1 00:00:02,202 --> 00:00:12,980 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:12,980 --> 00:01:12,673 ♬~ 3 00:01:16,410 --> 00:01:24,284 松江での結婚式を無事済ませ 一足先に 宗俊と洋三が帰ってきました。 4 00:01:24,284 --> 00:01:28,422 (宗俊)へい 帰ったぞ。 5 00:01:28,422 --> 00:01:33,293 (宗俊の笑い声) (絹子)そう。 へえ~ よかったねえ。 6 00:01:33,293 --> 00:01:35,295 (トシ江)それで 元子は? 7 00:01:35,295 --> 00:01:38,966 おう 明日辺りの 多分 汽車に乗るだろうよ。 8 00:01:38,966 --> 00:01:42,836 式が済んでからもな 親戚中に顔見して歩くとか何とか➡ 9 00:01:42,836 --> 00:01:45,839 山ほど しきたりってのがあってよ え こちとら お前➡ 10 00:01:45,839 --> 00:01:49,309 大みそか控えてるから まあ ひとまず先に 引き取ってきたって こういうわけだ。 11 00:01:49,309 --> 00:01:51,244 そうだったんですか…。 12 00:01:51,244 --> 00:01:54,448 洋三さん 遠い所まで 本当にありがとう存じました。 13 00:01:54,448 --> 00:01:57,818 (洋三)いやいや… あわやというような 場面もありましてね➡ 14 00:01:57,818 --> 00:02:00,387 大したお役には立てなかったけれども。 何言ってんだ。 15 00:02:00,387 --> 00:02:04,091 おめえさんがいたからこそ こちとらも 大ばくちのたんか切れたんだ。 なあ。 16 00:02:04,091 --> 00:02:07,594 あら嫌だ あれほど念を押しといたのに また そんなことやったんですか。 17 00:02:07,594 --> 00:02:10,631 いやいや それが逆に うまいこといっちゃったんですから ええ。 18 00:02:10,631 --> 00:02:13,266 義兄さんの芝居がかりも なかなかなもんですよ。 19 00:02:13,266 --> 00:02:17,137 いやぁ しきたり しきたりと こちとら 肩ぁ凝ったぜ。 20 00:02:17,137 --> 00:02:19,940 でも ああいう堅い人たちに 気に入られたんだから➡ 21 00:02:19,940 --> 00:02:22,275 もっちゃんも大したもんですよ。 22 00:02:22,275 --> 00:02:25,278 きれいだったですよねえ 白い打ち掛け姿。 23 00:02:25,278 --> 00:02:30,017 ええ…。 今更な 泣いたって もう遅えんだぞ。 24 00:02:30,017 --> 00:02:33,286 はい。 (絹子)でも 帰ってはくるんでしょ? 25 00:02:33,286 --> 00:02:35,288 ああ 大みそかまでには必ず。 26 00:02:35,288 --> 00:02:38,625 (キン)じゃあ あの あちらでお正月おやりにならないで? 27 00:02:38,625 --> 00:02:42,429 ああ さしずめな 時代劇なら 刀自と呼ばれそうな➡ 28 00:02:42,429 --> 00:02:47,267 すげえ ばあさんがいてな これが 「一年の計は元旦にあり」➡ 29 00:02:47,267 --> 00:02:51,138 新しい事業を東京でやるならば 正月は 東京で過ごすべきだと➡ 30 00:02:51,138 --> 00:02:56,810 鶴の一声ってかな しわがれ声で 全て決まりだ。 31 00:02:56,810 --> 00:02:59,146 それで 相談なんですがね➡ 32 00:02:59,146 --> 00:03:02,049 もっちゃんも 帰ってきたら もう大原の人間ですからね➡ 33 00:03:02,049 --> 00:03:04,584 いつまでも ここに 夫婦でもって 居候ってわけにいかないでしょう。 34 00:03:04,584 --> 00:03:07,921 あっ そのことでしたらね もう話はついてますよ。 35 00:03:07,921 --> 00:03:09,856 何の話がだ? へえ。 36 00:03:09,856 --> 00:03:13,260 今どき 一人で暮らしてるのは もったいないことですしね➡ 37 00:03:13,260 --> 00:03:16,263 善吉も まあ いつ復員してくるか 分からないことですし➡ 38 00:03:16,263 --> 00:03:20,767 私がこちらに移って 新所帯は あちらの長屋にということにすれば➡ 39 00:03:20,767 --> 00:03:22,702 両方 お互い便利だと思いましてね。 40 00:03:22,702 --> 00:03:25,272 いやいや それじゃあ おめえ。 何をおっしゃいますよ。 41 00:03:25,272 --> 00:03:29,276 もともと あれは こちらの家作なんでございましょう。 42 00:03:29,276 --> 00:03:33,413 (絹子)それでね 帰ってきたら すぐに暮らせるように➡ 43 00:03:33,413 --> 00:03:35,782 兄さんたちを待って すぐに手を入れようって➡ 44 00:03:35,782 --> 00:03:38,285 今 彦さんに 板なんか買いに行ってもらってんですよ。 45 00:03:38,285 --> 00:03:41,955 おお そりゃいい。 義兄さん そりゃ一番ですよ。 46 00:03:41,955 --> 00:03:43,890 いやぁ しかしな…。 47 00:03:43,890 --> 00:03:50,297 というわけで 手回しよく 受け入れ準備は 万事OK。 48 00:03:50,297 --> 00:04:02,242 ♬~ 49 00:04:02,242 --> 00:04:04,578 (波津)どげなかや。 50 00:04:04,578 --> 00:04:07,380 (元子)はい 想像していたとおり…➡ 51 00:04:07,380 --> 00:04:12,219 いいえ 想像以上に優しくて 品のあるお顔だちです。 52 00:04:12,219 --> 00:04:17,390 こうはね 私のおしゅうとさんが 初節句に買ってもらったのを➡ 53 00:04:17,390 --> 00:04:22,262 嫁入り道具ん中入れて 持ってござっしゃった内裏さんだどもね➡ 54 00:04:22,262 --> 00:04:27,767 ここんうちではね 弥生の節句になると 必ず このおひなさんを出して➡ 55 00:04:27,767 --> 00:04:31,404 お祭りしちょうますだけんねえ。 56 00:04:31,404 --> 00:04:37,944 うん ハハハ… 正道がねえ このおひなさんのことを元子さんに? 57 00:04:37,944 --> 00:04:41,281 はい。 いくらお顔を見ていても見飽きないし➡ 58 00:04:41,281 --> 00:04:43,617 心が和むとおっしゃって。 59 00:04:43,617 --> 00:04:48,955 私にはね あの子のそこんとこが ちょんぼし心配でねえ。 60 00:04:48,955 --> 00:04:53,126 はい? 男の優しのも悪いことはないんだども➡ 61 00:04:53,126 --> 00:04:58,932 大原の人間は どうも世渡りが あんまり上手な方じゃないけんねえ。 62 00:04:58,932 --> 00:05:01,368 そこんとこは あんたも➡ 63 00:05:01,368 --> 00:05:05,238 どうぞ しっかり 見てやってってごしなせえね。 64 00:05:05,238 --> 00:05:08,141 いえ 桂木のうちも おんなじです。 65 00:05:08,141 --> 00:05:10,911 ただ 一生懸命ぶつかっていくうちに➡ 66 00:05:10,911 --> 00:05:13,747 何となく道が開けてくる というようなあんばいで➡ 67 00:05:13,747 --> 00:05:16,082 みんな 今まで やってこられたんだと思います。 68 00:05:16,082 --> 00:05:20,253 そうそう それが一番大事なことだけんね。 69 00:05:20,253 --> 00:05:24,257 しっかりと見守ってやってごしなせえね。 70 00:05:24,257 --> 00:05:30,764 いえ 私はただ 正道さんを信じて 一生懸命ついていくだけですから。 71 00:05:30,764 --> 00:05:34,935 とはいってもね 今まで 士官学校で習ってきたことは➡ 72 00:05:34,935 --> 00:05:38,805 何の役にも立たん世の中に なってしまっただけんね➡ 73 00:05:38,805 --> 00:05:41,608 よろしに頼みますよ。 74 00:05:41,608 --> 00:05:43,543 はい。 75 00:05:43,543 --> 00:05:46,746 (邦世)入っていいですかいね。 (波津)はいはい どうぞ。 76 00:05:49,282 --> 00:05:53,286 今 おばあ様におねだりして おひなさまを見せていただいてたの。 77 00:05:53,286 --> 00:05:56,156 (正道)どう? 自分が言ったとおりだったでしょ。 78 00:05:56,156 --> 00:05:58,425 はい。 79 00:05:58,425 --> 00:06:00,894 そうで どげな具合だったかいね。 80 00:06:00,894 --> 00:06:04,731 (邦世) はい 何ぞ 珍しいもんをと思いましたが➡ 81 00:06:04,731 --> 00:06:07,567 皆さん そばが好物だと 言うちょられたもんで➡ 82 00:06:07,567 --> 00:06:10,070 そば粉なんか ちょんぼし 用意しちょきました。 83 00:06:10,070 --> 00:06:12,906 それはご苦労さんだったねえ。 84 00:06:12,906 --> 00:06:18,712 (汽笛) 85 00:06:18,712 --> 00:06:22,916 おひなさまの顔も見たし 土産の用意もできて➡ 86 00:06:22,916 --> 00:06:29,389 正道元子のホヤホヤ夫婦は 宗俊の2日遅れで 松江を後にし…。 87 00:06:29,389 --> 00:06:33,260 東京に着いたのは あと2日で新年という➡ 88 00:06:33,260 --> 00:06:37,764 年の瀬も ギリギリに 押し詰まってのことでした。 89 00:06:37,764 --> 00:06:40,800 さあさあ… え 挨拶はいいから こっちへ来てみな。 え ほら。 90 00:06:40,800 --> 00:06:43,570 もう 訳も言わずに せっかちなんだから。 91 00:06:43,570 --> 00:06:46,072 こっちだ こっち ハハ。 92 00:06:48,942 --> 00:06:55,115 ♬~ 93 00:06:55,115 --> 00:06:57,417 ほら 何をしてるんだい え。 94 00:06:57,417 --> 00:07:00,320 「大原正道」 表札まで かかってて お前さんたちのうちじゃねえか。 95 00:07:00,320 --> 00:07:02,555 ほら 中 入んな入んな ほら…。 96 00:07:02,555 --> 00:07:06,259 さあさあ ほらほら。 えっ あの… それじゃあ。 97 00:07:13,566 --> 00:07:16,069 いつの間に こんな…。 (トシ江)ねえ 大原さん➡ 98 00:07:16,069 --> 00:07:19,572 台所の棚はね おとうさんと彦さんが つったもんだから➡ 99 00:07:19,572 --> 00:07:21,508 物を載せる前に気ぃ付けてくださいよ。 100 00:07:21,508 --> 00:07:23,910 あっ ちょっと気ぃ付けて… 何言ってんだ この野郎。それからね➡ 101 00:07:23,910 --> 00:07:27,247 道具もこのとおり 新しいものは そろえられなかったんだけど➡ 102 00:07:27,247 --> 00:07:30,083 まあ 手鍋下げても始める所帯は いくらでもあるんだもの。 103 00:07:30,083 --> 00:07:33,920 2人で しっかりと働いてさ 気に入ったものを そろえてくださいね。 104 00:07:33,920 --> 00:07:35,955 はい そのつもりで頑張ります。 (トシ江)それからね➡ 105 00:07:35,955 --> 00:07:38,258 そっちの押し入れの方はね…。 (宗俊)バカ。➡ 106 00:07:38,258 --> 00:07:40,260 てめえたちで開けりゃ 分かるんだよ なあ。➡ 107 00:07:40,260 --> 00:07:42,762 手の内見せたら お前 2人が楽しむ間がねえじゃねえか。➡ 108 00:07:42,762 --> 00:07:45,098 気ぃ利かせて 早くおいとま おいとま…。 (トシ江)はいはい。 109 00:07:45,098 --> 00:07:47,033 あっ 嫌だわ お父さんたち。 110 00:07:47,033 --> 00:07:49,936 そんじゃあ お邪魔さま。 いいから早く来い。 111 00:07:49,936 --> 00:07:52,238 分かってますよ。 112 00:08:00,347 --> 00:08:04,651 とにかく 座りましょうか。 はい。 113 00:08:10,557 --> 00:08:12,592 あっ 私 お茶いれます。 114 00:08:12,592 --> 00:08:15,295 ああ すいません。 115 00:08:17,330 --> 00:08:20,233 仮祝言から松江の旅まで➡ 116 00:08:20,233 --> 00:08:24,104 何やら 周りに 振り回されていた2人でしたが➡ 117 00:08:24,104 --> 00:08:29,109 今こそ2人は 本当の2人でした。 118 00:08:39,252 --> 00:08:41,187 ああ どうも。 119 00:08:41,187 --> 00:08:43,923 あ… 疲れたでしょう。 120 00:08:43,923 --> 00:08:46,626 いいえ…。 121 00:08:50,597 --> 00:08:52,532 熱っ。 122 00:08:52,532 --> 00:08:55,769 あの…。 123 00:08:55,769 --> 00:08:59,272 これからも ず~っと どうぞ よろしくお願いいたします。 124 00:08:59,272 --> 00:09:03,543 いや あの こちらこそ よろしくお願いします。 125 00:09:03,543 --> 00:09:05,578 (戸が開く音) (巳代子)お帰りなさ~い! 126 00:09:05,578 --> 00:09:07,881 (順平)何やってんの? 何にもやってないわよ。 127 00:09:07,881 --> 00:09:11,351 だって 大原さんと2人で 謝りっこしてるみたいで。 128 00:09:11,351 --> 00:09:14,888 今日からはね 大原さんじゃなくて お義兄さん。 129 00:09:14,888 --> 00:09:16,823 いや あの 大原でもいいですよ。 130 00:09:16,823 --> 00:09:20,226 いいえ 初めが肝心ですから。 あ… はい。 131 00:09:20,226 --> 00:09:24,063 さよう。 何事も 初めが肝心。 132 00:09:24,063 --> 00:09:26,733 だから大原さん かかあ天下…➡ 133 00:09:26,733 --> 00:09:32,072 いえ くれぐれも女性上位にならないよう 頑張ってください。 134 00:09:32,072 --> 00:09:34,073 はい。 135 00:09:36,376 --> 00:09:39,746 一日たてば はや 大みそか。 136 00:09:39,746 --> 00:09:41,781 やっぱり大したもんですねえ。 137 00:09:41,781 --> 00:09:44,617 (彦造) そりゃあ 何つったって出雲のお人だもの。 138 00:09:44,617 --> 00:09:46,619 それに 粉が違うわよ 粉が。 139 00:09:46,619 --> 00:09:50,090 そうよね。 大原さんとお姉ちゃんが ぎゅう詰め列車の中を➡ 140 00:09:50,090 --> 00:09:52,025 背負ってきてくれたんだもの。 141 00:09:52,025 --> 00:09:56,262 大原さんじゃなくてお義兄さん。 あ~。 142 00:09:56,262 --> 00:09:58,765 おい 騒ぎはいいけど お前 湯は沸いてんだろうな 湯は。 143 00:09:58,765 --> 00:10:00,700 はい たっぷりとね。 144 00:10:00,700 --> 00:10:05,638 けどねえ お嬢の旦那様が打ったおそばで 年を越せるとは思いませんでしたわ。 145 00:10:05,638 --> 00:10:09,275 来年は 正道さんに習って 私が打ちますからね。 146 00:10:09,275 --> 00:10:11,611 見ろ だから長生きはするもんだ。 147 00:10:11,611 --> 00:10:14,614 ハハハ 本当にねえ。 148 00:10:17,484 --> 00:10:26,960 (そばをすする音) 149 00:10:26,960 --> 00:10:31,297 あ~あ 何年ぶりだい こんなシコシコした そばは。 150 00:10:31,297 --> 00:10:36,803 だから 長生きはするもんだ。 (鐘の音) 151 00:10:36,803 --> 00:10:41,307 おっ 除夜の鐘だ。 152 00:10:41,307 --> 00:10:44,310 (鐘の音) 153 00:10:44,310 --> 00:10:49,816 本当に いろんなことがあった 一年だったわねえ…。 154 00:10:49,816 --> 00:10:55,455 去年の暮れは 警戒警報で 電気も覆いをつけたまんま。 155 00:10:55,455 --> 00:10:58,158 金太郎さんが 一緒に おそば祝ったっていうのに…。 156 00:10:58,158 --> 00:11:02,395 それを言うんじゃねえ。 いや いいんですよ。 157 00:11:02,395 --> 00:11:06,599 そもそも 年越しそばってのは 一年の来し方を振り返って➡ 158 00:11:06,599 --> 00:11:09,936 それで 新しい気持ちで 新しい年を迎えようってもんですからね。 159 00:11:09,936 --> 00:11:16,109 そうよ。 お母さん 去年も8人 ほら 今年も8人。 160 00:11:16,109 --> 00:11:19,946 これで あんちゃんが帰ってくれば 来年は 必ず1人増えるんだもの。 161 00:11:19,946 --> 00:11:23,283 そうだよ。 そうだな え。 162 00:11:23,283 --> 00:11:26,186 おい 年越しそばってのはな しめっぽくなっちゃいけねえ。 163 00:11:26,186 --> 00:11:30,156 あのにぎやかな金太郎がよ 「私のせいにして」って 怒るわよ きっと。 164 00:11:30,156 --> 00:11:32,292 (笑い声) 165 00:11:32,292 --> 00:11:35,628 本当にそうだ。 おそば たっぷりありますからね➡ 166 00:11:35,628 --> 00:11:37,964 お代わり欲しい人 言ってくださいよ。 167 00:11:37,964 --> 00:11:39,899 そんじゃ!あっ…。 そいじゃ 俺も。 168 00:11:39,899 --> 00:11:42,135 まあ。 まあ…。 169 00:11:42,135 --> 00:11:45,939 (鐘の音) 170 00:11:49,442 --> 00:11:56,149 108つの煩悩を払って迎えた 昭和21年1月1日。 171 00:11:56,149 --> 00:11:58,818 天皇は 年頭詔書を出され➡ 172 00:11:58,818 --> 00:12:03,656 「朕は神にあらず」と 自ら人間宣言をなされたことが➡ 173 00:12:03,656 --> 00:12:07,160 新年早々のニュースでした。 174 00:12:11,264 --> 00:12:13,199 それじゃあ 行ってらっしゃいまし。 175 00:12:13,199 --> 00:12:15,602 はい 行ってきます。 176 00:12:15,602 --> 00:12:23,309 三が日が明けると 正道は 新しい出版事業に向かって活動を開始。 177 00:12:25,278 --> 00:12:27,780 おはよう! 178 00:12:33,152 --> 00:12:35,788 もうお正月は終わったのよ。 179 00:12:35,788 --> 00:12:38,625 正道さんだって仕事行ったっていうのに もう しっかりしてよ。 180 00:12:38,625 --> 00:12:40,560 うるせえなあ。 すぐに 休み癖がついちゃうんだから。 181 00:12:40,560 --> 00:12:44,964 昔っから職人ってのはな 11日まで休むって決まってんだよ。 182 00:12:44,964 --> 00:12:49,302 いくら戦争が終わったからって そんなのんきなご時世とは違うでしょ。 183 00:12:49,302 --> 00:12:51,638 しかたねえだろ。 俺だって お前➡ 184 00:12:51,638 --> 00:12:54,440 仕事がありゃ お前 休んでなんぞいるもんか。 185 00:12:54,440 --> 00:12:56,809 そのくせ 正月早々うっとうしいから➡ 186 00:12:56,809 --> 00:12:59,846 店先に 古着べらべら並べるなって こうなんだから。 187 00:12:59,846 --> 00:13:03,082 うん 私もね そのことで少し相談があるんだけど。 188 00:13:03,082 --> 00:13:05,752 何のこと? ゆうべもね 正道さんと➡ 189 00:13:05,752 --> 00:13:09,088 いろいろ話し合ったんだけど おんなじ古着でも➡ 190 00:13:09,088 --> 00:13:12,392 これからは もう少し 実用品を扱ったらどうかって。 191 00:13:12,392 --> 00:13:15,094 あ~ それ 私も考えてたんだけどね。 192 00:13:15,094 --> 00:13:19,399 考えたところでね 今どき そんな実用品を 卸すところが どこにあるんだい。 193 00:13:19,399 --> 00:13:22,302 それは 座ってたって 品物は飛び込んじゃまいりませんよ。 194 00:13:22,302 --> 00:13:26,272 カ~ッ 好きだな お前も。 好き嫌いの問題じゃないでしょう。 195 00:13:26,272 --> 00:13:29,409 正道さんの仕事だって 軌道に乗るまでは大変だろうし➡ 196 00:13:29,409 --> 00:13:32,779 私だって若いんだもの ぶらぶらしてるご身分じゃなし➡ 197 00:13:32,779 --> 00:13:37,116 頭と体を働かして 少しでも あの人の仕事を手伝いたいのよ。 198 00:13:37,116 --> 00:13:39,052 ああ 結構な話だ。 199 00:13:39,052 --> 00:13:41,954 畳と女房はな 新しいのに限るって よく言ったもんだ。 200 00:13:41,954 --> 00:13:44,857 いいえ 古くたって ぶっ座ってる亭主抱えてたら➡ 201 00:13:44,857 --> 00:13:49,295 私だって 頭と体を働かすことにかけちゃ 娘には負けちゃいられませんよ。 202 00:13:49,295 --> 00:13:51,631 たかが正月ぐらい いいじゃねえか。 203 00:13:51,631 --> 00:13:54,300 お正月は もう終わったんですよ。 204 00:13:54,300 --> 00:13:56,636 しかたねえだろ。 バラック建築だって お前➡ 205 00:13:56,636 --> 00:13:58,571 俺たちだけじゃ ままならねえんだしよ。 206 00:13:58,571 --> 00:14:01,240 それにしたって うちには巳代子と順平。 207 00:14:01,240 --> 00:14:04,077 まだまだ これからって子供が 2人はいるんですよ。 208 00:14:04,077 --> 00:14:06,379 ああ 分かってる。 だから よろしく頼むわ。 209 00:14:06,379 --> 00:14:08,314 どういうんだろ 一体。 210 00:14:08,314 --> 00:14:12,919 お前な 昔っからな 職人名人ってのは➡ 211 00:14:12,919 --> 00:14:15,955 気が向かなきゃ仕事はしねえって 決まってんだ え。 212 00:14:15,955 --> 00:14:18,725 おめえのお父っつぁんは 名人だってこと忘れんな。 213 00:14:18,725 --> 00:14:23,096 あら そういうのを 飽きっぽいっていうんじゃないんですか。 214 00:14:23,096 --> 00:14:26,399 気の強え女房を持って 正道っつぁんも気の毒だ。 215 00:14:26,399 --> 00:14:28,468 (トシ江) 他人の心配することありませんよ。 216 00:14:28,468 --> 00:14:31,104 他人じゃあるめえ 娘の連れ合いだ。 217 00:14:31,104 --> 00:14:33,406 もう いいから お母さん ちょっと私の話 聞いて。 218 00:14:33,406 --> 00:14:35,608 あいよ。 219 00:14:38,244 --> 00:14:42,148 この分では 昭和21年の桂木家➡ 220 00:14:42,148 --> 00:14:47,653 どうやら 女性リードのうちに スタートを切るもようです。