1 00:00:06,607 --> 00:00:11,278 筑前守 兼 大宰少弐であった宣孝が➡ 2 00:00:11,278 --> 00:00:15,949 4年ぶりに都に戻ってきた。 3 00:00:15,949 --> 00:00:20,420 (藤原為時) ああ… 変わった味だな 唐の酒は。 4 00:00:20,420 --> 00:00:22,356 (藤原宣孝)戦人の飲む酒だ。➡ 5 00:00:22,356 --> 00:00:27,194 我らは 戦を致さぬゆえ 口には合わぬが…。 6 00:00:27,194 --> 00:00:30,163 おかしなものも一興であろう? 7 00:00:30,163 --> 00:00:33,634 まひろも味わってみるか? (まひろ)はい。 8 00:00:33,634 --> 00:00:37,638 (為時)やめとけ。 (宣孝)何事も経験だ。 9 00:00:40,307 --> 00:00:43,310 頂きます。 10 00:00:49,650 --> 00:00:51,585 (宣孝)どうじゃ? 11 00:00:51,585 --> 00:00:53,987 カッといたしますね。 12 00:00:53,987 --> 00:00:57,858 まさに 戦の前に己を鼓舞する酒でございますね。 13 00:00:57,858 --> 00:00:59,860 そのとおりだ。 14 00:00:59,860 --> 00:01:04,264 まひろは 打てば響く よい女になったのう。 15 00:01:04,264 --> 00:01:09,603 年を重ねて 色香を増した。 お戯れを。 16 00:01:09,603 --> 00:01:13,407 そんなことより 宋の国のことを お聞かせくださいませ。 17 00:01:13,407 --> 00:01:17,277 博多の津には 宋の国の人が 商いに来ているのですか? 18 00:01:17,277 --> 00:01:21,615 ああ 商人も役人も来ておるぞ。 薬師もおる。 19 00:01:21,615 --> 00:01:24,952 宋には 科挙という制度があり➡ 20 00:01:24,952 --> 00:01:30,824 これに受かれば 身分が低くとも 政に加われるそうだ。 21 00:01:30,824 --> 00:01:32,826 まことでございますか? 22 00:01:32,826 --> 00:01:36,129 身分を超えて 機会が与えられる国があるなんて。 23 00:01:36,129 --> 00:01:39,166 行ってみとうございます。 行くのは難儀じゃが…➡ 24 00:01:39,166 --> 00:01:44,638 ああ 宋のものなら手に入るぞ。 25 00:01:44,638 --> 00:01:50,978 これは 宋の国の薬で 切り傷に驚くほど効く。 26 00:01:50,978 --> 00:01:53,013 大宰府では この薬で ボロもうけした。 27 00:01:53,013 --> 00:01:56,516 国司のうまみを味わい尽くしたわ。 28 00:01:58,652 --> 00:02:04,091 (宣孝)これは 唐物の紅だ。 美しゅうございますね。 29 00:02:04,091 --> 00:02:06,593 まひろのために買ってまいった。 30 00:02:08,261 --> 00:02:10,564 さしてみよ。 31 00:02:29,549 --> 00:02:31,485 よいではないか! 32 00:02:31,485 --> 00:02:35,956 ハハハ! 思い描いたとおりじゃ! ハハハハハ…。 33 00:02:35,956 --> 00:02:38,291 大宰府は 魚も うまいのであろう? 34 00:02:38,291 --> 00:02:45,632 玄界の海のイカ エビ タイが それは それは うまい。 35 00:02:45,632 --> 00:02:48,301 されど なま物は 持って帰れぬゆえなあ。 36 00:02:48,301 --> 00:02:50,637 ああ いや そのようなことを申したのではない。 37 00:02:50,637 --> 00:02:53,673 大宰府から宋までは どのくらい 時間が かかるのですか? 38 00:02:53,673 --> 00:02:59,146 海を渡って10日 それから 宋の都まで 陸路で ふたつきは かかるそうじゃ。 39 00:02:59,146 --> 00:03:01,114 遠いのですね…。 40 00:03:01,114 --> 00:03:05,252 行こうなどと考えるでないぞ。 伺っただけにございます。 41 00:03:05,252 --> 00:03:08,588 行くなら わしが 一緒に行ってやろう。 ついでに 商いもできるゆえ。 42 00:03:08,588 --> 00:03:11,925 やめてくれ その気になったら困る。 43 00:03:11,925 --> 00:03:14,828 心配性な父上。 44 00:03:14,828 --> 00:03:16,797 (笑い声) 45 00:03:16,797 --> 00:06:02,562 ♬~ 46 00:06:02,562 --> 00:06:07,901 (藤原道綱)関白様が身まかられて 早10日。 47 00:06:07,901 --> 00:06:12,772 帝は 何故 次の関白を お決めにならないのかなぁ。 48 00:06:12,772 --> 00:06:18,912 (平 惟仲)中宮様が 兄の伊周殿をと せがんでおられるに決まっておる。 49 00:06:18,912 --> 00:06:21,915 (藤原実資)出過ぎ者の中宮だ! 50 00:06:25,252 --> 00:06:28,922 (道綱)伊周様は 若すぎるよね。 51 00:06:28,922 --> 00:06:33,393 帝も若い 関白も若いでは…。 52 00:06:33,393 --> 00:06:37,097 (実資)しかり! 時には 的を射たことを言うではないか。 53 00:06:37,097 --> 00:06:40,133 時にはね。 若いだけではない。 54 00:06:40,133 --> 00:06:44,971 道兼殿は 帝の叔父だが 伊周殿は いとこにすぎぬ。➡ 55 00:06:44,971 --> 00:06:49,276 どう考えても 次の関白は 道兼殿になるが順当だ。 56 00:06:49,276 --> 00:06:56,616 好きではないがな。 全く好きではないが 関白は 道兼殿であるべきだ。 57 00:06:56,616 --> 00:07:03,323 (一条天皇) こたびは 右大臣 道兼を 関白といたす。 58 00:07:06,226 --> 00:07:11,564 (一条天皇)右大臣を差し置いて 内大臣を関白となせば➡ 59 00:07:11,564 --> 00:07:16,436 公卿らの不満が一気に高まるは必定。 60 00:07:16,436 --> 00:07:22,442 公卿らが 2つに割れることを 朕は望まぬ。 61 00:07:24,911 --> 00:07:28,915 すまぬ 伊周。 62 00:07:31,785 --> 00:07:36,923 (藤原伊周) お上がお決めあそばされたことに➡ 63 00:07:36,923 --> 00:07:39,259 誰が異を唱えましょうか。 64 00:07:39,259 --> 00:07:41,261 では…。 65 00:07:49,269 --> 00:08:00,547 ♬~ 66 00:08:00,547 --> 00:08:05,251 (伊周)これでは 亡き父上も納得されぬ! 67 00:08:06,886 --> 00:08:10,890 そなたは 何のために入内したのだ。 68 00:08:12,559 --> 00:08:18,898 (藤原定子)このところ お上は 夜も お休みになっておられませぬ。 69 00:08:18,898 --> 00:08:22,235 迷うからだ。 70 00:08:22,235 --> 00:08:24,571 私を選んでおればよいものを。 71 00:08:24,571 --> 00:08:30,243 兄上が 関白になるのが お上は 不安なのです。 72 00:08:30,243 --> 00:08:33,546 私に何の不安があると申される。 73 00:08:35,115 --> 00:08:41,254 もっと人望を得られませ。 人望? 74 00:08:41,254 --> 00:08:45,759 次の関白に ふさわしい人物だと 思われるために➡ 75 00:08:45,759 --> 00:08:48,962 精進していただきたく思います。 76 00:09:07,080 --> 00:09:09,783 (ききょう)中宮様…。 77 00:09:12,552 --> 00:09:16,222 私は どうしたらよいのでしょう…。 78 00:09:16,222 --> 00:09:24,230 帝も兄上も 私にとっては どちらも大切なお方なのに…。 79 00:09:37,510 --> 00:09:41,514 少し横におなりくださいませ。 80 00:09:45,251 --> 00:09:52,125 正二位 右大臣 藤原朝臣道兼をもって➡ 81 00:09:52,125 --> 00:09:55,595 萬機をあずかりもうさしむ。 82 00:09:55,595 --> 00:10:01,468 一条天皇は 道兼を関白とする詔を下した。 83 00:10:01,468 --> 00:10:07,607 道隆の死から 17日後のことだった。 84 00:10:07,607 --> 00:10:14,314 (藤原道兼)公任の屋敷で荒れていた俺を 救い上げてくれたお前のおかげだ。 85 00:10:15,949 --> 00:10:18,618 (藤原道長) そのようなこともございましたね。 86 00:10:18,618 --> 00:10:25,925 お前を右大臣にするゆえ これからも 俺の力になってくれ。 87 00:10:28,294 --> 00:10:34,968 救い小屋のこと 公の仕事としてください。 88 00:10:34,968 --> 00:10:37,871 もちろんだ。 89 00:10:37,871 --> 00:10:43,176 兄上なら よき政ができましょう。 90 00:10:46,980 --> 00:10:53,286 父上に もはや恨みはない。 91 00:10:57,323 --> 00:11:03,630 されど あの世の父上を驚かせるような 政をしたいものだ。 92 00:11:05,131 --> 00:11:11,271 まずは 諸国の租税を減免し 新規の荘園を停止しよう。 93 00:11:11,271 --> 00:11:14,607 兄上なら必ずや。 94 00:11:14,607 --> 00:11:18,945 では これで。 ああ。 95 00:11:18,945 --> 00:11:44,170 ♬~ 96 00:11:44,170 --> 00:11:52,879 この日 道兼は 関白就任の慶賀奏上の後 清涼殿に向かった。 97 00:12:04,924 --> 00:12:11,798 恐れ多くも 関白に拝されたる 鴻恩に謝しまつり➡ 98 00:12:11,798 --> 00:12:19,472 臣道兼 その務めに身命を賭して 当たる所存にござりまする。 99 00:12:19,472 --> 00:12:29,182 朕が意を奉じ 国家万民のため その力を尽くすべし。 100 00:13:32,145 --> 00:13:35,281 兄上 薬師を連れてまいりました。 101 00:13:35,281 --> 00:13:39,952 近づくな。 俺は 疫病だ。 102 00:13:39,952 --> 00:13:42,855 悲田院で見た者たちと同じである。 103 00:13:42,855 --> 00:13:46,426 ご無礼。 やめろ! 104 00:13:46,426 --> 00:13:53,299 お前が倒れれば 我が家は終わる。 二度と来るな。 105 00:13:53,299 --> 00:13:56,436 疫病でも治る者もおります。 106 00:13:56,436 --> 00:14:00,740 出ていけ! 早く。 107 00:14:00,740 --> 00:14:03,543 俺を苦しめるな。 108 00:14:08,247 --> 00:14:10,950 行け! 109 00:14:23,796 --> 00:14:48,621 (読経) 110 00:14:48,621 --> 00:14:59,966 俺は… 浄土に行こうとしておるのか? 111 00:14:59,966 --> 00:15:06,739 ハハ… ハハハ…。 112 00:15:06,739 --> 00:15:14,914 ぶざまな… こんな悪人が。 113 00:15:14,914 --> 00:15:31,931 ハハ… ハハ… ハハハハハハハ…。 114 00:15:31,931 --> 00:15:41,941 (せきこみ) 115 00:15:41,941 --> 00:15:50,616 ♬~ 116 00:15:50,616 --> 00:15:55,488 関白の慶賀奏上から7日➡ 117 00:15:55,488 --> 00:16:00,793 道兼は 35歳で世を去った。 118 00:16:12,872 --> 00:16:17,777 (藤原隆家)七日関白とは情けないな。 119 00:16:17,777 --> 00:16:20,580 よくぞ死んでくれたものだ。 120 00:16:20,580 --> 00:16:25,918 (高階貴子) 父上が お守りくださったのですよ。 121 00:16:25,918 --> 00:16:34,093 母上 私が関白になれば 我が家の隆盛は約束されたも同然。 122 00:16:34,093 --> 00:16:40,266 私には 跡を継がせる息子も 帝に入内させる娘もおりますゆえ➡ 123 00:16:40,266 --> 00:16:43,970 どうぞ ご安堵なさいませ。 124 00:17:21,874 --> 00:17:32,919 敵とはいえ これで よかったとは思えぬのう…。 125 00:17:32,919 --> 00:17:40,927 さぞや… 無念であったろう。 126 00:18:28,107 --> 00:18:40,119 あのお方の罪も無念も 全て天に昇って消えますように。 127 00:18:48,260 --> 00:19:00,539 〽 128 00:19:00,539 --> 00:19:05,411 道兼が死んでから 僅か ひとつきの間に➡ 129 00:19:05,411 --> 00:19:12,718 道長 伊周を除く大納言以上の公卿は 死に絶えた。 130 00:19:20,860 --> 00:19:23,863 (藤原詮子)遅いではないの。 131 00:19:29,902 --> 00:19:37,243 内裏での仕事が長引きまして 申し訳ございませぬ。 132 00:19:37,243 --> 00:19:41,914 (詮子)分かっていると思うけれど 次は お前よ。➡ 133 00:19:41,914 --> 00:19:45,785 私には務まらないとか言わないでおくれ。 134 00:19:45,785 --> 00:19:53,259 姉上… 私は 関白になりたいとは 思いませぬ。 135 00:19:53,259 --> 00:19:57,129 お前がならなければ 伊周になってしまうのよ。 136 00:19:57,129 --> 00:20:00,933 それが よいと存じます。 137 00:20:00,933 --> 00:20:08,607 (源 倫子)女院様 私たちは 今のままで十分なのでございます。 138 00:20:08,607 --> 00:20:14,780 そなたは黙っておれ! ご無礼いたしました。 139 00:20:14,780 --> 00:20:18,951 倫子の言うとおりでございます。 140 00:20:18,951 --> 00:20:24,623 帝は まだお若いながら 果断にしてお考えも深く➡ 141 00:20:24,623 --> 00:20:28,494 まこと ご聡明におわします。 142 00:20:28,494 --> 00:20:31,964 伊周が関白になったら 私たちは終わりよ。 143 00:20:31,964 --> 00:20:38,304 それでもよいと思うの? 道長は。 それも 世の流れかと…。 144 00:20:38,304 --> 00:20:40,606 うつけ者! 145 00:20:49,915 --> 00:20:57,656 実資殿は おいででないか…。 らしいな。 (藤原顕光)らしいとは? 146 00:20:57,656 --> 00:21:02,661 私の話なぞ 聞きたくないのであろう。 はあ…。 147 00:21:06,265 --> 00:21:09,602 ようこそ おいでくださった。 148 00:21:09,602 --> 00:21:16,275 志半ばにも達せず 病にて身まかりました 父 道隆は➡ 149 00:21:16,275 --> 00:21:24,784 皆様のご意見を聞き入れることの大切さを 繰り返し 私に語っておりました。➡ 150 00:21:24,784 --> 00:21:28,120 これよりは 己を強く持ち➡ 151 00:21:28,120 --> 00:21:32,625 父の遺志を継がねばと 胸に誓っております。 152 00:21:32,625 --> 00:21:39,799 おかげさまで 我が妹 中宮は 帝のご寵愛深く➡ 153 00:21:39,799 --> 00:21:44,970 私も 帝と 近しくさせていただいておりますので➡ 154 00:21:44,970 --> 00:21:51,677 皆様と帝をつなぐ懸け橋となれるよう 精進したく存じます。 155 00:21:54,647 --> 00:21:59,518 (伊周) さあさあ どうぞ召し上がってください。 156 00:21:59,518 --> 00:22:03,923 ああ… これはこれは…。 157 00:22:03,923 --> 00:22:16,936 ♬~ 158 00:22:16,936 --> 00:22:23,642 これで 堂々と そなたの兄を関白にできる。 159 00:22:28,547 --> 00:22:31,483 うれしゅうございます。 160 00:22:31,483 --> 00:22:44,964 ♬~ 161 00:22:44,964 --> 00:22:48,267 いよいよ伊周か…。 162 00:22:50,636 --> 00:22:54,306 よろしくない流れであるな…。 163 00:22:54,306 --> 00:23:00,579 (藤原斉信)つまり 伊周殿は 皆の承認を取り付けたということか。 164 00:23:00,579 --> 00:23:07,253 (藤原公任)うん。 以前に比べれば やや 人物が マシになっていたぞ。 165 00:23:07,253 --> 00:23:11,123 (藤原行成)道長様が 関白になられるのが 道理だと存じます。 166 00:23:11,123 --> 00:23:13,759 伊周殿ではありません。 167 00:23:13,759 --> 00:23:17,630 そりゃ 道長になってもらった方が 俺たちは ありがたいんだけどな。 168 00:23:17,630 --> 00:23:20,266 道長には ならんだろう。 169 00:23:20,266 --> 00:23:26,605 分からんよ。 行成みたいに 大の道長びいきだっているんだから。 170 00:23:26,605 --> 00:23:29,942 はい 私は 大の道長様びいきにございます。 171 00:23:29,942 --> 00:23:34,280 されど 自分の地位を なんとかしていただこうなどと➡ 172 00:23:34,280 --> 00:23:37,182 厚かましいことは考えておりません。 173 00:23:37,182 --> 00:23:40,953 俺は 厚かましいのが売りだからな。 174 00:23:40,953 --> 00:23:43,789 道長になったら売り込むよ。 175 00:23:43,789 --> 00:23:50,596 まあ それは いいが 道長本人に 関白になる気はあるのか? 176 00:23:52,498 --> 00:24:00,506 道長に その気はないと 俺は思うな。 177 00:24:10,249 --> 00:24:12,584 まひろ様。 178 00:24:12,584 --> 00:24:14,887 ああ…。 179 00:24:17,923 --> 00:24:22,594 中宮様より賜りました お菓子ですの。 お裾分け。 180 00:24:22,594 --> 00:24:27,099 まあ… ありがとうございます。 このような ぜいたくなもの。 181 00:24:27,099 --> 00:24:29,401 召し上がってみて。 182 00:24:29,401 --> 00:24:31,904 では…。 183 00:24:33,605 --> 00:24:36,308 頂きます。 184 00:24:41,280 --> 00:24:47,152 おいしゅうございます。 フフフ。 185 00:24:47,152 --> 00:24:52,791 内裏の中は 今 次の関白が どちらになるかの話ばかりなの。 186 00:24:52,791 --> 00:24:57,296 もう うんざりして 逃げるように まひろ様に 会いに参りましたのよ。 187 00:24:57,296 --> 00:25:03,569 次の関白は さきの さきの関白 道隆様の若君だと➡ 188 00:25:03,569 --> 00:25:05,904 父が申しておりましたけれど…。 189 00:25:05,904 --> 00:25:10,376 私も 内大臣の伊周様に 関白になっていただきたいのだけれど➡ 190 00:25:10,376 --> 00:25:14,913 権大納言の道長様という説もあるのです。 191 00:25:14,913 --> 00:25:19,251 あら? 道長様 ご存じ? 192 00:25:19,251 --> 00:25:22,755 あっ 昔 漢詩の会で ご一緒したわね。 193 00:25:22,755 --> 00:25:24,690 ええ ええ…。 194 00:25:24,690 --> 00:25:27,092 よく存じ上げないですけれど➡ 195 00:25:27,092 --> 00:25:33,599 その道長様の政の才は どのようなものなのでしょう? 196 00:25:33,599 --> 00:25:39,938 う~ん… 何しろ 細かいことに うるさく 厳しいのです。 197 00:25:39,938 --> 00:25:44,109 中宮様が 螺鈿細工の厨子棚が欲しいと 仰せになったら➡ 198 00:25:44,109 --> 00:25:47,146 そのような ぜいたくは許されないと 仰せになったのですよ。 199 00:25:47,146 --> 00:25:50,149 信じられませんでしょう? 200 00:25:53,619 --> 00:25:59,291 おかしいですか? あ… いえ。 201 00:25:59,291 --> 00:26:03,162 公卿の間でも 女官の間でも 人気はありませんし➡ 202 00:26:03,162 --> 00:26:07,900 そもそも偉くなる気もないし 権勢欲も まるで ないようですので➡ 203 00:26:07,900 --> 00:26:11,236 やはり ありえませんわね。 204 00:26:11,236 --> 00:26:20,913 ♬~ 205 00:26:20,913 --> 00:26:25,784  心の声 あの人 人気がないんだ…。 206 00:26:25,784 --> 00:26:28,787 (藤原惟規)ただいま。 207 00:26:28,787 --> 00:26:31,090 お帰りなさい。 208 00:26:31,090 --> 00:26:36,595 (惟規)何だよ 男もいないのに 物思いにふけって。 209 00:26:36,595 --> 00:26:39,264 (為時)久しいのう。 210 00:26:39,264 --> 00:26:42,601 (いと) 若様 今日 試験を済まされたのですって。 211 00:26:42,601 --> 00:26:45,637 父上 今度こそ いけるやも…。 212 00:26:45,637 --> 00:26:50,275 幾度も その言葉を 聞いたような気がするが…。 213 00:26:50,275 --> 00:26:56,782 父上 宣孝様に頂いた唐の酒で 夕げにいたしましょう。 214 00:26:56,782 --> 00:27:02,554 今 学生たちの間で はやっているのは 「白氏文集」の新楽府です。 215 00:27:02,554 --> 00:27:05,891 白居易か。 読んだことない。 216 00:27:05,891 --> 00:27:08,560 じゃあ 教えてあげる。 217 00:27:08,560 --> 00:27:13,232 白居易が 民に代わって 時の為政者を正しているものなんだよ。 218 00:27:13,232 --> 00:27:15,167 どういうふうに正しているの? 219 00:27:15,167 --> 00:27:17,736 ん? 読んでないから知らない。 220 00:27:17,736 --> 00:27:21,240 そんなことで 文章生の試験は通るのか? 221 00:27:21,240 --> 00:27:23,242 これは 試験に出ませんでした。 222 00:27:23,242 --> 00:27:30,916 父上 その新楽府 お持ちですか? いや 家にはない。 223 00:27:30,916 --> 00:27:34,786 惟規 新楽府 手に入らないかしら? 224 00:27:34,786 --> 00:27:38,657 民に代わって時の為政者を正しているもの 読んでみたいの。 225 00:27:38,657 --> 00:27:41,460 え~…。 226 00:27:43,262 --> 00:27:45,931 どうしよっかな~…。➡ 227 00:27:45,931 --> 00:27:49,768 これ以上 姉上に賢くなられてもな~。 228 00:27:49,768 --> 00:27:52,271 お願い! (惟規)え~…。 229 00:27:59,945 --> 00:28:02,548 (源 俊賢) お上は 既に お休みでございます。 230 00:28:02,548 --> 00:28:04,483 どけ。 231 00:28:04,483 --> 00:28:06,418 どけ! 232 00:28:06,418 --> 00:28:08,420 (一条天皇)何事だ? 233 00:28:11,557 --> 00:28:15,861 お上 お人払いを。 234 00:28:39,585 --> 00:28:45,757 次の関白について お上のお考えを お聞きしたく 参りました。 235 00:28:45,757 --> 00:28:47,793 伊周にいたします。➡ 236 00:28:47,793 --> 00:28:51,263 明日には 公にいたします。 237 00:28:51,263 --> 00:28:56,134 恐れながら お上は 何もお見えになっておりませぬ。 238 00:28:56,134 --> 00:28:59,605 母は 心配にございます。 239 00:28:59,605 --> 00:29:02,341 さきの さきの関白であった道隆は➡ 240 00:29:02,341 --> 00:29:05,544 お上が 幼いことをよいことに やりたい放題。 241 00:29:05,544 --> 00:29:08,447 公卿たちの信用を失いました。 242 00:29:08,447 --> 00:29:11,049 伊周は その道隆の子。 243 00:29:11,049 --> 00:29:16,355 同じやり口で 己の家のためだけに 政を仕切りましょう。 244 00:29:16,355 --> 00:29:21,193 お上をお支えするつもりなぞ さらさら ありますまい。 245 00:29:21,193 --> 00:29:23,729 朕は 伊周を信じております。 246 00:29:23,729 --> 00:29:27,232 伊周は 母上の仰せのような者では ございませぬ。 247 00:29:27,232 --> 00:29:32,104 お上は 中宮に だまされておられるのです。 248 00:29:32,104 --> 00:29:37,376 だまされているとは どういう意味にございますか? 249 00:29:37,376 --> 00:29:43,915 せんだっては 道兼を関白にして落胆させたゆえ➡ 250 00:29:43,915 --> 00:29:47,252 今度は 定子の兄にと お思いなのではないかと思いまして。 251 00:29:47,252 --> 00:29:49,588 朕は 定子を めでております。 252 00:29:49,588 --> 00:29:54,459 されど そのことで 政が変わることはございませぬ。 253 00:29:54,459 --> 00:29:57,095 悪いことは 申しませぬ。 254 00:29:57,095 --> 00:29:59,931 道長になさいませ。 255 00:29:59,931 --> 00:30:04,269 道長を関白にと 考えたことはございませぬ。 256 00:30:04,269 --> 00:30:08,774 私は 姉として 道長と共に育ち➡ 257 00:30:08,774 --> 00:30:12,944 母として お上をお育て申し上げてまいりました。 258 00:30:12,944 --> 00:30:16,615 その どちらも分かる 私から見た考えにございます。 259 00:30:16,615 --> 00:30:20,952 道長は 野心がなく 人に優しく➡ 260 00:30:20,952 --> 00:30:24,289 俺が 俺がと 前に出る人柄ではございませぬ。 261 00:30:24,289 --> 00:30:27,959 若く荒っぽく 我の強い伊周に比べて➡ 262 00:30:27,959 --> 00:30:32,631 ずっと… ずっとお上の支えとなりましょう。 263 00:30:32,631 --> 00:30:37,302 お上に寄り添う関白となりましょう。 264 00:30:37,302 --> 00:30:41,640 朕は 伊周に決めております。 265 00:30:41,640 --> 00:30:46,945 母を捨てて 后を取るのですか。 266 00:30:48,513 --> 00:30:52,818 お上は どんな帝になろうと お望みなのですか? 267 00:30:52,818 --> 00:30:56,321 何でも 関白にお任せの帝で よろしいのですか? 268 00:30:56,321 --> 00:30:58,256 お上のお父上は➡ 269 00:30:58,256 --> 00:31:03,595 いつも己の思いをくもうとせぬ 関白の横暴を 嘆いておいででした。 270 00:31:03,595 --> 00:31:08,934 父上の無念を お上が果たさずして 誰が果たしましょう。 271 00:31:08,934 --> 00:31:13,105 母は 自分のことなぞ どうでもよいのです!➡ 272 00:31:13,105 --> 00:31:18,410 ただ 一つ 願うは お上が 関白に操られることなく➡ 273 00:31:18,410 --> 00:31:21,313 己の信じた政ができるようにと➡ 274 00:31:21,313 --> 00:31:27,152 ただ ひたすら それを願っておるのでございます。 275 00:31:27,152 --> 00:31:35,627 どうか… どうか お上ご自身のために➡ 276 00:31:35,627 --> 00:31:42,934 道長にお決めくださいませ。 どうか どうか…。 277 00:31:44,636 --> 00:31:46,938 朕は…。 278 00:31:49,508 --> 00:31:52,210 伊周に決めております。 279 00:31:53,979 --> 00:31:56,314 お上! 280 00:31:56,314 --> 00:32:09,861 ♬~ 281 00:32:09,861 --> 00:32:13,598 翌日 一条天皇は➡ 282 00:32:13,598 --> 00:32:19,404 伊周ではなく 道長に内覧宣旨を下した。 283 00:32:22,307 --> 00:32:24,309 どけ。 284 00:32:26,611 --> 00:32:28,613 どけ! 285 00:32:35,287 --> 00:32:38,590 お静かになさいませ。 286 00:32:47,866 --> 00:32:56,875 帝のご寵愛は 偽りであったのだな。 そうやもしれませぬ。 287 00:32:59,511 --> 00:33:08,186 年下の帝のお心なぞ どのようにでも できるという顔をしておきながら➡ 288 00:33:08,186 --> 00:33:11,590 何もできてないではないか。 289 00:33:11,590 --> 00:33:17,462 関白ではなく 内覧宣旨のみをお与えになったのが➡ 290 00:33:17,462 --> 00:33:21,933 帝の私へのお心遣いかと思いました。 291 00:33:21,933 --> 00:33:26,271 ハハハハハハ…。 292 00:33:26,271 --> 00:33:33,612 私は 内覧を取り上げられた上に 内大臣のままだ!➡ 293 00:33:33,612 --> 00:33:39,918 そんなお心遣い 何の意味もない。 294 00:33:43,955 --> 00:33:54,666 こうなったら もう 中宮様のお役目は 皇子を産むだけだ。 295 00:33:56,534 --> 00:34:02,440 皇子を産め。 296 00:34:02,440 --> 00:34:10,382 皇子を… 皇子を産め。 297 00:34:10,382 --> 00:34:15,186 早く皇子を産め~! 298 00:34:17,923 --> 00:34:23,628 (伊周)素腹の中宮などと言われておるのを 知っておいでか。 299 00:34:27,933 --> 00:34:32,938 悔しかったら 皇子を産んでみろ。 300 00:34:36,608 --> 00:34:40,478 皇子を産め。➡ 301 00:34:40,478 --> 00:34:45,283 早く皇子を…。➡ 302 00:34:45,283 --> 00:34:48,954 早く皇子を産め! 303 00:34:48,954 --> 00:35:03,234 ♬~ 304 00:35:03,234 --> 00:35:10,241 嫌いにならないでくれ。 嫌いになどなれませぬ。 305 00:35:16,247 --> 00:35:19,551 そなたがいなければ 生きられぬ。 306 00:35:25,924 --> 00:35:28,226 許してくれ。 307 00:35:35,266 --> 00:35:38,603 そばにいてくれ。 308 00:35:38,603 --> 00:35:51,182 ♬~ 309 00:35:51,182 --> 00:35:54,619 (さわ)お別れです。 え? 310 00:35:54,619 --> 00:36:00,425 父が 肥前守を拝命しましたので 一緒に行かねばなりません。 311 00:36:00,425 --> 00:36:05,063 せっかく まひろ様と 仲直りできましたのに…。 312 00:36:05,063 --> 00:36:09,934 お父上が 国司になられるのなら おめでたいではありませんか。 313 00:36:09,934 --> 00:36:13,238 肥前は 遠い国…。 314 00:36:13,238 --> 00:36:18,943 もしかして もう お目にかかれないやもしれません。 315 00:36:22,247 --> 00:36:25,583 これで よければ…。 316 00:36:25,583 --> 00:36:28,920 でも 国司の任期は 4年でしょ? 317 00:36:28,920 --> 00:36:32,257 もう会えないなんてことは ないと思いますけれど…。 318 00:36:32,257 --> 00:36:36,127 (泣き声) 319 00:36:36,127 --> 00:36:39,431 あれ? 何 泣いてんの? 320 00:36:41,933 --> 00:36:45,804 あ… 惟規様。 321 00:36:45,804 --> 00:36:48,606 何だよ。 さわさんのお父上が➡ 322 00:36:48,606 --> 00:36:52,944 肥前の国司になられるそうで 一緒に行かれるんですって。 323 00:36:52,944 --> 00:36:56,414 俺にも 当分 会えないから泣いてたんだ。 324 00:36:56,414 --> 00:37:01,052 昔は 私 惟規様を お慕いしておりましたけれど➡ 325 00:37:01,052 --> 00:37:04,355 今は もう やめました。 は? 326 00:37:04,355 --> 00:37:07,559 よき思い出でございます。 327 00:37:07,559 --> 00:37:13,898 人の心は移ろうものなのよ。 ねえ。 328 00:37:13,898 --> 00:37:18,736 でも お別れは 寂しゅうございます。 329 00:37:18,736 --> 00:37:26,478 (泣き声) さわさん お会いできますよ。 330 00:37:26,478 --> 00:37:30,915 そして ひとつき後。 331 00:37:30,915 --> 00:37:36,788 一条天皇は 道長を右大臣に任じた。 332 00:37:36,788 --> 00:37:45,497 道長は 内大臣の伊周を越えて 公卿のトップの座に就いたのである。 333 00:37:50,935 --> 00:37:56,808 (藤原穆子)女院様を このお屋敷で 引き受けたのが 大当たりだったわね。 334 00:37:56,808 --> 00:38:00,211 私も 一度は 「え~…」と思いましたけれど➡ 335 00:38:00,211 --> 00:38:05,083 何が幸いするか分かりませんわね。 (笑い声) 336 00:38:05,083 --> 00:38:12,357 帝が あえて関白になさらなかったのは 女院様と中宮様のお気持ち➡ 337 00:38:12,357 --> 00:38:14,893 それぞれ おはかりになったからかしら。 338 00:38:14,893 --> 00:38:20,565 恐らく。 帝も ご苦労なことにございますね。 339 00:38:20,565 --> 00:38:24,903 関白も左大臣もいないのですから➡ 340 00:38:24,903 --> 00:38:30,775 内覧で なおかつ 右大臣のお役目を頂いたのだったら➡ 341 00:38:30,775 --> 00:38:36,614 これは もう 政権の頂に立ったのと同じ。 342 00:38:36,614 --> 00:38:40,251 でかしたわね 倫子。 343 00:38:40,251 --> 00:38:45,757 自分は 上に立つことが苦手であると 殿は いつも おっしゃってましたのに➡ 344 00:38:45,757 --> 00:38:50,595 これから ご苦労が増すことになると 思うと 心配でございます。 345 00:38:50,595 --> 00:38:54,933 父上も あの世から お守りくださいましょう。 346 00:38:54,933 --> 00:39:00,205 まだ 「不承知 不承知」と おっしゃってるかもしれませんけれど。 347 00:39:00,205 --> 00:39:04,876 (笑い声) 348 00:39:04,876 --> 00:39:09,747 (俊賢)右大臣様は 関白の職はいらぬと 仰せになったそうだ。 349 00:39:09,747 --> 00:39:12,050 驚かぬのか? 350 00:39:13,885 --> 00:39:18,756 (源 明子)関白でも 右大臣でも 我が殿に変わりはございませぬ。 351 00:39:18,756 --> 00:39:22,594 関白になってしまっては 意のままに動けぬ。 352 00:39:22,594 --> 00:39:27,232 存分に働ける場に とどまりたいと 仰せになったそうだ。 353 00:39:27,232 --> 00:39:29,901 ただ者ではない。 354 00:39:29,901 --> 00:39:34,372 この前まで 道長様なぞ 眼中になかったくせに。 355 00:39:34,372 --> 00:39:39,577 ああ。 これほどの心意気の方とは思わなかった。 356 00:39:39,577 --> 00:39:45,917 されど これからは 右大臣様一本で行く。 357 00:39:45,917 --> 00:39:49,787 情けない兄上。 358 00:39:49,787 --> 00:39:55,393 俺のことを 道長様に褒めておけよ。 359 00:39:55,393 --> 00:39:58,896 褒めるところがございませんけれど。 360 00:40:16,614 --> 00:40:19,651  回想 道長様は 偉い人になって➡ 361 00:40:19,651 --> 00:40:23,388 直秀のような理不尽な殺され方をする人が 出ないような➡ 362 00:40:23,388 --> 00:40:26,891 よりよき政をする使命があるのよ。 363 00:40:29,961 --> 00:40:32,630 誰よりも いとおしい道長様が➡ 364 00:40:32,630 --> 00:40:39,637 政によって この国を変えていく様を 死ぬまで見つめ続けます。 365 00:41:37,495 --> 00:41:42,633  心の声 昔の己に会いに来たのね。 366 00:41:42,633 --> 00:42:06,257 ♬~ 367 00:42:06,257 --> 00:42:12,130  心の声 でも 今 語る言葉は何もない。 368 00:42:12,130 --> 00:42:30,481 ♬~ 369 00:42:30,481 --> 00:42:35,286 いまだ疫病に苦しむ民を救うは 上に立つ者の使命と存ずる。 370 00:42:35,286 --> 00:42:37,221 泣いたって しょうがないだろ。 371 00:42:37,221 --> 00:42:39,624 中宮様の後宮においでになりたいの? 372 00:42:39,624 --> 00:42:41,559 できませぬ。 はい。 373 00:42:41,559 --> 00:42:43,795 おのおのが抱えている事情を 知った方がよいと思うのだ。 374 00:42:43,795 --> 00:42:45,830 貴族たちの裏の顔か? よせ。 375 00:42:45,830 --> 00:42:47,965 わっ! 何か踏まれました? 376 00:42:47,965 --> 00:42:49,901 そんな面白いことがあったのか! 377 00:42:49,901 --> 00:42:52,303 政に考えがあるそうにございますよ。 378 00:42:52,303 --> 00:42:55,306 私には夢がございます。