1 00:00:45,713 --> 00:00:49,584 ♬~ 2 00:00:49,584 --> 00:00:53,054 北の方様のところに 以前より出入りしておる➡ 3 00:00:53,054 --> 00:00:57,725 前蔵人式部丞 藤原為時の娘にございます。 4 00:00:57,725 --> 00:01:15,076 ♬~ 5 00:01:15,076 --> 00:01:17,979 ≪お父上のお帰りでございますよ。 6 00:01:17,979 --> 00:01:20,979 ≪(源 倫子)お早いお帰りだこと。 7 00:01:26,688 --> 00:01:30,625 (倫子)ほら 彰子 父上よ。 8 00:01:30,625 --> 00:01:32,560 (藤原彰子)父上。 9 00:01:32,560 --> 00:01:35,697 言えた~! 偉い 偉い。 10 00:01:35,697 --> 00:01:37,997 殿も褒めてやってくださいませ。 11 00:01:39,567 --> 00:01:41,569 (藤原道長)ん? 12 00:01:41,569 --> 00:01:45,373 いかがされましたの? 13 00:01:45,373 --> 00:01:50,373 そうか… よかったな。 14 00:01:53,247 --> 00:01:56,017 あちらで遊んでおいで。 15 00:01:56,017 --> 00:02:08,596 ♬~ 16 00:02:08,596 --> 00:02:13,896 (倫子)お着替え お手伝いいたします。 よい。 17 00:02:19,073 --> 00:02:24,373 ああ よい風だ。 18 00:02:32,353 --> 00:02:37,225 (いと)断られたのですか? 何故に…。 19 00:02:37,225 --> 00:02:39,694 (まひろ)気に入られなかったのやも…。 20 00:02:39,694 --> 00:02:43,564 (いと)されど あちらからのお話でございましたよね。 21 00:02:43,564 --> 00:02:47,568 女房としては 使いにくいのではないかしら…。 22 00:02:47,568 --> 00:02:51,305 だったら 何のための お話だったんでございましょう。 23 00:02:51,305 --> 00:02:54,242 失礼な…。 許しておくれ いと。 24 00:02:54,242 --> 00:02:57,542 いとの願いに応えられず…。 25 00:03:01,849 --> 00:05:46,049 ♬~ 26 00:06:09,370 --> 00:06:16,370 (藤原兼家)今日は 気分がよいので お前たちを呼んだ。 27 00:06:18,045 --> 00:06:20,745 出家いたす。 28 00:06:24,385 --> 00:06:34,662 望みどおり関白になったが 明日 それを辞し 髪を下ろす。 29 00:06:34,662 --> 00:06:37,962 わしの跡は…。 30 00:06:43,371 --> 00:06:47,241 道隆 お前が継げ。 31 00:06:47,241 --> 00:06:53,014 (藤原道隆) はっ… 仰せかしこまりましてございます。 32 00:06:53,014 --> 00:06:56,050 (藤原道兼)父上は 正気を失っておられる。 33 00:06:56,050 --> 00:06:59,887 父上の今日あるは 私の働きがあってこそ。 何故 兄上に! 34 00:06:59,887 --> 00:07:05,593 黙れ。 正気を失っておるのは お前の方じゃ。 35 00:07:05,593 --> 00:07:13,034 お前のような人殺しに 一族の長が務まると思うのか! 36 00:07:13,034 --> 00:07:15,369 人殺し…。 37 00:07:15,369 --> 00:07:22,243 大それた望みを抱くなぞ 許し難し。 下がれ。 38 00:07:22,243 --> 00:07:26,981 父上こそ 帝の父の円融院に毒を盛り➡ 39 00:07:26,981 --> 00:07:29,383 花山院の女御様と そのお子を呪詛し➡ 40 00:07:29,383 --> 00:07:34,083 そのあげく あやめ奉った張本人ではないか! 41 00:07:36,657 --> 00:07:40,528 道隆は 何も知らずともよい。 42 00:07:40,528 --> 00:07:45,800 お前は 真っさらな道を行け。 はっ。 43 00:07:45,800 --> 00:07:52,573 (兼家)道兼は これからも 我が家の汚れ仕事を担って➡ 44 00:07:52,573 --> 00:07:54,809 兄を支えてまいれ。 45 00:07:54,809 --> 00:08:03,609 それが嫌なら 身分を捨て どこへでも流れてゆくがよい。 46 00:08:08,389 --> 00:08:12,693 この老いぼれが…。 47 00:08:12,693 --> 00:08:14,993 とっとと死ね! 48 00:08:23,037 --> 00:08:26,037 以上である。 49 00:08:32,847 --> 00:08:35,983 あっ。 50 00:08:35,983 --> 00:08:39,320 よい。 51 00:08:39,320 --> 00:08:49,320 道隆 道長 今より 父はないものと思って生きよ。 52 00:08:59,006 --> 00:09:19,706 (兼家の歌声) 53 00:09:25,232 --> 00:09:31,232 これ以来 道兼は参内しなくなった。 54 00:09:48,322 --> 00:09:50,658 ≪いとにございます。 55 00:09:50,658 --> 00:09:52,958 (藤原為時)入れ。 56 00:10:03,003 --> 00:10:09,343 殿様 おいとまを頂きとうございます。 57 00:10:09,343 --> 00:10:12,680 本当にお世話になりました。 58 00:10:12,680 --> 00:10:15,015 何のお役にも立てず…。 59 00:10:15,015 --> 00:10:19,520 ま… 待て。 いきなり いかがいたしたのじゃ。 60 00:10:19,520 --> 00:10:25,392 私 食べなくても 太ってしまう体でございますので➡ 61 00:10:25,392 --> 00:10:30,231 何と言うか 居場所がないというか…。 62 00:10:30,231 --> 00:10:32,233 いや 今更 何を申すか。 63 00:10:32,233 --> 00:10:37,905 されど 土御門殿での 姫様のお仕事も決まらず➡ 64 00:10:37,905 --> 00:10:42,376 私の仕立物の注文も途絶えがちで…。 65 00:10:42,376 --> 00:10:48,249 もう 私が おいとまを頂くしか あるまいと…。 66 00:10:48,249 --> 00:10:51,949 行く当てなぞ ないであろう。 67 00:11:05,065 --> 00:11:11,739 惟規の乳母となって この家に来たのは➡ 68 00:11:11,739 --> 00:11:21,415 お前が 夫と生まれたばかりの子を はやり病で亡くした直後であった。 69 00:11:21,415 --> 00:11:29,715 ゆえに お前は 惟規を我が子のように 慈しんでくれた。 70 00:11:33,360 --> 00:11:39,360 この家は お前の家である。 71 00:11:44,705 --> 00:11:47,608 ここにおれ。 72 00:11:47,608 --> 00:11:53,908 (泣き声) 73 00:11:55,716 --> 00:12:04,858 (藤原寧子) 道綱 道綱 道綱。 聞こえますか? 74 00:12:04,858 --> 00:12:08,729 (藤原道綱)母上 もうおやめください。 75 00:12:08,729 --> 00:12:13,067 (寧子)道隆様に 道綱のことを➡ 76 00:12:13,067 --> 00:12:18,405 お忘れなくと おっしゃっておいてくださいませね。➡ 77 00:12:18,405 --> 00:12:21,308 道綱。 (道綱)お加減のお悪い時に➡ 78 00:12:21,308 --> 00:12:24,608 そんなことを申されるのは…。 79 00:12:26,747 --> 00:12:31,418 あっ お気付きになられた。 80 00:12:31,418 --> 00:12:33,718 殿様。 81 00:12:38,025 --> 00:12:48,669 「嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は➡ 82 00:12:48,669 --> 00:12:53,669 いかに久しき ものとかは知る」。 83 00:12:56,043 --> 00:12:58,343 殿…。 84 00:13:01,382 --> 00:13:05,853 (道綱)今の歌 何? 85 00:13:05,853 --> 00:13:11,658 私の「蜻蛉日記」よ。 86 00:13:11,658 --> 00:13:16,958 あれは よかったのう…。 87 00:13:25,072 --> 00:13:29,772 輝かしき日々であった…。 88 00:13:34,348 --> 00:13:58,048 (源 明子の呪詛する声) 89 00:14:00,574 --> 00:14:05,312 (安倍晴明)今宵 星は落ちる。 90 00:14:05,312 --> 00:14:09,049 次なる者も長くはあるまい。 91 00:14:09,049 --> 00:15:34,201 ♬~ 92 00:15:34,201 --> 00:15:38,201 (呪詛する声) 93 00:15:42,676 --> 00:15:53,020 (雨音) 94 00:15:53,020 --> 00:16:08,720 (荒い息遣い) 95 00:16:33,327 --> 00:16:35,627 父上! 96 00:16:59,353 --> 00:17:29,049 ♬~ 97 00:17:29,049 --> 00:17:31,349 父上…。 98 00:17:36,657 --> 00:17:39,357 父上。 99 00:17:48,669 --> 00:17:51,669 父上! 100 00:18:00,280 --> 00:18:06,980 (藤原宣孝) 兼家様 3日前に身まかられたそうだ。 101 00:18:17,030 --> 00:18:21,730 激しいご生涯であったのう…。 102 00:18:23,704 --> 00:18:28,004 知らせは もう一つある。 103 00:18:30,043 --> 00:18:33,780 わしは 筑前に下ることとなった。 104 00:18:33,780 --> 00:18:36,650 筑前守におなりなのでございますか? 105 00:18:36,650 --> 00:18:41,988 さきの筑前守が 病で職を辞したそうで にわかの赴任を命じられた。 106 00:18:41,988 --> 00:18:43,924 ハハハ…。 107 00:18:43,924 --> 00:18:48,862 御嶽詣の御利益だ。➡ 108 00:18:48,862 --> 00:18:53,166 いよいよ わしも国司になるぞ。 109 00:18:53,166 --> 00:18:59,940 おめでとうございます。 さみしくなるのう。 110 00:18:59,940 --> 00:19:02,809 (宣孝)そのような顔をするな。 111 00:19:02,809 --> 00:19:10,016 わしも 為時殿の一家を置いていくのは 忍びないと思っておったが➡ 112 00:19:10,016 --> 00:19:16,890 運よく さきの関白様が身まかられて これから 家運も上向くであろう。 113 00:19:16,890 --> 00:19:19,192 ああ よかった よかった。 114 00:19:19,192 --> 00:19:22,028 下向の支度もせねばならぬゆえ これでな。 115 00:19:22,028 --> 00:19:25,328 お知らせ ありがとうございます。 ああ。 116 00:19:32,305 --> 00:19:34,241 殿様。 117 00:19:34,241 --> 00:19:39,241 一人にしてくれ。 118 00:19:42,315 --> 00:19:47,988 殿様のあれは うれし涙でございますよね? 119 00:19:47,988 --> 00:19:50,891 分からないわ。 120 00:19:50,891 --> 00:19:55,662 父上ご自身も お分かりになっていないかも。 え? 121 00:19:55,662 --> 00:19:59,533 うれしくても 悲しくても 涙は出るし➡ 122 00:19:59,533 --> 00:20:05,533 うれしいか 悲しいか 分からなくても 涙は出るのよ。 123 00:20:22,355 --> 00:20:25,355 ≪殿がお越しでございます。 124 00:20:33,366 --> 00:20:36,066 そのままでよい。 125 00:20:38,238 --> 00:20:42,042 殿のお子を…。 126 00:20:42,042 --> 00:20:45,912 お許しくださいませ。 127 00:20:45,912 --> 00:20:49,716 生まれいでぬ宿命の子もおる。 128 00:20:49,716 --> 00:20:55,016 そなたのせいではない。 ささ 休んでおれ。 129 00:20:59,726 --> 00:21:08,401 喪に服しておいでの時に あえて 穢れの身を お見舞いくださるなんて…。 130 00:21:08,401 --> 00:21:11,401 しきたりなぞ気にするな。 131 00:21:13,273 --> 00:21:16,273 ゆっくり養生いたせ。 132 00:21:24,751 --> 00:21:27,420 また参る。 133 00:21:27,420 --> 00:21:49,042 ♬~ 134 00:21:49,042 --> 00:21:51,711 お帰りなさいませ。 135 00:21:51,711 --> 00:21:53,647 うん。 136 00:21:53,647 --> 00:21:57,584 明子様は いかがでしたか? 137 00:21:57,584 --> 00:22:05,258 しっかり お慰めしてあげなければ いけませんわね。 138 00:22:05,258 --> 00:22:09,129 でも 明子様は お若いから➡ 139 00:22:09,129 --> 00:22:12,098 これから お子は いくらでも できましょう。 140 00:22:12,098 --> 00:22:15,598 私も せいぜい気張らねば。 141 00:22:19,739 --> 00:22:28,748 関白 藤原兼家の喪に服して 都は しばらく静まり返っていたが…。 142 00:22:28,748 --> 00:22:30,684 (笑い声) 143 00:22:30,684 --> 00:22:49,984 〽 世の中は 夢か 現か 現とも 144 00:22:52,939 --> 00:22:56,910 何だ? (藤原繁子)おいとまを頂戴いたします。 145 00:22:56,910 --> 00:22:59,379 尊子も連れてまいります。 146 00:22:59,379 --> 00:23:02,215 関白の妻でなければ 気に入らぬか。 147 00:23:02,215 --> 00:23:04,718 そうではございませぬ。 148 00:23:04,718 --> 00:23:07,518 好いた殿御が出来ました。 149 00:23:09,222 --> 00:23:12,559 お父上の喪にも服さぬような➡ 150 00:23:12,559 --> 00:23:17,397 あなたのお顔は もう見たくもございませぬ。 151 00:23:17,397 --> 00:23:20,066 (ため息) 152 00:23:20,066 --> 00:23:23,937 ならば 尊子は置いてゆけ。 153 00:23:23,937 --> 00:23:26,940 尊子は 先に家から出しました。 154 00:23:26,940 --> 00:23:31,240 私と参りたいと申しましたので。 155 00:23:34,347 --> 00:23:39,347 皆様 お邪魔いたしました。 156 00:23:42,222 --> 00:24:04,044 ♬~ 157 00:24:04,044 --> 00:24:05,979 (ため息) 158 00:24:05,979 --> 00:24:08,715 (藤原公任) 我が父も見る目がなかったな…。 159 00:24:08,715 --> 00:24:12,052 次は 必ず道兼様だと申したのに。 160 00:24:12,052 --> 00:24:17,724 (藤原斉信)お前に誘われて 道兼様についたりしなくてよかった。 161 00:24:17,724 --> 00:24:22,228 これからは 道隆様に真剣に取り入らねば。 162 00:24:22,228 --> 00:24:24,264 いい気なもんだ。 163 00:24:24,264 --> 00:24:29,736 (藤原行成)実の父上の喪にも服さぬ 道兼様は あまりでございます。 164 00:24:29,736 --> 00:24:34,007 こうして群れておる我らも 似たようなものだが。 165 00:24:34,007 --> 00:24:38,678 なるほど 我らも不謹慎ではあるが まだ まともな方だ。 166 00:24:38,678 --> 00:24:41,581 道兼様は 正気ではない。 167 00:24:41,581 --> 00:24:43,550 普通に考えれば➡ 168 00:24:43,550 --> 00:24:48,688 定子様を入内させた道隆様が 跡目を継がれるのが順当で➡ 169 00:24:48,688 --> 00:24:52,688 なるようになった ということでございましょう。 170 00:24:54,360 --> 00:25:01,360 摂政となった道隆の 初めての公卿会議が行われた。 171 00:25:19,052 --> 00:25:22,352 (一条天皇)蔵人頭 参れ! 172 00:25:35,001 --> 00:25:45,001 道隆は まだ17歳の息子 伊周を 一足飛びに蔵人頭に任命した。 173 00:25:51,551 --> 00:25:53,686 お美しい…。 174 00:25:53,686 --> 00:25:57,524 漢詩も和歌も笛も弓も 誰にも負けない腕前なんですってよ。 175 00:25:57,524 --> 00:26:02,028 17歳で? 出来過ぎ~。 176 00:26:02,028 --> 00:26:07,700 (藤原定子) ひい ふう みい よう いつ…。➡ 177 00:26:07,700 --> 00:26:11,204 ああ… また お上の勝ちでございます。 178 00:26:11,204 --> 00:26:13,540 (一条天皇)わ~い! 179 00:26:13,540 --> 00:26:17,710 (定子)ああ! お上 重とうございます。 180 00:26:17,710 --> 00:26:20,046 ああ 降参でございます。 お上。 181 00:26:20,046 --> 00:26:23,046 皇太后様が おいであそばしました。 182 00:26:33,326 --> 00:26:39,199 (藤原詮子)皆々 おそろいで。 にぎやかでよいのう。 183 00:26:39,199 --> 00:26:44,671 お上 そのような乱れたお姿を 見せてはなりませぬ。 184 00:26:44,671 --> 00:26:46,673 お許しくださいませ 私が…。 185 00:26:46,673 --> 00:26:49,175 そなたに言うておるのではない。 186 00:26:49,175 --> 00:26:52,375 お上に申し上げておるのです。 187 00:26:55,048 --> 00:26:57,050 出直してまいる。 188 00:26:57,050 --> 00:27:01,850 それまでに お上は お心を整えなさいませ。 189 00:27:04,023 --> 00:27:06,723 見苦しや。 190 00:27:21,574 --> 00:27:30,049 (藤原実資)まだ世に出たばかりの 17歳の伊周殿を蔵人頭にするは異常。 191 00:27:30,049 --> 00:27:32,952 全くもって異常! 192 00:27:32,952 --> 00:27:35,321 異常中の異常! 193 00:27:35,321 --> 00:27:38,791 (婉子女王)ん~… この張り具合…。 194 00:27:38,791 --> 00:27:41,494 恥を知らない身内びいきだ。 195 00:27:41,494 --> 00:27:45,798 ほっておけば 内裏の秩序は乱れよう。 196 00:27:45,798 --> 00:27:47,867 なんとかせねば…。 197 00:27:47,867 --> 00:27:50,003 ん~…。 198 00:27:50,003 --> 00:27:51,938 腹をつかむな。 199 00:27:51,938 --> 00:27:58,511 もう そのお話は 明日の朝 日記にお書きになれば よろしいでしょ。 200 00:27:58,511 --> 00:28:03,182 なんと さきの妻も 同じことを よう言うた。 201 00:28:03,182 --> 00:28:05,118 日記に書けばと。 202 00:28:05,118 --> 00:28:10,923 まあ…! さきの奥方は 私よりもはるかに身分が下。 203 00:28:10,923 --> 00:28:18,031 その方のことを 私の前で懐かしむとは 無礼千万。 204 00:28:18,031 --> 00:28:20,533 懐かしんだわけではない。 205 00:28:20,533 --> 00:28:23,369 同じだな~と言うただけじゃ。 206 00:28:23,369 --> 00:28:26,706 そなたは 為平親王の姫で➡ 207 00:28:26,706 --> 00:28:30,543 花山院の御代の女御様であった。 208 00:28:30,543 --> 00:28:37,317 私好みの高貴な高貴な妻である。 ハハ…。 209 00:28:37,317 --> 00:28:42,155 では もう あちらに参りましょ。 210 00:28:42,155 --> 00:28:44,190 ああ 分かった 分かった。 211 00:28:44,190 --> 00:28:47,660 明日 このことは日記に記そう。 212 00:28:47,660 --> 00:28:51,660 関白 藤原道隆の横暴。 213 00:29:00,006 --> 00:29:05,678 (藤原伊周) ん~… たいが おいしゅうございます。 214 00:29:05,678 --> 00:29:11,017 (高階貴子)我が家は 喪中ゆえ 祝いとは申しませんでしたけど➡ 215 00:29:11,017 --> 00:29:14,354 今朝 淡路から届きましたのよ。 216 00:29:14,354 --> 00:29:17,690 ほう… 淡路守か。 217 00:29:17,690 --> 00:29:23,196 淡路は下国ゆえ 早く都へ帰りたいのであろう。 218 00:29:23,196 --> 00:29:31,371 殿 蔵人頭ともなれば 伊周に よい婿入り先を見つけねばと思いますの。 219 00:29:31,371 --> 00:29:34,974 お前は それを望んでおるのか? 220 00:29:34,974 --> 00:29:38,845 父上と母上にお任せいたします。 221 00:29:38,845 --> 00:29:41,848 ひと事じゃのう。 222 00:29:41,848 --> 00:29:48,654 父上のため 一族のために生きる この使命は➡ 223 00:29:48,654 --> 00:29:53,326 幼い頃よりの 母上の教えにございますゆえ。 224 00:29:53,326 --> 00:29:58,197 では 和歌の会でも開きましょうか。 225 00:29:58,197 --> 00:30:00,199 和歌の会か…。 226 00:30:00,199 --> 00:30:07,874 伊周の妻となる女子であれば 和歌くらい ちゃんと詠めねばなりませぬゆえ。 227 00:30:07,874 --> 00:30:14,347 貴子の思うようにやってみよ。 お任せいたします。 228 00:30:14,347 --> 00:30:19,018 既に 母が考える姫様たちのほかに➡ 229 00:30:19,018 --> 00:30:23,189 漢詩の会の時の あの2人を呼びましょう。 230 00:30:23,189 --> 00:30:25,691 あの2人? 231 00:30:25,691 --> 00:30:28,991 ああ あの出すぎ者の…。 232 00:30:30,563 --> 00:30:39,238 和歌の会は 5年前の漢詩の会と同じく 道隆の屋敷で行われた。 233 00:30:39,238 --> 00:30:41,707 (ききょう)お待ちしておりました。 234 00:30:41,707 --> 00:30:45,044 お久しゅうございます。 235 00:30:45,044 --> 00:30:47,713 お変わりございませんでしたか? 236 00:30:47,713 --> 00:30:52,585 ああ… いえ いろいろ変わりました。 237 00:30:52,585 --> 00:30:56,389 何からお話ししていいか分からぬほど。 238 00:30:56,389 --> 00:31:01,060 お父上は お元気? はい。 つつがなく暮らしております。 239 00:31:01,060 --> 00:31:06,566 ききょう様のお父上は ご息災であられますか? 240 00:31:06,566 --> 00:31:11,070 この6月に身まかりました。 241 00:31:11,070 --> 00:31:15,408 肥後守として下向していた彼の地で…。 242 00:31:15,408 --> 00:31:21,581 それは おいたわしいことでございました。 243 00:31:21,581 --> 00:31:24,083 都を離れ難く➡ 244 00:31:24,083 --> 00:31:28,421 年老いた父を 1人で 肥後に 行かせてしまったことを悔いております。 245 00:31:28,421 --> 00:31:30,890 ご夫君のことも おありですものね。 246 00:31:30,890 --> 00:31:33,893 夫のことは どうでもよかったのですが➡ 247 00:31:33,893 --> 00:31:39,532 都にいないと 取り残されてしまいそうで…。 248 00:31:39,532 --> 00:31:42,368 愚かでした。 249 00:31:42,368 --> 00:31:48,368 生きていると 悔やむことばかりですわね。 250 00:31:51,377 --> 00:31:55,214 今日も 恐らく伊周様の妻選び。 251 00:31:55,214 --> 00:31:58,551 私たちは ただのにぎやかしですわ。 あほらしい。 252 00:31:58,551 --> 00:32:00,586 聞こえますわよ。 253 00:32:00,586 --> 00:32:04,886 ≪お出ましを。 (2人)はい! 254 00:32:06,726 --> 00:32:09,629 聞こえたわね。 255 00:32:09,629 --> 00:32:27,747 ♬~ 256 00:32:27,747 --> 00:32:31,747 では お題を。 257 00:32:35,354 --> 00:32:39,692 お題は 「秋」にございます。 258 00:32:39,692 --> 00:32:59,692 ♬~ 259 00:33:01,380 --> 00:33:12,024 「秋風の うち吹くごとに 高砂の➡ 260 00:33:12,024 --> 00:33:21,701 尾上の鹿の 鳴かぬ日ぞなき」。 261 00:33:21,701 --> 00:33:27,701 威厳に満ちながら 秋にふさわしい 涼やかな響きのお歌でございます。 262 00:33:33,012 --> 00:33:44,357 (たね)な れ ゐ て。 263 00:33:44,357 --> 00:33:47,057 完璧! 264 00:33:50,696 --> 00:33:56,569 た つ じ。 265 00:33:56,569 --> 00:34:01,340 い わ。 266 00:34:01,340 --> 00:34:03,275 たつじ いわ…。 267 00:34:03,275 --> 00:34:06,045 トトとカカの名前。 268 00:34:06,045 --> 00:34:14,220 そっか たつじがトト様 いわがカカ様。 269 00:34:14,220 --> 00:34:18,858 なるほど。 よくできました。 270 00:34:18,858 --> 00:34:22,395 すごいじゃない。 もう 何でも書けるんじゃない? 271 00:34:22,395 --> 00:34:25,064 賢いのね たねは。 272 00:34:25,064 --> 00:34:27,733 教えたかいが あったわ。 273 00:34:27,733 --> 00:34:30,236 もう帰らないと! カカに怒られる。 274 00:34:30,236 --> 00:34:35,508 じゃあ 帰ったら トト様とカカ様に 名前書いてみせてあげて。 275 00:34:35,508 --> 00:34:38,544 じゃあ また明日。 はい! 276 00:34:38,544 --> 00:34:49,355 ♬~ 277 00:34:49,355 --> 00:34:52,024 まひろ様。 278 00:34:52,024 --> 00:34:55,024 ききょう様…。 279 00:34:56,696 --> 00:34:59,598 誰ですの? 今の汚い子。 280 00:34:59,598 --> 00:35:04,036 文字を教えている子です。 それは もう 賢くて…。 281 00:35:04,036 --> 00:35:06,539 あのような下々の子に教えているの? 282 00:35:06,539 --> 00:35:11,377 ええ。 文字を知らないために ひどい目に遭う人もおりますので。 283 00:35:11,377 --> 00:35:14,077 なんと物好きな…。 284 00:35:17,717 --> 00:35:22,054 先日の和歌の会は つまらぬものでございましたわね。 285 00:35:22,054 --> 00:35:25,725 あのような姫たちが 私は 一番嫌いでございます。 286 00:35:25,725 --> 00:35:29,228 は…。 よりよき婿を取ることしか考えられず➡ 287 00:35:29,228 --> 00:35:35,801 志を持たず 己を磨かず 退屈な暮らしも そうと気付く力もないような姫たち。 288 00:35:35,801 --> 00:35:38,704 そこまで おっしゃらなくても…。 289 00:35:38,704 --> 00:35:41,340 まひろ様だって そうお思いでしょ。 290 00:35:41,340 --> 00:35:43,676 少しは…。 291 00:35:43,676 --> 00:35:47,546 私は 宮中に女房として出仕して➡ 292 00:35:47,546 --> 00:35:50,549 広く世の中を知りたいと 思っておりますの。 293 00:35:50,549 --> 00:35:56,188 それは ききょう様らしくて すばらしいことでございます。 294 00:35:56,188 --> 00:35:59,692 まひろ様に 志はないの? 295 00:35:59,692 --> 00:36:06,565 私の志は 先ほども申しましたように➡ 296 00:36:06,565 --> 00:36:12,404 文字の読めない人を 少しでも少なくすることです。 297 00:36:12,404 --> 00:36:17,710 この国には 我々 貴族の幾万倍もの民がおりますのよ。 298 00:36:17,710 --> 00:36:20,613 そのこと ご存じ? 存じてます。 299 00:36:20,613 --> 00:36:25,584 されど それで諦めていたら 何も変わりません。 300 00:36:25,584 --> 00:36:28,584 そうでございますか…。 301 00:36:35,194 --> 00:36:44,336 私は 私の志のために 夫を捨てようと思いますの。 は? 302 00:36:44,336 --> 00:36:47,807 夫は 女房に出るなどという➡ 303 00:36:47,807 --> 00:36:51,010 恥ずかしいことは やめてくれと 申しますのよ。 304 00:36:51,010 --> 00:36:53,512 文章や和歌は うまくならずともよい。 305 00:36:53,512 --> 00:36:56,348 自分を慰める女でいよと。 306 00:36:56,348 --> 00:36:59,385 どう思われます? 307 00:36:59,385 --> 00:37:02,021 下の下でございましょ。 308 00:37:02,021 --> 00:37:07,693 されど 若君もおられますよね。 309 00:37:07,693 --> 00:37:12,031 息子も 夫に押っつけてしまうつもりです。 310 00:37:12,031 --> 00:37:21,040 息子には すまないことですが 私は 私のために生きたいのです。 311 00:37:21,040 --> 00:37:24,844 広く世の中を知り 己のために生きることが➡ 312 00:37:24,844 --> 00:37:27,713 ほかの人の役にも立つような…。 313 00:37:27,713 --> 00:37:33,713 そんな道を見つけたいのです。 314 00:37:44,663 --> 00:37:47,663 今日は 来ないのですか? 315 00:37:49,335 --> 00:37:52,671 どうしたのかしら? 316 00:37:52,671 --> 00:37:56,175 どうせ タダで教えてるんですから よろしいではないですか。 317 00:37:56,175 --> 00:37:59,011 そんな… 宣孝様みたいなこと言わないで。 318 00:37:59,011 --> 00:38:01,011 まっ…。 319 00:38:17,696 --> 00:38:20,396 (たつじ)休むんじゃねえ! 320 00:38:27,706 --> 00:38:30,609 たね。 321 00:38:30,609 --> 00:38:33,609 先生…。 322 00:38:35,981 --> 00:38:39,018 (たつじ)あんたが うちの子に文字を教えてる女子かい。 323 00:38:39,018 --> 00:38:42,321 余計なことはやめてくれ! 324 00:38:42,321 --> 00:38:47,660 うちの子は 一生 畑を耕して死ぬんだ。 325 00:38:47,660 --> 00:38:50,996 文字なんか要らねえ。➡ 326 00:38:50,996 --> 00:38:55,868 俺ら あんたら お偉方の慰み者じゃねえ! 327 00:38:55,868 --> 00:39:13,018 ♬~ 328 00:39:13,018 --> 00:39:17,890 お前は また 検非違使庁の改革案を 出しているようだな。 329 00:39:17,890 --> 00:39:19,892 はっ。 330 00:39:19,892 --> 00:39:23,662 幾度も却下したではないか。 諦めません。 331 00:39:23,662 --> 00:39:26,365 検非違使庁の下部は 裁きの手間を省くため➡ 332 00:39:26,365 --> 00:39:28,400 罪人を ひそかに あやめておりまする。 333 00:39:28,400 --> 00:39:31,637 そのような非道を許せば 国はすさみます。 334 00:39:31,637 --> 00:39:34,306 民が 朝廷を恨みます。 335 00:39:34,306 --> 00:39:38,177 罪人は 罪人である。 336 00:39:38,177 --> 00:39:44,650 どのように処されようと 我らが知ったことではない。 337 00:39:44,650 --> 00:39:50,322 身分の高い罪人は 供もつけて流刑に処し➡ 338 00:39:50,322 --> 00:39:52,791 時が過ぎれば 都に戻るようになっておる。 339 00:39:52,791 --> 00:39:57,629 身分の高い者だけが 人ではありませぬ。 340 00:39:57,629 --> 00:40:01,166 お前は もう 権中納言ぞ。 341 00:40:01,166 --> 00:40:07,940 下々のことは 下々に任せておけばよい。 342 00:40:07,940 --> 00:40:15,681 定子様を 中宮にする。 え? 343 00:40:15,681 --> 00:40:19,018 円融院の遵子様が 中宮としておられますが。 344 00:40:19,018 --> 00:40:23,822 中宮の遵子様には 皇后にお上がりいただき➡ 345 00:40:23,822 --> 00:40:27,359 定子様を中宮になし奉るつもりじゃ。 346 00:40:27,359 --> 00:40:31,530 皇后と中宮が並び立つ前例は ありませぬ。 347 00:40:31,530 --> 00:40:35,034 前例とは 何だ? 348 00:40:35,034 --> 00:40:39,905 そもそも 前例の一番初めには 前例なぞ なかったであろうが。 349 00:40:39,905 --> 00:40:41,907 されど…。 350 00:40:41,907 --> 00:40:44,607 公卿たちを説得せよ。 351 00:40:47,046 --> 00:40:50,916 できませぬ。 これは相談ではない。 352 00:40:50,916 --> 00:40:53,916 摂政の命である。 353 00:41:11,737 --> 00:41:17,609 (たつじ) 俺ら あんたら お偉方の慰み者じゃねえ! 354 00:41:17,609 --> 00:41:39,698 ♬~ 355 00:41:39,698 --> 00:41:43,569 [ 心の声 ] 俺は 何一つ成していない…。 356 00:41:43,569 --> 00:41:54,713 ♬~ 357 00:41:54,713 --> 00:41:59,551 皇后と中宮が並び立つなど 前例がございませぬ。 358 00:41:59,551 --> 00:42:02,054 (藤原顕光)ありえぬ。 (藤原公季)ありえぬ。 (源 重信)ありえぬ。 359 00:42:02,054 --> 00:42:04,354 中納言殿…。 360 00:42:05,924 --> 00:42:10,562 ありえぬ… と存じます。 361 00:42:10,562 --> 00:42:14,233 (藤原為光)皇后は さきの さきの帝の后➡ 362 00:42:14,233 --> 00:42:18,570 中宮は 今の帝の后 ということであるならば➡ 363 00:42:18,570 --> 00:42:21,874 あるやもしれませぬがな。 (源 雅信)ありえぬ。 364 00:42:21,874 --> 00:42:25,374 断じて ありえませぬ。 365 00:42:29,081 --> 00:42:32,684 そして その数日後。 366 00:42:32,684 --> 00:42:38,824 定子様を 中宮にお立てすることといたします。 367 00:42:38,824 --> 00:42:44,363 お上 いかがでございましょう。 368 00:42:44,363 --> 00:42:50,063 朕は 定子を中宮とする。 369 00:42:54,706 --> 00:42:59,706 道隆の独裁が始まった。 370 00:43:02,047 --> 00:43:04,850 もうすぐ石山寺ですよ。 371 00:43:04,850 --> 00:43:07,219 俺に尽くすと言ったよな? 372 00:43:07,219 --> 00:43:09,721 はい! (歓声) 373 00:43:09,721 --> 00:43:12,624 この道長が お支えいたします。 374 00:43:12,624 --> 00:43:15,394 我が家より 帝が出る。 375 00:43:15,394 --> 00:43:18,297 ♬~ 376 00:43:18,297 --> 00:43:21,266 [ 心の声 ] きれい…。 心にもないことを。 377 00:43:21,266 --> 00:43:24,403 今に始まったことではないがのう。 あれ? 378 00:43:24,403 --> 00:43:26,703 まことに よいかもしれません。 379 00:43:35,581 --> 00:43:38,584 しれつな権力争いの中で➡ 380 00:43:38,584 --> 00:43:46,058 一族の栄華の礎を築いた一人として 知られています。 381 00:43:46,058 --> 00:43:48,393 兼家の妻の一人➡ 382 00:43:48,393 --> 00:43:51,296 藤原道綱母によって書かれた➡ 383 00:43:51,296 --> 00:43:53,265 「蜻蛉日記」からは➡ 384 00:43:53,265 --> 00:43:55,734 若き日の 兼家の姿を➡ 385 00:43:55,734 --> 00:43:58,734 うかがい知ることが できます。 386 00:44:01,073 --> 00:44:05,373 京都府宇治市を流れる 宇治川。 387 00:44:06,945 --> 00:44:13,252 「蜻蛉日記」には 道綱母が 長谷寺へ詣でた帰り道➡ 388 00:44:13,252 --> 00:44:16,755 都から わざわざ迎えに来た兼家と➡ 389 00:44:16,755 --> 00:44:19,091 現在の宇治橋付近で➡ 390 00:44:19,091 --> 00:44:24,391 川を挟んで歌を詠み合ったことが 記されています。 391 00:44:29,101 --> 00:44:33,372 「蜻蛉日記」中盤に書かれている鵜飼は➡ 392 00:44:33,372 --> 00:44:38,710 宇治川の夏の風物詩として 今も行われています。 393 00:44:38,710 --> 00:44:41,046 このころの日記には➡ 394 00:44:41,046 --> 00:44:49,388 出世し 栄華を極めていく兼家の姿が 多く記されています。 395 00:44:49,388 --> 00:44:54,226 「蜻蛉日記」の中には 一人の妻の目線から見た➡ 396 00:44:54,226 --> 00:44:58,726 兼家のさまざまな表情が 残されているのです。 397 00:45:33,632 --> 00:45:36,568 ♬~(尺八)