1 00:00:02,202 --> 00:00:14,615 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:14,615 --> 00:01:13,106 ♬~ 3 00:01:14,641 --> 00:01:16,643 (幸之助)おう お待たせ。 (元子)あっ どうもすいません。 4 00:01:16,643 --> 00:01:19,279 大将 行ったかい? (トシ江)えぇえぇ。 もう子供みたいに➡ 5 00:01:19,279 --> 00:01:23,150 チョンチョン小躍りして。 ハッ そりゃ結構なこった。 6 00:01:23,150 --> 00:01:25,152 すいません。 いいよ いいよ。 よいしょ。 7 00:01:25,152 --> 00:01:27,154 それじゃ お母さん 行ってきますからね。 はい。 8 00:01:27,154 --> 00:01:29,289 店 よろしくお願いします。 はいはい。持てるかい? 9 00:01:29,289 --> 00:01:31,291 うん 大丈夫。 じゃあ お願いいたします。行ってくらぁ。 10 00:01:31,291 --> 00:01:35,796 すいません。行ってきます。 行ってらっしゃい。 11 00:01:35,796 --> 00:01:40,434 さあ まいど まいど。 いらっしゃい いらっしゃい。 12 00:01:40,434 --> 00:01:44,137 いろいろあるよ~。 13 00:01:44,137 --> 00:01:47,808 よう おやじが ぷっつり 顔見せなくなって➡ 14 00:01:47,808 --> 00:01:50,143 今度は じいさんの方 とうとう病気かい。 15 00:01:50,143 --> 00:01:52,980 おあいにくさま。 今日から相撲が始まったんで➡ 16 00:01:52,980 --> 00:01:54,915 2人して見に行ったんですよ。 17 00:01:54,915 --> 00:01:59,753 相撲? 結構なご身分ですな。 あっ そうだ。 18 00:01:59,753 --> 00:02:02,389 けど これからは この俺が この店 預かったからにゃ➡ 19 00:02:02,389 --> 00:02:05,292 下手な脅しには乗らねえから そう思えよ。 20 00:02:05,292 --> 00:02:07,260 人聞き悪いこと言いなさんな。 21 00:02:07,260 --> 00:02:09,596 俺が いつ じいさん脅かしたっつうんだよ。 22 00:02:09,596 --> 00:02:12,399 進駐軍のものを扱ったら 軍事裁判だとか何とか➡ 23 00:02:12,399 --> 00:02:15,102 言ったんじゃないんですか? だって そりゃ本当の話じゃねえか。 24 00:02:15,102 --> 00:02:18,405 だから 頭は生きてるうちに 使えってんだよ え。 25 00:02:18,405 --> 00:02:21,775 よく見ろ え。 ヘヘヘ…。 26 00:02:21,775 --> 00:02:25,946 これが本物のカムフラージュって。 27 00:02:25,946 --> 00:02:27,881 あの~。 はい。 28 00:02:27,881 --> 00:02:30,283 ここで バターを 売ってる人がいたんですけど➡ 29 00:02:30,283 --> 00:02:33,286 もう やめちゃったんですか? いえ 店番が代わっただけなんですよ。 30 00:02:33,286 --> 00:02:35,956 よかった。 じゃあ 1缶下さい。 31 00:02:35,956 --> 00:02:37,891 はいはい 毎度ありがとうございます。 32 00:02:37,891 --> 00:02:42,829 よかった…。 弟の具合が悪くて 食事が進まなかったんだけど➡ 33 00:02:42,829 --> 00:02:46,433 この間 おかゆにバター入れたら 喜んで食べてくれたもんだから。 34 00:02:46,433 --> 00:02:48,969 そうですか。 それはよかったですね。 35 00:02:48,969 --> 00:02:50,904 へい お待ち遠さん。 36 00:02:50,904 --> 00:02:54,775 このバターね 特別 病気によく効くバターですからね。 37 00:02:54,775 --> 00:02:56,843 それじゃ どうもありがとうございました。 38 00:02:56,843 --> 00:02:58,979 どうも。また どうぞ。 へい ありがとうね。 39 00:02:58,979 --> 00:03:01,948 さあ うまいよ うまいよ。 いわしだ いわしだ。 40 00:03:01,948 --> 00:03:04,751 (宗俊)へえ~ 今日は そんなに商いになったのかい。 41 00:03:04,751 --> 00:03:07,654 ああ 何たって もっちゃんの愛想がいいもんね。 42 00:03:07,654 --> 00:03:10,090 あら おじさんこそ。 いやいや あれはやっぱり➡ 43 00:03:10,090 --> 00:03:12,125 アナウンサーやってたせいかな。 44 00:03:12,125 --> 00:03:14,394 おう ところで 国技館の方 どうだったい? 45 00:03:14,394 --> 00:03:17,764 (彦造) へえ これがまた大入り満員でしてねえ。 46 00:03:17,764 --> 00:03:22,102 おお。 まあ 相撲といい歌舞伎といい➡ 47 00:03:22,102 --> 00:03:26,273 戦争には負けたけどよ やっぱり 日本の値打ちもんってのは➡ 48 00:03:26,273 --> 00:03:28,208 ちゃ~んと残るんだよな。 49 00:03:28,208 --> 00:03:33,146 けど 兵隊帰りで 坊主頭の力士が結構多うござんしたよ。 50 00:03:33,146 --> 00:03:36,917 そうでしょうね。 ああ まるで たこ入道だ。 51 00:03:36,917 --> 00:03:40,821 けどよ 太刀持ちの刀が 竹光だったってのが➡ 52 00:03:40,821 --> 00:03:43,423 気に入らねえな おい。 竹光だ!? 53 00:03:43,423 --> 00:03:45,492 太刀持ちが 立ち回りするわけじゃあるまいし➡ 54 00:03:45,492 --> 00:03:49,296 ケツの穴の小せえこと抜かしやがって え。 粋じゃねえな マッカーサーも。 55 00:03:49,296 --> 00:03:51,298 すぐ調子に乗るんだから。 56 00:03:51,298 --> 00:03:54,634 そんな悪口聞こえたら どうすんですか。 大丈夫よ。 57 00:03:54,634 --> 00:03:58,505 内弁慶はちゃ~んと聞こえないとこでしか 文句言わないんだから。 58 00:03:58,505 --> 00:04:00,740 何だと? この! 59 00:04:00,740 --> 00:04:02,676 おい 幸ちゃん。 え? 60 00:04:02,676 --> 00:04:05,378 明日っから ガード下な 俺とおめえと一緒にやろうじゃねえか。 61 00:04:05,378 --> 00:04:07,914 おお いいとも。 現金なんだから。 62 00:04:07,914 --> 00:04:09,850 あ~ いいじゃないの。 63 00:04:09,850 --> 00:04:12,385 お前だって 別の仕事探したいって 言ってたんだしね。 64 00:04:12,385 --> 00:04:14,921 お父さんが引き受けてくれれば もう大安心だよ。 65 00:04:14,921 --> 00:04:19,392 バカ 仕事探させる間に 男でも探させろ このへちゃむくれ。 66 00:04:19,392 --> 00:04:22,095 何てこと言うんですよ。 お前 母親だろ。 67 00:04:22,095 --> 00:04:24,998 ウカウカしてるとな いきそびれんだぞ 今頃の娘は。 68 00:04:24,998 --> 00:04:27,601 そんな。 いやいや 新聞に出てたぞ。 69 00:04:27,601 --> 00:04:31,404 年頃の男と女じゃ 男の方が 200万から少ないんだと。 70 00:04:31,404 --> 00:04:34,941 見ろ な? 男1人に 女トラックいっぱいだ。 71 00:04:34,941 --> 00:04:37,978 大きなお世話。 そんなにガツガツと育っていません。 72 00:04:37,978 --> 00:04:40,113 てやんでぇ この… ブスはお前 母親にそっくりだ。 73 00:04:40,113 --> 00:04:42,048 (戸が開く音) ⚟(浜村)ごめんくださいまし! 74 00:04:42,048 --> 00:04:44,284 はい。 あっ あの声 浜村さんだ。 私が出ます。 75 00:04:44,284 --> 00:04:48,155 お~ 俺が出る 俺が出る。 はい ちょっとごめんよ。 76 00:04:48,155 --> 00:04:50,157 ハハ よかったねえ。 77 00:04:50,157 --> 00:04:53,293 大将が しょぼくれてちゃ この家ぁ 弾まなくっていけねえや。 78 00:04:53,293 --> 00:04:55,629 おかげさんで…。 79 00:04:55,629 --> 00:04:57,564 ⚟(宗俊)何ですって!? 80 00:04:57,564 --> 00:05:01,434 (浜村)だから 進駐軍から 興行差し止めのお達しが来たんですよ。 81 00:05:01,434 --> 00:05:05,071 どうしてですかい? 「菅原伝授」の どこがいけねえってんですかい。 82 00:05:05,071 --> 00:05:09,576 「寺子屋」の段で 松王丸の忠義が いけねえって こう言うんですよ。 83 00:05:09,576 --> 00:05:11,511 そんなバカな! 84 00:05:11,511 --> 00:05:14,447 いや~ 私もね まさか こんなことになるとは➡ 85 00:05:14,447 --> 00:05:19,252 思ってなかったんですが まあ何せ 泣く子とGHQには勝てないし➡ 86 00:05:19,252 --> 00:05:22,589 まあ そんなわけで 手拭いの方も 毎日まくつもりが➡ 87 00:05:22,589 --> 00:05:25,258 あんまり派手にやって にらまれちゃ まずいんじゃねえかって➡ 88 00:05:25,258 --> 00:05:27,260 言いだす者もいるもんで。 89 00:05:27,260 --> 00:05:30,597 そんな…。 ええ まあ本当 吉宗さんには➡ 90 00:05:30,597 --> 00:05:35,468 申し訳ないと思ってるんですが ほれ 手拭いは まだ統制ですし➡ 91 00:05:35,468 --> 00:05:41,107 それでまた ご迷惑かけちゃいけねえと うちの親方も がっくり来ちまってね。➡ 92 00:05:41,107 --> 00:05:44,778 それで まあ私が こうやって挨拶に…。 93 00:05:44,778 --> 00:05:48,114 どうしたの? くそぉ。 94 00:05:48,114 --> 00:05:52,285 いや 今んところはね まだ あつらえの手拭いは➡ 95 00:05:52,285 --> 00:05:55,789 ぜいたくだってぇことなんですよ。 えっ? 96 00:05:55,789 --> 00:05:57,991 お父さん…。 97 00:06:01,595 --> 00:06:03,597 (戸を閉める音) 98 00:06:09,236 --> 00:06:16,009 師走に入って この年の失業者は 日本全人口の6人に1人。 99 00:06:16,009 --> 00:06:20,747 宗俊ならずとも 腕の振るいようがなく 悔し涙の人々は➡ 100 00:06:20,747 --> 00:06:24,451 いくらでもいたのでしょう。 101 00:06:26,386 --> 00:06:31,224  心の声 あんちゃん… 私 つらいのよ。➡ 102 00:06:31,224 --> 00:06:36,596 もう1週間も布団ひっかぶってる お父さんの気持ちが分かるだけに➡ 103 00:06:36,596 --> 00:06:40,600 お母さんも 文句一つ言わないけど。 104 00:06:44,104 --> 00:06:48,275 どうだった? うん…。 105 00:06:48,275 --> 00:06:50,944 ったく だだっ子なんだから。 106 00:06:50,944 --> 00:06:56,283 ごめんね。 私も いつまでも お前を頼りにする気はないんだけどね。 107 00:06:56,283 --> 00:06:58,218 お母さん…。 108 00:06:58,218 --> 00:07:02,722 だって お前だって 新しい勉強してみたい って言ってたじゃないか。 109 00:07:02,722 --> 00:07:06,226 嫌だわ。 気が多いのは親譲りの口癖。 110 00:07:06,226 --> 00:07:08,228 本気にしてたの? お母さん。 111 00:07:08,228 --> 00:07:10,563 すまないね。 112 00:07:10,563 --> 00:07:13,066 でも まあ 今に きっといいこともあるから。 113 00:07:13,066 --> 00:07:16,102 大丈夫 私も そう信じているもん。 114 00:07:16,102 --> 00:07:22,075 そうです。 信じて待てば 必ず 何かがやって来るものなのです。 115 00:07:22,075 --> 00:07:25,378 ⚟(正道)ごめんください。 はい。 116 00:07:29,582 --> 00:07:31,885 (2人)大原さん! 117 00:07:34,454 --> 00:07:38,258 その節は 大変お世話になりました。 118 00:07:38,258 --> 00:07:41,928 何を言ってんですかい。 ご丁寧に お礼状まで頂いてよ。 119 00:07:41,928 --> 00:07:44,764 こちとら恐縮してるんですぜ。 寒いから まあ 中入んな。 120 00:07:44,764 --> 00:07:46,700 どうぞ どうぞ。 はい。 121 00:07:46,700 --> 00:07:49,102 で 体の方はもう? 122 00:07:49,102 --> 00:07:51,938 はい あの時は 気が緩んだとでも言うんでしょうが➡ 123 00:07:51,938 --> 00:07:55,408 全く 恥ずかしい限りです。 まあ でも よく来てくださいました。 124 00:07:55,408 --> 00:07:58,111 知らせもなしだから 夢かと思っちゃいましたよ。 125 00:07:58,111 --> 00:08:01,881 それで あの 松江の方は 皆さんもお変わりなく? 126 00:08:01,881 --> 00:08:04,351 はい 皆様に くれぐれもよろしくと 申しておりました。 127 00:08:04,351 --> 00:08:06,419 ありがとう存じます。 それで…。 128 00:08:06,419 --> 00:08:10,223 今度は こっちの方は いつまでいられるんですかい。 129 00:08:10,223 --> 00:08:16,096 はい 当分帰らないつもりで 出てまいりました。 130 00:08:16,096 --> 00:08:24,371 実は その前に 大変申し上げにくいことを お知らせしなければなりません。 131 00:08:24,371 --> 00:08:26,306 まさか…。 132 00:08:26,306 --> 00:08:28,575 はい。 正大君のことです。 133 00:08:28,575 --> 00:08:31,878 兄… 兄が どうかしたんですか? 134 00:08:34,247 --> 00:08:38,118 いえ まだ確実なことは 分かっておりません。 しかし…。 135 00:08:38,118 --> 00:08:40,387 嫌ですよ 私 悪い話なら嫌…。 黙って聞け! 136 00:08:40,387 --> 00:08:45,759 だって…。 正大の 何がどうなったってんですかい。 137 00:08:45,759 --> 00:08:51,398 自分は 満州へ行ったと 申し上げたことがありますが➡ 138 00:08:51,398 --> 00:08:54,934 彼の部隊は 南方に出ている可能性があります。 139 00:08:54,934 --> 00:08:56,870 え…。 お母さん。 140 00:08:56,870 --> 00:09:00,707 そりゃあ 一体 どういうことで? 141 00:09:00,707 --> 00:09:02,742 はい 何か分かればと思い➡ 142 00:09:02,742 --> 00:09:05,044 復員局にいる友人に 問い合わせましたところ…。 143 00:09:05,044 --> 00:09:07,881 何て言ってきたんですか? 144 00:09:07,881 --> 00:09:14,053 関東軍の大部分が 満州から南方へ 移動していることが分かりました。 145 00:09:14,053 --> 00:09:18,558 つまり 彼の部隊も その中に入っていると思います。 146 00:09:18,558 --> 00:09:21,594 で どこなんですか? その南方っていうのは。 147 00:09:21,594 --> 00:09:23,897 比島方面です。 148 00:09:23,897 --> 00:09:28,234 で… やつは そこで戦死したとでも? 149 00:09:28,234 --> 00:09:31,137 あんた…! いえ それは まだ聞いておりません。 150 00:09:31,137 --> 00:09:33,106 どうせ つらいことなんだから➡ 151 00:09:33,106 --> 00:09:36,376 本当のことを言ってやってくださいよ 大原さん! 152 00:09:36,376 --> 00:09:39,078 いえ まだ復員が始まっておりませんし➡ 153 00:09:39,078 --> 00:09:42,749 それに 現地からの名簿も 整理されておりませんので…。 154 00:09:42,749 --> 00:09:46,619 どうして 名簿が出来ないんですか? 155 00:09:46,619 --> 00:09:53,460 はい… 捕虜 または 奥地へ入っている場合です。 156 00:09:53,460 --> 00:09:55,762 捕虜だと!? 構わないわ! 157 00:09:55,762 --> 00:09:58,264 たとえ捕虜だとしても 生きてさえくれれば➡ 158 00:09:58,264 --> 00:10:01,167 私 そんなこと構いません! 159 00:10:01,167 --> 00:10:03,136 不確実なことでありますし➡ 160 00:10:03,136 --> 00:10:08,608 手紙で誤解があってはいけないと思い こうして伺いました。 161 00:10:08,608 --> 00:10:15,949 というこたぁ 死んだと決まったわけじゃ ねえってこった。 162 00:10:15,949 --> 00:10:18,618 はい。 163 00:10:18,618 --> 00:10:20,553 分かった。 お父さん。 164 00:10:20,553 --> 00:10:24,958 つまり これからは まあ 満州じゃなくて➡ 165 00:10:24,958 --> 00:10:30,430 南方からの復員を 気にしてりゃいいってことだろ。 166 00:10:30,430 --> 00:10:33,299 はぁ。 167 00:10:33,299 --> 00:10:38,605 わざわざ ありがとうございました。 ありがとうございました。 168 00:10:40,440 --> 00:10:46,813 え~ ところで あんた さっき ずっと こっちにいなさるとか? 169 00:10:46,813 --> 00:10:49,849 はい 友人が新しい仕事を始めるので➡ 170 00:10:49,849 --> 00:10:52,152 是非 手を貸してくれと 言ってきたもんですから。 171 00:10:52,152 --> 00:10:54,087 (宗俊)おお 新しい仕事? 172 00:10:54,087 --> 00:10:57,824 はい。 バラックの建設です。 バラック? 173 00:10:57,824 --> 00:11:01,261 なるほどね。 たとえ バラックでも➡ 174 00:11:01,261 --> 00:11:05,265 焼け野原に うちを建てるんじゃ こりゃ 日本再建に間違えねえやな。 175 00:11:05,265 --> 00:11:08,601 はい。 そうだ。 176 00:11:08,601 --> 00:11:11,504 俺にできることがあったら 手伝わしてもらえないかな。 177 00:11:11,504 --> 00:11:14,474 あんた。 いや 体を動かす仕事なら➡ 178 00:11:14,474 --> 00:11:19,612 俺ぁ何でもやるってんだ。 ひとつ 世話してくんねえか。 179 00:11:19,612 --> 00:11:23,483 はい。 自分の方こそ よろしくお願いいたします。 180 00:11:23,483 --> 00:11:27,287 よし これで決まった。 181 00:11:27,287 --> 00:11:30,290 で あんた 泊まる所はどうなってんだ? 182 00:11:30,290 --> 00:11:32,425 はい これから探します。 183 00:11:32,425 --> 00:11:35,295 探すといったって 宿屋なんか どこにもありませんよ。 184 00:11:35,295 --> 00:11:37,630 いや 地下道で暮らしてる人すらいるんです。 185 00:11:37,630 --> 00:11:39,566 もちろん ぜいたくは考えておりません。 186 00:11:39,566 --> 00:11:41,501 だったら うちへ泊まってくださいな。 おう そうだとも。 187 00:11:41,501 --> 00:11:44,971 よそへなんか行くことはねえやな。 いえ しかし…。 188 00:11:44,971 --> 00:11:48,841 だって 明日っから 大原さんとお父さん 一緒に働くことになるんでしょ。 189 00:11:48,841 --> 00:11:53,313 おう そうだ そうだ。 え その方が 万事 都合がいいじゃねえか な! 190 00:11:53,313 --> 00:11:56,316 はあ…。 遠慮だったら なさらないでください。 191 00:11:56,316 --> 00:11:59,185 父も母も ああ言ってるんですから。 192 00:11:59,185 --> 00:12:01,120 ええ。 193 00:12:01,120 --> 00:12:05,892 お願いします。 何せ このうちは にぎやかなのが好きなんですもの。 194 00:12:05,892 --> 00:12:09,095 一人増えれば その方が 父もうれしくなる方ですから。 195 00:12:09,095 --> 00:12:11,931 そのとおりだぜ。 196 00:12:11,931 --> 00:12:18,638 はい。 それでは お言葉に甘えまして しばらく よろしくお願いします。 197 00:12:31,117 --> 00:12:36,823 その晩から 大原さんは この家の住人となりましたが。 198 00:12:40,426 --> 00:12:43,963 いいから寝ろよ。 199 00:12:43,963 --> 00:12:46,299 あんた…。 200 00:12:46,299 --> 00:12:48,968 やつは南方なんだ。 201 00:12:48,968 --> 00:12:52,805 おめえが いくら考えたところで どうなるわけでもなし。 202 00:12:52,805 --> 00:12:55,708 順番が来りゃあ 帰ってくるさ。 203 00:12:55,708 --> 00:12:57,677 そんな のんきなこと言って。 204 00:12:57,677 --> 00:13:02,248 だからっつってよ。 205 00:13:02,248 --> 00:13:07,754 せめて 手紙のやり取りは できないのかしら。 206 00:13:07,754 --> 00:13:11,257 ねえってば。 できりゃ あいつのことだ。 207 00:13:11,257 --> 00:13:14,761 とっくに様子は知らせてきてる。 208 00:13:14,761 --> 00:13:19,399 じゃあ できないってことは? 何せ 海の向こうなんだ。 209 00:13:19,399 --> 00:13:23,770 いくら考えたところで 俺たちに様子が分かるわけじゃねえ。 210 00:13:23,770 --> 00:13:29,942 誰に文句言ったらいいのか 分かんないのが悔しいんですよ。 211 00:13:29,942 --> 00:13:33,813 大原さんが知らせてくれなかったら 私たち まだあの子が➡ 212 00:13:33,813 --> 00:13:38,951 満州にいるとばっかり 思ってたじゃないですか。 213 00:13:38,951 --> 00:13:43,122 行方不明の小荷物じゃあるまいし➡ 214 00:13:43,122 --> 00:13:46,826 人の息子を何だと思ってんだろ…。 215 00:13:48,428 --> 00:13:58,805 (すすり泣き) 216 00:13:58,805 --> 00:14:02,675 ねえ ねえ。 うん? 217 00:14:02,675 --> 00:14:05,912 大原さん バラック建てるだけのために 出てきたんじゃないんだろうね。 218 00:14:05,912 --> 00:14:08,815 余計な勘ぐりはやめな。 だって➡ 219 00:14:08,815 --> 00:14:11,584 あの人が 正大のこと言う時の あの つらそうな顔…。 220 00:14:11,584 --> 00:14:14,087 バカ野郎。 ニコニコ うれしそうに言われて➡ 221 00:14:14,087 --> 00:14:16,989 てめえ それで満足か。 だって…。 222 00:14:16,989 --> 00:14:20,760 いいから 余計なこと考えずに 黙って寝な。 223 00:14:20,760 --> 00:14:42,148 ♬~ 224 00:14:42,148 --> 00:14:46,986 元子の不安も トシ江のそれと同じでした。 225 00:14:46,986 --> 00:14:50,123 思いがけない正道との再会。 226 00:14:50,123 --> 00:14:56,429 そのときめきを押し潰すほどに 兄の身が案じられてならなかったのです。