1 00:01:27,327 --> 00:01:28,195 2 00:01:28,195 --> 00:01:32,199 ・~ 3 00:01:32,199 --> 00:01:35,202 (ナレーター) <金に生きるは下品にすぎる> 4 00:01:35,202 --> 00:01:38,205 <恋に生きるは切なすぎ> 5 00:01:38,205 --> 00:01:41,208 <出世に生きるは くたびれる> 6 00:01:41,208 --> 00:01:44,211 <とかく この世は一天地六> 7 00:01:44,211 --> 00:01:47,214 <命ぎりぎり 勝負を懸ける> 8 00:01:47,214 --> 00:01:50,217 <仕事は よろず引き受けましょう> 9 00:01:50,217 --> 00:01:54,221 <大小 遠近 男女は問わず> 10 00:01:54,221 --> 00:01:57,224 <委細面談 仕事屋稼業> 11 00:01:57,224 --> 00:02:03,230 ・~ 12 00:02:03,230 --> 00:02:13,240 ・(読経) 13 00:02:13,240 --> 00:02:21,240 (読経) 14 00:02:51,211 --> 00:02:53,211 (おとよ)アア… 15 00:02:55,215 --> 00:02:57,217 (忠七)女将さん 16 00:02:57,217 --> 00:03:02,217 (おとよ)もう大丈夫 ちょっと めまいがしただけだから 17 00:03:08,228 --> 00:03:11,231 (おせい) 気の休まる暇がないんでしょうね 18 00:03:11,231 --> 00:03:13,233 おねえさん… 19 00:03:13,233 --> 00:03:17,237 桧屋さんが亡くなってから ずっと 20 00:03:17,237 --> 00:03:21,241 でも あんた 偉い 商売だって ちゃんと続けてるし・ 21 00:03:21,241 --> 00:03:25,245 こうやって立派に 百か日の法要も 22 00:03:25,245 --> 00:03:31,184 さっきね… お経を聞きながら ああ うちの人が死んでから・ 23 00:03:31,184 --> 00:03:34,187 もう100日たったんだな 24 00:03:34,187 --> 00:03:38,191 これでやっと 喪が明けたんだなって思ったら・ 25 00:03:38,191 --> 00:03:41,194 人並みに悲しくなってきて… 26 00:03:41,194 --> 00:03:44,197 でも これからは もっと大変ね… 27 00:03:44,197 --> 00:03:46,199 材木問屋 桧屋の・ 28 00:03:46,199 --> 00:03:52,205 のれんを背負っていかなければ ならないんだから 29 00:03:52,205 --> 00:03:55,208 芸者のころは楽だったわ… 30 00:03:55,208 --> 00:03:58,211 何かあれば おねえさんに 泣きつけばよかったんですもの… 31 00:03:58,211 --> 00:04:02,215 フフフ… あのころは かわいかったけどね あんたも 32 00:04:02,215 --> 00:04:07,215 まあ… でも これからも力になってね 33 00:04:09,222 --> 00:04:12,225 ・(中盆)さあ どうぞ ・(男性)丁! 34 00:04:12,225 --> 00:04:17,230 (半兵衛)半といこう ・(中盆)できました 勝負! 35 00:04:17,230 --> 00:04:19,232 (中盆)五二の半! それ 来た! 36 00:04:19,232 --> 00:04:22,235 さあ 今日は勝って帰ろう 37 00:04:22,235 --> 00:04:25,238 ・(男性) 手入れだーっ! 手入れだ! 38 00:04:25,238 --> 00:04:34,180 (騒ぎ声) 39 00:04:34,180 --> 00:04:37,183 アアーッ! 40 00:04:37,183 --> 00:04:39,185 ・(役人)81… 41 00:04:39,185 --> 00:04:42,188 (伝蔵) 嘘じゃない わしは桧屋の伝蔵だ! 42 00:04:42,188 --> 00:04:45,191 女房も 店の者も… 43 00:04:45,191 --> 00:04:49,195 わしが死んだと思い込んでるんだ あんた方! 44 00:04:49,195 --> 00:04:52,198 わめくな 余計こたえるじゃねえか 45 00:04:52,198 --> 00:04:58,204 わしは 何もしておらん! こんな目に遭う覚えはない! 46 00:04:58,204 --> 00:05:09,204 ・~ 47 00:05:15,221 --> 00:05:17,223 ああ 痛え… 48 00:05:17,223 --> 00:05:22,228 (男性)おねえさん 早くしてくれよ (お春)今すぐよ ちょっと待ってて 49 00:05:22,228 --> 00:05:26,228 (男性)それこっち ああ ああ… 50 00:05:28,168 --> 00:05:30,170 (お春)まったく… 51 00:05:30,170 --> 00:05:33,173 博打で捕まって 百たたきに遭ったなんて・ 52 00:05:33,173 --> 00:05:36,176 いい気味だ あいてっ! 53 00:05:36,176 --> 00:05:39,179 もう懲りたでしょう 懲りた… 懲りた… 54 00:05:39,179 --> 00:05:41,181 あいてて… 重湯にしてくれよ 重湯に 55 00:05:41,181 --> 00:05:44,184 何言ってんのよ ほら 食べられるでしょう 56 00:05:44,184 --> 00:05:47,187 体中に熱があるんだから ああ かわいそう かわいそう 57 00:05:47,187 --> 00:05:51,191 よう そばにいてくれよ 痛えんだからさ 58 00:05:51,191 --> 00:05:55,195 大丈夫よ あんたは ちょっとやそっとじゃ死なない 59 00:05:55,195 --> 00:05:58,195 あいた… ハァ… ハァ… 60 00:06:00,200 --> 00:06:03,200 食欲はあるんだよな 61 00:06:09,209 --> 00:06:12,209 (伝蔵)おい! 62 00:06:25,225 --> 00:06:27,225 ・(伝蔵)おとよ! 63 00:06:29,162 --> 00:06:32,165 ぶちのめされてきたんだぞ! 64 00:06:32,165 --> 00:06:37,170 死者の名をかたり 悪ふざけ 不届き至極ってな… 65 00:06:37,170 --> 00:06:40,173 どうして俺を訴えたんだ・ 一体 お前は… 66 00:06:40,173 --> 00:06:44,177 あんた 誰なんです・ なんだって こんな性質の悪い いたずらを! 67 00:06:44,177 --> 00:06:47,177 おとよ! おとよ! 68 00:06:49,182 --> 00:06:53,182 アアッ! (伝蔵)おとよ おとよ! 69 00:06:56,189 --> 00:07:00,193 そりゃな 顔形は 変わったかもしれん 70 00:07:00,193 --> 00:07:06,199 けがと やけどのせいでな だけどな お前なら分かるはずだ 71 00:07:06,199 --> 00:07:11,204 なあ! て… 亭主の伝蔵だ (おとよ)アア! やめてください! 72 00:07:11,204 --> 00:07:16,209 恐ろしくないんですか・ 死んだ人に成り済まそうなんて 73 00:07:16,209 --> 00:07:19,212 何度言や分かるんだ… (おとよ)誰か! 74 00:07:19,212 --> 00:07:23,216 わしゃ こうして生きとるんだ… (おとよ)誰か! 75 00:07:23,216 --> 00:07:28,154 わしの顔を見てくれ! (おとよ)アアッ! 誰か… 76 00:07:28,154 --> 00:07:31,157 この女! ちくしょう! 77 00:07:31,157 --> 00:07:36,162 泥水稼業から 救われたことを忘れやがったか 78 00:07:36,162 --> 00:07:39,162 (手代)この野郎! 女将さんに何しやがるんでい! 79 00:07:41,167 --> 00:07:46,167 (伝蔵)おとよ! (手代)立ちやがれ! 80 00:07:49,175 --> 00:07:56,182 わ… わしが分からんのか・ 伝蔵だ! わしは主人の伝蔵だ! 81 00:07:56,182 --> 00:07:59,185 (政吉)おいおいおい おい! 82 00:07:59,185 --> 00:08:02,188 おい! ちょっと待ってくれよ お前! 83 00:08:02,188 --> 00:08:04,190 どんな事情があるか 知らねえけどよ・ 84 00:08:04,190 --> 00:08:08,194 相手は けが人じゃねえか お前 (手代)なんだと・ 85 00:08:08,194 --> 00:08:10,196 (伝蔵)忠七 主人のわしを・ 86 00:08:10,196 --> 00:08:13,199 こんな目に遭わせて 済むと思っているのか 87 00:08:13,199 --> 00:08:16,202 (忠七)妙ちきりんな悪さは やめてくださいよ 88 00:08:16,202 --> 00:08:18,204 こっちは迷惑してるんだ! 89 00:08:18,204 --> 00:08:21,207 (政吉)おい おっさん 大丈夫か? 大丈夫か? 90 00:08:21,207 --> 00:08:25,207 ほっといてくれ… 91 00:08:29,148 --> 00:08:32,151 (忠七)まったく しぶとい奴で… 92 00:08:32,151 --> 00:08:36,155 もう一度 お上にお願いして 懲らしめてもらいましょう 93 00:08:36,155 --> 00:08:40,159 それは駄目 同じことで 何度も手を煩わせちゃ・ 94 00:08:40,159 --> 00:08:43,162 お役人だって 変な勘ぐりを しかねないよ 95 00:08:43,162 --> 00:08:45,164 事が事だけに… (忠七)しかし… 96 00:08:45,164 --> 00:08:48,167 もし 旦那さまの亡くなったことで 97 00:08:48,167 --> 00:08:50,169 あらぬ疑いでも かけられたりしたら・ 98 00:08:50,169 --> 00:08:55,174 桧屋の信用にかかわるじゃないか (忠七)へい… 99 00:08:55,174 --> 00:08:59,178 (忠七)ですが あの男を 野放しにしておくのも… 100 00:08:59,178 --> 00:09:04,183 なんとかしなくっちゃね 大丈夫 なんとかします 101 00:09:04,183 --> 00:09:08,187 つかぬことを お伺いしますが… (おとよ)なんだい? 102 00:09:08,187 --> 00:09:11,190 亡くなられた旦那さまに・ 103 00:09:11,190 --> 00:09:15,194 双子の兄弟がいたというような 話をお聞きになったことは? 104 00:09:15,194 --> 00:09:19,198 いいえ… なぜ? 105 00:09:19,198 --> 00:09:23,202 実は あの男… 今日 ほんの一瞬ですが・ 106 00:09:23,202 --> 00:09:27,140 亡くなられた旦那さまに そっくりだったもんで… 107 00:09:27,140 --> 00:09:31,144 よしてくれ! そんな気持ちの悪い… 108 00:09:31,144 --> 00:09:35,148 忠七 あんな男の言うことに 惑わされないで 109 00:09:35,148 --> 00:09:38,151 いえ 私は ただ… 110 00:09:38,151 --> 00:09:53,166 ・~ 111 00:09:53,166 --> 00:09:56,166 忠七… 112 00:09:59,172 --> 00:10:02,172 わたしは お前だけが頼りなんだよ 113 00:10:04,177 --> 00:10:06,177 女将さん 114 00:10:08,181 --> 00:10:11,184 いけないよ 忠七… いけないよ… 115 00:10:11,184 --> 00:10:14,187 女将さん… (おとよ)いけないよ 忠七 116 00:10:14,187 --> 00:10:17,190 はい お願いします 117 00:10:17,190 --> 00:10:20,193 (あくび) 118 00:10:20,193 --> 00:10:23,196 ♪ 春うらら 119 00:10:23,196 --> 00:10:27,196 おねえさん (おせい)あら 120 00:10:29,135 --> 00:10:31,137 今そこで こんな大きな犬に ほえつかれたの 121 00:10:31,137 --> 00:10:34,140 通りすがりの利助さんに 助けていただいたのよ 122 00:10:34,140 --> 00:10:37,143 まだ どきどきしてるわ ほら 123 00:10:37,143 --> 00:10:41,147 あら 止まってる (おとよ)えっ? まさか… 124 00:10:41,147 --> 00:10:45,151 まあまあ お上がんなさいよ 125 00:10:45,151 --> 00:10:50,151 (利助)後家の花2輪か… もったいないなぁ 126 00:10:52,158 --> 00:10:54,160 それで? (おとよ)えっ? 127 00:10:54,160 --> 00:10:56,162 今日は なぁに? 128 00:10:56,162 --> 00:11:00,166 フフフ… わざわざ甘えに来たのね 芸者時代の朋輩ん所へ… 129 00:11:00,166 --> 00:11:05,171 それじゃ いけないかしら? (おせい)たまに息抜きはいいけど 130 00:11:05,171 --> 00:11:11,177 おねえさん 助けてほしいの (おせい)そら! アハハ… 131 00:11:11,177 --> 00:11:14,180 はいはい わたしで お役に立つかしら 132 00:11:14,180 --> 00:11:18,180 難しいことだと… (おとよ)嘘! 133 00:11:22,188 --> 00:11:24,190 お役人じゃ らちの明かないようなことでも・ 134 00:11:24,190 --> 00:11:29,195 おねえさんなら なんとか 片をつけてくれるでしょう 135 00:11:29,195 --> 00:11:33,199 仕事屋の噂は わたしだって知ってます 136 00:11:33,199 --> 00:11:38,199 そう そういう頼みで… 137 00:11:40,206 --> 00:11:43,209 でも おとよちゃんね・ 138 00:11:43,209 --> 00:11:47,209 そのほうは よくよくのことでないと… 139 00:11:49,215 --> 00:11:53,215 わたし もう どうしたらいいのか 140 00:11:57,223 --> 00:12:01,227 お願い 助けて 141 00:12:01,227 --> 00:12:03,229 (政吉) この間は とんだ災難だったな 142 00:12:03,229 --> 00:12:06,232 ああ 俺 お前と違ってどじだから まーた… 143 00:12:06,232 --> 00:12:09,235 (伝蔵)立花屋さん 話を聞いてくれ わしは伝蔵だよ 伝蔵 144 00:12:09,235 --> 00:12:11,237 (立花屋)わたしはね あんたなんか 知らないんだよ 145 00:12:11,237 --> 00:12:15,241 頼むから 立花屋さん もう わしゃ あんただけが頼りなんだよ! 146 00:12:15,241 --> 00:12:19,245 ねえ 立花屋さん! 立花屋さん! 147 00:12:19,245 --> 00:12:22,248 あのおやじ まだやってんのかな なんだい 知ってんのかい? 148 00:12:22,248 --> 00:12:26,248 うん まあ… 知ってるってほどのもんでも… 149 00:12:28,187 --> 00:12:33,187 やあ どうも (政吉)おう しばらくだなぁ 150 00:12:42,201 --> 00:12:47,201 お2人とも お楽しみのところ… 仕事ですよ 151 00:12:51,210 --> 00:12:55,214 お2人も見てのとおり いろいろな所で・ 152 00:12:55,214 --> 00:13:01,220 自分は死んだ桧屋の主人だと 触れ回っているようです 153 00:13:01,220 --> 00:13:06,225 このまま ほうっておけば 店の名前に傷がつくし 154 00:13:06,225 --> 00:13:08,227 かといって それぐらいのことで・ 155 00:13:08,227 --> 00:13:12,231 再三 お役人に 面倒をかけることもならず 156 00:13:12,231 --> 00:13:15,234 桧屋さんとしては 困り抜いているようです 157 00:13:15,234 --> 00:13:20,239 まさか 桧屋伝蔵が 墓場から はい出てきたんじゃねえだろうな 158 00:13:20,239 --> 00:13:22,241 馬鹿なことを言わないでください 159 00:13:22,241 --> 00:13:25,244 夜おしっこに 行けなくなるじゃありませんか 160 00:13:25,244 --> 00:13:28,181 …で わたしたちに どうしろとおっしゃるんで? 161 00:13:28,181 --> 00:13:32,185 これ以上 仏さまになった方の名前を・ 162 00:13:32,185 --> 00:13:35,188 名乗らせないように してもらいます 163 00:13:35,188 --> 00:13:38,191 やり方は お任せします 164 00:13:38,191 --> 00:13:42,191 なるべく早く 始末をつけてください 165 00:13:44,197 --> 00:13:51,204 女将さん いくら昔の朋輩の 頼みといってもですよ… 166 00:13:51,204 --> 00:13:55,208 いや まあ そのおとよさんって いう人を信用するとして・ 167 00:13:55,208 --> 00:13:58,211 わたしの見たところ あのじいさん せいぜい・ 168 00:13:58,211 --> 00:14:03,216 桧屋に遺恨を抱いてる奴に 踊らされてるって感じですけどね 169 00:14:03,216 --> 00:14:05,218 半兵衛さん… 170 00:14:05,218 --> 00:14:11,224 いや そんな人を簡単に 始末しろって言われても… 171 00:14:11,224 --> 00:14:14,227 おとよちゃんとは 芸者時代からの 深いつきあい 172 00:14:14,227 --> 00:14:18,231 私に嘘をつくわけはありません 173 00:14:18,231 --> 00:14:22,235 元締めのわたしが間違いないと 思って決めたことです 174 00:14:22,235 --> 00:14:25,238 それを とやかく言われたのでは わたしの立つ瀬がありません 175 00:14:25,238 --> 00:14:29,175 もう結構です 頼みません 176 00:14:29,175 --> 00:14:35,181 いやいや… 女将さん いや 俺は… 半兵衛さん 金は要らねえのか? 177 00:14:35,181 --> 00:14:39,181 いや 金は要る 178 00:14:41,187 --> 00:14:45,187 やり方は考えます やり方を… 179 00:14:47,193 --> 00:14:50,196 ・(伝蔵)ねえ 徳さん 頼むよ 頼むから聞いてくれ! 180 00:14:50,196 --> 00:14:53,199 ・(徳三) 何をしやんでえ この野郎! 181 00:14:53,199 --> 00:14:56,202 (徳三) なんだって つきまとうんでえ! 離せったら 182 00:14:56,202 --> 00:14:59,205 徳さん 頼みの綱 あんただけなんだよ 183 00:14:59,205 --> 00:15:02,208 あの墓にはね 別な人間が埋められているんだよ 184 00:15:02,208 --> 00:15:06,208 途方もねえこと抜かすな! 帰れ! 185 00:15:08,214 --> 00:15:13,214 待ってくれ 徳さん! 徳さん! とと… 186 00:15:15,221 --> 00:15:17,223 誰だ・ 187 00:15:17,223 --> 00:15:20,226 おっさん 忘れたのかよ 俺だよ 188 00:15:20,226 --> 00:15:24,230 一緒に百たたきに遭った 仲じゃねえか つきあえよ 189 00:15:24,230 --> 00:15:28,167 断るよ わしゃ 間違って 百たたきに遭ったんだよ 190 00:15:28,167 --> 00:15:32,171 お前らみたいな 悪党じゃねえんだよ 191 00:15:32,171 --> 00:15:35,174 いつまでも こんなことしてるとな 本当の悪党にされちまうぞ 192 00:15:35,174 --> 00:15:40,179 お前 誰に頼まれた・ おとよにか? 番頭の忠七か? 193 00:15:40,179 --> 00:15:43,182 まあまあ いいからよ 194 00:15:43,182 --> 00:15:46,185 (伝蔵)4か月前 わしは・ 195 00:15:46,185 --> 00:15:50,189 材木の買い付けに 秩父の山に出かけたんだ 196 00:15:50,189 --> 00:15:53,192 手代の忠次と一緒だった 197 00:15:53,192 --> 00:15:59,198 ところが… その晩 きこり小屋に泊まった 198 00:15:59,198 --> 00:16:06,205 夜中に ふと目が覚めると 辺り一面 火の海だ 199 00:16:06,205 --> 00:16:09,205 (伝蔵)忠次 忠次! 200 00:16:14,213 --> 00:16:17,213 忠次! 201 00:16:20,219 --> 00:16:23,222 (伝蔵)ふた月ぐらいの間・ 202 00:16:23,222 --> 00:16:27,159 わしゃ 恐らく 頭を打ったせいなんだろう 203 00:16:27,159 --> 00:16:30,162 何もかも ぼんやりして… 204 00:16:30,162 --> 00:16:32,164 へえ~ 頭打ったの 205 00:16:32,164 --> 00:16:35,167 それで自分が誰だか 分からなくなったわけ? 206 00:16:35,167 --> 00:16:38,170 いや しかし思い出したんだ 207 00:16:38,170 --> 00:16:40,172 まだ はっきりしないことも あるけど・ 208 00:16:40,172 --> 00:16:46,178 わしが桧屋の伝蔵だということは ちゃんと… 209 00:16:46,178 --> 00:16:49,181 旅は まだ無理だというのを・ 210 00:16:49,181 --> 00:16:53,185 わしゃ 振り切って 江戸へ帰ってきた 211 00:16:53,185 --> 00:16:57,189 ところが 誰も わしをわしだと 認めてくれん 212 00:16:57,189 --> 00:17:03,195 手代の忠次と一緒に小屋で 焼け死んだと抜かしおる 213 00:17:03,195 --> 00:17:08,200 これが わしの墓だと これが… 214 00:17:08,200 --> 00:17:15,200 わしゃ 分からん… 分からん… 分からん… 215 00:17:21,213 --> 00:17:25,217 (駕籠かき)えっほ えっほ… よいしょ 216 00:17:25,217 --> 00:17:28,154 (駕籠かき)さあ どうぞ (駕籠かき)はい どうも 217 00:17:28,154 --> 00:17:42,168 ・~ 218 00:17:42,168 --> 00:17:44,170 遅くなりまして 219 00:17:44,170 --> 00:17:47,170 (大山)待たせるのも手管のうちか 220 00:17:52,178 --> 00:17:55,178 (おとよ)この荷が重くて… 221 00:17:58,184 --> 00:18:00,186 おあらためを… 222 00:18:00,186 --> 00:18:05,191 作事奉行 大山さまの この月のお取り分です 223 00:18:05,191 --> 00:18:09,195 夏場が楽しみじゃのう 木材の切り出しが増える 224 00:18:09,195 --> 00:18:12,198 実入りも3倍になる 225 00:18:12,198 --> 00:18:17,203 悪いお方 将軍さまの御用林を 無断で ちょうだいしておきながら 226 00:18:17,203 --> 00:18:19,203 この落ち着きよう 227 00:18:21,207 --> 00:18:27,146 お前も しゃあしゃあと しておるではないか うん? 228 00:18:27,146 --> 00:18:30,149 抜け目なく 儲けておるくせに 229 00:18:30,149 --> 00:18:36,149 たっぷり代償は払っております (笑い声) 230 00:18:40,159 --> 00:18:43,162 伝蔵のほうは どうなった? 231 00:18:43,162 --> 00:18:48,167 はい 確かな筋に頼みましたから もう… 232 00:18:48,167 --> 00:18:53,172 うむ… まったく… 手間のかかる男よのう 233 00:18:53,172 --> 00:18:57,176 お前の亭主だった男は 234 00:18:57,176 --> 00:19:00,176 (笑い声) 235 00:19:02,181 --> 00:19:07,186 御用林に こっそり 手をつけようと持ちかければ・ 236 00:19:07,186 --> 00:19:14,193 将軍家に 弓を引く気かなぞと居直る 237 00:19:14,193 --> 00:19:21,193 お前と組む手があったから よかったようなものの 238 00:19:24,203 --> 00:19:29,141 秩父の山じゃ 火だるまになって・ 239 00:19:29,141 --> 00:19:34,146 崖から落ちながら… 240 00:19:34,146 --> 00:19:37,149 しぶとく生き残って・ 241 00:19:37,149 --> 00:19:41,153 舞い戻ってくる 242 00:19:41,153 --> 00:19:44,156 せっかく 無縁仏で・ 243 00:19:44,156 --> 00:19:49,161 身代わりの死体を作ったのが・ 244 00:19:49,161 --> 00:19:54,166 危うく水の泡になる 245 00:19:54,166 --> 00:19:59,171 本当に あの人が 店先に戻ってきたときには・ 246 00:19:59,171 --> 00:20:02,174 もう どうなることかと 思いましたよ 247 00:20:02,174 --> 00:20:07,179 まるで 別人みたいだったんで 追い出せたようなものの 248 00:20:07,179 --> 00:20:10,182 でなかったら 「元の木阿弥」 249 00:20:10,182 --> 00:20:18,190 なに そのときは そのときで 手はあったさ 250 00:20:18,190 --> 00:20:23,190 大山さまのおかげで 怖い思いをいたします 251 00:20:27,132 --> 00:20:33,138 その代わり 女の身で あの桧屋の大身代を・ 252 00:20:33,138 --> 00:20:40,145 思う… 思うがままに できるんじゃないか 253 00:20:40,145 --> 00:20:45,150 大山さまも 作事奉行の身で・ 254 00:20:45,150 --> 00:20:49,154 大名並みの財を お築きになるんでございましょう 255 00:20:49,154 --> 00:20:58,163 お前の店が これからも わしに従えばな 256 00:20:58,163 --> 00:21:06,163 アア… 逆らえば あの人の二の舞 おっしゃるとおりにいたします 257 00:21:08,173 --> 00:21:10,173 (笑い声) 258 00:21:12,177 --> 00:21:17,177 それを忘れるなよ 259 00:21:24,189 --> 00:21:27,189 大山さま… 260 00:21:35,200 --> 00:21:37,202 (戸の開く音) 261 00:21:37,202 --> 00:21:39,204 忘れ物ですか? 262 00:21:39,204 --> 00:21:42,207 そういうことだったのか! 263 00:21:42,207 --> 00:21:47,212 売女! 大山なんかと つるんで… 264 00:21:47,212 --> 00:21:51,216 恩知らず! 泥沼稼業から救い出して・ 265 00:21:51,216 --> 00:21:54,219 女房にまでしてやった このわしを よくも! 266 00:21:54,219 --> 00:21:56,221 もう聞き飽きたよ そんな言いぐさは! 267 00:21:56,221 --> 00:22:00,225 ああ あんときの涙は そら涙か! 268 00:22:00,225 --> 00:22:04,229 一生わしの恩は忘れないと言った あのことは… 269 00:22:04,229 --> 00:22:06,231 あのころのわたしは 馬鹿だったのさ 270 00:22:06,231 --> 00:22:09,234 芸者から女房になったのが ただうれしくて・ 271 00:22:09,234 --> 00:22:13,238 人並みに幸せになれると思って… 本当に馬鹿だよ 272 00:22:13,238 --> 00:22:17,242 芸者んときよりも 落ちるとも知らずにさ 273 00:22:17,242 --> 00:22:20,245 な… なんだと・ (おとよ)あんた わたしに・ 274 00:22:20,245 --> 00:22:23,248 1文だって自由に させてくれたことがあったかい? 275 00:22:23,248 --> 00:22:26,251 なまじ大店の女房というんで 周りには いつも・ 276 00:22:26,251 --> 00:22:29,188 喉から手が出そうな物が ちらちらしているというのに・ 277 00:22:29,188 --> 00:22:31,190 わたしは ただ指をくわえて・ 278 00:22:31,190 --> 00:22:34,193 かつえていなきゃ なんなかったんだよ 279 00:22:34,193 --> 00:22:37,196 亭主のあんたは 腐るほど お金があるっていうのに 280 00:22:37,196 --> 00:22:40,199 地獄だよ! 281 00:22:40,199 --> 00:22:44,203 それで お前は わしを殺す気になったのか・ 282 00:22:44,203 --> 00:22:48,203 あんたが先に わたしを殺そうとしたんだ 283 00:22:50,209 --> 00:22:55,214 たわけたことを… どうして わしが お前を… 284 00:22:55,214 --> 00:23:00,219 「それもいかん」 「あれもするな」 年中 家に閉じ込めて・ 285 00:23:00,219 --> 00:23:03,222 あんた 亭主らしいこと 一度でも してくれたことがあったかい? 286 00:23:03,222 --> 00:23:06,225 ろくに抱いても くれなかったじゃないか 287 00:23:06,225 --> 00:23:11,230 わたしは生身の女なんだよ まるで 蛇の生殺しじゃないか! 288 00:23:11,230 --> 00:23:13,232 おとよ… 289 00:23:13,232 --> 00:23:18,237 あんたは楽しんでたんだ 真綿で首を絞め上げて・ 290 00:23:18,237 --> 00:23:20,239 わたしが苦しんでるのを 楽しんでたんだ! 291 00:23:20,239 --> 00:23:25,239 そ… そんなふうに… このわしが… 292 00:23:27,179 --> 00:23:33,185 いや… 悪いことは改める 293 00:23:33,185 --> 00:23:36,188 大山さまのことも目をつぶる 294 00:23:36,188 --> 00:23:40,192 だから もうわしを 桧屋へ戻してくれ! 頼む! 295 00:23:40,192 --> 00:23:43,195 ごめんだね (伝蔵)おとよ! 296 00:23:43,195 --> 00:23:47,199 今更 やり直しなんか利くもんか 297 00:23:47,199 --> 00:23:50,202 貴様! 298 00:23:50,202 --> 00:23:52,202 おとよ! 299 00:23:59,211 --> 00:24:01,213 そんなふうに わしが… 300 00:24:01,213 --> 00:24:03,215 じたばたするのは およし! 301 00:24:03,215 --> 00:24:07,219 あんたの言うことなんか 誰も信じやしないんだから 302 00:24:07,219 --> 00:24:09,219 アア… 303 00:24:11,223 --> 00:24:16,228 これ以上 うるさくすると 今度こそ あんた! 304 00:24:16,228 --> 00:24:20,232 出てって! 二度とわたしの前に 現れないで 305 00:24:20,232 --> 00:24:23,232 出てって! 306 00:24:29,174 --> 00:24:35,180 おとよちゃん わたしに偽りや 隠し事はないでしょうね? 307 00:24:35,180 --> 00:24:38,183 どうして そんな… 308 00:24:38,183 --> 00:24:43,183 この仕事じゃ 裏切りは命取りなの 話したでしょう 309 00:24:46,191 --> 00:24:48,193 わたしが おねえさんに 嘘なんか つけると思って? 310 00:24:48,193 --> 00:24:50,195 下地っ子のころから・ 311 00:24:50,195 --> 00:24:53,198 本当の妹みたいに かわいがってくれてる人に… 312 00:24:53,198 --> 00:24:56,201 どうして… 313 00:24:56,201 --> 00:25:01,206 そう だったら いいのよ 314 00:25:01,206 --> 00:25:06,211 でも なぜ? なぜ 今になって急に 315 00:25:06,211 --> 00:25:11,216 調べてみるとね あんたの迷惑がってる人・ 316 00:25:11,216 --> 00:25:16,221 言ってることが まんざら でたらめとも思えなくてね 317 00:25:16,221 --> 00:25:19,224 あんたんとこの内々のことも いろいろ知ってるし 318 00:25:19,224 --> 00:25:24,229 そうなの どうやって調べたのか… そういうことを並べ立てて・ 319 00:25:24,229 --> 00:25:27,165 わしが主人だなんて 言いふらすでしょう 320 00:25:27,165 --> 00:25:30,165 だから手に負えなくて おねえさんに… 321 00:25:32,170 --> 00:25:37,175 そう じゃ 安心して待ってて 322 00:25:37,175 --> 00:25:41,175 あんたを信用して きっと けりをつけてあげる 323 00:25:44,182 --> 00:25:46,184 それはそうと おとよちゃん 324 00:25:46,184 --> 00:25:51,189 あんた このごろ 少しお遊びが 過ぎるんじゃない? (おとよ)えっ 325 00:25:51,189 --> 00:25:53,191 夜出かけることが多いんでしょう 326 00:25:53,191 --> 00:25:56,194 それは こういう商売やってれば・ 327 00:25:56,194 --> 00:25:59,197 お客さまのもてなしも しなければならないし… 328 00:25:59,197 --> 00:26:01,199 それだけ? 329 00:26:01,199 --> 00:26:06,199 旦那さまの喪が明けてから まだ日が浅いんじゃない 330 00:26:09,207 --> 00:26:13,211 おねえさん わたし 自分の体が憎らしい 331 00:26:13,211 --> 00:26:18,216 魔物よ 魔物が住み着いてるのよ 332 00:26:18,216 --> 00:26:23,221 芸者をしてるころから いつの間にか こんな体に… 333 00:26:23,221 --> 00:26:28,160 よしましょう ただね・ 334 00:26:28,160 --> 00:26:31,163 桧屋のような大店を 取りしきっていくには・ 335 00:26:31,163 --> 00:26:39,163 あんた もう少し身を慎まなけりゃ ねえ さあ もうお帰りなさい 336 00:26:43,175 --> 00:27:03,195 ・~ 337 00:27:03,195 --> 00:27:11,203 ・~ 338 00:27:11,203 --> 00:27:14,206 仕事は ちょっぴり 回り道してください 339 00:27:14,206 --> 00:27:17,209 桧屋の様子を もう少し探ってもらいます 340 00:27:17,209 --> 00:27:20,212 あの人が信用ならねえんですか? 341 00:27:20,212 --> 00:27:23,215 わたしは おとよちゃんを 信じてやりたい 342 00:27:23,215 --> 00:27:27,152 でも 過ちは犯したくありません 343 00:27:27,152 --> 00:27:30,155 人ひとりの運命が かかっているのですから 344 00:27:30,155 --> 00:27:33,155 女将さんも つらいとこだ 345 00:27:46,171 --> 00:27:48,173 ・(店の娘)ありがとうございます 346 00:27:48,173 --> 00:27:59,184 ・~ 347 00:27:59,184 --> 00:28:02,187 あの男のことは もう心配ないと言ったでしょう 348 00:28:02,187 --> 00:28:04,189 へい… 349 00:28:04,189 --> 00:28:08,193 この辺りを うろついてるのは 分かってることじゃないか 350 00:28:08,193 --> 00:28:11,193 へい… ですが… 351 00:28:13,198 --> 00:28:17,202 気が弱いんだね 352 00:28:17,202 --> 00:28:21,206 女将さん しかし どうも私・ 353 00:28:21,206 --> 00:28:24,209 だんだん妙な気分に なってきまして 354 00:28:24,209 --> 00:28:26,211 何が? 355 00:28:26,211 --> 00:28:31,211 ひょっとしたら あの人 旦那さまじゃないかと… 356 00:28:34,152 --> 00:28:38,156 何を言いだすんだい (忠七)ですが… 357 00:28:38,156 --> 00:28:44,162 旦那さまは わたしがちゃんと 見届けて埋葬したんだよ 358 00:28:44,162 --> 00:28:48,166 間違えっていうこともありますし 359 00:28:48,166 --> 00:28:51,169 忠七! 360 00:28:51,169 --> 00:28:54,172 こんなことを 申し上げちゃなんですが・ 361 00:28:54,172 --> 00:28:58,176 あの亡骸は焼けただれていて… 362 00:28:58,176 --> 00:29:03,181 焼けていても 旦那さまのしるしは いくつも見つけましたよ 363 00:29:03,181 --> 00:29:07,185 歯の形・数 脇の下のあざ・ 364 00:29:07,185 --> 00:29:10,188 左足の小指の 欠けているところまで・ 365 00:29:10,188 --> 00:29:12,190 わたしは はっきり確かめたんだよ 366 00:29:12,190 --> 00:29:16,194 しかし 今夜 居酒屋で あの人がした話は・ 367 00:29:16,194 --> 00:29:19,197 旦那さまでないと 分からないような… 368 00:29:19,197 --> 00:29:23,201 どこかで盗み聞きしたんだよ (忠七)そんなことは… 369 00:29:23,201 --> 00:29:28,140 女将さん わたし もう なんだか恐ろしくって… 370 00:29:28,140 --> 00:29:32,144 もし あの人が… (おとよ)忠七 どうしたんだよ 371 00:29:32,144 --> 00:29:36,148 桧屋は 今が いちばん 大事なときじゃないか 372 00:29:36,148 --> 00:29:41,153 お前が そんなことじゃ わたしゃ 一体 誰に… 373 00:29:41,153 --> 00:29:49,153 女将さん 分かりました もう余計な ご心配はかけません 374 00:29:51,163 --> 00:29:54,166 ですから 女将さんも どうか・ 375 00:29:54,166 --> 00:29:59,166 大山さまと あまり しげしげと お会いになるのは… 376 00:30:04,176 --> 00:30:11,183 忠七 わたしが好きで 大山さまに 抱かれていると思ってるの? 377 00:30:11,183 --> 00:30:13,185 あのお方のご機嫌を損じたら・ 378 00:30:13,185 --> 00:30:17,189 桧屋の店は どうなるか お前だって… 379 00:30:17,189 --> 00:30:20,192 わたしが好きなのは お前だけなんだよ 380 00:30:20,192 --> 00:30:24,196 いずれは 桧屋の主に なってもらいたいんだよ 381 00:30:24,196 --> 00:30:26,198 女将さん 382 00:30:26,198 --> 00:30:31,136 分かっとくれ わたしが好きなのは お前だけなんだ 383 00:30:31,136 --> 00:30:34,139 忠七… 384 00:30:34,139 --> 00:30:37,142 (刺す音) 385 00:30:37,142 --> 00:30:40,145 ウウ… 386 00:30:40,145 --> 00:30:59,164 ・~ 387 00:30:59,164 --> 00:31:02,167 ウオッ! 388 00:31:02,167 --> 00:31:10,175 ・~ 389 00:31:10,175 --> 00:31:14,179 思い切ったことを… 390 00:31:14,179 --> 00:31:22,187 危ないものは 芽のうちに 摘み取れとおっしゃったでしょう 391 00:31:22,187 --> 00:31:27,192 この男の代わりは いくらでもおりますから 392 00:31:27,192 --> 00:31:31,196 大山さま! 抱いて… 抱いてください! 393 00:31:31,196 --> 00:31:36,201 おとよ! (おとよ)早く! 394 00:31:36,201 --> 00:31:42,201 怖い女だ (おとよ)いや… 抱いてください 395 00:31:46,211 --> 00:31:53,211 ・~ 396 00:32:03,228 --> 00:32:06,231 ・(中盆)さあ どうぞ さあ 張っておくんなさい 397 00:32:06,231 --> 00:32:08,233 丁へいきなよ 伝蔵さん 398 00:32:08,233 --> 00:32:13,238 わしは もう伝蔵じゃありません 名無しの権兵衛になりました 丁! 399 00:32:13,238 --> 00:32:16,241 (壺振り)勝負! 400 00:32:16,241 --> 00:32:20,245 二六の丁 (笑い声) 401 00:32:20,245 --> 00:32:24,249 いやあ 妙なもんでな 何もかも 諦めると 馬鹿づきについて… 402 00:32:24,249 --> 00:32:26,251 わしゃね 賭け事なんて・ 403 00:32:26,251 --> 00:32:30,251 数えるほどしか やったことがないのに 404 00:32:38,196 --> 00:32:42,200 さあ 張った張った さあ 張っておくんなさいよ 405 00:32:42,200 --> 00:32:45,203 半… 半… 半! 半だ 406 00:32:45,203 --> 00:32:48,206 できました 勝負! 407 00:32:48,206 --> 00:32:52,210 五二の半! (伝蔵)ハハッ! 半! 408 00:32:52,210 --> 00:32:55,213 勝った! 勝った勝った 勝った! 409 00:32:55,213 --> 00:33:03,221 大山さま これでわたしは 何もかも 大山さまの言いなり 410 00:33:03,221 --> 00:33:06,224 言いなりに尽くします 411 00:33:06,224 --> 00:33:13,231 だから… だから わたしを裏切らないで 412 00:33:13,231 --> 00:33:17,235 (伝蔵)さあさあ どんどんやろう 413 00:33:17,235 --> 00:33:21,239 おっさん 諦めたっていうと? 414 00:33:21,239 --> 00:33:27,178 わしゃ もう おとよの前には 顔は出しません 415 00:33:27,178 --> 00:33:30,181 へえ… そりゃどうして また? 416 00:33:30,181 --> 00:33:37,188 せっかく墓もあることだし 桧屋の伝蔵の名前は・ 417 00:33:37,188 --> 00:33:41,192 そこに うずめてしまおうって わけですよ 418 00:33:41,192 --> 00:33:45,196 はあ ひでえな こりゃ 一天地六のどんでん返しだよ 419 00:33:45,196 --> 00:33:50,201 いやね からくりが 分かってみるとね・ 420 00:33:50,201 --> 00:33:56,207 作事奉行の大山さまが 黒幕だったんだ 421 00:33:56,207 --> 00:34:00,211 わしゃ すっかり思い出したんだ 422 00:34:00,211 --> 00:34:06,217 御用林を盗もうって話を わしは はねつけたんだ 423 00:34:06,217 --> 00:34:09,220 それで あの人は… 424 00:34:09,220 --> 00:34:18,229 おとよの奴も 大山さまに脅されて しかたなしに従ってんでしょう 425 00:34:18,229 --> 00:34:21,232 いや 今更 わしが しゃしゃり出て・ 426 00:34:21,232 --> 00:34:29,174 これ以上 おとよを苦しめちゃ かわいそうだ 427 00:34:29,174 --> 00:34:35,180 考えてみると わしは 鬼のような亭主だった 428 00:34:35,180 --> 00:34:41,186 …で あんた このまま泣き寝入りするのか? 429 00:34:41,186 --> 00:34:46,191 よう 腹立たねえのかよ こんな目に遭わされて 430 00:34:46,191 --> 00:34:53,198 本当の相手は 天下の作事奉行さまだ 431 00:34:53,198 --> 00:35:01,198 生きながら死人にされてしまった わしに 何ができます 432 00:35:06,211 --> 00:35:09,214 (大山)いい手を思いついたぞ 433 00:35:09,214 --> 00:35:15,220 やっかい事を いっぺんに片づける方法をな 434 00:35:15,220 --> 00:35:18,220 お前がやるんだ 435 00:35:22,227 --> 00:35:25,230 いやぁ… ヘヘッ! 436 00:35:25,230 --> 00:35:29,167 おい 大丈夫か? 437 00:35:29,167 --> 00:35:35,167 よう 気を落とさねえでな 気をつけて行けよ 438 00:35:39,177 --> 00:35:42,177 仕事は終わりましたな 439 00:35:44,182 --> 00:35:47,185 だけど 妙な幕だったね 440 00:35:47,185 --> 00:35:55,193 奴さんが本物の伝蔵で 悪は あの女房だって分かったのにな… 441 00:35:55,193 --> 00:36:01,199 しかし まあ 本人が 諦めたんだから それでいいか 442 00:36:01,199 --> 00:36:06,204 いや だけどな あの おとよって奴は・ 443 00:36:06,204 --> 00:36:10,208 女将さん騙したんだよな 444 00:36:10,208 --> 00:36:13,208 番頭も殺してんだ 445 00:36:15,213 --> 00:36:17,213 どういうふうにしましょうか? 446 00:36:20,218 --> 00:36:28,218 あしたね 今夜よく寝て あした考えましょう 447 00:36:42,173 --> 00:36:44,175 あんた 448 00:36:44,175 --> 00:36:58,189 ・~ 449 00:36:58,189 --> 00:37:01,189 おとよ… 450 00:37:14,205 --> 00:37:18,209 (おまき)ねえ わたしのこと好き? 451 00:37:18,209 --> 00:37:23,214 うん? うん 452 00:37:23,214 --> 00:37:29,153 あのな 吉野に行ってみねえか? 吉野… 453 00:37:29,153 --> 00:37:32,156 吉野? (政吉)ああ 454 00:37:32,156 --> 00:37:38,162 吉野によ 千本桜の桜 見に行こうよ ええ? 455 00:37:38,162 --> 00:37:43,167 桜? (政吉)ああ いいぞ 456 00:37:43,167 --> 00:37:47,171 舟にでも乗ってよ 457 00:37:47,171 --> 00:37:53,171 2人で こうしてるほうがいいよ (政吉)あのさ… 458 00:37:56,180 --> 00:37:58,182 お春 うん? 459 00:37:58,182 --> 00:38:01,185 俺が こうやって 夜ただいまって 帰ってきたら分かるか? 460 00:38:01,185 --> 00:38:04,188 何やってんの? 目だけで 目だけ 461 00:38:04,188 --> 00:38:08,192 分かるわよ なんで分かるんだ? 462 00:38:08,192 --> 00:38:11,195 においで分かんの においでね 463 00:38:11,195 --> 00:38:16,200 馬鹿なことやんないで 早く 剃って剃って はいはい 464 00:38:16,200 --> 00:38:21,205 あいてて… ちょっと痛い 465 00:38:21,205 --> 00:38:25,209 あれぇ? こんなとこに つむじがあるね お前 466 00:38:25,209 --> 00:38:28,146 そうよ 知らなかったの? 知らねえ 前から あったか? 467 00:38:28,146 --> 00:38:31,149 あんたは そういうふうに 薄情なのよね 468 00:38:31,149 --> 00:38:34,152 今度は 体中 よく じろじろ見ときます 469 00:38:34,152 --> 00:38:38,156 そういうわけじゃないのよ …たく 分かってないんだから 470 00:38:38,156 --> 00:38:41,159 よし! そーら きれいになったぞ 女っぷりも上がって 471 00:38:41,159 --> 00:38:44,162 ありがとう 472 00:38:44,162 --> 00:38:47,165 よう 頼りにしてんだから 頼むぜ 473 00:38:47,165 --> 00:38:50,168 本当にね わたしは ろくでなしと 一緒になっちゃったもんだから 474 00:38:50,168 --> 00:38:55,168 次は わき毛でも剃りますか? いいわよ もう 475 00:38:57,175 --> 00:39:00,178 おっと よし! 476 00:39:00,178 --> 00:39:04,182 じゃ 俺ちょいと ぶらっと出かけてくらぁ そう 477 00:39:04,182 --> 00:39:08,186 ちょちょちょっと! そんな物 持ってったら危ないじゃない 478 00:39:08,186 --> 00:39:13,191 あっ! ああ… 危ないな じゃ 片づけといて 479 00:39:13,191 --> 00:39:15,193 いってくらぁ はい もう帰ってこなくていいわよ 480 00:39:15,193 --> 00:39:19,197 こっちは どうせ 頼りにしてないんですから 481 00:39:19,197 --> 00:39:21,197 よっこいしょ… 482 00:39:25,203 --> 00:39:29,203 川っ縁にね… ええ? 483 00:39:31,142 --> 00:39:34,145 (源五郎)あらっ 半ちゃんじゃない ああ 源ちゃん 484 00:39:34,145 --> 00:39:37,148 そんなに急いで どこ行くのさ? うん… 485 00:39:37,148 --> 00:39:40,151 ほら あっちのほうで 人だかりがしてんだろう? あれ 486 00:39:40,151 --> 00:39:42,153 あたしと同じよ 487 00:39:42,153 --> 00:39:45,156 えっ? じゃ あれ お前の仕事か? じゃ 俺帰る 488 00:39:45,156 --> 00:39:48,159 見てよ あたしのいいところを 嫌だよ 仕事じゃ 489 00:39:48,159 --> 00:39:51,162 あたしの仕事ぶり見てて いや! 490 00:39:51,162 --> 00:39:56,167 いいじゃない さあ行こう いいよ… 491 00:39:56,167 --> 00:40:01,167 (役人)下がれ どいた どいた (源五郎)見ててね 492 00:40:07,178 --> 00:40:10,181 (刺す音) 493 00:40:10,181 --> 00:40:23,194 ・~ 494 00:40:23,194 --> 00:40:37,194 ・~ 495 00:40:43,147 --> 00:40:47,151 おとよと 大山栄之進が ぐるで仕組んだんだ 496 00:40:47,151 --> 00:40:51,151 忠七を殺ったあとで 仕組んだんだな 497 00:40:55,159 --> 00:41:00,164 これは 私が改めて お2人に依頼する仕事料 498 00:41:00,164 --> 00:41:04,168 2人で 大山栄之進を 始末してください 499 00:41:04,168 --> 00:41:08,172 先程 調べたところ秩父の御用林に 見回りに出かけたそうです 500 00:41:08,172 --> 00:41:11,175 今夜は 熊谷宿泊まりですね 501 00:41:11,175 --> 00:41:30,175 ・~ 502 00:41:48,212 --> 00:42:08,232 ・~ 503 00:42:08,232 --> 00:42:28,185 ・~ 504 00:42:28,185 --> 00:42:36,193 ・~ 505 00:42:36,193 --> 00:42:39,196 (家臣)殿! いかがなされました・ (家臣)殿! 506 00:42:39,196 --> 00:42:41,198 探せ! 探すんだ! 507 00:42:41,198 --> 00:42:46,198 殿! 殿! (家臣)おい 早く探せ! 508 00:42:48,205 --> 00:42:53,210 ・~ 509 00:42:53,210 --> 00:42:56,213 おとよちゃん 510 00:42:56,213 --> 00:42:59,216 おねえさん 511 00:42:59,216 --> 00:43:06,223 ・~ 512 00:43:06,223 --> 00:43:10,227 なぜ あなた… 513 00:43:10,227 --> 00:43:13,230 とうとう 旦那さまを自分の手で… 514 00:43:13,230 --> 00:43:15,232 しかたがなかったのよ 515 00:43:15,232 --> 00:43:17,234 ああでもしなきゃ わたしが殺されてる 516 00:43:17,234 --> 00:43:20,237 そうなる前に どうして わたしに… 517 00:43:20,237 --> 00:43:25,242 元の毎日に逆戻りするなんて 死んでも嫌だった 518 00:43:25,242 --> 00:43:28,179 伝蔵との暮らしが どんなものだったか・ 519 00:43:28,179 --> 00:43:32,183 おねえさんには 想像もできないでしょうね 520 00:43:32,183 --> 00:43:35,186 何かある度に 芸者上がりと罵られて・ 521 00:43:35,186 --> 00:43:38,189 店の者にまで小さくなって・ 522 00:43:38,189 --> 00:43:43,194 着物1枚 簪1つ 買ってもらえなかったのよ 523 00:43:43,194 --> 00:43:46,197 これだけの身代がありながら・ 524 00:43:46,197 --> 00:43:49,200 わたしは 1文のお金だって 好きに使えなかった 525 00:43:49,200 --> 00:43:54,205 夫婦の交わりだって 一緒になった当座だけで・ 526 00:43:54,205 --> 00:43:57,208 あとは ほうりっぱなし 527 00:43:57,208 --> 00:44:00,211 まるで牢屋に閉じ込められたのと 同じじゃないか! 528 00:44:00,211 --> 00:44:03,214 女房は 囚人じゃないんだ 529 00:44:03,214 --> 00:44:07,218 だから 大山さまから たくらみの相談があったとき・ 530 00:44:07,218 --> 00:44:11,222 わたし 清水の舞台から 飛び降りる気で承知したんだよ 531 00:44:11,222 --> 00:44:13,224 そんな暮らしから 逃げ出せるんだったら・ 532 00:44:13,224 --> 00:44:16,227 わたし 何でもやってやる 533 00:44:16,227 --> 00:44:20,231 おねえさん 分かって 欲でやったんじゃないんだよ 534 00:44:20,231 --> 00:44:23,234 つらい惨めな毎日から 逃げ出したかったんだよ 535 00:44:23,234 --> 00:44:28,172 でも あんた わたしを裏切った 536 00:44:28,172 --> 00:44:30,174 おねえさん 537 00:44:30,174 --> 00:44:34,178 許せない 538 00:44:34,178 --> 00:44:37,178 おねえさん… 539 00:44:39,183 --> 00:44:41,185 許して… 540 00:44:41,185 --> 00:44:47,185 おとよちゃん… 馬鹿な人 541 00:44:49,193 --> 00:44:51,193 近寄らないで 542 00:44:59,203 --> 00:45:03,207 ウッ… ウッ! ウウッ! 543 00:45:03,207 --> 00:45:06,210 嘘をついた報いを受けるのよ 544 00:45:06,210 --> 00:45:09,213 ウッ… 545 00:45:09,213 --> 00:45:29,166 ・~ 546 00:45:29,166 --> 00:45:45,166 ・~ 547 00:45:50,187 --> 00:46:10,207 ・~ 548 00:46:10,207 --> 00:46:30,161 ・~ 549 00:46:30,161 --> 00:46:50,181 ・~ 550 00:46:50,181 --> 00:47:10,201 ・~ 551 00:47:10,201 --> 00:47:24,201 ・~ 552 00:47:31,155 --> 00:47:33,157 <博打の借りは 博打で返す> 553 00:47:33,157 --> 00:47:38,162 <虚々実々の駆け引きに 仕組んだ芝居は 深い夜> 554 00:47:38,162 --> 00:47:41,165 <読めぬ心は 女の心> 555 00:47:41,165 --> 00:47:46,165 <次週 『必殺必中仕事屋稼業』 続いて… 入ります>