1 00:00:19,620 --> 00:00:25,325 (安倍晴明)紫微垣の天蓬の星が いつになく強い光を放っている。 2 00:00:26,960 --> 00:00:33,300 それは 都に凶事が起きる ということですか? 3 00:00:33,300 --> 00:00:36,303 今宵が その始まりだ。 4 00:00:41,174 --> 00:00:44,645 雨が降るな。 5 00:00:44,645 --> 00:00:47,981 星も月も輝いておりますが…。 6 00:00:47,981 --> 00:00:50,017 雨だ。 7 00:00:50,017 --> 00:00:52,319 大雨だ。 8 00:00:52,319 --> 00:01:14,575 ♬~ 9 00:01:14,575 --> 00:01:16,576 (まひろ)母上! 10 00:01:18,278 --> 00:01:20,280 (鳴き声) 11 00:01:25,953 --> 00:01:28,255 (はる)熊。 12 00:01:32,826 --> 00:01:35,629 (いと)駄目です。 13 00:01:35,629 --> 00:01:38,932 (ちやは)お前たち 中へ中へ。 14 00:01:55,315 --> 00:01:57,618 ご苦労さま。 15 00:02:04,591 --> 00:02:10,764 (藤原為時)「王戎簡要 裴楷清通➡ 16 00:02:10,764 --> 00:02:22,943 孔明臥龍 呂望非熊 楊震關西 丁寛易東」。 17 00:02:22,943 --> 00:02:25,846 (太郎)あっち行こう。 はいはい。 18 00:02:25,846 --> 00:02:30,283 お庭。 お庭は 寒うございますよ 若様。 19 00:02:30,283 --> 00:02:32,953 (為時)遊びたければ ここで遊べ。 20 00:02:32,953 --> 00:02:35,622 遊びながら 聞いておればよい。 21 00:02:35,622 --> 00:02:41,495 (熊丸)年が明けるのが早いか 屋根が落ちるのが早いかだな。 22 00:02:41,495 --> 00:02:46,967 遅くなってしまったけど 年末の手当。 23 00:02:46,967 --> 00:02:52,773 もったいないことでございます。 今年は これで辛抱しておくれ。 24 00:02:52,773 --> 00:02:55,976 北の方様。 25 00:02:55,976 --> 00:03:01,782 私 今年いっぱいで おいとまを頂きとうございます。 26 00:03:01,782 --> 00:03:07,587 えっ。 親が年なので 戻ってまいれと…。 27 00:03:07,587 --> 00:03:14,895 まあ… それは しかたないわねえ。 28 00:03:19,199 --> 00:03:24,604 母上 うちには 屋根を直す蓄えもないの? 29 00:03:24,604 --> 00:03:27,941 まひろが心配することはありませんよ。 30 00:03:27,941 --> 00:03:31,812 年が明ければ 何もかも うまくいきますよ。 31 00:03:31,812 --> 00:03:36,616 でも また母上は 衣を食べ物に換えたでしょ。 32 00:03:36,616 --> 00:03:38,952 大丈夫 大丈夫。 33 00:03:38,952 --> 00:03:43,790 年が明けたら 父上の新しいお役目が決まるのよ。 34 00:03:43,790 --> 00:03:48,962 父上のような博識の学者を 帝が ほっておかれるはずがないもの。 35 00:03:48,962 --> 00:03:53,266 案ずることは ありませんよ。 大丈夫 大丈夫。 36 00:03:58,972 --> 00:04:02,843 母上は 琵琶を弾かなくなりました。 37 00:04:02,843 --> 00:04:07,848 父上の官職が決まったら お祝いに弾きましょう。 38 00:04:16,456 --> 00:04:23,096 (為時)「孫敬閇戸 郅都蒼鷹➡ 39 00:04:23,096 --> 00:04:29,870 寗成乳乕 周嵩狼抗」。 40 00:04:29,870 --> 00:04:41,481 (まひろ 為時) 「梁冀跋扈 郗超髯參 王珣短簿」。 41 00:04:41,481 --> 00:04:44,951 (語り)まひろという名の この少女が➡ 42 00:04:44,951 --> 00:04:51,258 後々の世までも名をはせる作家 紫式部となる。 43 00:04:52,826 --> 00:06:53,613 ♬~ 44 00:06:53,613 --> 00:07:01,221 ♬~ 45 00:07:01,221 --> 00:07:36,923 ♬~ 46 00:07:38,925 --> 00:07:42,595 天皇を頂とした京の都では➡ 47 00:07:42,595 --> 00:07:48,601 上級貴族たちの出世争いが しれつを極めていた。 48 00:07:50,337 --> 00:07:54,941 大納言 藤原兼家も その一人。 49 00:07:54,941 --> 00:08:03,750 妻 時姫との間に もうけた子供は 長男 道隆 次男 道兼➡ 50 00:08:03,750 --> 00:08:06,052 娘の詮子。 51 00:08:06,052 --> 00:08:13,560 兼家は 娘を天皇の妻にすることで 更なる力を得ようとしていた。 52 00:08:13,560 --> 00:08:21,267 (藤原道隆)父上 母上には ご機嫌麗しく 祝着至極にございます。 53 00:08:22,902 --> 00:08:24,938 めでたく詮子の入内の日も決まり…。 54 00:08:24,938 --> 00:08:28,775 (藤原兼家)挨拶は もうよい。 姫を抱かせよ 貴子。 55 00:08:28,775 --> 00:08:30,777 (高階貴子)はい。 56 00:08:33,546 --> 00:08:37,917 (赤ちゃんの泣き声) 57 00:08:37,917 --> 00:08:41,254 さあ おじい様ですよ。 58 00:08:41,254 --> 00:08:44,924 肌が透き通るように白い。 美しい姫じゃ。 59 00:08:44,924 --> 00:08:49,095 そなたも ゆくゆくは 入内せねばのう。 60 00:08:49,095 --> 00:08:51,765 そのつもりで 心して育てまする。 61 00:08:51,765 --> 00:08:54,968 頼んだぞ。 (2人)はい。 62 00:09:08,548 --> 00:09:15,422 詮子が入内すれば このように 皆がそろうことは もはやない。➡ 63 00:09:15,422 --> 00:09:18,124 三郎はいかがした? 64 00:09:20,894 --> 00:09:24,564 (三郎)遅れて申し訳ございませぬ。 65 00:09:24,564 --> 00:09:27,367 兄上 お久しゅうございまする。 66 00:09:27,367 --> 00:09:30,737 (藤原道兼)何をしておった。 なんというわけでも…。 67 00:09:30,737 --> 00:09:34,240 答えになっておらぬ! まあ よい。 68 00:09:36,242 --> 00:09:40,914 背丈が伸びたのう 三郎。 69 00:09:40,914 --> 00:09:45,585 返事をせぬか! 背は伸びました。 70 00:09:45,585 --> 00:09:47,587 まぬけめ。 71 00:09:49,756 --> 00:09:58,932 三郎 来年 詮子が入内するは 父上の世が到来する第一歩。 72 00:09:58,932 --> 00:10:02,602 お前も そう心得て 気を引き締めねばならぬぞ。 73 00:10:02,602 --> 00:10:04,537 は…。 74 00:10:04,537 --> 00:10:09,776 安倍晴明に 関白の姫より 詮子が先に入内するよう➡ 75 00:10:09,776 --> 00:10:14,614 帝に奏上せよと申しつけておいたのに 裏切りおった。 76 00:10:14,614 --> 00:10:17,417 入内の順番なぞ関わりございませぬ。 77 00:10:17,417 --> 00:10:21,955 関白様の一の姫より先に 詮子が皇子を産めばよいこと。➡ 78 00:10:21,955 --> 00:10:25,291 必ずや父上の世は参りまする。 79 00:10:25,291 --> 00:10:28,962 詮子 頼んだぞ。 80 00:10:28,962 --> 00:10:31,631 (藤原詮子)お気の早い兄上…。 81 00:10:31,631 --> 00:10:34,968 父上 私も早く妻を持ち➡ 82 00:10:34,968 --> 00:10:39,672 入内するような娘を もうけとうございます。うん。 83 00:10:41,641 --> 00:10:45,311 道兼 その件 考えておこう。 84 00:10:45,311 --> 00:10:52,318 私は 父上にお願いしておりまする。 父上と共に 考えておくゆえ。 85 00:10:56,923 --> 00:11:05,932 このボ~ッとした三男の三郎が 後に 貴族の頂点に立つ藤原道長である。 86 00:11:12,272 --> 00:11:21,948 まひろの父 下級貴族の藤原為時は 5年間 官職を得られなかった。 87 00:11:21,948 --> 00:11:29,656 次こそは 任官をと願いながら 貧しい生活を送っていたのである。 88 00:11:33,293 --> 00:11:36,996 殿 夕げにございます。 89 00:11:38,631 --> 00:11:40,633 うん。 90 00:11:45,972 --> 00:11:48,641 (熊丸)宣孝様 お見えになりました。 91 00:11:48,641 --> 00:11:51,678 この男は 藤原宣孝。 92 00:11:51,678 --> 00:11:53,813 為時の親戚である。 93 00:11:53,813 --> 00:11:55,748 おいでなさいませ。 94 00:11:55,748 --> 00:11:57,684 (藤原宣孝)ちやは殿 にわかに すまぬな。 95 00:11:57,684 --> 00:12:01,387 正月用の酒を持ってまいった。 96 00:12:01,387 --> 00:12:04,290 いつもいつも ありがとうございます。 97 00:12:04,290 --> 00:12:08,595 これは 前祝いでございますね。 頂戴いたします。➡ 98 00:12:08,595 --> 00:12:10,930 ただいま 夕げを…。 あっ 夕げはよい。 急いでおるゆえ。 99 00:12:10,930 --> 00:12:16,236 今宵は どなたの所へ? そなたは 大人のようなことを言うのう。 100 00:12:21,941 --> 00:12:25,812 大納言様に 話はしたのか? 101 00:12:25,812 --> 00:12:30,283 式部省で働きたい旨 申し文は奉ってある。 102 00:12:30,283 --> 00:12:33,786 大納言様とは 漢詩の会で会うと 言うておったではないか。 103 00:12:33,786 --> 00:12:36,422 漢詩の会は 自分を売り込む場ではない。 104 00:12:36,422 --> 00:12:39,959 そのような見えを張っている時ではない。 105 00:12:39,959 --> 00:12:45,632 この先 官職を得られなければ どうやって暮らすつもりだ。 106 00:12:45,632 --> 00:12:51,137 分かっておるが 宣孝殿のように ずうずうしくはなれぬ。 107 00:12:51,137 --> 00:12:55,975 なまじ 学があると 誇り高くて やっかいだなあ。 108 00:12:55,975 --> 00:13:01,581 はい 今から 大納言様の屋敷に行け。 109 00:13:01,581 --> 00:13:09,922 わしの勘だが いずれ 大納言 藤原兼家様が 力を持つ。 110 00:13:09,922 --> 00:13:12,825 今宵は 東三条殿におられると聞いた。 111 00:13:12,825 --> 00:13:16,262 はい 今宵しかない。 行って 推挙をお願いしろ。 112 00:13:16,262 --> 00:13:18,931 いいな わしの言うとおりにしておけば 間違いない。 113 00:13:18,931 --> 00:13:22,268 ちやは殿 邪魔をした。 114 00:13:22,268 --> 00:13:24,937 はい。 115 00:13:24,937 --> 00:13:27,840 「はい」って…。 116 00:13:27,840 --> 00:14:11,250 ♬~ 117 00:14:11,250 --> 00:14:14,587 三郎は まことによい子ね。 118 00:14:14,587 --> 00:14:23,296 ♬~ 119 00:14:32,605 --> 00:14:37,110 (平 惟仲)大納言様は 今宵 どなたにもお会いにならぬ。 120 00:14:37,110 --> 00:14:40,947 そこを なんとか…。 ご在宅と聞いて伺ったのだ。 121 00:14:40,947 --> 00:14:45,618 (惟仲)できぬ。 お見えになったことは お伝え申した。 122 00:14:45,618 --> 00:14:47,653 では これを。 123 00:14:47,653 --> 00:14:54,293 せめて これを… お渡しください。 124 00:14:54,293 --> 00:14:57,597 よしなに頼む。 125 00:15:04,103 --> 00:15:11,778 三郎 帝って どんなお顔かしら? 知らないよ そんなこと。 126 00:15:11,778 --> 00:15:16,382 いかに 立派な帝でも お顔だちが好きでなかったら➡ 127 00:15:16,382 --> 00:15:20,586 皇子を産むのは かなり つらいと思うのよね。 128 00:15:20,586 --> 00:15:25,258 入内が決まってから それが 心配で眠れないの。 129 00:15:25,258 --> 00:15:30,129 床入りして だんだん好きになるんじゃないの? 130 00:15:30,129 --> 00:15:34,600 三郎! そんなことを 口にしてはいけません。 131 00:15:34,600 --> 00:15:37,103 だって 姉上が言いだしたんだよ。 132 00:15:37,103 --> 00:15:41,941 姉上が 皇子を素早く産めるかどうかで 我が一族の命運が決まるんだから➡ 133 00:15:41,941 --> 00:15:43,876 頑張ってくれよな。 134 00:15:43,876 --> 00:15:49,182 やめて 父上や兄上みたい。 135 00:15:52,285 --> 00:15:57,290 三郎だけなのだから このような話ができるの。 136 00:15:59,625 --> 00:16:04,897 兄上たちが こんなこと聞いたら 火がついたように怒るわ。 137 00:16:04,897 --> 00:16:08,734 俺は 怒るの あまり好きではないんだ。 138 00:16:08,734 --> 00:16:10,670 学問も好きではないけど。 139 00:16:10,670 --> 00:16:15,908 父上の子なら 元服したら何もしなくても偉くなれるわ。 140 00:16:15,908 --> 00:16:18,811 姉は 帝のお妃だし。 141 00:16:18,811 --> 00:16:22,682 兄上が 2人もいるから 俺の出番はないよ。 142 00:16:22,682 --> 00:16:26,252 あ… でも 名前なら書けるよ。 143 00:16:26,252 --> 00:16:28,921 足でも書ける。 やってみようか。 144 00:16:28,921 --> 00:16:32,625 できるの? 見てて。 145 00:16:37,597 --> 00:16:41,934 1 2 3…。 146 00:16:41,934 --> 00:16:44,971 フフフフフ… おかしな子。➡ 147 00:16:44,971 --> 00:16:49,175 帝が 三郎みたいに 面白い方だといいけどな。 148 00:16:52,278 --> 00:16:55,948 わっ! あっ 何をするの 兄上! 149 00:16:55,948 --> 00:16:58,284 三郎は 何もしていないのに! 150 00:16:58,284 --> 00:17:01,187 いいよ 慣れてるから。 151 00:17:01,187 --> 00:17:03,389 いくよ もう一回いく。 152 00:17:21,908 --> 00:17:27,780 (ちやは)我が夫 藤原為時 来る除目にて➡ 153 00:17:27,780 --> 00:17:33,786 何とぞ 式部省の少丞に 任じられますように。 154 00:17:37,256 --> 00:17:43,963 何とぞ 式部省の少丞に 任じられますように。 155 00:17:51,804 --> 00:17:57,109 そなたは もうよい。 そこで座っておれ。 156 00:18:13,559 --> 00:18:20,232 この時代 男が嫡妻のほかに 妻を持つことは 珍しくなかった。 157 00:18:20,232 --> 00:18:26,939 為時も その例外ではなく 度々 家を留守にした。 158 00:18:32,578 --> 00:18:34,613 母上。 159 00:18:34,613 --> 00:18:40,086 母上が 毎日 願かけをして 父上のことをお祈りしているのに➡ 160 00:18:40,086 --> 00:18:44,290 なぜ 父上は 今宵も家を空けて平気なの? 161 00:18:49,595 --> 00:18:55,935 私の里が豊かであれば こんな苦労は しないで 済んだのです。 162 00:18:55,935 --> 00:18:59,805 夜のお出かけに 文句なぞ言ってはならないわ。 163 00:18:59,805 --> 00:19:06,112 願かけをしてくれる母上より ほかの人の方がいいんだ。 164 00:19:07,880 --> 00:19:14,553 私のことも いいと思ってらっしゃると思うわよ。 165 00:19:14,553 --> 00:19:18,891 父上の気持ちも 母の気持ちも➡ 166 00:19:18,891 --> 00:19:23,596 まひろが もう少し大人になれば分かるわ きっと。 167 00:19:25,231 --> 00:19:28,534 さあ もう寝なさい。 168 00:19:52,925 --> 00:19:58,097 正月 下級貴族たちの 運命を左右する➡ 169 00:19:58,097 --> 00:20:00,900 除目が行われる。 170 00:20:03,903 --> 00:20:12,611 除目とは 天皇 大臣 参議以上の 公卿によって行われる人事の会議である。 171 00:20:12,611 --> 00:20:18,484 事前に 希望する官職と 自分を売り込む申し文を提出。 172 00:20:18,484 --> 00:20:25,958 公卿の審議を経て 天皇が承認すると 官職を得られるのだ。 173 00:20:25,958 --> 00:20:28,861 (円融天皇)うん。 174 00:20:28,861 --> 00:20:31,163 うん。 175 00:20:34,300 --> 00:20:37,970 (藤原文範)「私 藤原為時は➡ 176 00:20:37,970 --> 00:20:43,642 祖父が 中納言まで登った 名門であるにもかかわらず➡ 177 00:20:43,642 --> 00:20:49,815 不遇の身です。 播磨権少掾を 真面目に勤め上げましたが➡ 178 00:20:49,815 --> 00:20:55,621 今は無官にて 妻と幼き子2人を 食べさせてゆくのも➡ 179 00:20:55,621 --> 00:20:58,324 困難な暮らしでございます。➡ 180 00:20:58,324 --> 00:21:06,065 昨今の式部省では 学識の乏しい者が 重要な位についておりますが➡ 181 00:21:06,065 --> 00:21:13,773 大学で首席を修めた私のような者こそ 式部省でお役に立つはず…」。 182 00:21:13,773 --> 00:21:19,278 学識の乏しい者が 重要な位についておるとは➡ 183 00:21:19,278 --> 00:21:23,582 朕の決定に不服があるということか。 184 00:21:29,288 --> 00:21:35,594 この年も 為時の官職は決まらなかった。 185 00:21:41,634 --> 00:21:43,936 おいで。 186 00:21:45,504 --> 00:21:47,506 それは 何? 187 00:21:47,506 --> 00:21:50,976 「史記」の「本紀」だ。 188 00:21:50,976 --> 00:21:55,314 ここには 偉大なる秦の始皇帝が亡くなったあと➡ 189 00:21:55,314 --> 00:21:58,317 新しい皇帝を操って➡ 190 00:21:58,317 --> 00:22:02,922 権力をほしいままにした男の話が 書かれている。 191 00:22:02,922 --> 00:22:06,592 怖いけど 面白そう! 192 00:22:06,592 --> 00:22:14,466 お前は 書物が好きだな。 はい。 父上 読んでください。おう。 193 00:22:14,466 --> 00:22:17,469 太郎も来なさい。 194 00:22:21,607 --> 00:22:26,312 お前が 男子であったらよかったのにな…。 195 00:22:28,480 --> 00:22:34,787 「八月己亥 趙高 乱を為さんと欲す。➡ 196 00:22:34,787 --> 00:22:40,659 群臣の聴かざらんことを恐れ 乃ち先づ験を設け➡ 197 00:22:40,659 --> 00:22:45,297 鹿を持ちて二世に献じて曰く➡ 198 00:22:45,297 --> 00:22:48,634 馬なりと。➡ 199 00:22:48,634 --> 00:22:54,306 二世笑ひて曰く 丞相誤れるか。➡ 200 00:22:54,306 --> 00:22:57,109 鹿を謂いて馬と為すと」。 201 00:23:04,917 --> 00:23:09,255 「常に雪に映して書を読む。➡ 202 00:23:09,255 --> 00:23:14,393 少より清介にして 交遊雑わらず。➡ 203 00:23:14,393 --> 00:23:18,264 後に御史大夫に至るなり。➡ 204 00:23:18,264 --> 00:23:23,936 宋略 車胤 字は武子」。 205 00:23:23,936 --> 00:23:33,646 ♬~ 206 00:23:33,646 --> 00:23:39,285 ただいま。 お帰りなさい。 207 00:23:39,285 --> 00:23:43,589 その子も おなかを すかせているのね。 208 00:23:45,157 --> 00:23:48,160 もう餌がないので…。 209 00:23:53,299 --> 00:23:58,137 いっそのこと 外に放してやったらどうかしら? 210 00:23:58,137 --> 00:24:00,572 外には 餌がいっぱいあるでしょ。 211 00:24:00,572 --> 00:24:06,245 一度飼われた鳥は 外の世界では生きられないのよ。 212 00:24:06,245 --> 00:24:11,550 だから 最期まで 守ってやらなければならないの。 213 00:24:17,256 --> 00:24:20,926 もっともっと仕立物に精を出さねば。 214 00:24:20,926 --> 00:24:22,928 お方様…。 215 00:24:24,596 --> 00:24:28,934 実は 親戚の家で 男手が入り用になりまして…。 216 00:24:28,934 --> 00:24:32,404 えっ お前まで出ていってしまうの? 217 00:24:32,404 --> 00:24:35,107 申し訳ございませぬ。 218 00:24:35,107 --> 00:24:37,142 (ちやは)顔上げなさい。➡ 219 00:24:37,142 --> 00:24:41,447 今まで よう勤めてくれました。 220 00:24:45,284 --> 00:24:49,955 為時一家が 困窮を極める この年の春➡ 221 00:24:49,955 --> 00:24:57,663 関白 藤原頼忠の娘 遵子が 円融天皇に入内。 222 00:24:59,631 --> 00:25:08,640 続いて 秋の初め 大納言 藤原兼家の娘 詮子も入内した。 223 00:25:10,275 --> 00:25:17,082 そして これを機に 兼家は 右大臣に昇進した。 224 00:25:32,531 --> 00:25:35,234 (円融天皇)よう参った。 225 00:25:39,938 --> 00:25:42,941 今日は 暑かったのう。 226 00:25:45,611 --> 00:25:48,280 仲よくやってまいろう。 227 00:25:48,280 --> 00:25:52,618 もったいないお言葉 痛み入ります。 228 00:25:52,618 --> 00:25:55,287 そのように気張らずともよい。 229 00:25:55,287 --> 00:26:02,561 私こそ お上のために この命 ささげ奉ります。 230 00:26:02,561 --> 00:26:11,904 フッ… ハハハハ… 大仰なところが 父親によう似ておる。 231 00:26:11,904 --> 00:26:20,212 この夜 安倍晴明の館に 雷が落ちた。 232 00:26:24,249 --> 00:26:27,586 (須麻流)予言された凶事とは このことでございますか? 233 00:26:27,586 --> 00:26:33,892 いや… これからだ。 234 00:26:37,262 --> 00:26:39,264 (一同)恐ろしや 恐ろしや。 235 00:26:39,264 --> 00:26:43,402 こたびの入内は凶…。 でも お上は 詮子様に夢中だわよ。 236 00:26:43,402 --> 00:26:45,771 お渡りが過ぎるものね。 お渡りが過ぎるのは➡ 237 00:26:45,771 --> 00:26:48,807 詮子様がやり手なのよ。 238 00:26:48,807 --> 00:26:55,280 (道隆)詮子様の入内が不吉であると 内裏のすずめどもが騒いでおりまする。➡ 239 00:26:55,280 --> 00:27:01,553 よりにもよって 入内の日に 安倍晴明の館に 雷が落ちるとは…。 240 00:27:01,553 --> 00:27:05,224 (兼家)慶事の折の雨風は 吉兆じゃ。 241 00:27:05,224 --> 00:27:09,094 詮子の入内は 吉である。 242 00:27:09,094 --> 00:27:11,096 は…? 243 00:27:11,096 --> 00:27:16,568 そのように うわさを流せ。 え…。 244 00:27:16,568 --> 00:27:20,906 世の流れは 己で作るのだ! 245 00:27:20,906 --> 00:27:22,841 はっ。 246 00:27:22,841 --> 00:27:27,246 頭を使え。 肝を据えよ。 247 00:27:27,246 --> 00:27:29,581 そなたは 我が嫡男ぞ。 248 00:27:29,581 --> 00:27:31,884 はは~。 249 00:27:38,590 --> 00:27:40,893 ああ…。 250 00:27:49,601 --> 00:27:56,909 (時姫)道兼 一休みしてはいかが? 251 00:28:01,547 --> 00:28:05,250 三郎 お前もいらっしゃい。 252 00:28:06,885 --> 00:28:08,887 (時姫)はい。 253 00:28:14,760 --> 00:28:19,231 詮子は どうしておるじゃろうか…。 254 00:28:19,231 --> 00:28:22,568 上首尾のようです。 何だと? 255 00:28:22,568 --> 00:28:25,904 姉上から 先ほど 文が届きました。 256 00:28:25,904 --> 00:28:29,241 お上はお優しく お美しくおわしますと。 257 00:28:29,241 --> 00:28:33,111 それは よかった。 258 00:28:33,111 --> 00:28:38,250 大切にしていただけておるのじゃな。 259 00:28:38,250 --> 00:28:43,922 されど 我が娘ながら もはや 雲の上…。 260 00:28:43,922 --> 00:28:47,593 やはり 寂しいのう…。 261 00:28:47,593 --> 00:28:52,264 父上と兄上は 何を話しておられるのですか。 262 00:28:52,264 --> 00:28:55,601 なぜ 私は 呼ばれないのでしょう 母上。 263 00:28:55,601 --> 00:29:00,205 道隆は 妻も子もあり 一人前じゃ。 264 00:29:00,205 --> 00:29:04,710 そなたにも 早くよい妻を見つけねばのう。 265 00:29:04,710 --> 00:29:07,212 意中の者はおらぬのか? 266 00:29:07,212 --> 00:29:09,915 そのような者はおりません。 267 00:29:11,550 --> 00:29:16,221 道隆は 妻を自分で見つけてまいったのに➡ 268 00:29:16,221 --> 00:29:20,559 道兼は頼りないのう。 フフ…。 269 00:29:20,559 --> 00:29:22,594 何がおかしい。 270 00:29:22,594 --> 00:29:24,730 おかしくはございませぬ。 271 00:29:24,730 --> 00:29:26,765 笑ったではないか 今! 272 00:29:26,765 --> 00:29:31,236 来い! (時姫)おやめなさい 道兼。 273 00:29:31,236 --> 00:29:34,139 道兼! 274 00:29:34,139 --> 00:29:37,442 うっ! うっ! う~っ! 275 00:29:39,111 --> 00:29:41,113 (時姫)おやめなさい! 276 00:29:43,949 --> 00:29:46,385 なんということを…。 277 00:29:46,385 --> 00:29:50,255 母上に免じて 今日は このくらいにしてやる。 278 00:29:50,255 --> 00:29:55,127 近頃の道兼には 手がつけられませぬ。 279 00:29:55,127 --> 00:29:59,264 なぜ あのように いらだっておるのでございましょう。 280 00:29:59,264 --> 00:30:06,938 嫡男 道隆を 汚れなき者にしておくために 泥をかぶる者がおらねばならぬ。 281 00:30:06,938 --> 00:30:12,277 そういう時は 道兼が役に立つ。 282 00:30:12,277 --> 00:30:15,947 そのような恐ろしいお考え…。 283 00:30:15,947 --> 00:30:22,621 無論 道隆も道兼も三郎も 我らの大切な子じゃ。 284 00:30:22,621 --> 00:30:26,491 道隆は 押し出しもよく 真面目であるし➡ 285 00:30:26,491 --> 00:30:30,495 道兼は 乱暴者だが 猪突猛進でよい。 286 00:30:30,495 --> 00:30:39,638 三郎は ボ~ッとして やる気がないが 物事のあらましが見えておる。 287 00:30:39,638 --> 00:30:46,344 そなたの産んだ3兄弟は 皆 それぞれによい。 うむ。 288 00:30:47,979 --> 00:30:50,649 百舌彦。 (百舌彦)ああ… はい。 289 00:30:50,649 --> 00:30:52,984 今日は 散楽の日であろう。 290 00:30:52,984 --> 00:30:56,655 この前 続きは 戌の日の午の刻と言っておった。 291 00:30:56,655 --> 00:31:00,258 若君 あれは もう見ない方がいいです。 292 00:31:00,258 --> 00:31:02,928 藤原の悪口ですから。 293 00:31:02,928 --> 00:31:09,634 そこが面白いのだ。 もう… 勘弁してくださいよ。 294 00:31:19,945 --> 00:31:23,815 散楽とは 芸能の一つである。 295 00:31:23,815 --> 00:31:30,956 ここでは 強欲な藤原氏をからかう演目が 評判を呼んでいた。 296 00:31:30,956 --> 00:31:36,628 (兼太)コウメイよ これで とどめだ! 297 00:31:36,628 --> 00:31:40,499 や~っ! 298 00:31:40,499 --> 00:31:42,501 (コウメイ)ああ…。 299 00:31:42,501 --> 00:31:47,272 (兼次)これで 我々 トウの一族を 脅かすものはなくなった。 300 00:31:47,272 --> 00:31:51,977 (笑い声) 301 00:31:51,977 --> 00:31:54,646 (兼三)あっ! 302 00:31:54,646 --> 00:31:59,518 (兼太)兼三 いかがした! 分かりませぬ~。 303 00:31:59,518 --> 00:32:03,922 ああ~ ああ~。 304 00:32:03,922 --> 00:32:14,266 ♬~ 305 00:32:14,266 --> 00:32:20,138 この恨み 晴らさずにおくものか! 306 00:32:20,138 --> 00:32:23,608 (兼太)その声は コウメイのおとど! 307 00:32:23,608 --> 00:32:30,282 ♬~ 308 00:32:30,282 --> 00:32:35,287 (一同)お~! お~! 309 00:32:38,957 --> 00:32:55,774 (兼三)ああ… あっ ああ! 兼太の兄上! ああ… 兼次の兄上! 310 00:32:57,642 --> 00:33:00,946 うわあ~っ! 311 00:33:04,916 --> 00:33:14,926 続きは 辰の日の午の刻! 312 00:33:14,926 --> 00:33:18,597 お楽しみに! 313 00:33:18,597 --> 00:33:20,532 辰の日にも来ような。 314 00:33:20,532 --> 00:33:23,101 ありがとうございます。 ありがとうございます。➡ 315 00:33:23,101 --> 00:33:26,605 ありがとうございます。 ありがとうございます。 316 00:33:26,605 --> 00:33:30,909 おうち きれいにしようね。 317 00:33:45,957 --> 00:34:20,659 ♬~ 318 00:34:25,597 --> 00:34:27,899 いかがした? 319 00:34:32,270 --> 00:34:37,142 鳥が逃げてしまったの 大切に飼っていた鳥が。 320 00:34:37,142 --> 00:34:40,011 鳥を鳥籠で飼うのが間違いだ。 321 00:34:40,011 --> 00:34:42,614 自在に空を飛んでこそ鳥だ。 322 00:34:42,614 --> 00:34:47,953 でも 一たび 人に飼われた鳥は 外では生きられないのよ。 323 00:34:47,953 --> 00:34:54,292 それでも逃げたのは 逃げたかったのだろう。 324 00:34:54,292 --> 00:34:56,995 諦めろ。 325 00:34:59,631 --> 00:35:03,335 あ… 泣くな。 326 00:35:06,438 --> 00:35:10,141 よし 俺が笑わせてやる。 327 00:35:14,913 --> 00:35:21,219 俺はな 足で字が書けるんだ。 328 00:35:24,923 --> 00:35:27,258 痛そう…。 329 00:35:27,258 --> 00:35:30,962 平気だ。 よっ。 330 00:35:32,931 --> 00:35:36,635 よいしょ… よっ。 331 00:35:40,805 --> 00:35:42,941 えいっ! 332 00:35:42,941 --> 00:35:47,112 三郎? 俺の名前だ。 333 00:35:47,112 --> 00:35:50,615 名前より 漢文を書いて。 334 00:35:57,622 --> 00:36:12,570 ♬~ 335 00:36:12,570 --> 00:36:14,506 「王戎簡要」。 336 00:36:14,506 --> 00:36:18,510 「蒙求」の冒頭よ。 続きを書いて。 337 00:36:21,913 --> 00:36:27,919 俺は 貴族の子ではないから 名前が書ければいいんだ。 338 00:36:29,587 --> 00:36:37,462 されど お前は女子なのに なぜ漢文が書けるのだ? 339 00:36:37,462 --> 00:36:42,600 私は 帝の血を引く姫だから。 340 00:36:42,600 --> 00:36:47,272 母上は 宮中の女房として 働いていたのだけど➡ 341 00:36:47,272 --> 00:36:51,609 お上のお手がついて 私をみごもったの。 342 00:36:51,609 --> 00:36:54,279 それで 宮中を追われたの。 343 00:36:54,279 --> 00:36:57,949 なぜ追われたんだ? 身分が低いからよ。 344 00:36:57,949 --> 00:37:04,222 母上は ご寵愛を受けている頃 お上に漢詩や漢文を教わったのですって。 345 00:37:04,222 --> 00:37:06,157 へえ~…。 346 00:37:06,157 --> 00:37:12,564 だから 三郎 私をお前と呼ぶことは無礼なのよ。 347 00:37:12,564 --> 00:37:15,066 申し訳ございませぬ。 348 00:37:15,066 --> 00:37:21,573 私の名は まひろ。 まひろ姫 お許しを。 349 00:37:21,573 --> 00:37:24,242 姫であることは 誰にも ないしょよ。 350 00:37:24,242 --> 00:37:29,247 おわびに これをどうぞ。 351 00:37:33,585 --> 00:37:36,488 毒では ございませぬ。 352 00:37:36,488 --> 00:37:50,602 ♬~ 353 00:37:50,602 --> 00:37:53,404 三郎は 貴族の子ではないのに➡ 354 00:37:53,404 --> 00:37:57,108 なぜ こんなおいしいお菓子を 持っているのだ? 355 00:37:57,108 --> 00:37:59,611 あ… それは…。 356 00:37:59,611 --> 00:38:02,213 あっ いらっしゃった! いらっしゃった! 357 00:38:02,213 --> 00:38:05,884 辰の日の未の刻に また ここに おいでくださいませ。 358 00:38:05,884 --> 00:38:09,220 また菓子を持ってまいります。 359 00:38:09,220 --> 00:38:12,056 帰りますよ。 百舌彦。はい。 360 00:38:12,056 --> 00:38:14,559 随分 遅かったな。 361 00:38:17,862 --> 00:38:21,566 (円融天皇) 火事になった晴明の館は どうなっておる。 362 00:38:21,566 --> 00:38:26,905 (藤原頼忠・小声で)修繕は 順調に進んでいると聞いております。 363 00:38:26,905 --> 00:38:30,742 (源 雅信) 火消しに当たった者に 手負いが出た由➡ 364 00:38:30,742 --> 00:38:32,777 手当を出しては いかがでございましょうか。 365 00:38:32,777 --> 00:38:38,249 飢饉や地震でもあるまいに そこまで面倒を見るのは無用と存じます。 366 00:38:38,249 --> 00:38:46,124 そもそも 天災を予見すべき晴明が館に 何故 雷が落ちるのでしょうか。 367 00:38:46,124 --> 00:38:52,130 災いを一身に引き受けて 都を救ったのではないのか。 368 00:38:53,798 --> 00:38:59,938 手負いの者には 直ちに施しを行うがよい。 369 00:38:59,938 --> 00:39:04,709 晴明にも 引き続き励んでもらわねばならぬ。 370 00:39:04,709 --> 00:39:06,744 (3人)はは~。 371 00:39:06,744 --> 00:39:13,218 関白 これより遵子のところに参る。 そなたも参れ。 372 00:39:13,218 --> 00:39:19,924 父の顔を見たがっておった。 (小声で)はっ 喜んで。 373 00:39:22,894 --> 00:39:25,230 聞こえぬ。 374 00:39:25,230 --> 00:39:29,100 お上は 今宵 遵子様にお渡りよ。 375 00:39:29,100 --> 00:39:32,103 お上も あれこれお考えなのよ。 何を? 376 00:39:32,103 --> 00:39:37,575 関白様と右大臣様のあれこれよ。 閨も政の場所なのだって。 377 00:39:37,575 --> 00:39:39,911 詮子様 かわいそう。 いいんじゃないの?➡ 378 00:39:39,911 --> 00:39:42,914 宮中で一人勝ちは許されないもの。 379 00:40:03,601 --> 00:40:08,273 このところ 漢詩の会に行く いとまもなかったゆえ➡ 380 00:40:08,273 --> 00:40:10,208 久しいのう。 381 00:40:10,208 --> 00:40:13,945 右大臣ご就任のお祝いにも 参上いたしませず➡ 382 00:40:13,945 --> 00:40:17,615 ふらちの儀は どうかお許しくださいませ。 383 00:40:17,615 --> 00:40:24,956 そなたこそ 正月の除目で 役目を得られず 残念であったのう。 384 00:40:24,956 --> 00:40:28,626 無念極まりないことでございました。 385 00:40:28,626 --> 00:40:34,966 その方の申し文は 上々の作であったと いたく評判であった。 386 00:40:34,966 --> 00:40:40,438 その方 東宮 師貞親王様の 読書始におったであろう。 387 00:40:40,438 --> 00:40:42,373 はっ。 388 00:40:42,373 --> 00:40:47,979 (兼家)東宮様とも 顔見知りであるなら 正式な官職ではないが➡ 389 00:40:47,979 --> 00:40:54,652 東宮様に 漢文の指南をしてみてはどうだ? 390 00:40:54,652 --> 00:41:00,458 あ… そのようなことが かないまするならば 喜んで。 391 00:41:00,458 --> 00:41:07,265 (兼家)東宮様は 一風変わったお人柄で 誰もそういう役目を引き受けたがらない。 392 00:41:07,265 --> 00:41:12,070 そちは 漢文では 無双の学者であるだけでなく➡ 393 00:41:12,070 --> 00:41:17,608 辛抱強く穏やかゆえ 適任だと思う。 394 00:41:17,608 --> 00:41:20,945 禄は わしが出そう。 395 00:41:20,945 --> 00:41:25,616 う… 右大臣様じきじきのお雇い…。 396 00:41:25,616 --> 00:41:27,552 不満か? 397 00:41:27,552 --> 00:41:29,954 とんでもないことでございます! 398 00:41:29,954 --> 00:41:35,293 ご恩は 一生 忘れませぬ。 399 00:41:35,293 --> 00:41:41,632 そうか そうか…。 それなら 一つ頼んでもよいかな。 400 00:41:41,632 --> 00:41:44,302 何なりと。 401 00:41:44,302 --> 00:41:57,315 ♬~ 402 00:41:57,315 --> 00:42:05,123 東宮様のご様子を つぶさに知らせてほしい。は…。 403 00:42:05,123 --> 00:42:07,925 どのようなことでもよい。 404 00:42:07,925 --> 00:42:11,596 いずれ 帝となられるお方だ。 405 00:42:11,596 --> 00:42:17,935 そのお考え ご気質なぞ 知っておかねばならぬでのう。 406 00:42:17,935 --> 00:42:22,273 承知つかまつりました。 407 00:42:22,273 --> 00:42:27,612 明日 春宮坊に話をつけておく。 408 00:42:27,612 --> 00:42:40,625 ♬~ 409 00:42:40,625 --> 00:42:46,297 それは ご容赦くださいませ 道兼様! 410 00:42:46,297 --> 00:42:48,100 うっ…。 411 00:42:51,969 --> 00:42:56,140 (為時)道兼様…。 412 00:42:56,140 --> 00:42:59,177 はい。 (ぬい)ありがとう。 413 00:42:59,177 --> 00:43:01,913 お菓子を忘れた? 414 00:43:01,913 --> 00:43:06,617 申し訳ございませぬ。 許せぬ。 415 00:43:08,252 --> 00:43:11,923 まことを申せば 忘れたわけではございませぬ。 416 00:43:11,923 --> 00:43:13,858 持ってはきたのですが➡ 417 00:43:13,858 --> 00:43:16,260 散楽を見ている間に 落としてしまったようで。 418 00:43:16,260 --> 00:43:18,196 お許しを。 419 00:43:18,196 --> 00:43:20,131 バカ。 バカ? 420 00:43:20,131 --> 00:43:22,133 バカとは 何でございますか? 421 00:43:22,133 --> 00:43:24,936 偽りを信じる愚かな者のことだ。 422 00:43:24,936 --> 00:43:27,839 聞いたことがございませぬが…。 423 00:43:27,839 --> 00:43:32,810 お前は何も知らぬゆえ 致し方ない。 教えてやろう。 424 00:43:32,810 --> 00:43:37,949 唐の国の皇帝に 一番偉い大臣が鹿を献上して➡ 425 00:43:37,949 --> 00:43:40,284 「馬でございます」と言った。 426 00:43:40,284 --> 00:43:44,956 皇帝は けげんに思い 「これは 鹿ではないか」と問うと➡ 427 00:43:44,956 --> 00:43:48,826 ほかの大臣たちも 皆 「馬でございます」と言った。 428 00:43:48,826 --> 00:43:50,828 なぜでございますか? 429 00:43:50,828 --> 00:43:53,297 最後まで聞け。 はい。 430 00:43:53,297 --> 00:43:55,633 でも 一人だけ➡ 431 00:43:55,633 --> 00:43:59,971 「確かに これは鹿でございます」と 本当のことを言う大臣がいた。 432 00:43:59,971 --> 00:44:06,577 でも その人は 本当のことを言ったのに 殺されてしまったという話だ。 433 00:44:06,577 --> 00:44:10,448 なんともひどい国でございますね。 434 00:44:10,448 --> 00:44:15,253 それゆえに うそを言う者を重宝している愚か者を➡ 435 00:44:15,253 --> 00:44:17,188 馬鹿というのだ。 436 00:44:17,188 --> 00:44:26,264 はあ~… さすが お上の血を引くお姫様 博識でおられます。 437 00:44:26,264 --> 00:44:30,134 三郎のバカ! バカ バカ バカ! 438 00:44:30,134 --> 00:44:33,938 姫様には バカに見えるかもしれませぬが➡ 439 00:44:33,938 --> 00:44:37,241 お菓子は 本当に落としてしまったのです。 440 00:44:39,810 --> 00:44:46,517 もういい。 私もバカだから。 は? 441 00:44:46,517 --> 00:44:53,624 私が帝の血を引く姫というのは 偽りなの。 へ? 442 00:44:53,624 --> 00:44:57,495 何で そんなこと言ったのか よく分からないけど…➡ 443 00:44:57,495 --> 00:45:00,898 ごめんなさい。 444 00:45:00,898 --> 00:45:02,833 怒った? 445 00:45:02,833 --> 00:45:06,237 俺は 怒るのは嫌いだから…。 446 00:45:06,237 --> 00:45:10,908 三郎は おかしな子ね。 お前こそ おかしな子ではないか。 447 00:45:10,908 --> 00:45:15,780 あっ 戻った。 ん?しゃべり方。 448 00:45:15,780 --> 00:45:19,083 訳が分からん。 449 00:45:21,552 --> 00:45:23,854 帰るわ。 450 00:45:25,456 --> 00:45:29,594 次は 6日後の同じ刻に ここに来る。 451 00:45:29,594 --> 00:45:34,298 今度こそ お菓子をやるから お前も また来い。 452 00:45:44,609 --> 00:45:51,482 まひろ 必ず来い! バカでもよい 待っておる。 453 00:45:51,482 --> 00:46:07,198 ♬~ 454 00:46:12,770 --> 00:46:17,074 カビ臭いのう。 お許しください。 455 00:46:17,074 --> 00:46:22,246 昨夜 カビは拭き取り 香も たいたのですけど…。 456 00:46:22,246 --> 00:46:24,582 母上を叱らないで。 457 00:46:24,582 --> 00:46:27,251 カビは 母上のせいではありませぬ。 458 00:46:27,251 --> 00:46:29,186 雨漏りがいけないのです。 459 00:46:29,186 --> 00:46:32,590 まひろ 何を怒っているの? 460 00:46:32,590 --> 00:46:34,525 父上のめでたい日に。 461 00:46:34,525 --> 00:46:39,930 父上 こたび お役目を頂けたのは 毎日 母上が願かけをなさった…。 462 00:46:39,930 --> 00:46:42,233 お黙りなさい。 463 00:46:46,804 --> 00:46:53,277 こたびのことは 右大臣 藤原兼家様のおかげなのだ。 464 00:46:53,277 --> 00:47:00,084 お前たちも 右大臣様の東三条殿に 足を向けて寝てはならぬぞ。 465 00:47:00,084 --> 00:47:03,554 はい。 (3人)はい。 466 00:47:03,554 --> 00:47:07,558 では 行ってまいる。 467 00:47:09,894 --> 00:47:11,829 まひろ。 468 00:47:11,829 --> 00:47:15,766 明日は 大安の日。 お礼参りに行きましょう。 469 00:47:15,766 --> 00:47:18,469 明日…。 470 00:47:24,442 --> 00:47:33,150 (ニワトリの鳴き声) 471 00:47:37,588 --> 00:47:40,491 夜中に仕事をしておりますので➡ 472 00:47:40,491 --> 00:47:45,262 この時分のお呼び出しは ご勘弁願いたいものでございます。 473 00:47:45,262 --> 00:47:47,932 すまぬ。 そなたを呼んだのは…。 474 00:47:47,932 --> 00:47:53,804 関白様の一の姫 遵子様のことでございますか? 475 00:47:53,804 --> 00:47:57,108 (兼家)分かっておるなら 話は早い。 476 00:48:00,511 --> 00:48:06,217 お子ができぬようにいたせ。 褒美は 望みのままじゃ。 477 00:48:06,217 --> 00:48:09,720 ん~…。 478 00:48:09,720 --> 00:48:12,523 やるのか やらぬのか。 479 00:48:16,894 --> 00:48:19,597 承りまする。 480 00:48:21,565 --> 00:48:26,904 (為時)「君子 重からざれば則ち威あらず」。 481 00:48:26,904 --> 00:48:30,574 東宮様 もう一度 参りますよ。 482 00:48:30,574 --> 00:48:34,245 「子曰く 君子 重からざれ…」。 483 00:48:34,245 --> 00:48:37,581 (師貞親王)おっ! 484 00:48:37,581 --> 00:48:41,252 (為時)「則ち威あらず。➡ 485 00:48:41,252 --> 00:48:46,123 学べば則ち固ならず。➡ 486 00:48:46,123 --> 00:48:54,598 子曰く 君子 重からざれば則ち威あらず。 学べば…」。 487 00:48:54,598 --> 00:48:59,470 東宮とは 次に天皇になる者である。 488 00:48:59,470 --> 00:49:04,875 この幼き東宮は 後に花山天皇となって➡ 489 00:49:04,875 --> 00:49:10,881 藤原兼家一家と 深い因縁を持つことになる。 490 00:49:24,895 --> 00:49:30,768 この石段を 何百回も上がったかいがありました。 491 00:49:30,768 --> 00:49:34,905 (乙丸)まひろ様は 何を急いでおいでなのでしょう。 492 00:49:34,905 --> 00:49:37,908 (ちやは)そうねえ…。 493 00:49:44,582 --> 00:49:48,385 行きましょう。 494 00:49:48,385 --> 00:49:52,590 うっ! うっ! 495 00:49:52,590 --> 00:49:55,292 (時姫)何をしておる! 496 00:49:58,262 --> 00:50:03,934 こいつが 出過ぎたことを言うので 叱っておったのです。 497 00:50:03,934 --> 00:50:06,604 出過ぎたこととは何じゃ。 498 00:50:06,604 --> 00:50:10,474 何でもよろしいではないですか。 499 00:50:10,474 --> 00:50:15,179 三郎 何があったのか申してみよ。 500 00:50:20,150 --> 00:50:23,153 意に沿わぬことがあったからとて➡ 501 00:50:23,153 --> 00:50:30,628 弱き者に乱暴を働くは 心小さき者のすることと申したら➡ 502 00:50:30,628 --> 00:50:36,967 兄上が…。 それは まことか? 503 00:50:36,967 --> 00:50:43,307 身分の低き者を殴って 私の心が治まれば それでよろしいと思います。 504 00:50:43,307 --> 00:50:45,809 身分の低き者は そのためにおるのではないですか! 505 00:50:45,809 --> 00:50:48,012 (時姫)お黙りなさい! 506 00:50:50,314 --> 00:50:55,619 なんということを… 道兼! 507 00:51:01,592 --> 00:51:08,599 母上まで たらし込んで お前は 恐ろしいやつだ。 508 00:51:20,277 --> 00:51:25,149 (ちやは) まひろ 今日のあなたは おかしいわよ。➡ 509 00:51:25,149 --> 00:51:29,286 女子が そのように走ってはいけません。 510 00:51:29,286 --> 00:51:32,289 母上は 乙丸と ゆっくりお帰りください。 511 00:51:32,289 --> 00:51:35,960 まひろは 先に参ります。 512 00:51:35,960 --> 00:51:40,264 何をそんなに急いでいるの? 513 00:51:43,834 --> 00:51:57,982 ♬~ 514 00:51:57,982 --> 00:51:59,917 (いななき) 515 00:51:59,917 --> 00:52:03,921 あっ! ⚟道兼様! 516 00:52:10,928 --> 00:52:13,931 おわびせい。 517 00:52:17,601 --> 00:52:21,271 何を… 何をなさるのです! 518 00:52:21,271 --> 00:52:25,142 小さな子供ではございませぬか。 519 00:52:25,142 --> 00:52:29,146 まひろ あなたも わびなさい。 520 00:52:29,146 --> 00:52:33,617 お許しを…。 521 00:52:33,617 --> 00:52:36,320 さあ…。 522 00:52:42,292 --> 00:52:47,998 道兼様を黙らせるとは 肝の据わった女子でございます。 523 00:52:55,305 --> 00:52:58,008 道兼様! 524 00:53:46,957 --> 00:53:50,260 さあさあ さあさあさあ…。 525 00:53:58,569 --> 00:54:14,885 ♬~ 526 00:54:17,588 --> 00:54:37,908 (太郎の泣き声) 527 00:54:37,908 --> 00:54:41,912 ミチカネ…。 528 00:54:45,949 --> 00:54:49,253 ミチカネ…。 529 00:54:59,963 --> 00:55:16,246 (太郎の泣き声) 530 00:55:16,246 --> 00:55:25,255 ちやはは 急な病で死んだことといたす。 531 00:55:25,255 --> 00:55:31,595 その旨 心得よ。 532 00:55:31,595 --> 00:55:33,931 母上は 殺されたのです。 533 00:55:33,931 --> 00:55:35,866 ミチカネが殺したの! 534 00:55:35,866 --> 00:55:40,103 乙丸も見ていたわ。 乙丸を呼んで 乙丸! 535 00:55:40,103 --> 00:55:43,607 そのことは忘れろ! え? 536 00:55:45,909 --> 00:55:51,915 お前や太郎のためだ。 537 00:55:54,284 --> 00:55:56,787 父の言うとおりにせよ。 538 00:55:56,787 --> 00:56:01,558 なぜ! 母上は殺されたのよ! 父上! 539 00:56:01,558 --> 00:56:03,493 なぜ! 540 00:56:03,493 --> 00:56:08,232 ミチカネを捕まえて! 人殺しを捕まえて! 541 00:56:08,232 --> 00:56:13,904 それは できない。 なぜ なぜ なぜ…。 542 00:56:13,904 --> 00:56:17,774 (泣き声) 543 00:56:17,774 --> 00:56:21,578 お前も 忘れるのだ! 544 00:56:21,578 --> 00:56:29,753 (泣き声) 545 00:56:29,753 --> 00:56:31,688 まひろ。 546 00:56:31,688 --> 00:56:38,929 ♬~ 547 00:56:38,929 --> 00:56:41,832 まひろ。 548 00:56:41,832 --> 00:57:19,903 ♬~ 549 00:57:19,903 --> 00:57:26,610 まひろという少女の 激動の運命が動き出した。 550 00:57:33,383 --> 00:57:37,087 三郎? 何年たっても忘れられないものだと…。 551 00:57:37,087 --> 00:57:39,122 わしの手も汚れたのだぞ。 552 00:57:39,122 --> 00:57:42,592 正直言って 右大臣様は好きではないが…。 姉上…。 553 00:57:42,592 --> 00:57:45,929 いろんな人の気持ちになって 歌や文を書く仕事。 554 00:57:45,929 --> 00:57:48,598 おかしきものにこそ…。 見張りをつける。 555 00:57:48,598 --> 00:57:51,501 縛られても 必ず縄を切って出ていきます。 556 00:57:51,501 --> 00:57:55,205 好きな人がいるなら いい歌を作ってあげるわ。