,137 --> 00:35:20,141 (周作)うむ フッ 思えば 何とも大人気なかった 427 00:35:20,141 --> 00:35:23,078 (森本) 我ら門弟を見捨てなさるか! 428 00:35:23,078 --> 00:35:27,082 そのようなことは申しておらぬ これまでどおりでござる 429 00:35:27,082 --> 00:35:29,084 (佐鳥)ハッ! これじゃ➡ 430 00:35:29,084 --> 00:35:31,086 野田天流の者どもに 笑い者にされるわ 431 00:35:31,086 --> 00:35:33,088 そのようなことは ござらぬ 432 00:35:33,088 --> 00:35:36,091 彼らとて 大勢で集まって 気勢を上げたのだ 433 00:35:36,091 --> 00:35:39,094 恥じることであって 自慢にはならぬ 434 00:35:39,094 --> 00:35:58,113 ♬~ 435 00:35:58,113 --> 00:36:03,113 額奉納の儀 確かに 取りやめます 436 00:36:05,120 --> 00:36:11,120 聞き分けていただけたようで… 礼を申す 437 00:36:13,128 --> 00:36:15,128 では 御免 438 00:36:18,133 --> 00:36:21,136 (戸の開く音) 439 00:36:21,136 --> 00:36:23,071 (粂蔵)旦那! (義助)御無事で何よりでした 440 00:36:23,071 --> 00:36:25,073 (粂蔵)寄ってたかって なますに されたんじゃねえかって➡ 441 00:36:25,073 --> 00:36:28,076 心配で心配で もう… 442 00:36:28,076 --> 00:36:31,079 先に行って 待っていてくれ 443 00:36:31,079 --> 00:36:34,079 (粂蔵)へい (義助)へい 444 00:36:42,090 --> 00:36:45,093 (周作)危ういところを お助けいただきました 445 00:36:45,093 --> 00:36:48,096 まあ 私自身 恥ずかしい話 頭に血が上って➡ 446 00:36:48,096 --> 00:36:51,096 これから 押し出そうとするところでした 447 00:36:53,101 --> 00:36:56,104 ハァ 桑山殿が みえなければ➡ 448 00:36:56,104 --> 00:36:59,107 勢いは止まらず 伊香保へ乗り込んでいたでしょう 449 00:36:59,107 --> 00:37:04,112 いや いずれにしろ 大事に至らず よかった 450 00:37:04,112 --> 00:37:09,117 だが こういう騒ぎになると 貴殿も もう➡ 451 00:37:09,117 --> 00:37:13,117 上州にとどまることは 難しくなるだろう 452 00:37:17,125 --> 00:37:24,065 江戸で道場を開かれては どうかな ああ… と言われましても… 453 00:37:24,065 --> 00:37:26,067 日本橋品川町に➡ 454 00:37:26,067 --> 00:37:32,073 清蔵という 家屋敷の売り買いに 殊の外 通じている男がいる 455 00:37:32,073 --> 00:37:37,078 私の紹介だと言って 頼られるがいい 456 00:37:37,078 --> 00:37:42,083 あっ… それは… ありがとうございます 457 00:37:42,083 --> 00:37:49,083 江戸に 腰を落ち着けられて 北辰一刀流を広められよ 458 00:37:57,098 --> 00:37:59,098 待たせたな 459 00:38:01,102 --> 00:38:06,107 (粂蔵)旦那 やっと 江戸へ帰れますね うむ… 460 00:38:06,107 --> 00:38:08,107 まだ 安心はできんぞ 461 00:38:15,116 --> 00:38:18,119 桑山十兵衛! 462 00:38:18,119 --> 00:38:23,058 よくも 我らをこけにしおって! なるほど… 463 00:38:23,058 --> 00:38:26,061 伊香保に 乗り込む度胸はないから➡ 464 00:38:26,061 --> 00:38:31,066 せめて 私を斬って 留飲を下げようという了見か 465 00:38:31,066 --> 00:38:35,066 周作殿が悲しむぞ (佐鳥)黙れ! 466 00:38:40,075 --> 00:38:44,075 粂蔵… 義助… 467 00:38:46,081 --> 00:38:49,081 心しろ (門弟たち)やー! 468 00:38:53,088 --> 00:38:58,088 八州廻りに刃向かう者は 斬り捨て御免 469 00:39:01,096 --> 00:39:04,096 それでも よいか? ほざくな! 470 00:39:11,106 --> 00:39:14,109 義助さん 下がってろ! 来い おら (義助の おびえる声) 471 00:39:14,109 --> 00:39:34,062 ♬~ 472 00:39:34,062 --> 00:39:47,075 ♬~ 473 00:39:47,075 --> 00:39:51,075 できるな… 名を聞こう 474 00:39:53,081 --> 00:39:55,081 うりゃー! 475 00:39:58,086 --> 00:40:00,088 うりゃー! やー! 476 00:40:00,088 --> 00:40:02,090 ふん! うわっ! 477 00:40:02,090 --> 00:40:08,096 (森本の うめき声) 478 00:40:08,096 --> 00:40:14,102 周作殿に免じて いずれも 急所を外しておいた 479 00:40:14,102 --> 00:40:19,102 (森本の うめき声) 480 00:40:28,049 --> 00:40:30,051 <十兵衛が戻ったのは➡ 481 00:40:30,051 --> 00:40:35,051 初枝との約束の日から 3日後であった> 482 00:40:37,058 --> 00:40:39,058 初枝殿 483 00:40:43,064 --> 00:40:47,068 申し訳ない 急な事態が起きて… 484 00:40:47,068 --> 00:40:52,068 いえ お許しを請うのは 私の方です 485 00:40:55,076 --> 00:41:01,082 お願いです あの約束は なかったことに… 486 00:41:01,082 --> 00:41:03,082 何か あったんですか? 487 00:41:10,091 --> 00:41:16,091 もしや 御主人 森本勘兵衛殿が… 488 00:41:20,101 --> 00:41:27,108 今朝早く 千葉周作殿の元から 帰ってまいりました 489 00:41:27,108 --> 00:41:32,108 深手を負い 戸板に乗せられて… 490 00:41:36,117 --> 00:41:38,119 《うりゃー! やー!》 491 00:41:38,119 --> 00:41:40,121 《ふん!》 《うわっ!》 492 00:41:40,121 --> 00:41:43,124 (森本の うめき声) 493 00:41:43,124 --> 00:41:45,124 (初枝)私… 494 00:41:47,128 --> 00:41:51,132 会うまいと 心に決めていたんですけれど… 495 00:41:51,132 --> 00:41:56,132 (森本の うめき声) 496 00:42:01,142 --> 00:42:07,148 《初枝… 許してくれ》➡ 497 00:42:07,148 --> 00:42:11,148 《離縁などと 早まったことを 口にしてしまった》 498 00:42:13,154 --> 00:42:18,159 《そなたのためなら もう 剣を捨ててもいい》 499 00:42:18,159 --> 00:42:24,098 《頼む 俺を見捨てないでくれ》 500 00:42:24,098 --> 00:42:29,103 《頼む 頼む 頼む》 501 00:42:29,103 --> 00:42:34,108 (森本の泣き声) 502 00:42:34,108 --> 00:42:49,123 ♬~ 503 00:42:49,123 --> 00:42:56,130 それで 勘兵衛殿と 生きていくことに決めたんですね 504 00:42:56,130 --> 00:43:00,134 それが いちばん いいのかもしれません 505 00:43:00,134 --> 00:43:02,136 でも… 506 00:43:02,136 --> 00:43:07,141 私のことは 気にしないでください 507 00:43:07,141 --> 00:43:14,148 この春の野に 夢でも見たと思うことにします 508 00:43:14,148 --> 00:43:34,102 ♬~ 509 00:43:34,102 --> 00:43:50,118 ♬~ 510 00:43:50,118 --> 00:43:52,118 (ため息) 511 00:43:56,124 --> 00:44:12,140 ♬~ 512 00:44:12,140 --> 00:44:15,143 (ため息) 513 00:44:15,143 --> 00:44:21,149 花の脇に生える雑草か… 514 00:44:21,149 --> 00:44:41,102 ♬~ 515 00:44:41,102 --> 00:44:55,116 ♬~ 516 00:44:55,116 --> 00:44:57,116 (登喜)はぁ… 517 00:44:59,120 --> 00:45:04,125 姉上 どうなされました? (登喜)おかえりなされませ 518 00:45:04,125 --> 00:45:08,129 また 八重が 姿をくらましてしまって えっ!? 519 00:45:08,129 --> 00:45:11,132 いつも そうなんです お父上が お帰りと知ると➡ 520 00:45:11,132 --> 00:45:17,138 急に 落ち着きなくなり そのうち ぷいっと いなくなって 521 00:45:17,138 --> 00:45:20,141 (登喜)一体 どこへ 行ってしまったんでしょう 522 00:45:20,141 --> 00:45:22,076 姉上 いや… 523 00:45:22,076 --> 00:45:26,080 そのうち ふいっと 帰ってきますよ 524 00:45:26,080 --> 00:45:28,082 ところで 十兵衛殿➡ 525 00:45:28,082 --> 00:45:32,086 嫁探しは いかがされました? 526 00:45:32,086 --> 00:45:34,088 ああ… 527 00:45:34,088 --> 00:45:48,102 ♬~ 528 00:45:48,102 --> 00:45:50,104 八重 529 00:45:50,104 --> 00:45:53,107 (八重) おかえりなさいませ 530 00:45:53,107 --> 00:45:56,107 これじゃあ 奥方など いらないみたいですね 531 00:46:02,116 --> 00:46:06,116 あっ… 待っててくれたのか 532 00:46:09,123 --> 00:46:12,126 今日はな おいしい物 食べに行こうか 533 00:46:12,126 --> 00:46:14,128 はい 534 00:46:14,128 --> 00:46:17,128 ハハッ よし