1 00:00:01,235 --> 00:00:12,279 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:12,279 --> 00:01:12,272 ♬~ 3 00:01:12,272 --> 00:01:18,946 ♬~(「赤城の子守唄」) 4 00:01:18,946 --> 00:01:31,124 (宗俊)♬「泣くなよしよし ねんねしな」 5 00:01:31,124 --> 00:01:44,671 ♬「山の鴉が 啼いたとて」 6 00:01:44,671 --> 00:01:52,813 昭和21年1月19日に 「のど自慢素人音楽会」が ラジオに登場。 7 00:01:52,813 --> 00:01:57,150 ♬~ 8 00:01:57,150 --> 00:02:09,262 ♬~(歌声) 9 00:02:09,262 --> 00:02:11,264 もう結構です。 10 00:02:13,600 --> 00:02:19,473 戦後のラジオは 多くの番組を通じて マイクを一般に開放しましたが➡ 11 00:02:19,473 --> 00:02:24,244 中でも「のど自慢」は 最も成功した一例でした。 12 00:02:24,244 --> 00:02:30,050 ♬~ 13 00:02:30,050 --> 00:02:32,786 いやぁ 恭子ちゃん 本当に お世話に なりましたねえ。 さあ どうぞどうぞ。 14 00:02:32,786 --> 00:02:35,122 (元子)こんばんは。 (洋三)はい いらっしゃい。 15 00:02:35,122 --> 00:02:37,057 (絹子)どうでした? 「のど自慢」は。 16 00:02:37,057 --> 00:02:41,895 それがね ふだんの威勢はどこへやら。 コチコチになっちゃうんだもの。 17 00:02:41,895 --> 00:02:45,766 (恭子)誰だって そうなのよ。 いやぁ けど気持ちよかったねえ。 18 00:02:45,766 --> 00:02:49,302 この俺がよ マイクロホンの前に立つとはな。 19 00:02:49,302 --> 00:02:53,140 (のぼる)で 成績どうだったんですか? 残念ながら予選でアウト。 20 00:02:53,140 --> 00:02:56,043 しかしまあ 何といったってな 第1回の時だって➡ 21 00:02:56,043 --> 00:02:59,913 1,000人近え応募があったってんだから まあ そうはうまくいかねえやな。 22 00:02:59,913 --> 00:03:01,848 しかし これは いい番組だな。 23 00:03:01,848 --> 00:03:05,385 今度はな しっかり練習して 必ず合格してみせっからな。 24 00:03:05,385 --> 00:03:09,256 まあ 私 兄さんは 放送局が嫌いだとばっかり思ってたけど。 25 00:03:09,256 --> 00:03:12,592 ハハハハハ え~ まあ古い話は やめにしてよ➡ 26 00:03:12,592 --> 00:03:14,528 おい 恭子ちゃんに 何か見繕ってやってくれ。 27 00:03:14,528 --> 00:03:16,463 (洋三)はいはい 何にする? あっ じゃあ コーヒーを。 28 00:03:16,463 --> 00:03:18,765 私も。 そう。 義兄さんは? 29 00:03:18,765 --> 00:03:22,269 冗談じゃねえやな え。 砂糖入れた茶なんてもん 俺は真っ平だ。 30 00:03:22,269 --> 00:03:24,938 おう 水でいい 水で。 はいはい。 31 00:03:24,938 --> 00:03:28,775 いやぁ それにしても 放送局も 味なことをやりますよね。 32 00:03:28,775 --> 00:03:31,278 ラジオと大衆の垣根を 一挙に取っ払ったって感じだな。 33 00:03:31,278 --> 00:03:34,948 ええ 音楽部の三枝さんって方の 企画なんですけれど➡ 34 00:03:34,948 --> 00:03:38,785 軍隊にいた時 一番の楽しみが 素人演芸会だったんですって。 35 00:03:38,785 --> 00:03:42,289 下手は下手なりに面白いし…。 (宗俊)ヘヘ この野郎。 36 00:03:42,289 --> 00:03:44,624 もちろん 上手な方には拍手も集まって➡ 37 00:03:44,624 --> 00:03:47,294 やる方も見る方も あんなに楽しかったことはないって➡ 38 00:03:47,294 --> 00:03:50,797 そう おっしゃっていたんですけれど 今日のテスト風景を見ていて➡ 39 00:03:50,797 --> 00:03:52,732 まさに そのとおりだなって つくづく思いましたわ。 40 00:03:52,732 --> 00:03:55,669 てやんでぇ この野郎。 テッ この…。 (笑い声) 41 00:03:55,669 --> 00:03:58,138 しかし こんな面白いことが 始まるんだったら➡ 42 00:03:58,138 --> 00:04:00,907 ガンコも六根も ちょっと辞めるの早まったかな。 43 00:04:00,907 --> 00:04:03,744 あら 私は今だって頑張ってますもの。 44 00:04:03,744 --> 00:04:05,679 (のぼる) 吉宗バッグ すっごい評判じゃない。 45 00:04:05,679 --> 00:04:07,614 おかげさまで。 こっちゃあ お前➡ 46 00:04:07,614 --> 00:04:10,517 柄も何にもねえ… 染めさせられてよ えれえ迷惑してるんだい。 47 00:04:10,517 --> 00:04:13,086 ぜいたく ぜいたく。 チッ。 48 00:04:13,086 --> 00:04:17,757 で ご主人の方も? そちらの方も おかげさまで着々と。 49 00:04:17,757 --> 00:04:20,660 (洋三) まあまあ 一人前の挨拶しちゃってさ。 50 00:04:20,660 --> 00:04:25,465 (絹子)本当。 (笑い声) 51 00:04:27,767 --> 00:04:30,804 実際 ちょっとしたアイデアが受け➡ 52 00:04:30,804 --> 00:04:35,275 おしゃれをしたい年頃の女の子には 吉宗バッグは大もて➡ 53 00:04:35,275 --> 00:04:41,081 類似品も出回る騒ぎでしたが やはり 浅く染めたブルーの美しさが➡ 54 00:04:41,081 --> 00:04:44,784 吉宗製品の決め手でした。 55 00:04:44,784 --> 00:04:47,120 (トシ江)百合子さん。(百合子)えっ? ミシンの調子どうですか。 56 00:04:47,120 --> 00:04:49,055 あっ とっても調子いいのよ。 57 00:04:49,055 --> 00:04:58,431 ♬~ 58 00:04:58,431 --> 00:05:01,067 ただいま。 (彦造)お帰りなさい。 59 00:05:01,067 --> 00:05:03,970 どんなあんばいでした? え? ヘヘヘヘヘ…。 60 00:05:03,970 --> 00:05:07,741 お帰りなさい。 お肉ね 蠅帳に入れといたからね。 61 00:05:07,741 --> 00:05:10,644 どうも すいませんでした。 まあ さんざ恩着せられた上に➡ 62 00:05:10,644 --> 00:05:12,612 目の玉 飛び出すぐらい高いんだもの。 63 00:05:12,612 --> 00:05:16,750 とにかく100匁だけは買っといたから。 それに サッカリンも一緒にね。 64 00:05:16,750 --> 00:05:18,685 はい。 別に 合格したわけじゃねえんだから➡ 65 00:05:18,685 --> 00:05:22,088 そんなに豪勢にしてくれなくてもよ え。 何言ってんですよ。 66 00:05:22,088 --> 00:05:24,925 お肉は大原さん用ですよ。 へっ? 67 00:05:24,925 --> 00:05:29,095 今日はね 本を納めた 第1回分の代金を持って帰る日。 68 00:05:29,095 --> 00:05:31,598 いわば給料日。 だから まあ そういう時には➡ 69 00:05:31,598 --> 00:05:34,267 やっぱり 旦那様のサービスが第一だからね。 70 00:05:34,267 --> 00:05:37,771 何だ。 まあ そんなこと言わずに来てくださいね。 71 00:05:37,771 --> 00:05:40,407 すき焼きにするつもりだから 一緒にお鍋つっついて。 72 00:05:40,407 --> 00:05:42,342 おっ そうだな。 すき焼きなら お前 一緒につっつく…。 73 00:05:42,342 --> 00:05:47,280 駄目です。 そういう時にこそ 夫婦水入らずが一番なのよ。 74 00:05:47,280 --> 00:05:51,051 元子も 余計な気を遣わないで 旦那様 大事にしないと落第だよ。 75 00:05:51,051 --> 00:05:54,554 は~い。 フッ… そんじゃ。 (トシ江)うん。 76 00:06:03,063 --> 00:06:08,735 そうです。 正道が作った本の第1集が出版され➡ 77 00:06:08,735 --> 00:06:13,540 今日は 2人で その誕生を祝う晩だったのです。 78 00:06:15,242 --> 00:06:17,177 ⚟(正道)ただいま。 は~い! 79 00:06:17,177 --> 00:06:20,580 ちょうどよかった。 お帰りなさい…。 80 00:06:20,580 --> 00:06:23,917 いらっしゃいませ。 先日はどうも。 (藤井)いいえ とんでもない。 81 00:06:23,917 --> 00:06:25,852 いつもいつも お世話にばかりなっております。 82 00:06:25,852 --> 00:06:29,089 さあさあ どうぞ 上がってください。 それじゃ せっかくですから。 83 00:06:29,089 --> 00:06:31,391 どうぞ…。 84 00:06:31,391 --> 00:06:34,094 (藤井)失礼いたします。 さあ どうぞ どうぞ。 85 00:06:34,094 --> 00:06:36,763  心の声 何が せっかくなのよ。 86 00:06:36,763 --> 00:06:38,698 (藤井)いやぁ うまそうだなあ。➡ 87 00:06:38,698 --> 00:06:41,401 プ~ンと匂って その先で すき焼きと分かりましたよ。 88 00:06:41,401 --> 00:06:44,271 そうですか。 89 00:06:44,271 --> 00:06:47,107 今日は 第1回目の入金の日なんで➡ 90 00:06:47,107 --> 00:06:49,609 いわば 正道さんの お祝いみたいなもんなんですよ。 91 00:06:49,609 --> 00:06:51,544 おめでとうございます。 ああ そのことなんだけどね。 92 00:06:51,544 --> 00:06:53,780 はい。 入金はあったんだけども➡ 93 00:06:53,780 --> 00:06:58,285 紙の値上がりは甚だしいし 次の仕事の材料確保に払い込んできた。 94 00:06:58,285 --> 00:07:02,155 えっ? やっぱり資金は 次々回転させないとね➡ 95 00:07:02,155 --> 00:07:04,224 仕事は大きく育たないから。 96 00:07:04,224 --> 00:07:07,560 まあ今日は 次の仕事の出発祝いだ。 97 00:07:07,560 --> 00:07:16,236 ♬~ 98 00:07:16,236 --> 00:07:21,574 もしや 我がご亭主 理想と作戦に秀でていても➡ 99 00:07:21,574 --> 00:07:25,378 現金への執着心は 薄いのではなかろうかと➡ 100 00:07:25,378 --> 00:07:32,185 元子は この時初めて 正道の ある側面に気付いたのです。 101 00:07:35,055 --> 00:07:37,123 それじゃあ グリーンで イニシャル入れてくれますか? 102 00:07:37,123 --> 00:07:39,893 グリーンですね。 そんなわけで➡ 103 00:07:39,893 --> 00:07:43,263 正道に 事業に専念させるためにも➡ 104 00:07:43,263 --> 00:07:48,101 元子の何でも屋は 当分 足が洗えそうにもありません。 105 00:07:48,101 --> 00:07:50,603 どうも。 じゃあ お願いします。 106 00:07:50,603 --> 00:07:53,406 ただいま。 お帰りなさい。 どうしたの こんな時間に。 107 00:07:53,406 --> 00:07:56,109 いや お義父さん いる? ええ 仕事場にいるはずですけど。 108 00:07:56,109 --> 00:07:58,778 生地が見つかったんだ 生地が。 生地? 109 00:07:58,778 --> 00:08:02,749 ほら 藤井君に頼んどいた生地だよ。 あちこち探してくれたらしくてね➡ 110 00:08:02,749 --> 00:08:05,218 ちょうど 手拭い用の白生地が まとまって手に入るって➡ 111 00:08:05,218 --> 00:08:08,555 今 電話があったんだよ。 でも あの…。 112 00:08:08,555 --> 00:08:14,227 はい それじゃ ここには10万ある。 113 00:08:14,227 --> 00:08:16,730 おとうさん 一体 このお金…。 114 00:08:16,730 --> 00:08:20,066 いや この人から電話もらってな 銀行行って すぐ下ろしてきたんだ。 115 00:08:20,066 --> 00:08:22,002 3時過ぎると明日のことになるらしいな。 116 00:08:22,002 --> 00:08:24,237 ああいう品物は 明日になると どうなるか分かんねえからな。 117 00:08:24,237 --> 00:08:27,140 じゃ よろしく頼んだぜ 正道っつぁん。 はい 確かに。 118 00:08:27,140 --> 00:08:31,010 あの くれぐれも お金は 品物と引き換えに支払ってくださいね。 119 00:08:31,010 --> 00:08:34,748 バカ野郎。 お前 ブローカー相手なんだ。 仕入れの金を渡してやらねえで➡ 120 00:08:34,748 --> 00:08:36,683 どうやって 品物を 引き取ってこいっていえるんだ。 121 00:08:36,683 --> 00:08:39,586 でも…。 なに 調子はいいがな➡ 122 00:08:39,586 --> 00:08:41,621 藤井って男は大丈夫だ。 それにお前➡ 123 00:08:41,621 --> 00:08:44,391 この人の友達なんだから なあ 正道っつぁん。 124 00:08:44,391 --> 00:08:46,459 はい 大丈夫です。 自分が責任を持ちます。 125 00:08:46,459 --> 00:08:48,928 でもね 用心に越したことないから。 126 00:08:48,928 --> 00:08:52,599 うるせえんだよ。 帯芯なんかばっか染めさせられてよ➡ 127 00:08:52,599 --> 00:08:56,102 俺ぁお前 かめの中の藍は泣いてるし この腕も ウズウズしてるんだ。 128 00:08:56,102 --> 00:08:58,138 あっというような手拭いと浴衣 染め上げてみせっから➡ 129 00:08:58,138 --> 00:09:00,073 待ってろってんだい。 え 頼んだぜ。 130 00:09:00,073 --> 00:09:02,375 はい。 それじゃあ 行ってまいります。 (宗俊)はい。 131 00:09:05,712 --> 00:09:09,048 幸い 10万というお金➡ 132 00:09:09,048 --> 00:09:12,919 心配していた詐欺には かかりませんでした。 133 00:09:12,919 --> 00:09:18,725 かかるより先に 政府が 新円交換を発表したのです。 134 00:09:20,760 --> 00:09:24,898 つまりさ 自分の金なのに 銀行から下ろせねえってのは➡ 135 00:09:24,898 --> 00:09:26,833 一体 どういうことなんだ。 え? 正道っつぁん。 136 00:09:26,833 --> 00:09:30,370 いや あの 世帯主は月に300円➡ 137 00:09:30,370 --> 00:09:33,072 家族については 100円は認められてるわけですから。 138 00:09:33,072 --> 00:09:35,909 一体 何のためなんですか? 139 00:09:35,909 --> 00:09:39,779 つまりですね その 物の値段が 上がりすぎてしまったわけですよ。 140 00:09:39,779 --> 00:09:44,384 大体 公定価格で戦前の50倍 闇だと またその数十倍ですからね➡ 141 00:09:44,384 --> 00:09:46,920 これじゃ 日本の台所が めちゃくちゃになっちゃうわけです。 142 00:09:46,920 --> 00:09:49,589 それで 経済の立て直しをやろうっていうのが➡ 143 00:09:49,589 --> 00:09:52,258 今度の新円交換なんです。 いや だからさ➡ 144 00:09:52,258 --> 00:09:55,095 その新しい金じゃねえと 使えねえってことになると➡ 145 00:09:55,095 --> 00:09:57,931 その 銀行に預けてあるのは どういうことになるんだい? 146 00:09:57,931 --> 00:10:01,601 それは 一時的に使えないだけで 新円が出回り次第➡ 147 00:10:01,601 --> 00:10:04,104 新しいお金で 引き出せることにはなるでしょう。 148 00:10:04,104 --> 00:10:08,408 ただですね 今 そのお金のあるところと ないところが すごく差があるので➡ 149 00:10:08,408 --> 00:10:10,944 それを是正しようっていう意味も 含まれているわけですよ。 150 00:10:10,944 --> 00:10:13,980 (巳代子)それじゃあ 財産差し押さえ っていうことじゃないのね。 151 00:10:13,980 --> 00:10:16,749 しばらくは 大きな金は 動かせないって意味なんです。 152 00:10:16,749 --> 00:10:19,652 じゃあ あの10万は どういうことになるんですか? 153 00:10:19,652 --> 00:10:21,654 いやぁ あれは危機一髪でした。 154 00:10:21,654 --> 00:10:23,656 もう生地買ってしまったんですからね➡ 155 00:10:23,656 --> 00:10:25,792 品物にしてしまえば もう こっちのもんです。 156 00:10:25,792 --> 00:10:29,429 いやぁ ほれ見ろ え。 これで一安心だ。 ああ 助かった ハハハ…。 157 00:10:29,429 --> 00:10:33,133 で 物を売るのは構わないのね? はい。 158 00:10:33,133 --> 00:10:36,803 そのかわり 買う人も 新円しかないってわけなんでしょう。 159 00:10:36,803 --> 00:10:40,974 うん そうなんです。 しかしね 物は いずれ金に換えられますから。 160 00:10:40,974 --> 00:10:44,444 うん 分かった。 ありがとうよ。 いやぁ おめえ 元子➡ 161 00:10:44,444 --> 00:10:46,379 おめえの亭主みたいなのが いてくれねえとな➡ 162 00:10:46,379 --> 00:10:49,282 こっちは お上のやることは ちっとも分かんないからな。 163 00:10:49,282 --> 00:10:52,652 でも 品物は必ず来るんでしょうね。 164 00:10:52,652 --> 00:10:56,990 いや そりゃ来るよ。 ただし お金が封鎖になった直後に➡ 165 00:10:56,990 --> 00:11:00,260 あれだけ大きなものを動かして 目についても バカ見るだけだから➡ 166 00:11:00,260 --> 00:11:03,263 品物は当分 寝かしといた方が いいだろうって 藤井君は言いますけど。 167 00:11:03,263 --> 00:11:05,398 おう それは おめえさんに任せるよ。 168 00:11:05,398 --> 00:11:07,934 一度に来たところで 全部染められるわけじゃねえからな。 169 00:11:07,934 --> 00:11:10,403 まあ ほどほどに運んでもらえりゃ それでいいんだ。 170 00:11:10,403 --> 00:11:12,772 自分も それが一番いいと思いますね。 171 00:11:12,772 --> 00:11:17,610 ということで やっぱり 品物が到着しないというのは➡ 172 00:11:17,610 --> 00:11:20,914 元子の不安の種でした。 173 00:11:22,782 --> 00:11:25,118 ねえ お姉ちゃん。 何よ。 174 00:11:25,118 --> 00:11:27,787 このあと 一体どうなるのかしら。 175 00:11:27,787 --> 00:11:31,658 なるようになるから 心配はいらないわよ。 そんなこと言ったって。 176 00:11:31,658 --> 00:11:35,428 大丈夫よ。 巳代子は 生活学院へ行きたいんでしょ。 177 00:11:35,428 --> 00:11:38,131 だけど お金が封鎖されたら…。 178 00:11:38,131 --> 00:11:42,435 それは一時的なものだって 正道さんだって言ってたじゃないの。 179 00:11:42,435 --> 00:11:45,638 心配いらないから 生活学院へお行きなさいよ。 180 00:11:45,638 --> 00:11:47,574 お姉ちゃん…。 181 00:11:47,574 --> 00:11:51,444 あんちゃんがいたら きっと そう言ったわ。 182 00:11:51,444 --> 00:11:53,379 お店の方だって うまくいってるんだし➡ 183 00:11:53,379 --> 00:11:57,817 巳代子が働かなくたって 土台が傾くような吉宗じゃありません。 184 00:11:57,817 --> 00:12:04,090 それに 正道さんだって 巳代子のことなら 必ず力を貸してくれるもの。 185 00:12:04,090 --> 00:12:07,961 だから 心配しなくていいのよ。 ね。 186 00:12:07,961 --> 00:12:10,863 うん…。 それじゃ おやすみ。 187 00:12:10,863 --> 00:12:13,600 おやすみなさい。 188 00:12:13,600 --> 00:12:18,404 生活学院とは 戦時中 言論弾圧と紙不足で➡ 189 00:12:18,404 --> 00:12:22,108 本が出せなかった 出版社の社長の設立で➡ 190 00:12:22,108 --> 00:12:26,980 このころでは 復員してきた哲学者や作家が集まり➡ 191 00:12:26,980 --> 00:12:30,783 小さいながらユニークな学校でした。 192 00:12:38,558 --> 00:12:40,493  心の声 ああは言ったけれど➡ 193 00:12:40,493 --> 00:12:43,496 本当に この先どうなるんだろう…。 194 00:12:43,496 --> 00:12:45,632 (正大の声)バカだなぁ。➡ 195 00:12:45,632 --> 00:12:47,667 自分で 巳代子に 答えてやったばかりじゃないか。 196 00:12:47,667 --> 00:12:49,869  心の声 あんちゃん…。 197 00:12:53,139 --> 00:12:55,808 (正大の声)何だ 情けない顔して。 198 00:12:55,808 --> 00:12:59,445 だって私 心細くて。 199 00:12:59,445 --> 00:13:02,749 (正大)怒るぞ 俺は。 何でよ。 200 00:13:02,749 --> 00:13:06,619 大原さんと結婚したくせに 心細いだなんて➡ 201 00:13:06,619 --> 00:13:09,389 それは あの人を 信じていないということじゃないか。 202 00:13:09,389 --> 00:13:12,925 信じているわよ。 信じてはいるけど…。 203 00:13:12,925 --> 00:13:15,395 いるけど どうなんだ? 204 00:13:15,395 --> 00:13:17,930 あの人は今 一生懸命なのよ。 205 00:13:17,930 --> 00:13:23,269 だから 桂木のうちのことで あんまり煩わしい思いをさせたくないの。 206 00:13:23,269 --> 00:13:26,939 それは水くさいんじゃないかな。 207 00:13:26,939 --> 00:13:29,609 先輩は誠実な人だ。 208 00:13:29,609 --> 00:13:32,512 困った時は 変に一人で背負い込まずに➡ 209 00:13:32,512 --> 00:13:35,948 思い切って あの人の胸に飛び込んでいけ。 210 00:13:35,948 --> 00:13:41,287 そして 二度とバカな愚痴を言った時は あんちゃん 承知しないからな。 211 00:13:41,287 --> 00:13:43,222 うん。 212 00:13:43,222 --> 00:13:48,961 それじゃ 頑張ってくれ。 頼んだからな。 213 00:13:48,961 --> 00:13:52,298 あんちゃん! どこ行くのよ あんちゃん! 214 00:13:52,298 --> 00:13:55,635 待って あんちゃん! 215 00:13:55,635 --> 00:13:58,671 元子さん! どうしたんだ… 元子! 216 00:13:58,671 --> 00:14:02,909 (荒い息遣い) 217 00:14:02,909 --> 00:14:05,712 正道さん! 218 00:14:07,780 --> 00:14:12,919 ひどく うなされてたよ。 どっか 具合悪いんじゃないか? 219 00:14:12,919 --> 00:14:23,563 ♬~ 220 00:14:23,563 --> 00:14:26,265 私 怖いの。 221 00:14:29,102 --> 00:14:31,137 どうしたんだ こんなに汗かいて。 222 00:14:31,137 --> 00:14:38,811 ♬~ 223 00:14:38,811 --> 00:14:43,282 怖いの。 しっかり抱いて。 224 00:14:43,282 --> 00:14:45,785 元子…。 225 00:14:45,785 --> 00:14:57,296 ♬~