1 00:00:07,230 --> 00:00:13,236 <晴らせぬ恨みを晴らし 許せぬ人でなしを消す> 2 00:00:13,236 --> 00:00:17,240 <いずれも 人知れず 仕掛けて仕損じなし> 3 00:00:17,240 --> 00:00:20,243 <人呼んで 仕掛人> 4 00:00:20,243 --> 00:00:22,245 <ただし この稼業➡ 5 00:00:22,245 --> 00:00:26,245 「江戸職業づくし」には 載っていない> 6 00:00:32,255 --> 00:00:37,260 (ざわめき) 7 00:00:37,260 --> 00:00:57,280 ♬~ 8 00:00:57,280 --> 00:00:59,282 (男性)おう 女房殺しだってよ 9 00:00:59,282 --> 00:01:01,217 (男性)他に女ができて やったんだな 10 00:01:01,217 --> 00:01:03,219 (男性)いや 命講の 金目当てだっていうぜ 11 00:01:03,219 --> 00:01:07,223 (男性)金目当て ひでえ野郎だ! (男性)ひでえ野郎だな 12 00:01:07,223 --> 00:01:10,226 (梅安)命講? (千蔵)何だい 13 00:01:10,226 --> 00:01:14,230 先生 知らねえんですかい (左内)聞いたこともねえな 14 00:01:14,230 --> 00:01:18,234 あーあ 生き馬の目も抜こうって せちがらい江戸の町に➡ 15 00:01:18,234 --> 00:01:21,237 住んでいながら 命講も知らないなんて➡ 16 00:01:21,237 --> 00:01:24,240 先生方 全く金回りがいいんだか 悪いんだか ハハハ 17 00:01:24,240 --> 00:01:28,244 いや 先生方こそ 命講へ 入っておいた方がいいんですぜ 18 00:01:28,244 --> 00:01:30,246 なぜだ? 19 00:01:30,246 --> 00:01:34,250 だって ほら 何しろ先生方 明日をも知れない 命ですからね 20 00:01:34,250 --> 00:01:37,250 ヘヘヘ… 何だと? 21 00:01:52,268 --> 00:01:54,270 すると 月々 金を掛けといて 死んだら ごっそり➡ 22 00:01:54,270 --> 00:01:56,272 大金がもらえるっていうんだな (千蔵)そうですよ➡ 23 00:01:56,272 --> 00:01:59,275 今 はやりの頼母子講から 思いついたんでしょうが➡ 24 00:01:59,275 --> 00:02:03,212 世の中には 頭のいいやつがいるもんですね 25 00:02:03,212 --> 00:02:06,215 (女性)あっ 嫌っ 助べえ! (千蔵)ヒハハハ… ねえ➡ 26 00:02:06,215 --> 00:02:09,218 何しろ 人様は 今 こんなふうに ぴんぴんしてたって➡ 27 00:02:09,218 --> 00:02:11,220 いつかは必ず おっ死ぬんだ 28 00:02:11,220 --> 00:02:14,223 こいつばかしは 将軍様だって避けられない 29 00:02:14,223 --> 00:02:18,227 ましてや 大金にゃ縁のねえ 町方の者にゃ➡ 30 00:02:18,227 --> 00:02:20,229 俺が死んだら 女房子供は どうなるんだろう 31 00:02:20,229 --> 00:02:23,232 あしたから 路頭に迷うんじゃないだろうかと 32 00:02:23,232 --> 00:02:25,234 親戚中に邪魔者扱いにされて➡ 33 00:02:25,234 --> 00:02:28,237 肩身の狭い思いで 生きていかなきゃならねえだろう 34 00:02:28,237 --> 00:02:32,241 いろいろ考えると 夜も寝られねえやつもいるんでさ 35 00:02:32,241 --> 00:02:36,245 そうした気持ちに つけ込んだのが命講でさ 36 00:02:36,245 --> 00:02:38,247 だから 講元の後藤屋清左衛門は➡ 37 00:02:38,247 --> 00:02:41,250 昔は しがねえ薬売りだったんだが➡ 38 00:02:41,250 --> 00:02:44,250 今じゃ ほれ 大した屋敷に住みやがって 39 00:02:50,259 --> 00:02:52,261 金貸しもやってるようだな 40 00:02:52,261 --> 00:02:56,265 そうです 命講で かき集めた人の銭でね 41 00:02:56,265 --> 00:03:00,269 しかし 講元が もうかるのは分かるが➡ 42 00:03:00,269 --> 00:03:03,206 命講は わずかな掛金で 大金を払うのだ 43 00:03:03,206 --> 00:03:06,209 そう あくどい もうけができるとは思えんが 44 00:03:06,209 --> 00:03:08,211 そう思うのが素人の悲しさ 45 00:03:08,211 --> 00:03:11,214 だってね 先生 命講に入ったやつが 全部 若死にするとはかぎらねえ 46 00:03:11,214 --> 00:03:14,217 50まで生きられりゃ それまでの掛金に➡ 47 00:03:14,217 --> 00:03:16,219 わずかな利息を付けて返すだけだ 48 00:03:16,219 --> 00:03:19,222 まあ 死んだ場合でも てめえで 首くくったりしちゃ駄目ですよ 49 00:03:19,222 --> 00:03:22,225 ちゃんと病気で死ぬとか とんでもねえ拍子に殺されるとか 50 00:03:22,225 --> 00:03:24,227 いろいろ面倒な 決まりがあるんですね 51 00:03:24,227 --> 00:03:26,229 だから さっきの野郎みてえに➡ 52 00:03:26,229 --> 00:03:28,231 てめえの女房に掛けといて そいつを殺せば➡ 53 00:03:28,231 --> 00:03:31,234 金が入る段取りだが そうは問屋が卸さない➡ 54 00:03:31,234 --> 00:03:35,238 とにかくねえ 命講に入ったやつが 死んだときにゃ そりゃあ➡ 55 00:03:35,238 --> 00:03:39,242 後藤屋清左衛門の手下たちが 内々 奉行所と組んで調べ回る 56 00:03:39,242 --> 00:03:42,245 金目当てに仕組んだ 殺しじゃねえか 自殺じゃねえか 57 00:03:42,245 --> 00:03:45,248 そりゃあ すさまじい調べ方だってえから➡ 58 00:03:45,248 --> 00:03:48,251 なかなか仕組んだ死に方じゃあ 金は手に入らねえそうですよ 59 00:03:48,251 --> 00:03:50,253 そりゃそうだろうな 60 00:03:50,253 --> 00:03:53,256 しかし その仕組んだ殺しを 私たちに頼みに来たら どうする? 61 00:03:53,256 --> 00:03:58,261 まさか (梅安・左内の笑い声) 62 00:03:58,261 --> 00:04:04,200 「子 曰く 命を知らざれば 以って君子なるべきなり」 63 00:04:04,200 --> 00:04:11,207 (彦次郎)「子 曰く 命を知らざれば 以って君子なるべきなり」 64 00:04:11,207 --> 00:04:14,210 「礼を知らざれば 以って立つなきなり」 65 00:04:14,210 --> 00:04:16,212 「礼を知らざれば…」 「以って…」 66 00:04:16,212 --> 00:04:18,214 「以って」 「立つなきなり」 67 00:04:18,214 --> 00:04:21,217 ≪ こんばんは (彦次郎)「立つなきなり」 68 00:04:21,217 --> 00:04:25,221 (女性)ごめんなさい 彦次郎さん お勉強の邪魔しちゃって 69 00:04:25,221 --> 00:04:28,224 (お美代)あっ いいんですよ 何か? 70 00:04:28,224 --> 00:04:31,224 いつもの (お美代)ああ… 71 00:04:35,231 --> 00:04:37,233 (お美代)大変ですねえ 72 00:04:37,233 --> 00:04:41,237 いいえ (お美代)どうも御苦労さま 73 00:04:41,237 --> 00:04:44,240 これで みつき目ですね 74 00:04:44,240 --> 00:04:47,243 私 今度 落として 着物を作ろうかと思って 75 00:04:47,243 --> 00:04:51,247 (お美代)でも 今 落とすと 後が大変じゃありませんか? 76 00:04:51,247 --> 00:04:55,251 いいです 音羽屋さんで 月々 ちゃんと お給金も頂けるし 77 00:04:55,251 --> 00:04:58,254 (千蔵)おう おう おう おみっちゃん 駄目よ➡ 78 00:04:58,254 --> 00:05:01,190 どこ行ってるかと思ったら こんなとこで油を売って 79 00:05:01,190 --> 00:05:04,193 何言ってんの 私は ちゃんと おかみさんの言いつけで➡ 80 00:05:04,193 --> 00:05:07,196 長屋を回ってるんですからね いーっだ 81 00:05:07,196 --> 00:05:09,198 さようでございますかってんだ こちとらだって ちゃんと➡ 82 00:05:09,198 --> 00:05:12,201 旦那の言いつけですからね いーっだ (お美代)フフフ… 83 00:05:12,201 --> 00:05:16,205 (千蔵)先生 ちょっと 84 00:05:16,205 --> 00:05:21,210 どうも すんません 男は男同士 ねっ 女は女同士 ヘヘヘ➡ 85 00:05:21,210 --> 00:05:24,213 彦次郎ちゃん 「子 曰く」 ねえ 86 00:05:24,213 --> 00:05:27,216 「はかりごとは密なるをもって よしとす」ってね 87 00:05:27,216 --> 00:05:31,220 「子」ってのは そんなこと のたまわってなかったかな ハハハ 88 00:05:31,220 --> 00:05:35,224 (一同の笑い声) 89 00:05:35,224 --> 00:05:39,224 (千蔵)あー 何だっけかな のたまわってたのは ハハハ 90 00:05:44,233 --> 00:05:49,238 やくざ? 仕掛ける相手は やくざなのだな 91 00:05:49,238 --> 00:05:52,241 へい 己之吉って野郎は やくざ者でも➡ 92 00:05:52,241 --> 00:05:55,244 そんじょそこらの やくざじゃねえ あっしの聞いたかぎりじゃ➡ 93 00:05:55,244 --> 00:05:57,246 けんか出入りで 用心棒の侍をはじめ➡ 94 00:05:57,246 --> 00:06:01,183 12人の男を たたっ斬ったほど 腕も立つそうですし 95 00:06:01,183 --> 00:06:05,187 第一 すばしっこくて すげえ 動きの速えやつだそうですよ 96 00:06:05,187 --> 00:06:07,189 動きの速い へい 97 00:06:07,189 --> 00:06:11,193 あの 身が軽いっていうんですか ひょとしたら やっとうの方も➡ 98 00:06:11,193 --> 00:06:14,196 まっとうに習っているやつかも しれねえですね 99 00:06:14,196 --> 00:06:17,199 まあ 今 詳しいことは 万吉が調べてますがね 100 00:06:17,199 --> 00:06:21,203 この仕事は 是非とも先生に やってほしいって 元締めがね 101 00:06:21,203 --> 00:06:26,208 おかみさんも くれぐれも先生に よろしくお伝えしてほしいって 102 00:06:26,208 --> 00:06:28,210 あっ じゃ これは いつものように➡ 103 00:06:28,210 --> 00:06:31,213 音羽屋のおかみさんが預かってて よろしいわけで はっ 104 00:06:31,213 --> 00:06:38,220 なあ 千蔵 その己之吉という男を 殺してくれと頼んだ相手だが➡ 105 00:06:38,220 --> 00:06:41,223 そいつが なぜ己之吉を 106 00:06:41,223 --> 00:06:44,226 先生 何を今更 なぜ やらなきゃならねえかは➡ 107 00:06:44,226 --> 00:06:47,229 聞きっこなしが 定法じゃありませんかい 108 00:06:47,229 --> 00:06:49,231 だがな 千蔵 109 00:06:49,231 --> 00:06:52,234 そう来ると思いましたよ ひょっとしたら 今度は➡ 110 00:06:52,234 --> 00:06:55,237 命講が目当てじゃねえかって 言うんでしょ 111 00:06:55,237 --> 00:06:58,240 そこんところは 元締めも ちゃんと押さえておいでです 112 00:06:58,240 --> 00:07:01,177 第一 殺される己之吉って野郎は やくざ者だ 113 00:07:01,177 --> 00:07:03,179 島帰りの凶状持ちときてる 114 00:07:03,179 --> 00:07:06,182 一遍 そうした凶状を持つってえと 命講にゃ入れねえんでさ 115 00:07:06,182 --> 00:07:10,186 とにかく 命講に入るにゃ 町内五人組の証文がいる 116 00:07:10,186 --> 00:07:14,190 しかも 後藤屋清左衛門の 手下たちが直接 本人にも会うし➡ 117 00:07:14,190 --> 00:07:17,193 町内五人組の旦那衆の 見ている前で➡ 118 00:07:17,193 --> 00:07:19,195 人別帳も あらためるってんだから➡ 119 00:07:19,195 --> 00:07:24,200 己之吉が入ってる気遣いは こっから先も ありゃしませんよ 120 00:07:24,200 --> 00:07:27,203 先生 少し 気にし過ぎるんじゃ ありませんかい 121 00:07:27,203 --> 00:07:29,205 相手は今でも 事あるごとに➡ 122 00:07:29,205 --> 00:07:31,207 堅気の衆をいたぶってる 凶状持ちだ 123 00:07:31,207 --> 00:07:34,210 消したところで 泣くやつもいめえ 124 00:07:34,210 --> 00:07:38,210 むしろ 人助けってもんじゃ ありませんかねえ 125 00:07:44,220 --> 00:07:47,223 (お美代)半右衛門様が 何か うむ 126 00:07:47,223 --> 00:07:49,225 また 釣りに行かんかという 誘いでな 127 00:07:49,225 --> 00:07:51,227 そうですか 128 00:07:51,227 --> 00:07:53,229 あっ さっき おみっちゃんから➡ 129 00:07:53,229 --> 00:07:57,233 証文のようなものを 受け取っていたが 130 00:07:57,233 --> 00:08:03,172 あれは 頼母子講の受取です これから寒くなりますし➡ 131 00:08:03,172 --> 00:08:07,176 あなたや彦次郎の あわせを新調しようと思いまして 132 00:08:07,176 --> 00:08:09,178 美代も すっかり 町方の暮らしになじんだな 133 00:08:09,178 --> 00:08:11,180 そのような やりくりを考えるとは 134 00:08:11,180 --> 00:08:15,184 (お美代)まあ いつまでも 昔の私ではありません 135 00:08:15,184 --> 00:08:17,186 うむ いや それはそうだが… 136 00:08:17,186 --> 00:08:20,189 しかし 頼母子講というのは その講の親元が➡ 137 00:08:20,189 --> 00:08:23,192 しっかりしていなければ 駄目だというぞ 138 00:08:23,192 --> 00:08:26,195 美代の頼母子講は大丈夫かな 139 00:08:26,195 --> 00:08:30,199 講元は 音羽屋の おくら様でございます 140 00:08:30,199 --> 00:08:34,203 そうか それなれば堅い (一同の笑い声) 141 00:08:34,203 --> 00:08:37,206 よし もう一度 最初から一読みしたら 休みなさい 142 00:08:37,206 --> 00:08:39,208 はい うん いいか 143 00:08:39,208 --> 00:08:43,212 「子 曰く」 「子 曰く」 144 00:08:43,212 --> 00:08:46,215 「命を知らざれば」 「命を知らざれば」 145 00:08:46,215 --> 00:08:51,220 「以って 君子なるべきなり」 「以って 君子なるべきなり」 146 00:08:51,220 --> 00:08:54,223 「礼を知らざれば」 (彦次郎)「礼を知らざれば」 147 00:08:54,223 --> 00:08:58,227 「以って 立つなきなり」 (彦次郎)「以って 立つなきなり」 148 00:08:58,227 --> 00:09:15,177 ♬~ 149 00:09:15,177 --> 00:09:17,179 (千蔵)やっぱり まだ帰ってきてないらしいですぜ 150 00:09:17,179 --> 00:09:20,182 今日で 6日目だ 6日も戻らんとはな 151 00:09:20,182 --> 00:09:22,184 野郎 やくざ者ですからね 152 00:09:22,184 --> 00:09:24,184 きっと どっかへ しけこんでやがるんでしょう 153 00:09:26,188 --> 00:09:29,191 (音吉)己之? 己之が一体どうしたんだい あっ? 154 00:09:29,191 --> 00:09:31,193 へい どうも 相すいませんでございます 155 00:09:31,193 --> 00:09:34,196 実は己之吉さんへ 私どもの方で ちょいと その➡ 156 00:09:34,196 --> 00:09:36,198 お立て替えしたもんが ございますもんで 157 00:09:36,198 --> 00:09:38,200 (音吉)おう 金か (千蔵)へい 158 00:09:38,200 --> 00:09:42,204 (音吉)へえ で… いくらだい? (千蔵)へい それは… ヘヘヘ 159 00:09:42,204 --> 00:09:45,207 ほう そうかい まあ いくらかは知らねえが➡ 160 00:09:45,207 --> 00:09:47,209 そいつぁ まあ どぶへ捨てたようなもんだなあ 161 00:09:47,209 --> 00:09:49,211 絶対 お前んとこへ 戻っちゃこねえよ 162 00:09:49,211 --> 00:09:51,213 (千蔵)そんなあ (音吉)いやいや 己之はな 昨日➡ 163 00:09:51,213 --> 00:09:54,216 俺たちの賭場で すってんてんなって もう 帰りやがったんだよ 164 00:09:54,216 --> 00:09:56,218 なあ まあ 諦めて帰るんだな (千蔵)待ってください 165 00:09:56,218 --> 00:09:58,220 なっ 何でい (千蔵)あの 己之吉さんへは➡ 166 00:09:58,220 --> 00:10:00,222 どちらへ参れば お会いできるんで ございましょうかね 167 00:10:00,222 --> 00:10:03,225 そうだなあ やつの金づるは 弟だとか言ってたが 168 00:10:03,225 --> 00:10:09,231 それとも 品川辺りの岡場所でも まあ 聞いてみるんですねえ うん 169 00:10:09,231 --> 00:10:11,231 (せきばらい) 170 00:10:13,235 --> 00:10:18,240 (およね)まあね そりゃあ 己之さん あたいの間夫だけど➡ 171 00:10:18,240 --> 00:10:22,244 ゆうべ ばくちで すったって 明け方近くに転がり込んできて➡ 172 00:10:22,244 --> 00:10:25,247 さんざん あたいを いじくり回してさ➡ 173 00:10:25,247 --> 00:10:27,249 起きてみりゃ もう 鏡台の裏に隠してあった➡ 174 00:10:27,249 --> 00:10:29,251 あたいのお金をかっさらって➡ 175 00:10:29,251 --> 00:10:34,256 全く すばしっこいったら ありゃしないよ➡ 176 00:10:34,256 --> 00:10:36,258 会ったら 「返しとくれ」って言っとくれよ 177 00:10:36,258 --> 00:10:38,260 (千蔵)おう おう… 178 00:10:38,260 --> 00:10:41,263 (およね)何なら あんたが 立て替えてくれてもいいんだけど 179 00:10:41,263 --> 00:10:45,267 (千蔵)そんな 御冗談を ハハハ… (およね)ちょいと➡ 180 00:10:45,267 --> 00:10:49,271 ちょいと ちょいと (千蔵)エヘヘ 参った参った 181 00:10:49,271 --> 00:10:55,277 (伊助)はい でも 他に兄の 行きつけの場所といいましても… 182 00:10:55,277 --> 00:10:58,280 兄は あのような男でございますから 183 00:10:58,280 --> 00:11:00,282 (千蔵)そらぁ 堅気のお前さんのこった 184 00:11:00,282 --> 00:11:04,219 やくざな兄貴の出入り先なんて やつにゃあ 関わりもなかろうが 185 00:11:04,219 --> 00:11:06,221 でも ちらっとぐらい 聞いたことがあんだろう 186 00:11:06,221 --> 00:11:10,225 どっか他に 賭場とか 行きつけの飲み屋とか 187 00:11:10,225 --> 00:11:14,229 ≪(せきこみ) 188 00:11:14,229 --> 00:11:19,229 (千蔵)そうか 全く 毛ほども 聞いたことがないってのかい 189 00:11:21,236 --> 00:11:26,241 あの… 兄は このところ うちにも 帰っていないそうでございますが 190 00:11:26,241 --> 00:11:29,244 それは本当でございましょうか 191 00:11:29,244 --> 00:11:32,247 (千蔵) だから 捜しているんじゃねえか 192 00:11:32,247 --> 00:11:36,251 すると もしかしたら… (千蔵)どうしたんだい? 193 00:11:36,251 --> 00:11:42,251 (伊助)私が音羽屋さんに お願いしたこと もしや気付いて… 194 00:11:46,261 --> 00:11:48,263 お願いでございます➡ 195 00:11:48,263 --> 00:11:51,266 もし 兄に知れましたら 私どもの命は➡ 196 00:11:51,266 --> 00:11:54,269 お願いでございます 一日も早く 兄の己之吉を➡ 197 00:11:54,269 --> 00:11:57,272 お願いでございます 198 00:11:57,272 --> 00:12:11,220 ♬~ 199 00:12:11,220 --> 00:12:13,222 ああ そうか… 200 00:12:13,222 --> 00:12:16,225 実の兄を殺してくれとの 頼みだったのか 201 00:12:16,225 --> 00:12:20,229 ヘヘヘ… 先生 それを言うと 先生が➡ 202 00:12:20,229 --> 00:12:25,234 変に引っ掛かりゃしねえかって 元締めも心配なされて 203 00:12:25,234 --> 00:12:30,239 だから それにね… 他に まだあるのか 204 00:12:30,239 --> 00:12:33,242 こうなったら 後で先生に 叱られるのも嫌だから➡ 205 00:12:33,242 --> 00:12:40,249 みんな吐いちまいますが 実は この間の半金35両➡ 206 00:12:40,249 --> 00:12:45,254 あれもね だいぶ 元締めが足していなさるんですよ 207 00:12:45,254 --> 00:12:47,256 なぜだ 208 00:12:47,256 --> 00:12:51,260 あの己之吉の弟の伊助ってやつは 小間物屋なんですが➡ 209 00:12:51,260 --> 00:12:54,263 先生も見られたとおりの貧乏所帯 210 00:12:54,263 --> 00:12:57,266 おまけに 女房が長の患いで 金が無え 211 00:12:57,266 --> 00:13:00,269 それでも 7~8両は 工面してきたようですが➡ 212 00:13:00,269 --> 00:13:04,206 後は元締めんところへ 商売道具の小間物を ごっそりとね 213 00:13:04,206 --> 00:13:07,209 小間物を? へい 214 00:13:07,209 --> 00:13:12,214 半襟だとか くしだとか 紅だとか かんざしだとか 215 00:13:12,214 --> 00:13:16,218 まあ 商いとはいいながら こまごまとしたものを山ほどね 216 00:13:16,218 --> 00:13:18,220 とにかく 金が無えから これを代金の代わりに➡ 217 00:13:18,220 --> 00:13:21,223 引き取ってくれって 泣きついてきたらしんですよ 218 00:13:21,223 --> 00:13:23,225 それで おかみさんも ひどく同情しなすって 219 00:13:23,225 --> 00:13:26,228 元締めも それほど言うんなら よくよくのことだろうって➡ 220 00:13:26,228 --> 00:13:28,230 引き受けられたんですよ 221 00:13:28,230 --> 00:13:32,234 だが 千蔵 それは やはり もしかすると… 222 00:13:32,234 --> 00:13:36,238 それなんですよ だから あっしも元締めも➡ 223 00:13:36,238 --> 00:13:39,241 こいつは兄貴の命講が 目当てじゃねえかって➡ 224 00:13:39,241 --> 00:13:41,243 最初は うたぐってかかったんですがね 225 00:13:41,243 --> 00:13:43,245 己之吉を調べてみたところ➡ 226 00:13:43,245 --> 00:13:47,249 先にも申し上げたとおりで 命講には関わりがねえ 227 00:13:47,249 --> 00:13:52,254 そこまで確かめてからの 元締めの お頼みなんですよ 228 00:13:52,254 --> 00:13:54,256 それにしても 先生➡ 229 00:13:54,256 --> 00:13:58,260 やっぱり 先生方は 仕掛けを頼んだ人間や➡ 230 00:13:58,260 --> 00:14:03,198 やらなきゃならねえ その訳を 知らない方がいいんですねえ 231 00:14:03,198 --> 00:14:06,201 やっぱり 元締めのおっしゃるとおりだ 232 00:14:06,201 --> 00:14:10,201 もっともなんだなあ うーん 233 00:14:22,217 --> 00:14:25,220 うっ… (千蔵)あっ? 234 00:14:25,220 --> 00:14:28,223 いや あの… おぎんのやつに きつく せがまれてな 235 00:14:28,223 --> 00:14:30,225 身が持たないんだ やるかい? 236 00:14:30,225 --> 00:14:33,228 けっ あんな莫連女の どこがいいんだろうね 237 00:14:33,228 --> 00:14:36,231 全く先生は いかもの食いだよ 何を言ってやがんでい 238 00:14:36,231 --> 00:14:39,234 自分だって 小便臭い娘ばっかり 追っかけ回してるくせにさ 239 00:14:39,234 --> 00:14:41,236 何を言ってんですか 私はね 初物食いで➡ 240 00:14:41,236 --> 00:14:44,239 良い味を出すのに 四苦八苦しております 241 00:14:44,239 --> 00:14:46,241 へっ 一丁前のこと言ってらあ 242 00:14:46,241 --> 00:14:49,244 左内さん どうしました 不景気な顔をして 243 00:14:49,244 --> 00:14:52,247 いや… なあ 梅安殿 244 00:14:52,247 --> 00:14:56,251 以前2人で 仕掛人の元締めを 斬ったことがあったな 245 00:14:56,251 --> 00:14:59,254 ええ それが どうしました あの元締めは➡ 246 00:14:59,254 --> 00:15:03,192 「これでも長生きした方だ」と 死の間際に言っていた 247 00:15:03,192 --> 00:15:06,195 俺たちは確かに 明日をも知れぬ命だ 248 00:15:06,195 --> 00:15:10,199 だから俺たちも… まーたまた 249 00:15:10,199 --> 00:15:13,202 どうも 先生は 命講に取りつかれていけねえや 250 00:15:13,202 --> 00:15:16,205 ありゃあね 人の心配事や弱味に つけ込んで➡ 251 00:15:16,205 --> 00:15:19,208 金かすめる いんちき講ですぜ 252 00:15:19,208 --> 00:15:23,212 それにしても さっき話した己之吉ってやつ➡ 253 00:15:23,212 --> 00:15:27,216 どうも やっぱり何か 感づいてるんじゃないですかねえ 254 00:15:27,216 --> 00:15:31,220 梅安さんも そう思うのか なぜだ? 255 00:15:31,220 --> 00:15:34,223 ちょうど 左内さんが狙いだした そのときから姿を消してるんだ 256 00:15:34,223 --> 00:15:36,225 賭場や女の所にも 現れてる様子だが➡ 257 00:15:36,225 --> 00:15:38,227 これも すぐにいなくなってる 258 00:15:38,227 --> 00:15:44,233 居続けをしてないのは 何よりの証拠じゃないんですかね 259 00:15:44,233 --> 00:15:48,237 こりゃ 左内さん その弟の 伊助ってやつの方も張らなきゃ➡ 260 00:15:48,237 --> 00:15:50,239 まずいことに なるかもしれませんよ 261 00:15:50,239 --> 00:15:57,246 左内さんが己之吉をやる前に 伊助が己之吉に やられでもしたら 262 00:15:57,246 --> 00:16:01,183 左内さん 伊助のうち 行くんですか その侍姿じゃ… 263 00:16:01,183 --> 00:16:04,186 (戸の開く音) (千蔵)おっ どうしたい 万吉 264 00:16:04,186 --> 00:16:07,189 (万吉)へい 元締めが梅安先生にって 265 00:16:07,189 --> 00:16:09,191 何だ 仕事か? (万吉)へい➡ 266 00:16:09,191 --> 00:16:11,193 根津片町の 小間物問屋の伊助さんに➡ 267 00:16:11,193 --> 00:16:13,195 もしものことがあっちゃ いけねえから➡ 268 00:16:13,195 --> 00:16:15,197 先生に 行って お守りするようにって 269 00:16:15,197 --> 00:16:17,199 守る? へい 270 00:16:17,199 --> 00:16:20,202 何だ 攻める方じゃないのかい こっちは 271 00:16:20,202 --> 00:16:22,204 それは 守りきってからの話だそうで 272 00:16:22,204 --> 00:16:28,204 なるほど そりゃそうだな ハハハ よーし 273 00:16:40,222 --> 00:16:43,225 おかみさんは 随分 長く患っていなさるようだが 274 00:16:43,225 --> 00:16:47,229 はい もう かれこれ➡ 275 00:16:47,229 --> 00:16:49,231 2年にもなりましょうか うむ 276 00:16:49,231 --> 00:16:52,234 吉太郎が生まれた よくとしからでございますから 277 00:16:52,234 --> 00:16:55,237 病のために 肌が透き通っていなさるが➡ 278 00:16:55,237 --> 00:17:00,242 もともと きれいな人なんだな 出は素人衆とは思えませんが? 279 00:17:00,242 --> 00:17:05,180 お恥ずかしゅうございます おりんは昔 左づまを取っており➡ 280 00:17:05,180 --> 00:17:08,183 深川では鳴らした 芸者でございました 281 00:17:08,183 --> 00:17:11,186 ほう 深川ですか 282 00:17:11,186 --> 00:17:15,190 (伊助) それが ふとしたことから私と… 283 00:17:15,190 --> 00:17:24,199 いえ 私と このようになる前は… 兄の女でございました 284 00:17:24,199 --> 00:17:26,201 何っ? 285 00:17:26,201 --> 00:17:30,205 こうして 私をお守りくださるので ございますから➡ 286 00:17:30,205 --> 00:17:33,208 何もかも 隠さずに申し上げますが 287 00:17:33,208 --> 00:17:38,213 もともと 兄の己之吉は 子供のころからのけんか好き 288 00:17:38,213 --> 00:17:41,216 それが高じて やくざ者の仲間に入り➡ 289 00:17:41,216 --> 00:17:47,222 浅草界わいの やしの元締め 聖天の駒吉一家の中でも➡ 290 00:17:47,222 --> 00:17:51,226 一 二を争うという 暴れ者でございました➡ 291 00:17:51,226 --> 00:17:55,230 ところが 浅草の門前町は➡ 292 00:17:55,230 --> 00:18:01,169 前から 聖天一家と阪東一家の 縄張り争いの激しいとことかで➡ 293 00:18:01,169 --> 00:18:03,171 兄は 聖天一家の子分を率いて➡ 294 00:18:03,171 --> 00:18:07,171 阪東一家に 殴り込みをかけたのでございます 295 00:18:37,205 --> 00:18:39,205 (子分)《わあっ!》 296 00:18:47,215 --> 00:18:50,215 (用心棒)《うっ… ああっ!》 297 00:18:53,221 --> 00:18:55,221 (己之吉)《逃げるな!》 298 00:18:57,225 --> 00:19:00,228 (己之吉)《この野郎!》 (勝五郎)《ああっ…》 299 00:19:00,228 --> 00:19:04,228 (己之吉)《野郎!》 (勝五郎)《うわっ!》 300 00:19:09,171 --> 00:19:11,173 (己之吉)《野郎!》 301 00:19:11,173 --> 00:19:15,177 (伊助)そのために 兄は 出入りの後始末を全部しょって➡ 302 00:19:15,177 --> 00:19:20,182 奉行所に名乗り出て 人殺しのかどで島送り 303 00:19:20,182 --> 00:19:23,185 やっと帰ってきたときには➡ 304 00:19:23,185 --> 00:19:26,188 勢いを盛り返した 阪東一家のために➡ 305 00:19:26,188 --> 00:19:29,191 聖天一家は倒されており➡ 306 00:19:29,191 --> 00:19:34,196 帰るに帰る場所もない男に なってしまったのでございます 307 00:19:34,196 --> 00:19:39,201 昔の兄でございましたら また 元の仲間を集めて➡ 308 00:19:39,201 --> 00:19:43,205 阪東の二代目を倒そうと 狙うことでございましょうが➡ 309 00:19:43,205 --> 00:19:46,208 長い八丈島での流人暮らしで➡ 310 00:19:46,208 --> 00:19:50,212 もう その気持ちになるのも すっかり嫌気が差し➡ 311 00:19:50,212 --> 00:19:52,214 酒を飲んでは 小ばくちを打ち➡ 312 00:19:52,214 --> 00:19:57,219 金が無くなれば 私のところへ せびりに来るのでございます 313 00:19:57,219 --> 00:20:01,223 そればかりか 兄は私のいない留守に➡ 314 00:20:01,223 --> 00:20:04,226 おりんにまで言い寄る始末 315 00:20:04,226 --> 00:20:07,229 いくら 元は 兄の女であったとはいえ➡ 316 00:20:07,229 --> 00:20:10,232 今は れっきとした私の女房 317 00:20:10,232 --> 00:20:17,232 あまりといえば あまりのことに 思案に余ってきたのでございます 318 00:20:20,242 --> 00:20:24,246 (伊助)今の私どもには 吉太郎もいます➡ 319 00:20:24,246 --> 00:20:29,251 そりゃ 確かに 兄が八丈島に流されている間に➡ 320 00:20:29,251 --> 00:20:34,256 とうとう めおとにまで なってしまった私どもです➡ 321 00:20:34,256 --> 00:20:37,259 兄から どのように責められようと➡ 322 00:20:37,259 --> 00:20:42,264 それは忍ばなければならないと 今日まで 忍んでまいりましたが➡ 323 00:20:42,264 --> 00:20:46,268 おりんの治療代まで 取り上げられ➡ 324 00:20:46,268 --> 00:20:52,274 私の得意先まで 先回りして 金をせびって歩く始末では➡ 325 00:20:52,274 --> 00:20:55,277 到底 私の商いも… 326 00:20:55,277 --> 00:21:01,216 それで 思い余った末 とうとう 人を頼って➡ 327 00:21:01,216 --> 00:21:04,219 あのようなことを音羽屋さんに… 328 00:21:04,219 --> 00:21:10,225 実の兄を どうこうしようなどとは 畜生道にも劣ること 329 00:21:10,225 --> 00:21:14,229 私は兄に 何度も 泣いて頼んだのでございます 330 00:21:14,229 --> 00:21:17,232 「このままでは おりんを 死なしてしまうことになる」 331 00:21:17,232 --> 00:21:20,235 そう言って 何度も頼んだのでございますが 332 00:21:20,235 --> 00:21:23,238 何て言うんだよ 兄さんは 333 00:21:23,238 --> 00:21:27,242 何を言っても 受け付けるような 兄ではありません 334 00:21:27,242 --> 00:21:30,245 「どうせ 畜生道に落ちて➡ 335 00:21:30,245 --> 00:21:33,248 1人の女を 兄弟で取り合った俺たちだ➡ 336 00:21:33,248 --> 00:21:36,251 犬か蛇か何かのように➡ 337 00:21:36,251 --> 00:21:39,254 おりんを挟んで つるんでいくのも 面白えじゃねえか➡ 338 00:21:39,254 --> 00:21:41,256 そうした生き方の中で➡ 339 00:21:41,256 --> 00:21:45,260 生きていくのも面白い」と 申しまして 340 00:21:45,260 --> 00:21:52,267 このままでは 私ども親子3人は めちゃめちゃになってしまいます 341 00:21:52,267 --> 00:21:58,273 お願いでございます たとえ私は どうなっても➡ 342 00:21:58,273 --> 00:22:03,211 おりんや吉太郎のために お願いでございます! 343 00:22:03,211 --> 00:22:05,211 (物音) 344 00:22:07,215 --> 00:22:13,215 誰だい… 誰か? 345 00:22:48,256 --> 00:22:50,256 犬か… 346 00:22:59,267 --> 00:23:08,209 ♬~ 347 00:23:08,209 --> 00:23:14,215 「おめえのいのちはねえ よくも おれを みの」 348 00:23:14,215 --> 00:23:20,221 兄さん… 兄さん! 349 00:23:20,221 --> 00:23:32,233 ♬~ 350 00:23:32,233 --> 00:23:34,235 いよいよ 事を急がねばならんようだな 351 00:23:34,235 --> 00:23:38,239 己之吉は? うむ 今日で かれこれ10日になる 352 00:23:38,239 --> 00:23:42,243 いくら野良犬でも 10日もたてば戻ってこよう 353 00:23:42,243 --> 00:23:45,246 あそこに見える 突き当たりの家がそうだ 354 00:23:45,246 --> 00:23:50,251 今 万吉が 床下に潜んでいる 355 00:23:50,251 --> 00:23:55,256 己之吉が帰ってくれば 合図をする手はずになってるんだ 356 00:23:55,256 --> 00:23:58,259 しかし 伊助の方はいいのかな 357 00:23:58,259 --> 00:24:01,196 お主の留守に 己之吉が 現れるようなことがあったら… 358 00:24:01,196 --> 00:24:03,198 それは 千蔵に任してあります 359 00:24:03,198 --> 00:24:06,201 いくら医者だからっても 一日中 伊助のうちに➡ 360 00:24:06,201 --> 00:24:09,204 入り浸ってるわけには いかないでしょう 361 00:24:09,204 --> 00:24:13,208 しかし 実の兄を殺すっていうのは どんな気持ちだろうなあ 362 00:24:13,208 --> 00:24:19,214 いや 兄弟で1人の女を 取り合うっていうのもねえ 363 00:24:19,214 --> 00:24:22,217 全く こんな仕事をしてると➡ 364 00:24:22,217 --> 00:24:26,221 いろいろ 人様の裏を 見せていただけますねえ 365 00:24:26,221 --> 00:24:29,224 因果な商売さ 366 00:24:29,224 --> 00:24:49,244 ♬~ 367 00:24:49,244 --> 00:25:07,195 ♬~ 368 00:25:07,195 --> 00:25:11,199 どうやら 今夜は 帰らんようですなあ 369 00:25:11,199 --> 00:25:16,204 左内さん 別な方法を 考えた方がいいんじゃないですか 370 00:25:16,204 --> 00:25:18,206 何とか あいつを呼び出すとか➡ 371 00:25:18,206 --> 00:25:20,208 今 分かってるだけの 立ち回り先にでも➡ 372 00:25:20,208 --> 00:25:23,211 わなを掛けるとか その必要はないようだ 373 00:25:23,211 --> 00:25:26,211 ええ? 見ろ 合図の火縄だ 374 00:25:28,216 --> 00:25:30,216 現れたぞ 375 00:25:32,220 --> 00:25:36,224 俺は表へ回る 梅安殿は裏口へ 376 00:25:36,224 --> 00:25:56,244 ♬~ 377 00:25:56,244 --> 00:26:05,186 ♬~ 378 00:26:05,186 --> 00:26:11,192 御免くださいやし 御免くださいやし 379 00:26:11,192 --> 00:26:15,192 己之吉つぁん 大家さんの使いで参りました 380 00:26:17,198 --> 00:26:19,200 己之吉つぁん! 381 00:26:19,200 --> 00:26:28,200 ♬~ 382 00:26:49,230 --> 00:26:51,230 ここだ! 383 00:26:53,234 --> 00:26:55,234 いけねえ 384 00:27:03,177 --> 00:27:06,177 (軒下を走る足音) 385 00:27:08,182 --> 00:27:11,182 (軒下を走る足音) 386 00:27:24,198 --> 00:27:38,212 ♬~ 387 00:27:38,212 --> 00:27:43,217 (笑い声) 388 00:27:43,217 --> 00:27:47,221 (己之吉)俺をやろうったって 無駄なことだぜ➡ 389 00:27:47,221 --> 00:27:53,227 来なよ もっと近くへ来な!➡ 390 00:27:53,227 --> 00:27:59,233 フハハ… どこの野郎か知らねえが 伊助のやつに言っときな➡ 391 00:27:59,233 --> 00:28:02,170 お前の命は必ずもらう➡ 392 00:28:02,170 --> 00:28:06,174 己之吉は 言ったことは必ず守る男だってな 393 00:28:06,174 --> 00:28:09,177 (犬の鳴き声) 394 00:28:09,177 --> 00:28:18,186 ♬~ 395 00:28:18,186 --> 00:28:22,190 星がきれいだ あしたは いい釣り日和ですぜ 396 00:28:22,190 --> 00:28:24,192 そうですな ええ 397 00:28:24,192 --> 00:28:43,211 ♬~ 398 00:28:43,211 --> 00:28:49,217 ♬~ 399 00:28:49,217 --> 00:28:52,220 うっ… 400 00:28:52,220 --> 00:28:55,223 ハァ… 何だ お前か 401 00:28:55,223 --> 00:28:59,227 (おぎん)ああ びっくりした 何よ 先生 402 00:28:59,227 --> 00:29:02,163 いやあ 俺は物取りが 出たんじゃないかと思ってね 403 00:29:02,163 --> 00:29:06,167 何言ってんですか こんな かわいい物取りがいるもんですか 404 00:29:06,167 --> 00:29:08,169 でも 先生 すごい顔した 405 00:29:08,169 --> 00:29:10,171 あんな顔した先生 見たの 初めてだわ 406 00:29:10,171 --> 00:29:14,175 そら びっくりすりゃ誰だって おっかない顔でもするよ 407 00:29:14,175 --> 00:29:19,180 あら 素通りするつもり? 来てくださったんでしょう 408 00:29:19,180 --> 00:29:23,184 私 ずっと待ってたのよ おう そうかい よかったねえ 409 00:29:23,184 --> 00:29:25,186 あっ うれしい じゃ 先生 410 00:29:25,186 --> 00:29:27,186 いや ちょっと… うん 411 00:29:29,190 --> 00:29:33,194 先生 いや ちょいと待ってくれよ 412 00:29:33,194 --> 00:29:35,196 おかしいな 確かに この辺だったけどなあ 413 00:29:35,196 --> 00:29:37,198 何が ええ? 414 00:29:37,198 --> 00:29:39,198 うん もう 早く うーん 415 00:29:41,202 --> 00:29:59,220 ♬~ 416 00:29:59,220 --> 00:30:06,227 ええっと 30文だと 1・2・3・4・5・6… 417 00:30:06,227 --> 00:30:12,233 ちょっと長いな 50文だと 1・2・3・4… 418 00:30:12,233 --> 00:30:15,236 何 ぶつぶつ言ってるんだい 419 00:30:15,236 --> 00:30:18,239 えっ? 勘定してるんですよ お金の勘定 420 00:30:18,239 --> 00:30:20,241 あーあ 艶消しだ うーん 421 00:30:20,241 --> 00:30:22,243 飲んでるそばから 金の勘定なんかされちゃ➡ 422 00:30:22,243 --> 00:30:26,247 付けの催促されてるみたいだよ フフフ 違うんですよ 423 00:30:26,247 --> 00:30:28,249 ねえ 先生 ええ? 424 00:30:28,249 --> 00:30:31,252 先生に命講 掛けといてあげましょうか 425 00:30:31,252 --> 00:30:33,254 危なっ 危ない 命講だ? 426 00:30:33,254 --> 00:30:36,257 危ないわね 急に動いて 突いたらどうすんですよ 427 00:30:36,257 --> 00:30:40,261 何で私に 命講掛けるんだい だって 先生 お医者様でしょ 428 00:30:40,261 --> 00:30:43,264 いろんな病人の治療をなさるから ひょっとして➡ 429 00:30:43,264 --> 00:30:46,267 その病人の病がうつって いつ何時 ぽっくりなんてことにも➡ 430 00:30:46,267 --> 00:30:49,267 なりかねないし へっ! 431 00:30:51,272 --> 00:30:54,275 ねえ 私 辰巳屋の旦那のときだって➡ 432 00:30:54,275 --> 00:30:56,277 急に ぽっくり逝かれちゃって 433 00:30:56,277 --> 00:30:59,280 そりゃまあ 今は 先生が いてくださるから 私うれしいけど 434 00:30:59,280 --> 00:31:02,216 でも 本当に あのときは迷ったんですよ 435 00:31:02,216 --> 00:31:05,219 じゃあ 何か 命講掛けといて 私が ぽっくり逝ったら➡ 436 00:31:05,219 --> 00:31:08,222 あー もうけた もうけたってんで のんびり左うちわで➡ 437 00:31:08,222 --> 00:31:11,225 暮らそうってんだ 真面目に聞いてくださいよ 438 00:31:11,225 --> 00:31:15,229 私 先生に もしものことがあったら… 439 00:31:15,229 --> 00:31:20,234 あーあ 嫌だ嫌だ これだから 女ってのは おっかないや 440 00:31:20,234 --> 00:31:23,237 もっとも 女房が亭主に黙って➡ 441 00:31:23,237 --> 00:31:27,241 ごっそり命講掛けとくって話は 近頃 ちょくちょく耳にするが 442 00:31:27,241 --> 00:31:29,243 残念ながら おぎんさん 443 00:31:29,243 --> 00:31:33,247 命講は 他人には掛けられない 仕組みなんですよ 444 00:31:33,247 --> 00:31:37,251 あら 私たち 他人? 知人だ 445 00:31:37,251 --> 00:31:39,253 知人? いや そうじゃないね 446 00:31:39,253 --> 00:31:41,255 じゃないよ じゃないなあ 447 00:31:41,255 --> 00:31:43,257 だから ねえ 先生 うん? 448 00:31:43,257 --> 00:31:46,260 私だって こんな暮らし いつまでも中途半端で嫌ですよ 449 00:31:46,260 --> 00:31:48,262 うん いや ねえ だから… 450 00:31:48,262 --> 00:31:50,264 分かってるよ そりゃ 分かってるよ おぎん 451 00:31:50,264 --> 00:31:52,266 先生 うん 452 00:31:52,266 --> 00:31:54,268 あのな 今夜は ちょいと忙しいんだ 453 00:31:54,268 --> 00:31:57,268 他に行かなきゃならねえ 用があるんだ じゃ またな 454 00:31:59,273 --> 00:32:01,209 どこ行くんですよ! 痛えなあ 455 00:32:01,209 --> 00:32:04,212 ははあ さっきも素通りしようと 思ったところをみると 先生… 456 00:32:04,212 --> 00:32:07,215 いいや 違う違う違う 違うって 他に 本当に用が… 457 00:32:07,215 --> 00:32:10,218 駄目! そっち行ったって 役に立たないように➡ 458 00:32:10,218 --> 00:32:12,220 してあげますからね お仕置きしますからね 459 00:32:12,220 --> 00:32:15,220 ええ? うーん 先生… 460 00:32:19,227 --> 00:32:22,227 あしたは生卵3つ のまなきゃ 461 00:32:29,237 --> 00:32:31,237 (三味線) 462 00:32:46,254 --> 00:32:48,256 ≪(万吉)先生! おう どうした 万吉 463 00:32:48,256 --> 00:32:50,258 「どうした」じゃありませんよ 464 00:32:50,258 --> 00:32:53,261 今 何時だと思ってるんです (せきばらい) 465 00:32:53,261 --> 00:32:56,264 朝方から 伊助さんの子供が いなくなっちまって 466 00:32:56,264 --> 00:32:58,266 何ぃ? 467 00:32:58,266 --> 00:33:00,268 今 みんなで手分けして 捜してるんですがね 468 00:33:00,268 --> 00:33:05,206 ひょっとしたら 己之吉のやつに… 469 00:33:05,206 --> 00:33:07,206 先生! 470 00:33:11,212 --> 00:33:14,215 あ… 左内さん 471 00:33:14,215 --> 00:33:18,219 己之吉を逃がしたのは不覚だった 子供は いつから? 472 00:33:18,219 --> 00:33:23,224 朝御飯を食べて すぐなんです お昼になっても帰らないので➡ 473 00:33:23,224 --> 00:33:26,227 まあ あちこち 心当たりを捜してみたんですが➡ 474 00:33:26,227 --> 00:33:28,229 一緒にいた子供たちも➡ 475 00:33:28,229 --> 00:33:31,232 何せ 自分たちの遊びに 夢中になっていたらしく➡ 476 00:33:31,232 --> 00:33:37,238 どこで 吉太郎がいなくなったかを 誰も はっきりとは覚えておらず… 477 00:33:37,238 --> 00:33:41,242 (おりん) あんた やっぱり 兄さんが➡ 478 00:33:41,242 --> 00:33:46,247 己之吉さんが さらっていったんでしょうか 479 00:33:46,247 --> 00:33:50,251 でも なぜ 兄さんが そんな… 480 00:33:50,251 --> 00:33:54,255 しかし 子供をさらっただけでは どうなるものでもあるまい 481 00:33:54,255 --> 00:33:56,257 きっと 何か言ってこよう 482 00:33:56,257 --> 00:34:02,196 「子供を返す代わりに金を」 と言うか それとも… 483 00:34:02,196 --> 00:34:07,201 あんた! ああ… (伊助)おりん 484 00:34:07,201 --> 00:34:10,201 ≪(茂吉)御免ください 485 00:34:12,206 --> 00:34:15,209 (茂吉)伊助さん 486 00:34:15,209 --> 00:34:17,211 いや ねえ 来たくはなかったんだが… 487 00:34:17,211 --> 00:34:22,216 はい あの… ちょっと今 お医者様方も みえておりますし 488 00:34:22,216 --> 00:34:26,220 とにかく 今日が約束の日 何しろ さんざん遅れているしね 489 00:34:26,220 --> 00:34:29,220 (伊助)分かっております ですから ちょっと… 490 00:34:33,227 --> 00:34:35,229 あれは? 491 00:34:35,229 --> 00:34:39,233 何か商売の つきあいの方だと思いますが➡ 492 00:34:39,233 --> 00:34:42,236 私は寝たっきりなもんで➡ 493 00:34:42,236 --> 00:34:46,236 何も あの人のことは してあげられず… 494 00:34:48,242 --> 00:34:50,244 (万吉)何だい? 坊や 495 00:34:50,244 --> 00:34:54,244 (与作) あの… 頼まれたんだよ これ 496 00:34:58,252 --> 00:35:00,254 誰に頼まれた? 497 00:35:00,254 --> 00:35:03,190 (与作)おばさんだよ まだ あそこにいらあ 498 00:35:03,190 --> 00:35:15,202 ♬~ 499 00:35:15,202 --> 00:35:19,206 ああっ… あたいは何も知らないんだよ 500 00:35:19,206 --> 00:35:23,210 あたい 己之吉さんに頼まれて… 501 00:35:23,210 --> 00:35:27,214 本当なんだよ いつものように 己之さんが来て➡ 502 00:35:27,214 --> 00:35:30,217 あたいに「手紙を書け書け」って 言うもんだから 503 00:35:30,217 --> 00:35:33,220 そうか この間の文も お前が書いてやったのか 504 00:35:33,220 --> 00:35:36,223 うん そうなんだよ 505 00:35:36,223 --> 00:35:38,225 ああ あたい 本当に知らないんだよ 506 00:35:38,225 --> 00:35:41,228 己之さん 弟さんから金をもらったら➡ 507 00:35:41,228 --> 00:35:46,228 あ… あたいの分も 返してくれるって言うもんだから 508 00:35:52,239 --> 00:35:57,239 「一人でこねえと 坊主のいのちは」 509 00:36:01,182 --> 00:36:05,182 (鐘の音) 510 00:36:14,195 --> 00:36:16,197 お願いでございます 511 00:36:16,197 --> 00:36:19,200 やはり 私一人で 行かしてくださいまし 512 00:36:19,200 --> 00:36:22,203 いやあ でもよ 513 00:36:22,203 --> 00:36:25,206 吉太郎に もしものことがあったら 514 00:36:25,206 --> 00:36:30,211 こうしているところだって 兄に見られたら もう吉太郎の命は 515 00:36:30,211 --> 00:36:34,215 心配するな 俺たちは 稲荷の三方から入っていく 516 00:36:34,215 --> 00:36:37,218 お主は 正面から1人で行け 517 00:36:37,218 --> 00:36:41,222 いいな もし 危ないようなことが あったら 声を立てるのだ 518 00:36:41,222 --> 00:36:45,226 己之吉は必ず俺たちが… 行け! 519 00:36:45,226 --> 00:36:47,226 はい 520 00:37:15,189 --> 00:37:17,191 吉太郎… 521 00:37:17,191 --> 00:37:29,203 ♬~ 522 00:37:29,203 --> 00:37:33,203 吉太郎… 吉太郎! 523 00:37:40,214 --> 00:37:44,218 ≪(吉太郎)ちゃん! 524 00:37:44,218 --> 00:37:46,218 吉太郎? 525 00:37:54,228 --> 00:37:56,230 ≪(吉太郎)ちゃん! (伊助)吉太郎 526 00:37:56,230 --> 00:37:58,230 伊助さん 527 00:38:04,171 --> 00:38:07,174 ≪(伊助)吉太郎 ≪(吉太郎)ちゃん! 528 00:38:07,174 --> 00:38:14,181 ≪(伊助)兄さん ≪(己之吉)伊助 よく来たな➡ 529 00:38:14,181 --> 00:38:20,187 しかし 1人で来たんじゃないようだな➡ 530 00:38:20,187 --> 00:38:24,191 あれほど 「一人で来い」と 言っておいたのに てめえ! 531 00:38:24,191 --> 00:38:27,194 (鈴の鳴る音) 532 00:38:27,194 --> 00:38:29,194 己之吉 待て! 533 00:38:31,198 --> 00:38:35,202 確かに俺たちも来た だが 子供に罪はない 534 00:38:35,202 --> 00:38:41,208 吉太郎を返してもらおうか お前も吉太郎の伯父だろう 535 00:38:41,208 --> 00:38:47,214 子供に 醜いところは見せたくない 吉太郎を返してくれ 536 00:38:47,214 --> 00:38:49,216 ≪(吉太郎)ちゃん! 537 00:38:49,216 --> 00:38:53,220 ≪(己之助)そうか そのかわり お前たちは手を引くんだな 538 00:38:53,220 --> 00:38:58,225 引いてもいい だが お前の出方ひとつだ 539 00:38:58,225 --> 00:39:01,161 まず 吉太郎を 540 00:39:01,161 --> 00:39:05,165 ≪(伊助)吉太郎 おじちゃんたちの方へ行くんだ➡ 541 00:39:05,165 --> 00:39:07,167 早く! (吉太郎)ちゃん! 542 00:39:07,167 --> 00:39:11,171 ≪(伊助)早く 早く行くんだ! 吉太郎! 543 00:39:11,171 --> 00:39:16,171 (吉太郎の泣き声) 544 00:39:19,179 --> 00:39:21,181 (吉太郎)ちゃん! ちゃん! 545 00:39:21,181 --> 00:39:30,190 己之吉 話がある 出てこい! ≪(己之吉)何ぃ? 546 00:39:30,190 --> 00:39:37,197 子供を放してやるほどのお前だ 根っからの悪人とは思えんが 547 00:39:37,197 --> 00:39:44,204 伊助を殺せば どのみち お前は縛り首だ 無益な殺生はよせ 548 00:39:44,204 --> 00:39:46,206 ≪(己之吉) おい! それ以上 近寄ったら➡ 549 00:39:46,206 --> 00:39:50,210 伊助の命はねえんだぜ ≪(伊助)兄さん… 550 00:39:50,210 --> 00:39:53,213 ≪(己之吉) 伊助 てめえも ばかな野郎よ➡ 551 00:39:53,213 --> 00:39:55,215 おとなしく 言いなりになってりゃ➡ 552 00:39:55,215 --> 00:39:57,217 こんなことにならずに 済んだものを➡ 553 00:39:57,217 --> 00:40:01,221 よくも てめえ! ≪(伊助)うわっ! 554 00:40:01,221 --> 00:40:05,225 (鈴の鳴る音) 555 00:40:05,225 --> 00:40:16,236 ♬~ 556 00:40:16,236 --> 00:40:29,249 ♬~ 557 00:40:29,249 --> 00:40:31,249 うっ! 558 00:40:39,259 --> 00:40:42,259 あっ ああ… 559 00:40:59,279 --> 00:41:03,279 ありがてえ これで… 560 00:41:23,237 --> 00:41:30,237 お許しくださいませ 私には こうする以外に… 561 00:41:34,248 --> 00:41:41,248 おりんや 吉太郎を助ける道は 伊助… 562 00:41:48,262 --> 00:41:55,262 こ… これを… お願いします 563 00:42:02,209 --> 00:42:09,209 お許しください どうか どうか お許しを… 564 00:42:13,220 --> 00:42:19,226 伊助? おい おい… 伊助! 565 00:42:19,226 --> 00:42:29,226 ♬~ 566 00:42:44,251 --> 00:42:47,254 (伊助) 「よんどころなくとは申しながら➡ 567 00:42:47,254 --> 00:42:50,257 みなみな様を あざむき申し上げる仕儀となり➡ 568 00:42:50,257 --> 00:42:53,260 申訳なく存じております」➡ 569 00:42:53,260 --> 00:42:56,263 「家内おりんの治療の金に詰まり➡ 570 00:42:56,263 --> 00:43:02,202 いえ 度重なる兄の金の無心に 商いさえ行き詰まり➡ 571 00:43:02,202 --> 00:43:09,209 人に誘われ 米相場への手出しが 大きく狂って 二百両の借財」➡ 572 00:43:09,209 --> 00:43:14,214 「それも この月末に返さねば 手が後へ廻る仕儀となり➡ 573 00:43:14,214 --> 00:43:20,220 私の命と引き換えるより他になく 万策つきてのことでございます」➡ 574 00:43:20,220 --> 00:43:23,223 「折しも 突然ひと月前に➡ 575 00:43:23,223 --> 00:43:28,228 風邪をこじらせて死にました兄を 生きているように見せかけ➡ 576 00:43:28,228 --> 00:43:33,233 兄ともども むかし 掛小屋の軽業師や➡ 577 00:43:33,233 --> 00:43:35,235 芝居小屋の芸人➡ 578 00:43:35,235 --> 00:43:41,241 その時 習い覚えた含み綿で 声をかえ 私が兄に成りすまし➡ 579 00:43:41,241 --> 00:43:44,244 音羽屋様に お願いした如く 私が斬られ➡ 580 00:43:44,244 --> 00:43:49,244 私の命講の残金にて…」 581 00:43:55,255 --> 00:44:01,194 伊助の命講500両は 後藤屋清左衛門が払いましたよ 582 00:44:01,194 --> 00:44:04,197 奉行所と後藤屋で だいぶうるさく 調べ回っていたらしいが… 583 00:44:04,197 --> 00:44:08,201 へっ 結局は 何にも分からずじまいさ 584 00:44:08,201 --> 00:44:13,206 ああ それから女房は子供と一緒に 田舎に引き取られて帰りました 585 00:44:13,206 --> 00:44:17,210 伊助の残した大金で ゆっくり養生できるし➡ 586 00:44:17,210 --> 00:44:21,214 これからの暮らしの心配も さらさらない 587 00:44:21,214 --> 00:44:26,219 伊助は もし命講の金が入らなきゃ 米相場の借金で訴えられ➡ 588 00:44:26,219 --> 00:44:31,224 女房子供と一緒に 死罪か遠島になるとこだった 589 00:44:31,224 --> 00:44:35,228 どうしても 女房と子供を 助けたかったんでしょうねえ 590 00:44:35,228 --> 00:44:38,231 いやいや 何にも言いっこなしだ 591 00:44:38,231 --> 00:44:44,237 私たち仕掛人は 頼まれたとおりの仕事をする 592 00:44:44,237 --> 00:44:51,244 狙った獲物を… 確実にね それでいいんですよ 593 00:44:51,244 --> 00:44:57,250 しかし 梅安殿 俺たち仕掛人は 因果な… 594 00:44:57,250 --> 00:45:01,188 ハァ… 無情な世の中だね 595 00:45:01,188 --> 00:45:11,198 ♬~ 596 00:45:11,198 --> 00:45:13,200 (せきばらい) 597 00:45:13,200 --> 00:45:24,200 ♬~ 598 00:45:30,217 --> 00:45:50,237 ♬~ 599 00:45:50,237 --> 00:46:10,190 ♬~ 600 00:46:10,190 --> 00:46:30,210 ♬~ 601 00:46:30,210 --> 00:46:50,230 ♬~ 602 00:46:50,230 --> 00:46:57,230 ♬~ 603 00:47:02,175 --> 00:47:05,178 <男子禁制の大奥で 何事かが起こった> 604 00:47:05,178 --> 00:47:09,182 <仕掛ける相手の顔も知らず あり一匹 入る隙もない大奥> 605 00:47:09,182 --> 00:47:11,184 <しかも この殺しには期限があった> 606 00:47:11,184 --> 00:47:14,187 <果たして 大奥への挑戦は いかに> 607 00:47:14,187 --> 00:47:18,187 <次回の「必殺仕掛人」を お楽しみください>