1 00:00:35,884 --> 00:00:39,584 (藤原実資) 伊周殿をお迎えに上がりました。 2 00:00:43,726 --> 00:00:48,564 中宮様を牛車にお移しまいらせ 屋敷内を くまなく あらためよ。 3 00:00:48,564 --> 00:00:51,864 (一同)はっ! こちらへ。 4 00:00:54,036 --> 00:00:58,036 中宮様 何をなさいますか! (藤原定子)寄るな! 5 00:01:02,378 --> 00:01:05,047 (高階貴子)ああ…。 6 00:01:05,047 --> 00:01:07,347 (髪を切る音) 7 00:01:12,721 --> 00:01:18,021 (悲鳴) 8 00:01:24,066 --> 00:01:27,736 出家いたします。 9 00:01:27,736 --> 00:01:30,736 (ききょう・小声で)ああ…。 (まひろ・小声で)ききょう様。 10 00:01:32,341 --> 00:01:37,341 どうして… 中宮様…。 11 00:01:45,354 --> 00:01:50,025 (一条天皇) 中宮が 自ら髪を下ろしたのか…。 12 00:01:50,025 --> 00:01:52,695 (藤原道長)そのようでございます。 13 00:01:52,695 --> 00:01:55,364 誰も止めはしなかったのか! 14 00:01:55,364 --> 00:02:00,703 一切の責めは この私が負うべきこと。 15 00:02:00,703 --> 00:02:03,372 この身が至らぬゆえのことでございます。 16 00:02:03,372 --> 00:02:06,709 おわびの申し上げようとてございませぬ。 17 00:02:06,709 --> 00:02:09,709 お前を責めておるのではない。 18 00:02:12,381 --> 00:02:15,681 朕のせいである。 19 00:02:17,252 --> 00:02:22,558 中宮は 朕に腹を立て 髪を下ろしたのであろう。 20 00:02:22,558 --> 00:02:26,395 伊周は まだ そう遠くには 行っていないと思われます。 21 00:02:26,395 --> 00:02:31,133 都の内外に追っ手を遣わし 必ず捕らえます。 22 00:02:31,133 --> 00:02:35,933 朝廷の権威を踏みにじった 伊周の行いは許さぬ。 23 00:02:40,342 --> 00:02:45,681 事の重大さもわきまえず いきなり髪を下ろし➡ 24 00:02:45,681 --> 00:02:49,981 朕の政に異を唱えた中宮も同罪である。 25 00:03:10,706 --> 00:03:14,376 (一条天皇)愚かであった…。 26 00:03:14,376 --> 00:03:21,717 中宮は もう 朕には会わぬ覚悟なのか…。 27 00:03:21,717 --> 00:03:34,997 (泣き声) 28 00:03:34,997 --> 00:06:18,697 ♬~ 29 00:06:20,362 --> 00:06:23,699 (藤原宣孝)その場におったのか? 30 00:06:23,699 --> 00:06:26,034 庭に潜んでおりました。 31 00:06:26,034 --> 00:06:30,539 ならば 伊周が逃げるところも見たのか? よく覚えておりません。 32 00:06:30,539 --> 00:06:32,474 いや 見ておったのであろう。 33 00:06:32,474 --> 00:06:38,647 いろいろなことが 一度に起きて 何が何だか よく分からぬうちに…。 34 00:06:38,647 --> 00:06:42,517 中宮様のお気持ちも分からぬ。 御髪を下ろされたのなら➡ 35 00:06:42,517 --> 00:06:46,989 もう二度と 帝にはお会いになれぬのだぞ。 36 00:06:46,989 --> 00:06:49,992 中宮様のお顔は存じ上げぬが➡ 37 00:06:49,992 --> 00:06:54,129 あれだけ帝のお心を 引き付けられるのじゃ。 38 00:06:54,129 --> 00:06:56,498 すこぶる よい女子なのであろう。 39 00:06:56,498 --> 00:06:59,534 女を捨てるには もったいないのう。 ああ 実にもったいない。 40 00:06:59,534 --> 00:07:01,837 おやめくださいませ。 41 00:07:01,837 --> 00:07:04,506 下品な興味でペラペラと…。 42 00:07:04,506 --> 00:07:08,343 下品な興味を抱かぬ者なぞ この世には おらぬと思うがな。 43 00:07:08,343 --> 00:07:12,014 では どうぞ 別の所で そういうお話はなされませ。 44 00:07:12,014 --> 00:07:17,686 お前が 二条第におったというから 話しておるのではないか。 45 00:07:17,686 --> 00:07:25,560 分かった。 大きにご無礼つかまつった。 46 00:07:25,560 --> 00:07:28,260 あ…。 ハハ…。 47 00:07:30,699 --> 00:07:33,999 見方を変えるといたそう。 48 00:07:35,537 --> 00:07:40,537 この騒動で 得をしたのは誰であろうか。 49 00:07:43,278 --> 00:07:45,981 右大臣様であろう。 50 00:07:45,981 --> 00:07:50,852 花山院との小競り合いを 殊更 大ごとにしたのは右大臣だ。 51 00:07:50,852 --> 00:07:54,990 右大臣は 女院と手を結び 伊周を追い落とした。 52 00:07:54,990 --> 00:07:56,992 さきの さきの関白の嫡男で➡ 53 00:07:56,992 --> 00:08:00,862 中宮の兄でもある 伊周を追い落としてしまえば➡ 54 00:08:00,862 --> 00:08:03,665 右大臣の敵はいなくなる。 55 00:08:03,665 --> 00:08:11,006 女院も 子も宿さぬのに 帝の心をとらえて 離さぬ 中宮が気に食わない。 56 00:08:11,006 --> 00:08:17,306 これは 右大臣と女院による はかりごとやもしれぬ。 57 00:08:18,880 --> 00:08:24,853 どうだ? こういう真面目な話なら よかろう。 58 00:08:24,853 --> 00:08:27,522 いかがいたした? 59 00:08:27,522 --> 00:08:33,295 いえ。 なるほどと思いました。 60 00:08:33,295 --> 00:08:35,330 (藤原為時)ああ…。 61 00:08:35,330 --> 00:08:42,971 式部省や大学の知り合いに挨拶に参ったが 皆 中宮様のご出家の話で持ちきりで➡ 62 00:08:42,971 --> 00:08:47,309 相手にされなんだ。 今日は 間が悪かったな。 63 00:08:47,309 --> 00:08:51,980 装束が見違えるように立派になったのう。 64 00:08:51,980 --> 00:08:57,652 ああ…。 早速 右大臣様から お手当が出たゆえ。 65 00:08:57,652 --> 00:09:01,352 (為時と宣孝の笑い声) (宣孝)ほう…。 66 00:09:12,000 --> 00:09:15,337 (足音) 67 00:09:15,337 --> 00:09:19,207 少納言が参りました。 68 00:09:19,207 --> 00:09:21,209 帰せ。 69 00:09:21,209 --> 00:09:23,209 (ききょう)帰りませぬ。 70 00:09:28,350 --> 00:09:31,253 (定子)少納言…。 71 00:09:31,253 --> 00:09:36,953 あの時 里に下がったのは 間違いでございました。 72 00:09:39,628 --> 00:09:44,799 どうか再び 私をおそばにお置きくださいませ。 73 00:09:44,799 --> 00:09:46,835 ならぬ。 74 00:09:46,835 --> 00:09:50,305 私は 生きながらに死んだ身である。 75 00:09:50,305 --> 00:09:57,646 何が どうあろうとも 私は 中宮様の おそばにおらねばと思い➡ 76 00:09:57,646 --> 00:10:00,115 覚悟を決めてまいりました。 77 00:10:00,115 --> 00:10:07,656 命ある限り 私は 中宮様のおそばを離れません。 78 00:10:07,656 --> 00:10:13,328 ご命とあらば 私も髪を下ろします。 79 00:10:13,328 --> 00:10:15,664 ならぬ。 80 00:10:15,664 --> 00:10:17,599 下がれ。 81 00:10:17,599 --> 00:10:20,299 中宮様! 82 00:10:28,677 --> 00:10:32,547 (実資) お~ そこじゃ。 そこそこ そこそこ…。 83 00:10:32,547 --> 00:10:36,351 (婉子女王)コチコチにございます。 84 00:10:36,351 --> 00:10:40,689 もう科人の行方捜しなぞ およしなさいませ。 85 00:10:40,689 --> 00:10:45,026 博識なあなたの おやりになることでは ございませぬ。 86 00:10:45,026 --> 00:10:46,962 全くだ。 87 00:10:46,962 --> 00:10:54,736 されど 逃げた伊周を見つけねば 検非違使別当を辞めるに辞められぬ。 88 00:10:54,736 --> 00:11:00,536 あいつが見つかれば 配流先に送り 別当を辞するゆえ。 89 00:11:02,377 --> 00:11:05,714 このごろ つまりませぬ。 90 00:11:05,714 --> 00:11:09,584 殿は お帰りになると 疲れた 疲れたと➡ 91 00:11:09,584 --> 00:11:13,588 すぐお休みになってしまうんですもの。 92 00:11:13,588 --> 00:11:16,358 いま少し待て いま少しじゃ。 93 00:11:16,358 --> 00:11:20,729 ん~…。 94 00:11:20,729 --> 00:11:25,600 いま少し待て いま少しじゃ。 95 00:11:25,600 --> 00:11:27,600 いま少し。 96 00:11:29,404 --> 00:11:32,704 北山から宇治まで捜しても 見つからぬとは…。 97 00:11:35,210 --> 00:11:39,681 二条第に こっそり戻ってるやもしれぬ。 98 00:11:39,681 --> 00:11:41,616 いま一度 くまなく捜せ。 99 00:11:41,616 --> 00:11:45,153 二条第は 中宮様のご在所にございますれば➡ 100 00:11:45,153 --> 00:11:47,689 帝のお許しを賜りとうございます。 101 00:11:47,689 --> 00:11:50,689 うん 今すぐお願いに参る。 102 00:11:55,563 --> 00:12:00,268 (実資) かしこくも 帝のお許しを頂いた上は➡ 103 00:12:00,268 --> 00:12:03,705 二条第の内外を改めて探索する。 104 00:12:03,705 --> 00:12:08,043 心して かかれ! (一同)はっ! 105 00:12:08,043 --> 00:12:11,343 (藤原伊周)捜さずとも ここにおる! 106 00:12:14,382 --> 00:12:24,382 (伊周)出家したゆえ 任地には赴けぬ。 その旨 帝に そうお伝えせよ。 107 00:12:26,394 --> 00:12:31,094 伊周殿 かぶり物を取られよ。 108 00:12:34,002 --> 00:12:35,937 取られよ。 109 00:12:35,937 --> 00:12:38,937 取られよ! うるさ~い! 110 00:12:40,675 --> 00:12:43,345 離せ! 111 00:12:43,345 --> 00:12:47,645 やめろ! 離せ! 112 00:12:49,217 --> 00:12:54,956 これから てい髪するゆえ 任地には赴けぬ 帝に そうお伝えせよ。 113 00:12:54,956 --> 00:12:57,956 (定子)見苦しゅうございますよ 兄上。 114 00:13:01,363 --> 00:13:07,663 この上は 帝の命に 速やかにお従いくださいませ。 115 00:13:13,942 --> 00:13:19,180 ただちに 大宰府に向けて ご出立を。 お連れ申せ。 116 00:13:19,180 --> 00:13:22,550 さあ 立ちなさい! さあ! 嫌だ 嫌だ…。 117 00:13:22,550 --> 00:13:25,750 嫌だ 嫌だ 嫌だ! 118 00:13:27,389 --> 00:13:29,389 行かぬ…。 119 00:13:32,660 --> 00:13:37,999 私は ここを離れるわけにはいかぬ。 120 00:13:37,999 --> 00:13:43,872 亡き父上に誓ったのだ。 121 00:13:43,872 --> 00:13:51,172 私が… 私が 我が家を守ると! 122 00:13:57,352 --> 00:14:00,255 私が行かせる。 123 00:14:00,255 --> 00:14:14,369 ♬~ 124 00:14:14,369 --> 00:14:16,369 (貴子)伊周。 125 00:14:22,243 --> 00:14:24,943 もうよい。 126 00:14:34,322 --> 00:14:45,667 母も共に参るゆえ 大宰府に出立いたそう。 127 00:14:45,667 --> 00:14:49,003 母上…。 128 00:14:49,003 --> 00:14:58,003 ♬~ 129 00:15:06,554 --> 00:15:11,259 都にとどまるために… 愚かなことを…。 130 00:15:11,259 --> 00:15:16,231 伊周は 母を伴って 配流先へ出立いたしました。 131 00:15:16,231 --> 00:15:20,935 許さぬ。 ただちに引き離せ! 132 00:15:20,935 --> 00:15:23,635 承知つかまつりました。 133 00:15:36,985 --> 00:15:43,324 母上 申し訳ございませぬ。 134 00:15:43,324 --> 00:15:49,664 私が そなたに 多くを背負わせてしまったのよね。 135 00:15:49,664 --> 00:15:53,364 (網代車が止まる音) 136 00:16:04,012 --> 00:16:09,712 母の同行は まかりならぬとの 帝の仰せにござる。 137 00:16:13,354 --> 00:16:15,290 お出しせよ。 138 00:16:15,290 --> 00:16:18,226 伊周! 母上!➡ 139 00:16:18,226 --> 00:16:20,228 離せ! 140 00:16:20,228 --> 00:16:23,698 やめろ! 中宮の御母君に何をする! 141 00:16:23,698 --> 00:16:28,036 どうか… どうか お許しを。 142 00:16:28,036 --> 00:16:33,841 定子も出家して 私には この子しかおりませぬ。 143 00:16:33,841 --> 00:16:37,312 どうか どうか…。 144 00:16:37,312 --> 00:16:39,612 母上…。 145 00:16:42,650 --> 00:16:49,824 右大臣殿! 頼む 見逃してくれ…。 146 00:16:49,824 --> 00:16:55,330 お助けください 右大臣様。 147 00:16:55,330 --> 00:17:01,630 右大臣殿! 頼む…。 148 00:17:03,204 --> 00:17:11,204 伊周殿 この先は 騎馬にて下向されるべし。 149 00:17:14,015 --> 00:17:17,685 嫌だ… 母上! 母上! 150 00:17:17,685 --> 00:17:22,023 伊周! 嫌だ! 俺は 病気だ! 151 00:17:22,023 --> 00:17:26,027 馬には 乗れぬ! (貴子)伊周! 母上! 母上! 152 00:17:26,027 --> 00:17:28,162 (貴子)伊周! 153 00:17:28,162 --> 00:17:32,166 父 道隆の死から 僅か1年。 154 00:17:32,166 --> 00:17:37,866 その子供たちは 全て 内裏から姿を消した。 155 00:17:45,313 --> 00:17:48,216 ≪(足音) 156 00:17:48,216 --> 00:17:51,986 (百舌彦)殿。 何だ。 157 00:17:51,986 --> 00:17:55,786 二条第が 火事のようにございます。 158 00:18:06,334 --> 00:18:10,204 どうでしたか? 二条第が燃えているそうだ。➡ 159 00:18:10,204 --> 00:18:13,107 ここまで 火の手が及ぶことはない。 160 00:18:13,107 --> 00:18:15,677 中宮様とききょう様は…。 161 00:18:15,677 --> 00:18:18,377 分からぬ。 162 00:18:33,628 --> 00:18:36,328 中宮様! 163 00:18:41,302 --> 00:18:44,639 中宮様 参りましょう。 164 00:18:44,639 --> 00:18:47,542 そなたのみ逃げよ。 165 00:18:47,542 --> 00:18:50,311 私は ここで死ぬ。 166 00:18:50,311 --> 00:18:57,652 なりませぬ。 生きていても むなしいだけだ。 167 00:18:57,652 --> 00:19:00,555 私は もうよい。 168 00:19:00,555 --> 00:19:05,255 もう よいのだ…。 169 00:19:06,994 --> 00:19:09,294 なりませぬ! 170 00:19:11,866 --> 00:19:19,566 おなかのお子のため 中宮様は お生きにならねばなりませぬ。 171 00:19:21,542 --> 00:19:25,012 生きねばなりませぬ。 172 00:19:25,012 --> 00:19:54,175 ♬~ 173 00:19:54,175 --> 00:20:02,650 (藤原詮子)道隆兄上は 己の命が 短いことを悟っておられたのかしら。 174 00:20:02,650 --> 00:20:08,990 定子を中宮にするのを急ぎ 伊周らの昇進を急がれた。 175 00:20:08,990 --> 00:20:12,326 今日の この悲しいありようは➡ 176 00:20:12,326 --> 00:20:16,998 兄上の焦りから 始まっているような気がする。 177 00:20:16,998 --> 00:20:24,672 (源 倫子)一度に 伊周様 隆家様 中宮様を失った貴子様は➡ 178 00:20:24,672 --> 00:20:28,543 お気の毒でございますね…。 179 00:20:28,543 --> 00:20:35,850 先のことは分からぬのう…。 180 00:20:35,850 --> 00:21:01,050 〽 181 00:21:10,685 --> 00:21:18,059 こたびの騒ぎにおける働き まことに見事であった。 182 00:21:18,059 --> 00:21:26,734 一条天皇は 実資を中納言とし 望みどおり 検非違使別当を免じた。 183 00:21:26,734 --> 00:21:32,734 そして 道長を 正二位 左大臣に昇進させた。 184 00:21:35,543 --> 00:21:38,543 浮かないお顔ですな。 185 00:21:41,249 --> 00:21:47,021 お上の恩恵を賜ったのだ。 そのような顔はしておらぬ。 186 00:21:47,021 --> 00:21:51,359 さようでございますか。 気のせいでございました。 187 00:21:51,359 --> 00:21:56,230 気のせい 気のせい。 188 00:21:56,230 --> 00:22:01,702 定子の出家後 次の后探しが始まっていた。 189 00:22:01,702 --> 00:22:04,038 ほかに 年頃の姫はいないの? 190 00:22:04,038 --> 00:22:07,875 右大臣 顕光殿の姫 元子様がおられますが。 191 00:22:07,875 --> 00:22:12,713 その姫 村上天皇の御孫? はっ。 192 00:22:12,713 --> 00:22:15,049 よいではないの! 193 00:22:15,049 --> 00:22:16,984 それにしなさい! 194 00:22:16,984 --> 00:22:20,554 義子も元子も 定子よりも ず~っと尊い生まれ。 195 00:22:20,554 --> 00:22:23,391 帝のお子を産むには うってつけだわ。 196 00:22:23,391 --> 00:22:28,262 ウフフフフ…。 何かおかしいことを言うたか? 197 00:22:28,262 --> 00:22:32,500 女院様が あまりにお元気になられましたので。 198 00:22:32,500 --> 00:22:35,002 もう呪詛されてはおらぬゆえ。 199 00:22:35,002 --> 00:22:39,340 あの呪詛は 不思議なことにございましたね。 200 00:22:39,340 --> 00:22:48,349 女院様と殿のお父上は 仮病がお得意であったとか。 フフフ…。 201 00:22:48,349 --> 00:22:52,219 産み月が近く 気が立っておるな。 202 00:22:52,219 --> 00:22:56,219 いたわっておやり。 はっ。 フフフフ…。 203 00:22:59,694 --> 00:23:03,364 ご懐妊…。 204 00:23:03,364 --> 00:23:08,235 帝のお子ゆえ 公になると呪詛されるやもしれぬと➡ 205 00:23:08,235 --> 00:23:11,706 高階一族が 秘密にしたがっておられまして。 206 00:23:11,706 --> 00:23:15,576 帝は そのこと ご存じなのですか? 207 00:23:15,576 --> 00:23:17,578 いいえ。 208 00:23:17,578 --> 00:23:20,047 なんということでしょう…。 209 00:23:20,047 --> 00:23:25,920 中宮様は ご出家以来 生きる気力を失われてしまって➡ 210 00:23:25,920 --> 00:23:29,390 お食事も あまり召し上がらないのです。 211 00:23:29,390 --> 00:23:34,228 このままお体が弱ると おなかのお子のお命も危ないと思い➡ 212 00:23:34,228 --> 00:23:37,999 気が気ではありません。 213 00:23:37,999 --> 00:23:42,336 中宮様をお元気にするには どうしたらいいかしら? 214 00:23:42,336 --> 00:23:46,674 まひろ様に よいお考えはない? 215 00:23:46,674 --> 00:23:49,010 さあ…。 216 00:23:49,010 --> 00:23:52,010 そうよね。 217 00:23:56,350 --> 00:24:04,225 ききょう様 以前 中宮様から高価な紙を 賜ったと お話ししてくださったでしょ。 218 00:24:04,225 --> 00:24:09,363 ええ。 伊周様が 帝と中宮様に献上された紙ね。 219 00:24:09,363 --> 00:24:11,699 そう それです。 220 00:24:11,699 --> 00:24:17,872 ああ… 帝が それに 司馬遷の「史記」を書き写されたところ➡ 221 00:24:17,872 --> 00:24:21,709 中宮様が 「私は 何を書いたらいいかしら」と➡ 222 00:24:21,709 --> 00:24:25,379 お尋ねになったのです。 ああ…。 223 00:24:25,379 --> 00:24:29,250 何てお答えになったのですか? 224 00:24:29,250 --> 00:24:36,657 「枕ことばを書かれたら いかがでしょう」と申し上げました。 225 00:24:36,657 --> 00:24:39,994 「史記」が しき物だから 枕ですか? 226 00:24:39,994 --> 00:24:43,864 フフッ。 よくお分かりだこと。 227 00:24:43,864 --> 00:24:47,134 そうしましたら 中宮様が 大層 面白がられて➡ 228 00:24:47,134 --> 00:24:50,037 その紙を私に下さったのです。 229 00:24:50,037 --> 00:24:55,876 でしたら その紙に 中宮様のために 何かお書きになってみたら よいのでは? 230 00:24:55,876 --> 00:24:57,876 え…。 231 00:24:59,680 --> 00:25:04,351 帝が 司馬遷の「史記」だから➡ 232 00:25:04,351 --> 00:25:10,691 ききょう様は 春夏秋冬の四季とか。 233 00:25:10,691 --> 00:25:15,029 まひろ様… 言葉遊びがお上手なのね。 234 00:25:15,029 --> 00:25:16,964 え? しき…。 235 00:25:16,964 --> 00:25:19,664 あっ…。 (笑い声) 236 00:26:31,305 --> 00:28:29,356 ♬~ 237 00:28:29,356 --> 00:28:35,796 [ 心の声 ] (定子)「春はあけぼの。➡ 238 00:28:35,796 --> 00:28:43,971 やうやう しろくなりゆく山ぎは すこしあかりて➡ 239 00:28:43,971 --> 00:28:50,271 紫だちたる雲のほそくたなびきたる」。 240 00:28:54,982 --> 00:29:04,282 たった一人の悲しき中宮のために 「枕草子」は書き始められた。 241 00:29:14,001 --> 00:29:18,339 わざわざすまぬ。 支度は整ったか? 242 00:29:18,339 --> 00:29:24,011 共に参る娘が 一生懸命 やってくれております。 243 00:29:24,011 --> 00:29:27,881 今日は 越前について 話したいことがあって呼んだ。 244 00:29:27,881 --> 00:29:32,453 はっ。 我が国では 筑前の博多の津においてのみ➡ 245 00:29:32,453 --> 00:29:34,388 宋との商いを許しておる。 246 00:29:34,388 --> 00:29:38,959 ところが 去年 宋人が 70名余り 若狭に到来し➡ 247 00:29:38,959 --> 00:29:40,894 新たな商いを求めてきた。 248 00:29:40,894 --> 00:29:46,633 しかし 若狭には 大湊も異国人を入れる館もないゆえ➡ 249 00:29:46,633 --> 00:29:51,972 それらを越前に移し 松原客館に留め置いておる。 250 00:29:51,972 --> 00:29:55,642 まあ これは承知であるな。 もちろんでございます。 251 00:29:55,642 --> 00:30:00,114 彼らは 都とのじかの商いを求めていると。 252 00:30:00,114 --> 00:30:07,654 うん。 朝廷は 越前に新たな商いの場を作る気はない。 253 00:30:07,654 --> 00:30:11,992 はっ。 越前と都は近い。 254 00:30:11,992 --> 00:30:16,864 都に乗り込む足掛かりとなることも 考えられる。 255 00:30:16,864 --> 00:30:21,335 彼らは 商人などと言っておるが 証拠はない。 256 00:30:21,335 --> 00:30:24,838 70人もが まとまってやって来るというのも➡ 257 00:30:24,838 --> 00:30:27,338 妙ではないか? 258 00:30:30,344 --> 00:30:36,016 彼らが商人などとは偽り まことは官人➡ 259 00:30:36,016 --> 00:30:40,716 いや それどころか 戦人であるやもしれぬのだ。 260 00:30:42,356 --> 00:30:46,160 彼らに開かれた港は 博多の津のみ。 261 00:30:46,160 --> 00:30:52,366 …と了見させ 穏便に宋に帰すこと。 262 00:30:52,366 --> 00:31:00,240 これが 越前守の最も大きな仕事と心得よ。 はっ。 263 00:31:00,240 --> 00:31:06,914 知恵の限りを尽くし 一心に その任に当たります。 264 00:31:06,914 --> 00:31:22,362 ♬~ 265 00:31:22,362 --> 00:31:28,068 父上は 出発する日が近づいて お気が重くなられたか➡ 266 00:31:28,068 --> 00:31:30,904 このごろ お顔の色がさえませんの。 267 00:31:30,904 --> 00:31:33,340 行ってしまえば 国司は楽な仕事よ。 268 00:31:33,340 --> 00:31:37,845 土地の者どもと 仲よくやれば 懐も膨らむ一方だ。 ハハハハ。 269 00:31:37,845 --> 00:31:40,681 行けば治る。 また そのような軽薄な。 270 00:31:40,681 --> 00:31:42,616 おっ まひろに叱られた。 271 00:31:42,616 --> 00:31:47,554 父が まだ出立する前から 懐を 肥やせ 肥やせと 人聞きの悪い。 272 00:31:47,554 --> 00:31:51,325 父は そのようなことが 誰よりも苦手でございます。 273 00:31:51,325 --> 00:31:54,228 そのことは 宣孝様が 一番 よくご存じですのに。 274 00:31:54,228 --> 00:31:58,928 これは とんだご無礼をつかまつった。 275 00:32:00,701 --> 00:32:03,537 いつから まひろに 叱られる身になったのかのう…。 276 00:32:03,537 --> 00:32:07,374 (いと)叱られる時 宣孝様は いつも うれしそうに見えますが。 277 00:32:07,374 --> 00:32:12,713 そうか ハハハハハハ…。 私も 父と越前に行きますので➡ 278 00:32:12,713 --> 00:32:16,383 あちらで 宋人に会うのが 楽しみでございます。 279 00:32:16,383 --> 00:32:21,889 宋人の よき殿御を見つけ 宋の国に渡ってしまうやもしれません。 280 00:32:21,889 --> 00:32:23,824 それも いっそ よいかもしれぬな。 281 00:32:23,824 --> 00:32:30,024 もう お前に叱られないかと思うと さみしいがのう。 282 00:32:31,565 --> 00:32:34,134 (藤原惟規) 父上のご出立に間に合いました! 283 00:32:34,134 --> 00:32:36,134 おっ! 284 00:32:37,838 --> 00:32:41,508 (惟規)本日 文章生になりました! 285 00:32:41,508 --> 00:32:46,013 受かったか ついに! おめでとう 惟規! 286 00:32:46,013 --> 00:32:48,682 めでたいことばかりだな 為時家は。 287 00:32:48,682 --> 00:32:50,617 ハハハハハハ! 若様! 288 00:32:50,617 --> 00:32:53,917 一杯飲め! はい! 289 00:32:58,025 --> 00:33:00,325 おめでとう。 290 00:33:06,366 --> 00:33:13,874 殿様 私は 越前にはお供できませぬ。 何故じゃ。 291 00:33:13,874 --> 00:33:18,045 大学を終えられたら 若様も このお屋敷に戻られます。 292 00:33:18,045 --> 00:33:23,383 お世話する者がおらねば 悪い女に たぶらかされるやもしれませぬ。 293 00:33:23,383 --> 00:33:25,319 それは そうだ。 294 00:33:25,319 --> 00:33:30,991 4年後のお帰りを お待ち申し上げております。 295 00:33:30,991 --> 00:33:35,991 お前も達者でおれ。 296 00:34:20,040 --> 00:34:27,340 (足音) 297 00:34:32,619 --> 00:34:40,919 父を越前守にしてくださり ありがとうございました。 298 00:34:42,996 --> 00:34:48,669 お前が書いた文 帝がお褒めであった。 299 00:34:48,669 --> 00:34:52,506 私が書いたと お分かりになったのですか? 300 00:34:52,506 --> 00:34:58,706 お前の字は 分かる。 301 00:35:00,681 --> 00:35:06,381 明日 出立だな。 はい。 302 00:35:09,356 --> 00:35:19,700 最後に お聞きしたいことがあり 文を差し上げました。 303 00:35:19,700 --> 00:35:22,400 何だ? 304 00:35:29,042 --> 00:35:36,342 中宮様を追い詰めたのは 道長様ですか? 305 00:35:38,852 --> 00:35:46,993 小さな騒ぎを 殊更 大ごとにし 伊周様を追い落としたのも➡ 306 00:35:46,993 --> 00:35:52,866 あなたの はかりごとなのですか? 307 00:35:52,866 --> 00:35:55,166 そうだ。 308 00:35:58,004 --> 00:36:00,704 だから何だ。 309 00:36:16,022 --> 00:36:20,694 つまらぬことを申しました。 310 00:36:20,694 --> 00:36:27,033 世間のうわさに惑わされ いっときでも あなたを疑ったことを恥じまする。 311 00:36:27,033 --> 00:36:30,704 お顔を見て分かりました。 312 00:36:30,704 --> 00:36:35,404 あなたは そういう人ではないと。 313 00:36:41,314 --> 00:36:52,614 似たようなものだ。 俺の無力のせいで 誰も彼も全て不幸になった。 314 00:36:54,327 --> 00:37:02,627 お前と交わした約束は いまだ 何一つ果たせておらぬ。 315 00:37:07,674 --> 00:37:19,019 これから どこへ向かってゆけばよいのか それも見えぬ。 316 00:37:19,019 --> 00:37:29,362 恐らく俺は あの時 お前と 遠くの国へ逃げていっていても➡ 317 00:37:29,362 --> 00:37:33,062 お前を守りきれなかったであろう。 318 00:37:39,639 --> 00:37:50,939 彼の地で あなたと共に滅びるのも よかったのやもしれませぬ。 319 00:37:56,189 --> 00:37:59,889 越前の冬は 寒いそうだ。 320 00:38:01,661 --> 00:38:04,361 体をいとえ。 321 00:38:06,533 --> 00:38:13,273 はい。 道長様も お健やかに。 322 00:38:13,273 --> 00:38:43,970 ♬~ 323 00:38:43,970 --> 00:38:47,974 この10年➡ 324 00:38:47,974 --> 00:38:56,483 あなたを諦めたことを 後悔しながら生きてまいりました。 325 00:38:56,483 --> 00:39:02,355 妾でもいいから あなたのおそばに いたいと願っていたのに➡ 326 00:39:02,355 --> 00:39:11,331 なぜ あの時 己の心に従わなかったのか。 327 00:39:11,331 --> 00:39:17,504 いつも いつも そのことを悔やんでおりました。 328 00:39:17,504 --> 00:39:23,704 いつの日も いつの日も…。 329 00:39:26,212 --> 00:39:32,953 いつの日も いつの日も…➡ 330 00:39:32,953 --> 00:39:36,289 そなたのことを…。 331 00:39:36,289 --> 00:39:46,299 ♬~ 332 00:39:46,299 --> 00:39:53,999 今度こそ 越前の地で生まれ変わりたいと 願っておりまする。 333 00:39:55,976 --> 00:39:58,276 そうか。 334 00:40:00,847 --> 00:40:03,850 体をいとえよ。 335 00:40:03,850 --> 00:40:23,003 ♬~ 336 00:40:23,003 --> 00:40:45,003 〽 337 00:40:56,703 --> 00:40:59,039 大丈夫か? (乙丸)ああ 大丈夫です。 338 00:40:59,039 --> 00:41:04,711 京を出立した まひろたちは 琵琶湖を舟で北上し➡ 339 00:41:04,711 --> 00:41:08,411 越前への山道を進んだ。 340 00:41:16,723 --> 00:41:21,194 慣れぬ道中 さぞかし疲れたであろう。 341 00:41:21,194 --> 00:41:27,734 私は 楽しんでおりますので お気遣いなく。 そうか。 342 00:41:27,734 --> 00:41:34,034 国府に行く前に 立ち寄りたいところがある。 343 00:41:48,688 --> 00:41:55,161 新たに 越前守となった 藤原朝臣為時である。 344 00:41:55,161 --> 00:41:57,230 これは これは。 345 00:41:57,230 --> 00:41:59,365 今 お着きになられたのですか? 346 00:41:59,365 --> 00:42:02,168 (為時) 一刻も早く宋人たちの様子を見たくて➡ 347 00:42:02,168 --> 00:42:05,038 立ち寄ってしまった。 迷惑であったか? 348 00:42:05,038 --> 00:42:09,375 いえいえ こちらに寄られるとは 聞いておりませんでしたので。 349 00:42:09,375 --> 00:42:24,924 (宋人たちのどなり声) 350 00:42:24,924 --> 00:42:27,224 (宋語で) 351 00:42:41,307 --> 00:42:58,691 (宋語) 352 00:42:58,691 --> 00:43:01,361 (オウム)ニーハオ。 353 00:43:01,361 --> 00:43:03,296 不可解 不可解。 354 00:43:03,296 --> 00:43:07,167 宋人の扱いを任されて 私は 越前に参った。 355 00:43:07,167 --> 00:43:09,702 この海の向こうは 宋の国よ。 356 00:43:09,702 --> 00:43:12,038 ジョーミン。 ヂョウミン。 357 00:43:12,038 --> 00:43:15,875 何だと!? 国の信用に関わる 一大事じゃ。 358 00:43:15,875 --> 00:43:18,545 この子だけは…。 中宮を内裏に呼び戻す。 359 00:43:18,545 --> 00:43:20,480 なりませぬ。 俺って 優しいからな。 360 00:43:20,480 --> 00:43:22,882 シェシェ。 361 00:43:22,882 --> 00:43:26,082 (叫び声) 362 00:43:32,959 --> 00:43:41,034 清少納言が 平安時代の様子を 巧みな文章でつづった「枕草子」。 363 00:43:41,034 --> 00:43:48,708 京都を代表する神社仏閣についての 記述も 見ることができます。 364 00:43:48,708 --> 00:43:53,379 稲荷神社の総本宮… 365 00:43:53,379 --> 00:43:59,052 稲荷山のお山巡りは 平安時代から行われていました。 366 00:43:59,052 --> 00:44:03,056 お山の参道には 今のような鳥居はなく➡ 367 00:44:03,056 --> 00:44:08,061 別の登り口から上がっていたと 考えられています。 368 00:44:08,061 --> 00:44:13,733 清少納言は やすやすと山を登る女性に遭遇し➡ 369 00:44:13,733 --> 00:44:20,406 その たくましい姿を 羨ましいと感じたと記しています。 370 00:44:20,406 --> 00:44:25,211 清少納言が 度々訪れた清水寺。 371 00:44:25,211 --> 00:44:31,351 当時も 今と変わらず 参拝者で にぎわっていました。 372 00:44:31,351 --> 00:44:35,021 清水寺に籠もった清少納言へ➡ 373 00:44:35,021 --> 00:44:39,525 定子が さみしい思いを込めた歌を送ったという➡ 374 00:44:39,525 --> 00:44:43,325 ほほ笑ましいエピソードも 残されています。 375 00:44:45,698 --> 00:44:53,039 「枕草子」には 定子と清少納言が 幸せだった日々の記憶が➡ 376 00:44:53,039 --> 00:44:55,739 刻まれているのです。 377 00:45:34,047 --> 00:45:38,751 「鳴門秘帖」探索の 使命を果たすため➡ 378 00:45:38,751 --> 00:45:41,721 阿波へと向かった法月弦之丞➡ 379 00:45:41,721 --> 00:45:46,559 女掏摸 見返りお綱 目明し万吉の3人は➡ 380 00:45:46,559 --> 00:45:49,862 一旦 大坂で足止めを食らうが➡ 381 00:45:49,862 --> 00:45:54,033 四国屋お久良 元与力 常木鴻山らの手助けで➡ 382 00:45:54,033 --> 00:45:57,370 商い船に便乗する事になる。➡