1 00:00:01,235 --> 00:00:04,938 ♬~ 2 00:00:08,976 --> 00:00:23,190 ♬~ 3 00:00:34,134 --> 00:00:41,441 (伊礼)<あの日 私が突然 原宿の路上で 演説を始めた理由。 それは…> 4 00:00:46,446 --> 00:00:50,150 <今日 この番組で私が演じることになる➡ 5 00:00:50,150 --> 00:00:57,324 「ある実在の女性」の決意や信念を 肌で感じるためには➡ 6 00:00:57,324 --> 00:01:02,029 絶対に通らなくてはならない道だと 思ったからです> 7 00:01:06,400 --> 00:01:08,402 <彼女の名前は…> 8 00:01:10,103 --> 00:01:13,774 <まだ女性に参政権のなかった 明治に生まれ➡ 9 00:01:13,774 --> 00:01:20,113 あらゆる手段を使って 婦人参政権の獲得を目指した彼女は➡ 10 00:01:20,113 --> 00:01:23,951 メディアから 「婦選の鬼」とも呼ばれるほど➡ 11 00:01:23,951 --> 00:01:28,822 強い信念と行動力を持つ人でした。➡ 12 00:01:28,822 --> 00:01:31,825 その人生は…> 13 00:01:37,965 --> 00:01:40,667 <まさに波乱万丈> 14 00:01:42,803 --> 00:01:46,306 <その一方 世間からは ものすごい人気で➡ 15 00:01:46,306 --> 00:01:50,310 どの政党にも所属しない 完全無所属でいながら➡ 16 00:01:50,310 --> 00:01:55,315 なんと 全国トップの280万票を獲得したことも> 17 00:01:58,652 --> 00:02:04,091 <まるで映画やドラマの主人公みたいな 激動の人生を送った彼女を➡ 18 00:02:04,091 --> 00:02:06,927 どうやったら演じることができるのか➡ 19 00:02:06,927 --> 00:02:12,099 この番組は 私が房枝さんになるために 房枝さんを知る➡ 20 00:02:12,099 --> 00:02:15,902 そんな 少し変わったプロジェクトです> 21 00:02:23,610 --> 00:02:27,781 この世界には ドラマや映画に出てくる ヒロインのように➡ 22 00:02:27,781 --> 00:02:32,119 困難に立ち向かい 人生を切り開いていった女性たちが➡ 23 00:02:32,119 --> 00:02:35,622 数多く存在する。 そこで➡ 24 00:02:35,622 --> 00:02:40,494 この番組では 劇的な人生を送った実在の女性と➡ 25 00:02:40,494 --> 00:02:46,133 演技に情熱を燃やす 気鋭の若手女優を マッチング。 26 00:02:46,133 --> 00:02:49,169 二人の「ドラマチックな女たち」が出会い➡ 27 00:02:49,169 --> 00:02:52,005 女優が その生き様を追体験しながら➡ 28 00:02:52,005 --> 00:02:54,508 最後に… 29 00:03:04,518 --> 00:03:09,356 全く新しいドキュメンタリードラマ番組。 30 00:03:09,356 --> 00:03:12,759 第1回は 没後40年がたった今もなお➡ 31 00:03:12,759 --> 00:03:18,265 多くの人に影響を与え続けている 市川房枝に➡ 32 00:03:18,265 --> 00:03:20,934 2006年生まれの16歳➡ 33 00:03:20,934 --> 00:03:23,770 年内に多くの 劇場公開映画を控える➡ 34 00:03:23,770 --> 00:03:29,276 業界注目の新人女優 伊礼姫奈が迫ります。 35 00:03:29,276 --> 00:03:34,981 ♬~ 36 00:03:39,419 --> 00:03:44,291 <この日 私が房枝さんを演じるためには 何をしたらいいか➡ 37 00:03:44,291 --> 00:03:48,095 番組スタッフさんとの ミーティングが開かれました> 38 00:03:51,164 --> 00:03:56,436 <この2週間 私は 房枝さんに関する本を読み 映画を見て➡ 39 00:03:56,436 --> 00:03:59,139 いろいろ勉強してきたのですが…> 40 00:04:12,886 --> 00:04:18,592 <驚いたのは 房枝さんが生きた時代の 女性の権利のことでした。➡ 41 00:04:18,592 --> 00:04:24,764 当時の女性には選挙に立候補することも 投票する権利もなし。➡ 42 00:04:24,764 --> 00:04:28,401 それどころか 政治演説を 聞きに行くことさえ➡ 43 00:04:28,401 --> 00:04:31,905 法律で禁止されていた というんです> 44 00:04:33,607 --> 00:04:38,111 <でも それに納得のいかなかった 房枝さんは…> 45 00:04:43,784 --> 00:04:48,421 <演説会場に潜り込んだ罪で 警察に逮捕されてしまいます。➡ 46 00:04:48,421 --> 00:04:50,423 でも…> 47 00:05:15,081 --> 00:05:17,984 <逮捕されていても 平気で言い返す。➡ 48 00:05:17,984 --> 00:05:21,755 房枝さんは若い頃から 納得がいかなければ➡ 49 00:05:21,755 --> 00:05:26,259 どんな相手にも 立ち向かっていく人だったそうなんです> 50 00:05:32,399 --> 00:05:35,902 ずっと 何かこう… 51 00:06:09,069 --> 00:06:14,941 <本や映画で知る房枝さんは あまりにも強く 私とは正反対。➡ 52 00:06:14,941 --> 00:06:20,247 でも それは あくまで 政治家 婦人運動家としての表の顔。➡ 53 00:06:20,247 --> 00:06:24,584 実際 ふだんは どんな人だったのだろう。➡ 54 00:06:24,584 --> 00:06:31,358 その答えを知るために 私はその週末 富山県に向かいました。➡ 55 00:06:31,358 --> 00:06:34,261 生涯独身を貫いた房枝さんには➡ 56 00:06:34,261 --> 00:06:37,931 養女のミサオさんという女性が いたのですが➡ 57 00:06:37,931 --> 00:06:43,270 ミサオさんの親戚たちも 房枝さんの 晩年には一緒に暮らしていたそうで➡ 58 00:06:43,270 --> 00:06:47,974 今回 その方々に お話を聞けることになったのです> 59 00:07:28,248 --> 00:07:31,151 <意外にも 皆さん口をそろえて➡ 60 00:07:31,151 --> 00:07:37,390 家にいる時の房枝さんは とても穏やかで優しかったと言います。➡ 61 00:07:37,390 --> 00:07:41,261 でも そんな房枝さんが どうして「鬼」と呼ばれるほど➡ 62 00:07:41,261 --> 00:07:44,931 婦人運動にのめり込んでいったのか> 63 00:07:44,931 --> 00:07:49,436 先生が いつも書いたり 言ったりしてらっしゃるのは… 64 00:07:54,941 --> 00:08:00,547 <房枝さんは 今から129年前に 愛知県で生まれました。➡ 65 00:08:00,547 --> 00:08:05,418 お父さんは よく働き 子どもを大事にする人でしたが➡ 66 00:08:05,418 --> 00:08:11,624 妻に対しては厳しく 自分に従うのが 当たり前と考えていました> 67 00:08:22,802 --> 00:08:25,772 <房枝さんの最初の記憶。➡ 68 00:08:25,772 --> 00:08:30,477 それは日々殴られる お母さんの姿でした> 69 00:08:46,760 --> 00:08:53,266 <晩年 当時の思いを語った 房枝さんの肉声が残っていました> 70 00:08:53,266 --> 00:08:59,572 ことに 母親がね あとでね 私どもをつかまえてね… 71 00:09:31,971 --> 00:09:36,576 <それはちょっとショックで 信じられないような話でしたが➡ 72 00:09:36,576 --> 00:09:43,383 この話を聞いた時 私は少し前に知った ある言葉を思い出していました> 73 00:09:45,752 --> 00:09:48,655 <それは この番組のオーディションで➡ 74 00:09:48,655 --> 00:09:53,359 最後に演じるドラマの台本を 初めて読んだ時> 75 00:09:59,299 --> 00:10:02,101 <良妻賢母。➡ 76 00:10:02,101 --> 00:10:08,608 それは 明治に広がった 理想の女性像を指した言葉。➡ 77 00:10:08,608 --> 00:10:11,945 良い妻 賢い母。➡ 78 00:10:11,945 --> 00:10:19,619 当時は そこに「自分を捨ててでも」という 意味合いも強く含まれていたそうです。➡ 79 00:10:19,619 --> 00:10:24,124 そんな「良妻賢母」が求められる 風潮の中で➡ 80 00:10:24,124 --> 00:10:29,295 「女に生まれたのは因果」と嘆いていた 房枝さんのお母さん➡ 81 00:10:29,295 --> 00:10:35,001 明治の女性が送っていた生活とは 一体 どんなものだったのか> 82 00:10:37,637 --> 00:10:39,973 <そのことが知りたくなった私に➡ 83 00:10:39,973 --> 00:10:42,442 番組スタッフさんが用意してくれたのは➡ 84 00:10:42,442 --> 00:10:45,812 埼玉県にある古民家施設。➡ 85 00:10:45,812 --> 00:10:49,449 ここでは 明治の暮らしが体験できるというので➡ 86 00:10:49,449 --> 00:10:53,319 やらせてもらったのですが…。➡ 87 00:10:53,319 --> 00:10:55,989 今では スイッチ一つで済むことを➡ 88 00:10:55,989 --> 00:10:59,492 全部 自分の手でやらなければなりません> 89 00:11:01,761 --> 00:11:06,399 <現代の家事労働時間は 平均で約2時間半。➡ 90 00:11:06,399 --> 00:11:08,902 でも 当時は…> 91 00:11:19,946 --> 00:11:22,282 <なんと その4倍から5倍。➡ 92 00:11:22,282 --> 00:11:26,619 10時間以上もかかったそうです。➡ 93 00:11:26,619 --> 00:11:32,292 当時 こうした家事労働は 女性たちが担うことが当たり前。➡ 94 00:11:32,292 --> 00:11:38,097 助けを求めたり 文句を言わず こなさなければなりませんでした> 95 00:11:57,984 --> 00:12:02,755 <でも そんな母を見ながら育った 少女時代の房枝さんは➡ 96 00:12:02,755 --> 00:12:07,393 ある日 衝撃的な事実を知ります。➡ 97 00:12:07,393 --> 00:12:09,896 それは…> 98 00:12:21,274 --> 00:12:24,611 <アメリカには女性の大学教授もいる。➡ 99 00:12:24,611 --> 00:12:31,117 学問を身につけて 社会に出れば 女性でも男性と同様に働けるんだ。➡ 100 00:12:31,117 --> 00:12:34,954 私も働きたい 自立した女性になりたい。➡ 101 00:12:34,954 --> 00:12:37,290 そう考えた房枝さんは➡ 102 00:12:37,290 --> 00:12:41,127 教師になる夢を抱いて 師範学校に進学。➡ 103 00:12:41,127 --> 00:12:45,298 一歩を踏み出しました。➡ 104 00:12:45,298 --> 00:12:50,603 しかし その夢はすぐに 逆境に見舞われるのです> 105 00:13:07,620 --> 00:13:11,924 <彼女が4年生になる頃 女子部の学生だけが➡ 106 00:13:11,924 --> 00:13:17,797 この年 新設された 愛知県女子師範学校に移されると➡ 107 00:13:17,797 --> 00:13:23,269 校長先生が突然 かたい木に 薄い布が1枚巻いてあるだけの➡ 108 00:13:23,269 --> 00:13:26,572 木枕で寝ることを強要してきたそう> 109 00:13:28,408 --> 00:13:32,612 <こうして始まった 理不尽な良妻賢母教育に➡ 110 00:13:32,612 --> 00:13:35,948 女学生たちは苦しめられます。➡ 111 00:13:35,948 --> 00:13:42,455 そして 校長先生がやって来てから 3か月ほどたった 7月のある日…> 112 00:13:44,290 --> 00:13:49,162 <ついに彼女は 深夜 仲間たちを図書室に集めて➡ 113 00:13:49,162 --> 00:13:51,964 当時としては信じられないような➡ 114 00:13:51,964 --> 00:13:55,668 「ある行動を起こす」提案をするのです> 115 00:13:58,738 --> 00:14:03,743 <いよいよ ドラマの撮影が目前に迫った 取材最終日> 116 00:14:06,245 --> 00:14:09,549 <最後に私がやって来たのは…> 117 00:14:15,388 --> 00:14:20,927 <実は 房枝さんが学校に対して 「決意の行動」を起こす直前に書かれた➡ 118 00:14:20,927 --> 00:14:24,397 彼女の日記が ここに保管されていて➡ 119 00:14:24,397 --> 00:14:29,602 今回 特別に それを見せてもらったのですが…。➡ 120 00:14:29,602 --> 00:14:33,473 そこには 先生や学校に対する怒りの気持ちが➡ 121 00:14:33,473 --> 00:14:36,476 率直に書かれていました> 122 00:14:58,965 --> 00:15:02,735 <この直後 彼女はついに学校を相手に➡ 123 00:15:02,735 --> 00:15:08,541 とても彼女らしいやり方で 行動を起こすことになります。➡ 124 00:15:08,541 --> 00:15:10,910 100年以上も前➡ 125 00:15:10,910 --> 00:15:17,250 当時 私と年もあまり変わらない 房枝さんが起こした 最初の闘い。➡ 126 00:15:17,250 --> 00:15:19,185 それは もしかすると➡ 127 00:15:19,185 --> 00:15:25,892 房枝さんが「市川房枝」になるための 儀式だったのかもしれません> 128 00:15:27,593 --> 00:15:31,764 <これで 全ての取材は終了。➡ 129 00:15:31,764 --> 00:15:34,801 だけど実は 私にはまだ➡ 130 00:15:34,801 --> 00:15:38,938 どうしても 引っ掛かっていることがありました。➡ 131 00:15:38,938 --> 00:15:41,140 それは…> 132 00:15:47,113 --> 00:15:50,016 <どんなに彼女のことを学んだところで➡ 133 00:15:50,016 --> 00:15:54,620 強く自分を持ち 信念の塊だった房枝さんを➡ 134 00:15:54,620 --> 00:15:59,492 人の目を気にして 洋服すら 一人で買いに行ったことがない私が➡ 135 00:15:59,492 --> 00:16:05,064 そもそも演じることができるのか ということでした。➡ 136 00:16:05,064 --> 00:16:08,568 彼女の優しくまっすぐで 強い心を➡ 137 00:16:08,568 --> 00:16:12,905 自分自身に宿すことが できなければいけないと思い➡ 138 00:16:12,905 --> 00:16:18,778 私は最後に 自分自身で ある行動を 起こすことを決めていました。➡ 139 00:16:18,778 --> 00:16:21,781 まず そのための準備として…> 140 00:16:33,092 --> 00:16:39,265 <初めて 自分一人で洋服屋さんに行って 好きな洋服を買い➡ 141 00:16:39,265 --> 00:16:43,769 その服を着て 原宿の街を歩いてみました> 142 00:16:53,779 --> 00:16:58,417 <私にとっては これだけでも とても勇気のいることでしたが➡ 143 00:16:58,417 --> 00:17:04,223 この日の目的は 単に服を着て 街を歩くことではありません。➡ 144 00:17:04,223 --> 00:17:06,425 それは…> 145 00:19:00,339 --> 00:19:05,211 (拍手) 146 00:19:05,211 --> 00:19:12,518 ♬~ 147 00:19:40,112 --> 00:19:45,951 <こうして 私が房枝さんを演じるための 全ての行程が終わりました。➡ 148 00:19:45,951 --> 00:19:53,259 そして いよいよ ドラマの撮影日がやって来たのです> 149 00:19:53,259 --> 00:19:56,929 えっと… 市川房枝さん…。 150 00:19:56,929 --> 00:20:01,267 お願いします。 (拍手) 151 00:20:01,267 --> 00:20:04,603 <それでは お待たせしました。➡ 152 00:20:04,603 --> 00:20:09,942 私 伊礼姫奈が演じる 婦人運動家 市川房枝さんの原点を➡ 153 00:20:09,942 --> 00:20:12,845 ご覧下さい> 154 00:20:12,845 --> 00:20:16,282 (スタッフ)よ~い はい! 155 00:20:16,282 --> 00:20:18,784 (チャイム) 156 00:20:18,784 --> 00:20:25,958 20代の時から87歳まで続いた 市川房枝の闘いの原点➡ 157 00:20:25,958 --> 00:20:31,831 それは 愛知県内の 師範学校に在学していた 19歳の時➡ 158 00:20:31,831 --> 00:20:36,969 新任の校長先生と出会ったことが きっかけだった。 159 00:20:36,969 --> 00:20:40,005 校長先生 それは何ですか? 160 00:20:40,005 --> 00:20:45,444 何って 枕だよ。 木のね。 161 00:20:45,444 --> 00:20:50,149 今日から君たちは これを枕にして寝なさい。 162 00:20:50,149 --> 00:20:52,084 は? 163 00:20:52,084 --> 00:20:59,825 良妻賢母たるもの そもそも 寝崩れたり 熟睡したりしてはならん。➡ 164 00:20:59,825 --> 00:21:03,395 これまで どういう教育を 受けてきたかは知らんが➡ 165 00:21:03,395 --> 00:21:07,766 私が校長になった以上は従ってもらう。 166 00:21:07,766 --> 00:21:10,402 分かったね? 167 00:21:10,402 --> 00:21:14,273 新しい校長の口癖は 良妻賢母。 168 00:21:14,273 --> 00:21:18,777 この日から 彼女たちにとって 到底 受け入れ難い➡ 169 00:21:18,777 --> 00:21:23,115 理不尽な教育が始まった。 170 00:21:23,115 --> 00:21:25,951 (校長)おい 君。 はい。 171 00:21:25,951 --> 00:21:31,290 ここ まだ汚れてるじゃないか。 172 00:21:31,290 --> 00:21:38,631 良妻賢母たるもの 掃除ぐらい ちゃんとできんと問題にならんぞ。 173 00:21:38,631 --> 00:21:42,434 すいません。 やり直します。 174 00:21:42,434 --> 00:21:45,137 何だね その顔は。 175 00:21:45,137 --> 00:21:49,975 良妻賢母たるもの いついかなる時にも笑顔で朗らかに! 176 00:21:49,975 --> 00:21:54,280 大体 君たちが掃除を怠けていたのが 悪いんだろう。 177 00:21:56,148 --> 00:22:00,753 はい。 気を付けます。 178 00:22:00,753 --> 00:22:04,590 まったく。 179 00:22:04,590 --> 00:22:10,396 女性でも自立した人生を送るために 入った師範学校なのに➡ 180 00:22:10,396 --> 00:22:16,936 校長はいつも一方的に 「良妻賢母」を押しつけてきたという。 181 00:22:16,936 --> 00:22:20,773 私が間違ってた。 182 00:22:20,773 --> 00:22:27,947 教師になれば 自立できると思って 師範学校に入ったのに➡ 183 00:22:27,947 --> 00:22:33,752 結局 女は どこまで行っても女なのよね。 184 00:22:36,121 --> 00:22:42,828 私 もう… この学校やめようかな。 185 00:22:54,440 --> 00:22:57,243 本当に それでいいの? 186 00:22:59,311 --> 00:23:01,580 え? 187 00:23:01,580 --> 00:23:07,086 私は… 私はもう我慢できない。 188 00:23:10,923 --> 00:23:17,396 その日の深夜 房枝はクラスの仲間たちを 図書室に呼び出した。 189 00:23:17,396 --> 00:23:22,768 これから私たちで 学校に出す要望書を作ります。 190 00:23:22,768 --> 00:23:24,703 要望書? 191 00:23:24,703 --> 00:23:30,276 あの校長の「良妻賢母たるもの」には みんな もう うんざりでしょ? 192 00:23:30,276 --> 00:23:35,114 だから 一人1つずつ 学校に対して 納得のいかないことや➡ 193 00:23:35,114 --> 00:23:37,950 直してほしいところを書いて 提出をするの。 194 00:23:37,950 --> 00:23:41,787 でも そんなもの 先生方が認めてくれるはずがないわ。 195 00:23:41,787 --> 00:23:44,690 だったら 無理やり認めさせればいいの。 196 00:23:44,690 --> 00:23:48,661 無理やりって どうやって? 197 00:23:48,661 --> 00:23:52,431 要望書を提出したら それが認められるまで➡ 198 00:23:52,431 --> 00:23:56,936 授業中 名前を呼ばれても 一切 返事をしないで 無視をするの。 199 00:23:58,971 --> 00:24:00,939 ストライキよ。 200 00:24:00,939 --> 00:24:04,743 ストライキって そんなことしたら 私たちみんな退学よ。 201 00:24:04,743 --> 00:24:08,747 そうよ。 せっかく4年生になったのに。 202 00:24:11,383 --> 00:24:17,256 私の家は農家で 父は いつも母に手をあげていた。 203 00:24:17,256 --> 00:24:20,926 大した理由もなく打たれる度に➡ 204 00:24:20,926 --> 00:24:25,597 母さんは決まって 「女に生まれたのは 因果だからしかたない」と言って➡ 205 00:24:25,597 --> 00:24:30,269 一人で泣いていたの。 206 00:24:30,269 --> 00:24:32,604 私は…➡ 207 00:24:32,604 --> 00:24:35,941 私は母さんがかわいそうで しかたなかった。 208 00:24:35,941 --> 00:24:39,778 なぜ女だけが かたい木の枕で 寝なくてはならないの。 209 00:24:39,778 --> 00:24:42,281 なぜ女として生まれてきただけで➡ 210 00:24:42,281 --> 00:24:46,485 どんな理不尽な扱いを受けても 笑顔で耐えなくてはならないの? 211 00:24:48,620 --> 00:24:51,423 私は 将来教える生徒たちに➡ 212 00:24:51,423 --> 00:24:57,796 女に生まれたことを 因果ではなく 幸福だったと思ってほしい。 213 00:24:57,796 --> 00:25:05,237 だから このストライキは 単に学校に対する闘いじゃない。 214 00:25:05,237 --> 00:25:11,944 私たちの未来に対する闘いなの。 215 00:25:17,950 --> 00:25:22,254 私…。 216 00:25:22,254 --> 00:25:25,257 やる。 217 00:25:25,257 --> 00:25:27,593 私も闘う! 218 00:25:27,593 --> 00:25:31,263 私もやる!私もやるよ! 私もやる! 219 00:25:31,263 --> 00:25:34,266 校長先生に 目に物見せてやりましょう。 220 00:25:34,266 --> 00:25:37,069 (笑い声) 221 00:25:38,937 --> 00:25:41,840 そして 次の日から…。 222 00:25:41,840 --> 00:25:44,810 じゃあ 出席をとる。 223 00:25:44,810 --> 00:25:47,946 市川。 224 00:25:47,946 --> 00:25:50,149 市川。 225 00:25:52,818 --> 00:25:56,622 市川 いるなら返事をしなさい。 226 00:25:59,558 --> 00:26:02,461 返事をしないと欠席だぞ。 227 00:26:02,461 --> 00:26:05,264 じゃあ 次。 鈴木。 228 00:26:09,902 --> 00:26:14,072 おい 何なんだ?➡ 229 00:26:14,072 --> 00:26:18,577 おい 田中。 おい! 230 00:26:22,448 --> 00:26:29,455 それが認められるまで無期限に続く 授業のストライキに突入した。 231 00:26:31,924 --> 00:26:35,794 一体 どういうつもりなんだ 君たちは! 232 00:26:35,794 --> 00:26:40,933 理不尽な不平等は 平和の敵です。 233 00:26:40,933 --> 00:26:46,605 平和なくして平等なく 平等なくして平和なし。 234 00:26:46,605 --> 00:26:49,274 だから 私たちは➡ 235 00:26:49,274 --> 00:26:54,613 この学校の不平等な体質が改善されると 約束されるまで➡ 236 00:26:54,613 --> 00:27:00,352 このストライキを絶対に 絶対にやめません。 237 00:27:00,352 --> 00:27:07,726 ♬~ 238 00:27:07,726 --> 00:27:12,898 <当時の日記によれば この日 校長先生との直談判は➡ 239 00:27:12,898 --> 00:27:17,769 3時間にも及んだことが 記されています。➡ 240 00:27:17,769 --> 00:27:23,909 その後も 房枝さんを中心とした 女学生たちのストライキは続き➡ 241 00:27:23,909 --> 00:27:29,081 最終的に いくつかの要望を通すことに成功。➡ 242 00:27:29,081 --> 00:27:34,953 女性のために 女性を説得して みんなで立ち上がる。➡ 243 00:27:34,953 --> 00:27:40,692 それは 自分が いずれ政治家になるなど 夢にも思っていなかった彼女が➡ 244 00:27:40,692 --> 00:27:47,499 その後 70年近く続けることになる闘い方 そのものでした> 245 00:27:49,401 --> 00:27:51,770 お疲れさまでした。 (拍手) 246 00:27:51,770 --> 00:27:58,277 <こうして 私が房枝さんと向き合う 濃密な1か月間が終了しました> 247 00:28:00,212 --> 00:28:03,515 何が一番大変だった…。 248 00:28:28,574 --> 00:28:34,246 <天国の房枝さんが 今回の私を見て どう思うかは分かりませんが➡ 249 00:28:34,246 --> 00:28:39,551 私にも一つだけ 房枝さんに 自信を持って言えることがあります> 250 00:28:54,633 --> 00:28:57,135 …っていうのを 見てほしいです。