1 00:00:07,242 --> 00:00:13,248 <晴らせぬ恨みを晴らし 許せぬ人でなしを消す> 2 00:00:13,248 --> 00:00:17,252 <いずれも 人知れず 仕掛けて仕損じなし> 3 00:00:17,252 --> 00:00:20,255 <人呼んで 仕掛人> 4 00:00:20,255 --> 00:00:22,257 <ただし この稼業➡ 5 00:00:22,257 --> 00:00:26,257 「江戸職業づくし」には 載っていない> 6 00:00:47,282 --> 00:00:52,282 (彦七郎)んっ… あっ… ああ… 7 00:01:08,236 --> 00:01:10,236 (左内)どうなされた 8 00:01:20,248 --> 00:01:23,251 (彦七郎)行ってくれ 何でもない 9 00:01:23,251 --> 00:01:43,271 ♬~ 10 00:01:43,271 --> 00:01:49,271 ♬~ 11 00:01:51,279 --> 00:01:53,279 ≪ そりゃ! 12 00:01:58,286 --> 00:02:00,288 (浪人)うあーっ! 13 00:02:00,288 --> 00:02:02,288 (浪人)ううっ! 14 00:02:58,279 --> 00:03:03,218 (半右衛門) さて お話を伺いましょうか 15 00:03:03,218 --> 00:03:08,223 (徳兵衛)元締め その前に お引き合わせしましょう 16 00:03:08,223 --> 00:03:13,228 日本橋 南鞘町で 町医師をなさっておられる➡ 17 00:03:13,228 --> 00:03:15,230 木下玄竹先生だ 18 00:03:15,230 --> 00:03:19,234 町医師の 木下様ですな 19 00:03:19,234 --> 00:03:25,240 (徳兵衛)玄竹先生は 私のうちが 掛かりつけの お医者様でね 20 00:03:25,240 --> 00:03:30,245 まっ いわば 私たち一家の 命をお預けしているお方だ 21 00:03:30,245 --> 00:03:32,247 その玄竹先生が➡ 22 00:03:32,247 --> 00:03:37,252 実は命に関わる難儀を 背負いこまれてね 23 00:03:37,252 --> 00:03:42,257 まっ それで 元締め 頼みたいことがあって来たんだが 24 00:03:42,257 --> 00:03:46,261 こう言えば何のことだか 分かってもらえるだろう 25 00:03:46,261 --> 00:03:53,268 さあね 山形屋さん さっぱり分かりませんですね 26 00:03:53,268 --> 00:04:02,268 元締め 実はね… もう一度 頼みたいんだよ 27 00:04:05,213 --> 00:04:08,213 殺しをね 28 00:04:13,221 --> 00:04:18,221 今度は 70両で 引き受けてもらえないかね 29 00:04:20,228 --> 00:04:26,234 早速だが これは半金だ 30 00:04:26,234 --> 00:04:38,246 ♬~ 31 00:04:38,246 --> 00:04:40,248 山形屋さん 32 00:04:40,248 --> 00:04:45,253 あんたが わしに裏の稼業を お頼みになるのは これで2度目だ 33 00:04:45,253 --> 00:04:47,255 だから くどいことは申しません 34 00:04:47,255 --> 00:04:53,261 ただ 世のため 人のためになる殺しでねえと 35 00:04:53,261 --> 00:04:55,263 いいですな? 36 00:04:55,263 --> 00:04:59,267 それは もう… もちろんだよ 元締め 37 00:04:59,267 --> 00:05:03,204 おっしゃることに うそがあったら ただでは済みませんぜ 38 00:05:03,204 --> 00:05:07,208 それだけは お断りしておきますよ 39 00:05:07,208 --> 00:05:11,212 それで 相手は? 40 00:05:11,212 --> 00:05:14,215 それが浪人者なのだ ひどく腕が立つ 41 00:05:14,215 --> 00:05:18,219 ん… 相手の名前は? 42 00:05:18,219 --> 00:05:28,519 松永彦七郎… でしたね 先生 (玄竹)さようで 松永彦七郎めで 43 00:05:30,565 --> 00:05:36,237 (玄竹)以前 松永彦七郎めが 勤めていた 遠州掛川には➡ 44 00:05:36,237 --> 00:05:39,240 わしの兄弟子が 藩医を務めておったので➡ 45 00:05:39,240 --> 00:05:43,244 度々 招かれて 滞在したことがある➡ 46 00:05:43,244 --> 00:05:48,249 それで やつめとは 顔見知りの仲じゃった➡ 47 00:05:48,249 --> 00:05:52,253 当時 やつめは剣術や馬術では➡ 48 00:05:52,253 --> 00:05:56,257 藩中 並ぶ者がないとの 評判だったが➡ 49 00:05:56,257 --> 00:06:01,195 その反面 酒色に溺れ 乱暴を働き➡ 50 00:06:01,195 --> 00:06:06,195 嫁の来手もない 持て余し者だったそうで 51 00:06:09,203 --> 00:06:12,206 (玄竹)御家中の上役も怖がって➡ 52 00:06:12,206 --> 00:06:14,208 見て見ぬふりをしているのを いいことに➡ 53 00:06:14,208 --> 00:06:18,212 やつめ 同僚の新妻に思いをかけ➡ 54 00:06:18,212 --> 00:06:21,215 あるじの留守を幸い 家に押しかけ➡ 55 00:06:21,215 --> 00:06:23,215 無理無体に及ぶありさま 56 00:06:25,219 --> 00:06:29,223 (玄竹)今度ばかりは 上役も放ってはおけず➡ 57 00:06:29,223 --> 00:06:31,225 とうとう 追放になったとか➡ 58 00:06:31,225 --> 00:06:36,230 いや それがきっかけで 勤めが嫌になり 出奔したとか➡ 59 00:06:36,230 --> 00:06:41,235 やつめ 江戸へ 出てきたというわけで➡ 60 00:06:41,235 --> 00:06:44,238 そんなこととは夢にも知らず➡ 61 00:06:44,238 --> 00:06:47,241 何年ぶりかで ばったり出会った わしは➡ 62 00:06:47,241 --> 00:06:51,245 やつめを うちへ招いて もてなした 63 00:06:51,245 --> 00:06:54,248 さー それがいけなかったんだよ 元締め 64 00:06:54,248 --> 00:06:58,252 んー すると こちらの御新造に➡ 65 00:06:58,252 --> 00:07:01,189 その松永って浪人が 懸想したとでも? 66 00:07:01,189 --> 00:07:05,193 (徳兵衛)そのとおり さすが 元締めだ 察しがいい 67 00:07:05,193 --> 00:07:07,195 ほう… 68 00:07:07,195 --> 00:07:11,199 (徳兵衛)玄竹先生は つい先頃 後添えをおもらいなすったんだ➡ 69 00:07:11,199 --> 00:07:13,201 これが… (玄竹)そ… それは! 70 00:07:13,201 --> 00:07:15,203 (徳兵衛) まあ いいじゃござんせんか➡ 71 00:07:15,203 --> 00:07:20,203 御新造が 水茶屋へ 勤めていなさったころの絵姿で 72 00:07:22,210 --> 00:07:26,214 (徳兵衛)お年に似合わない艶福で まっ 羨ましいかぎりだが➡ 73 00:07:26,214 --> 00:07:28,216 これが あだになったんだから➡ 74 00:07:28,216 --> 00:07:31,219 浮世というものは 分からないもんだねえ 75 00:07:31,219 --> 00:07:36,224 うーん… まあ こういうことってのは 何ですねえ 76 00:07:36,224 --> 00:07:42,230 そのー 松永ってやつ 病気だね 77 00:07:42,230 --> 00:07:45,233 一旦 こうと思い込むと➡ 78 00:07:45,233 --> 00:07:48,236 やることが 気違いじみてくるらしいんだ 79 00:07:48,236 --> 00:07:52,240 御新造に会ってからというものは 毎日のように押しかけて➡ 80 00:07:52,240 --> 00:07:56,240 間がな隙がな 言い寄ったあげく… 81 00:07:58,246 --> 00:08:13,194 ♬~ 82 00:08:13,194 --> 00:08:16,864 《おりょう…》 83 00:08:16,864 --> 00:08:20,201 (おくら)まあ 嫌ねえ 何てやつだろ 憎らしい 84 00:08:20,201 --> 00:08:24,205 ねえ お上へ 訴えてやりゃいいのに お前さん 85 00:08:24,205 --> 00:08:27,208 訴えても駄目さ 現場を見たわけじゃなし➡ 86 00:08:27,208 --> 00:08:30,211 話だけじゃ どうにもならないよ 87 00:08:30,211 --> 00:08:34,215 フフッ ずうずうしいっていうか 恥知らずっていうか 88 00:08:34,215 --> 00:08:38,219 その浪人 その後も 度々 やって来てな➡ 89 00:08:38,219 --> 00:08:43,224 御新造に会わせろ どこへ隠しても駄目だ 90 00:08:43,224 --> 00:08:46,227 きっと 見っけだして 俺の女房にしてみせる 91 00:08:46,227 --> 00:08:48,229 いきまいてるそうだよ 92 00:08:48,229 --> 00:08:50,231 それで お前さん 引き受けたんだね? 93 00:08:50,231 --> 00:08:54,235 ん? ああ 引き受けましたよ しかたないでしょ 94 00:08:54,235 --> 00:08:58,239 やっぱり お前さんだねえ あたしゃ その男気が好きさ 95 00:08:58,239 --> 00:09:02,239 おいおい おい およしよ 真っ昼間っから いけないよ 96 00:09:08,182 --> 00:09:10,184 (梅安)さあ これで終わりだ 97 00:09:10,184 --> 00:09:14,188 あと半日もすれば もう二度と 痛むことはない 98 00:09:14,188 --> 00:09:17,191 (お美代)ありがとうございました 99 00:09:17,191 --> 00:09:19,193 すまん いやいや 100 00:09:19,193 --> 00:09:22,196 これからは 柿の木などへ 登ってはいけませんよ 101 00:09:22,196 --> 00:09:24,198 (彦次郎)はい 102 00:09:24,198 --> 00:09:26,200 柿の木は折れやすいんです ≪(おくら)まあまあ➡ 103 00:09:26,200 --> 00:09:29,203 柿の木から落ちたんですか? これは お内儀 104 00:09:29,203 --> 00:09:32,206 ああ… でっ どうなんです? 坊やの御様子 105 00:09:32,206 --> 00:09:36,210 おいおい わしがついてるんだぞ わしが 106 00:09:36,210 --> 00:09:40,214 アハッ そうね 梅安さんなら 人は悪いけど 腕は立つし 107 00:09:40,214 --> 00:09:42,216 (お美代)まあ そんな… ハッハハ… 108 00:09:42,216 --> 00:09:44,218 音羽の姉御にあっちゃ かなわんな 109 00:09:44,218 --> 00:09:47,221 じゃあ そろそろ 退散するか 110 00:09:47,221 --> 00:09:50,224 (お美代) 本当に お世話をかけました➡ 111 00:09:50,224 --> 00:09:52,226 改めて お礼に伺います 112 00:09:52,226 --> 00:09:54,228 いやいや そんな お気遣いには及ばん 113 00:09:54,228 --> 00:09:57,231 お内儀 何か? 114 00:09:57,231 --> 00:10:02,236 (ささ笛) 115 00:10:02,236 --> 00:10:08,242 ♬~ 116 00:10:08,242 --> 00:10:10,244 うまいもんですねえ 117 00:10:10,244 --> 00:10:12,246 何だか 引き入れられるような音色だ 118 00:10:12,246 --> 00:10:14,248 いや 悪い癖だ 119 00:10:14,248 --> 00:10:19,248 心を静めようと思うと つい 吹いてみたくなる 120 00:10:21,255 --> 00:10:26,260 今度の的は だいぶ きついらしいが 構いませんかえ 121 00:10:26,260 --> 00:10:31,265 殺しは いつ どんな相手でも きついものだ 122 00:10:31,265 --> 00:10:38,272 違いありません 先生も だいぶ お慣れなすった 123 00:10:38,272 --> 00:10:41,275 そんなことはない 124 00:10:41,275 --> 00:10:46,280 痩せ我慢で こうしてはいるが 胸は塞がって息苦しい 125 00:10:46,280 --> 00:10:49,283 殺しというものに 慣れはないものだな 126 00:10:49,283 --> 00:10:54,288 分かります わしも 昔は そうだった 127 00:10:54,288 --> 00:10:59,293 考えてみると 因果な仕事ですねえ 元締めも? 128 00:10:59,293 --> 00:11:05,232 ええ わしも西村さんと同じに 何度も何度も 食い詰めましてね 129 00:11:05,232 --> 00:11:08,235 死ぬ思いで はい上がって➡ 130 00:11:08,235 --> 00:11:12,239 どうやら一人前に うちを持って 仕事にかかると たたき潰される 131 00:11:12,239 --> 00:11:16,243 役人 仕事仲間 取り引き先 132 00:11:16,243 --> 00:11:20,247 フッ… 考えてみると そいつらが悪いんじゃねえ 133 00:11:20,247 --> 00:11:22,249 世の中の仕組みが➡ 134 00:11:22,249 --> 00:11:27,254 裸一貫の人間に 満足な暮らしを 立てさせねえようにできてる 135 00:11:27,254 --> 00:11:32,259 そう考えると 矢も盾も たまらなくなりましてね 136 00:11:32,259 --> 00:11:37,264 町人も同じなのだな 侍と 137 00:11:37,264 --> 00:11:42,269 一度 頼まれたやつに裏切られて しょっぴかれました 138 00:11:42,269 --> 00:11:46,273 死んだが楽と思うほどの 拷問にかけられたが➡ 139 00:11:46,273 --> 00:11:51,278 とうとう ひと言も口を割らずに 通して 島送りになりました 140 00:11:51,278 --> 00:11:55,282 そこで知り合ったのが 今の女房で 141 00:11:55,282 --> 00:11:58,285 分かったよ 元締め 142 00:11:58,285 --> 00:12:01,222 今のわしの苦しみなどは 問題にはならん 143 00:12:01,222 --> 00:12:03,224 そう言いたいのだろう 144 00:12:03,224 --> 00:12:09,230 「箱根山 かごに乗る人 担ぐ人 捨てた わらじを拾う人」 145 00:12:09,230 --> 00:12:11,232 そういう例えもございます 146 00:12:11,232 --> 00:12:16,237 まあ 人間 上を見りゃ切りがねえ 下を見ても切りがねえ 147 00:12:16,237 --> 00:12:23,237 御新造さんや お子さんのためにも うまくやっておくんなさいましよ 148 00:12:26,247 --> 00:12:31,252 (ささ笛) 149 00:12:31,252 --> 00:12:51,272 ♬~ 150 00:12:51,272 --> 00:13:03,272 ♬~ 151 00:13:08,222 --> 00:13:13,227 (彦七郎)お主は いつぞやの 152 00:13:13,227 --> 00:13:17,231 かような形で また お主に会おうとは 153 00:13:17,231 --> 00:13:20,234 松永彦七郎だな 154 00:13:20,234 --> 00:13:23,234 (彦七郎)お主も 俺を斬る気か 155 00:13:25,239 --> 00:13:33,247 まあいい その殺気からみて お主の魂胆は分かってる 156 00:13:33,247 --> 00:13:35,247 相手になろう 157 00:13:39,253 --> 00:13:59,273 ♬~ 158 00:13:59,273 --> 00:14:15,222 ♬~ 159 00:14:15,222 --> 00:14:17,222 先生! 160 00:14:26,233 --> 00:14:28,235 あの男は… 161 00:14:28,235 --> 00:14:34,235 (中根)見事な太刀筋じゃ しかも 我らと同じ剣法 162 00:14:36,243 --> 00:14:39,246 よう 左内さん 163 00:14:39,246 --> 00:14:41,248 何だ お主か 164 00:14:41,248 --> 00:14:44,251 いやに急いでるようだが どうかしたのかね 165 00:14:44,251 --> 00:14:47,254 いや… 先日は せがれが世話になった 166 00:14:47,254 --> 00:14:50,257 おかげで暴れまわっている 167 00:14:50,257 --> 00:14:55,262 お前さん ひどい汗だぜ いや… つい 急いだものだから 168 00:14:55,262 --> 00:14:59,262 ふーん… おっ 何か落っこちましたよ 169 00:15:01,201 --> 00:15:05,205 あー ハッハハ… いや いけないね 170 00:15:05,205 --> 00:15:08,208 あんなにいい御新造がありながら こんなものを ええ? 171 00:15:08,208 --> 00:15:13,213 それは俺の女ではない 木下玄竹という 町医者の女房だ 172 00:15:13,213 --> 00:15:17,217 木下玄竹だと? 知っているのか? 173 00:15:17,217 --> 00:15:19,219 同じ医者仲間だからね 174 00:15:19,219 --> 00:15:22,222 しかし 玄竹の女房は そんな いい女じゃありませんぜ 175 00:15:22,222 --> 00:15:24,224 えっ? 176 00:15:24,224 --> 00:15:28,224 いやー それどころか あばた面の お多福だぜ 177 00:15:32,232 --> 00:15:39,239 来ましたぜ 元締め あれが 木下玄竹の女房でさぁ 178 00:15:39,239 --> 00:15:45,245 どうです 力ずくでも 女房にしてえ女でもねえでしょう 179 00:15:45,245 --> 00:15:47,247 (笑い声) 180 00:15:47,247 --> 00:15:50,250 笑い事じゃ済まねえよ! 181 00:15:50,250 --> 00:15:52,252 (千蔵)すまねえ 元締め➡ 182 00:15:52,252 --> 00:15:54,254 あっしの下調べに 手落ちがあったばっかりに 183 00:15:54,254 --> 00:15:58,258 ちっきしょう 山形屋のやつに 一杯食わされたか 184 00:15:58,258 --> 00:16:00,260 (千蔵)元締め➡ 185 00:16:00,260 --> 00:16:02,196 もう一度 洗い直しを やらしておくんなせい➡ 186 00:16:02,196 --> 00:16:05,199 今度の間違えは みんな あっしの責任➡ 187 00:16:05,199 --> 00:16:07,201 罪滅ぼしをしなきゃ 男が廃る➡ 188 00:16:07,201 --> 00:16:11,201 お願えだ もう一度 やらしておくんなせい 189 00:16:13,207 --> 00:16:16,207 二度と間違えは 許されねえぞ 190 00:16:19,213 --> 00:16:21,213 (ため息) 191 00:16:30,224 --> 00:16:32,224 (おくら)お前さん 192 00:16:37,231 --> 00:16:40,234 遠州から届いた新茶よ 193 00:16:40,234 --> 00:16:43,234 香りが逃げないうちに 召し上がって 194 00:16:45,239 --> 00:16:48,242 お酒にしましょうか 気を遣わなくてもいい 195 00:16:48,242 --> 00:16:50,242 だって… 196 00:16:52,246 --> 00:16:54,246 (ため息) 197 00:16:57,251 --> 00:17:02,189 ねえ お前さん 余計な口出しかもしれないけど➡ 198 00:17:02,189 --> 00:17:04,191 事前に分かったんだから いいじゃないか 199 00:17:04,191 --> 00:17:06,193 そんなに くよくよしなくったって 200 00:17:06,193 --> 00:17:10,197 いいや この仕事には どんな小さな間違いも➡ 201 00:17:10,197 --> 00:17:14,201 許されねえんだ 人の命が懸かってんだからな 202 00:17:14,201 --> 00:17:16,203 そりゃ分かってます 分かってたら言うなよ 203 00:17:16,203 --> 00:17:22,209 でも… 針の山か さいの河原でも 渡らされてるように➡ 204 00:17:22,209 --> 00:17:29,216 自分を責める お前さんを見てると 私まで体中が痛くなって 205 00:17:29,216 --> 00:17:35,222 おくら 俺は ただ くよくよしてるんじゃねえんだぜ 206 00:17:35,222 --> 00:17:39,226 えっ? 済んだことは済んだことだが➡ 207 00:17:39,226 --> 00:17:42,229 一杯食わしやがった 山形屋のことを考えると➡ 208 00:17:42,229 --> 00:17:45,232 俺は もう 腹ん中が煮えくり返ってんだ 209 00:17:45,232 --> 00:17:47,234 お前さん… 210 00:17:47,234 --> 00:17:50,234 殺しても飽き足りねえやつだ 211 00:18:01,181 --> 00:18:04,184 (仲居) あらー 千ちゃんじゃないの 212 00:18:04,184 --> 00:18:06,186 (千蔵)いやー アッハハ… 213 00:18:06,186 --> 00:18:11,191 (仲居)久しぶりね 随分 お見限りで 憎らしい人 214 00:18:11,191 --> 00:18:14,194 (千蔵)あ痛てて… そう邪険にするなよ 215 00:18:14,194 --> 00:18:16,196 会いに来たくたって こう 構えが立派じゃ➡ 216 00:18:16,196 --> 00:18:18,198 裏から呼び出すには 気が引けてよう 217 00:18:18,198 --> 00:18:20,200 入るよ 入るよ 218 00:18:20,200 --> 00:18:24,200 どっか空き部屋1つ 潰してくれるか うん 219 00:18:26,206 --> 00:18:28,208 (女性) お客様が おみえになりました 220 00:18:28,208 --> 00:18:31,208 (安斎)うん これへ (女性)はい 221 00:18:35,215 --> 00:18:38,218 遅くなりまして 申し訳ございません 222 00:18:38,218 --> 00:18:42,218 挨拶はよい これへ (徳兵衛)はい 223 00:18:47,227 --> 00:18:49,229 (友次郎)山形屋 早速だが➡ 224 00:18:49,229 --> 00:18:52,232 松永彦七郎の始末は どうなったのだ? 225 00:18:52,232 --> 00:18:55,235 (徳兵衛) はい 御念には及びませぬ➡ 226 00:18:55,235 --> 00:18:57,237 確実な手を打ってございます 227 00:18:57,237 --> 00:18:59,239 手を打っただけでは 何にもならぬ! 228 00:18:59,239 --> 00:19:01,175 いつ 始末するかと 聞いておるのだ 229 00:19:01,175 --> 00:19:07,181 さあ それは… そちら様で 今までに 3度しくじり➡ 230 00:19:07,181 --> 00:19:11,185 4人まで手にかけられた というほどの手だれ 231 00:19:11,185 --> 00:19:15,189 そう今日の明日のというわけには まいりませぬ 232 00:19:15,189 --> 00:19:21,195 しかし 10日… と待つことはございますまい 233 00:19:21,195 --> 00:19:24,198 必ず しとめられるのだな? 234 00:19:24,198 --> 00:19:30,204 それは もう… 私の頼んだ男は 前に一度 試したことがございます 235 00:19:30,204 --> 00:19:33,207 どのような手だてを 用いましょうとも➡ 236 00:19:33,207 --> 00:19:38,212 必ず 息の根を止めずには おきませぬ 237 00:19:38,212 --> 00:19:43,217 (友次郎)そのような便利な男が いるものですかな 父上 238 00:19:43,217 --> 00:19:48,222 広い江戸の中だ さまざまな人間が泳いでいる 239 00:19:48,222 --> 00:19:55,229 おっ 友次郎 これから先の話は お前に関わりが薄い 240 00:19:55,229 --> 00:19:59,233 座を外しなさい (友次郎)はっ 241 00:19:59,233 --> 00:20:01,233 矢野 242 00:20:11,245 --> 00:20:14,248 御用心のよろしいことで 243 00:20:14,248 --> 00:20:19,253 妾腹だが わしにとっては たった一人の息子 244 00:20:19,253 --> 00:20:23,257 気遣われてならん 山形屋 245 00:20:23,257 --> 00:20:26,260 (徳兵衛)はい (安斎)その方の頼んだ先から➡ 246 00:20:26,260 --> 00:20:29,263 万に一つも 秘密の 漏れるようなことはあるまいな 247 00:20:29,263 --> 00:20:31,265 もちろんでございます 248 00:20:31,265 --> 00:20:34,268 そのためには 玄竹先生にも同道していただき➡ 249 00:20:34,268 --> 00:20:39,273 作り話で うまく まとめ上げてございます 250 00:20:39,273 --> 00:20:43,277 わしもな 法眼の位を持ち➡ 251 00:20:43,277 --> 00:20:48,282 奥詰医師として 将軍家の お脈を拝す身 252 00:20:48,282 --> 00:20:51,285 つまらぬうわさから いささかも➡ 253 00:20:51,285 --> 00:20:55,289 体面に関わるようなことに なっては困る 254 00:20:55,289 --> 00:21:00,294 (小えん)おかみさん! (女性)小えんちゃん どうしたの 255 00:21:00,294 --> 00:21:03,230 (小えん)ねえ 何とかしてくださいよ あのお客 256 00:21:03,230 --> 00:21:05,232 嫌らしいことばっかり 257 00:21:05,232 --> 00:21:07,234 あんた 確か 法眼様のお座敷だったはずよ 258 00:21:07,234 --> 00:21:09,236 ええ お城勤めの お医者様だからと思って➡ 259 00:21:09,236 --> 00:21:12,239 安心して 行ったんですよ そしたら 別の間に➡ 260 00:21:12,239 --> 00:21:14,241 息子様だっていう 若いお侍が飲んでいて 261 00:21:14,241 --> 00:21:17,244 そんなこと しょうがないでしょう お客様の都合だから 262 00:21:17,244 --> 00:21:19,246 でも いきなり 気に入った 言うことを聞け➡ 263 00:21:19,246 --> 00:21:21,248 後で悪いようにしないって 264 00:21:21,248 --> 00:21:23,250 お供のお侍が 助けてくれるかと思ったら➡ 265 00:21:23,250 --> 00:21:25,252 ぷいと廊下へ出てしまって 266 00:21:25,252 --> 00:21:27,254 私 やっとのことで 逃げてきたんですよ 267 00:21:27,254 --> 00:21:29,256 ねえ 何とかしてくださいよ (手をたたく音) 268 00:21:29,256 --> 00:21:32,259 ≪(友次郎)誰か おらんか! (手をたたく音) 269 00:21:32,259 --> 00:21:36,263 ≪(友次郎)おかみ! (女性)はい ハァ… 困ったわねえ 270 00:21:36,263 --> 00:21:38,265 あんただって 昨日今日の芸者勤めじゃなし➡ 271 00:21:38,265 --> 00:21:41,268 何とか うまく あしらえないの? 272 00:21:41,268 --> 00:21:44,271 んー うちにとっちゃ 大切なお客様だっていうのに 273 00:21:44,271 --> 00:21:46,271 ≪ おい おかみ えっ? 274 00:21:48,275 --> 00:21:50,277 その子は もらいが掛かって 次のお座敷ってことで➡ 275 00:21:50,277 --> 00:21:55,282 こっちに回してくれねえか (女性)ええ… でも… 276 00:21:55,282 --> 00:21:58,285 そっちは お初だが こっちは おなじみだとか➡ 277 00:21:58,285 --> 00:22:00,287 何とか うまく言ってよ いいだろう? 278 00:22:00,287 --> 00:22:05,225 (友次郎)おかみー! どうした! 呼んでおるのに 出てこんか! 279 00:22:05,225 --> 00:22:07,227 さあ 入った 入った 280 00:22:07,227 --> 00:22:10,230 まあまあ どうなすったんでございます 281 00:22:10,230 --> 00:22:12,232 小えん! (女性)相すいません 282 00:22:12,232 --> 00:22:14,234 あの のっぴきならないお客様で➡ 283 00:22:14,234 --> 00:22:16,236 小えんは すぐに連れてまいりますが➡ 284 00:22:16,236 --> 00:22:18,238 どうぞ ちょっと お待ちになってくださいませ➡ 285 00:22:18,238 --> 00:22:21,241 すぐに連れてまいりますから 286 00:22:21,241 --> 00:22:26,246 すいません 御迷惑おかけして なーに なーに いいんだよ 287 00:22:26,246 --> 00:22:29,249 千蔵 (千蔵)やりますなあ 先生 288 00:22:29,249 --> 00:22:31,251 そう思ったら さっさと消えちまったらどうだ 289 00:22:31,251 --> 00:22:34,254 おなじみさんも さっきから じれてる御様子だぜ 290 00:22:34,254 --> 00:22:38,258 まあ 嫌ですよ 先生 からかっちゃ 291 00:22:38,258 --> 00:22:43,263 アッハ… 分かりました ねえ 行きましょう 292 00:22:43,263 --> 00:22:47,267 聞くだけ聞きゃ 用なしらしいぜ それじゃ ちょいと しけこむか 293 00:22:47,267 --> 00:22:51,271 へい ごゆっくり 294 00:22:51,271 --> 00:22:54,274 あっ それそれ (仲居)あっ はい 295 00:22:54,274 --> 00:22:57,274 先生 頂いていきますよ 296 00:23:00,280 --> 00:23:03,216 いいんですか 何だか お邪魔したみたい 297 00:23:03,216 --> 00:23:07,220 なになに 聞くだけ聞きゃ 用のねえ連中だ 298 00:23:07,220 --> 00:23:09,222 んっ すいません 299 00:23:09,222 --> 00:23:13,226 ところで お前さん 法眼様のお座敷だって? 300 00:23:13,226 --> 00:23:16,229 ええ お城勤めの 金子安斎様 301 00:23:16,229 --> 00:23:18,231 あのお方 とっても品のいい お年寄りなんですけど 302 00:23:18,231 --> 00:23:21,234 うん 息子さんて方は それはもう➡ 303 00:23:21,234 --> 00:23:23,236 初めて会って いきなりでしょ 304 00:23:23,236 --> 00:23:26,239 初めてだからって そう毛嫌いすることはねえだろう 305 00:23:26,239 --> 00:23:30,243 一目ぼれってこともあるんだ 306 00:23:30,243 --> 00:23:33,246 例えば この俺だ しがねえ はり医者だが➡ 307 00:23:33,246 --> 00:23:35,248 気が置けねえのと 実があることにかけちゃ➡ 308 00:23:35,248 --> 00:23:37,248 誰にも負けねえつもりだ 309 00:23:41,254 --> 00:23:43,256 一目ぼれしたって言ったら どうする? 310 00:23:43,256 --> 00:23:46,259 あら 御冗談ばっかり 311 00:23:46,259 --> 00:23:50,263 そうかい 信じてもらえねえとすると➡ 312 00:23:50,263 --> 00:23:52,265 何か証拠を 見せなくっちゃいけねえな 313 00:23:52,265 --> 00:23:56,269 まず 医者の腕の方からいこうか 314 00:23:56,269 --> 00:24:03,210 おや お前さん 冷え性だね 肩が凝る 寝つきが悪い 315 00:24:03,210 --> 00:24:07,214 冬場は腰が冷えて はばかりが近くなる 316 00:24:07,214 --> 00:24:10,217 あら よく分かるんですわね 317 00:24:10,217 --> 00:24:14,221 実は そう この2~3日 肩は凝るし 腰は重いし 318 00:24:14,221 --> 00:24:16,223 そうだろう そうだろう 319 00:24:16,223 --> 00:24:20,227 そこで俺が はりを打つと たちどころに治るからな 320 00:24:20,227 --> 00:24:24,227 まず 腕試しといこうかい さあ 横になった 横になった 321 00:24:26,233 --> 00:24:30,233 気持ちを楽にしてな ええ 322 00:24:32,239 --> 00:24:34,239 さてと 323 00:24:37,244 --> 00:24:41,244 (千蔵)先生 梅安先生? 324 00:24:43,250 --> 00:24:46,250 もう帰りましょうよ 325 00:24:48,255 --> 00:24:51,555 あれ? どうしちゃったんだ 326 00:24:53,593 --> 00:24:58,265 (小えん)あ… う… 気持ちいい 327 00:24:58,265 --> 00:25:01,201 ≪(千蔵)先生ったら いねえんですかい? 328 00:25:01,201 --> 00:25:03,203 うるせえ! てめえが済んだからって➡ 329 00:25:03,203 --> 00:25:05,203 そう せっつくな 330 00:25:07,207 --> 00:25:11,211 こっちは これからが いいとこなんだ 331 00:25:11,211 --> 00:25:15,215 どうだ こう押すと… 332 00:25:15,215 --> 00:25:18,218 ああ… ああ… とっても たまんない 333 00:25:18,218 --> 00:25:24,224 ヘッヘヘ そうだろう じゃあ こう押すと… 334 00:25:24,224 --> 00:25:30,230 ああ… あ… もうやめて ねえ 早く… 335 00:25:30,230 --> 00:25:38,238 うん? うん… 早く? 早く どうしてほしいんだい 336 00:25:38,238 --> 00:25:41,241 ああっ あ… 意地悪… ハハハ… 337 00:25:41,241 --> 00:25:45,245 んっ… ああ… ああ… 338 00:25:45,245 --> 00:25:50,250 もう そんなになっちまったのか ええ? ハッハハ… 339 00:25:50,250 --> 00:25:56,250 ヘッヘヘ… うまくやってやがるよ 340 00:25:58,258 --> 00:26:04,197 何してんの 千ちゃん (千蔵)うるさい 待ってろ 待って… 341 00:26:04,197 --> 00:26:06,197 あっ 痛てて… (仲居)嫌っ! 342 00:26:08,201 --> 00:26:11,204 (千蔵)あー 痛て あ痛っ あー (仲居)どうしたの? ねえ 343 00:26:11,204 --> 00:26:15,208 足の親指で 人の目 突きやがった (仲居)目? あっ 大丈夫? 344 00:26:15,208 --> 00:26:17,208 (千蔵)しょうがねえな 345 00:26:21,214 --> 00:26:25,218 (千蔵)もう一度 やんながら ゆっくり待つとしようか➡ 346 00:26:25,218 --> 00:26:30,223 フフフ… (仲居)好きねえ あんたって 347 00:26:30,223 --> 00:26:32,223 行こう ねえ (千蔵)行く 348 00:26:56,249 --> 00:27:02,188 わしはな 今んなって道に迷うておる 349 00:27:02,188 --> 00:27:05,191 はっ? 350 00:27:05,191 --> 00:27:10,196 剣の道じゃ (彦七郎)剣の道? 351 00:27:10,196 --> 00:27:14,200 わしは この年まで 剣一筋に生きてきた 352 00:27:14,200 --> 00:27:19,205 剣で人が磨かれ つくられると 信じてきた 353 00:27:19,205 --> 00:27:24,210 そして 何人かの若者たちに 剣を教えてきた 354 00:27:24,210 --> 00:27:28,214 心血を注いだ しかし 今➡ 355 00:27:28,214 --> 00:27:34,220 わしが手塩にかけて育てた 若者たちは どうしているか➡ 356 00:27:34,220 --> 00:27:38,224 掛川で右に出る者がないと うたわれた お前でさえも➡ 357 00:27:38,224 --> 00:27:43,229 今は禄に離れ 命の取り合い 358 00:27:43,229 --> 00:27:47,233 剣は人を殺すだけの すべだったのであろうか 359 00:27:47,233 --> 00:27:49,233 先生 360 00:27:51,237 --> 00:27:56,242 わしは お前を 責めておるのではないぞ 361 00:27:56,242 --> 00:28:01,181 尾羽打ち枯らしたのは わしとて同様 362 00:28:01,181 --> 00:28:06,186 自分の力で その日の糧を 得ることもできず➡ 363 00:28:06,186 --> 00:28:11,191 こんな所で み仏の慈悲にすがって生きておる 364 00:28:11,191 --> 00:28:15,195 このような姿は わしたちだけではない 365 00:28:15,195 --> 00:28:22,195 剣の道をたどった者の多くが 同じような運命にさらされておる 366 00:28:24,204 --> 00:28:31,211 剣の道とは何であったか 若者たちに剣を教えたことが➡ 367 00:28:31,211 --> 00:28:36,211 果たして 良いことであったかどうか 368 00:28:42,222 --> 00:28:45,222 (左内)《それ! でえーっ!》 369 00:28:48,228 --> 00:28:53,233 (ささ笛) 370 00:28:53,233 --> 00:29:00,240 ♬~ 371 00:29:00,240 --> 00:29:02,240 ≪(中根)《左内》 372 00:29:05,178 --> 00:29:07,178 《先生》 373 00:29:12,185 --> 00:29:15,188 《私は剣の道を究めて 江戸へ出ます》 374 00:29:15,188 --> 00:29:18,191 《そうか よし》 375 00:29:18,191 --> 00:29:30,191 ♬~ 376 00:29:33,206 --> 00:29:39,212 (ささ笛) 377 00:29:39,212 --> 00:29:41,214 待て 378 00:29:41,214 --> 00:29:46,219 (ささ笛) 379 00:29:46,219 --> 00:29:50,223 ♬~ 380 00:29:50,223 --> 00:29:52,225 また あの男が 381 00:29:52,225 --> 00:29:57,225 あの ささ笛の音色には 殺気がない 382 00:30:00,233 --> 00:30:03,233 あの ささ笛は… 383 00:30:06,239 --> 00:30:09,242 今度こそ 間違いねえんだろうな 384 00:30:09,242 --> 00:30:12,245 (千蔵)へい そりゃ もう あっしも岬の千蔵 385 00:30:12,245 --> 00:30:14,247 抜けたところも多いけど➡ 386 00:30:14,247 --> 00:30:17,247 ここぞという つぼだけは 外しやしませんよ 387 00:30:19,252 --> 00:30:22,255 松永って浪人の素性は? 388 00:30:22,255 --> 00:30:25,258 山形屋が抜かしたこととは 月とすっぽん 389 00:30:25,258 --> 00:30:30,263 遠州掛川の藩では 実直無類と評判の人物でしてね 390 00:30:30,263 --> 00:30:33,266 その妹で みねという者が➡ 391 00:30:33,266 --> 00:30:36,269 嫁ぎ先からの 初めての里帰りの途中➡ 392 00:30:36,269 --> 00:30:41,274 同じ藩中の 原田友次郎ってやつに 襲われましてね 393 00:30:41,274 --> 00:30:44,277 その屋敷に連れ込まれ… 394 00:30:44,277 --> 00:30:46,277 (みね)《あっ!》 395 00:30:49,282 --> 00:30:51,284 (みね)《誰か! あっ…》 396 00:30:51,284 --> 00:31:03,229 ♬~ 397 00:31:03,229 --> 00:31:05,231 (みね)《ああっ ああーっ!》 398 00:31:05,231 --> 00:31:07,233 (数馬)《みね!》 (家士)《待てー!》 399 00:31:07,233 --> 00:31:13,239 (数馬)《みね! みねーっ!》 400 00:31:13,239 --> 00:31:15,241 (家士)《無礼でござる! 他人の屋敷へ無断で》 401 00:31:15,241 --> 00:31:17,243 (数馬)《みねーっ!》 (家士)《ああっ!》 402 00:31:17,243 --> 00:31:19,245 (数馬)《みね! みね…》 403 00:31:19,245 --> 00:31:23,249 (数馬)《おのれ 原田》 404 00:31:23,249 --> 00:31:25,251 《みねを どこへやった?》 405 00:31:25,251 --> 00:31:41,267 ♬~ 406 00:31:41,267 --> 00:31:45,267 《みね! みね!?》 407 00:31:47,273 --> 00:31:50,276 《騒がん方が お互いのためだろう》 408 00:31:50,276 --> 00:31:55,281 《もう済んでしまったことだ いささか乱暴だったが》 409 00:31:55,281 --> 00:31:57,283 《この償いは 改めてする》 410 00:31:57,283 --> 00:31:59,283 《償い?》 411 00:32:02,221 --> 00:32:08,227 《人一人あやめておいて どう償うつもりだ!》 412 00:32:08,227 --> 00:32:10,229 《しまった》 413 00:32:10,229 --> 00:32:14,233 《みねの敵 尋常に立ち合え》➡ 414 00:32:14,233 --> 00:32:17,236 《うあっ! うあ… ああーっ!》 415 00:32:17,236 --> 00:32:21,240 (友次郎) 《死ね! みんな死ね!》➡ 416 00:32:21,240 --> 00:32:24,240 《みんな死ねーっ!》 417 00:32:28,247 --> 00:32:30,249 (千蔵)それを 松永が知ったのは➡ 418 00:32:30,249 --> 00:32:34,253 原田友次郎が 出奔したあとでしてね 419 00:32:34,253 --> 00:32:36,255 妹の あだは逆縁 420 00:32:36,255 --> 00:32:39,258 敵討ちも許されねえうえに この友次郎ってやつ➡ 421 00:32:39,258 --> 00:32:43,262 実は 奥詰医師の法眼… 金子安斎ってやつが➡ 422 00:32:43,262 --> 00:32:45,264 めかけに産ませた者で 423 00:32:45,264 --> 00:32:47,266 江戸へ逃げ帰った せがれをかばって➡ 424 00:32:47,266 --> 00:32:49,268 おやじの安斎は➡ 425 00:32:49,268 --> 00:32:54,273 金で雇った浪人どもに 何度も松永を 襲わせてるんですよ 426 00:32:54,273 --> 00:32:58,277 山形屋と医者の玄竹とは その ぐるですわ 427 00:32:58,277 --> 00:33:01,214 欲で つながってやがるんですよ 428 00:33:01,214 --> 00:33:06,214 よーし 分かった 429 00:33:19,232 --> 00:33:32,245 ♬~ 430 00:33:32,245 --> 00:33:35,248 (彦七郎)「両国の川開き 花火の上がる時刻➡ 431 00:33:35,248 --> 00:33:38,251 弁天河岸まで おいで乞う」➡ 432 00:33:38,251 --> 00:33:41,251 「原田友次郎に お引き合わせいたします」 433 00:33:49,262 --> 00:33:52,262 行くのか? 434 00:33:55,268 --> 00:34:00,273 危ないなあ わなかもしれんぞ 435 00:34:00,273 --> 00:34:02,208 たとえ わなでも➡ 436 00:34:02,208 --> 00:34:05,878 それが本懐を遂げるきっかけに つながるかもしれません 437 00:34:05,878 --> 00:34:07,880 行ってみます 438 00:34:07,880 --> 00:34:11,217 (子供)花火だ 花火だ! わーい 花火を見に行くんだー! 439 00:34:11,217 --> 00:34:13,219 (子供)おいらもだ さっ 早く行こう! 440 00:34:13,219 --> 00:34:16,219 (子供)おいらも 花火 見に行くんだー! 441 00:34:18,224 --> 00:34:21,227 御新造さん 支度できました? 442 00:34:21,227 --> 00:34:25,231 おい お内儀が迎えにみえた はい ただいま 443 00:34:25,231 --> 00:34:29,235 すみませぬ この子が行水を嫌がって 444 00:34:29,235 --> 00:34:32,238 いいんですよ 大川は そう遠くないし 445 00:34:32,238 --> 00:34:34,240 あっ 先生は 一足先に おいでになってくださいな➡ 446 00:34:34,240 --> 00:34:36,242 うちの人は 梅安さんのうちで 待ってますから 447 00:34:36,242 --> 00:34:40,246 うん そうしよう お内儀 家内と子供を よろしく頼みます 448 00:34:40,246 --> 00:34:42,248 ええ いいですとも 449 00:34:42,248 --> 00:34:47,253 あっ 向こうで落ち合いましょうよ うちの人が場所を知ってますから 450 00:34:47,253 --> 00:34:50,253 先に行くぞ (お美代)いってらっしゃいませ 451 00:34:55,261 --> 00:34:57,263 (友次郎)フッ 来いや 来い ハッハハ… 452 00:34:57,263 --> 00:34:59,265 (小えん)あっ 危のうございますよ お気をつけにならないと 453 00:34:59,265 --> 00:35:04,203 あー 舟までは酔い覚ましだ 舟に乗ったら しらふになるぞ 454 00:35:04,203 --> 00:35:06,205 (笑い声) 455 00:35:06,205 --> 00:35:08,207 (友次郎)うー これ これ 456 00:35:08,207 --> 00:35:13,212 (友次郎の笑い声) 457 00:35:13,212 --> 00:35:18,217 あれですよ お城医者の ばか息子 うん 458 00:35:18,217 --> 00:35:22,217 お前は次の段取り 抜かりなくやれ へい 459 00:35:28,227 --> 00:35:30,229 (お美代)さっきまでの人混みが うそのよう 460 00:35:30,229 --> 00:35:34,233 ここなら はぐれっこありませんよ 男衆とも はい 461 00:35:34,233 --> 00:35:36,235 ありがとう (お美代)まあ すみません➡ 462 00:35:36,235 --> 00:35:38,237 いつも いつも (おくら)いえ いいんですよ 463 00:35:38,237 --> 00:35:43,242 私たち 子供が大好きなのに 神様のお恵みがなくって 464 00:35:43,242 --> 00:35:49,248 私たち まるで夢のようです つい この間までのことを思うと 465 00:35:49,248 --> 00:35:52,251 こうして 花火見物などできて 466 00:35:52,251 --> 00:35:55,254 (おくら)そりゃ いい旦那様を お持ちですもの 467 00:35:55,254 --> 00:36:00,259 先生は お人柄もよろしいうえに 腕は立つし 468 00:36:00,259 --> 00:36:07,200 いいえ 何もかも 元締めさんや あなた様のおかげです 469 00:36:07,200 --> 00:36:11,204 剣術だけでは 生きていけぬ世の中と➡ 470 00:36:11,204 --> 00:36:13,206 思っておりましたのに 471 00:36:13,206 --> 00:36:17,210 おかげさまで 道場の師範役などという➡ 472 00:36:17,210 --> 00:36:20,213 結構な お仕事を お世話願いました➡ 473 00:36:20,213 --> 00:36:25,885 夫も どんなに喜んでおりますことか 474 00:36:25,885 --> 00:36:30,185 さあ あの舟ですよ どうぞ 475 00:36:37,230 --> 00:36:41,234 さあ 手を出せ 助けてやろう (小えん)はい 476 00:36:41,234 --> 00:36:43,236 あっ 大変 私 紙入れ 忘れてしまった 477 00:36:43,236 --> 00:36:46,239 行って 取ってきます (友次郎)お… おい! 478 00:36:46,239 --> 00:36:48,241 紙入れなど… (小えん)先 行っててください➡ 479 00:36:48,241 --> 00:36:50,243 すぐ行きますから 480 00:36:50,243 --> 00:36:54,247 おい 矢野 連れてこい! (矢野)はっ 481 00:36:54,247 --> 00:36:57,250 (友次郎)おおっ… こやつ なぜ 舟を出す 482 00:36:57,250 --> 00:37:00,253 小えんが まだ 来ておらんではないか! 483 00:37:00,253 --> 00:37:02,188 ねえさんが先に行けってね 484 00:37:02,188 --> 00:37:05,191 何ぃ… 485 00:37:05,191 --> 00:37:08,194 小えん! 小えん! 486 00:37:08,194 --> 00:37:12,198 何者だ 貴様! (友次郎)船頭 舟を止めんか! 487 00:37:12,198 --> 00:37:29,215 ♬~ 488 00:37:29,215 --> 00:37:34,220 お前は まだ連れていく所がある 引っ込んでろ! 489 00:37:34,220 --> 00:37:54,240 ♬~ 490 00:37:54,240 --> 00:38:00,246 ♬~ 491 00:38:00,246 --> 00:38:07,246 さあ 降りろ 降りるんだ さあ 降りろ 492 00:38:15,194 --> 00:38:17,196 はっ! 493 00:38:17,196 --> 00:38:23,202 原田友次郎 久しぶりだな 494 00:38:23,202 --> 00:38:30,209 逆縁ながら 妹 みねの敵 命はもらうぞ 495 00:38:30,209 --> 00:38:32,211 (友次郎)は… 謀ったな 496 00:38:32,211 --> 00:38:35,211 冥土で妹にわびろ 497 00:38:40,219 --> 00:38:43,219 (友次郎)うっ! ううっ! 498 00:38:45,224 --> 00:38:47,224 (友次郎)ううっ! 499 00:39:10,182 --> 00:39:12,184 お主は… 500 00:39:12,184 --> 00:39:14,184 ≪(中根)左内 501 00:39:16,188 --> 00:39:22,194 西村左内 そうであったな 502 00:39:22,194 --> 00:39:26,194 いや お人違いでしょう 503 00:39:28,200 --> 00:39:31,200 私は しがない船頭です 504 00:39:34,206 --> 00:39:39,211 そうか 船頭か 505 00:39:39,211 --> 00:39:47,219 ささ笛の音色 忘れんぞ 気をつけてゆけよ 506 00:39:47,219 --> 00:40:06,238 ♬~ 507 00:40:06,238 --> 00:40:13,238 御苦労だったね では 後金の 35両 508 00:40:27,259 --> 00:40:31,263 へい 確かに 509 00:40:31,263 --> 00:40:35,267 くどいようだが もう一度 念を押すよ 510 00:40:35,267 --> 00:40:38,270 殺しは確かにやってくれたんだね やりましたよ 511 00:40:38,270 --> 00:40:41,273 人様の女房に 手を出したあげく➡ 512 00:40:41,273 --> 00:40:43,275 あくどいまねを するようなやつは➡ 513 00:40:43,275 --> 00:40:48,280 生かしておいて 世のため 人のためになりませんからね 514 00:40:48,280 --> 00:40:53,285 (ささ笛) 515 00:40:53,285 --> 00:40:57,289 ♬~ 516 00:40:57,289 --> 00:41:03,289 ついては 山形屋さん 折り入って 話があるんですがね 517 00:41:07,233 --> 00:41:09,235 そいじゃ わしは… 518 00:41:09,235 --> 00:41:14,235 あの 向こうのお座敷の方と 話してくるから 519 00:41:23,249 --> 00:41:25,251 おや 玄竹さん 520 00:41:25,251 --> 00:41:29,255 うん? 何だい はり医の梅安じゃないか 521 00:41:29,255 --> 00:41:34,260 はい どうも お久しぶりで お元気そうで 何よりでございます 522 00:41:34,260 --> 00:41:38,264 御新造さんも相変わらずで? ああ 何の変わりもないよ 523 00:41:38,264 --> 00:41:42,268 わしはな ちょっと 向こうの座敷に用あるからな あっ 524 00:41:42,268 --> 00:41:45,271 金子安斎先生にですか 525 00:41:45,271 --> 00:41:53,279 何? お前 どうして それを… 526 00:41:53,279 --> 00:41:56,282 知ってる訳は これさ 527 00:41:56,282 --> 00:41:59,285 な… 何をするんだ! あ… うう… 528 00:41:59,285 --> 00:42:13,232 ♬~ 529 00:42:13,232 --> 00:42:16,232 悪行の報いだ 530 00:42:19,238 --> 00:42:23,242 仲間と一緒に 行くところへ行きやがれ 531 00:42:23,242 --> 00:42:26,245 向こうへ着くまでは もつはずだ 532 00:42:26,245 --> 00:42:28,245 お大事に 533 00:42:36,255 --> 00:42:40,259 (安斎)玄竹 玄竹! 玄竹! 534 00:42:40,259 --> 00:42:48,267 誰か! 誰かおらぬか! 玄竹が 大変だぞ! 535 00:42:48,267 --> 00:42:50,269 (騒ぐ声) 536 00:42:50,269 --> 00:42:52,271 (徳兵衛)何だい 何事だ 537 00:42:52,271 --> 00:42:57,276 玄竹先生がね 卒中で亡くなられたんですよ 538 00:42:57,276 --> 00:43:01,213 卒中? まさか… 539 00:43:01,213 --> 00:43:04,216 奥詰御医師の 金子安斎先生の お診立てだ 540 00:43:04,216 --> 00:43:07,219 間違いありませんよ 541 00:43:07,219 --> 00:43:10,222 元締め 何のこった 一体 542 00:43:10,222 --> 00:43:14,226 いやぁ… 今夜は よく卒中で 人の亡くなる晩だ 543 00:43:14,226 --> 00:43:20,232 玄竹先生に 原田友次郎 用心棒の矢野とかいうお侍 544 00:43:20,232 --> 00:43:25,237 それに… 山形屋 545 00:43:25,237 --> 00:43:28,240 お前さんもな 546 00:43:28,240 --> 00:43:31,243 元締め! 金子先生もと思ったが➡ 547 00:43:31,243 --> 00:43:35,247 後で病気の口裏を 合わせてもらいますんでね 548 00:43:35,247 --> 00:43:38,247 今度は辛抱しておきますよ 549 00:43:40,252 --> 00:43:44,256 待たれ 元締め これには訳が… 550 00:43:44,256 --> 00:43:47,259 今更 訳なんか聞きたかねえ! 551 00:43:47,259 --> 00:43:51,263 お前さんには 2度も そう断ったはずだぜ 552 00:43:51,263 --> 00:43:53,265 生きていても しかたのねえ➡ 553 00:43:53,265 --> 00:43:57,269 生かしておいては 世のため 人のためにならねえ人でねえと➡ 554 00:43:57,269 --> 00:44:02,207 殺さねえ 誰をどう殺すかは こっち任せだってね 555 00:44:02,207 --> 00:44:06,211 元締め 悪かった わしが悪かった! 556 00:44:06,211 --> 00:44:12,211 さあ しなかった殺しの金は お返ししますよ 557 00:44:18,223 --> 00:44:25,223 前金の35両 後金と一緒に お納めくださいましよ 558 00:44:34,239 --> 00:44:37,242 さあ 559 00:44:37,242 --> 00:44:39,242 要らねえ… 560 00:44:43,248 --> 00:44:47,248 要らねえ… 要らねえ! 561 00:44:52,257 --> 00:44:57,262 か… 勘弁してくれ… 許してくれ… 562 00:44:57,262 --> 00:45:11,210 ♬~ 563 00:45:11,210 --> 00:45:13,210 さあ 564 00:45:16,215 --> 00:45:18,215 嫌だ… 565 00:45:20,219 --> 00:45:24,219 あ… ああっ! 566 00:45:32,231 --> 00:45:38,231 ううっ! うう… 567 00:45:48,247 --> 00:45:56,247 70両 お前さんの 殺しの分にもらっときますかね 568 00:46:13,205 --> 00:46:15,207 うそつきめ! 569 00:46:15,207 --> 00:46:18,207 今度の卒中が お前さんの うそのつきじまいだ 570 00:46:28,220 --> 00:46:48,240 ♬~ 571 00:46:48,240 --> 00:47:08,193 ♬~ 572 00:47:08,193 --> 00:47:28,213 ♬~ 573 00:47:28,213 --> 00:47:48,213 ♬~ 574 00:47:53,238 --> 00:47:56,241 <次なる仕掛けは 娘 いちを手込めにされた➡ 575 00:47:56,241 --> 00:47:59,244 油屋渡世 亀屋利助の依頼により➡ 576 00:47:59,244 --> 00:48:03,181 6人の若者殺しを受けた 梅安と左内> 577 00:48:03,181 --> 00:48:05,183 <しかし その裏には➡ 578 00:48:05,183 --> 00:48:08,186 吟味方与力 大井与太夫の 悪事の数々> 579 00:48:08,186 --> 00:48:13,191 <その魔の手が 半右衛門の妻 おくらの身に降りかかる> 580 00:48:13,191 --> 00:48:17,191 <次回 「女の恨みは晴らします」 御期待ください>