1 00:00:42,127 --> 00:00:51,503 ♬~ 2 00:00:51,503 --> 00:00:53,803 (まひろ)あっ 待って! 3 00:00:55,374 --> 00:00:57,674 待って 周明。 4 00:01:07,052 --> 00:01:10,352 息災だったのね。 5 00:01:12,791 --> 00:01:17,196 (周明)俺のこと 恨んでないのか? 6 00:01:17,196 --> 00:01:19,196 (陶器をたたきつける音) 7 00:01:20,866 --> 00:01:22,901 左大臣に 文を書け。 8 00:01:22,901 --> 00:01:26,672 もう20年もの年月が流れたのよ。 9 00:01:26,672 --> 00:01:30,876 お前の命を奪おうとしたのに…。 10 00:01:30,876 --> 00:01:36,982 あのころは 周明も大変だったのでしょ。 11 00:01:36,982 --> 00:01:40,182 苦しかったのでしょ。 12 00:01:43,155 --> 00:01:45,855 すまなかった。 13 00:01:48,961 --> 00:01:51,761 無事でよかった。 14 00:01:59,338 --> 00:04:43,838 ♬~ 15 00:04:45,470 --> 00:04:50,809 朱様は 日本との公の商いの約束を 取り付けることのできぬまま➡ 16 00:04:50,809 --> 00:04:54,479 博多から 船で 宋に戻った。 17 00:04:54,479 --> 00:05:01,353 俺は 朱様と別れて 対馬に渡ったけど 俺を知る者は もう 誰もいなくて…。 18 00:05:01,353 --> 00:05:03,488 うん…。 19 00:05:03,488 --> 00:05:06,992 それで 大宰府に来て通事をしていたら➡ 20 00:05:06,992 --> 00:05:10,028 宋から 腕のよい薬師が来た。 21 00:05:10,028 --> 00:05:13,498 目の病を治す名医だ。 22 00:05:13,498 --> 00:05:19,798 俺は その人の技を学びながら 再び薬師の仕事も始めたのだ。 23 00:05:21,373 --> 00:05:24,373 ここには 居場所があったのね。 24 00:05:27,045 --> 00:05:31,983 まひろは 何しに来た? 25 00:05:31,983 --> 00:05:37,689 亡き夫が働いていた大宰府を 見てみたいと思ったの。 26 00:05:37,689 --> 00:05:40,459 夫を持ったのか。 27 00:05:40,459 --> 00:05:43,361 周明も知ってる人よ。 ん? 28 00:05:43,361 --> 00:05:48,333 フフフ… 越前の海辺で会った人。 29 00:05:48,333 --> 00:05:51,470 覚えてない? 30 00:05:51,470 --> 00:05:56,141 ああ… 浜に馬で来た。 フフフ… そう。 31 00:05:56,141 --> 00:05:59,044 随分 年上の男だったような気がするが。 32 00:05:59,044 --> 00:06:06,785 そうなのだけれど 越前から都に戻って 妻になったの。 33 00:06:06,785 --> 00:06:14,159 でも 2年半で 私と娘を置いて 旅立ってしまったわ。 34 00:06:14,159 --> 00:06:17,062 周明は? ん? 35 00:06:17,062 --> 00:06:20,031 妻はいるの? いない。 36 00:06:20,031 --> 00:06:22,331 そう…。 37 00:06:26,738 --> 00:06:31,176 これから 政庁に行く。 一緒に行くか? 38 00:06:31,176 --> 00:06:35,447 お前の亡き夫も勤めていたのだろう。 39 00:06:35,447 --> 00:06:39,317 案内してくれるの? ああ。 40 00:06:39,317 --> 00:07:03,141 ♬~ 41 00:07:03,141 --> 00:07:06,044 ここが 大宰府の政庁だ。 42 00:07:06,044 --> 00:07:09,814 へえ~…。 越前より ずっとずっと立派ね。 43 00:07:09,814 --> 00:07:11,814 ああ。 44 00:07:28,833 --> 00:07:35,440 (宋語) 45 00:07:35,440 --> 00:07:37,776 (周明)商人たちだ。➡ 46 00:07:37,776 --> 00:07:42,076 ご機嫌伺いに 博多の津から大宰府まで来てるのだ。 47 00:07:44,449 --> 00:07:47,786 今でも 宋に行ってみたいか? 48 00:07:47,786 --> 00:07:51,957 もう年だもの。 そんな勇気も力もないわ。 49 00:07:51,957 --> 00:07:55,157 そのような年には見えぬが。 50 00:07:57,462 --> 00:07:59,762 (恵清)周明。 51 00:08:05,337 --> 00:08:07,337 (宋語で) 52 00:08:15,013 --> 00:08:17,782 師匠の恵清様だ。 53 00:08:17,782 --> 00:08:21,987 大宰権帥様の目を治したのも 恵清様だ。 54 00:08:21,987 --> 00:08:23,987 へえ…。 55 00:08:31,162 --> 00:08:34,862 フフフフ…。 覚えていたのだな。 56 00:08:40,972 --> 00:09:04,462 (掛け声) 57 00:09:04,462 --> 00:09:06,798 双寿丸! 58 00:09:06,798 --> 00:09:11,136 (双寿丸)ん? おお…。 ハハ。 59 00:09:11,136 --> 00:09:14,606 賢子の母上が こんな所で 何してるんだ? 60 00:09:14,606 --> 00:09:16,541 大宰府を見に来たの。 61 00:09:16,541 --> 00:09:18,476 へえ~…。 62 00:09:18,476 --> 00:09:21,813 ただの女ではないと思ってたけど すごいな。 63 00:09:21,813 --> 00:09:25,483 あなたこそ どうなの? 64 00:09:25,483 --> 00:09:31,756 せっかく勇んで来たけど 俺は まだ 手柄を立てておらぬのだ。 65 00:09:31,756 --> 00:09:33,692 争いがないのは いいことよ。 66 00:09:33,692 --> 00:09:38,630 それは そうだが 俺は 武者だからな。 67 00:09:38,630 --> 00:09:40,765 みんな 達者でいるか? 68 00:09:40,765 --> 00:09:46,271 ええ。 賢子は 太皇太后様のもとで 宮仕えを始めたわ。 69 00:09:46,271 --> 00:09:49,774 宮仕えを…。 70 00:09:49,774 --> 00:09:52,110 大人になったのだな。 ええ。 71 00:09:52,110 --> 00:09:55,013 知り合いだったのか? 72 00:09:55,013 --> 00:09:58,783 娘のいい人だったの。 73 00:09:58,783 --> 00:10:01,119 そんなんじゃない! (笑い声) 74 00:10:01,119 --> 00:10:04,789 (藤原隆家)精を出しておるな!➡ 75 00:10:04,789 --> 00:10:10,489 酒を持ってきたぞ。 皆で分けよ。 (一同)はっ! 76 00:10:14,799 --> 00:10:18,136 (隆家)おお 周明。➡ 77 00:10:18,136 --> 00:10:20,605 今日は 通事のお前がおらなかったゆえ➡ 78 00:10:20,605 --> 00:10:23,975 恵清も四苦八苦しておったぞ。 申し訳ございません。 79 00:10:23,975 --> 00:10:28,775 今日は ご府内に病の宋人がおりまして そちらに行っておりましたので。 80 00:10:32,150 --> 00:10:36,321 ふ~ん… 周明も 隅に置けぬな。 81 00:10:36,321 --> 00:10:38,356 ああ いや… そういう女子ではございません。 82 00:10:38,356 --> 00:10:45,497 さきの越後守 藤原為時の娘 まひろにございます。 83 00:10:45,497 --> 00:10:51,002 そなたは もしや… 太皇太后様の女房 藤式部か。 84 00:10:51,002 --> 00:10:53,505 さようにございます。 85 00:10:53,505 --> 00:10:59,844 太閤様から そなたを丁重にもてなし 旅の安全を図るよう お達しがあった。 86 00:10:59,844 --> 00:11:09,521 俺たちを追いやった「源氏の物語」を書いた 女房を もてなせとは 酷なお達しだ。➡ 87 00:11:09,521 --> 00:11:11,456 ハハハハハ! 88 00:11:11,456 --> 00:11:15,193 長旅で疲れたであろう。 参れ。 89 00:11:15,193 --> 00:11:36,815 ♬~ 90 00:11:36,815 --> 00:11:43,488 これは… 何でございますか? 91 00:11:43,488 --> 00:11:49,160 宋の国の茶という飲み物だ。 飲んでみよ。 92 00:11:49,160 --> 00:11:52,160 頂戴いたします。 93 00:12:00,772 --> 00:12:05,176 (周明)どうだ? うん…。 94 00:12:05,176 --> 00:12:08,513 (笑い声) 95 00:12:08,513 --> 00:12:12,513 飲み慣れれば おいしく思える。 はあ…。 96 00:12:18,857 --> 00:12:23,728 この茶は 目にも よいらしい。 へえ…。 97 00:12:23,728 --> 00:12:29,200 俺は この周明の師の恵清に 目を治してもらったのだ。 98 00:12:29,200 --> 00:12:35,006 目が再び見えるようになったら 違う世が見えてきた。 99 00:12:35,006 --> 00:12:39,844 内裏のような狭い世界で 位を争っていた日々を➡ 100 00:12:39,844 --> 00:12:44,315 実に くだらぬことであったと 思うようになったのだ。 101 00:12:44,315 --> 00:12:47,352 ここには 仲間がおる。 102 00:12:47,352 --> 00:12:52,056 為賢は武者だが 信じるに足る仲間だ。 103 00:12:52,056 --> 00:12:54,025 (平 為賢)隆家様は➡ 104 00:12:54,025 --> 00:12:57,829 この地の力ある者からの まいないも お受け取りにならず➡ 105 00:12:57,829 --> 00:13:02,333 何事にも自らの財を用いられる 身ぎれいなお方で➡ 106 00:13:02,333 --> 00:13:06,170 それも皆がお慕いし 懐いてるゆえんでございます。 107 00:13:06,170 --> 00:13:10,170 富なぞ要らぬ! 仲間がおれば。 108 00:13:15,513 --> 00:13:19,017 太閤様は ご出家あそばしたそうだな。➡ 109 00:13:19,017 --> 00:13:22,053 知っておったか? 110 00:13:22,053 --> 00:13:26,891 いいえ… 旅立つ前は まだ…。 111 00:13:26,891 --> 00:13:30,528 お体も かなり悪いらしい。 112 00:13:30,528 --> 00:13:34,399 いくら栄華を極めても 病には勝てぬ。 113 00:13:34,399 --> 00:13:39,399 それが 人の宿命だ。 114 00:13:42,140 --> 00:13:45,043 (隆家)そなたには 宿所を用意する。 115 00:13:45,043 --> 00:13:47,011 とんでもないことにございます。 116 00:13:47,011 --> 00:13:51,711 太閤様じきじきのお言いつけだ。 遠慮するな。 117 00:13:54,152 --> 00:13:57,822 お前も 共に泊まるか? 118 00:13:57,822 --> 00:13:59,757 そういう仲ではございません。 119 00:13:59,757 --> 00:14:02,457 フフフフフ…。 120 00:14:11,369 --> 00:14:15,373 よし やるか! (笑い声) 121 00:14:15,373 --> 00:14:29,520 〽 やすみしし 我が大君の こもります 122 00:14:29,520 --> 00:14:38,796 〽 天の八十蔭 出で立たず 123 00:14:38,796 --> 00:14:45,670 〽 御空を見れば 万代に 124 00:14:45,670 --> 00:14:48,473 (3人)お~! ハハハハハ! 125 00:14:48,473 --> 00:14:51,309 むくつけき男たちの舞は どうだ? 126 00:14:51,309 --> 00:14:56,180 隆家様は 明るく頼もしきお仲間に 囲まれておられるのですね。 127 00:14:56,180 --> 00:15:00,818 ああ。 ここは 気取らずにいられる場所だ。 128 00:15:00,818 --> 00:15:04,118 そのように存じます。 129 00:15:08,159 --> 00:15:12,497 〽 拝みて (3人)お~! 130 00:15:12,497 --> 00:15:15,833 大宰府にいたいだけ おれ。 131 00:15:15,833 --> 00:15:18,870 いくら 夫がいた場所が 見たいからと言って➡ 132 00:15:18,870 --> 00:15:24,670 女子が こんな所までやって来るのは 何か訳があるのだろう。 133 00:15:30,181 --> 00:15:34,052 (藤原友近)隆家様も さあ! 俺はよい。 134 00:15:34,052 --> 00:15:39,791 (藤原助高)さあ! さあ! さあさあ さあさあ! 135 00:15:39,791 --> 00:15:47,298 〽 天の八十蔭 出で立たず 136 00:15:47,298 --> 00:15:54,605 〽 御空を見れば 万代に (4人)お~! 137 00:15:54,605 --> 00:15:57,975 〽 斯くしもがも (4人)お~! 138 00:15:57,975 --> 00:16:04,175 〽 千代にも 斯くしもがも (4人)お~! 139 00:16:18,830 --> 00:16:34,112 ♬~ 140 00:16:34,112 --> 00:16:37,812 太閤様とは 誰なのだ? 141 00:16:39,784 --> 00:16:45,084 体が悪いと聞いて お前の顔色が変わった。 142 00:16:49,127 --> 00:16:58,827 太閤様は 私が仕えていた太皇太后様の 御父君ですもの。 143 00:17:00,471 --> 00:17:05,343 昔から思ったことが顔に出てしまって 困るわ。 144 00:17:05,343 --> 00:17:10,148 それが お前の面白いところではないか。 145 00:17:10,148 --> 00:17:15,820 いい年して みっともないではないの。 146 00:17:15,820 --> 00:17:19,820 だから 若く見えるのだ きっと。 147 00:17:28,166 --> 00:17:33,004 「源氏の物語」とは 何だ? 148 00:17:33,004 --> 00:17:38,776 光る君と呼ばれる男の 一生を描いた物語よ。 149 00:17:38,776 --> 00:17:42,446 隆家様たちを追いやったって…。 150 00:17:42,446 --> 00:17:45,783 そういうつもりで書いたものではないわ。 151 00:17:45,783 --> 00:17:54,125 でも 物語が 人を動かすこともあるやもしれない…。 152 00:17:54,125 --> 00:17:59,997 お前の物語は 人を動かしたのか? 153 00:17:59,997 --> 00:18:41,105 ♬~ 154 00:18:41,105 --> 00:18:49,280 (源 倫子)殿のご出家は 強くお止めいたしましたけど➡ 155 00:18:49,280 --> 00:18:57,080 今のご様子を拝見すると これでよかったと思います。 156 00:18:58,990 --> 00:19:02,290 (藤原道長)心配をかけたな。 157 00:19:30,821 --> 00:19:33,821 これを添えていきますね。 はい。 158 00:19:37,094 --> 00:19:39,764 痛かったら言ってください。 159 00:19:39,764 --> 00:19:56,314 ♬~ 160 00:19:56,314 --> 00:19:58,783 (乙丸)あの…。 161 00:19:58,783 --> 00:20:13,798 ♬~ 162 00:20:13,798 --> 00:20:16,798 ありがとうございました。 163 00:20:19,670 --> 00:20:22,473 フフフ。 164 00:20:22,473 --> 00:20:25,810 そろそろ ここを たとうと思うの。 165 00:20:25,810 --> 00:20:29,313 いたいだけいろと 隆家様に言われたではないか。 166 00:20:29,313 --> 00:20:35,820 うん…。 松浦に行かないと。 松浦に何をしに行くのだ? 167 00:20:35,820 --> 00:20:41,625 遠い昔 仲よくしていた友が そこで亡くなったの。 168 00:20:41,625 --> 00:20:47,125 辞世の歌に松浦とあったから 見に行きたくて。 169 00:20:49,166 --> 00:20:51,836 松浦に行くなら船がよい。 170 00:20:51,836 --> 00:20:59,510 道中 危ない所もあるゆえ 船越の津まで送っていこう。 171 00:20:59,510 --> 00:21:02,210 ありがとう。 172 00:21:08,519 --> 00:21:14,191 まひろたちは 船越の津に向かって 大宰府をたった。 173 00:21:14,191 --> 00:21:17,491 しかし そのころ…。 174 00:21:28,205 --> 00:21:33,905 (常覚)壱岐から来た 島分寺の常覚と申す。 175 00:21:35,813 --> 00:21:40,484 帥様に 急ぎお取り次ぎ願いたい! 176 00:21:40,484 --> 00:21:47,258 3月の末 どこの者とも知れぬ賊が襲来➡ 177 00:21:47,258 --> 00:21:53,998 壱岐の子供と年寄りは 全て殺され ほかの者は連れ去られました。 178 00:21:53,998 --> 00:21:56,500 なんと…。 179 00:21:56,500 --> 00:22:01,005 (常覚)作物も牛馬も食い尽くされ…。 180 00:22:01,005 --> 00:22:07,178 僧も 私以外は 皆 殺され…。 181 00:22:07,178 --> 00:22:11,478 私は 小舟で何日もかかり…。 182 00:22:13,050 --> 00:22:15,519 よくぞ生きて知らせてくれた。 183 00:22:15,519 --> 00:22:19,356 国守は 何をしておったのだ。 184 00:22:19,356 --> 00:22:22,556 国守様は 殺されました。 185 00:22:26,864 --> 00:22:32,470 敵は 異国の者なのか? 我らと違う言葉を話します。 186 00:22:32,470 --> 00:22:34,405 敵の軍勢は? 187 00:22:34,405 --> 00:22:42,105 よくは分かりませぬが 兵も船も多数…。 188 00:22:43,814 --> 00:22:47,814 (大蔵種材)高麗が攻めきたったのやも…。 189 00:22:51,155 --> 00:22:53,824 博多を攻められては まずい。 190 00:22:53,824 --> 00:22:55,759 博多の警固所に参ろう。 191 00:22:55,759 --> 00:22:59,697 (種材)その前に 筑前 筑後 豊前 肥前の国守に➡ 192 00:22:59,697 --> 00:23:03,000 兵を集めるよう 急使をお遣わしになされませ。 193 00:23:03,000 --> 00:23:06,036 ああ…。 軍勢を博多に集めるのです。➡ 194 00:23:06,036 --> 00:23:09,507 博多に攻め入られては 終わりでございますゆえ。 195 00:23:09,507 --> 00:23:13,344 分かった。 今から 各地の国守に文を書く。 196 00:23:13,344 --> 00:23:15,379 朝廷にも急報する。 197 00:23:15,379 --> 00:23:18,182 ご無礼いたします! 198 00:23:18,182 --> 00:23:22,052 対馬守が参りました! 199 00:23:22,052 --> 00:23:24,855 通せ。 はっ。 200 00:23:24,855 --> 00:23:29,555 刀伊の入寇の始まりである。 201 00:23:35,132 --> 00:23:38,469 敵は 刀伊と呼ばれる異人どもだ。 202 00:23:38,469 --> 00:23:41,805 これから我らは 博多の警固所で➡ 203 00:23:41,805 --> 00:23:44,708 敵の来襲に備える! (一同)おう! 204 00:23:44,708 --> 00:23:47,678 (隆家)一歩たりとも 敵を踏み込ませてはならぬ! 205 00:23:47,678 --> 00:23:49,980 何としても守り抜くのだ! 206 00:23:49,980 --> 00:23:52,016 しかし よいか。 207 00:23:52,016 --> 00:23:55,786 決して無駄死にはするな! (一同)おう! 208 00:23:55,786 --> 00:24:01,692 (隆家)者ども 奮え! (一同)お~っ! 209 00:24:01,692 --> 00:24:26,183 ♬~ 210 00:24:26,183 --> 00:24:29,086 来られたぞ! 211 00:24:29,086 --> 00:24:45,135 ♬~ 212 00:24:45,135 --> 00:24:48,472 (平 致行)帥様! 213 00:24:48,472 --> 00:24:50,407 博多の様子は どうだ? 214 00:24:50,407 --> 00:24:53,143 (致行) 賊は 能古島に向かった由にございます。 215 00:24:53,143 --> 00:24:56,843 今 賊の首が届けられました。 216 00:25:02,486 --> 00:25:06,991 (文屋忠光)志摩から参りました 文屋忠光にございます。 217 00:25:06,991 --> 00:25:12,191 100人が殺され 400人が連れ去られたそうにございます。 218 00:25:14,732 --> 00:25:18,502 なんとか討ち払うことができました! 219 00:25:18,502 --> 00:25:22,373 よくやった! (忠光)はっ! 220 00:25:22,373 --> 00:25:25,843 対馬 壱岐から能古島。 221 00:25:25,843 --> 00:25:28,646 次第に 博多に近づいておりますな。 222 00:25:28,646 --> 00:25:30,714 各地の兵は どうなっておる? 223 00:25:30,714 --> 00:25:34,014 使者は出しましたが いまだ…。 224 00:25:59,143 --> 00:26:03,843 船が動いたぞ! 動いたぞ! 225 00:26:17,494 --> 00:26:27,794 ♬~ 226 00:26:32,976 --> 00:26:36,976 なぜ 兵は来ないのでしょう…。 227 00:26:42,453 --> 00:26:45,453 出陣する。 (致行)えっ? 228 00:26:47,124 --> 00:26:51,295 小勢でも 今 我らが討って出て食い止めねば。 229 00:26:51,295 --> 00:26:57,095 陸に上がられては 無辜の民に害が及ぶ。 (一同)はっ! 230 00:27:05,142 --> 00:27:10,442 出陣じゃ~! (一同)お~っ! 231 00:27:29,366 --> 00:27:36,366 (話し声) 232 00:27:58,128 --> 00:28:00,464 おい! おい 逃げろ! 233 00:28:00,464 --> 00:28:03,801 逃げろ! 逃げろ! 234 00:28:03,801 --> 00:28:17,815 ♬~ 235 00:28:17,815 --> 00:28:21,151 (致行)為賢たちに知らせましょうか。 236 00:28:21,151 --> 00:28:57,788 ♬~ 237 00:28:57,788 --> 00:29:01,488 (かぶら矢の音) 238 00:29:04,461 --> 00:29:08,131 やや? かぶら矢に おののいております! 239 00:29:08,131 --> 00:29:12,131 もっと放ちましょう! ああ。 240 00:29:17,140 --> 00:29:24,815 (かぶら矢の音) 241 00:29:24,815 --> 00:29:30,487 進め! (一同)お~っ! 242 00:29:30,487 --> 00:29:57,447 ♬~ 243 00:29:57,447 --> 00:30:04,121 ♬~ (どらの音) 244 00:30:04,121 --> 00:30:18,468 ♬~ 245 00:30:18,468 --> 00:30:20,404 かかれ~! 246 00:30:20,404 --> 00:30:46,404 ♬~ 247 00:31:04,514 --> 00:31:10,187 殿の栄華の物語を書いてほしいと 申したと思うが…。 248 00:31:10,187 --> 00:31:14,858 (赤染衛門) そのつもりで書いておりまする。 249 00:31:14,858 --> 00:31:19,730 でも これ 宇多の帝から始まっているわ。 250 00:31:19,730 --> 00:31:24,201 殿がお生まれになるより はるかに昔だけれど…。 251 00:31:24,201 --> 00:31:27,871 お言葉ながら 藤原を描くなら➡ 252 00:31:27,871 --> 00:31:31,608 大化の改新から 書きたいくらいにございます。 253 00:31:31,608 --> 00:31:35,479 とはいえ それでは 太閤様の御代まで➡ 254 00:31:35,479 --> 00:31:39,349 私が生きている間に 書き切れないと存じまして➡ 255 00:31:39,349 --> 00:31:43,353 宇多の帝からにいたしました。 256 00:31:43,353 --> 00:31:49,493 殿がお生まれになった時は 村上の帝の時ゆえ➡ 257 00:31:49,493 --> 00:31:54,164 そこからで よいのではないかしら? 258 00:31:54,164 --> 00:32:00,637 「枕草子」が 亡き皇后 定子様の 明るく朗らかなお姿を描き➡ 259 00:32:00,637 --> 00:32:06,443 「源氏の物語」が 人の世のあわれを 大胆な物語にして描いたのなら➡ 260 00:32:06,443 --> 00:32:11,014 私がなすべきことは 何かと考えますと➡ 261 00:32:11,014 --> 00:32:16,186 それは 歴史の書であると考えました。 262 00:32:16,186 --> 00:32:20,524 仮名文字で書く史書は まだ この世にはございませぬ。 263 00:32:20,524 --> 00:32:25,195 歴史をきちんと押さえつつ その中で 太閤様の生い立ち➡ 264 00:32:25,195 --> 00:32:29,066 政の見事さと その栄華の極みを描き尽くせば➡ 265 00:32:29,066 --> 00:32:34,066 必ずや 後の世までも 読み継がれるものとなりましょう。 266 00:32:38,141 --> 00:32:44,014 もう 衛門の好きにしてよいわ。 267 00:32:44,014 --> 00:32:49,753 (猫の鳴き声) 268 00:32:49,753 --> 00:32:54,691 見事な働き 皆 よくやった。 (一同)はっ! 269 00:32:54,691 --> 00:32:58,462 されど まだ気を緩めませぬ。 270 00:32:58,462 --> 00:33:00,397 ご無礼いたします! 271 00:33:00,397 --> 00:33:06,169 財部弘延殿 大神守宮殿 兵を率いて ただいま到着。 272 00:33:06,169 --> 00:33:08,469 おお…。 273 00:33:13,510 --> 00:33:19,182 遅いではないか! よく来てくれた。 礼を申す。 274 00:33:19,182 --> 00:33:22,519 大宰権帥 藤原隆家様だ。 275 00:33:22,519 --> 00:33:25,422 (財部弘延) 敵を蹴散らしたそうではありませぬか。 276 00:33:25,422 --> 00:33:28,325 さすが 帥様でありますな。 277 00:33:28,325 --> 00:33:33,130 敵は 能古島に戻ったが これ以上 攻めてこぬようにするには➡ 278 00:33:33,130 --> 00:33:35,799 こちらから撃って出て 追い払わねばならぬ。 279 00:33:35,799 --> 00:33:39,669 それには 戦船が要る。 承知つかまつりました。 280 00:33:39,669 --> 00:33:42,472 主船司に行って 船をかき集めましょう。 281 00:33:42,472 --> 00:33:46,309 そ… それは 朝廷のご許可が要るような…。 282 00:33:46,309 --> 00:33:48,245 そんなものを待ってはおれぬ! 283 00:33:48,245 --> 00:33:50,480 為賢! はっ。 お前がせよ。 284 00:33:50,480 --> 00:33:52,415 はっ。 285 00:33:52,415 --> 00:33:54,351 はあ… 私も。 286 00:33:54,351 --> 00:34:00,824 帥様 菅原道真公の み霊の力も 借りてはいかがでございましょうか。 287 00:34:00,824 --> 00:34:06,163 ああ。 それは よい! 祈とうさせます。 288 00:34:06,163 --> 00:34:08,832 次に攻めてくるとしたら どこだ? 289 00:34:08,832 --> 00:34:13,003 志摩 博多を避けるとなると…➡ 290 00:34:13,003 --> 00:34:15,338 船越の津辺りでしょうか。 291 00:34:15,338 --> 00:34:19,176 (大神守宮)ああ… あの辺りは 野良人しかおりませぬゆえ➡ 292 00:34:19,176 --> 00:34:23,513 敵が来たら やすやすと陸に上がられてしまいます。 293 00:34:23,513 --> 00:34:27,384 分かった。 お前たちは 兵を集めて 船越に参れ。 294 00:34:27,384 --> 00:34:29,384 (一同)はっ! 295 00:34:41,998 --> 00:34:47,198 はあ…。 干しいいを分けてもらった。 296 00:34:53,143 --> 00:34:56,479 周明が一緒でよかった。 297 00:34:56,479 --> 00:35:00,350 筑前に来て もう20年だ。 298 00:35:00,350 --> 00:35:04,354 この辺りのことは よ~く分かってる。 299 00:35:04,354 --> 00:35:07,054 20年か…。 300 00:35:10,026 --> 00:35:16,726 20年前の左大臣は 今の太閤か? 301 00:35:18,501 --> 00:35:21,801 お前の思い人か。 302 00:35:25,842 --> 00:35:29,142 なぜ 妻になれなかったのだ? 303 00:35:35,452 --> 00:35:38,752 弄ばれただけか。 304 00:35:41,324 --> 00:35:48,798 あの人は 私に書くことを与えてくれたの。 305 00:35:48,798 --> 00:35:54,671 書いたものが 大勢の人に読まれる喜びを与えてくれた。 306 00:35:54,671 --> 00:36:00,810 私が私であることの意味を 与えてくれたのよ。 307 00:36:00,810 --> 00:36:04,510 ならば なぜ 都を出たのだ。 308 00:36:06,149 --> 00:36:11,488 偉くなって 世を変えてと あの人に言ったのは 私なのに➡ 309 00:36:11,488 --> 00:36:19,362 本当に偉くなってしまったら… むなしくなってしまったの。 310 00:36:19,362 --> 00:36:26,503 そういうことを思う己も嫌になって 都を出ようと思ったの。 311 00:36:26,503 --> 00:36:30,840 それだけ慕っていたのだな。 312 00:36:30,840 --> 00:36:33,840 でも 離れたかった。 313 00:36:37,113 --> 00:36:41,813 捨てたか捨てられたかも 分からないのか。 314 00:36:43,453 --> 00:36:46,122 そんなことしてたら➡ 315 00:36:46,122 --> 00:36:50,822 俺みたいな本当の独りぼっちに なってしまうぞ。 316 00:36:56,766 --> 00:37:01,671 もう 私には 何もないもの。 ん? 317 00:37:01,671 --> 00:37:08,378 これ以上 あの人の役に立つことは何もないし➡ 318 00:37:08,378 --> 00:37:14,484 都には私の居場所もないの。 319 00:37:14,484 --> 00:37:21,825 今は 何かを書く気力も湧かない。 320 00:37:21,825 --> 00:37:26,125 私は もう 終わってしまったの…。 321 00:37:29,499 --> 00:37:36,306 終わってしまったのに それが 認められないの…。 322 00:37:36,306 --> 00:37:51,121 ♬~ 323 00:37:51,121 --> 00:37:54,991 まだ命はあるんだ。 324 00:37:54,991 --> 00:37:57,994 これから違う生き方だってできる。 325 00:37:57,994 --> 00:38:02,465 書くことが全てだったの。 326 00:38:02,465 --> 00:38:06,765 違う生き方なんて 考えられないわ。 327 00:38:18,014 --> 00:38:21,818 俺のことを書くのは どうだ? 328 00:38:21,818 --> 00:38:27,690 親に捨てられて 宋に渡った男の話は 面白くないか? 329 00:38:27,690 --> 00:38:33,096 (笑い声) 330 00:38:33,096 --> 00:38:37,796 駄目か。 どうかしら。 331 00:38:39,969 --> 00:38:47,110 だったら お前が これまで やってきたことを 書き残すのはどうだ? 332 00:38:47,110 --> 00:38:50,780 残すほどのことはしていないけれど…。 333 00:38:50,780 --> 00:38:55,652 松浦にまで行きたいと思った 友のこととか➡ 334 00:38:55,652 --> 00:39:00,457 親兄弟のこととか 何でもよいではないか。 335 00:39:00,457 --> 00:39:10,133 そういうものを書いてる間に 何か よい物語が 思い浮かぶかもしれない。 336 00:39:10,133 --> 00:39:13,470 書くことは どこででも できる。 337 00:39:13,470 --> 00:39:18,770 紙と筆と墨があれば。 338 00:39:21,811 --> 00:39:25,148 どこででも…。 339 00:39:25,148 --> 00:39:28,148 都でなくても。 340 00:39:33,423 --> 00:39:36,123 そうね。 341 00:39:41,297 --> 00:39:43,933 (いびき) 342 00:39:43,933 --> 00:39:57,433 (笑い声) 343 00:40:06,322 --> 00:40:09,022 船が集まりました! 344 00:40:10,793 --> 00:40:14,130 為賢たちは 船で能古島を目指せ。 345 00:40:14,130 --> 00:40:16,065 もし敵が島を出たら とことん追いかけて 追い払え! 346 00:40:16,065 --> 00:40:18,968 (一同)はっ。 ただし➡ 347 00:40:18,968 --> 00:40:24,307 対馬より 先に進んではならぬ。 (為賢)何故でございますか? 348 00:40:24,307 --> 00:40:26,342 対馬の先は 高麗の海だ。 349 00:40:26,342 --> 00:40:32,342 そこまで行けば こちらから異国に 戦を仕掛けることとなる。 350 00:40:38,154 --> 00:40:41,854 間もなく港だ。 351 00:40:49,165 --> 00:40:58,174 松浦に行って 思いを果たしたら 必ず大宰府に戻ってきてくれ。 352 00:40:58,174 --> 00:41:03,474 その時に 話したいことがある。 353 00:41:10,186 --> 00:41:15,525 (悲鳴) 354 00:41:15,525 --> 00:41:18,428 逃げて! まひろ。 355 00:41:18,428 --> 00:41:23,866 (悲鳴) 356 00:41:23,866 --> 00:41:42,352 ♬~ 357 00:41:42,352 --> 00:41:44,487 まひろ! 358 00:41:44,487 --> 00:41:54,487 ♬~ 359 00:41:58,034 --> 00:42:01,838 ♬~ 360 00:42:01,838 --> 00:42:05,174 逃げろ! まひろ! 361 00:42:05,174 --> 00:42:27,196 ♬~ 362 00:42:27,196 --> 00:42:29,132 あっ。 363 00:42:29,132 --> 00:42:35,605 ♬~ 364 00:42:35,605 --> 00:42:37,605 (矢が刺さる音) う…。 365 00:43:01,731 --> 00:43:03,700 殺さなければ 殺される。 366 00:43:03,700 --> 00:43:05,702 隆家は お前の敵ではなかったのか! 367 00:43:05,702 --> 00:43:08,004 都までは 攻めてこぬよな…。 368 00:43:08,004 --> 00:43:12,341 命を懸けた彼らの働きを 軽んじるなぞ あってはならぬ! 369 00:43:12,341 --> 00:43:15,844 ここにいては なりませぬ! (泣き声) 370 00:43:15,844 --> 00:43:19,715 生きておれよ…。 光るおんな君となって 生きようかしら。 371 00:43:19,715 --> 00:43:23,015 私が気付いていないとでも思っていた? 372 00:43:33,395 --> 00:43:40,135 大宰府は かつて アジア地域との 外交を担って栄えた 西の都です。 373 00:43:40,135 --> 00:43:45,007 藤原隆家の赴任中に起きた刀伊の入寇は➡ 374 00:43:45,007 --> 00:43:49,307 平安時代最大の 対外危機といわれています。 375 00:43:51,146 --> 00:43:55,484 大宰府を守る防御壁 水城。 376 00:43:55,484 --> 00:43:58,387 およそ1.2キロに及ぶ土塁は➡ 377 00:43:58,387 --> 00:44:03,387 博多湾からの侵攻を防ぐために 築かれたものです。 378 00:44:05,160 --> 00:44:11,033 刀伊の軍勢が 壱岐 対馬を攻め 博多湾まで迫ったとの知らせを受け➡ 379 00:44:11,033 --> 00:44:15,871 隆家たちは 急ぎ博多へ向かいました。 380 00:44:15,871 --> 00:44:20,509 鴻臚館は 博多湾に面した外交施設です。 381 00:44:20,509 --> 00:44:27,509 隆家たちは 鴻臚館近くの警固所に入り 迎え撃つこととなったのです。 382 00:44:29,184 --> 00:44:32,788 博多湾に浮かぶ能古島。 383 00:44:32,788 --> 00:44:37,125 刀伊は この島を拠点に 博多に上陸。 384 00:44:37,125 --> 00:44:40,028 隆家は 自ら前線に立ち➡ 385 00:44:40,028 --> 00:44:45,028 地元豪族たちと共に 侵攻を食い止めました。 386 00:44:46,802 --> 00:44:51,139 武力で外敵を退けた刀伊の入寇は➡ 387 00:44:51,139 --> 00:44:57,439 やがて訪れる武士の時代を 予感させるものとなったのです。 388 00:45:33,415 --> 00:45:35,484 痛むのは この辺りですか? 389 00:45:35,484 --> 00:45:37,619 うう…! あっ…。 390 00:45:37,619 --> 00:45:39,555 奥様のお手を煩わせては 罰が当たります…。 391 00:45:39,555 --> 00:45:42,824 いけません。 じっとしていらっしゃい。 はあ…。 392 00:45:42,824 --> 00:45:46,628 <天保5年。 年明けから 利平次は体調を崩し➡ 393 00:45:46,628 --> 00:45:49,498 床に就く日が続いていました> 394 00:45:49,498 --> 00:45:53,335 (登勢) まったく失礼な人! 395 00:45:53,335 --> 00:45:55,637 あ…。 あっ そのまま そのまま。 396 00:45:55,637 --> 00:45:57,573 あら おいしそう。