1 00:01:57,334 --> 00:01:58,201 2 00:01:58,201 --> 00:02:18,221 ♬~ 3 00:02:18,221 --> 00:02:32,235 ♬~ 4 00:02:32,235 --> 00:02:46,235 ♬~ 5 00:02:52,188 --> 00:02:55,191 (ナレーター)<江戸へ20里20町> 6 00:02:55,191 --> 00:02:59,195 <箱根の天険を下った所に 小田原城はある> 7 00:02:59,195 --> 00:03:05,201 <ところで 我らが退屈男 早乙女主水之介は…> 8 00:03:05,201 --> 00:03:07,203 <三河からの帰り道➡ 9 00:03:07,203 --> 00:03:12,208 この城下町でも指折りの旅籠 相模屋へ足を止めた> 10 00:03:12,208 --> 00:03:15,211 <あいにくの満員で 主水之介は➡ 11 00:03:15,211 --> 00:03:20,216 三河の百姓娘 お松と 相部屋せざるをえなかった> 12 00:03:20,216 --> 00:03:22,218 <だが そんなことに➡ 13 00:03:22,218 --> 00:03:26,218 少しも こだわらぬ所が 彼のいい所でもある> 14 00:03:29,159 --> 00:03:32,162 (主水之介) お… おいおい もっと離せ! 15 00:03:32,162 --> 00:03:35,165 (女中)まあ お武家さま よく分かってるんでございますよ 16 00:03:35,165 --> 00:03:37,167 何が分かってるというんだ? 17 00:03:37,167 --> 00:03:39,169 皆さん 初めは そうおっしゃいますけどね 18 00:03:39,169 --> 00:03:41,171 朝方になりますと こう ぴったし➡ 19 00:03:41,171 --> 00:03:43,173 くっつき合ってるんで ございますよ えっ? 20 00:03:43,173 --> 00:03:46,176 じゃ まあ おっしゃるとおり ほんの少々… おいしょ 21 00:03:46,176 --> 00:03:49,179 ≪(番頭)さあさあ 急いで急いで 何してんだ? お前さん方 22 00:03:49,179 --> 00:03:52,182 ほう… 下のほうが にぎやかだな 23 00:03:52,182 --> 00:03:57,187 はい 今夜は 手前どもの主と お仲間の寄り合いがございまして 24 00:03:57,187 --> 00:04:00,190 はぁ… 騒々しくて申し訳ございません 25 00:04:00,190 --> 00:04:03,193 でも 本当は この小田原で1~2を争う➡ 26 00:04:03,193 --> 00:04:06,196 町方の娘さんの 品定めをしてるんでございますよ 27 00:04:06,196 --> 00:04:09,199 そりゃまた妙な話だな なんでも 中で➡ 28 00:04:09,199 --> 00:04:12,202 いちばんのべっぴんさんを どこぞのお偉い方に➡ 29 00:04:12,202 --> 00:04:16,206 差し出すためとかって 聞いておりますです 30 00:04:16,206 --> 00:04:22,206 ほう… どうやら 退屈の虫が ちろちろと鳴き始めたようだ 31 00:04:28,151 --> 00:04:31,154 でもね お武家さま 私が見たところ➡ 32 00:04:31,154 --> 00:04:34,157 よりすぐってきた娘を 3人と言ってますけど 33 00:04:34,157 --> 00:04:36,159 どう贔屓目に見たって➡ 34 00:04:36,159 --> 00:04:40,163 お武家さまのお供の方には かないっこありませんよ 35 00:04:40,163 --> 00:04:43,166 そんなことなら いっそ あのじゃじゃ馬娘 36 00:04:43,166 --> 00:04:45,168 そのお偉い方とやらに 差し出してしまうか 37 00:04:45,168 --> 00:04:48,171 まあ ご冗談ばっかり フフッ… 38 00:04:48,171 --> 00:04:52,175 実はな あの娘には 少々 往生しとるんだ 39 00:04:52,175 --> 00:04:54,177 ≪(お松)殿さま 40 00:04:54,177 --> 00:04:59,182 ♬~ 41 00:04:59,182 --> 00:05:01,182 (女中)ごゆっくり どうぞ 42 00:05:05,188 --> 00:05:09,192 (お松)水くせえな 殿さま 43 00:05:09,192 --> 00:05:14,197 こら! 家来のぶんざいで 主人と ぴったり床を並べる奴があるか 44 00:05:14,197 --> 00:05:16,199 フフッ… じゃ➡ 45 00:05:16,199 --> 00:05:19,202 おらは とうとう 本当の家来に してもらったわけだね? 46 00:05:19,202 --> 00:05:22,202 じゃ ほんのちょっと 気持ちだけ ねっ? 47 00:05:26,209 --> 00:05:28,144 (ため息) 48 00:05:28,144 --> 00:05:33,144 ♬~ 49 00:05:52,168 --> 00:05:55,171 (陣馬) いずれも あやめ かきつばただな 50 00:05:55,171 --> 00:05:58,174 (相模屋)先生 弱りましたな 51 00:05:58,174 --> 00:06:03,179 選び出す娘は 1人ということに なってますからな 52 00:06:03,179 --> 00:06:09,185 (富士屋)先さまのお好みは丸顔で しかも目が大きく ぱっちりとして 53 00:06:09,185 --> 00:06:11,187 ≪(飛来音) アアッ! 54 00:06:11,187 --> 00:06:13,189 (女性)いや! (相模屋)ウウッ… 55 00:06:13,189 --> 00:06:18,194 ♬~ 56 00:06:18,194 --> 00:06:21,197 待て! 57 00:06:21,197 --> 00:06:23,199 (女性たちの悲鳴) 58 00:06:23,199 --> 00:06:25,199 ≪(女性たち)誰か! 59 00:06:28,137 --> 00:06:32,137 殿さま 何か起こったね そうらしいな 60 00:06:35,144 --> 00:06:38,147 逃げ足の速い奴だ 61 00:06:38,147 --> 00:06:46,155 ♬~ 62 00:06:46,155 --> 00:06:48,157 残念ながら見失ってしまったが… 63 00:06:48,157 --> 00:06:53,162 陣馬先生 次は私の番だ 今度は私が きっと狙われる 64 00:06:53,162 --> 00:06:55,164 心配するな 俺がついている! 65 00:06:55,164 --> 00:06:58,167 陣馬先生がついてても 相模屋さんは この始末だ 66 00:06:58,167 --> 00:07:02,171 次は私の番だ 私の番… 67 00:07:02,171 --> 00:07:04,171 ≪(丸八)どけどけ! 68 00:07:07,176 --> 00:07:11,180 (番頭)これはこれは 乙川さま ご出役ご苦労さまでございます 69 00:07:11,180 --> 00:07:16,185 (丸八) おう この場に居合わせた者は みんな足止めしてあるだろうな? 70 00:07:16,185 --> 00:07:19,185 はい 親分さん あちらの小部屋に 待たしてあります 71 00:07:27,130 --> 00:07:29,130 (乙川)吹き矢だ 72 00:07:32,135 --> 00:07:35,138 あの方向から 突然に飛んでまいった 73 00:07:35,138 --> 00:07:37,140 拙者 直ちに追いかけたが➡ 74 00:07:37,140 --> 00:07:42,145 黒い影がひとつ 素早い奴で 残念ながら見失ってしまった 75 00:07:42,145 --> 00:07:45,148 あなたは 確か ご城下に道場を構える… 76 00:07:45,148 --> 00:07:50,148 活殺必倒流 陣馬陣十郎 お見知りおきを… 77 00:07:55,158 --> 00:08:02,165 先生ほど 見事な武芸者がおって 誠に残念なことをいたしましたな 78 00:08:02,165 --> 00:08:04,167 見ろ 79 00:08:04,167 --> 00:08:07,170 今 この吹き矢の血を洗ってみたら ただの吹き矢ではない 80 00:08:07,170 --> 00:08:10,173 この作りは どう見ても 我が国のものとは思えん 81 00:08:10,173 --> 00:08:14,177 その上 塀から ここまでの距離を考えると 82 00:08:14,177 --> 00:08:18,177 よほど 仕掛けが 強烈なものでないと命中はせん 83 00:08:22,185 --> 00:08:27,123 乙川さま 丸八の親分 何とぞ お助けくださいまし 84 00:08:27,123 --> 00:08:30,126 次に狙われるのは この私でございます 85 00:08:30,126 --> 00:08:32,128 うん? それは一体 どういうわけだ? 86 00:08:32,128 --> 00:08:34,130 実は よほど➡ 87 00:08:34,130 --> 00:08:37,133 お奉行所へ申し出ようと 思っていたんでございますが 88 00:08:37,133 --> 00:08:39,135 今夜の寄り合いで➡ 89 00:08:39,135 --> 00:08:42,138 皆さんに相談しようと 思っていた やさきでございます 90 00:08:42,138 --> 00:08:48,138 昨夜 このような投げ文が 私の家へ… 91 00:08:50,146 --> 00:08:53,149 (女性)《左記の者は 私の母を殺害した悪人につき➡ 92 00:08:53,149 --> 00:08:58,154 必ず仇を討つべき者にして 全て 当小田原城下に住む者なり》 93 00:08:58,154 --> 00:09:02,154 《相模屋善兵衛 富士屋藤右衛門 陣馬陣十郎》 94 00:09:05,161 --> 00:09:08,164 突然 まかり出て ぶしつけではござるが これも➡ 95 00:09:08,164 --> 00:09:12,168 持ち前の退屈しのぎの虫が 一段と 泣きわめいてまいりましてな 96 00:09:12,168 --> 00:09:15,171 おっととと… 何だ何だ? お前さんは ええ? 97 00:09:15,171 --> 00:09:19,175 いくらお侍さんだって お奉行所のお取り調べ中だ 98 00:09:19,175 --> 00:09:23,175 見りゃ分かるだろう? さあ 下がった下がった 99 00:09:26,182 --> 00:09:29,118 お手前は? 三河から江戸へ向かう途中の者 100 00:09:29,118 --> 00:09:33,122 直参旗本 早乙女主水之介と申す 101 00:09:33,122 --> 00:09:39,128 私は 当小田原藩 町奉行所同心 乙川要之進と申す者にございます 102 00:09:39,128 --> 00:09:41,130 そうか 103 00:09:41,130 --> 00:09:44,133 では その赤い吹き矢とやらを ちょっと見せてもらおうか 104 00:09:44,133 --> 00:09:47,136 いや それはなりません ほう… 105 00:09:47,136 --> 00:09:52,141 直参お旗本に対し 私ごとき者が 誠にご無礼とは存じおりまするが 106 00:09:52,141 --> 00:09:55,144 ここは小田原藩のご領内 107 00:09:55,144 --> 00:09:57,146 我々は 町方の事件を取り扱うために➡ 108 00:09:57,146 --> 00:09:59,148 日夜 働いております 109 00:09:59,148 --> 00:10:03,152 早乙女さま 退屈しのぎとか どうか申されて➡ 110 00:10:03,152 --> 00:10:06,155 旅のつれづれのまま 面白半分に首を突っ込まれては➡ 111 00:10:06,155 --> 00:10:09,158 役目柄 誠に迷惑千万にございますゆえ 112 00:10:09,158 --> 00:10:14,163 これはまた 小気味のいい言葉 貴公 なかなか骨があるな 113 00:10:14,163 --> 00:10:17,166 これで また ずんと面白くなってきた 114 00:10:17,166 --> 00:10:20,169 貴公方が役目に忠実で 熱心なことは認めよう 115 00:10:20,169 --> 00:10:23,172 だが そのやり方が なっとらん 116 00:10:23,172 --> 00:10:25,174 だから つい出しゃばったまでのことだ 117 00:10:25,174 --> 00:10:27,110 何と仰せられますか! 118 00:10:27,110 --> 00:10:30,113 貴公 先ほど その吹き矢を 洗い清めたと申したな 119 00:10:30,113 --> 00:10:35,118 もし その吹き矢に見たこともない 聞いたこともない猛毒が➡ 120 00:10:35,118 --> 00:10:38,121 塗ってあったとしたら 何とする? 121 00:10:38,121 --> 00:10:40,123 そのようなことは… 122 00:10:40,123 --> 00:10:45,128 ないと申すのか? では 相模屋の主人の死に顔を見てみろ 123 00:10:45,128 --> 00:10:48,128 色が変わってるかもしれねえぜ 124 00:10:53,136 --> 00:10:57,140 そこまで気が利くような同心なら 私の出しゃばる隙はない 125 00:10:57,140 --> 00:10:59,142 気にするな 126 00:10:59,142 --> 00:11:04,147 これは 噂に高い退屈のお殿さま どうか 私めをお助けくださいまし 127 00:11:04,147 --> 00:11:08,151 次に狙われてるのは この私に違いございません 128 00:11:08,151 --> 00:11:10,153 そのまた次に狙われるのは 貴殿らしいが 129 00:11:10,153 --> 00:11:13,156 どうも 一向に驚いた様子が 見受けられませんな 130 00:11:13,156 --> 00:11:18,161 当たり前のことでござる いやしくも一流一派の道場主 131 00:11:18,161 --> 00:11:22,165 かえって かかる下手人は 必ず たたき斬って進ぜよう 132 00:11:22,165 --> 00:11:28,171 これは また頼もしい だが そう うまくいくかな? 133 00:11:28,171 --> 00:11:31,174 何と仰せられるか おっと 気にされるな 134 00:11:31,174 --> 00:11:36,179 そう思ったまでのことだ ハハハハッ… 135 00:11:36,179 --> 00:11:48,179 ♬~ 136 00:11:58,201 --> 00:12:00,203 (踏絵)あの… もし 137 00:12:00,203 --> 00:12:04,207 (踏絵)失礼でございますが 江戸のお旗本➡ 138 00:12:04,207 --> 00:12:08,211 早乙女主水之介さまと お見受けいたしますが 139 00:12:08,211 --> 00:12:11,214 ほう… これは驚いたな 140 00:12:11,214 --> 00:12:14,217 目が見えんのに そこまで勘がよいとは➡ 141 00:12:14,217 --> 00:12:18,221 男ならば よほどの武芸の達人と言える 142 00:12:18,221 --> 00:12:23,226 いえ ゆうべ 相模屋の出来事を小耳にいたし 143 00:12:23,226 --> 00:12:27,163 その折の 早乙女さまの 鮮やかなお裁きぶりは➡ 144 00:12:27,163 --> 00:12:31,167 既に ご城下では評判でございます ハハハハッ… 145 00:12:31,167 --> 00:12:37,173 まだ何も裁いちゃいねえ 余計な口出しをしたまでのことだ 146 00:12:37,173 --> 00:12:43,179 実は その… 早乙女のお殿さまと 存じ上げてのお願いがございます 147 00:12:43,179 --> 00:12:47,183 ほう すると… 148 00:12:47,183 --> 00:12:52,188 すれ違わぬ先から 目をつけていたと見えるな 149 00:12:52,188 --> 00:13:02,198 ♬~ 150 00:13:02,198 --> 00:13:04,200 (女性)《突然 このようなものを➡ 151 00:13:04,200 --> 00:13:06,202 差し上げる失礼は お許しくださりませ》 152 00:13:06,202 --> 00:13:09,205 《図らずも ご高名を伺い やむにやまれず➡ 153 00:13:09,205 --> 00:13:12,208 お願い申し上げるしだいで ございます》 154 00:13:12,208 --> 00:13:16,212 「左記の者は 私の母を殺した一味徒党につき➡ 155 00:13:16,212 --> 00:13:20,216 何とぞ かよわき女子に代わり 仇を討っていただきとう存じます」 156 00:13:20,216 --> 00:13:23,219 「全て 当小田原城下に住む者」 157 00:13:23,219 --> 00:13:26,222 「富士屋藤右衛門 陣馬陣十郎」… 158 00:13:26,222 --> 00:13:29,158 陣馬陣十郎!? 159 00:13:29,158 --> 00:13:49,178 ♬~ 160 00:13:49,178 --> 00:13:52,181 おらだって あれぐらい いい着物 着せてくれりゃ 161 00:13:52,181 --> 00:13:55,184 負けないんだけどな 162 00:13:55,184 --> 00:13:59,188 でもよ これがいいって人もいるんだ 163 00:13:59,188 --> 00:14:01,190 殿さま! 164 00:14:01,190 --> 00:14:04,193 おう お松 165 00:14:04,193 --> 00:14:08,197 お前 この一本道を通ってきて 若い めくらの女に会わなかったか 166 00:14:08,197 --> 00:14:12,201 めくら? 誰にも会わなかったよ 167 00:14:12,201 --> 00:14:15,204 誰にも? 168 00:14:15,204 --> 00:14:20,209 本当言うと 1人だけ 女の人に会ったよ 169 00:14:20,209 --> 00:14:22,211 その女 めしいではなかったか? 170 00:14:22,211 --> 00:14:25,214 冗談じゃねえ ぱっちりした大きな目でよ 171 00:14:25,214 --> 00:14:28,150 見たこともねえような きれいな着物 着てた 172 00:14:28,150 --> 00:14:31,153 きっと お武家のお嬢さまじゃねえかな 173 00:14:31,153 --> 00:14:35,157 どうも気になるな 174 00:14:35,157 --> 00:14:39,161 だから おら 言うの嫌だったんだ 殿さまは➡ 175 00:14:39,161 --> 00:14:42,164 きれいな女の人だっていって すぐ考え込んじゃうんだから 176 00:14:42,164 --> 00:14:44,166 お松 その女 そんなに きれいだったか? 177 00:14:44,166 --> 00:14:46,168 やんなっちゃうな まだ言ってる 178 00:14:46,168 --> 00:14:49,171 殿さまは きれいな女の人が好きなのかい? 179 00:14:49,171 --> 00:14:53,175 俺も男だからな 知らない! 180 00:14:53,175 --> 00:14:57,179 ああ お前も きれいだ ただし 磨けばな 181 00:14:57,179 --> 00:15:00,182 「ただし」が余計だよ! 182 00:15:00,182 --> 00:15:04,186 (気合い声) 183 00:15:04,186 --> 00:15:06,188 (門人)ヤーッ! 184 00:15:06,188 --> 00:15:08,190 ヤーッ! ヤッ! (門人)ターッ! 185 00:15:08,190 --> 00:15:10,190 (打ちつける音) 186 00:15:16,198 --> 00:15:19,201 乙川どの 稽古をつけて進ぜようか? 187 00:15:19,201 --> 00:15:24,206 いやいや それには及ばん 拙者は ただ奉行所の命により➡ 188 00:15:24,206 --> 00:15:26,208 用心のため ここに 張り込んでいるだけのことだ 189 00:15:26,208 --> 00:15:29,145 フフフフッ… 心配いたすな 190 00:15:29,145 --> 00:15:33,149 たとえ この拙者に 赤い矢が飛んでこようと➡ 191 00:15:33,149 --> 00:15:37,149 そんなものは たたき落とすだけだ 次! 192 00:15:42,158 --> 00:16:02,178 ♬~ 193 00:16:02,178 --> 00:16:15,178 ♬~ 194 00:16:23,199 --> 00:16:27,136 (門人)先生 江戸の旗本とか 申す男が来ておりますが 195 00:16:27,136 --> 00:16:32,141 なに? 早乙女が? 196 00:16:32,141 --> 00:16:39,148 あいにくだな 今日は その旗本の 大嫌いな客人がいるからと➡ 197 00:16:39,148 --> 00:16:41,150 そう言って帰ってもらえ 198 00:16:41,150 --> 00:16:46,155 まあ そう言いなさんな これから仲良くなるかもしれぬ 199 00:16:46,155 --> 00:16:51,160 怒るな 陣馬先生 手間を省いただけのことだ 200 00:16:51,160 --> 00:16:56,165 俺と 試合を しに来たとでも言いたいのか? 201 00:16:56,165 --> 00:17:01,170 お願いでございます 奉行所のご同心に陣馬先生… 202 00:17:01,170 --> 00:17:04,173 それに早乙女の殿さまが 一枚 加わっていただければ➡ 203 00:17:04,173 --> 00:17:08,177 それこそ 鬼に金棒 私の命は もう大丈夫です 204 00:17:08,177 --> 00:17:11,177 どうか 願いをお聞き届けくださいませ 205 00:17:13,182 --> 00:17:16,185 殿さま どうしたんだよ? これは 206 00:17:16,185 --> 00:17:18,187 何者だ? この女は 207 00:17:18,187 --> 00:17:22,191 まあ 俺の家来といったところだ なに? 208 00:17:22,191 --> 00:17:25,194 磨けば 玉といったところでございますな 209 00:17:25,194 --> 00:17:29,131 陣馬先生 いかがでしょう? 例の件 210 00:17:29,131 --> 00:17:32,134 磨かなきゃ玉じゃねえってのか? 211 00:17:32,134 --> 00:17:34,136 いや とんでもございません 212 00:17:34,136 --> 00:17:38,136 磨かなくても玉でございますが 更に磨きますれば… 213 00:17:40,142 --> 00:17:44,146 陣馬先生 訳を話してくれぬか? 214 00:17:44,146 --> 00:17:46,148 さる高貴なお方に➡ 215 00:17:46,148 --> 00:17:50,152 ご奉公に差し出すための 生娘を探しておったのだが 216 00:17:50,152 --> 00:17:53,155 いずれも 「帯に短し たすきに長し」でな 217 00:17:53,155 --> 00:17:58,160 貴公の家来が その身代わりにと いうことでござろう 218 00:17:58,160 --> 00:18:04,166 なるほど 面白そうな話だ どうやら 退屈の虫が… 219 00:18:04,166 --> 00:18:07,169 ちくんちくんと 鳴き始めたんだろう? 220 00:18:07,169 --> 00:18:12,169 だから 家来は連れてくるもんだよ 役に立つことだってあるんだから 221 00:18:37,132 --> 00:18:39,134 お松だよ 222 00:18:39,134 --> 00:18:44,134 お松! 驚いたな 223 00:18:46,141 --> 00:18:50,145 私の目に 狂いはございませんでした 224 00:18:50,145 --> 00:18:56,151 この寮の周りには くまなく 奉行所の役人を配置してある 225 00:18:56,151 --> 00:18:58,153 そうであったな? 乙川どの 226 00:18:58,153 --> 00:19:02,157 (乙川)今日こそは 必ず 下手人を召し捕る覚悟でござる 227 00:19:02,157 --> 00:19:05,160 だからこそ 遠見の利く昼下がりを わざと選んだのだ 228 00:19:05,160 --> 00:19:07,160 ありがとうございます 229 00:19:12,167 --> 00:19:17,172 同心どの あの林までの警備では 十分とは思えぬ 230 00:19:17,172 --> 00:19:19,174 吹き矢は もっと飛ぶのだ 231 00:19:19,174 --> 00:19:22,177 そんなに飛ぶ吹き矢が ありますかな? 232 00:19:22,177 --> 00:19:25,180 早乙女さまには どうして そのようなことが分かるのですか 233 00:19:25,180 --> 00:19:29,118 ゆうべも 吹き矢に毒が塗られて いたことを存じておられたが 234 00:19:29,118 --> 00:19:33,122 フフッ… 俺が 怪しいとでもいうのか? ハハッ… 235 00:19:33,122 --> 00:19:35,124 ≪(飛来音) うん!? 236 00:19:35,124 --> 00:19:37,124 ≪(飛来音) 237 00:20:00,149 --> 00:20:03,152 (踏絵)危ない! ≪(飛来音) 238 00:20:03,152 --> 00:20:05,154 追ってはなりませぬ 239 00:20:05,154 --> 00:20:08,157 お前は あのときの めくら… 240 00:20:08,157 --> 00:20:11,160 待て! ≪(飛来音) 241 00:20:11,160 --> 00:20:14,163 お松 あの女を追え 殿さまは? 242 00:20:14,163 --> 00:20:17,166 俺は陣馬を追う 243 00:20:17,166 --> 00:20:19,168 ≪(飛来音) 244 00:20:19,168 --> 00:20:32,181 ♬~ 245 00:20:32,181 --> 00:20:44,193 ♬~ 246 00:20:44,193 --> 00:20:49,193 待っていたぞ 必ず 追ってくるものだと思っていた 247 00:20:53,202 --> 00:20:56,205 貴公に手を引いてもらいたい 248 00:20:56,205 --> 00:21:00,209 狙われた者は とうとう俺1人になってしまった 249 00:21:00,209 --> 00:21:05,214 だが 俺は武芸者だ あくまでも1人で戦う 250 00:21:05,214 --> 00:21:08,217 やっと 退屈払いができそうになった今 251 00:21:08,217 --> 00:21:12,217 これで手を引くのは殺生だ …と言ったら どうする? 252 00:21:14,223 --> 00:21:17,226 ずんと面白くなってきた 253 00:21:17,226 --> 00:21:22,231 これで読めたぞ お前も 赤い吹き矢の一味だったのだな 254 00:21:22,231 --> 00:21:35,244 ♬~ 255 00:21:35,244 --> 00:21:37,246 ヤッ! 256 00:21:37,246 --> 00:21:44,253 ♬~ 257 00:21:44,253 --> 00:21:46,255 ンッ! 258 00:21:46,255 --> 00:21:53,262 ♬~ 259 00:21:53,262 --> 00:21:55,262 ヤッ! 260 00:22:01,203 --> 00:22:05,207 自ら狙われたと装って 目をくらまそうとしたが➡ 261 00:22:05,207 --> 00:22:09,211 実は 全て そのほうの指図だったのだな 262 00:22:09,211 --> 00:22:12,214 武士らしく白状しろ 263 00:22:12,214 --> 00:22:15,217 事情によっては 命だけは助けてやる 264 00:22:15,217 --> 00:22:19,221 俺は そのほうに もう少し聞きたいことがあってな 265 00:22:19,221 --> 00:22:23,221 フフフフッ… 退屈の虫が聞きたがっているのさ 266 00:22:38,240 --> 00:22:42,244 剣では確かに貴様に敗れた だが こうなったからには➡ 267 00:22:42,244 --> 00:22:46,248 どうしても 死んでもらわねばならん 268 00:22:46,248 --> 00:22:52,254 これをただの短筒だと思うな 南蛮渡りのスナイドル銃だ 269 00:22:52,254 --> 00:22:56,258 ハハハハッ… 鉄砲は俺の裏芸でな 270 00:22:56,258 --> 00:22:58,193 (銃声) 271 00:22:58,193 --> 00:23:02,197 ハハハハッ… 今のは ほんの小手試しだ 272 00:23:02,197 --> 00:23:05,200 まだ弾は あと4発ある 273 00:23:05,200 --> 00:23:12,207 さて 噂に高い旗本退屈男どのの どこを狙うかな? 274 00:23:12,207 --> 00:23:19,207 心の臓か それとも 天下御免の その向こう傷か 275 00:23:21,216 --> 00:23:27,222 武士の情けだ 言い残す言葉が あれば 聞いてやろう 276 00:23:27,222 --> 00:23:30,225 では お言葉に甘えさせてもらおうか 277 00:23:30,225 --> 00:23:35,230 そのほう 何のために 罪のない 町人たちを次々に殺したのだ? 278 00:23:35,230 --> 00:23:41,236 「そんなことが言えるか」と言えば 貴様も往生際が悪かろう 279 00:23:41,236 --> 00:23:43,238 どうせ死ぬ奴だ 280 00:23:43,238 --> 00:23:48,243 冥土の土産代わりに 少しばかり聞かしてやろう 281 00:23:48,243 --> 00:23:50,245 うれしいな 282 00:23:50,245 --> 00:23:57,185 殺された2人の商人どもは 我が主を脅迫していたからだ 283 00:23:57,185 --> 00:24:01,189 ほう… 商人が武士を脅かしていたのか 284 00:24:01,189 --> 00:24:04,192 もう少し詳しく言えば➡ 285 00:24:04,192 --> 00:24:06,194 以前 我が主は あの商人どもから 286 00:24:06,194 --> 00:24:11,199 無理に金を借り上げて 出世の計を図った 287 00:24:11,199 --> 00:24:15,203 望みがかなったら 何倍にでもして 返すという約束でな 288 00:24:15,203 --> 00:24:18,206 その約束を 破ったとでもいうのか? 289 00:24:18,206 --> 00:24:21,209 人間 欲には切りがなくなるもんらしい 290 00:24:21,209 --> 00:24:27,215 我が主も 身分が高くなると 更に もう一段上に進みたくなった 291 00:24:27,215 --> 00:24:34,222 ところが 商人どもは約束が違うと やいのやいのと騒ぎ立て始めた 292 00:24:34,222 --> 00:24:39,227 今 騒がれては せっかく 築き上げた地位も危うくなる 293 00:24:39,227 --> 00:24:45,233 それで消そうと謀ったのか お前の主とは 一体 誰のことだ? 294 00:24:45,233 --> 00:24:50,238 それを言ったら 元も子もなくなる 2人の証人が死んだ今➡ 295 00:24:50,238 --> 00:24:54,242 悪事の大本を知っているのは 俺1人だ 296 00:24:54,242 --> 00:25:00,182 ハハハッ… これから ゆっくりと いたぶらせてもらわねばならぬ 297 00:25:00,182 --> 00:25:02,184 主をゆするつもりか 298 00:25:02,184 --> 00:25:06,188 その楽しみがなければ こんな真似はできはせん 299 00:25:06,188 --> 00:25:11,193 金も女も これからは俺の思いのままだ 300 00:25:11,193 --> 00:25:16,193 さて ぼつぼつ死んでもらおうか 301 00:25:19,201 --> 00:25:22,201 ≪(飛来音) (銃声) 302 00:25:32,214 --> 00:25:43,225 ♬~ 303 00:25:43,225 --> 00:25:45,227 ≪(お松)殿さま! 304 00:25:45,227 --> 00:25:54,236 ♬~ 305 00:25:54,236 --> 00:25:59,174 すまねえな 殿さま とうとう あの女 逃がしてしまったんだ 306 00:25:59,174 --> 00:26:02,177 どうも おら 女は苦手なんだ 307 00:26:02,177 --> 00:26:04,179 フフッ… そんなことは どうでもいい 308 00:26:04,179 --> 00:26:09,184 それより お前 この吹き矢に どんな毒が塗ってあったか 309 00:26:09,184 --> 00:26:12,184 小田原市中 くまなく医者を探して調べてこい 310 00:26:14,189 --> 00:26:16,189 分かった 311 00:26:21,196 --> 00:26:25,200 (服部)お前の母の 敵を討てる日が近づいた 312 00:26:25,200 --> 00:26:28,203 ありがとうございます 313 00:26:28,203 --> 00:26:31,206 そのためにこそ 今まで生きてまいりました 314 00:26:31,206 --> 00:26:37,206 うむ… わしも今まで お前を 養ってきたのも 同じ気持ちだ 315 00:26:39,214 --> 00:26:42,217 陣馬が死んだ 316 00:26:42,217 --> 00:26:46,221 今まで死んだ町人2人 それに陣馬 317 00:26:46,221 --> 00:26:50,225 これは皆 お前の母の敵の片割れだ 318 00:26:50,225 --> 00:26:57,165 お前は それを殺すべく全力を傾け 敵を欺いてきた 319 00:26:57,165 --> 00:27:00,168 いや 女ながらも あっぱれだった 320 00:27:00,168 --> 00:27:04,168 しかし ひとつだけ誤りを犯したな 321 00:27:06,174 --> 00:27:12,180 江戸の旗本 早乙女主水之介とか 申す男にまで 力を借りようとした 322 00:27:12,180 --> 00:27:15,183 いけなかったので ございましょうか? 323 00:27:15,183 --> 00:27:18,186 あの方は正義の… (服部)分かっとる 324 00:27:18,186 --> 00:27:24,192 しかし 母の敵の張本人は 当小田原藩の実力者 325 00:27:24,192 --> 00:27:29,197 敵を討たしてやるからには わしも命を懸けておる 326 00:27:29,197 --> 00:27:33,201 それを退屈払いとか申して 出しゃばられたのでは➡ 327 00:27:33,201 --> 00:27:37,205 どんな手違いが 起こらんとも限らん 328 00:27:37,205 --> 00:27:41,209 申し訳ございません (服部)主水之介を殺せ! 329 00:27:41,209 --> 00:27:46,214 ♬~ 330 00:27:46,214 --> 00:27:49,217 殿さま 分かったよ 毒の正体が 331 00:27:49,217 --> 00:27:53,221 蛇の毒だっていうんだ それも まむしなんかと違って➡ 332 00:27:53,221 --> 00:27:57,159 もっと南の 強いお天道さまの下で 育った蛇でないと➡ 333 00:27:57,159 --> 00:28:00,162 あんなに強い毒を 持っていないっていうんだ 334 00:28:00,162 --> 00:28:02,164 九州なんかより もっと南 335 00:28:02,164 --> 00:28:08,170 奄美から琉球辺りの島に住む 毒蛇だろうっていうお見立てだよ 336 00:28:08,170 --> 00:28:10,172 琉球? 337 00:28:10,172 --> 00:28:14,176 ♪(三線の演奏) 338 00:28:14,176 --> 00:28:19,181 ♪~ 339 00:28:19,181 --> 00:28:29,191 ♪(亜美)頼む夜や更けて 340 00:28:29,191 --> 00:28:39,201 ♪ 音信も無いらぬ 341 00:28:39,201 --> 00:28:49,211 ♪ 一人 山端の 342 00:28:49,211 --> 00:29:02,211 ♪ 月に向かいて 343 00:29:15,170 --> 00:29:19,170 帰りたいだろう? 南の島へ 344 00:29:23,178 --> 00:29:25,178 帰りたい… 345 00:29:43,198 --> 00:29:45,198 下りておいで 346 00:29:54,209 --> 00:29:59,147 お前も 独りになって 寂しいだろうね 347 00:29:59,147 --> 00:30:06,154 (亜美)陣馬先生は 毎晩 私をかわいがってくれた 348 00:30:06,154 --> 00:30:12,160 その人を 私に殺させるなんて ひどい! 349 00:30:12,160 --> 00:30:14,160 ひどいよ! 350 00:30:16,164 --> 00:30:19,167 肉親を失う悲しみを➡ 351 00:30:19,167 --> 00:30:23,167 私は 物心ついたときから 抱き続けております 352 00:30:25,173 --> 00:30:28,173 お前の気持ちが 分からぬと思いますか? 353 00:30:31,179 --> 00:30:38,186 私の20年の恨みのために 陣馬には死んでもらいました 354 00:30:38,186 --> 00:30:45,193 そなたも つらかろうが 私の心を くんで 許してほしいのです 355 00:30:45,193 --> 00:30:48,196 あなたは悲しむかもしれぬが 356 00:30:48,196 --> 00:30:52,200 陣馬は お前を 慰み者にしていただけなのです 357 00:30:52,200 --> 00:30:54,202 ハッ… そんな!? 358 00:30:54,202 --> 00:30:58,206 陣馬の口から聞いて 知っていました 359 00:30:58,206 --> 00:31:01,209 しかし あなたに働いてもらうために➡ 360 00:31:01,209 --> 00:31:03,211 黙っていたのです 361 00:31:03,211 --> 00:31:06,214 ひどい! そんな ひどいことを! 362 00:31:06,214 --> 00:31:09,217 陣馬は あんなに そなたが望んでいたのに➡ 363 00:31:09,217 --> 00:31:16,217 国へ帰そうとはしなかった お前の体が欲しかったからです 364 00:31:18,226 --> 00:31:21,229 私は嘘は言わない 365 00:31:21,229 --> 00:31:28,236 あしたの大事な仕事が終われば 必ず 南の国へ帰してあげます 366 00:31:28,236 --> 00:31:30,236 私を助けておくれ 367 00:31:34,242 --> 00:31:37,245 南の国へ? 368 00:31:37,245 --> 00:31:41,249 (踏絵)私を信じてくれますね? 369 00:31:41,249 --> 00:31:45,253 今日 死ぬ前に陣馬先生は➡ 370 00:31:45,253 --> 00:31:53,261 「これからは 金も女も思いのまま」 そう言ってた 371 00:31:53,261 --> 00:31:59,200 私の命令は 私たち主のご命令です 372 00:31:59,200 --> 00:32:04,200 最初にお前を助けた人を 忘れてはなりませぬ 373 00:32:07,208 --> 00:32:10,208 蛇の毒は 十分に取ってありますね? 374 00:32:13,214 --> 00:32:19,214 あしたの仕事さえ し遂げたら 南の国へ帰れます 375 00:32:21,222 --> 00:32:24,225 どうか私を助けておくれ 376 00:32:24,225 --> 00:32:28,229 あしたの仕事さえ終わったら➡ 377 00:32:28,229 --> 00:32:32,229 南の国へ 蛇と一緒に帰れるんだね? 378 00:33:04,199 --> 00:33:07,199 (刺す音) 379 00:33:27,222 --> 00:33:47,242 ♬~ 380 00:33:47,242 --> 00:33:58,186 ♬~ 381 00:33:58,186 --> 00:34:08,196 ♬~ 382 00:34:08,196 --> 00:34:10,196 (殴る音) 383 00:34:16,204 --> 00:34:22,210 母の敵というが お前の父は どこの誰だ? 384 00:34:22,210 --> 00:34:25,213 18年前に 母が亡くなり 父がいなくなって➡ 385 00:34:25,213 --> 00:34:28,149 お前は どうして育った? 386 00:34:28,149 --> 00:34:31,152 あるお方に養われました 387 00:34:31,152 --> 00:34:36,157 そのお方に 母の仇を討てと教えられて 388 00:34:36,157 --> 00:34:39,160 今日まで それだけを望みに 生きてまいりました 389 00:34:39,160 --> 00:34:44,165 あるお方とは 身分ある人だな? 390 00:34:44,165 --> 00:34:48,169 フフッ… それが お前たちの主なのだろう? 391 00:34:48,169 --> 00:34:54,175 答えられないところを見ると どうやら図星だな なっ? 殿さま 392 00:34:54,175 --> 00:34:59,180 母の仇を討つまでは どうあっても申せませぬ 393 00:34:59,180 --> 00:35:01,182 せめて 明日までは… 394 00:35:01,182 --> 00:35:06,182 ほう… 明日になれば 仇が討てるとでもいうのか? 395 00:35:08,189 --> 00:35:13,194 次席家老 服部八郎兵衛さまの お屋敷に上がります 396 00:35:13,194 --> 00:35:19,200 そこへご城主 大久保加賀守さまも お忍びで まいられます 397 00:35:19,200 --> 00:35:24,205 ご城主さまは きれいな娘たちが お好きでございます 398 00:35:24,205 --> 00:35:28,142 それが この間の娘選びだったのだな? 399 00:35:28,142 --> 00:35:33,147 ふつつかな私も 選ばれた ひとりでございます 400 00:35:33,147 --> 00:35:39,153 すると ご城主さまの御前で 仇討ちをする気なのか? 401 00:35:39,153 --> 00:35:41,155 おらも きれいな着物 着て 402 00:35:41,155 --> 00:35:44,158 その中に 交じっていきたいもんだな 403 00:35:44,158 --> 00:35:48,162 う~ん それは ずんと面白い趣向だ 404 00:35:48,162 --> 00:35:53,167 その席へ お前の母の敵も 来るというわけか? 405 00:35:53,167 --> 00:35:56,170 はい どうして そこで仇が討てると思う 406 00:35:56,170 --> 00:35:59,173 我らが主が討ってくださいます 407 00:35:59,173 --> 00:36:07,173 なるほど いくらか読めてきた この仇討ち 何やら裏がありそうだ 408 00:36:09,183 --> 00:36:12,186 お前ひとりには討たせたくないな 409 00:36:12,186 --> 00:36:14,188 20年の間の母の恨みを➡ 410 00:36:14,188 --> 00:36:17,191 あしたこそ 晴らせる日でございます 411 00:36:17,191 --> 00:36:20,194 どうか 黙ってお見逃しくださいませ! 412 00:36:20,194 --> 00:36:23,197 お前の孝心は誠のものと見た 413 00:36:23,197 --> 00:36:28,136 ただ 今までの筋立てを見ると お前は➡ 414 00:36:28,136 --> 00:36:31,136 ただ利用されているだけとしか 思えんが… 415 00:36:35,143 --> 00:36:40,143 ハァ… きっぱり言ってしまえよ 416 00:36:45,153 --> 00:36:50,158 申し上げます 何とぞ 母の仇を討たせてくださいませ 417 00:36:50,158 --> 00:36:53,161 敵の名は? 418 00:36:53,161 --> 00:36:56,164 城代家老 杉田平太夫 419 00:36:56,164 --> 00:37:08,164 ♬~ 420 00:37:10,178 --> 00:37:12,180 しばらく お静かに 421 00:37:12,180 --> 00:37:15,183 宿直のご家来衆は ことごとく 当て身を食わせてあります 422 00:37:15,183 --> 00:37:17,185 (大久保)そのほうは 誰じゃ? 423 00:37:17,185 --> 00:37:19,187 直参旗本 早乙女主水之介 424 00:37:19,187 --> 00:37:24,192 これなるは 将軍家より 賜った天下御免の向こう傷 425 00:37:24,192 --> 00:37:29,130 そういえば 上さま伺候の折 噂を聞いたことがある 426 00:37:29,130 --> 00:37:33,134 そのほうが早乙女主水之介か 失礼ながら… 427 00:37:33,134 --> 00:37:37,138 殿には 若き女子どもに うつつを 抜かしておられるという噂 428 00:37:37,138 --> 00:37:39,140 誠にございましょうや? 429 00:37:39,140 --> 00:37:45,146 そのことか 余は訳あって 馬鹿を装っておる 430 00:37:45,146 --> 00:37:47,148 その訳とは? 431 00:37:47,148 --> 00:37:51,152 家中に 何やら軋轢があると聞いておる 432 00:37:51,152 --> 00:37:56,157 その真相を 余自ら究明すべく 証拠を集めるためじゃ 433 00:37:56,157 --> 00:37:58,159 さすが ご名君 434 00:37:58,159 --> 00:38:01,162 しからば ご領内を 騒がせている赤い吹き矢の一件 435 00:38:01,162 --> 00:38:05,166 ご存じでございましょうや? 聞いておる 436 00:38:05,166 --> 00:38:09,170 ご家中の軋轢と赤い吹き矢の一件 437 00:38:09,170 --> 00:38:11,172 つながりがございます なんと!? 438 00:38:11,172 --> 00:38:17,178 さて 11万3000石の大名の寝所に 女気ひとつござらん 439 00:38:17,178 --> 00:38:20,181 …にもかかわらず 殿は女狂いだと申して➡ 440 00:38:20,181 --> 00:38:23,184 ご領内の美女を 駆り集めて 献上しているのは➡ 441 00:38:23,184 --> 00:38:25,186 どなたでござる? 442 00:38:25,186 --> 00:38:28,122 次席家老 服部八郎兵衛じゃ 443 00:38:28,122 --> 00:38:33,127 これで 謎が解けてまいりました 殿 明日は もう1日だけ➡ 444 00:38:33,127 --> 00:38:36,130 女狂いの馬鹿殿を 装っていただきとう存じます 445 00:38:36,130 --> 00:38:40,134 さすれば ご家中の軋轢も 赤い吹き矢の一件も➡ 446 00:38:40,134 --> 00:38:45,139 ことごとく解決いたすはず 御免 447 00:38:45,139 --> 00:38:50,144 ♪(琴の演奏) 448 00:38:50,144 --> 00:39:04,158 ♪~ 449 00:39:04,158 --> 00:39:17,171 ♪~ 450 00:39:17,171 --> 00:39:19,171 (はじき返す音) 451 00:39:21,175 --> 00:39:23,175 (ぶつかる音) 452 00:39:33,120 --> 00:39:36,123 (杉田)御前をも顧みず 何者だ!? そのほう 453 00:39:36,123 --> 00:39:41,128 命を助けられて うろたえたか 拙者 直参旗本 早乙女主水之介 454 00:39:41,128 --> 00:39:47,128 そのまま! どなたも そのまま この場を動かぬよう 455 00:39:52,139 --> 00:39:54,141 (大久保)平太夫! (杉田)はっ… 456 00:39:54,141 --> 00:39:59,146 主水之介と余は 昵懇の間柄じゃ 主水之介 苦しゅうない 457 00:39:59,146 --> 00:40:04,151 ありがたきお言葉 されば ご家老 突然の振る舞いは 458 00:40:04,151 --> 00:40:09,156 赤い吹き矢の下手人を 捕らえるためにございます 459 00:40:09,156 --> 00:40:12,159 今 木から落ちた女は 赤い吹き矢の下手人で➡ 460 00:40:12,159 --> 00:40:16,163 まだ死んではおりませぬ これは 大事な生き証人 461 00:40:16,163 --> 00:40:21,168 な… 何の生き証人だと申す? この野点の席の中に➡ 462 00:40:21,168 --> 00:40:24,171 赤い吹き矢事件の張本人 極悪人が潜んでおります 463 00:40:24,171 --> 00:40:28,175 その面皮を剥ぐための生き証人 なんと!? この場の中に? 464 00:40:28,175 --> 00:40:31,178 心当たりでもあるのか? いかにも 465 00:40:31,178 --> 00:40:34,181 苦しゅうない そのほう 余に代わって➡ 466 00:40:34,181 --> 00:40:37,184 この場において斬って捨てい はっ! 467 00:40:37,184 --> 00:40:41,188 諸羽流 正眼崩しの技とやらも 聞いておる 468 00:40:41,188 --> 00:40:44,188 その技を 一度 見たいものじゃでのぅ 469 00:40:47,194 --> 00:40:51,198 赤い吹き矢の一味 出ませい! 470 00:40:51,198 --> 00:40:56,203 殿の御諚により この場において 成敗いたす 出ませい! 471 00:40:56,203 --> 00:41:04,211 ♬~ 472 00:41:04,211 --> 00:41:08,215 お願いでございます 母の仇を討たせてくださりませ 473 00:41:08,215 --> 00:41:12,219 誰だ? その仇とは 城代家老 杉田平太夫 474 00:41:12,219 --> 00:41:14,221 何を無礼な! 475 00:41:14,221 --> 00:41:18,225 そのほうごとき見知らぬ女に 敵呼ばわりされる覚えはないわ! 476 00:41:18,225 --> 00:41:21,228 まさか 亡き母を お忘れではございますまい 477 00:41:21,228 --> 00:41:27,168 今から20年前 お城奥向きに 仕えた 万と申す女こそ 私の母 478 00:41:27,168 --> 00:41:30,171 お城を去って まもなく 私を産み落とし 479 00:41:30,171 --> 00:41:33,174 その後 あなたさまの手にかかって 480 00:41:33,174 --> 00:41:37,178 20歳の短い生涯を 終えた者でございます! 481 00:41:37,178 --> 00:41:41,182 平太夫 誠か? 482 00:41:41,182 --> 00:41:45,186 そのほう 遠い昔のことは 忘れたと申すのか? 483 00:41:45,186 --> 00:41:52,193 忘れはいたしませぬ しかしながら それが誠とすれば➡ 484 00:41:52,193 --> 00:42:01,202 そこの女こそ 私の血を分けた娘でございます 485 00:42:01,202 --> 00:42:04,205 嘘です なぜ そのような嘘を!? 486 00:42:04,205 --> 00:42:09,210 嘘ではない! 私のために一生を誤った万を➡ 487 00:42:09,210 --> 00:42:14,215 不憫には思いこそすれ 殺すいわれが ないではないか! 488 00:42:14,215 --> 00:42:20,221 そ… その証拠に 親子の証しに 万に与えた守り袋 489 00:42:20,221 --> 00:42:23,224 それと同じ物を これ こうして 私は肌身離さず持っている! 490 00:42:23,224 --> 00:42:29,163 知りませぬ 守り袋など 見たこともありませぬ 491 00:42:29,163 --> 00:42:32,166 それほど不憫に思うのなら➡ 492 00:42:32,166 --> 00:42:37,171 20年前 そのほうの子を 産んだ 万の身の振り方 493 00:42:37,171 --> 00:42:41,175 何ゆえ 人に頼んで顧みなかった? 494 00:42:41,175 --> 00:42:46,180 それは… 言えなければ 俺が教えてやろう 495 00:42:46,180 --> 00:42:52,180 所詮 女よりも 家老という家柄が大切であった 496 00:42:56,190 --> 00:43:03,197 (杉田)((服部 親子ともども 無事に頼むぞ)) 497 00:43:03,197 --> 00:43:08,197 ((ご安心くださいませ 一命に代えても 必ず)) 498 00:43:10,204 --> 00:43:15,209 自分の身は傷つかぬよう 部下の服部八郎兵衛に➡ 499 00:43:15,209 --> 00:43:20,214 赤子もろとも 母親まで預けて 顧みようとしなかった 500 00:43:20,214 --> 00:43:22,216 何を申すか 無礼な! 501 00:43:22,216 --> 00:43:27,154 控えい! 殿のご名代に向かって 無礼であろう 502 00:43:27,154 --> 00:43:32,159 そればかりか そのほうこそ 赤い吹き矢の張本人 503 00:43:32,159 --> 00:43:36,163 血迷ったか!? な… 何を証拠に そのような… 504 00:43:36,163 --> 00:43:41,168 フフフッ… 証拠が欲しくば いくらでも見せてやる 505 00:43:41,168 --> 00:43:44,168 お松 はいよ 506 00:43:49,176 --> 00:43:51,178 どこで それを… 507 00:43:51,178 --> 00:43:54,181 お前さんの屋敷は用心が悪いね 508 00:43:54,181 --> 00:43:59,181 服部どのの手文庫の 奥深く しまってあったそうな 509 00:44:01,188 --> 00:44:05,192 お松 お前の手柄だ 510 00:44:05,192 --> 00:44:09,196 泥棒の真似までした甲斐が あったというもの 511 00:44:09,196 --> 00:44:11,196 動くな! 512 00:44:16,203 --> 00:44:19,203 「父 杉田平太夫」… 513 00:44:24,211 --> 00:44:27,148 どうやら ネタが割れてきたようだな 514 00:44:27,148 --> 00:44:32,153 服部どの ゆすりの種にしようと 取っておいたお守り袋が➡ 515 00:44:32,153 --> 00:44:37,158 とんだ裏目に出たものだ 知らぬ そのようなものは知らん! 516 00:44:37,158 --> 00:44:42,158 ハハハハッ… 昔から 悪党に限って 往生際が悪いや 517 00:44:45,166 --> 00:44:49,170 本当のことを言えば 南の国へ帰してやる 518 00:44:49,170 --> 00:44:54,170 お前の主は誰だ? 誰に頼まれて 赤い吹き矢を撃った? 519 00:44:57,178 --> 00:45:01,178 次席家老 服部八郎兵衛 これへ出い! 520 00:45:07,188 --> 00:45:12,193 そのほう 難破して 小田原海岸へ流れ着いた➡ 521 00:45:12,193 --> 00:45:15,196 あの琉球女の腕前を買って➡ 522 00:45:15,196 --> 00:45:18,199 己の役に立てようと 謀ったであろう? 523 00:45:18,199 --> 00:45:24,205 表向きをはばかって 町道場の 陣馬陣十郎に その身柄を預けた 524 00:45:24,205 --> 00:45:28,142 その陣馬こそ 20年前 お前の命令で➡ 525 00:45:28,142 --> 00:45:34,148 そこな女 踏絵どのの母 万を殺した男だ 526 00:45:34,148 --> 00:45:40,154 母を殺し 何ゆえ 子供だけを育てたか 527 00:45:40,154 --> 00:45:42,156 教えてやろう 528 00:45:42,156 --> 00:45:46,160 後日 上役を押さえるための 切り札にしようと たくらんだのだ 529 00:45:46,160 --> 00:45:49,163 そのほう 出世のためには➡ 530 00:45:49,163 --> 00:45:52,166 あらゆる悪事を 重ねてきたであろう? 531 00:45:52,166 --> 00:45:57,171 その昔 出世に必要な金を 貢がせた商人どもを➡ 532 00:45:57,171 --> 00:46:00,174 口封じのために 次々と殺し 533 00:46:00,174 --> 00:46:06,180 この女に 父 杉田平太夫を 母の仇だと教え込み 534 00:46:06,180 --> 00:46:11,185 城代家老の席に取って代わろうと した卑劣な振る舞い 535 00:46:11,185 --> 00:46:16,190 そればかりか ご領内の 美しい娘たちを度々 召し集め 536 00:46:16,190 --> 00:46:21,195 殿の歓心を買って 己が立場を 有利にせんとした不届き者 537 00:46:21,195 --> 00:46:26,195 役目により 即刻 切腹申しつける! 538 00:46:31,138 --> 00:46:33,140 (お松)見苦しいね! 539 00:46:33,140 --> 00:46:37,140 お侍さんらしい最期を 遂げたら どうなんだい! 540 00:46:43,150 --> 00:46:45,152 (服部)ヤッ! 541 00:46:45,152 --> 00:46:48,155 (斬る音) ウッ! 542 00:46:48,155 --> 00:46:51,155 踏絵どの とどめを早く! 543 00:47:11,178 --> 00:47:13,178 早乙女さま! 544 00:47:15,182 --> 00:47:19,186 これまでのご無礼 平に お許しください 545 00:47:19,186 --> 00:47:22,189 御前のお力あってこそ 事件は無事 落着 546 00:47:22,189 --> 00:47:25,192 私ごとき未熟者に 到底 及ぶところではございません 547 00:47:25,192 --> 00:47:29,129 ハハハハッ… 気にするなよ 退屈払いだっただけのことだ 548 00:47:29,129 --> 00:47:31,129 ハハハッ… 549 00:47:36,136 --> 00:47:38,138 お松 お前は ここから帰れ 550 00:47:38,138 --> 00:47:42,142 だから言ってるじゃないか おさんどんでも いいからってよ 551 00:47:42,142 --> 00:47:44,144 今までのお前の働きには 礼を言うが 552 00:47:44,144 --> 00:47:47,147 江戸へ連れていくわけには いかんのだ 頼む 分かってくれ 553 00:47:47,147 --> 00:47:50,147 おら やだ! 554 00:47:54,154 --> 00:47:59,159 せっかくだから ひとつ頼もうかな はっ! 何なりと 555 00:47:59,159 --> 00:48:01,159 あの女 しょっぴいてくれ 556 00:48:03,163 --> 00:48:05,163 はっ… 557 00:48:10,170 --> 00:48:13,173 ンッ… 558 00:48:13,173 --> 00:48:19,179 ♬~ 559 00:48:19,179 --> 00:48:22,182 殿さまの嘘つき! 560 00:48:22,182 --> 00:48:27,121 でも おら 諦めないからね 必ず 江戸へ追っかけていく! 561 00:48:27,121 --> 00:48:31,125 お前は いい奴だが 魅力がありすぎる 562 00:48:31,125 --> 00:48:33,127 許せよ 563 00:48:33,127 --> 00:48:53,147 ♬~ 564 00:48:53,147 --> 00:49:09,147 ♬~ 565 00:49:13,200 --> 00:49:17,204 <将軍家の威光を笠に着て 大勢の信者を誘い込み➡ 566 00:49:17,204 --> 00:49:22,209 悪の花の栄える大黒院門前町と 悪徳和尚 隆達> 567 00:49:22,209 --> 00:49:27,214 <その和尚を姉の敵と狙う 浪々の身の兄妹> 568 00:49:27,214 --> 00:49:31,218 <仲居風の女が持っていた 平打ちの簪に端を発し➡ 569 00:49:31,218 --> 00:49:34,221 これを知った主水たちの 活躍を描く> 570 00:49:34,221 --> 00:49:36,223 <次回 『旗本退屈男』> 571 00:49:36,223 --> 00:49:39,223 <「かんざし仇討」に どうぞ ご期待ください>