1 00:01:58,015 --> 00:02:06,023 ・~ 2 00:02:06,023 --> 00:02:09,026 (ナレーター)<のさばる悪を何とする> 3 00:02:09,026 --> 00:02:12,029 <天の裁きは待ってはおれぬ> 4 00:02:12,029 --> 00:02:16,033 <この世の正義も あてにはならぬ> 5 00:02:16,033 --> 00:02:20,033 <闇に裁いて仕置きする> 6 00:02:22,039 --> 00:02:26,039 <南無阿弥陀仏> 7 00:02:28,045 --> 00:02:48,065 ・~ 8 00:02:48,065 --> 00:03:00,011 ・~ 9 00:03:00,011 --> 00:03:03,014 ・(お美代)待ちや (添島)何か? 10 00:03:03,014 --> 00:03:11,014 ・~ 11 00:03:13,024 --> 00:03:17,028 (お美代)よい柄じゃのぅ あれを求めたい 12 00:03:17,028 --> 00:03:19,030 誰ぞ 使いの者を 13 00:03:19,030 --> 00:03:22,033 なに・ 売れぬ? 14 00:03:22,033 --> 00:03:27,038 (添島)なぜじゃ? なぜ あの友禅が売れぬと申すのじゃ・ 15 00:03:27,038 --> 00:03:31,042 (弥助) 誠に申し訳ないのでございますが 16 00:03:31,042 --> 00:03:34,045 あれは これにおります 娘の ゆきが・ 17 00:03:34,045 --> 00:03:38,049 嫁入りのために 作りました物でございますので… 18 00:03:38,049 --> 00:03:40,051 嫁入り・ (弥助)へい 19 00:03:40,051 --> 00:03:45,056 それに あの手描き友禅は 連れ合いになる友吉が・ 20 00:03:45,056 --> 00:03:50,061 下絵を描いて染めました物で とても 奥女中さま方の・ 21 00:03:50,061 --> 00:03:54,065 お姿に合う物ではございませんし (添島)何を言いやる! 22 00:03:54,065 --> 00:03:56,067 あれに お見えになりますのは・ 23 00:03:56,067 --> 00:04:01,005 おそれおおくも 将軍家ご側室 お美代の方さまでございますぞ! 24 00:04:01,005 --> 00:04:03,007 (弥助・友吉)へへーっ! 25 00:04:03,007 --> 00:04:08,012 添島… そなたのように権柄ずくでは… 26 00:04:08,012 --> 00:04:12,016 わらわが あの友禅を求めたいのじゃ 27 00:04:12,016 --> 00:04:17,021 お言葉ではございますが あれは 娘のゆきが… 28 00:04:17,021 --> 00:04:19,023 そのようなことは聞いてはおらぬ 29 00:04:19,023 --> 00:04:22,026 いかほどなら 売るのかと 申しておるのじゃ! 30 00:04:22,026 --> 00:04:24,028 (弥助)へーっ! 31 00:04:24,028 --> 00:04:28,032 (友吉)とっつぁん… そしたら あれと同じ物を… 32 00:04:28,032 --> 00:04:31,035 申すな! おのれの女房となる者と・ 33 00:04:31,035 --> 00:04:34,038 わらわに同じ物をしつらえると 申すのか! 34 00:04:34,038 --> 00:04:36,040 そのようなことを おっしゃられましても… 35 00:04:36,040 --> 00:04:40,040 わらわは 将軍家の側室ぞ! それを! 36 00:04:42,046 --> 00:04:44,048 (新八) しばらく お待ちくださいませ 37 00:04:44,048 --> 00:04:48,052 おそれおおくも 将軍家ご側室たる お部屋さまの お申し出 38 00:04:48,052 --> 00:04:51,055 それが通らぬなどということは 決してあっては ならぬゆえ・ 39 00:04:51,055 --> 00:04:55,059 あれは是非にも 買い求めなければなりません 40 00:04:55,059 --> 00:04:56,994 では… 41 00:04:56,994 --> 00:05:07,004 ・~ 42 00:05:07,004 --> 00:05:19,016 ・~ 43 00:05:19,016 --> 00:05:22,019 (弥助)あっ あの… お待ちくださいまし! 44 00:05:22,019 --> 00:05:25,022 アアッ! (友吉)とっつぁん! 45 00:05:25,022 --> 00:05:32,029 ・~ 46 00:05:32,029 --> 00:05:35,032 この友禅の お支払いを 47 00:05:35,032 --> 00:05:39,032 買い求めましたゆえ 代金を 48 00:05:43,040 --> 00:05:46,043 職人 価は取らせるぞ! 49 00:05:46,043 --> 00:05:50,047 (小判の音) (新八)おたち~! 50 00:05:50,047 --> 00:05:54,051 (弥助)お待ちくださいまし! お待ちくださいまし! 51 00:05:54,051 --> 00:05:56,053 お待ちくださいまし! 52 00:05:56,053 --> 00:05:58,989 あまりに ご無体な! 返してください 53 00:05:58,989 --> 00:06:00,991 アアーッ! 54 00:06:00,991 --> 00:06:04,995 とっつぁん! 待て! 55 00:06:04,995 --> 00:06:06,995 (悲鳴) 56 00:06:26,016 --> 00:06:28,018 (鉄)なんだと・ 57 00:06:28,018 --> 00:06:31,021 じゃ その娘は親父と許婚を 斬られただけじゃなかったのか・ 58 00:06:31,021 --> 00:06:33,023 (主水)そういうことだ 59 00:06:33,023 --> 00:06:36,026 世の中には 俺たちより あくどい野郎が・ 60 00:06:36,026 --> 00:06:39,029 うじゃうじゃいるぜ… 俺は 2人の検視に立ち会ってな 61 00:06:39,029 --> 00:06:42,032 そのあとで 娘が奉行所へ やって来てな 62 00:06:42,032 --> 00:06:44,034 (ゆき)お願いでございます! 63 00:06:44,034 --> 00:06:46,036 お父っつぁんと 友吉さんを斬ったのは・ 64 00:06:46,036 --> 00:06:49,036 お部屋さまの 供の侍でございます! 65 00:06:51,041 --> 00:06:55,045 どうぞ お部屋さまと 供の侍の お取り調べを! 66 00:06:55,045 --> 00:06:57,982 お願いでございます! 67 00:06:57,982 --> 00:07:00,985 (ゆき)お願いでございます! 68 00:07:00,985 --> 00:07:08,993 ・~ 69 00:07:08,993 --> 00:07:12,997 お願いでございます! 訴状は これに… 70 00:07:12,997 --> 00:07:14,999 お願いでございます! 71 00:07:14,999 --> 00:07:18,002 (山野)そりゃ 訴状は受け取るが そういうことは・ 72 00:07:18,002 --> 00:07:23,007 与力の詰め所へ申し出たほうが いいのではないのかな 73 00:07:23,007 --> 00:07:27,011 いや わしら同心でな 下っ端で 力もないし… 74 00:07:27,011 --> 00:07:33,017 もっと偉い人へ訴状を 差し出して お願いしたほうが… 75 00:07:33,017 --> 00:07:45,029 ・~ 76 00:07:45,029 --> 00:07:47,031 (山野)冗談では ないぞ 77 00:07:47,031 --> 00:07:50,034 将軍家のお部屋さまを 捕まえられると思うか 78 00:07:50,034 --> 00:07:53,037 (田口)そんなことしてみろ いっぺんで これだ 79 00:07:53,037 --> 00:07:56,037 (笑い声) (田口)くわばら くわばら! 80 00:07:57,975 --> 00:08:00,978 (主水) 俺は そのとき 変な気がした 81 00:08:00,978 --> 00:08:04,982 なんか こう… ひどく胸騒ぎがしてな 82 00:08:04,982 --> 00:08:08,986 あの娘は ああやって 奉行所へやって来る 83 00:08:08,986 --> 00:08:12,990 あしたも来るだろう あさってもな 84 00:08:12,990 --> 00:08:17,995 そして お奉行や与力に 直訴するかもしれん 85 00:08:17,995 --> 00:08:24,001 いやいや もっと上の… 老中や お目付けに直訴するだろう 86 00:08:24,001 --> 00:08:29,001 そうなりゃ どうなると思う? あの娘は きっと殺されるだろう 87 00:08:31,008 --> 00:08:35,012 いや それよりも… 今でも あの娘の口を封じようと・ 88 00:08:35,012 --> 00:08:38,015 命を狙ってる奴が いるかもしれねえ 89 00:08:38,015 --> 00:08:43,015 俺は急に そんな気がしてな 奉行所を飛び出したんだ… 90 00:08:45,022 --> 00:08:48,025 (村瀬)いや お部屋さまはな・ 91 00:08:48,025 --> 00:08:51,028 供の者が功名心に走って しでかしたこととはいえ・ 92 00:08:51,028 --> 00:08:55,032 父はおろか 夫となる者まで失うた そなたの身の上を・ 93 00:08:55,032 --> 00:08:57,968 大層 お案じになっておられる 94 00:08:57,968 --> 00:09:00,971 不憫じゃ かわいそうじゃと 仰せられてな 95 00:09:00,971 --> 00:09:04,975 それに身寄りの者を失うては たつきの道にも 事欠こう 96 00:09:04,975 --> 00:09:07,978 それゆえ 大奥に上がっては どうか? 97 00:09:07,978 --> 00:09:12,983 大奥に上がれば 衣食の道の心配もないぞ 98 00:09:12,983 --> 00:09:16,987 それよりも せめて罪滅ぼしに そなたの面倒を見てやりたい 99 00:09:16,987 --> 00:09:20,991 そう 仰せられているのじゃ 100 00:09:20,991 --> 00:09:23,994 むろん 大奥に上がるには 面倒なしきたりがある 101 00:09:23,994 --> 00:09:26,997 それは お部屋さまの お声がかり 102 00:09:26,997 --> 00:09:31,001 我ら 大奥をつかさどる お広敷役人も同意のうえじゃ 103 00:09:31,001 --> 00:09:37,007 特に 我らが上役 森清武さまは お部屋さまの お父上 104 00:09:37,007 --> 00:09:40,010 すべて話は ついておるのじゃ 105 00:09:40,010 --> 00:09:45,010 わしは お引き受けしたほうが よいと思うがな 106 00:09:47,017 --> 00:09:50,020 (おきん) その侍の言うことは まゆつばだね 107 00:09:50,020 --> 00:09:53,023 わたしゃ きっと何かあると思うよ 108 00:09:53,023 --> 00:09:56,026 (半次)大奥へ上げといて… 109 00:09:56,026 --> 00:09:57,961 「これ」かな? そうかもしれねえな! 110 00:09:57,961 --> 00:10:00,964 あそこは 口封じには 持ってこいの所だからなぁ 111 00:10:00,964 --> 00:10:04,968 まあ これで この一件は うやむやだな 112 00:10:04,968 --> 00:10:06,970 (錠)えっ どうしてよ? 113 00:10:06,970 --> 00:10:09,973 相手は なにせ将軍家側室の供侍だ 114 00:10:09,973 --> 00:10:12,976 お駕籠先 横切ったから 無礼討ちということになってる 115 00:10:12,976 --> 00:10:15,979 まるっきり手が出せねえ (おきん)そんな! 116 00:10:15,979 --> 00:10:19,983 随分 かた手落ちじゃないか! (主水)しかたねえやな 117 00:10:19,983 --> 00:10:22,986 俺は お前たちが 「訳 話せ」って 言うから ここまでやって来たんだ 118 00:10:22,986 --> 00:10:25,989 言っとくがな この一件から 手ぇ引いたほうが 身のためだぞ 119 00:10:25,989 --> 00:10:29,993 何言ってやんでえ! 相手は たかが将軍の妾じゃねえか 120 00:10:29,993 --> 00:10:32,996 妾が怖くて 江戸の町が歩けるか しかし… 121 00:10:32,996 --> 00:10:37,000 その辺の 手かけや足かけとは 違うんだ 122 00:10:37,000 --> 00:10:41,004 将軍の妾じゃ ちょっと… なんだい? 123 00:10:41,004 --> 00:10:44,007 あんた 降りるのかい? 乗るも降りるも ねえだろう 124 00:10:44,007 --> 00:10:46,009 俺は 別に 金もらったわけじゃねえんだ 125 00:10:46,009 --> 00:10:49,009 俺は 金だけが頼りなんでな 126 00:10:52,015 --> 00:10:57,955 ・~ 127 00:10:57,955 --> 00:11:00,958 しかし… 128 00:11:00,958 --> 00:11:03,961 この一件を引き受けたら… 129 00:11:03,961 --> 00:11:07,965 お… お… 大奥へ 忍び込めるかもしれねえなぁ 130 00:11:07,965 --> 00:11:10,968 (笑い声) お前 とにかくな・ 131 00:11:10,968 --> 00:11:13,971 女ばっかり3000人が いるってんだ 132 00:11:13,971 --> 00:11:16,974 女ばっかり うじゃうじゃしてる 133 00:11:16,974 --> 00:11:20,978 女が3000… いいだろうなぁ 134 00:11:20,978 --> 00:11:23,981 お前らな 遊びに行くんじゃねえんだぞ 135 00:11:23,981 --> 00:11:26,984 (半次)いいねえ やろうよ 136 00:11:26,984 --> 00:11:29,987 俺 大奥へ入れたら もう死んじまってもいいな 137 00:11:29,987 --> 00:11:32,990 色きちがい! 138 00:11:32,990 --> 00:11:35,993 (お仙) おきんちゃん あんたが来ると わたしが困るんだよ 139 00:11:35,993 --> 00:11:39,997 どうしてさ? なんだい ちょっと先 所帯持ったからって・ 140 00:11:39,997 --> 00:11:43,000 そんな 冷たくすること ないじゃないか 141 00:11:43,000 --> 00:11:45,002 別に 冷たくするわけじゃないけどさ 142 00:11:45,002 --> 00:11:48,005 そりゃ あんたが 訪ねてきてくれりゃ うれしいよ 143 00:11:48,005 --> 00:11:51,008 だけど あんたって べらべら しゃべるだろう 144 00:11:51,008 --> 00:11:54,011 わたしの亭主に 元 わたしが すりだってこと・ 145 00:11:54,011 --> 00:11:58,015 言われやしないかと思うと (おきん)絶対 大丈夫だってさ 146 00:11:58,015 --> 00:12:02,019 あんたと わたしが組んでてさ わたしが前から ぽんと当たったら 147 00:12:02,019 --> 00:12:04,021 あんたが後ろから ばっと やってました 148 00:12:04,021 --> 00:12:06,023 うまかったなぁ …なんて言わないって 149 00:12:06,023 --> 00:12:08,025 みんな 言ってるじゃないかよ 150 00:12:08,025 --> 00:12:12,029 あんた 本当に これが軽いから 嫌なんだよ わたしゃ… 151 00:12:12,029 --> 00:12:14,031 心配ご無用だって 152 00:12:14,031 --> 00:12:17,034 わたしもさぁ もうそろそろ 足 洗おうかなと思ってんだもん 153 00:12:17,034 --> 00:12:20,037 自分が やらないこと 人さま やってましたなんて・ 154 00:12:20,037 --> 00:12:23,040 絶対 言わないって! (笑い声) 155 00:12:23,040 --> 00:12:27,044 あいたっ… ごめんなさい! (お仙)大丈夫だった? 156 00:12:27,044 --> 00:12:30,047 大丈夫だよ 大丈夫 大丈夫 ほら ばっちりだい! 157 00:12:30,047 --> 00:12:33,050 あら… ちょっと! 158 00:12:33,050 --> 00:12:37,054 だから あんたと歩くの嫌だって 言ったんだよ 159 00:12:37,054 --> 00:12:39,056 しょうがないじゃないか! 160 00:12:39,056 --> 00:12:42,059 今さら 返しに行ったら 余計 変に思うよ 161 00:12:42,059 --> 00:12:44,061 そりゃ そうだね 162 00:12:44,061 --> 00:12:48,065 ハッ ちょっと! ちょうどいいや 163 00:12:48,065 --> 00:12:52,069 うちの亭主 煙草入れ なくしたって言ってたから… 164 00:12:52,069 --> 00:12:55,072 もらっとこうか (おきん)そうしよう! 165 00:12:55,072 --> 00:12:57,007 でもさ 良かったな~ 166 00:12:57,007 --> 00:13:01,011 あんたがさ おゆきちゃんの 親父さんの近所に住んでてくれて 167 00:13:01,011 --> 00:13:04,014 本当 言うとね… わたし あのおやじさんに・ 168 00:13:04,014 --> 00:13:07,017 昔 借りがあるんだ (お仙)借り? いくらぐらい? 169 00:13:07,017 --> 00:13:11,021 いや 金じゃないよ あんたと組む前だよ 170 00:13:11,021 --> 00:13:14,024 あのおやじさんの懐 狙って 「これ」 やったんだよ 171 00:13:14,024 --> 00:13:16,026 やり損なったんだよな 172 00:13:16,026 --> 00:13:18,028 わたしゃ てっきり 八丁堀 連れてかれると思ったよ 173 00:13:18,028 --> 00:13:21,031 そしたらね おやじさん 言うじゃないか 174 00:13:21,031 --> 00:13:24,034 「わたしにも あんたよりは 若いけど 娘がいるんだ」 175 00:13:24,034 --> 00:13:27,037 「こういうことを やっちゃいけない」 こうだよ 176 00:13:27,037 --> 00:13:31,037 へえ~ そんなことがあったのかい 177 00:13:35,045 --> 00:13:38,048 (お仙)おゆきちゃん どうしても大奥へ行くのかい? 178 00:13:38,048 --> 00:13:41,051 わたしだって 行きたくはありません 179 00:13:41,051 --> 00:13:44,054 でも このままじゃ お店を続けていくことだって… 180 00:13:44,054 --> 00:13:48,058 だけど なんとかならないもんかね 本当に… 181 00:13:48,058 --> 00:13:51,061 例えばさ どっかで働くとか 182 00:13:51,061 --> 00:13:54,064 どこに 女の働く場所があるんです? 183 00:13:54,064 --> 00:14:00,003 結局は お茶くみ女になるか 身を落とすか… 184 00:14:00,003 --> 00:14:05,008 それに あれから何度も大奥から 上がれと言ってきてるんです 185 00:14:05,008 --> 00:14:08,011 断れば 何か恐ろしいことが 起こりそうで… 186 00:14:08,011 --> 00:14:10,013 でもさ その大奥 行っちゃったらよ・ 187 00:14:10,013 --> 00:14:14,017 もっと そんなこと あるかもしれないよ? 188 00:14:14,017 --> 00:14:19,022 そうかもしれません… でも どうしようもないんです 189 00:14:19,022 --> 00:14:21,024 今の わたしには・ 190 00:14:21,024 --> 00:14:24,027 面倒を見てくださるという方の 言葉を信じ・ 191 00:14:24,027 --> 00:14:27,030 それに すがって 生きていくことしか… 192 00:14:27,030 --> 00:14:30,033 そんな… おゆきちゃん それじゃ あんまりだよ! 193 00:14:30,033 --> 00:14:33,036 ねえ 情けないよ! 悔しいと思わないのかい・ 194 00:14:33,036 --> 00:14:36,039 そりゃ わたしだって! 195 00:14:36,039 --> 00:14:40,043 でも わたしに 一体 何ができるっていうんです・ 196 00:14:40,043 --> 00:14:45,043 女のわたしに 一体 何が… 197 00:14:48,051 --> 00:14:50,053 ねえ? 198 00:14:50,053 --> 00:14:53,056 ねえ おゆきちゃん! わたしね ひとつ お願いがあるんだけどね・ 199 00:14:53,056 --> 00:14:56,059 わたしも一緒に 大奥 連れてってもらえないかね? 200 00:14:56,059 --> 00:14:58,996 ちょっと あんた何を言うんだよ・ (おきん)「何を言う」って… 201 00:14:58,996 --> 00:15:01,999 このまま 1人 おゆきちゃん 大奥行くなんて・ 202 00:15:01,999 --> 00:15:05,002 そんなの わたしは嫌だよ 嫌! (お仙)わたしだって同じだよ 203 00:15:05,002 --> 00:15:08,005 だけど あんた 大奥へ どうやって行くんだよ? 204 00:15:08,005 --> 00:15:11,008 あんた お呼びじゃないんだよ (おきん)そりゃまあ 分かってるよ 205 00:15:11,008 --> 00:15:15,012 そこがさ 考える女の知恵だよね おゆきちゃんさぁ・ 206 00:15:15,012 --> 00:15:17,014 このまま 大奥へ上がったら 職人の娘ってことで・ 207 00:15:17,014 --> 00:15:20,017 いちばん下っ端の 大奥女中にしかなれないから・ 208 00:15:20,017 --> 00:15:23,020 侍の娘として大奥へ上がることに なったんだろう? (お仙)うん 209 00:15:23,020 --> 00:15:28,025 そこ そこ そこ! 侍の娘! 侍の娘なら お付きの女中が・ 210 00:15:28,025 --> 00:15:31,028 1人ぐらい ついてったって おかしくないよ 211 00:15:31,028 --> 00:15:33,030 なんだって? ちょいと! 212 00:15:33,030 --> 00:15:37,034 あんた あの… お付きの女中に なるつもり? (おきん)ああ! 213 00:15:37,034 --> 00:15:41,038 ヘッ これなのに! (おきん)ああっ! 214 00:15:41,038 --> 00:15:44,041 それでね その おゆきちゃんがよ 215 00:15:44,041 --> 00:15:47,044 その お付きの女中と一緒でなきゃ 嫌だっつったら・ 216 00:15:47,044 --> 00:15:50,047 向こうだって考えるよ おゆきちゃん 欲しいんならさ 217 00:15:50,047 --> 00:15:52,049 だから 1人ぐらい 変なの ついてったって大丈夫 218 00:15:52,049 --> 00:15:54,051 すんなり 通るよ 219 00:15:54,051 --> 00:15:56,987 あんたって 頭がいいんだね (おきん)ああ! 220 00:15:56,987 --> 00:15:59,987 (笑い声) 221 00:16:02,993 --> 00:16:05,996 (半次)おきん! (おきん)はい! 222 00:16:05,996 --> 00:16:08,999 どうしたの? お前 そんなに着飾って どこ行くの? 223 00:16:08,999 --> 00:16:13,003 ええ ちょっと大奥へ 224 00:16:13,003 --> 00:16:17,007 (半次)大奥? へえ~! 225 00:16:17,007 --> 00:16:19,009 なにぃ・ 226 00:16:19,009 --> 00:16:39,029 ・~ 227 00:16:39,029 --> 00:16:54,044 ・~ 228 00:16:54,044 --> 00:16:56,980 あの馬鹿 ちゃらちゃら 着飾りやがって… 229 00:16:56,980 --> 00:17:00,984 一体 どういうつもりなんだ・ 大奥へ入ったら出られなくなるぞ 230 00:17:00,984 --> 00:17:02,986 しかしな 今 俺たちが飛び込んで 231 00:17:02,986 --> 00:17:05,989 かっさらうってわけにも いかねえじゃねえか 232 00:17:05,989 --> 00:17:08,992 こうなったらな 俺たちも 大奥 行こう 233 00:17:08,992 --> 00:17:11,995 俺たちは 大奥へ行けねえんだ 馬鹿 234 00:17:11,995 --> 00:17:17,000 じゃ どうすんだよ! おきん 行っちゃったじゃないか おきん 235 00:17:17,000 --> 00:17:21,004 おきん! どうすんだよ! 236 00:17:21,004 --> 00:17:41,024 ・~ 237 00:17:41,024 --> 00:17:52,035 ・~ 238 00:17:52,035 --> 00:18:03,035 ・~ 239 00:18:04,981 --> 00:18:08,985 (村瀬)旗本 飯島頼母 養女 ゆき 240 00:18:08,985 --> 00:18:12,989 同 付き女中 きん 241 00:18:12,989 --> 00:18:16,993 両名 今般 大奥ご奉公の儀 大義である 242 00:18:16,993 --> 00:18:21,998 しかし 奥女中たるもの お目見得以上は一生奉公 243 00:18:21,998 --> 00:18:26,002 以下の者も3年に区切り 6日のみの宿下がりの儀・ 244 00:18:26,002 --> 00:18:29,005 心得ておるな? (おきん)はあ… 245 00:18:29,005 --> 00:18:32,008 (村瀬)心得ておるな・ (おきん)はっ! 246 00:18:32,008 --> 00:18:36,012 (村瀬) では 奥女中誓詞を申し聞かせる 247 00:18:36,012 --> 00:18:38,014 (ため息) 248 00:18:38,014 --> 00:18:57,968 ・~ 249 00:18:57,968 --> 00:19:06,968 ・~ 250 00:19:12,983 --> 00:19:20,991 ・~ 251 00:19:20,991 --> 00:19:23,991 あいた… あいた! おゆきちゃん 252 00:19:25,996 --> 00:19:30,000 (おその)お年寄 浦尾さま お客あしらえ 添島さま・ 253 00:19:30,000 --> 00:19:36,000 お広敷での ご用相済み ただいま戻ります 254 00:20:04,968 --> 00:20:07,971 ・(戸の閉まる音) 255 00:20:07,971 --> 00:20:10,974 ここからが大奥じゃ 256 00:20:10,974 --> 00:20:15,974 何千人と 女だけの生きている所じゃぞ 257 00:20:22,986 --> 00:20:25,989 (拍手) 258 00:20:25,989 --> 00:20:28,992 (女中) お部屋さま お見事でございます 259 00:20:28,992 --> 00:20:46,992 ・~ 260 00:20:50,013 --> 00:20:56,019 おお ゆきか… よう来たの 待っておったぞ 261 00:20:56,019 --> 00:20:57,954 この度は… 262 00:20:57,954 --> 00:21:01,958 (お美代) よいよい 堅苦しい挨拶など 263 00:21:01,958 --> 00:21:06,963 それより お広敷から大奥へ来る廊下 264 00:21:06,963 --> 00:21:13,970 あそこで 誰ぞ 見覚えのある男に 会わなんだか? 265 00:21:13,970 --> 00:21:19,976 そうか… 会ったか それなら よい 266 00:21:19,976 --> 00:21:26,976 今日は 何かと疲れておろう 下がって ゆるりと休むがよい 267 00:21:29,986 --> 00:21:31,988 (お美代)おお そうじゃ 268 00:21:31,988 --> 00:21:35,992 そなたに 言うておかねばならぬことがある 269 00:21:35,992 --> 00:21:40,997 ゆき あの友禅は美しかったのぅ 270 00:21:40,997 --> 00:21:42,999 はっ? 271 00:21:42,999 --> 00:21:46,002 (お美代)じゃが わらわはな・ 272 00:21:46,002 --> 00:21:50,006 あのような下賤な物を着ようと 思うたわけではない 273 00:21:50,006 --> 00:21:56,012 あれを何に使うておるか 見せて進ぜようと思うてな 274 00:21:56,012 --> 00:22:01,012 まあ よい それは いずれ分かることじゃ 275 00:22:05,021 --> 00:22:10,026 (お美代)いずれのぅ (笑い声) 276 00:22:10,026 --> 00:22:15,031 (泣き声) 277 00:22:15,031 --> 00:22:17,033 (おきん)うん? 278 00:22:17,033 --> 00:22:20,033 (泣き声) 279 00:22:25,041 --> 00:22:27,041 おゆきちゃん… 280 00:22:29,045 --> 00:22:32,048 わたしは馬鹿でした 281 00:22:32,048 --> 00:22:38,054 あんな人の言葉を信じて こんな所へ来るなんて… 282 00:22:38,054 --> 00:22:43,059 あの人は わたしを いたぶるために呼んだんですね 283 00:22:43,059 --> 00:22:46,062 わたしの友禅を取り上げて・ 284 00:22:46,062 --> 00:22:50,066 お父っつぁんや 友吉さんも 殺しておいて 285 00:22:50,066 --> 00:22:53,066 まだ わたしを… (おきん)おゆきちゃん 286 00:22:55,071 --> 00:23:00,009 だからさ わたしが 一緒に来たんじゃないか ねっ? 287 00:23:00,009 --> 00:23:02,011 でも… (おきん)大丈夫! 288 00:23:02,011 --> 00:23:05,014 わたしが きっと守ってあげるよ 289 00:23:05,014 --> 00:23:11,020 これから先 あの雌猫が 何しやがったって… 290 00:23:11,020 --> 00:23:14,020 おきんさん! (おきん)うん? 291 00:23:16,025 --> 00:23:20,029 (おきん)なんだい? (ゆき)お金です 292 00:23:20,029 --> 00:23:23,032 これは お父っつぁんが残した お店や道具・ 293 00:23:23,032 --> 00:23:26,035 それを全部 売り払ったお金です 294 00:23:26,035 --> 00:23:31,040 おきんさんが持っていて (おきん)いや でも… 295 00:23:31,040 --> 00:23:34,043 わたしが持っていたら 取り上げられるかもしれない 296 00:23:34,043 --> 00:23:39,048 わたし 怖いんです もしものことがあったら… 297 00:23:39,048 --> 00:23:44,048 だから おきんさん 持っていて! お願いします 298 00:23:46,055 --> 00:23:49,055 分かったよ おゆきちゃん… 299 00:23:51,060 --> 00:23:57,000 でも 本当に良かった おきんさんが いてくれて… 300 00:23:57,000 --> 00:24:00,000 わたしひとりだったら… 301 00:24:05,008 --> 00:24:10,013 (女中)お火の番 相回ります 302 00:24:10,013 --> 00:24:15,018 (女中たち)お火の番 お火の番… 303 00:24:15,018 --> 00:24:20,023 ・~ 304 00:24:20,023 --> 00:24:22,025 おう どうだった? 305 00:24:22,025 --> 00:24:26,029 (半次)どうも こうもないよ 足が棒みたいになっちゃったよ 306 00:24:26,029 --> 00:24:31,034 やっぱりね 大奥へ入れる男っちゅうのはね・ 307 00:24:31,034 --> 00:24:36,039 将軍さまと 江戸城のお医者さんと 御用商人の碇屋だけだってさ 308 00:24:36,039 --> 00:24:39,042 碇屋? (半次)ああ 紅 白粉 小間物・ 309 00:24:39,042 --> 00:24:43,046 よろず奥女中の ご用を承る 御用商人なんだよね 310 00:24:43,046 --> 00:24:46,049 だけどね 世の中には 大奥をひと目 見たいなんていう・ 311 00:24:46,049 --> 00:24:48,051 物好きな連中が多くってさ・ 312 00:24:48,051 --> 00:24:52,055 番頭や丁稚志願者が わんさか わんさか いるんだって 313 00:24:52,055 --> 00:24:56,993 だから 碇屋の店の者に化けて 入り込むなんてのも 難しいわな 314 00:24:56,993 --> 00:24:59,996 はあ… 商人ってのは 出入りするだけだろう? 315 00:24:59,996 --> 00:25:02,999 大奥に住み込みで行ける 手だてってのは ねえかな? 316 00:25:02,999 --> 00:25:05,001 馬鹿野郎! 女なら ともかく・ 317 00:25:05,001 --> 00:25:08,004 男が大奥に 住み込めるわけねえじゃねえか! 318 00:25:08,004 --> 00:25:12,008 それが あるんだな (錠)それみろ あるんだよ 319 00:25:12,008 --> 00:25:15,011 大奥に住み込める 結構な男がいるんだ 320 00:25:15,011 --> 00:25:18,014 (半次)ほう~ 本当? (主水)これ見ろ 321 00:25:18,014 --> 00:25:21,017 これは 俺がな 昨日 奉行所の書物蔵・ 322 00:25:21,017 --> 00:25:24,020 引っかき回してたら 出てきたんだけど… 323 00:25:24,020 --> 00:25:27,023 ここ 見てくれ 324 00:25:27,023 --> 00:25:31,027 大奥男役人衆一覧 325 00:25:31,027 --> 00:25:33,029 お広敷用人から始まってな 326 00:25:33,029 --> 00:25:36,032 ご用部屋仕丁というのが あるだろう? 327 00:25:36,032 --> 00:25:38,034 これは つまり下男のことなんだ 328 00:25:38,034 --> 00:25:42,038 この下男はな 大奥女中の 用を足すために置かれてる 329 00:25:42,038 --> 00:25:47,043 つまり 親元への使い 買い物 駕籠かき 掃除… 330 00:25:47,043 --> 00:25:50,046 もちろん 大奥の中へは入れねえぞ 331 00:25:50,046 --> 00:25:53,049 それからな その下男の部屋ってのは・ 332 00:25:53,049 --> 00:25:55,051 ここと ここにある 333 00:25:55,051 --> 00:25:57,987 大奥女中の出入りする・ 334 00:25:57,987 --> 00:26:01,991 いわゆる 七つ口といわれるのが ここだ 335 00:26:01,991 --> 00:26:04,994 下男の部屋とは 目と鼻の先だ 336 00:26:04,994 --> 00:26:07,997 しかもな その下男は・ 337 00:26:07,997 --> 00:26:12,001 この入り口で毎日 奥女中からの 用を言いつかるのを待つのが・ 338 00:26:12,001 --> 00:26:14,003 仕事だっていうじゃないか 339 00:26:14,003 --> 00:26:18,007 ああ じゃ 誰かが下男になって 入り込めばいいわけだ 340 00:26:18,007 --> 00:26:20,009 そういうわけよ それにな・ 341 00:26:20,009 --> 00:26:25,014 その下男の元締めの親方ってのは 俺は以前 博打で挙げたことがある 342 00:26:25,014 --> 00:26:27,016 本当か・ うん… そのとき・ 343 00:26:27,016 --> 00:26:30,019 袖の下 つかませやがったんで 目こぼししてやったんだがな 344 00:26:30,019 --> 00:26:35,024 それを種に 誰か下男に 住み込ませろと脅かしたら・ 345 00:26:35,024 --> 00:26:38,024 まさか 親方も 嫌とは言わねえだろう 346 00:26:40,029 --> 00:26:43,032 …となると こん中で お前・ 347 00:26:43,032 --> 00:26:47,036 誰が いちばん 下男面してるかってことだよ 348 00:26:47,036 --> 00:26:49,038 (半次)はい 349 00:26:49,038 --> 00:26:53,042 ・~ 350 00:26:53,042 --> 00:26:58,042 (半次)新入りの半助と申します どうぞ よろしく 351 00:26:59,982 --> 00:27:02,985 (音吉)おいおい おいおい! (半次)はい 352 00:27:02,985 --> 00:27:05,988 ばたばたするんじゃねえよ 鶏じゃあるめえし 353 00:27:05,988 --> 00:27:08,991 はい (音吉)いいか・ 八丁堀の旦那がな 354 00:27:08,991 --> 00:27:12,995 十手を ちらつかせやがるから お前を ここに入れたんだぞ 355 00:27:12,995 --> 00:27:16,999 少しは御殿勤めらしくしろ! 御殿勤めらしく (半次)へい 356 00:27:16,999 --> 00:27:21,003 あの~ 奥女中さんの出入り口で 七つ口… 357 00:27:21,003 --> 00:27:23,005 あっ あれかな? 358 00:27:23,005 --> 00:27:26,008 (音吉)おいおいおい… 359 00:27:26,008 --> 00:27:29,011 (半次)七つ口っていうのに 出入り口が1つしかないじゃない 360 00:27:29,011 --> 00:27:32,014 勝手に 向こう行くんじゃねえよ! 361 00:27:32,014 --> 00:27:37,019 いいか? 七つ口ってのはな 明け方の五つに開いて・ 362 00:27:37,019 --> 00:27:42,024 夕方の七つに閉まるから 七つ口っていうんだ (半次)ああ 363 00:27:42,024 --> 00:27:44,026 もし 勝手に向こう行ったらな・ 364 00:27:44,026 --> 00:27:49,026 あそこにおられる方が お前の首を ばっさり! 365 00:28:01,978 --> 00:28:06,983 どうじゃ? 大奥の様子も少しは覚えたか? 366 00:28:06,983 --> 00:28:08,985 はい… 367 00:28:08,985 --> 00:28:11,988 それならば よい 368 00:28:11,988 --> 00:28:18,995 しかし 日がな一日 何もせずにおるのも 詮なかろう 369 00:28:18,995 --> 00:28:24,000 大奥には 合わせて 数百間の長さの廊下がある 370 00:28:24,000 --> 00:28:29,005 それを ゆきに 磨いてもらおうかのぅ 371 00:28:29,005 --> 00:28:33,009 ぬか袋を作り 艶が出るまで磨くのじゃ 372 00:28:33,009 --> 00:28:37,013 布きれは ここにある 373 00:28:37,013 --> 00:28:39,015 ああ それから… 374 00:28:39,015 --> 00:28:43,019 いつも 拭き掃除に使うておる あれを… 375 00:28:43,019 --> 00:28:46,019 あっ それは! 376 00:28:48,024 --> 00:28:53,024 友禅じゃ それが どうかしたのか? 377 00:28:55,031 --> 00:28:59,969 この残りの友禅で ぬか袋を作るがよい 378 00:28:59,969 --> 00:29:07,977 よいな? 必ず このきれで作り 廊下の隅々まで磨くのじゃ 379 00:29:07,977 --> 00:29:13,983 (お美代) 必ず その友禅で作るのじゃぞ 380 00:29:13,983 --> 00:29:17,987 お方さまに申し上げます なぜ そのように おゆきさまを… 381 00:29:17,987 --> 00:29:22,992 なにっ・ 誰が そのほうなどに即答を許した! 382 00:29:22,992 --> 00:29:26,996 素性も知れぬ おのれなどが 何を言う! 383 00:29:26,996 --> 00:29:33,002 (お美代)そうか… それほど 訳が聞きたくば 言うてやろう 384 00:29:33,002 --> 00:29:37,006 わらわはな その友禅を初めから・ 385 00:29:37,006 --> 00:29:42,011 このように使おうと 思うたからこそ 求めたのじゃ 386 00:29:42,011 --> 00:29:46,015 側室たる者が 下賤な友禅を 身に着けとうて・ 387 00:29:46,015 --> 00:29:52,021 求めたのではないことを とくと教えて進ぜようと思うてな 388 00:29:52,021 --> 00:29:55,024 それを持って下がるがよい 389 00:29:55,024 --> 00:30:01,964 ゆき よいな? 必ず それで この大奥の廊下を… 390 00:30:01,964 --> 00:30:05,968 とくと そのこと申しつけたぞ 391 00:30:05,968 --> 00:30:11,968 ・~ 392 00:30:15,978 --> 00:30:17,978 (おきん)おゆきちゃん… 393 00:30:19,982 --> 00:30:22,985 わたしには できない… 394 00:30:22,985 --> 00:30:29,992 どうして わたしが この友禅で 廊下なんかを磨くことが… 395 00:30:29,992 --> 00:30:34,997 ねえ 辛抱するのよ ねっ! 396 00:30:34,997 --> 00:30:39,001 ちきしょう! こんな所にいられるかい 397 00:30:39,001 --> 00:30:41,003 きっとね そのうち… 398 00:30:41,003 --> 00:30:45,007 嫌です! もう 一時も こんな所にいるのは嫌! 399 00:30:45,007 --> 00:30:48,010 わたしは! 400 00:30:48,010 --> 00:30:53,015 ちょっと おゆき… おゆきさん! ちょっ ちょいと待ちなって! 401 00:30:53,015 --> 00:30:56,018 何言ってんだよ! 今は出るったって無理なんだよね 402 00:30:56,018 --> 00:30:59,018 ちょっと… おゆきちゃん! 403 00:31:00,957 --> 00:31:06,963 あっとと… ちょっと! ちょっ ちょっ… 404 00:31:06,963 --> 00:31:08,965 おゆきちゃん! 405 00:31:08,965 --> 00:31:12,969 おゆきちゃん! ちょいと! 待ちなって! 406 00:31:12,969 --> 00:31:15,972 あっ! 下がりゃ! 下がらぬか! 407 00:31:15,972 --> 00:31:19,976 (添島) 上さまのお成りでございますぞ! 下がらぬか! 408 00:31:19,976 --> 00:31:24,981 ・~ 409 00:31:24,981 --> 00:31:26,983 (将軍)そのほう 何と申す? 410 00:31:26,983 --> 00:31:29,986 (添島)上さま! この者は… (将軍)かまわぬ! 即答を許す 411 00:31:29,986 --> 00:31:34,991 はっ はい… ゆきと申します… 412 00:31:34,991 --> 00:31:36,993 ゆきか… 413 00:31:36,993 --> 00:31:53,009 ・~ 414 00:31:53,009 --> 00:31:55,011 (ため息) 415 00:31:55,011 --> 00:31:57,013 ええ・ 416 00:31:57,013 --> 00:31:59,015 上さまが・ 417 00:31:59,015 --> 00:32:03,019 (添島) はい… 明後日の奥泊まりには おゆきをと申されまして 418 00:32:03,019 --> 00:32:06,022 馬鹿な! あのように身分の低い者を! 419 00:32:06,022 --> 00:32:09,025 それを 上さまに申し上げなんだのか・ 420 00:32:09,025 --> 00:32:12,028 申し上げましたが 「苦しゅうない」と仰せられて 421 00:32:12,028 --> 00:32:14,030 なんということを! 422 00:32:14,030 --> 00:32:17,033 上さまも よりによって あんな女を! 423 00:32:17,033 --> 00:32:21,033 ゆきは・ ゆきは どこにおるのじゃ・ ゆきは! 424 00:32:24,040 --> 00:32:27,043 おきんさん… 425 00:32:27,043 --> 00:32:30,046 どうしようね… どうしたらいいんだろうね 本当に 426 00:32:30,046 --> 00:32:33,049 ねえ しっかりするのよ しっかりね! 427 00:32:33,049 --> 00:32:36,052 どうして あんたに 行ったんだろうね 428 00:32:36,052 --> 00:32:39,055 わたしに来りゃいいのよ わたしにね 429 00:32:39,055 --> 00:32:42,058 そしたら わたし 将軍なんて 素股 食らわせてさ… 430 00:32:42,058 --> 00:32:44,060 (おその)これ! 431 00:32:44,060 --> 00:32:48,064 あの… 申し上げます 432 00:32:48,064 --> 00:32:51,067 私を 上さまのお側女に… 駄目かしら? 433 00:32:51,067 --> 00:32:55,071 (おその)馬鹿なことを! ここを どこじゃと思うていやる! 434 00:32:55,071 --> 00:32:59,008 ここは 上さまを お慰め申し上げる 大奥ぞ! 435 00:32:59,008 --> 00:33:03,008 まったく お前は なんという無礼な! 436 00:33:09,018 --> 00:33:18,027 ・~ 437 00:33:18,027 --> 00:33:24,033 ゆき… 上さまのお声がかり さぞ喜んでいようのぅ 438 00:33:24,033 --> 00:33:26,035 わ… 私は… 439 00:33:26,035 --> 00:33:29,038 お広敷へまいるがよい 440 00:33:29,038 --> 00:33:33,042 そなたに 言い聞かせておきたいことがある 441 00:33:33,042 --> 00:33:36,045 そなたに とくとな 442 00:33:36,045 --> 00:33:43,052 ・~ 443 00:33:43,052 --> 00:33:47,056 お呼びでございますか? (清武)うむ… 444 00:33:47,056 --> 00:33:52,061 そのほう 過日 お美代の方さまの お心をくみ・ 445 00:33:52,061 --> 00:33:59,001 友禅を買い求めたる恩賞として 奥女中を妻にと願い出ていたのぅ 446 00:33:59,001 --> 00:34:01,003 はい… 447 00:34:01,003 --> 00:34:06,008 私どもは 生涯 禄高も上がらぬ 日陰の伊賀者… 448 00:34:06,008 --> 00:34:08,010 その伊賀者の婚姻は・ 449 00:34:08,010 --> 00:34:11,013 伊賀者同士の間でしか 許されておりませぬ 450 00:34:11,013 --> 00:34:15,017 しかし 私どものお役目は 大奥の警護 451 00:34:15,017 --> 00:34:17,019 さすれば せめて かいま見・ 452 00:34:17,019 --> 00:34:20,022 あるいは お供いたす きらびやかな奥女中を・ 453 00:34:20,022 --> 00:34:24,026 せめて妻にと願いますは 自然のことかと… 454 00:34:24,026 --> 00:34:28,030 分かっておる! お美代の方さまも それゆえ・ 455 00:34:28,030 --> 00:34:31,033 今日まで 人を選んでおられたのじゃ 456 00:34:31,033 --> 00:34:36,033 しかし それが決まった! この者じゃ 457 00:34:38,040 --> 00:34:43,045 (清武)ゆき あれが そのほうの夫となる者じゃぞ 458 00:34:43,045 --> 00:34:47,049 それは… (清武)控えろ! 459 00:34:47,049 --> 00:34:49,051 祝言は明後日 460 00:34:49,051 --> 00:34:55,057 お美代の方の父である この わしが仲人して遣わす 461 00:34:55,057 --> 00:34:57,993 異存はなかろうな? 462 00:34:57,993 --> 00:35:01,997 (新八) ありがたき幸せにございます! 463 00:35:01,997 --> 00:35:05,000 誰であれ 嫌われ者の伊賀者 464 00:35:05,000 --> 00:35:12,007 どうせ 嫌われますならば その嫌われ方の強いほうが… 465 00:35:12,007 --> 00:35:17,012 ・~ 466 00:35:17,012 --> 00:35:20,015 アーッ! 467 00:35:20,015 --> 00:35:24,019 ハァ… ハァ… 468 00:35:24,019 --> 00:35:27,019 アア… 469 00:35:32,027 --> 00:35:34,027 おゆきちゃん? 470 00:35:41,036 --> 00:35:43,036 おゆきちゃん! 471 00:35:50,045 --> 00:35:52,045 (おきん)おゆきちゃん 472 00:35:56,986 --> 00:35:58,986 おゆきさま? 473 00:36:02,992 --> 00:36:08,998 ・~ 474 00:36:08,998 --> 00:36:10,998 おゆきちゃん… 475 00:36:15,004 --> 00:36:17,006 ・(おきん)お開けくださいまし! 476 00:36:17,006 --> 00:36:19,008 ・ お願いでございます! 477 00:36:19,008 --> 00:36:21,010 ・ お開けくださいまし! 478 00:36:21,010 --> 00:36:23,012 ・ 大変でございます! (新八)何事だ・ 479 00:36:23,012 --> 00:36:26,015 ・(おきん)おゆきさまが! おゆきさまが! 480 00:36:26,015 --> 00:36:30,019 ・ お開けくださいまし 早く… 481 00:36:30,019 --> 00:36:33,022 早く… おゆきさまが! おゆきさまが! 482 00:36:33,022 --> 00:36:35,024 (新八)あの女が どうしたのだ・ 483 00:36:35,024 --> 00:36:39,028 (おその) 自害を! 早く! 早く 御典医を! 484 00:36:39,028 --> 00:36:43,032 (泣き声) 485 00:36:43,032 --> 00:36:47,032 (おきん) おゆきさん… おゆきさん… 486 00:36:49,038 --> 00:36:52,041 さあ 戻るのじゃ! 487 00:36:52,041 --> 00:37:04,041 ・~ 488 00:37:12,995 --> 00:37:16,999 この金はね おゆきさんが おきんに預けた金なんですよ 489 00:37:16,999 --> 00:37:19,001 これを仕置料にって… 490 00:37:19,001 --> 00:37:23,005 でね 今朝会った おきんの話じゃ 「この仕置きは・ 491 00:37:23,005 --> 00:37:26,008 どうしても 自分ひとりで やりてえ」なこと言ってましたぜ 492 00:37:26,008 --> 00:37:28,010 おきんがか? (半次)へい 493 00:37:28,010 --> 00:37:32,014 でも まあ 女ひとりの仕置きじゃ 限度ってもんがあるね 494 00:37:32,014 --> 00:37:37,019 でね 実は 将軍の あのお妾さんが 実家の法事とかで・ 495 00:37:37,019 --> 00:37:41,023 あした 根津片町の仏生寺へ 出かけるらしいんですよ 496 00:37:41,023 --> 00:37:44,026 あとのことは 皆さんによろしくって 497 00:37:44,026 --> 00:37:48,030 しかし おきん どうするつもりなんだ? 498 00:37:48,030 --> 00:37:50,032 やり損なったら 命はねえぞ 499 00:37:50,032 --> 00:37:53,035 あっしも やめろって 言ったんだけどね 500 00:37:53,035 --> 00:37:56,972 どうしても おゆきさんの恨みを 晴らすために やるんだって… 501 00:37:56,972 --> 00:37:59,975 女には 女のやり方で いちばん こたえる方法がある 502 00:37:59,975 --> 00:38:03,979 だから どうしても 今夜やるって聞かねえんですよ 503 00:38:03,979 --> 00:38:23,999 ・~ 504 00:38:23,999 --> 00:38:44,019 ・~ 505 00:38:44,019 --> 00:39:03,972 ・~ 506 00:39:03,972 --> 00:39:20,972 ・~ 507 00:39:36,004 --> 00:39:40,008 アッ… アアッ! 508 00:39:40,008 --> 00:39:45,008 アッ アア… アア… 509 00:39:48,016 --> 00:39:51,016 (悲鳴) 510 00:39:53,021 --> 00:39:55,023 あっ お部屋さま! 511 00:39:55,023 --> 00:39:56,959 (おその)いかがなされました・ その おぐしは 512 00:39:56,959 --> 00:40:00,959 (お美代) 誰も寄るな! 誰も寄るな! 513 00:40:03,966 --> 00:40:06,969 どうなさいました? 514 00:40:06,969 --> 00:40:26,989 ・~ 515 00:40:26,989 --> 00:40:47,009 ・~ 516 00:40:47,009 --> 00:40:50,009 お… お美代! 517 00:40:54,016 --> 00:40:58,016 父上… (清武)一体 どうしたことなのだ! 518 00:40:59,955 --> 00:41:01,955 (清武)下がっておれ 519 00:41:06,962 --> 00:41:11,967 父上 何者かが… 何者かが! (清武)それは聞いた 520 00:41:11,967 --> 00:41:14,970 ゆきの付き女中の 仕業のように聞いたが・ 521 00:41:14,970 --> 00:41:19,975 それに間違いはないのだな? (お美代)分かりません 522 00:41:19,975 --> 00:41:23,979 でも 私に このようなことを するのは あの付き女中以外に… 523 00:41:23,979 --> 00:41:27,983 しかし ゆきが死んで 今夜の上さまの奥泊まりは・ 524 00:41:27,983 --> 00:41:30,986 そなたに決まったそうではないか 525 00:41:30,986 --> 00:41:34,990 はい… (清武)その頭で どうするのだ・ 526 00:41:34,990 --> 00:41:38,994 だから あれほど ゆきなどという 女には もう かまうなと… 527 00:41:38,994 --> 00:41:40,996 そんな! 528 00:41:40,996 --> 00:41:43,999 父上も それは見せしめになると 申されたではありませんか! 529 00:41:43,999 --> 00:41:46,001 ええい! そのようなことより・ 530 00:41:46,001 --> 00:41:49,004 早く その付き女中に 事の次第を吐かせるのだ! 531 00:41:49,004 --> 00:41:52,007 さすれば 上さまへの 申し開きの理由にもなる 532 00:41:52,007 --> 00:41:57,007 どこだ? その付き女中は どこにおるのだ? 533 00:42:00,015 --> 00:42:05,020 アアッ! ウウッ ウウ~ 534 00:42:05,020 --> 00:42:08,023 ウッ! ウウ… (新八)ご覧ください 535 00:42:08,023 --> 00:42:13,028 この女 少々の責めでは吐くような 面構えではございません 536 00:42:13,028 --> 00:42:18,033 まず手始めに 髪を切って 思い知らせてやりましょう 537 00:42:18,033 --> 00:42:20,033 アアッ! 538 00:42:23,038 --> 00:42:27,042 わたしが どうして… 何べん言ったら分かるんだよ! 539 00:42:27,042 --> 00:42:34,049 ・~ 540 00:42:34,049 --> 00:42:38,053 誰だ・ 寺の者か? ここには 来るなと言ったではないか! 541 00:42:38,053 --> 00:42:44,059 はい しかし ひどく わめき声が聞こえましたもので… 542 00:42:44,059 --> 00:43:01,009 ・~ 543 00:43:01,009 --> 00:43:03,011 (新八)動くな! 544 00:43:03,011 --> 00:43:16,024 ・~ 545 00:43:16,024 --> 00:43:19,027 (新八)エーイ! 546 00:43:19,027 --> 00:43:31,039 ・~ 547 00:43:31,039 --> 00:43:41,049 ・~ 548 00:43:41,049 --> 00:43:44,052 ヤーッ! 549 00:43:44,052 --> 00:43:59,000 ・~ 550 00:43:59,000 --> 00:44:03,004 エイッ! エーイ! 551 00:44:03,004 --> 00:44:06,004 ・~ 552 00:44:11,012 --> 00:44:16,017 半ちゃん! 早く 早く 早く! 553 00:44:16,017 --> 00:44:21,017 いたたっ… 痛い痛い 痛い痛い… もっと優しくしてね 痛い 554 00:44:23,024 --> 00:44:25,024 急げ 急げ! 555 00:44:30,031 --> 00:44:32,033 ウウッ! 556 00:44:32,033 --> 00:44:40,041 ・~ 557 00:44:40,041 --> 00:44:42,043 ウッ… 558 00:44:42,043 --> 00:45:01,997 ・~ 559 00:45:01,997 --> 00:45:20,015 ・~ 560 00:45:20,015 --> 00:45:23,018 これが大奥の女か… 561 00:45:23,018 --> 00:45:33,028 ・~ 562 00:45:33,028 --> 00:45:38,033 ・~ 563 00:45:38,033 --> 00:45:40,035 (骨の鳴る音) 564 00:45:40,035 --> 00:45:55,035 ・~ 565 00:45:57,986 --> 00:46:01,986 もったいねえ あれは使いもんにならねえなぁ 566 00:46:12,000 --> 00:46:18,000 (主水)何か妙な声がしましたので 無断で入らせていただいたが… 567 00:46:21,009 --> 00:46:25,013 (うめき声) 568 00:46:25,013 --> 00:46:30,018 物取りか? これは真っ昼間から物騒だな 569 00:46:30,018 --> 00:46:43,031 ・~ 570 00:46:43,031 --> 00:46:45,033 <「仕置き」> 571 00:46:45,033 --> 00:46:49,037 <法によって処刑することを 江戸時代 こう呼んだ> 572 00:46:49,037 --> 00:46:52,040 <しかし ここに言う仕置人とは・ 573 00:46:52,040 --> 00:46:58,980 法の網をくぐって はびこる悪を 裁く闇の処刑人のことである> 574 00:46:58,980 --> 00:47:05,987 <ただし この存在を証明する 記録 古文書のたぐいは・ 575 00:47:05,987 --> 00:47:08,990 一切 残っていない> 576 00:47:08,990 --> 00:47:12,990 ・~ 577 00:47:19,000 --> 00:47:39,020 ・~ 578 00:47:39,020 --> 00:47:58,974 ・~ 579 00:47:58,974 --> 00:48:18,994 ・~ 580 00:48:18,994 --> 00:48:39,014 ・~ 581 00:48:39,014 --> 00:48:52,014 ・~ 582 00:48:56,965 --> 00:48:58,967 <無実の罪を着せられて・ 583 00:48:58,967 --> 00:49:00,969 死んでいった者たちの 恨みが泣く> 584 00:49:00,969 --> 00:49:05,974 <だが 相手は奉行ですら 一目置くという鬼の目明かし> 585 00:49:05,974 --> 00:49:09,978 <やるほうが先か やられるほうが先か> 586 00:49:09,978 --> 00:49:12,978 <次回 『必殺仕置人』に ご期待ください>