1 00:00:34,575 --> 00:00:39,347 道長は 中宮 彰子の懐妊祈願のため➡ 2 00:00:39,347 --> 00:00:43,047 京をたって 金峯山へと向かった。 3 00:00:59,667 --> 00:02:59,653 ♬~ 4 00:02:59,653 --> 00:03:02,690 ♬~ 5 00:03:02,690 --> 00:03:44,490 ♬~ 6 00:03:54,341 --> 00:03:58,341 (平 致頼)僧も含めまして 供の数は20。 7 00:04:01,015 --> 00:04:05,686 (藤原伊周)左大臣の供にしては少ないな。 8 00:04:05,686 --> 00:04:09,557 己の身が万全だと油断しておるのか。 9 00:04:09,557 --> 00:04:12,192 我らは これより 出立いたします。 10 00:04:12,192 --> 00:04:16,692 11日に落ち合おう。 (一同)はっ。 11 00:04:37,318 --> 00:04:40,220 何も聞くな。 12 00:04:40,220 --> 00:04:42,990 (藤原隆家)聞く前に言うな。 13 00:04:42,990 --> 00:04:45,893 何しに来た。 14 00:04:45,893 --> 00:04:49,496 よい酒をもらったゆえ 一献どうかと思ったのだ。 15 00:04:49,496 --> 00:04:54,001 酒は飲まぬ。 えっ いつから? 16 00:04:54,001 --> 00:04:59,807 皇后様が身まかられてから 飲んではおらぬ。 17 00:04:59,807 --> 00:05:03,177 そうだったかのう…。 18 00:05:03,177 --> 00:05:08,977 帰れ。 一人で考えたい。 19 00:05:15,689 --> 00:06:44,689 ♬~ 20 00:07:05,999 --> 00:07:08,699 (ため息) 21 00:07:12,673 --> 00:07:16,009 (藤原頼通)いかがされました? 22 00:07:16,009 --> 00:07:19,880 (藤原道長)もうよい。 23 00:07:19,880 --> 00:07:24,685 お疲れとは存じますが 道のりは まだ長うございます。 24 00:07:24,685 --> 00:07:28,021 精をつけませんと。 25 00:07:28,021 --> 00:07:32,292 (源 俊賢)明日は 雨があがりそうですな。 ハハハ。 26 00:07:32,292 --> 00:07:35,592 ようございましたね。 27 00:07:37,164 --> 00:07:41,769 左大臣様 もう少し召し上がられませ。 28 00:07:41,769 --> 00:07:45,305 体が もちませぬゆえ。 29 00:07:45,305 --> 00:07:47,241 (頼通)無理強いをなさいますな。 30 00:07:47,241 --> 00:07:52,179 いざとなれば 父上は 私が背負って山を登ります。 31 00:07:52,179 --> 00:07:56,917 はあ… なんとすばらしき お心構え! 32 00:07:56,917 --> 00:08:00,320 頼通様は ご聡明で お姿もよく➡ 33 00:08:00,320 --> 00:08:03,657 その上 豪胆であられます。 ハハハハ…。 34 00:08:03,657 --> 00:08:08,529 あまり褒めると図に乗るゆえ その辺にしておけ。 35 00:08:08,529 --> 00:08:12,332 図に乗ったことなぞ ありませぬ。 36 00:08:12,332 --> 00:08:17,004 どこへ行く? かわやへ。 37 00:08:17,004 --> 00:08:18,939 (ため息) 38 00:08:18,939 --> 00:08:24,678 (俊賢) 頼通様は 見事なご嫡男になられましたな。 39 00:08:24,678 --> 00:08:28,682 明子のところの頼宗も なかなかの しっかり者に育っております。 40 00:08:28,682 --> 00:08:32,482 どうぞご安心くださいませ。 41 00:08:37,257 --> 00:08:43,964 明子は 私の心を分かっておらぬ。 え? 42 00:08:43,964 --> 00:08:48,836 地位が高くなることだけが 人の幸せではない。 43 00:08:48,836 --> 00:08:55,976 されど明子は 頼通と頼宗を競い合わせようとする。 44 00:08:55,976 --> 00:09:02,749 お前からも 張り合うなと 明子に言うてくれ。 45 00:09:02,749 --> 00:09:05,319 は…。 46 00:09:05,319 --> 00:09:13,994 ♬~ 47 00:09:13,994 --> 00:09:19,666 (一条天皇)白い夕顔の咲く家の女は なぜ死ななければならなかったのだ? 48 00:09:19,666 --> 00:09:23,003 (まひろ)生き霊の仕業にございます。 49 00:09:23,003 --> 00:09:27,303 光る君の夢に現れた女が 取りついたのか。 50 00:09:28,876 --> 00:09:38,876 誰かが その心持ちの苦しさゆえに 生き霊となったのやもしれませぬ。 51 00:09:47,961 --> 00:09:52,633 左大臣の心持ちは どうなのであろう。 52 00:09:52,633 --> 00:09:59,506 御嶽詣までして 中宮の懐妊を願う 左大臣の思いとは…。 53 00:09:59,506 --> 00:10:07,180 それは… 親心でございましょう。 54 00:10:07,180 --> 00:10:09,480 親心…。 55 00:10:11,318 --> 00:10:19,192 左大臣様が願われるのは 中宮様の女としての幸せだと存じます。 56 00:10:19,192 --> 00:10:23,664 御嶽詣は 命懸けの難行であるぞ。 そのようなことで…。 57 00:10:23,664 --> 00:10:29,364 そのようなことに命を懸けるのが 人の親にございます。 58 00:10:31,004 --> 00:10:37,344 朕も3人の子の親ゆえ 子を思う心は分かる。 59 00:10:37,344 --> 00:10:39,644 されど…。 60 00:10:41,214 --> 00:10:44,214 こたびのことは…。 61 00:11:04,371 --> 00:11:57,024 ♬~ 62 00:11:57,024 --> 00:11:59,724 (俊賢)あっ! 63 00:12:02,362 --> 00:12:04,297 手を! 64 00:12:04,297 --> 00:12:40,597 ♬~ 65 00:12:44,671 --> 00:12:48,341 (読経) 66 00:12:48,341 --> 00:12:50,677 京をたって 9日目。 67 00:12:50,677 --> 00:12:57,017 道長一行は 金峯山寺の山上本堂にたどりついた。 68 00:12:57,017 --> 00:13:12,566 (読経) 69 00:13:12,566 --> 00:13:17,404 金峯山寺で さまざまな仏事を催した道長は➡ 70 00:13:17,404 --> 00:13:26,379 最後に 山上本堂の蔵王権現に 自ら書き写した経典をささげた。 71 00:13:26,379 --> 00:13:36,379 (読経) 72 00:13:57,010 --> 00:13:58,945 一行がやって来ました。 73 00:13:58,945 --> 00:14:01,681 間もなく ここを通ります。 74 00:14:01,681 --> 00:14:04,017 必ず射止めよ。 75 00:14:04,017 --> 00:14:05,952 お任せください。 76 00:14:05,952 --> 00:14:10,690 (伊周)首尾よくゆけば お前を 検非違使に推挙いたそう。 77 00:14:10,690 --> 00:14:13,026 はっ!➡ 78 00:14:13,026 --> 00:14:16,696 矢を射かけたら 杣道伝いに里へ逃げよ。➡ 79 00:14:16,696 --> 00:14:20,367 決して捕らえられてはならぬぞ! (一同)はっ。 80 00:14:20,367 --> 00:14:47,527 ♬~ 81 00:14:47,527 --> 00:14:49,827 (隆家)急がれよ! 82 00:14:59,673 --> 00:15:02,008 (俊賢)隆家殿! 83 00:15:02,008 --> 00:15:04,344 手前で 大きな石が落ちてまいりました。➡ 84 00:15:04,344 --> 00:15:06,813 この辺りで 落石が近く起きるかもしれませぬ。➡ 85 00:15:06,813 --> 00:15:09,613 急ぎ通り抜けることを お勧めいたしまする。 86 00:15:11,351 --> 00:15:13,386 そなたも 御嶽詣か? 87 00:15:13,386 --> 00:15:18,024 ええ。 私も 中宮様のご懐妊を 祈願せねばと思い立ちまして。 88 00:15:18,024 --> 00:15:23,530 よく知らせてくれた。 急ぎましょう。 うむ。 さっ! 89 00:15:23,530 --> 00:15:26,030 どうぞ。 90 00:15:32,639 --> 00:15:35,339 どうぞご無事で! 91 00:15:39,312 --> 00:15:46,186 (伊周) お前は なぜ 俺の邪魔ばかりするのだ。 92 00:15:46,186 --> 00:15:52,659 あの時も 俺が止めるのを聞かず➡ 93 00:15:52,659 --> 00:15:57,530 お前は 花山院の御車を射た。 94 00:15:57,530 --> 00:16:01,001 よせ。 95 00:16:01,001 --> 00:16:03,503 (花山院)矢が… 矢が! 96 00:16:03,503 --> 00:16:08,675 あれから何もかもが狂い始めたのだ。➡ 97 00:16:08,675 --> 00:16:13,546 されど お前のことを恨んだ覚えはない。➡ 98 00:16:13,546 --> 00:16:16,246 だが 今…。 99 00:16:21,021 --> 00:16:26,893 ここまで邪魔をされると…➡ 100 00:16:26,893 --> 00:16:30,593 お前に問いたくなる。 101 00:16:34,968 --> 00:16:41,641 隆家 お前は 俺の敵か? 102 00:16:41,641 --> 00:16:47,447 兄上を大切に思うゆえ 阻んだまで。 103 00:16:47,447 --> 00:16:50,650 左大臣を亡き者にしたところで 何も変わらぬ。 104 00:16:50,650 --> 00:16:57,324 おとなしく 定めを受け入れて 穏やかに生きるのが兄上のためだ。 105 00:16:57,324 --> 00:17:00,660 道雅も蔵人になったばかりではないか。 106 00:17:00,660 --> 00:17:12,005 俺が 花山院の御車を射たことで 兄上の行く末を阻んだことは➡ 107 00:17:12,005 --> 00:17:14,908 昔も今も すまなかったと思っている。 108 00:17:14,908 --> 00:17:27,354 それゆえに 憎まれても 兄上を止めねばならぬと思ったのだ。 109 00:17:27,354 --> 00:17:30,054 これが 俺にできる…。 110 00:17:33,626 --> 00:17:36,963 あの過ちの わびなのだ。 111 00:17:36,963 --> 00:17:54,981 ♬~ 112 00:17:54,981 --> 00:18:02,981 フッ… 帰ろう。 113 00:18:07,994 --> 00:18:15,668 道長なぞ… 狙ったつもりはない。 114 00:18:15,668 --> 00:18:22,542 ハハハハハハ…。 115 00:18:22,542 --> 00:18:25,542 うつけ者め。 116 00:18:31,217 --> 00:18:34,217 はあ…。 117 00:18:41,628 --> 00:18:45,298 無事 都に戻りましてございます。 118 00:18:45,298 --> 00:18:48,598 (藤原彰子)おつつがなく 何より。 119 00:18:53,640 --> 00:18:57,510 これは 金峯山寺の護符にございます。 120 00:18:57,510 --> 00:19:01,510 中宮様をお守りくださいましょう。 121 00:19:07,987 --> 00:19:11,287 (彰子)ありがたく存じます。 122 00:19:14,327 --> 00:19:18,998 (足音) 123 00:19:18,998 --> 00:19:22,035 (敦康親王) 左大臣 どこに行っておったのだ? 124 00:19:22,035 --> 00:19:24,170 御嶽詣に行っておりました。 125 00:19:24,170 --> 00:19:27,674 (敦康親王)何? それ。 126 00:19:27,674 --> 00:19:33,279 金峯山は 我が国有数の 霊験あらたかなお山にございます。 127 00:19:33,279 --> 00:19:42,989 我が国の安寧 帝 敦康親王様 中宮様のお幸せを祈願してまいりました。 128 00:19:42,989 --> 00:19:47,293 左大臣が留守の間 私が 中宮様をお守りいたしたぞ。 129 00:19:47,293 --> 00:19:50,630 おっ さようでございますか。 130 00:19:50,630 --> 00:19:56,330 さすが 親王様にございます。 うん。 131 00:20:09,315 --> 00:20:13,615 (足音) 132 00:20:25,665 --> 00:20:34,674 お帰りなさいませ。 よくぞご無事で…。 うん。 133 00:20:34,674 --> 00:20:38,177 物語の続きは どうなっておる? 134 00:20:38,177 --> 00:20:45,351 昨晩 一つの巻を書き上げました。 おお 見せよ。 135 00:20:45,351 --> 00:20:49,051 お疲れでございましょう? 136 00:20:53,226 --> 00:20:57,226 見せよ。 はっ。 137 00:21:36,336 --> 00:21:43,209 小鳥を追いかけていた頃のお前は このように けなげでは なかったが…。 138 00:21:43,209 --> 00:21:49,882 うそはつくし 作り話はするし。 139 00:21:49,882 --> 00:21:54,182 とんだ跳ね返り者であった。 140 00:22:02,028 --> 00:22:08,368 [ 心の声 ] 「こうして お会いしても またお会いできるとは限りません。➡ 141 00:22:08,368 --> 00:22:13,706 夢の中に このまま消えてしまう 我が身でありたいと➡ 142 00:22:13,706 --> 00:22:21,047 むせび泣いている光る君のお姿も さすがに いじらしく➡ 143 00:22:21,047 --> 00:22:27,553 世の語り草として 人は伝えるのではないでしょうか。➡ 144 00:22:27,553 --> 00:22:34,661 類いなくつらい この身を 醒めない夢の中のこととしても と➡ 145 00:22:34,661 --> 00:22:44,961 藤壺の宮が思い乱れている様も まことに もっともで 恐れ多いことです」。 146 00:22:47,006 --> 00:22:52,345 [ 心の声 ] 「三月になられると はっきりと分かるようになり➡ 147 00:22:52,345 --> 00:22:57,016 女房たちが お見受けして 気にしているので➡ 148 00:22:57,016 --> 00:23:03,716 宮は 嘆かわしい宿世のほどを 情けなく思われました」。 149 00:23:13,032 --> 00:23:19,032 この不義の話は どういう心づもりで書いたのだ? 150 00:23:22,709 --> 00:23:26,709 我が身に起きたことにございます。 151 00:23:29,582 --> 00:23:37,282 我が身に起きたことは 全て 物語の種にございますれば。 152 00:23:40,193 --> 00:23:43,663 ふ~ん…。 153 00:23:43,663 --> 00:23:47,663 恐ろしいことを申すのだな。 154 00:23:51,337 --> 00:23:57,337 お前は 不義の子を産んだのか? 155 00:23:59,679 --> 00:24:08,379 一たび物語になってしまえば 我が身に起きたことなぞ 霧のかなた…。 156 00:24:11,290 --> 00:24:18,364 まことのことか どうかも 分からなくなってしまうのでございます。 157 00:24:18,364 --> 00:24:35,314 ♬~ 158 00:24:35,314 --> 00:24:37,650 すぐに写させよう。 159 00:24:37,650 --> 00:24:40,319 預かってゆく。 160 00:24:40,319 --> 00:25:05,019 ♬~ 161 00:25:08,014 --> 00:25:18,714 この年の10月 あかねの思い人 敦道親王が 27歳で世を去った。 162 00:25:40,913 --> 00:25:49,989 (あかね)為尊親王様も 敦道親王様も➡ 163 00:25:49,989 --> 00:26:01,334 私がお慕いした方は 皆 私を置いて 旅立ってしまわれます。 164 00:26:01,334 --> 00:26:10,676 まるで 私が お命を奪っているみたい。 165 00:26:10,676 --> 00:26:17,016 為尊親王様も 敦道親王様も➡ 166 00:26:17,016 --> 00:26:23,890 短いご生涯ながら あかね様とお過ごしになった日々を➡ 167 00:26:23,890 --> 00:26:31,190 何よりも いとおしくお思いであったと 存じます。 168 00:26:33,966 --> 00:26:37,666 もう触れられないなんて…。 169 00:26:40,840 --> 00:26:55,655 「ものをのみ 乱れてぞ思ふ たれかには➡ 170 00:26:55,655 --> 00:27:03,529 今はなげかん むばたまの筋」。 171 00:27:03,529 --> 00:27:11,203 どんなに あの世から 私を見守ってくださろうと➡ 172 00:27:11,203 --> 00:27:17,203 二度と お顔を見ることもできないなんて…。 173 00:27:22,882 --> 00:27:33,182 親王様とは 心を開いて 歌を詠み合ったものだわ。 174 00:27:39,632 --> 00:27:49,642 あかね様 亡き親王様との日々を 書き残されてはいかがでしょう。 175 00:27:49,642 --> 00:27:51,577 え? 176 00:27:51,577 --> 00:27:58,351 かつて 書くことで 己の悲しみを救ったと おっしゃった人がいました。 177 00:27:58,351 --> 00:28:03,189 親王様との日々を お書きになることで➡ 178 00:28:03,189 --> 00:28:10,889 親王様のお姿を 後々まで残せるのではないでしょうか。 179 00:28:12,865 --> 00:28:18,337 (藤原惟規)はあ… はあ… はあ… はあ…。 180 00:28:18,337 --> 00:28:20,637 待て! 181 00:28:22,208 --> 00:28:25,208 いたぞ! 待て! 182 00:28:29,348 --> 00:28:32,048 (斎院の中将)惟規様…。 183 00:28:46,298 --> 00:28:48,998 何をしておる! 184 00:28:52,972 --> 00:28:56,972 中将の君! 惟規様! 185 00:28:59,645 --> 00:29:03,315 斎院の塀を越えたっていうの? そうだよ。 186 00:29:03,315 --> 00:29:06,218 男が足を踏み入れてはならない 斎院の女房に? 187 00:29:06,218 --> 00:29:12,218 禁忌を犯すからこそ 燃えたつんでしょ。 なんてこと…。 188 00:29:13,959 --> 00:29:17,329 姉上だって そうだったもんね。 189 00:29:17,329 --> 00:29:22,501 私は 禁忌を犯してなんかいません。 身分の壁を超えようとしたくせに。 190 00:29:22,501 --> 00:29:26,005 そんな昔のこと もう忘れたわ。 昔のことなのかな~。 191 00:29:26,005 --> 00:29:28,340 浮かれるんじゃありません。 192 00:29:28,340 --> 00:29:33,179 それで どうやって解き放たれたの? 193 00:29:33,179 --> 00:29:39,618 それがさ 捕まった時 とっさに歌を詠んだんだ。 194 00:29:39,618 --> 00:29:44,123 「神垣は 木の丸殿に あらねども➡ 195 00:29:44,123 --> 00:29:49,929 名のりをせねば 人とがめけり」って。 196 00:29:49,929 --> 00:29:54,834 そしたら 斎院の選子内親王様が 俺の歌を見て➡ 197 00:29:54,834 --> 00:29:59,605 よい歌だから 許してやれって 仰せくださったんだよ。 198 00:29:59,605 --> 00:30:02,308 そんな よい歌とも 思えないけれど。 199 00:30:02,308 --> 00:30:07,480 天智天皇の引き歌ゆえ 内親王様のお心をつかんだのかもな。 200 00:30:07,480 --> 00:30:10,983 俺も なかなかのもんだよ。 何が なかなかなのよ。 201 00:30:10,983 --> 00:30:14,487 姉上の弟ゆえ 歌がうまいんだ。 202 00:30:14,487 --> 00:30:19,325 もう斎院には 近づかないことね。 そうはいかないよ。 203 00:30:19,325 --> 00:30:21,660 俺のことを待っている女子が いるのだから。 204 00:30:21,660 --> 00:30:25,531 そういうことをやっていると 罰が当たって早死にするわよ➡ 205 00:30:25,531 --> 00:30:29,168 あなたも あなたの思い人も。 206 00:30:29,168 --> 00:30:32,071 あっ 仕事に戻らないと。 仕事中だったの? 207 00:30:32,071 --> 00:30:34,807 これから宿直なんだよ。 では。 208 00:30:34,807 --> 00:30:37,710 父上に 心配かけるようなことだけはしないでよ。 209 00:30:37,710 --> 00:30:41,347 分かってるって。 じゃあ。 210 00:30:41,347 --> 00:30:44,347 (ため息) 211 00:31:14,046 --> 00:31:16,046 あっ…。 212 00:31:19,919 --> 00:31:26,392 あれ? この人 あの…➡ 213 00:31:26,392 --> 00:31:30,262 うわさの あの…。 214 00:31:30,262 --> 00:31:33,666 帝が 夢中になられる物語を書く 女房がおると➡ 215 00:31:33,666 --> 00:31:37,666 うわさになっておるのだが そなたか? 216 00:31:39,538 --> 00:31:41,540 (左衛門の内侍)邪魔をしては駄目よ。 217 00:31:41,540 --> 00:31:46,011 このお方は 私たちとは比べ物にならない➡ 218 00:31:46,011 --> 00:31:48,681 尊いお仕事を 任されておられるのですから。 219 00:31:48,681 --> 00:31:53,352 そのような…。 夜遅くまで ご苦労さまです。 220 00:31:53,352 --> 00:32:00,652 さっ 私たちは まるで尊くないことを 楽しみに参りましょ。 ああ…。 221 00:32:05,931 --> 00:32:12,538 (宰相の君)「女が賢ぶって嫉妬し 何かと厄介な間柄になってしまうと➡ 222 00:32:12,538 --> 00:32:15,040 こちらの気持ちとしても➡ 223 00:32:15,040 --> 00:32:19,211 少し違うところが出て来るのではないかと 遠慮し➡ 224 00:32:19,211 --> 00:32:21,547 相手も恨みがちになって➡ 225 00:32:21,547 --> 00:32:26,218 思いがけないことなどが おのずから出てくるものですが➡ 226 00:32:26,218 --> 00:32:31,557 姫君は なんと可愛らしい 遊び相手なのでしょう。➡ 227 00:32:31,557 --> 00:32:37,663 おのれの娘でも このぐらいになると 気安くふるまい➡ 228 00:32:37,663 --> 00:32:43,002 心おきなく寝起きするなどは とても出来ないものですが➡ 229 00:32:43,002 --> 00:32:50,876 これは 本当に変わった秘蔵の娘だと 君は思うのでした」。 230 00:32:50,876 --> 00:32:54,179 (大納言の君) でも 無理に連れ去っていくところは➡ 231 00:32:54,179 --> 00:32:56,115 何だか ちょっと…。 232 00:32:56,115 --> 00:32:59,518 (小少将の君) でも 実の父親が薄情ですゆえ➡ 233 00:32:59,518 --> 00:33:03,022 光る君の所へ行った方が よかったのではございません? 234 00:33:03,022 --> 00:33:05,524 それでも強引ですわよね。 235 00:33:05,524 --> 00:33:08,193 まことの思い人は 藤壺ですもの。➡ 236 00:33:08,193 --> 00:33:12,064 この子は 光る君のおもちゃのようなものですわ。 237 00:33:12,064 --> 00:33:14,066 (馬中将の君) 藤壺の所に 再び忍んでいき➡ 238 00:33:14,066 --> 00:33:17,536 子までなしながら その一方で➡ 239 00:33:17,536 --> 00:33:24,043 幼子を引き取って育てようと考える 光る君は 無分別の極みでございますわ。 240 00:33:24,043 --> 00:33:28,243 (一同)無分別。 241 00:33:32,851 --> 00:33:37,323 (宮の宣旨) 中宮様。 敦康様は 物忌みのため➡ 242 00:33:37,323 --> 00:33:40,359 今日は お越しになれないとのことでございます。 243 00:33:40,359 --> 00:33:43,662 そうか…。 244 00:33:43,662 --> 00:33:48,500 (宮の宣旨)さあ 方々 お装束の手入れをする刻限ですよ。 245 00:33:48,500 --> 00:33:51,300 (一同)はい。 246 00:33:58,010 --> 00:34:06,710 光る君に引き取られて 育てられる娘は 私のようであった。 247 00:34:08,354 --> 00:34:13,054 私も幼き頃に入内して ここで育ったゆえ。 248 00:34:14,693 --> 00:34:17,693 そうでございますか…。 249 00:34:19,365 --> 00:34:25,037 この娘は このあと どうなるのだ? 250 00:34:25,037 --> 00:34:28,737 今 考えているところでございます。 251 00:34:32,311 --> 00:34:38,311 中宮様は どうなればよいと お思いでございますか? 252 00:34:43,655 --> 00:34:49,655 光る君の妻になるのがよい。 253 00:34:53,332 --> 00:34:56,632 妻になる…。 254 00:34:58,203 --> 00:35:01,073 なれぬであろうか? 255 00:35:01,073 --> 00:35:05,273 藤式部 なれるようにしておくれ。 256 00:35:08,347 --> 00:35:11,347 中宮様。 257 00:35:13,018 --> 00:35:18,357 帝に まことの妻になりたいと➡ 258 00:35:18,357 --> 00:35:22,357 仰せになったら よろしいのではないでしょうか? 259 00:35:24,029 --> 00:35:28,329 帝をお慕いしておられましょう? 260 00:35:30,369 --> 00:35:33,138 そのような…➡ 261 00:35:33,138 --> 00:35:37,309 そのようなことをするなど 私ではない。 262 00:35:37,309 --> 00:35:46,609 ならば 中宮様らしい中宮様とは どのようなお方でございましょうか。 263 00:35:49,888 --> 00:35:53,759 私の存じ上げる中宮様は➡ 264 00:35:53,759 --> 00:36:02,000 青い空が お好きで 冬の冷たい気配が お好きでございます。 265 00:36:02,000 --> 00:36:09,300 左大臣様の願われることも ご苦労も よく知っておられます。 266 00:36:11,009 --> 00:36:18,309 敦康親王様にとっては 唯一無二の女人であられます。 267 00:36:20,018 --> 00:36:26,718 いろいろなことに ときめくお心も お持ちでございます。 268 00:36:30,362 --> 00:36:40,062 その息づくお心の内を 帝にお伝えなされませ。 269 00:36:52,317 --> 00:36:56,617 (宮の宣旨)お上のお渡りでございます。 270 00:37:16,542 --> 00:37:19,411 敦康に会いに来たが おらぬゆえ…。 271 00:37:19,411 --> 00:37:24,182 お上! ん? 272 00:37:24,182 --> 00:37:27,686 お慕いしております! 273 00:37:27,686 --> 00:37:51,643 ♬~ 274 00:37:51,643 --> 00:37:54,546 また来る…。 275 00:37:54,546 --> 00:38:33,619 ♬~ 276 00:38:33,619 --> 00:38:39,319 では 来年の元日は 朝拝をいたします。 277 00:38:41,960 --> 00:38:46,260 よきに計らえ。 はっ。 278 00:38:58,977 --> 00:39:01,313 左大臣。 はっ。 279 00:39:01,313 --> 00:39:05,613 御嶽詣の御利益はあったのか? 280 00:39:07,185 --> 00:39:11,323 まだ分かりませぬ。 281 00:39:11,323 --> 00:39:14,993 今宵 藤壺に参る。➡ 282 00:39:14,993 --> 00:39:17,693 その旨 伝えよ。 283 00:39:19,665 --> 00:40:18,365 ♬~ 284 00:40:41,680 --> 00:40:48,380 (一条天皇)いくつになった? 二十歳にございます。 285 00:40:50,355 --> 00:40:56,055 (一条天皇)いつの間にか 大人になっておったのだな。 286 00:40:58,029 --> 00:41:01,329 ずっと大人でございました。 287 00:41:12,377 --> 00:41:15,677 そうか…。 288 00:41:23,989 --> 00:41:32,289 さみしい思いをさせてしまって すまなかったのう…。 289 00:41:56,888 --> 00:42:06,031 ♬~ 290 00:42:06,031 --> 00:42:09,331 お前の手柄なのか? 291 00:42:11,703 --> 00:42:15,040 私は 何もしておりませぬ。 292 00:42:15,040 --> 00:42:22,340 帝のお心をつかまれたのは 中宮様ご自身にございます。 293 00:42:26,051 --> 00:42:32,657 きっと金峯山の霊験にございましょう。 294 00:42:32,657 --> 00:42:35,957 どちらでもよいが…。 295 00:42:37,996 --> 00:42:45,296 ああ よかった…。 296 00:43:01,686 --> 00:43:05,023 何もかも…。 無礼講ゆえ…。 297 00:43:05,023 --> 00:43:08,827 50個なのだよ。 若紫はおいでかな? 298 00:43:08,827 --> 00:43:10,896 それを学びたい。 ないしょで。 299 00:43:10,896 --> 00:43:16,568 藤式部の物語の力が 中宮様を変えたのだと 殿から聞いておる。 300 00:43:16,568 --> 00:43:20,038 中宮様のご出産の記録を 作ってもらいたい。 301 00:43:20,038 --> 00:43:22,941 その物語を 私も読みとうございます。 302 00:43:22,941 --> 00:43:26,641 光る君のような殿御はおられませぬ。 303 00:43:33,618 --> 00:43:37,355 桜の名所 吉野山。 304 00:43:37,355 --> 00:43:41,026 修験道の開祖 役行者が➡ 305 00:43:41,026 --> 00:43:48,326 蔵王権現の姿を桜に刻み 祭ったことが始まりとされています。 306 00:43:50,035 --> 00:43:56,374 平安時代 現在の吉野山から 山上ヶ岳にかけての一帯は➡ 307 00:43:56,374 --> 00:43:58,310 金峯山と呼ばれ➡ 308 00:43:58,310 --> 00:44:04,249 ここを詣でる御嶽詣が 盛んに行われました。 309 00:44:04,249 --> 00:44:11,723 吉野山の中腹には 役行者が開いた金峯山寺があります。 310 00:44:11,723 --> 00:44:18,396 藤原道長が訪れたほか 後醍醐天皇が この地に南朝を開き➡ 311 00:44:18,396 --> 00:44:26,396 豊臣秀吉が花見を催すなど 長きにわたり 歴史の舞台となりました。 312 00:44:28,073 --> 00:44:33,678 道長は 金峯山寺が立つ場所から 更に奥深く➡ 313 00:44:33,678 --> 00:44:41,553 山の頂上にあたる山上本堂の地に 自ら写した経典を納めました。 314 00:44:41,553 --> 00:44:45,824 一字一字 丁寧に書かれた文字から➡ 315 00:44:45,824 --> 00:44:50,662 道長の思いの深さがうかがえます。 316 00:44:50,662 --> 00:44:54,833 道長は この地を訪れたことにより➡ 317 00:44:54,833 --> 00:44:58,633 更なる飛躍を遂げるのです。 318 00:45:33,605 --> 00:45:40,105 (荒い息遣い) 319 00:45:42,313 --> 00:45:46,684 (お松)おふねちゃんが 死にそう…。 320 00:45:46,684 --> 00:45:50,021 (おいち)え…? (お松)さっき おふねちゃんちの前を➡ 321 00:45:50,021 --> 00:45:54,893 通りかかったんだ。 そしたら おっ母様が➡ 322 00:45:54,893 --> 00:45:59,030 駕籠から降りたばかりのお医者に すがりついて➡